ナリスの伝説 「オンリーワン」

けにあ

文字の大きさ
上 下
19 / 21
新たな転生:第二部開演

ナリスの伝説「オンリーワン」

しおりを挟む
★新たな転生★


胸に何かが当たった感触はありました。あれが何なのか?
磁力を帯びた玉? プラズマ・・・
射程距離は四か、五メートルといったところだろうか?

きらきらジジィ
「はやかったな」

「あれって核融合?」
きらきらジジィ
「前もそんなことを言っておったな、そんなことよりさっさと能力を決めて出て行くのだぞ」

私は今回の能力をジジィに見せてみた。

きらきらジジィ
「なんじゃ、今回はいろいろ早いの・・・ってなんじゃ、これは、また勝手に作りおったのか、まあいいじゃろ、が少し制限をかけさせてもらおうかの」


「あれ、気前がいいのね」
きらきらジジィ
「何か見えてきたのじゃろ?」

「ああ、今回は転生したい時間と場所があるのだけど?」
きらきらジジィ
「すまんが、お主の意見は反映されない、行先は不明じゃ」

「女神の加護と恩恵は?」
きらきらジジィ
「前回と同じで、加護と恩恵と記憶は十歳まで封印される、よいな」
続けて
「それと、このお前の能力これも無意識で使われてはかなわんのでほぼ、封印じゃ」

「わかった」

目の前が真っ暗になり意識が遠のいて行く。



★十年後のナリス★

私の名はナリス、十歳の誕生日を迎えてもう三か月ほどが経ちます。
田舎の村で育ち、なぜか薬草を理解出来て、ポーションを作ることも出来たので、冒険者ギルドにポーションを売って爺ちゃんと二人で生活してきました。
薬草採取を行っていると時々小さいモンスターが襲ってくるのですが、これも体が勝手に反応して、数回、数をこなしていたらだんだん慣れてきて村の近くにいるモンスターとなら戦える自信が付きました。

今日は爺ちゃんと一緒に近くの街にポーションと小動物の毛皮を売りに来ました。
冒険者ギルドに全部まとめて引き取ってもらうと少し売り上げは落ちるけど、あっという間に換金出来て、爺ちゃんも楽そうです。
冒険者ギルドのギルドマスター―
「おい、森の番人の村の二人、今日は高貴なお方達が街に視察に来られている、銀貨一枚多く渡すから早く裏口から村に帰れ」
爺ちゃん
「それは、教えていただきありがとうございます、急いで帰らせていただきます。」
爺ちゃんは私の手を取ってギルドの裏口から急いで出て、村への帰路についた。
村から声が聞こえてきた。
「あれが、フランソワーズ様とシルