ナリスの伝説 「オンリーワン」

けにあ

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ナリスの伝説「オンリーワン」

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★北の荒地、再び★

シルフィーの封印の間を出て、前回と同じように山脈を超えて行こうと思います。
「空中移動」を唱えて魔力を解放、速度も速くなって、某ヒーローキャラの真似も可能 ♪

急ぐ旅でもないので山脈を超えて降りたところで一泊の予定です、ってあれ?
山脈を超えて北の荒地があった場所は、広大な針葉樹林さらに、大きな街が見えます。
それも・・・祠があった場所辺りですね。

あ、イリスが滅ぼした国・・・ってもしかしすると?
とりあえず、ここからは他国になるわけですから、準備をしないと、という事で魔力を薄く、広く、解放して「索敵」開始
「空中移動」発動のまま、飛び降りている風に降りて行きました。

あれだけの大きな街なら、国境とか山脈とはいえ誰かしら監視をしているでしょう、たぶん・・・・
・・・・・・・

索敵に敵影なし

私なんかは足元にも及ばない、隠蔽もしくは隠密能力者がいるのか?

ちょっと出て来い!

いやいや、出てこないのがその能力者だ!

ああ、メイの頭、ペシペシが懐かしい。

まさかとは思うけど、赤外線とかレーダー探知とかしてないよね?
ん?異世界転生者はステラが葬る・・・ならレーダーとかあるはずがない。

お?前方、ん?前方ってどっちだよって突っ込みが聞こえて来た、気のせいか?

街の方角で、人がいっぱい動いている、争っているのかな?

こっちに向かって来ています
四人のパーティが追われています、と言うか目の前まで来ました。
逃げて来た男A
「なんなんだ、何故あいつら襲ってくるんだ?」
逃げてきた男B
「うるさい、今そんなこと言っても無駄だと悟れ」
逃げて来た男C
「そんなに気になるならあいつらに聞いてこい」
逃げて来た男D
「ぷっ、言葉を出す前に刺されるだろうけどな」
追いついてきた男A
「そんなことを聞かないと分からないとは冒険者には向いてないぜ、大人しく死にな」
逃げて来た男B
「うぉ、何時の間に」
追いついてきた男B
「馬鹿だな、こいつら、街から離れるように速度を調整してやっていたのに気が付いてないのか」
追いついてきた男A
「残念、外れだな、勇者様御一行ではないようだな」
逃げてきた男A
「勇者様御一行?」
追いついてきた男A
「なんだ、知らないのか、勇者パーティが旅に出たって話」
追いついてきた男B
「路銀、装備品、全部いただきだ」

あの四人、旅に出たのか、でもこれは見逃せない話かな?

「それは困りましたね、勇者を襲うと聞いては黙っているわけにはいきません」
ぎょっ
全員が凍り付いたようです。
追いついてきた男B
「お前、何時からそこにいた?」

「何を言っているのですか?私がいるこの場所に貴方方が来たのですよ?」
追いついてきた男A
「誰だ、お前」

「貴方こそ、誰ですか?」
追いついてきた男A
「はぁ、口の利き方には気をつけろよ?」

「で? 誰なの」
追いついてきた男A
「死にたいらしいな・・・」

「いずれ死ぬかもしれませんが、今ではありません」
日本刀らしき、柄を握り、居合が得意だと言わんばかりに力が入っています。
他の方たちは私が間合いから出ないように周りを取り囲みました。
ふうむ、私はこの居合抜きの方と一対一で戦わなければいけないのでしょうか?

追いついてきた男A
「どうした? もう謝っても許してはやらないぞ」とニヤニヤしています。

「それは、殺せるなら殺してもいいよ、と言っているのですか?」
追いついてきた男B
「ほぅ、言うねぇ」
私は両手で短剣の柄を握り、前傾姿勢を取りました。
お、もう一人居合の達人がいるようです、左後方で構えていらっしゃる。
それと右後方に盾と剣を持った男と短剣を持った男が配置についていました。
もしかして、こういう場合、後ろに飛ぶのがセオリーなのでしょうか?

まあ、いいか
私は無造作に一歩前に出ました。

「まだ、間合いではないのですね」
私はその場でジャンプしてみると、弓矢と短剣と火属性の魔法が飛んできました。
前方の居合の達人に向かって突っ込んでいくとすかさず、抜刀し、横一文字に切り裂きに来ましたが、居合の構えからこの太刀筋は分かっている事ですから短剣を太刀筋に合わせると何も問題ないでしょう?
え?短剣ごと私を両断する予定ですか?
それとも?
短剣で受け止めると私の体ごと吹き飛ばす?
私は刀が走ってくる軌道に短剣を合わせ、しゃがみ込みながら上に流して回避しました。
一の太刀の後、二の太刀があるのかな?
会ってももう遅いですけど、持っているもう一本の短剣で、居合の達人の首を刺す。
たとえ太刀が私に届いても、すみません、魔法障壁があるので 私を切ることは不可能です。
すぐに、私を取り囲んでいた三名に向かってダッシュ、あっけにとられているうちに全て終わります。
もう一人の居合の達人さんは本気で驚いたのでしょうか、抜刀した時にはもう私の短剣は首に刺さっていた。
動いたようには見えませんでしたが、視界から短剣職が消えました。
盾持ちの人はしっかり盾を構えています。
なるほど、盾に隠れているのでしょう。
持っている短剣に魔力をしっかり、強く纏って、盾ごと切ります。
踏み込んで、体重を乗せて一気に突き刺しました。一人、そして二人目は盾を持っている本人、もう一本の短剣で盾の横から突き刺しました。
この盾、穴が開いてしまったからもうゴミかな?
私が、盾が邪魔で攻めあぐんでいるところを短剣職が意表をついて攻撃、と言う流れだったのでしょうか?残念、どんまいです。
と言うか、盾の人も短剣職の存在が邪魔で自分は本気で防御だけしか出来なかったのではないでしょうか
弓職と火属性の魔法職がいるはずだけど?後続が追い付いて来るのを待っているのか、なるほど、私は一旦木の影に入って隠蔽をかけて、相手も木の影に隠れているからこっちが何をしているかわからない、さらに隠蔽をかけたので完全に私を見失ったはずです。
そういえば、短剣も飛んできたな・・・
短剣職は動きが早いからかすぐそこにいました。
もう逃げるに逃げられない状態かな?
三人とも、木の影は安全ではありませんよ?
木の幹ごと・・・あ、短剣・・・届かないか
しょうがないなあ、木の幹ごと、両断します。すみません、うそです、これも短剣では難しそう
木がデカすぎなんですよ
では、スピード重視で短剣職の方から、回り込んで一刺し、その後、先に弓使いの方を刺して、弓は懐に入ってしまうと、短剣職と同じですね、弱い。
魔法職の方は火属性魔法だけなのかな? というか詠唱なんかしたら居場所を教えているようなものだし、もうばれていますけど・・・
魔法職の方も近接での受け流しぐらい訓練しとかないとこういう時死ぬだけになります。もっと早くに知り合っていれば私の言葉も役に立っていたかもです、すみません。
倒した順の逆に戻りながらドロップ品の確認、武器、硬貨、装飾品、杖に短剣、剣、太刀(二)、脇差(二)、盾はゴミですが一応回収、金貨に銀貨、指輪、ネックレスこんな感じでした。

後からゆっくり歩いてきた追手の男A
「はぁ、なんだ、やられたのか、身ぐるみはがされているし」
追手の男B
「おい、回復間に合うか?」
詠唱が聞こえてきました。
追手の男C
「こっちにも倒れているぞ」
追手A
「こいつら戦った後がないな、隠れているところを狙われたのか?」
何で隠れているんだよ・・・

追手B
「前衛のやつらが一瞬で倒されたとか?」
あいつらを一瞬だと、おい、おい、無理だろ
追手の回復職
「これは無理だわ、流石に死者蘇生は習得していないわ」
追手の男A
「おぉい、ガレス、ゼレス」

「それは居合のお二人のことでしょうか?」
な?
追手の男A
「誰だ、何時の間に」

「今向こうから歩いてきましたよ?」
追手の男A
「お、お前の持っている、それ、脇差は?」

「これ、私にちょうどいいので使わせてもらいます」
追手の男A
「それはゼレスのだろうが?」

「名前は知りませんけど、あっちで血を流していますよ?」
追手の男A
「太刀はどうした?」

「あれはまだ私には長いし、重いし、使えません」
追手の男A
「どうしたと聞いている」

「知らない人に教える義理はありません」
追手の男A
「死にたいらしいな」

「そのセリフ、さっきも聞いたような気がします」

抜刀術、ちゃっと刀を抜く音?がして横一閃、刀を振って来た、ぎりぎりでかわしたところに違う人が上から攻撃してきた、はやい
ステップ踏んで、受け流す、最初の男が突いてきた、体を捻じってかわしましたが、また上段からの攻撃、第二弾が来た。今度は流さず、受けずに回避して、脇差を横一閃、二人の首を落としました。
ドロップ品も気になりますが、他の追手の方を処理しないといけません。
さっきのお二人もものすごく信頼されていたのでしょうね、皆さん固まっていらっしゃいます、何が起きたのかわからないまま死んでいってください。
私は突っ込んでいき一人ずつ首を落としていきました。
この脇差すごくいい切れ味です。
全部で二十人、四人パーティが五組なのか五人パーティが四組なのか、不明ですが終わりです。
後から来た十三名分のドロップ品、武器、太刀(二)、脇差(二)、杖、短剣、剣、装備品は買い取ってくれるかな?装飾品、金貨、銀貨、銅貨をディメンションルームに入れて、死んだ人たちの事は放置で街に向かってみます。

追われていた方から声をかけられました。
ゼノ
「待ってくれ、すまなかった、おかげで助かりました。」

「なぜ逃げなかったのですか?」
ゼノ
「いや、巻き込んだのに自分たちが逃げるわけには・・・と思ったのですが、役にも立たずに申し訳ない、私はゼノと言います。」
ゾロ
「私はゾロと言います、ありがとうございます」
ユウキ
「私はユウキです」
そら
「回復担当のそらです」

「ナリスと言います。」
ゼノ
「強いね、君は」
どうも
ゾロ
「街に行くのかい?」

「そうですね、大きな街があるのを見かけたので来てみたのですが、どうしましょう」
見かけた?どこから・・・
ゾロ
「なんだ、ダンジョン目当てじゃないのかい?」

「え、ダンジョンがあるのですか?」
ゼノ
「まだ、最高攻略階は十二階だそうだ」
ゾロ
「十三階に降りたやつらは、全て全滅しているそうだ」

「それって、十三階に降りたパーティを十二階でたむろしている人たちが襲っているなんて事は無いですよね?」
え?
ゾロ
「それは、あるかも知れない」
盗賊の類もいるだろうけど、十三階をどうしてもクリア出来ないやつらが邪魔をしている可能性はある・・・・
そら
「ゾロ、何を言っているのですか?」
ゾロ
「可能性の話だろ」

「貴方方は何をしにダンジョンに行くのですか?」
ゼノ
「それは、稼ぐために決まっているだろ?名声もお宝も手に入れたい」

「ダンジョンはお宝背負ってやってくるあなた達のような、お馬鹿さんを待っているのだと思いますよ?」
そら
「な・・・なんてことを」
ゼノ
「いや、あり得ない話ではない、しかし、本当ならダンジョンは盗賊の巣になっているって事か」
プっ、笑ってしまいました。
そら
「なに?」

「ダンジョンに入って魔物倒して、ドロップ品をもらって帰ってくる、十分盗賊だと思いますが?」
そら
「魔物は倒さないと街の者に被害が出るじゃないか」

「山や森から出て来た魔物、獣は確かに村、街を襲いますが、ダンジョンにいる魔物は自らの意思で外に出てくることはありません」
四人がえ?っという顔をしています。
ゾロ
「ダンジョンにいる魔物は無害だと?」

「外の街に対しては無害ですね、こちら側が縄張りに入って行っているわけですから、侵入者を排除しようとするのは当然の行為だと思います。」
そら
「君は魔物の味方なのですか?」

「人は自分勝手ですよね、魔物は殺して物を奪ってもいいけど人間が人間を殺して物を奪うのは駄目だと教え込む」

私は、後ろを振り返って、
「貴方もそう思うでしょ、気配を殺して、隠蔽か隠密の達人ですか?」
四人が身構えて辺りをうかがっています。

気配を殺して近づいてきた人(ソニア)
「ええ? 私を察知できるなんて君すごいね、かなりショックですよ、私」
と言い終わると同時に私の背後に迫って来たので、短剣を抜いて相手の首筋に当て
「このまま切り裂いても文句言わないですよね?」と聞いてみた。
両手を挙げて「まいった・・・・」と小声で回答してきた
知らない人(ジャック)
「おい、おい、だらしねぇな」

「そんな台詞は自分で戦ってから言うべきだと思いますよ」
「口のへらねぇガキが」と言いつつ私の背後から戦斧を振り下ろして来た。
私は短剣を首に当てたまま、背後に回り込んで、隠蔽の達人を盾として構えたのですが、「わわわ、ちょっと、ちょっと」と叫びつつ、この生きた盾さんは高速移動で左に飛んで逃げ「危ないなあ、私まで殺す気ですか?」ってあれ、子供はどこに?

「私ならここですよ?」
左に逃げたので背後についたまま一緒に私も飛びました。
気配を殺して近づいて来た人(ソニア)
「ええええ、まじで?」
戦斧のおっさん(ジャック)
「こら、俺をしかとするんじゃねぇ、空振りして、はずかしいじゃねぇか、ソニア、どうせならそいつと一緒に粉砕されれば、よかったんだよ」
ソニア
「ジャック、ふざけたことを言っていると先にあんたがやられるよ」
ジャック
「はぁ、捕まっているのはお前だろ、先に死ね」
ソニア
「何言っているの、殺すつもりならもうとっくに死んでいるわよ、私」
両手を挙げて「私は降参するわ、ほんと、ほんとよ」
私は短剣を下げて、その場を離れた。
ジャック
「なんだ、なんだ、お情けか?」

「なぜかわかりませんが、貴方方を今殺してはいけない気がしています」
ソニア
「なに、なに、第六感ってやつ?」
ジャック
「はぁ? 俺がお前を殺すだけだろ」
無造作に戦斧を構えるジャックの前に出た。
ジャック
「お前、ムカつくやつだな、舐めているだろ」

「はい、すみませんが、貴方では私を殺せません。」
ジャック
「ふざけるなぁぁ、あとで後悔しろやぁ」と戦斧を大振りで私目掛けて振り下ろして来た。
私は魔法障壁を衝撃に耐えられるように全身、さらに体の中まで纏い、膝を曲げ、腰を落とし、両手をクロスして左手を右手で支え、あえて受け止めてみた。
どおぉん、すごい衝撃、踏ん張って耐えましたが、足が地面にかなりめり込んでいます。
ジャックの動きが止まりました。
ソニアも言葉を失っているようです。あとの四人はただ、ただ驚いているだけのようです。

「ふぅ、痛いです・・・はぁ、すみません、そらさん回復かけてもらえますか?」
なにに?

「はい? いや、私にですけど?」
そらさんは思考が停止しているようですが、言われるままに私に回復魔法をかけてくれました。
ジャック
「・・・・・・・」
ジャックは自分の戦斧を持ち直して、「マジかよ」と一言呟き、戦斧を指で弾いた。
戦斧は衝撃に耐えられずに粉々になった。
そしてジャックは右腕が折れていることを確認していた。
さらに体中にしびれが起きて、立っていられずに座り込んだ。
ソニア
「すみません、良かったらジャックも回復してくれませんか?」
ジャック
「うそだろ」
そらさんは、やっぱり言われるままに回復をかけています。
ジャック
「なんで、お前はぴんぴんしている?」

「ピンピンはしていません、今ならソニアさんが楽勝かもです」
ソニア
「それでも疑問形なのね・・・・」
ジャック
「いったい、何をした」

「斬撃は防げる自信がありましたので、衝撃に耐える事だけ考えました。危うく体中を粉砕されてしまう所でした」
ジャック
「お前みたいなガキが俺の攻撃を防いでさらに衝撃を跳ね返したっていうのか」

「正確には、意図的に跳ね返したのではなく、結果そうなった・・・です」
ソニア
「そんな、簡単に言ってもらってもなあ」
ジャック
「俺の攻撃を回避ではなく正面で受け止められ、仕掛けた俺はこのざまかよ・・・」

「貴方の攻撃は私には効かないと証明するためにあえて、受け止めて見せましたけど次からはこんな事はしませんのでお気を付けください。」
ジャック
「なんだと・・・じゃあ、次はどうなる?」

「戦斧を振り下ろす前に殺します」
そら
「な・・・」
ゾロ
「対峙するだけで、恐怖が先に来て動けなくなりそうなのに、次は勝利宣言してくるか」
ソニア
「でもそうなる気がします。」
ジャック
「なんだと・・・くそ、そうだな」
ソニア
「ねぇ、君名前は?」

「あ、失礼しました。ナリスと言います」
ソニア
「ナリスか、よろしくね」
続けて
「でさ、私とパーティ組まない?」
ジャック
「な、お前俺が誘っても自分はソロが良いとか言ってなかったか?」
ソニア
「ジャック、あんたも入るでしょ?ライアスも誘いましょう」

「ライアス?そこにいる人ですか?」
ソニアが振り返ると、木の影から男の人が一人、姿を現した
ライアス
「気配は消しているつもりだったのだが、気づかれていたか」
ソニア
「そうそう、こいつがライアスで脳筋がジャック、ライアスは剣で戦うけど回復職なのよ」
ライアス
「回復系がソロでうろうろしていると殺してくれと言っているようなものだからな」
ジャック
「ライアス、お前も来ていたのか」
ライアス
「お前らが大声出して走っているのを見つけたのでとりあえず追いかけて来た」

「それであと二十人程後ろにいますけど?」
ライアス
「ああ、私同様お前たち二人を追いかけて来たんだろ」
ソニア
「あら、じゃあ、バッカスを連れて来たって事?」
ライアス
「お前たち二人の事だから問題無いと思って来たが、ジャックがその様子では危なかったか?」
ジャック
「そう思うのならさっさと回復してくれよ」
ソニア
「じゃあ、しょうがないからジャックを置いて逃げようか」と振りかえって、「あれ?」
ナリス?

ジャック
「なんだ、逃げ足早いな」
ライアス
「いや、まてよ、ここに居る誰も気がつかなかったのか小僧の動きに」
何者だ?

しばらくして近くから声が上がった。
「うわぁ」、「何かいるぞ、気をつけろ」
ジャック
「うはぁ、逃げ足じゃなくて、抜け駆けかよ」
ソニアがぷっと笑った。
バッカス
「何か面白い事でもあったのか? ジャック、どうした珍しいな怪我をしているのか?」そういいながらゆっくりと歩いて来て辺りを見渡した。

ソニア
「あら、バッカス、いらっしゃい、四天王の一人、南のバッカスがこんなところにどうしたの?」
バッカス
「何を言ってやがる、お前たち二人が慌てて出て行ったと報告があったから急いできたんじゃないか、その辺に転がっている奴らをやったのはお前らか?」
ソニア
「残念、私たちも実入りが全く無いのよね」
ライアス
「バッカス、お前、俺たちの事しか眼中になさそうだが、後ろのやつら大丈夫か?」
バッカス
「あ?」
バッカスは振り返って「おい、ダニエル、オスカー」
辺りは静まり返って人の気配は無かった。
バッカス
「おい、どうした」
歩いて近づいて来る足音が聞こえてきて、ここに居る者全てが注目した。

「今、呼んだ二人って太刀と脇差を持っていた人たちの事ですか?」
バッカス
「なんだ、お前」
ソニア
「ナリス?」

「誰も殺してはいないけど、皆気を失っていますよ?武器、装飾品、硬貨等は全ていただいてきました」
ジャック
「ははは、お前ひとり占めかよ」

「はい、この街には素晴らしい刀がいっぱいあるのですね、全部私がいただいて行きます。」
腰に差していた脇差を抜いて、「これもさっきの方達の所持品です、大事に使わせていただきます」
続けて
「残念なのは、太刀はさすがに私の体には大きすぎてまだ、使えないことです」
ライアス
「・・・・・・」
バッカス
「ジャック、お前この、小僧にやられたのか」
ジャック
「まてまて、正解だがやられてはいない」
バッカス
「どういうことだ?」
ジャック
「俺が勝手に怪我をしたんだよ」
ソニア
「それって、負け惜しみでしょ?」と言って笑った。
ジャック
「うるせぇ」
バッカス
「お前ら全員、事情を聞かせてもらうからな」

「このバッカスさんと言う方は殺しても問題ない方ですか?」

はぁ?
場の空気が凍りついた。
シーン

ソニア
「私的にはバッカスが死んでも問題は無いけどこの人本当に強いよ?」

「では、この脇差を使ってみます、用意はいいですか?」
私はイリスの剣圧を思い出して、真似をしてみました。
ただ違うのは、剣先の一メートルぐらいまでで、止めてみようと思っている事でしょうか?
そうしないと他の方が巻き添えをくってしまいますから・・・・
とりあえず見様見真似で振って見た。
こんな感じだったかな?
ザアアァアン すごい音がして、前方の木がなぎ倒されていきました。
あれ?
剣先の一メートル・・・はどうした?
自分に問いかけてみましたが当然答えはありません


「うぅぅん、難しいですね、出来ると思ったのですが、失敗ですね」
ソニア
「いやいや、いやいや、今の何?」
そら
「失敗?」
では、外に放出ではなく、内に貯めてみます。
集中が大事ですね
周りの者たちが、つばを飲み込む
シーンと静まり返った空間で私の周りだけ空気が冷えていく。
ふうぅと息をついたあと、バッカスを見て
「今、攻撃すればよかったのではないですか?」
バッカスをもう一度見て
「私の精神集中が整うまで待っていてくれなくても良かったのに?」
バッカス
「お前、この後どうするつもりだ?」

「え? 貴方の武器ごと、体を二つに切り捨てます」
ソニア
「血の気が引くってこういう事を言うのね、初体験だわ」
本当にさぁぁって音が聞こえた気がする。
バッカス
「ちょっとまて、いや、待ってください、降参、降参だ」

「はい? それは駄目でしょ、ちゃんと相手をしてくれないと折角集中したのですから」
バッカス
「あほか、無理だろ」

「あほ・・・あほとは私の事ですか?」
バッカス
「ああああ、違う、あほは俺だぁ」
続けて
「わかった、金貨、一枚で手を打ってくれ」

金貨一枚、さっきの穴の開いた盾あれの代金かわりにするか、この盾で憂さ晴らし、いや、試し切りでもしよう
穴の開いた盾を取り出して、立てて置き、再度集中して、一閃、盾を切った、脇差は無事です。私の魔力に耐えてくれています、いいものを手に入れました。

「金貨、一枚、忘れないでくださいね」
ソニアが盾の方に歩いて行って確認しようとしていたので、
「触ると危ないですよ?」と言って、盾の上部側面をとんと蹴った。
盾の上部の部分が音もなく、斜めに滑り落ちて倒れた。
おお
すごい、切り口だ
ソニア
「まじ?」
そら
「え、そんな盾、どこから出した?さっきまでは無かったよね」
そらさん、皆からスルーされました。どんまい

ジャック
「いい様だな、バッカスよ」と言ってニヤニヤ笑っている。
ソニア
「ナリス、一応教えておくね、バッカスはこの街の警備隊の隊長様、私たちは冒険者」
あれ?
ソニア
「ついでに言うとね、最初に襲ってきたやつらは間違いなく盗賊」
そら
「すごい、殺したのは盗賊だけで、あとは殺さないでいるなんて」
ソニア
「本当にすごい直感力ね、ほんとに第六感とかいうやつ?」
ライアス
「私もかなり自分に自信を持っていたのですが、ちょっと考えないといけませんね、こんな子供がいるとは・・・・」
私はすこし考えて
「それは困りました、という事は私、盗賊という事になるのでしょうか?」
バッカス
「出来れば、返却してやってほしい、あ、返金もな?」
何故かものすごく損をしている気分です。
とりあえず、太刀、脇差、が二組、硬貨袋が二十人分・・・・
バッカス
「戦利品をすまないな」
そら
「警備隊の人がそんなことを謝っていいのですか?」
バッカス
「俺たちも盗賊退治で得た戦利品は競売にかけて最後に分配しているからなぁ」
大勢の足音が近づいてきて
「すみません、隊長、武器を盗られました。」

「それは、非常にまずいですね、切腹ものです。すぐに死んでください」
バッカスが大声で笑いだして
「確かに切腹ものだが、勘弁してやってくれ」

「大きな貸し一つですよ」
バッカス
「わかった、わかった」
バッカスは隊員の方を見て
「お前たちの所持品、武器、金はここに取り戻してあるから自分の物をよく確認してみろ」
おお
ふらふらしながらやって来たくせに、飛びついてきた。
「隊長、ありがとうございます」
オスカー
「気がついた時に腰が軽くて・・・脱力感がすごくて、もう生きている気がしませんでした。」
む!
バッカスがニヤニヤしながら「口に出して言うなよ」と私に声をかけて来た。ちぇ
ダニエル
「うぉぉぉ、よかった、私の太刀と脇差だぁぁ」
バッカス
「ところで、えっと」

「ナリスです」
バッカス
「ああ、ナリスよ、冒険者か? どこから来た」

「え、ああ、ロット伯爵領、ランス・ロットの街とか呼ばれていましたね、たしか」
ジャック
「ハァ、聞かない名前だな」
越えて来た山脈を指さして「あの山脈のずっと向こうです。」
バッカス
「お前、正気か?あの山、四千メートル以上あるんだぞ?」
ソニア
「まさか飛んできたとか言わないよね?」

「あれ、わかります、そそ、飛んできました」
あれ?なんかしらけている・・・し?
バッカス
「まぁ、いい、で、何をしに来た?」

「旅に出て、山を越えたら遠くに大きな街が見えたのでとりあえず来てみました。」
バッカス
「旅の目的は?」

「爺ちゃんが死んで、一人になったので旅に出てみました。」
嘘じゃないからいいかな
バッカス
「爺ちゃんは、病気か?」

「村に魔物が襲ってきて、熊と戦った後、盗賊に後ろから刺されました。」
ジャック
「なんだと・・・」
ソニア
「その盗賊は?」

「爺ちゃんの敵はちゃんと取って爺ちゃんは埋葬してきました。」
バッカス
「街にはいかなかったのか?」

「爺ちゃんを殺した盗賊は、街が襲われているから、手を貸してくれって言ってきて、爺ちゃんが手助けに行こうと背を向けた時、刺されたんだけど、なんか変でしょ?」
そら
「最初から二人を殺しに来た?」

「そうです、魔物に襲わせてさらにとどめを刺しに来たと考えました。」
バッカス
「何のために?」

「村は火の海、生存者は私だけだと思います。考えられるのは村の人間すべてが邪魔になったくらいです」
ジャック
「村の誰かが見てはいけない物を見てしまったとか、か?」

「あの時の盗賊の仲間にでも聞かないとわかりません。」
私は少し考えて、そういえばなぜ村が襲われたのかなんて考えなかったな。
ソニア
「どうかした?」

「いえ、村が襲われた理由とか考えもしませんでしたので・・・いや戻ることがあったらその時にでもまた考えます」
今となってはどうでもいいですけどね
ゾロ
「えらく、前向きだな」

「いやぁ、今の話はほぼ、二年ぐらい前の事ですから」
え?
という事は二年かけて山脈を越えて来たって事か?
誰も声には出しませんが同じような事を考えているのか?
静かになりました。


気を取り直したバッカスが
「おい、オスカー、あっちに死体が転がっているから確認してくれ」
オスカー
「了解しました。」
オスカーと呼ばれた男の人が数人を連れて走っていき、すぐに大声で叫んできました。
オスカー
「隊長、こいつら賞金首ですよ」
バッカス
「なんだと、俺も行く、ナリスお前ちょっと待っていろよ、間違いじゃなければ手続き後に賞金が出るぞ」

「おお、賞金かぁ・・・でも晩飯代ぐらいはでてほしいなあぁ」
バッカスが戻って来て
「おい、お前ら撤収するぞ、でな、ナリスよ」

「はい?」
バッカス
「賞金首運ぶのを手伝ってやるから今日の晩飯ぐらい皆にも食べさせてくれよ」
ええ?
ソニア
「まって、まってよ、私も手伝う」
ジャック
「お、俺もやるぞ」
ライアス
「まて、俺もまぜろ」
ゾロ
「なんか、よくわからないが俺たちも手伝うか」
ユウキ
「そうだね、一緒に行こう」



★北の荒地 ザンガの街★

ええっと、ここはザンガの街の酒場です。
いえ、私がお酒を飲んでいるわけではありません。
あれから、バッカス隊長に連れられて街に入ったのですが、そのあと賞金を貰うために手続きをして、いや、手続きをしてもらって、実は隊長さんが全部やってくれました。
では、何故、酒場にいるのか!
亡骸を運ぶのを手伝うから晩飯ぐらいだせよと言うこの一言のせいです。

盗賊、二十人分の賞金は、合計で金貨、十四枚、銀貨、七百枚にもなりました。

※日本円に換算してみました。
 ホットドックは一個、銅貨、五枚で買えました。 日本円では百五十円とした場合。

 銅貨、一枚と日本円は 一対三十  銀貨一枚は銅貨百枚
 銀貨、一枚は日本円に換算すると三千円
 
 金貨は銀貨で千枚、金貨、十枚は銀貨にすると一万枚

 日本円にすると 金貨、十枚は 三千万円となります。

ただし、税率、五割、半分は税金でとられます。

よって、今回私が手にした賞金総額は日本円に換算するとおよそ二千万円と考えると分かりやすいかも?
金貨、七枚と銀貨、三百五十枚を手に入れました。金払いのいい事・・・♪
以上を踏まえて・・・

この騒ぎです
バッカス
「今晩は全てナリスの奢りだよな、な」と押し切られたのでした。

バカ騒ぎの夜は長く続いております。
バッカス隊長の部隊、ソニア、ジャック、ライアス、何故か、ゼノ、ゾロ、ユウキ、そらの四人まで・・・
バッカス
「おらぁぁ、お前ら、飲んで食って飲んで食えぇぇ がはは」
がははじゃねぇよ

「隊長さん貴方の所の隊員さんってさっき二十人ぐらいでしたよね?なんで四十人もいるのでしょうか?」
バッカス
「お?そうか、まあぁ、気にするな」
するわぁ
ソニア
「ナリス、ご馳になるわよ、ありがとうね」
・・・
ジャック
「ナリス、飲んでるかぁ」
飲まないよ
ライアス
「誠に美味である」
ただ酒だからな?
ゼノ
「私たちまで申し訳ない、いただきます」
そう思うのなら食うな
ゾロ
「俺はまだ飲めるぞぉ」
もう飲むな
そら
「助けてもらったあげく、食事まで、助かります」
いやいや、助けてないし
隊長さんの所の隊員さん
「あははは、この酒場は明日お休みですな、明日は売る酒がないぞ」
やめろ
カウンターに行き、店主らしき人に聞いてみた
「今日の支払い、金貨一枚あれば足りますか?」
店主
「この人数でも金貨一枚あれば、三日ぐらい騒げますよ」と大笑いして言った。
バッカス
「ナリス、なんか気前のいいことを言ってないか?いや聞こえたぞ?」
ジャック
「ああ、聞こえた、聞こえた」
隊員さん
「隊長、しかしもう明日の分の酒は今日無くなりますぞ」
店主
「大丈夫、明日しっかり仕入れてきます」
おおおぉぉ
ソニア
「なに?なに?」
バッカス
「おおぉし、野郎ども、三日間騒ぐぞぉ」
こら、こら
ソニア
「マジでぇ、ナリス、御馳になります」
まて、まて
ジャック
「ナリス、お前良い奴だなあぁ」
ちがうし
ライアス
「かたじけない」
ばかやろぉ
ゼノ
「いい人達と出会えてよかった。」
ふざけるな
ゾロ
「じゃん、じゃんもってこぉい」
やかましい
ユウキ
「明日も腹いっぱい食べられる」
おおぉ感謝しろ
そら
「楽しい人たちだね」
たのしくねぇよ

「おい、バッカス隊長、金貨一枚だ、店主さん、先払いしていくからしっかり受け取ってください、たしかに渡しましたよ?」
店主
「確かにお預かりいたしました。」
バッカス
「おおおぉぅし、お前ら、ナリスが先払いしてくれたぞ、三日間騒げぇ」
ソニア
「ナリス、かっこいい」
ジャック
「俺の方が良い男だけどな」
お前はもう帰れ
ライアス
「私も負けてはいないと思う」
うるさい

あははははははは
酒場の笑い声は煩い・・・・・
皆楽しそうです、私以外は
子供は帰って寝る、金は払った、しっかり飲んで食え
酒場の御ねぇさん
「うちは二階で宿屋もやっているから泊って行きなよ」
一泊銀貨二枚・・・
一部屋借りました。


★ジュ・オン★

部屋に入って、即寝るわけは無い
窓を開けて、外に見て、隠蔽をかけて、魔力を薄く延ばして索敵をかける
まだ子供が賞金を手に入れたとか噂になっていないのかな?
当然誰かが襲ってくると思っていたのですが・・・
「空中移動」を唱えて魔力を解放、外に出て窓を閉めます、ちょっとお出かけです。
一気に上空まで上がってみました。
誰かが見ているような感じはありません。
北の荒地の砂漠を思い出して、祠の場所を特定・・・あれ?
気のせいかな、さっきの宿屋の場所がヒットしています。
降りて部屋に戻りました。
部屋に転移門を印して、転移しようとしましたが、索敵に反応が出ました。
五人?・・・あれ増えた、十人がこっちに近寄ってきます。
さっきの空中移動見られたかも?
あ、もしかして、他の皆さんが酔っぱらうのを待っていたのかな?
部屋を出て、下に降りて様子を見ると、寝ているのか寝たふりをしているのか・・・
たぶん、本当に酔っぱらっているのだろうけど
踏んでもいいけど踏まないように気を付けてドアから外に出ました。

深夜のお客様
「なんだ、おまえ」

「貴方方こそなんですか?こんなに遅くに、もう皆さんお休みになられております、お引き取りください」
深夜のお客様
「今日多額の賞金を貰ったやつがいるだろう、賞金を出せ」

「お断りいたします。」
死にたいらしいな
その台詞よく聞きます。

「視界に入るところに五人、隠れている方が五人、隠れている方はお知り合いですか?」
深夜のお客様
「はぁ、何を言ってやがる」
私は魔力を解放して、索敵を再度行い、鑑定で十人を確定しました。

え?これってまさか
ジュ・オン、オリエ、ステラ・・・
私を殺しに来た?いやいや、早すぎる、という事はこの五人の中に転生者がいる?
どうする・・・・いや、どうしよう
ターゲットは誰だろう、私が倒してしまうと彼らには好都合、でもその後私が目をつけられてしまいます。こまった。

とりあえず、囲まれるのはまずい、賭けになるけどステラの方に逃げてみました。
彼らのターゲットが私か違う誰か、かで大きく戦況がかわります。
ステラの方に視線を流さないように気を付けて反対側を見るようにしていると屋根の上にオリエとジュ・オンが見えた。何か合図を送っているようです。
当然、ステラに送る合図のはず、距離かな?
オリエが手を挙げるのが見えた。なんだ?
深夜のお客様
「なんだ、なんだ、逃げ足だけは一人前だな?」
なるほど、こいつ遊んでいるのか?では、今のうちに、一度ステラと逆方向に飛んで視線は向けないように気を付け、襲撃者から離れるように後ろに下がって見た。
位置的には私より襲撃者の方がステラに近くなったが、ステラはどうするだろう?

あ、オリエがどんな合図を送っているのかが見えなくなった・・・・
このまま下がると襲撃者の向こう側にステラが見える事になる・・・それもやばい
一旦前に出てみました。
ここぞとばかりに回り込んで私の退路をふさぎに来た襲撃者、よくわかっていらっしゃる。
これで襲撃者の残り四人がとことこ歩いて私の後方までやってくる。その前に何とかしないと、思い切って襲撃者とステラの間に飛んでみた。

よし、攻撃は来ない、ターゲットは私ではない。そして場所の移動も大して行っていないという事はこの襲撃者がターゲットで間違いない。
あ、まてよ、この時代まだステラの分子レベルの分解が完成していなかった場合どんな攻撃をするのだろうか?
っと、攻撃速度を上げて来た?
深夜のお客様
「おい、おい逃げられはしないぞ、大人しく死ね」

「まいったなぁ」
ステラは私の右側、四メートルぐらいの距離で建物の影に潜んでいます。
ステラが攻撃するところを目撃してもダメだと思うし、右斜め後方に飛んでそのまま転んでみました。
深夜のお客様
「はぁ、足がもつれているのか、バカが」
私にとどめを刺そうと一気に飛びかかって来た襲撃者、私はさらに右側に転がってオリエの方に視線を集め襲撃者の攻撃をかわし続け、やっとその時が来た。
オリエが両手を挙げた。どういう意味だ?
ステラが何か行動を起こしたと思いました。やばい
襲撃者は右から何かが飛んでくることに気が付き、視線が右にずれて、ステラを見た。眼球に浮かんだステラ、あれは・・・VRゴーグルとゲーム用コントローラーか
ステラのいない方にごろごろ転がって逃げたが、襲撃者はそのままステラの方に体の向きを変えた、瞬間、ヒットした。
ステラの武器、物体を分子レベルまで分解するなにか・・・
それが当たった?
索敵範囲から一気に五人が離脱して行った。
他の四人が駆け寄って来た。
「つるぎ」と名前?を呼びながらそして私の事は気にした様子もなく「あいつらが居たのか」と悔しがっている。
あいつら?
私も死んだときはこんな感じだったのでしょうか?
胸のあたりは大きくえぐれて血の海になっています。

一人が私の方を見て「お前、何か見たか?」と聞いてきた。

「あっちの屋根の上に二人いた」
さや
「私の名前はさやよ、よろしく、あんた最初に言っていたよね、隠れている五人はお知り合いですか?とか」

「ナリスです、はい、そういいました。」
さや
「屋根の上に二人あと三人は?」

「私の後方に一人、右に二人いましたよ」
さや
「何か気が付いたことはない?」

「屋根の上の人が両手を挙げたあと、この人が右側に気をとられたので左に転がり回避して、振り返った時はこの有様です。」
五人はすぐにいなくなったようです。
一人が言った。
「あいつらはもう近くにはいない・・・か」
さや
「そうね」

「それで、あの私との続きはどうしますか?」
さや
「あんたさ、つるぎ相手に手を抜いていたでしょ」
他の三人
「はぁ、何を言っている」
「こいつは必至で逃げていた、だけだろ?」
「俺も無様としか言えないな」
さや
「あんたらって、バカ?あんたらさっきの時間つるぎの攻撃をかわしながらあいつらの行動を見ていられるの?」
三人
「どういうことだ?」
さや
「ナリスさぁ、あんた、あいつらの事知っているね」
三人
「なに?」
さや
「そしてあんたはあいつらに自分の手の内を見せたくなかった、どう、ちがう?」
三人
「おい、おい、相手はつるぎだぞ?」
さや
「馬鹿なあんたらも思い出したらわかるかもよ、この子は逃げたんじゃなくてここまでつるぎを誘導したのよ、こうなると予想していた・・・でしょ?」
三人
「馬鹿な・・・」
さや
「だから、お馬鹿はあんた達だって」

「戦ってみればわかります」
バッカス
「だがなぁ、ここからは俺たちも参加するぜ」

「あれ、酔っぱらって寝ていたんじゃ?」
バッカス
「いや、いや、俺たちだってお前、お前の賞金を狙ってくるバカがいるぐらい考えるさ」
へぇ
バッカス
「お前は何で寝ていないんだよ、ナリス」

「いや、いや酔っぱらって気持ちよく寝ているところを無抵抗で刺殺されるのは可哀そうだと思って・・・」
バッカス
「お前ってまじで、俺たちをバカにしているよな」
さや
「あら、私も同じ扱いを受けたのですが、どうしましょ」

「それじゃあ、ここに居る皆さんが手を組んで私に殺されるというのはどうでしょうか?」
ドロップ品はいただきますよ?
バッカス
「このやろ、お前を助けに来ているのに何で戦う・・・・あ、まださっきの返却にこだわっているのか」
あたりまえじゃん
バッカス
「そいつら四人の賞金と装備で我慢しとけ」
さや
「あら、物騒な事を言うわね。今日は私も帰るからつるぎの賞金と装備で我慢しておいて頂戴」

「誰か、リカバリーとかできる人いないのですか?」
バッカス
「居たらどうしようっていうんだよ」

「このつるぎって人の体をもとに戻してほしいのですが?」
さや
「もう、死んでいるわよ?」

「生きているか、死んでいるかと言う話はしておりません、リカバリーが出来るか出来ないかです」
さや
「ソロモン、やってくれる?」
ソロモン
「無駄な事はしたくない」

「そうですか、出来ないのですね、残念です。」
バッカス
「おい、おいナリス」
ソロモン
「お前、生意気な奴だな」

あはは、よく言われます、それ
バッカス
「あははじゃねぇだろ」
ソロモン
「よく見ておけ、これがリカバリーの魔法だ」
ソロモンと呼ばれている男は詠唱を唱え、つるぎの体にリカバリーの魔法をかけた。
物質を分子レベルで分解する技術、さてと、リカバリーとどっちが上なのでしょうか?

ソロモン
「なんだ、うぉぉ、魔法がきかんぞ」
私は魔力を上乗せしてみた。
分解攻撃もいつまでも出来るわけではないだろうから、そろそろ効き目が落ちてきてもいいはず
んんん・・・
徐々にリカバリーの魔法の効果が出てきました。そして死んでいますが、体の傷は治りました。

私は「死者蘇生」と唱えて魔力を解放しました。
つるぎ
「ごほっ、がはぁ、はぁぁ、何だ、一体どうした」
え?

さや
「なに?」

生き返った?・・・


「ソロモンさんってすごいですね」と言ってみた。
バッカス
「いや、ナリスお前今、なにかしただろ?」

「え?私が何かしたように見えましたか?」
・・・・・・・

「酔っているんでしょ、帰って寝ましょ」

「私もつるぎさんの賞金を諦めますから、貴方方も私の持っている賞金については諦めてください。」
つるぎ
「はぁ、寝ぼけてんじゃねぇぞ」

「死にぞこないは、大人しく帰って寝なさい」
ぷっとさやが噴き出して笑った。

「貴方方が好きで私の敵になるのは自由ですが、すみません、貴方方は私の敵ではありません。さっきの五人は間違いなく私の敵です。なので、もう関わってこないでください。」
さや
「ねぇ、ナリス、あんた、天眼(てんげん)って能力持ってたりするの?」
つるぎ
「なんだと?」

「その能力は、ものすごく良いと思いますが、持っている人がお馬鹿では宝の持ち腐れだと思います。そして私には必要なさそうです」
つるぎ
「ガキが生意気いってんじゃねぇ」と大声を出して能力天眼を使い攻撃をしてきた。

天眼:遠方での出来事、過去、未来、全ての事象を見通すことが出来る


「本当にあらゆる事象を見通していますか?」
つるぎ
「なんだと、避けないだと・・・ふざけるな」
キィィィン
キィィィン
キィィィン
攻撃音が三回しました。三回とも私の体に当たっております。魔法障壁のおかげで無傷です。

「貴方がどんなものを見ていようと貴方の攻撃では私を殺す事どころか傷一つつけられません。その力もっとしっかり、使い方を研究してはどうですか?」
ジャック
「はぁ、俺の戦斧は粉々になった」

はぁ?
ジャック
「昼間こいつは俺の攻撃もよけずに真正面から受け止めやがった、その結果俺の戦斧は粉々になって、俺の右腕は折れた」
治療が終わって動くようになった右腕をぐるぐる回し、ニヤニヤしながら呆然としているつるぎと呼ばれている男を見て言った。

さや
「ナリス、あんた、何者?」
ソロモン
「生き返った・・・・」
さや
「ソロモン、今頃何言っているのよ?」
ジャック
「俺は腕がおれたがお前は心が折れたか・・・がははは」
うるさいよ

さや
「まって、ナリス最後に一つだけ聞かせてくれる?」
なんでしょう?
さや
「あの五人がいなかったら、私達五人と戦っていた?」

「はい、十人を殺す準備は出来ていました。が、あの五人に気が付いて変更しました。」
さや
「戦闘になっていたら私達ってどうなっていたの?」

「皆さんは今頃、裸でそのあたりに放りだされています。装備も金も衣服も全て私がいただいていると思います」
さや
「あんた・・・・下着ぐらい残しなさいよ、変態か」

「死んで恥をさらしてください。」
さや
「それ、酷くない?」
ぜんぜん
さや
「どうやって殺すの?」

「教えてあげません」
けち
はい


★ダンジョン攻略★

次の日
酒場の二階に部屋を借りて銀貨二枚を支払った私はバカでした。
酒に酔ってそのまま一階の酒場で寝ている馬鹿ども達、ただで寝ているじゃん

外に出てパン屋を探して、ホットドックを買い、朝食とも昼食とも言い難い時間ですが美味しくいただきました。
二個目を買うかどうか迷っているとバッカスがやって来て
「おお、ナリス昨日はごちそうさま、それとお疲れさん」
どうも
バッカスが続けて
「お前、冒険者か?」
はい
冒険者登録は済んでいるのか?
まぁ普通に始まる会話で、一緒に冒険者ギルドにやってきました。
カウンターのお姉さん
「こんにちは、冒険者登録でしょうか?」

「冒険者登録証、持ってはいるのですが使えますか?」
カウンターのお姉さん
「拝見出来ますでしょうか?」
これです
カウンターのお姉さん
「え?」
バッカス
「どうした?」
カウンターのお姉さん
「冒険者登録、Aランク登録証です」
はい?

バッカス
「ナリス、お前歳はいくつだ?」
十二歳だけど?
バッカス
「いやいや、登録可能な年齢が十二歳だろうが」

「歳をごまかして登録したからね」
バッカス
「持っている者はしかたないか、それとたしかにお前はAランク登録証を持っていてもおかしくはないな。」
ギルドマスター
「ほう、バッカス殿が認められるのならそのまま利用していただいてもよろしいですよ」
バッカス
「マスター、昨日の賞金全部、こいつの懐に入った」
マスター
え?
バッカス
「手続きは私が済ませたが、賞金首を倒したのはこいつ、ナリスだ」
マスター
「ガレス・ゼレスをですか?」
バッカス
「ああ、やつらの太刀と脇差は全てナリスが持っている」
マスターは私の腰をちらっと見て一言「なるほど」と納得していた。

ギルドマスター
「では、ナリス殿、貴殿は冒険者Aランク登録者として扱わせていただきます。」

「よろしくお願いします。」

バッカス隊の人
「隊長、大変です、酒場につるぎがやって来てナリス殿を出せと騒いでおります。」

はい?

酒場に行ってみると
つるぎ
「おう、昨日はすまなかった。俺を助けてくれた事を聞いた。」

「私ではありませんよ、ソロモンさんです。」
つるぎ
「ソロモンには死者を生き返らせるなんて事は出来ない、本人がそう言っている」

「だから私だと?」
つるぎ
「他にいないだろうが」
はぁ
つるぎ
「このやろぉ」

「仮に私だとして、どうかしたのですか?」
つるぎ
「いつかこの借りは返す、俺は異世界召還者だ、あいつらに召還されたが、言う事を聞かなかった、異端児は賞金首になる、お前も十分異端児みたいだから気をつけろよ」

「召還されたのは何時頃でしょうか?」
にやりと笑ってつるぎが答えた
「やっぱり、いろいろ知っているようだな、俺が召還されてから、まだ一年も経っていない。」
え?という事はあいつら神楽にはとっくに見切りをつけていたって事か?
いや、魔王討伐も数で勝負・・・なのだろうか


「勇者パーティとして活動を始めた勇者も異世界召還者で、最初嫌がって部屋に引きこもっていたそうです。」
続けて
「詳しくは知りませんが、召還されたのは、二、三年前ぐらいだと思います。そんな頻繁に召還儀式を行っているのでしょうか?」

数多くの召還者達がいて、そしていろんな能力を持った人たちが居ることになる
あ、彼らの目的って召還者では無く、召還者が持っている特別な能力そのもの?・・・何か、探している能力がある?
自分たちに必要のない能力者は消している・・・・うぅん、あってるかも
探している、欲しい能力って過去に戻って世界の破滅を救いたいとか言うのかな?
でも、過去に戻って破滅を救うと言う、その目的が達成した瞬間、この世界が一変するって事ですよね?
今から千年後、二千年後の世界でタイムトラベルが成功して過去の破滅を救いに行く事が出来たとしても、この現時点がこの状態という事はその作戦は失敗したという証じゃないかな?
つまり、過去を変える事は出来ない。
あれ、過去が変わってこの世界が一変した場合、この世界に生きている者全員変わった事には気がつけないのかな、今とは違う世界で生きて来た事になるよね・・・

あ?
勇者を育てて魔王と戦わせる、勇者も魔王も異世界召還者同士って事もあるのか
必ず人間が召還されるという、保証はないわけだ、それといずれ出現するだろう魔王って逆らって言う事を聞かない召還者・・・つるぎみたいな?
つるぎ
「どうした、何を考えている」

「もしかして、この世界には召還された人がいっぱいいるのですか?」
さや
「気が付いた?実は私たちもそう、私なんか召還されて、そのまま、その場で殺されかけたのよ、ひどくない?」
ソロモン
「私はつるぎと一緒にさやを助けて逃げ出した。」

さや
「私の能力ってしょぼいのよね、泣けるわ」
私は鑑定能力を使用しました。

さや:魅了・状態異常無効・毒無効・鑑定・隠蔽・転移


「何を言っているのですか、自分は異常状態にならない、他人は魅了で自由にできる、毒盛られても大丈夫、隠蔽で隠れて、鑑定で弱点見つけて、最終飛んで逃げればいい、最高じゃないですか」

ソロモン
「鑑定士なのですか?ナリス」

「鑑定と隠蔽は私にとっては必須です。」

さや
「あのさ・・・あのね、使い方がわからないんだけど・・・どうすればいい?」
はい?
何度も言わせないでよね、恥ずかしいから、ね

わがままだなぁ


「鑑定はターゲットを決めて、今から鑑定するぞと気合を入れて「鑑定」と呟いてみる」
さや
「鑑定」とつぶやいてすぐに、「何よ、ナリスの能力見られないじゃない」

「それはそうでしょ、隠蔽で守っていますから」と言ってニヤッと笑った。
さや
「な、なるほど、私も見られないんだ?ってナリス 貴方、今私を鑑定したよね?」

隠蔽のランクより高い鑑定能力を持っていると鑑定が可能と説明しました。
さや
「私の隠蔽ランクよりナリスの鑑定のランクの方が高いのね、なるほど」

「隠蔽」も同じ、自分に向かって「隠蔽」って言って隠れるぞって気合を入れる。

「ジャックとかバッカスとかデカいやつを回り込みながらやると効果大」
ジャックの後ろに回り込みながら「隠蔽」とつぶやいていた。
つるぎ
「おや?ほんとだ、さやを見失った」
まじでぇぇ さやの喜びの声


「魅了」も同じようにターゲットを決めて、いう事を聞きなさいって感じで「魅了」とつぶやく
さや
「魅了」・・・・・「かからないじゃん」

「え?私?ごめん、私は魔法障壁があるから防御出来ている」
ちっ
ぶっ・・・「ちっ」ってなんだよ


「無効能力は持っているだけで有効だし、最後は転移」
さや
「それが一番意味不明」

「先に場所を決めて、出来れば人が来ない、見つからない所が良いと思う、そこで、ここに飛んでくるよって感じで転移門を印す。印すときに名前を付けておく、つける名前は自分が解れば大丈夫、違うところからつけた名前の場所に飛ぶぞって気合を入れて「転移」とつぶやけばいい」
続けて
「転移門の場所が敵に知れると待ち伏せされるだろうから気を付けてね」
いきなりさやが走り出した、建物のかどをまがって「転移」と言っているのが聞こえた。そして目の前にさやが飛んできた。 笑

さや
「私、すごい」
はい、はい


「これからは、活躍してくださいね」
さや
「そ、その言い方は棘があるわね」

さや
「どうかした?」

「あいつら、隠蔽能力を所持している能力者は能力を把握出来ないから不気味で排除しようとしたのかも」

ソロモン
「我々は危険分子ということですか?」

「彼らが求めている者も恐れている者も全く不明、大体が魔王ってどこにいるのでしょうか?」
ソロモン
「やがて現れるとか言っていましたが」

「さっき考えたのですが、やがて、って魔王を間違って召還した場合が勇者の出番とか?」
そうなると、魔王討伐が目的では無いという事になるのですよね。
さや
「じゃあ、私達ってなに?」

「そうですね、外れ?」
さや
「失礼ね・・・でも、そう・・・はずれかぁ」
つるぎ
「当たりはなんだろうな?」

「こればかりは、いくら考えてもわかりません」
皆、考え込んでいるけど、お手上げ


「とりあえず、もういいですか、私は行きますよ?」

どこに?


行先を教える義理はありませんと言ったらソニアが
「何言っているのよ、昨日パーティ組む約束をしたでしょ」って、したっけ?
ソニア
「私とジャックとライアスとあんた」
つるぎ
「まてまて、俺たちも一緒に行ってやる、有難く思え」
はぁ? これは私

「足手まといにならないですか?」
はぁ? これはつるぎ
つるぎ
「お前誰に物言っていると思っている?」

「あなた・・・」
・・・・・
つるぎがすごく睨んできます。
無視して私
「今からダンジョン、最下層に行ってきます。」
ソロモン
「ソロで、ですか?」
はい
つるぎ
「それは無理だ」
ソロモン
「私もそう思います、五階以降は本当に大変ですよ」

「五階までなら、道案内をお願いできるという事でしょうか?」
ソロモン
「いえ、七階から八階に降りる階段までは把握しておりますから、そこまで案内可能です。」


「では、案内をお願いします。食料二日分ぐらい各自で持っていけば大丈夫でしょうか?」
つるぎ
「お前、ダンジョン内で寝るつもりか?」

「はい」
はぁと息を吐きだしてつるぎが
「おい、そこの新顔、お前らも来い、休憩中の見張りぐらい出来るだろ」
ゾロ
「新顔って私たちの事だよな、ついて行っていいという事だ、ありがとう」
バッカス
「お前ら、俺もまぜろ、うちの部隊から二小隊連れて行こう、食料の運搬、見張りの交代等役に立つぞ」
さや
「じゃあ、すぐに準備を始めましょう、急がないとこの子一人で行っちゃうよ」
つるぎ
「このガキ、マジで面倒くさいな」と言って笑っていた。
さや、ソロモン、ソニア、ジャック、ライアスとバッカスが準備をして来ると言って出て行った。

待っている間、話しかけられるのも面倒くさいので寝て待つことにしました。

つるぎが「こんなところで寝るなんて、俺から襲われたらどうするつもりだ、このやろぉは」と独り言を声に出していったところ、ゾロが
「いや、まて、この状態のこいつを攻撃するのはやばいぞ」
つるぎ
「なんだそりゃ」とバカにして言った。
ゾロ
「なにがどうとは説明出来ないが・・・そうだな感だな」
はぁ
待て、待てと言いながら、紙を一枚手にして私の傍に立って、上からひらひらと落として見せた。
うぉぉぉと見ていた者全員が思わず声を出した。
ひらひら落ちて来た紙が私に触れた瞬間、紙は上に向かって跳ね返されてそのまま、天井に刺さった。
つるぎ
「まじか・・・」
ゾロ
「やっぱりな、これぐらいの準備をしていないと人前では寝られないだろ」
つるぎ
「ダンジョンで寝るのも問題ないってか」まいったなと言って笑う。
何者だ、こいつは、他の近くにいた者の心の声です

つるぎ
「前に居た世界のボンクラ平和ボケ男ではないって事か」とつぶやいた。
前に居た世界?
ぼんくら?
平和ボケ?
つるぎは他の者の声を無視した。
外が騒がしくなって、扉が開いた。
バッカス
「おおぉし、戻ったぞ、準備は出来た。って、このやろ、余裕で寝ているのか」と言いつつ私に触れようとして、ゾロたちから止められ「なんだ、どうした」と聞いて皆から上を見ろと言われ天上を見た。
バッカス
「なんだ、ありゃ、天井に何か刺さっているな。」
事の次第を説明してもらい、信じられないという顔で私と天井を何度も見直していたそうだ。
名前を何度も呼ばれて目を覚ました私に「いつまでも寝ているんじゃねぇ」とつるぎが文句を言ってきましたが無視です。

バッカス
「ナリス、悪いけど、三小隊になった。皆が荷物持ちでいいから連れて行けとうるさくてな、すまん」
さやたちも戻って来て、すぐ出かける?と聞いてきたのですが、とりあえず腹ごしらえで何か食べる事にしました。
・・・・なぜかな?三小隊の分まで私の奢りになっていました。
バッカスが固い事言いっこなしだぞ、この金持ちが!と押し切られてしまいました。

少し早い昼食を済ませて出発です。
つるぎ
「こら、ナリス何をしている?」
はい
つるぎ
「はいじゃねぇよ、お前は最後だ、後ろから入ってこい」
なんで?
つるぎ
「お前が先に入ったりすると、一人でどんどん先に言っちまうだろうが」
おっしゃる通りです。
つるぎ
「中で待っているからな、後ろから来いよ」

仰々しいバッカスたちが入って行き、つるぎ、ソニア、ゾロたちが入って行った。
それを後ろから眺めていたのですが、周りからの視線が熱い 笑
ニヤニヤしながら私を見ている人たち、また襲ってくるのでしょうねぇ、お馬鹿さんばかりです。

冒険者登録カードを見せて、銀貨一枚を支払い、カードを見た守衛さんが言葉を失っている間に中に入りました。入る前に後ろをちらっと見たのですが、ニヤニヤ組が追いかけてくるのが見えました。二組、十名ですね

中でバッカスたちと合流
つるぎ
「なんだ、遅かったな」

「うぅん、受付の人が私はソロだと判断したみたいです、それと私の後をつけてくる十名ぐらいがいます。」
つるぎ
「まだお前の事は知れわたっていないからな、バカな野郎どもだ」
はい、私もそう思います
つるぎ隊が先頭を行き、露払いをしてもらい、バッカス隊の後ゾロたち最後が私とソニア隊、探索無しで階段目指していますから、すぐ二階へ降りる階段につきました。

三階に降りて、四階に下りる階段の手前でお馬鹿さん達の反応が出ました。

「追手が来ました。皆さんは四階に降りるかそこの角に隠れていてください」
つるぎ
「なんで俺たちが隠れるんだよ」とバカな質問をしてきたので

「はぁ? こんなに大勢いたら襲ってこないでしょ?」
ああ、それりゃそうだな、って笑っている場合じゃないよ?

私は少し道を戻って追いかけてくる人たちに声をかけてみました。
「そんなに急いで何かあるのですか?」
追手A
「あはは、バカが、見つけたぞ」
追手B
「苦しまないように殺してやるから、その腰のものと有り金全部だしな」

「じゃあ、私は適当に殺してあげますので貴方がたが持っているもの全部奪われるところを見てから死んでいってください」
追手A
「なにを偉そうにこのガキが、ぎゃ」
全てを言い切る前に両腕を落としました。なぜこの手の人は、自分は殺す側と信じているのでしょうか?
片足も切り捨てて、次、そして不思議なのが、何が起きているのか把握しようとしない、いえ、出来ないのかな、今までずっと余裕で狩りをしてきたのでしょうね、皆、びっくりして固まっているようです。
二人目、三人目の両腕と片足を切り落としたあたりでやっと他の方達は攻撃態勢に移ろうとする、が、四人目、五人目まで切り落としました。
後方にいるのは魔法職、攻撃でも回復でも同じ事、詠唱が間に合わない、やっぱり欲に目がくらんでただ、ただ、死に、に来ただけの方達、全員の両腕、片足を切り捨てましたが口は動くのですよねぇ
追手A
「な、なんだと、てめぇ、このやろぉ」

「苦しんでから死んでいってくださいね、そしてお持ちのものは全ていただきます。私のものを取りに来たのですから返り討ちに会っても恨んだりしては駄目ですよ、まぁ恨まれても気にしませんのでお好きにどうぞ」

武器、装備、装飾品、金貨等奪い取り、恨み言から泣き言に変わりましたが、息の根を止めるなんて優しい事はしません。
つるぎがやって来て
「お前、容赦ないな」

「この人たちが脇差を奪うために私を殺しに来て、逆に殺されただけの事です。そして助ける気にもならないので、あとの事は知りません。」
先に進もうとすると
「こいつらここに放置していくのか?」とつるぎが聞いてきましたので
「息絶えると数分で外に転移されると思います。」
つるぎ
「なんだよ、思いますって」

「違う場所のダンジョンがそうだったのでたぶんここも同じだと思います」
へぇ
つるぎ
「って、おい、お前ダンジョン攻略者だったのか?」

「攻略はしていません、あのダンジョンはすでにダンジョンとして機能していませんでしたから」
さや
「機能していないってどういう事?」

「ボス部屋にはもうボスが居なくて、どの階層にも魔物一匹出てきませんでした。まさに盗賊の巣となっていました。」
ソニア
「ボスはいませんでしたって事はボス部屋まで行ったのね?」

「はい、ボス部屋の前には盗賊のアジトがあって一掃してきました。」
バッカス
「それってお前、賞金やら、そこにあったお宝の半分はお前の取り分だっただろ」

「え? そうなのですか?ダンジョンを出てすぐに街を出ましたからわかりません。」
バッカス
「な! 何やってんだよ、もったいない」

「知らなかったからしょうがないでしょ、と言うか、金貨、銀貨、ごっそり持ってきましたけどね」
バッカス
「お前、俺を雇わないか?」
ソニア
「私も、私も雇って、ね、お願い」
さや
「私たちは、衣食住だけしっかり出来たら大丈夫だよ」
ソニア
「ええぇ、わ、私たちもそれで手をうつわ」
ジャック
「おい、ソニア」
ライアス
「まあ、食事と睡眠が取れればいいかもですね」
ジャック
「ライアス・・・お前まで」
ソニア
「あら、じゃあ、ジャックは外れるのね」
ジャック
「お前なぁ」

「あの、雇用の話はしておりませんよ?」
つるぎが大笑いして
「お前ら、それは雇用ではなく、従者になるって事じゃねぇかよ」
ソニア
「あら、じゃあ、私が最初の従者になってあげるね、ナリス」
さや
「だめでしょ、最初は私、ね、ナリス」
つるぎ
「お前らすこし、黙れ」
五階に降りてからはつるぎだけではなくソロモンも戦闘に参加し、六階以降はジャック、ライアスも戦闘に加わっています。
七階から八階に降りる階段に到着しました。

「では八階からは私が先頭を行きます、付いて来てください」
八階に降りてすぐ魔力を解放索敵を広げました。

「この回に人間は一人もいないようです。」
鑑定で確認して「絶対零度」を唱え、「絶対零度、解除」して進みました。

「この九階には下に降りる階段が、三か所にあるようです」
右でも左でも直進でも階段があるようです。
考えるのも面倒なので直進しました。
十階に降りる階段が見えてきたときつるぎが
「なんだよ、おかしいな、魔物がいないぞ」

「降りてきたときにすぐこの階にいる魔物全て倒しましたから」
はぁ?
いつ、どうやって

「何時って今言ったでしょ、降りてきてすぐです、どうやって?教える義理はありません。」
このやろぉ
つるぎ
「いや、いや、まてよ、そんなに弱くはないはずだぞ、この階層まで下りてくると」
つるぎの疑問は無視して十階に降りて同じように索敵と鑑定と絶対零度で先に殲滅階段を探しました。

十一階も同じやり方で進み、十二階に降りる階段を見つけ、降りました。
魔力を解放して索敵、人間だけ五十人以上がいるようです。やっぱりこの階はセーフゾーンになっているみたいです。魔物はいない。

「この階には人間だけ、五十人以上いるようです、ただ、まだ敵かどうか不明なのでとりあえず進みますね」
と言って無造作に歩き出しました。
こういうときって無造作に歩き出すとすぐにお馬鹿さんが釣れるんですよね
怪しいやつA
「良く来たな、ここがお前たちの死に場所だ」
マジでこういうセリフを言うやつがいるなんて、ビックリです。
あやしいやつB
「お前たちの冒険はここで終わりだ、お疲れ様」

「では、貴方達の人生をここで終わらせてあげましょう」
脇差を抜いて一気に振り剣圧を二人にぶつけてみると、骨が折れるような鈍い音をさせながら後ろに居た、三人を巻き込みながら吹き飛んでいきました。
やれやれ、これって難しいなぁ
つるぎ
「お前、何しているんだ?何その技」
バッカス
「あぶねぇ、あの時やりあっていたら俺もこうなっていたのか」

「あ、そういえば金貨一枚貸しでしたね」
バッカス
「う!」
そうだったかなあぁ

そうですよ!

さや
「あんたら、今の豪快な音で他のやつらが集まってくるよ、気を付けないと」
ガヤガヤ声が大きくなってきた。
「おい、五人倒れているぞ」
大丈夫かと手をかけようとして「こいつら死んでいるぞ」
後ろで巻き添えを食った三人は打ち所が悪かったのでしょう。
つるぎ
「ナリス、しょうがないとか考えているのか?八十キロぐらいの物があのスピードで飛んできて、ぶち当たったら普通はその時点で死ぬと思うぞ」

「なるほど、不運な事故ですね」
ソロモン
「まあぁ、そうとも言えますね」
つるぎ
「お前ら・・・」
十字路になっている通路で、左右から十名が前方に十名が現れました。
これで総勢三十五名
通路の中央で左側を向いて構えると、他の皆さんが私から離れてくれましたので巻き込む事を気にせず攻撃が出来ました。
先ほどと同様に剣圧だけで左側からやってくる十名を吹き飛ばし、鈍い音と飛ばされた者が壁にぶつかるすごい音がしましたが、前方の方達には見えないので、「なんだ? パフォーマンスってやつか?」とか言っていますが、右側から来る方達は、はぁ?状態なのでしょうか動きが止まりました。
右側を見たと同時に私は、脇差を振り、剣圧でまた十名を吹き飛ばす前方の皆さんには鈍い音は聞こえなくても壁にぶつかる衝撃音は聞こえていると思うのですが、気にならないのでしょうか?
「なんだ、またやっているぞ?次はこっちか?」
私は正解と言いつつ、前方に向き直して、剣圧を飛ばす、そのまま前方に向かって走り、敵の皆さんは何が起きたのか分からずに吹き飛んでくれました。
いきなり、走り出した私をつるぎ、ソロモンが慌てて追いかけてきました。
「なんだ、どうした」

「残りを逃がさないようにしないといけません」
つるぎ
「逃げる?どうやって?」
扉の前に立ってすぐに扉を開けると中から声が聞こえました。
「なんだ、早かったですね」
短剣を両手に持って扉を開け、中に入ると、すぐに詠唱をしている者に短剣を投げつけました。この部屋には五人いました。貴族風の男、護衛が一人、魔法職が二人、盗賊の頭と思われる者が一人。
致命傷にはならなかったみたいですが、詠唱は止まりました。
「誰だ、お前誰の部下を傷つけたと思っておるか」

「すみません、知りません、ここはダンジョンの中なので外の地位とか関係ありません」
護衛の騎士
「言うじゃないか、だが、私を倒さないと先には進めないぞ」剣を抜いて切りかかってきましたが、つるぎが剣を受けて「お前の相手は俺がしよう、ナリス先に行け」

「ジャックさん、ライアスさんあとの二人をお願いします、捕まえるなり殺すなりしてください。」
私は投げつけ、刺さった短剣を引き抜き、「この魔法職の二人は殺してもいいですか?」
バッカスが
「まてまて、俺が連行する」

「では、詠唱できないように口に何か押し込んでおいてください。」
バッカス
「おお、なるほどな、わかった」

「あ、隠し扉がありますよね、開けてください」
誰も動こうとはしない、まぁ当然と言えば当然開けませんね

「つるぎさん、早く倒してください」
つるぎ
「無茶言うな、こいつ、手練れだぞ」
はぁ?
私は脇差を抜いて、護衛の騎士の方に歩いて行き、つるぎさんが睨んでいるのを無視して剣を三回振りました。そのまま盗賊の頭風の男と貴族風の男にも三回剣を向けて振りました。三人とも両腕と片足が地に落ち立っていられなくなって倒れ、大声をあげて、助けを求めてきました。

「貴方方は今まで、助けてくれと懇願してくる人たちを助けた事があるのですか?」と聞いてみた。

「ないですよね? 私も貴方達を助ける義理はありません、苦しんで死んでください」
貴族風の男
「まて、私にこんな事をしてただで済むと思うなよ」

「どうとでも好きにして下って結構ですよ、生きていればね、今は痛みを感じ今までの行いを後悔して死んでいってください。」
私は魔法職の方に剣を向け
「扉を開けるか、両手と片足にお別れを言うか決めてください」
貴族風の男は、「頼む誰か助けてくれ」と泣きながら叫んでいましたが無視します。
魔法職の男の一人が慌てて扉を開けに行ってくれましたがもう一人は動く気配はありません。

「しょうがありません」と言って動かない魔法職に向かって剣を三回振りました。
バッカス
「あ、ナリス、そいつらは俺が連行するっていっただろうが」
動かなかった魔法職の一人の両手、片足が地に落ちて倒れ込んだのを見て、動き出したもう一人の魔法職の男が隠し扉を開く作業を始めた。

「全員に死んでいただいたほうがあとあと、問題が無いのですけど扉を開けてくれたこの方は保留にしておきます。」
保留かよ・・・・

隠し扉の向こうには見張り役と思われる二人が人質を取って、動くとこいつらの命は無いぞと脅してきています。

「どこの誰だか知らないのでどうぞ、お好きに殺してください。」と言ってどんどん進んで「もう私の脇差でも攻撃できる距離になりましたけどよろしいのでしょうか?」

人質は生きていてこそ、効力があります、殺してしまっては、意味がありませんよね。
私は人質の方に向かって
「貴方は本当に人質なのでしょうか?人質のふりをしているのなら正直に言わないとその人と一緒に殺しますよ?」
見張りの一人
「まて、降参する」と言って人質に向けていた剣を床に落としました。
私はすかさず、三回剣を振り剣圧で両手、片足を切り落とし「許すはずはないでしょう、バカな事を言わないでください」
あっけにとられているもう一人の見張りも当然、三回剣を振るって同じように両手、片足を切り落とし、再度人質になっていた一人の少年に向かって「貴方は本当に人質ですか?」と聞いてみた。
見張りの男の一人が「そいつは、俺たちの側の人間だ、自分だけ助かろうなんて思うなよ」
人質の少年
「あ、あ、あ、ごめんなさい、たすけて、助けてください。」
牢にいれられている少年
「そいつの名前はブルー・ロータスと言ってここを仕切っている男爵ロータス家の息子です」
それを聞いてすぐに「やはり」とつぶやいて両手、両足を切り捨てました。
ブルー・ロータス
「ぎゃあぁ、助けてください」

「貴方を助ける義理はありません」
牢に向かって「貴方方は本当に人質ですか?」と聞いた後、「人質のふりをしている者は正直に申し出てください、警備隊の人にそのまま引き渡しますが偽りを言っている場合、同じように手足を切り捨てます。」
続けて
「もしこの中に人質以外の者が居た場合、黙っていたのは同罪と見て全員両手両足を切り捨てます、貴方方がどこの誰だろうと私は知りません」
女性
「はい、はい、降参、降参します、私はティア、ここの見張りよ」

「わかりました。他にはもういませんね」
牢にいれられている少年
「私はロン・フリートと申します、その方は悪い方ではありません。私たちを励ましてくださっていたのです」

「そうですか、それは警備隊の隊長様に申し出てください、私はそのまま引き渡すと約束しましたので私は、手出ししません。」
振り返って「ソニアさん、さやさん、人質の方をお願いします、私は私の目的を果たしてきますのでここの事はよろしくお願いします。」
つるぎ
「まてって、俺も行く」

「すみません、邪魔になるので遠慮してください。ここは私がやらなければいけないところなのです。」
私はさらに奥に進んで扉を見つけました。
ここがこのダンジョンの最終、ボス部屋だと思われます。
ボス部屋のある階はセーフティーゾーンなんだ・・・
さてとボスが居るのか居ないのか、いた場合は、何がいるのか、楽しみです。

ボス部屋の扉を開いて中に入りました。
中は明るい、中央に大きな物体が見えてきました。
ドラゴンです。
やはりボス部屋のボスはドラゴンでした。こちらを見ています。

ボスドラゴン
「良く来たな、待っていたぞ、お前に聞きたいことがある。」

「なんでしょうか?」
ドラゴン
「ここに来るまで派手に使っていた、お前の魔力なのだが、懐かしい私の主の魔力を同じ波動を感じる、お前は誰だ?」

「私の名前はナリス、前世の名前はラファ・エルと名乗っていたそうです。キュベレイ・ロンギヌスがそう言っていました。」
ドラゴン
「ラファ・エル様・・・キュベレイ・ロンギヌスがそう言っただと、レイは私にラファ・エル様は遠いところに旅立たれたと言っておったが?」

「お前、まさかと思うがオリビア・トルー・サーペントか?」
ドラゴンの体が光に包まれ、私の魔力が吸収されていった。
いや、待て、名前を呼んだだけで名づけたわけでは・・・・


「レイは、お前にラファ・エル様が死んだとは言えなかったのだと思う、お守りできずにすみませんと何度も謝ってきたよ」
オリビア・トルー・サーペント
「ラファ・エル様は亡くなられていたのか、そうか」

「レイとグリスはずっと死者蘇生が出来る者を探していて私と出会ったと言っていた。」
オリビア・トルー・サーペント
「貴方様派ラファ・エル様の生まれ変わりなのですね。」

「残念ながら、ラファ・エルの時の記憶は全くありません」
オリビア・トルー・サーペント
「そうですか、私はずっとラファ・エル様に捨てられたと思っておりました。恨みました、何故捨てられたのかずっと考えてきました。」
ああ・・・もしかしたら捨てているのかも、これは言えない・・・自分の行動が怖い

「オリビア、私は死んですぐに転生を繰り返しています。レイとグリスに会うのは今から数千年先の話です。」
オリビア・トルー・サーペント
「あの二人は数千年もの間、ラファ・エル様を生き返らそうと頑張っていたのですか」

「いや、あの二人は私が死んだのは一万年以上前と言っていたよ」
オリビア・トルー・サーペント
「なんと・・・申し訳ありません、私はなんのお役にも立ちませんでした。」
そこは問題ありません

「ところでオリビア、貴方は何故ここに居るのですか?」
オリビア・トルー・サーペント
「私は、この世界に召還されたと言っていました。そして制約がどうしたとか、この空間からは出られないと言われて、いろいろ試してみましたがたしかに出られません」
そうですか・・・
制約、当人の意思ではこの空間から出る事が出来ない、という事だろうか?

「オリビア、試してみたいことがあるのですが、構いませんか?」
オリビア・トルー・サ―ペント
「はい、どうぞお好きになさってくださいませ、あぁ一つお願いがございます」

「はい、なんでしょうか?」
オリビア・トルー・サーペント
「事が上手くいき、ここから脱出できた場合、貴方様にお仕えすることをお許しください、お願いします。」

「そんなことでいいのですか?」
オリビア・トルー・サーペント
「そんなこととは・・・私にとってはこれ以上の事はございません。」

「わかりました、上手く言った場合私の従者として生きていくで、よろしいですか?」
オリビア・トルー・サーペント
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
私はオリビア・トルー・サーペントに今からする事を説明しました。
まず、貴方を捕獲します。うまくいくかどうかは不明
捕獲が出来たらそのまま貴方を封印します。
封印の期間は約七千年、この長い年月を孤独に耐えてください。必ず迎えに行きます。
オリビア・トルー・サーペント
「貴方様とまた、共に過ごす時が来るのなら喜んで耐えましょう」

「では、オリビアまたお会いしましょう」

そして私は持っている能力「解放」を使用した。
 
「捕獲のスキル解放」
 
 ※注 解放スキル:私だけのオンリー・ワンスキル 
他人のスキルを解放することで私の意思で使用、取得・付与することが出来る
 
 オリビア・トルー・サーペントが光に包まれた。
 「捕獲のスキルを発動」

オリビア・トルー・サーペントの捕獲完了、捕獲は成功しました。

捕獲したオリビア・トルー・サーペントは手の平で包み込むことが出来る程小さくなり、ウエストポーチのディメンションポケットに収まりました。

私はこの世界での魔王はドラゴン、オリビア・トルー・サーペントでは無いかと想像していたのですが、違いました。

やっぱり儀式召還でドラゴンを召還、ダンジョンのボス部屋に幽閉、その力、魔力を利用してダンジョンを機能させていたようです。
このダンジョンはオリビア・トルー・サーペントが居なくなるので数日で機能を停止するでしょう、がその間はばれなくて済みます。

ボス部屋を出ると皆が待っていてくれました。
つるぎ
「どうだった?」
皆も同じ質問をしようと思っていたようです。

「ボスはドラゴンでした。」
それで?

「それで?・・・ああ、ボスはもういません」
つるぎ
「倒したのか?」

「いえ、このダンジョンから出て行きました。」
はい?
皆の顔が変です。


「このダンジョンはたぶん、もうすぐ機能を停止します。」
貴族風の男は転移の魔法でこのダンジョンに入ってきていると思います。転移門を見つけて破壊しないとまた同じことが起きます。
バッカス
「そうか、わかった。今後ここは封鎖するとしよう。ところでナリスよ、ここのこの眼の眩みそうな財宝の山、運び出すのが大変だぞ」

「警備隊の方でやってくれるのではないのですか?」
バッカス
「お前の頼みなら聞くけどな」
ソニア
「ナリス、ここの財宝はたぶん競売にかけられると思うわ、ものすごい値段が付くはずよ」
ソロモン
「金貨も銀貨も千枚入る箱がざっと見ても三十箱以上はあったと思います。」
さや
「箱に入り切れていない分も山にしてあったよ」
バッカス
「お前の取り分はここの総額を出してそこから六割になり、税金が取られるから実質三割がお前の懐に入る」
ソニア
「全体の六割が討伐者に行って、二割を冒険者ギルドが取って、残りを国が取るけど国はこの中から被害者に少し渡すと思うわ」
ライアス
「それと人質なのですが、この国の要人の家族、親類なので、報奨金も出ると思われます」

「金貨一万枚ぐらいになりそうですか?」
バッカス
「一万以上になりそうな気がする」

「なるほど、では、バッカス隊長に全て手続きを任せてよろしいでしょうか?」
バッカス
「おお、任せろ」

「私の手元に入る額が金貨で一万を超える時はつるぎ、さや、ソロモン、ソニア、ジャック、ライアスに各二百枚、ゼノ、ゾロ、ユウキ、そらに各百枚、警備隊に千枚を渡します、警備隊は隊長の裁量で分配、警備隊の費用、他の隊員達にもおすそ分け等お願いします。皆さん、以上でよろしいでしょうか?」
空が何か言おうとしましたがゾロが止めて「くれるって言っているんだ黙って貰おうや」と諭していました。
誰も嫌だとは言わないようです。

「税金は皆さんにそれぞれ払うように言ってくると思いますので、今言った金額の半分が手元に残ると思ってくださいね」
さや
「そんなに貰ったらおちおち寝られやしないわね、ナリス預かっておいてくれる?必要な時渡してもらうからさ」
ソニア
「そうね、私も持ちきれないからそれでお願いするわ」
つるぎ
「そうだな、俺も頼むわ」とニヤニヤして言った。
ソロモン
「なるほど」
ライアス
「それ、いいですね」
ジャック
「何が、いいんだよ?」
私も何がいいんだよ、面倒くさいなと思いつつ、確かに金貨百枚とか持って歩けないな、しょうがないなとも思いました。
貴族風の男がいた部屋に戻り、転移門を破壊して、帰路につきますが、流石に全ての物を一度に運ぶのは無理なので、一度でて、警備隊でまた来ることになりました。
バッカス
「おい、ナリス、この魔法職の男だが、名前はシヴァ、警備隊に所属するように勧めてもいいか?」

「裏切られてもいいならどうぞ、お好きにしてください」
バッカス
「おい、シヴァお許しが出たぞ、俺の部隊に所属しろ」

「そういえば、ティアでしたっけ、あの女性はどうなりましたか?」
シヴァ
「すまないが、ティアも助けてやってくれませんか?」
はい?
シヴァ
「私たちはお互いを助けるために言うことを聞いていました。私が転移魔法とかを持っていたばかりにつらい目に合わせてしまいました。」

「では、こういうのはどうでしょうか?」
私は警備隊の方を向いて
「私シヴァを警備隊に所属させたいのなら、ティアも一緒に所属させろ」
バッカスは、がははと笑いながら
「しょうがねぇなぁ、二人とも身柄を警備隊が預かろう」

「お二人ともどうしますか?」
シヴァとティアは顔を見合わせて「私たちの裁きはいいのでしょうか?」

「しょうがない人たちですね、二人には私から裁きを言い渡してあげましょう」
バッカスをちらっと見て
「二人には警備隊諜報部にて労働を課し、そのための能力向上に励む事を命じます、なお二人の行動監督は警備隊隊長が負うものとする」
バッカス
「お前、面白いな、ほんとに子供か?」

「不服のある場合は速やかに申し述べる事」
シヴァとティア
「はい、不服などありません、ありがとうございます」と言いながら静かに涙を流していた。
さや
「バッカス、何しているの、そうと決まったら急いで牢から出しなさいよ」
バッカスは
「おお、そうだな、すまん、すまん」と言いながら部下にティアを出すように命じていた。
二人はお互いの無事を確認して、囚われの身では無くなったことを喜んでいました。
つるぎ
「なぁ、ドラゴンは居なくなったって事はお前が逃がしたという事か?」

「なるほど、そうですね、言い換えればそうなります。うん」
ソロモン
「いや、いや逃がしてはいけないでしょ、ドラゴンを野に放っては駄目でしょ」

「出て行きましたとは言いましたが、野に放って自由に行動できるとは言っておりません。」
はぁ?何言ってんだよ

「ああ、もう面倒くさいですね」
つるぎ
「ああ?ちゃんと説明しろよ」
ソロモン
「そうです、私も説明を求めます」

「何?私と運命を共にしようとでも言うのですか?」
さや
「なに、なに?私に任せて、運命を共にします」
ソニア
「私も、運命を共にするってやつに参加します。」
ぶっ

「詳細を聞いた後、情報を漏らしたら私が殺しに行きますよ?よろしいですか?」
ソニア
「わかったわ、死ぬまで一緒ね?」
さや
「私も承知しました。」
何を楽しそうに・・・・
つるぎ
「お前の方があいつらより怖いな」
ソロモン
「そうですね・・・」

「彼らは科学者で、戦闘向きではありませんからね」
つるぎ
「いろいろ詳しく知っているみたいだな、それで詳細ってなんだ?」
ソロモン
「まさか、言いたくないとか言い出さないでしょうね」
う!ばれた
つるぎ
「おら、おら、白状してしまえ、楽になるぞ」
うるさい

「ここに居る全員が覚悟を決めているわけではないでしょ?ここでは言えないですね」
つるぎ
「おし、ボス部屋に入って話の続きをしようか?」
つるぎとソロモンの二人からボス部屋に連行された私・・・
つるぎ
「ほれ、話せや」

「あれ、ゾロさん達も聞きたいのですか?今回の報酬を手にする前に死んでしまうかもですよ?」
ゾロ
「俺はお前を援護したい」
そら
「私も貴方の助けになりたいです」

「その気持ちはありがたいですがたぶん無理ですよ?聞いた後で間違いなく後悔します、覚悟は出来ていますか?」
ゴクり・・・聞こえてきそうな雰囲気です。

はぁ、私一息ついてあきらめ話を始めました。
「まず、このダンジョンにまだドラゴンは居ます。」
なんだと!
皆が周りを見渡し、気を張った。

「ああ、大丈夫ですよ姿は現しませんから」
オリビア・トルー・サーペント
「あははは、ナリス様、驚かせすぎですよ、笑ってしまったではないですか」
そう?
なんだ?誰だ、どこにいる?
さらに皆が緊張した。

「ここに居たというか、拘束されていたドラゴンですが、私を知っていました。名前はオリビア、フルネームは内緒です。」
さや
「ナリス、貴方ドラゴンにお知り合いがいるの・・・」

「オリビアも異世界から召還されて、制約でこのボス部屋から出る事を禁じられていたようです。」
つるぎ
「それで今どこにいる?」
私、ウエストポーチをポンポンと叩いて
「話をして納得してもらったので、今は私が捕獲しております。」
はい?
ソニア
「ほ、捕獲?ドラゴンをほかく・・・」

「ここから出していずれ必ず自由にすると約束しております。」
オリビア・トルー・サーペント
「ナリス様、自由になったらナリス様の従者に戻らせていただきしっかりとお仕えいたします。」
さや
「え?ドラゴンが従者になる?え、戻らせていただくって?」
オリビア・トルー・サーペント
「私は元々、ナリス様の従者でございました。お探ししておりました主にここであえて幸運です。」
ソロモン
「もともと・・・ナリス、お前ドラゴンを従えていたというのか?」

「従えていたわけではありません、他の者からの情報ですがオリビアは前世の私の娘・・・違いますね、育ての親だったようです。」
さや
「ナリス、貴方ってすごいのね」

「私は転生者ですので、ただし制約で十歳までは能力、記憶全て封印されていましたけどね」
ライアス
「他の者ってどんなやつですか?」

「ああ、デーモンとか言っていました」
オリビア・トルー・サーペント
「ナリス様、あの子たち泣きますよ?最上位を付けてあげてくださいませ」

「へぇ、そんなにすごいのか」
オリビア・トルー・サーペント
「悲しいですね、貴方様から見たらあの子たちも私もまだまだひよっこなのでしょうね、あの子たちに挑む悪魔はもういませんよ」
ソニア
「そんな・・・ナリス、貴方ってもう神様のレベルじゃないの?」
オリビア・トルー・サーペント
「我らは皆、ナリス様を我らの神と呼んでおりました。」
へぇ
つるぎ
「おい、へぇじゃねえぇだろ、へぇじゃ・・・」

「これで納得していただけましたか?今更聞かなければとか言っても遅いですからね」
つるぎ
「おう、俺も今からお前の従者だ」
はい?
さや
「うん、うん、私もそうする」
ソニア
「だよね、すごい人に出会えたわ」
ソロモン
「異存はありません」
ライアス
「面白そうですね」
ジャック
「ふぅぅん、悪くないかもな」
ゾロ
「私も混ぜていただきたい」
ゼノ
「ゾロ、そこは我々に変えてくれ」
ユウキ
「そうですよ、ゾロ」
そら
「賛成します」

「はい? しょうがない人たちですね、どうなっても知りませんよ」

では一度外に出ましょうとバッカス隊と合流して帰路につきました。
警備隊の方は他の留守番部隊も合流して数回ダンジョンを往復して荷物の運搬に励んでくれました。
酒場に戻って部屋を借り、転移門を印してから、皆の所に戻り
「皆さん、すみません、オリビアを封印してきます、すぐに戻りますので私の借りた部屋には入らないでください。」
ジャック
「わかった、俺が部屋の入口に立っている。」
さや
「じゃあ、私この窓から外を見ているわね」

「はい、よろしくお願いします、ではまたのちほど」
と言ってランカスター城の封印の間に転移をしました。
おおお、消えたぞ
シヴァ
「今のは転移の魔法、それを単独で簡単に・・・え、詠唱もしていませんでした」
ソニア
「それってすごいの?」
シヴァ
「今現在の私では単独の転移はとても無理です。私レベルの者が十名いても成功するかどうか」
ソロモン
「転移の魔法・・・か、私も習得してみたいな」
さや
「私も修練しよ」
ソニア
「ああ、さやさんずるい」
さや
「しょうがないでしょ、もうすでに持っているんだから」と言ってニヤニヤしています。ソニアは悔しそうに黙りました。


★オリビア・トルー・サーペントの封印★

ランカスター城の封印の間に来ました。
私は中央の筒、コールドスリープの機械の所で話しかけました。
「オリビアここで貴方を封印します。」
オリビア・トルー・サーペント
「はい、よろしくお願いいたします」

「とりあえず二千年程眠ってもらいましょう、時々魔力の補充に立ち寄ります」
ウエストポーチから捕獲した魔力障壁に包まれたオリビアを出してそのままコールドスリープの機械の中に置きました。
オリビア・トルー・サ―ペント
「遠い未来でまたお会いできることを幸せに思います。」
また逢いましょう


「我、ナリスが命じる、封印せよ」

筒状の物の扉が閉まり、カチッと音がして部屋全体が光に包まれた。

封印は成功した。
続けて
「我、ナリスが命じるコールドスリープ起動」
この時私はいつの間にか心の中で二千年の時を刻めと思っていました。
思うだけで期間の設定は出来たのでしょうか? 笑

この世界に来て神楽を見つけた、オリビア・トルー・サーペントも見つけて封印出来た。さてと、魔王はどこだ?

あ!
そうか、いやいや、でも・・・当たっていると思う。
魔王はオリビア・トルー・サーペントのクローンだ。
クローンの方には別の記憶を覚えさせている・・・どこかのダンジョンのボス部屋だな

次にすることが決まりました。
もうわかっている?そうですよね、笑
次のダンジョンを探します。はい

転移で宿屋の部屋に戻り、部屋の外に出てジャックにお礼を言い、下に降りて行くと話し声が聞こえてきました。
さや
「ナリス、このままどこかに行ってしまうなんてことはないよね?」
つるぎ
「ああ、それはあるかもな」
ソニア
「つるぎ、何言ってんの、ぶつわよ」

「なるほど、そういうのもありでしたね、考えもしませんでした。」
さや
「ナリス」
ソニア
「ナリス、お帰り」
つるぎ
「ドラゴンは?」

「七千年程寝てもらいました」
はぁ?
さや
「何?七千年って」

「私とオリビアが次に会うのが七千年後という事ですけど?」
つるぎ
「お前何を言っているんだよ?」
はい?
さや
「そうよ、どうやって七千年先で会うってわかるのよ」

「七千年、言われて見ればこの年数って・・・」
ああ
ここに来るまでに、私が使った年数、いったい、何度転生を繰り返して来たのだろう。
いや、もっとかかっているのかも知れないか・・・
もしかしたらフラン様達のマスターが生きていた時代にも転生しているかもしれない。あら、数万年かかっていたりして・・・あり得るか

つるぎ
「おい!」

「ああ、すみません、ちょっと考え事をしていました。」
ソロモン
「まだまだ、隠し事が多いようですね」

「そうでもないですけど・・・教えませんよ」
さや
「けちっ」
はい

扉が開いて、バッカスが入って来た。
「よぉぉ、揃っているか? お、ナリスちょっと来てくれ、伯爵の屋敷だ」
さや
「なに、ナリスだけ呼んでいるのよ、私たちも一緒に行くに決まっているでしょ」
ソニア
「そうです、そうそう」
つるぎ
「そうだな、従者なんだから、ついて行かないとな」とにやりと笑って言った。
ソロモン
「で、バッカス隊長、総額の発表でもあるのでしょうか?」
バッカス
「そうだ、今集計をしてもらっている、楽しみだ」
ジャック
「おら、ナリス行くぞ」

「ジャック、貴方がそんなに興奮しなくても・・・」
いいから、いくんだよ、とジャックに背中を押されて酒場を出ました。
つるぎ
「で、どっちに行けばいいんだ?」
バッカス
「お前ら、黙ってついてこい、伯爵の屋敷の庭に全部集めてある」
伯爵の屋敷について
バッカス
「あっちに立って話をしている一人が伯爵様とギルマスそして鑑定士の商人が五人だ」
鑑定士の代表
「バッカス様、皆で吟味いたしましたが、ここにある品全て買い手がおりません。」
バッカス
「どうゆう事だ?」
鑑定士の代表
「申し上げに行くのですが、価値がはかれないのです、要するに鑑定額はゼロとなりました。」

「ここにあるもの全て鑑定額、ゼロですか?」
鑑定士の代表
「はい、申し訳ありません」
バッカス
「そんな、バカな」

「伯爵様とギルドマスターもこれを承認されたのですか?」
伯爵
「私には何ともまばゆいばかりの品々なれど、鑑定の力はありません。もうしわけない」
ギルドマスター
「俺もそんなはずは無いと言ってみたが、鑑定の結果は変わらないそうだ」

「そうではなくて、お二人とも鑑定額ゼロを認めるのかどうかです。」
伯爵様
「うむ、認めざるを得ないところです。」
ギルドマスター
「すまん、私にも力が無くて、鑑定額はゼロと決定した。」
さや
「馬鹿な事を言わないでよ」
私は手を挙げてさやのそしてみんなの発言を止めました。

「それはすばらしいですね、ここにあるものすべてが無価値、あははは」とつい、笑ってしまいました。
バッカス
「どうした、ナリス」

「バッカス隊長、全て無価値ですよ、わからないのですか?」
バッカス
「お前が何を喜んでいるのかが、わからん」
さや
「私にもわかるように説明しなさいよ」

「バッカス隊長、ここにあるものすべて所有権は誰にありますか?」
バッカス
「今は、ナリス、お前だけど、どうした」

「伯爵様、ギルドマスター、鑑定士の皆さんもここにある無価値の物は全て今現在私の物で間違いありませんか?」
伯爵様
「それは、間違いなく貴殿に所有権があります」
ギルドマスター
「ああ、間違いない」
鑑定士の代表
「異存ございません、しかし、これだけの量ですので、処分には、私どもが手をお貸しいたしますので、ご安心ください。」
私は皆の顔を見渡して、足元に転移門を印しました。
さや
「え?ナリス」
つるぎ
「どうした?」
私は魔力を解放して全ての財宝、金貨も銀貨も含め魔力で包みました。

「こんなにうれしい事はありません。これだけのものを手にして税金は無しですよ、何と言っても価値が無いのですから、一度全て持ち出してそれからまたここに戻ってきますね」と言って転移でランカスター城の封印の間に飛びました。
鑑定士の皆さん
「え・・・・消えた、全てが消えましたよ」
バッカス
「なるほどなぁ、無価値、価値ゼロだから税金の取りようが無いのか、あいつ頭いいよなぁ」
鑑定士の代表
「な、何を言っているのですか、あれだけの財宝をあんな子供の独り占めとは」
さや
「でも、あれ全部価値ゼロなのでしょ?」
ソロモン
「価値無しという事はゴミも同然、ナリスが持って行っても誰も文句は言えないな」
ソニアがニコニコしながら「この国も税金を銅貨の一枚も取れないなんて、どうしようもないわね」
伯爵様
「え、何がどうなった?」
ライアス
「あんな子供の独り占め?とはどういう意味でしょうか?鑑定士の方」
つるぎ
「鑑定したのはお前ら鑑定のプロだよな、そしてそれを承認するかとナリスが聞いた時「いたしかたない」とか言っていたよな」
バッカス
「ああ、全て合法的にナリスの物となった」
鑑定士の代表
「き、金貨と銀貨まで持って行っておりますぞ」
さや
「だってあなた、ここにあるものすべてが無価値、価値ゼロって言ったでしょ?」
ギルドマスター
「確かに言いましたな」
伯爵様
「間違いない、私もそれを認めます。王様には鑑定士が無価値と判断したため、所有者に全てを下げ渡したと報告いたしましょう」
続けて
「無価値ゆえ、税金は算定できませんでしたとも付け加えておきます。」
国からの賠償の話が出た時は全てここにいる鑑定士の責任において裁きを下していただくことといたします。」
鑑定士の代表
「それは、我々と敵対してもいい事はありませんぞ」
伯爵様
「敵対?私は貴方方の鑑定を信じ、それを所有者に伝えました。所有者はそれを一言の苦情も言わずに受け、そして無価値の財宝を持ち帰った。嘘偽りなく報告しますが、それが敵対になるのですか?」

キィィンと音がして皆が当たりを見渡した。
私はランカスター城の封印の間で財宝を隅の方に寄せただけで戻ってきました。
さや
「お帰り、早かったのね」

「無価値の物だからね、適当に邪魔にならないように放置してきました。」
伯爵様
「大変申し訳ありませんが、ナリス殿でしたかな」

「はい、ナリスです。」
伯爵様
「参考までにさっきの無価値の物を貴殿ならどれくらいの価値と見られますか?」

「そうですね、金貨だけでも三万枚以上あると思うのですよ、金製品、銀製品、武器、防具、調度品、絵画、宝石、ざっと見ただけでも金貨、十万枚は越えると思います。」
さや
「な・・・」
ソニア
「・・・・・・・・・」
伯爵様
「ざっと見ただけでもですか、さらに桁が上がることはありませんか?」

「あります、あります、でも百万枚は言いすぎかなと思いまして十万枚にしました。」
さや
「ひぃぃ」
ソニア
「・・・・・・・・」
ギルドマスター
「ナリス殿、貴殿は今回の国の損失は金貨、五十万枚になるというのですか?」

「ああ、そうですね、そうなります、でもそれは価値が百万枚になった場合ですので十万枚の場合は五万枚の損失ですね」
伯爵様
「それでもとんでもない金額ですね」

「すべて鑑定士様達のおかげです、ありがとうございました。」
鑑定士の代表
「ば、バカな事を言うな、今すぐ全部返しなさい」

「え、盗賊に返すのですか?」
さや
「ぶっ」
鑑定士の代表
「貴方は我々商人ギルドと戦争でもする気ですか?」
つるぎがピクリと反応した。
ソロモン
「商人ギルドと戦争」

「はい?商人ギルドの方たちは私に宣戦布告をされているのでしょうか?」
鑑定士の代表
「それは私が聞いているのです。」

「商人ギルドの軍隊が攻めてくると言うのなら喜んでお相手いたします、いつでもかかって来てください。」
つるぎがこっちを見て「お前、少しは考えろよ」とニヤニヤしながらぼやいていた。
バッカス
「おい、おい」
ソニア
「微力だけど手伝うわよ」

「そうですか、商人ギルドか・・・・どれくらい貯えているのでしょうか、楽しみですね」
鑑定士の代表
「威勢だけはよろしいようですね、商人ギルドの軍隊は数万人を超えます。他国からの応援がくれば数十万となりますよ」
伯爵様
「子供相手におよしなさい」
私と鑑定士の代表
「伯爵様は黙っていてください。」
おお、かぶりましたね。 笑

伯爵様は君のために発言したのにと言う顔でこっちを見ておられました。

「数万だろうが、数十万だろうが全て受けて立ちますのでどうぞ攻めてきてください。お待ちしております。」
続けて
「財宝、財産等しっかりまとめておいてくださいね、私が引き取りに行きやすい様に」
つい、顔がほころんでしまい、さやからキモイと言われてしまいました。
ソニアが「さやさん、ダンジョン以上の稼ぎになるのですよ?」と言うとさやも顔がにやけてしまい、つるぎからキモイと言われていました。
伯爵様
「ナリス殿、本気ですか?」

「はい?この国の方も商人ギルドに援軍を送るとか加勢してくださってよろしいですよ、城の宝物庫は空になるので十分に吟味してくださいね」
鑑定士の代表
「我々をバカにしているのか?」

「あはは、私をバカにしていたのは鑑定士の皆さんですよね?」
バッカス
「ナリス、挑発するなよ」
つるぎ
「何を言っているもう戦争になっているんだぞ」
鑑定士の代表
「そうだ、我々の兵隊はここにも数千人はいる、覚悟してください」

「数千人という事は一人金貨一枚所持していると、金貨数千枚か、わかりました。」


「武器、防具、装飾品もすべていただきますね」

ライアス
「おい、おい」と笑っています。
鑑定士の代表
「ふ、ふざけるなぁ、おい、今すぐ軍隊を呼べ、あのガキを締め上げるんだ」
ギルドマスター
「ナリス殿今すぐ逃げなさい、援護しますから」
はぁ?

「ギルドマスター、貴方こそ、何を言っているのですか?軍隊の数千人、私一人で相手をいたします」
ギルドマスター
「いや、子供だからと言って手加減はしてくれないぞ?」

「私も子供だからと言って手加減しませんよ?」
さや
「ナリス、本気なのね、私も頑張るからね」
ソニア
「わ、私もやるよ」

「はい?何を頑張るのですか?皆はお茶でも飲んでいてください」

・・・・・
お茶ですか?


「はい」
つるぎ
「で、軍隊の数千人とやらは何時頃ここに到着するんだ?」

「そうそう、早く呼んでください、何なら私の方から出向きましょうか? あ、どこに行けばよろしいでしょうか?」

出向いて行くと軍隊は数万人になるって事はドロップ品の回収に時間がかかるなあぁと真剣に悩んでいるとつるぎが
「お前、今バカな事を考えているだろう、金貨拾うのが、大変とか?」
ぎょっとしてつるぎのほうを見ると、マジかって言われました。
バッカス
「伯爵様、国内での争いなら、警備隊も動かない訳にはまいりませんが、商人ギルドに味方するようなら私は除隊し、ナリスを助勢させていただきます。」
隊員達
「私も一緒に除隊いたします、隊長」数名の隊員達から声が上がった。
伯爵様
「ううぅむ」

「駄目ですよ、隊長、隊員さんが路頭に迷う事になりますよ」
さや
「それはないでしょ、ナリスが私たち、ともども雇ってくれたらいいのよ」
え?
なるほど

「わかりました。では商人ギルドを潰して資金を調達してきましょう。」

おい、おい、もう資金は十分あるだろ?


「伯爵様、まずはここに居る信用できない鑑定士五人を討ち取ります。」
つるぎ
「おい、一人ぐらい俺にもやらせろ、お前だけに負担はかけられん。」
ジャック
「じゃあ、俺も一人やる」
ライアス
「私も一人、相手をいたしましょう」
ゼノとゾロが二人で
「我々が二人で一人を相手します。」
バッカス
「お前ら気が利くな、最後の一人は俺だな、伯爵、今ここで警備隊を脱退します。」

鑑定士の一人
「お、お待ちください、我らに戦争をするつもりなどありません。」

「おや、先ほど宣戦布告されたので受けております。もう降参ですか?」
鑑定士の代表
「ふ、ふざけるなぁ」
鑑定士の一人は他の鑑定士と話し合いをして
「我々四人の鑑定士の裁量で貴方を「鑑定士の代表」を解任します。」
鑑定士の元代表
「貴様ら、私を誰だと思っている。」
鑑定士の一人
「残念ですが、貴方はもう終わっております、この後間違いなく貴方は破産するでしょう」
新しい鑑定人の代表
「大変失礼いたしました。私アレックス・ロンドと申します」

「はぁ、そうですか、降伏するのなら、賠償金の話をしますが、賠償金は金貨で百万枚とします。交渉はしません。不服があるのならどうぞ、攻めてきてください。」
アレックス・ロンド
「本気ですか・・・そのような大金」

「商業ギルドはもう破産、無くなっていいと思います。ああ、それとこの金額にはこの国からの賠償金は、含まれておりません、この国とも早めに交渉された方が良いと思いますよ」
伯爵様
「ナリス殿、落としどころという物もございます、交渉の道を残して差し上げていただけませんか」

「今回の宣戦布告は鑑定士の方が私に対して出されております。降伏をされても、私にとってはこの方たちは無価値です。賠償金、金貨で百万枚を要求します、期日は明日でよろしいでしょうか、明後日にはこちらから攻めていきますね。」
アレックス・ロンド
「お待ちください」

「お待ちいたしません、あ、そうだこちらから攻める場合この国の商業施設でよろしいでしょうか?この国にも被害が出ますけど、壊滅させますのでご容赦ください。」
元鑑定士の代表
「この大ぼら吹きが、お前のような小僧にそんな大それたこと、出来るわけがないだろうが!」
アレックス・ロンド
「貴方はもう黙っていてください」
他の鑑定士
「では、私は帰らせていただきます、戦の準備をしなくてはいけません。」
アレックス・ロンド
「何を言われるのですか?」
他の鑑定士
「もう、戦うしかないですよ?」
その時つるぎが速攻で動いて、発言してこの場を去ろうとした他の鑑定士の両腕、片足を切り捨てた。
ぎゃぁ
アレックス・ロンド
「何をされるのですか?」
つるぎ
「何を寝ぼけた事を言っているんだよ、あんたらは? もう戦は始まっていると言っている。わざわざ無傷で敵を返すわけが無いだろうが」
さや
「まだ、生きているから急いで回復魔法の出来る人を呼んで手当をすれば助かるわよ」
つるぎ
「おっと、他の四人も動くと同じように両手、片足を切り落とす」
アレックス・ロンド
「しかし、動けなくては呼びようもありません」
つるぎ
「それはそっちの都合だ、俺の知った事ではない」
ソニア
「戦の準備もあるから帰りますって、それって戦う意思を示しているのに、無事に帰れると思う方がおかしいよね」
切られた鑑定士
「お願いします、助けてください」
ソロモン
「それは無理です、不正行為を認めない、謝罪もない、自分たちが正しい、最後は力で言うことをきかせる、貴方達のような人は苦しみながら死んだほうがいいと私は思います。」
元鑑定士の代表
「許さんぞ、絶対に許さん」
私が一歩近づくとつるぎが剣を一振り、元代表の首を落とした。
アレックス・ロンド
「ひぃ」

「ああ、私が・・・」
つるぎ
「あと三人」
アレックス・ロンド
「あの、我々を無事に帰す気は?」
つるぎ
「無い!しっかり自分の行いを後悔しろ」
鑑定士の皆さんは言葉をなくしました。

アレックス・ロンド
「も、申し訳ありませんでした。」
生き残っている他の鑑定士
「我々が価値無し、と判断すれば誰も異議を唱えることは無いとそそのかされてその気になってしまいました。」
さや
「そそのかされて、ってやっぱり自分は悪くないって言っているし」

「でもそれを普通に売りさばくと国にばれるでしょ、闇市とかがあってそこで売りさばくつもりだったとかですか?」
アレックス・ロンド
「あ、・・・申し訳ありません」
ソロモン
「本当にバカですね、今までもそんなやり方を押し通して来たのですか、貴方達は」

つるぎ
「どうした?」

「すみません、今回の賠償金の話、保留にします。」
さや
「どうしたの、突然?」
アレックス・ロンド
「ほ、保留とは?」

「猶予期間を五千年与えます。」
はぁ?
アレックス・ロンド
「五千年ですか?」
伯爵様
「五千年とはいったい、どうゆう事ですか?」

「この国は五千年後に滅びます、あ、いや滅びると思います。」
伯爵様
「滅びる?」

「どういう理由なのかまでは、知りませんがドラゴンがこの国を滅ぼします。その後この辺り全て砂漠と化します。」
ギルドマスター
「一体、何を言い出すのだ、君は?」

「その時にドラゴンに賠償金を求めない、罪に問わない、それで帳消しとしましょう」
ソロモン
「五千年とかここに居る者、誰も生きてはいないぞ」

「そうですね、しっかりと後世に伝えてください。
伯爵様
「その話を信じろと?」

「信じる、信じない、伝える、伝えないはそちらの問題です。受けないのなら今賠償金の話をつづけるだけです。」
伯爵様
「そのドラゴンから滅ぼされるというのは間違いなく起こる事象なのでしょうか?」

「はい、今の時代で商人がこの有様ですから今後のこの国はどんどん、悪くなっていくのでしょう、悪徳ばかりの横行ですね。滅びてもしょうがない国なのでしょうね」
つるぎ
「お前、ドラゴンってお前の知り合いか?」

「ああ、オリビアでは無いですが、いずれ知り合うだろうドラゴンです。」
つるぎ
「何を言っているのか、よくわからん」
さや
「ナリス、貴方何体もドラゴンに知り合いがいるって事?」

「今は、オリビアだけですが、たしか十四体と知り合うはずです。」
アレックス・ロンド
「そのような数のドラゴンの存在は聞いたことがありません」

「貴方は、貴方の知る事だけが世界のすべてなのですか?」
アレックス・ロンドははっとした様子で
「これは、申し訳ありません、浅はかでございました。」
生き残った鑑定士の三人は話し合いを始め、意見をまとめました。
アレックス・ロンド
「私どもといたしましては、このお話を受けない訳にはまいりません。後世にしっかりと伝えるように手配させていただきます。」

「交渉成立ですね」
私はソロモンの方を見て
「えっと」
ソロモン
「本気ですか?しょうがない人ですね」
さや
「どうしたの、ソロモン?」
ソロモンは二人の遺体の傍でリカバリーを唱え始めました。
ソニア
「もう亡くなっているわよ?」
つるぎ
「ほう」
ソロモンの魔法に私の魔力を上乗せしてリカバリーを完成させました。
アレックス・ロンド
「いったい・・・」
私は二人を魔力で包み、「死者蘇生」を唱えました。
元鑑定士の代表
「げほっ、ごほ、ごほ」
もう一人の鑑定士
「ぶは、ひぃぃ」
アレックス・ロンド
「何が一体、どうなっているのですか?」

「神の祝福があらんことを」
つるぎ
「ナリス、やっぱりお前じゃないか!」

「え?見ていなかったのですか?ソロモンです」
つるぎ
「お前だよ、何かぶつぶつ言っていただろうが」
あれ、口に出していたかな?

「耳がおかしいのではないですか?」
つるぎ
「てめぇぇ」

「では、伯爵様あとは鑑定士の皆さんと国とで賠償金の話をするなりしてください。私はこれで失礼させていただきます。」
伯爵様
「お待ちください」
はい?
伯爵様
「先ほどのお話が本当に起こるのでしたら王様にもお知らせいたさねばなりません、そしていずれは遷都、もしくは住民の避難も伝承していかなくてはならないと存じますがいかがでしょうか?」

「ここに居る者全てが信じられないと思っているはずです、後世の人たちは信じず、ただ、ただ、死んでいくと思います、先ほど私のした契約の内容は私の自己満足にすぎません、廃墟となっても責任は取らないと言っているだけですから」
アレックス・ロンド
「商業ギルドの関係者も財を成している者は他の場所へ移動した方が良いという事ですよね」

「それも後世に伝えてください、でも誰も信じないと思います。今移り住んでも多分忘れたころに戻って来てしまう事も考えられます、私が皆さんにお伝え出来る事は今から五千年後ここは滅亡して砂漠と化し、その後二千年か三千年程人間が立ち入る事の出来ない場所となるという事です。」
アレックス・ロンドが跪いて
「神よ、全て貴方様のおっしゃる通りにいたします、数々のご無礼、誠に失礼いたしました。これより我々商業ギルドは貴方様の支援に全力を持って尽くしてまいります。どうぞ我々をお見捨てになられませんようにお願い申し上げます。」
伯爵様もギルドマスターもあわてて跪き
「私たちも同じ考えでおります、どうかお慈悲を賜りますようお願い申し上げます」
え?

「私は神ではありませんよ」
アレックス・ロンド
「何をおっしゃいますか、遠い未来の話とさらには目の前で奇跡を起こされる様をこの目でしっかりと拝見させていただきました。」
生き返った二人の鑑定士は何が起きているのか分からず、ただ、両手、片足、首が繋がっていることを確認していた。

「貴方達が何をしようとそれは貴方達の自由なのでお好きになさってください、ただし私の邪魔だけはしないでください」
ソニア
「大丈夫なの、神殿に寄付とかしているでしょう商業ギルドって?」
アレックス・ロンド
「そうですね、神殿から妨害等あるかもしれません。」

「神殿を破壊するなら協力しますよ、どうせ神官とは名ばかりで中身は腐っているでしょうから」
伯爵様
「耳が痛いところですが、そこは、内密にお願いいたします。」
つるぎ
「さっきまで敵対していたが、いいのか?」

「私の邪魔はしないと言われているので問題は無いかと、何かあったら逆に手を貸します」
さや
「そうね、敵ではないなら、それがいいかも」
ソニア
「神殿のやつらって異教徒って呼んでかなりの人をなぶり殺しにしているよね?」

「私はこの世界では間違いなく異教徒でしょうから、神殿はいずれ敵になりますね、というか、いずれここは滅亡しますから、どうでもいいかもです。」
そうは言っても向こうから調査とか言ってくるんだろうなあ
面倒くさいなあぁ
つるぎ
「おい、顔に出ているぞ、面倒くさいって・・・先にこっちから仕掛けるのはどうだ?」
私は両手で頬を抑えて、正直者の顔だなとか考えていたら、つるぎがさらに「違うと思うぞ」って「もっとポーカーフェイスを覚えろ、あほ」って・・・・
さや
「貴方達二人ってなんか、仲いいね、やけるわ」
ソニア
「私たちも、仲良くさせなさいよ」
つるぎ
「はぁ?しるかよ」
神殿、たぶんこの世界で一番力のある存在、ジュ・オンさん達が利用しないはずはないよなぁ
つるぎ
「どうした?何を考えている」

「神殿には彼らは関係していないのでしょうか?」
つるぎ
「そうか、関係していないはずは無いな」

「だとすると、今はつるぎ、貴方は顔を見られない方が良いですね」
さや
「処分済みのはずのつるぎがうろうろしてたらまた、狙われる?」

「処分・・・あれ、つるぎ、貴方もしかして一度死んだので制約が消えているとか、ないでしょうか?」
つるぎ
「なんだと、いやまて俺に課せられた制約ってなんだ?」

「召還した者には逆らえないとか、手出しできない、攻撃できない、あれ?」
さや
「どうかした?」
つるぎは考え込んでいます。

「制約に召喚士を攻撃できないとかだった場合、目の前に現れて行動できると思うのですが?」
さや
「そうね」

「逆らえないとかだと、やっぱり目の前に現れて命令をすればいいよね」
ソニア
「動くなって言われると動けなくなるって事?」

「そうです、そして他の召還された人たちも何かしらの制約を受けているはずです」
さや
「私もか、なんだろう」
謎ですね
つるぎ
「言うだけいって、本当はないんじゃないか?」

「私もこの眼で確認したわけではないのですが、オリビアはボス部屋から出る事は叶わなかったと言っていました」
さや
「捕獲したとか言っていたわね」

「はい、自分の意思では出られないのかと思い、私が捕獲して連れ出したわけです」
続けて
「一度死亡、灰になったところから復活した召還者には制約は無効になったみたいでした。」
はい?
さや
「なにそれ、灰になってから復活とか出来るの?」

「していましたね、そしてその時に制約が発動できないような発言をした者がいるのです」
つるぎ
「お前、何でそんなことを知っている?」

「え? 私は転生者と言ったでしょ、前世の記憶です、十歳まで封印されていましたがもう、十二歳にはなりましたからね」
ソニア
「なぜ、十歳まで封印されているのを知っていたのよ?」

「転生するときにそういわれましたので、能力及び記憶は十歳までは封印すると」
さや
「九歳で死亡するとどうなるの?」

「普通に死亡するだけでは?」
さや
「そうね・・・」

「そういえば、さやさんは召還されてそのまま殺されかけたとか言ってましたね」
うん

「その時に体が動かないとか言葉が出ないとかありませんでしたか?」
さや
「何が何だか、わからない状態だったからなあぁ」
ソロモン
「あの時は、つるぎがさやを抱えて連れ出した」
つるぎ
「そういえばあの時、この女この状況で悲鳴さえ上げないとはすごいなとは思った」
さやが黙っている、思い出しているのだろうか?
さや
「あの、恥ずかしいけどあの時、私的にはすごい怒って文句を言ってた気がします」

「そうすると、さやさんにかけられている制約は言葉を発する事が出来ない、かも知れませんね」
さや
「なるほど、あいつらが私に何かすると詠唱とか出来ないのね、詠唱?」

「魅了、隠蔽、転移・・・」

「私、ソニア、ライアス、ジャックのことはたぶん彼らも気にしては、いないでしょうから少し探りを入れてみますか?」
ソニア
「神殿?」

「はい」
つるぎ
「こそこそしてても始まらないだろう、俺も行く」
さや
「そうね、私も一緒に居たほうがいいと思うわ」
ソロモン
「では、私も一緒に行きましょう」
さや
「何かあった時にナリス居ないと心細いからね」
つるぎ
「おまえ・・・・」
私が何か言おうとするとさやが
「だって、この前さくっと死んだじゃん」
たしかに・・・
つるぎ
「あれは、お前・・・そうだけどよ」

ぷっ、笑ってしまいました、つるぎ 弱!


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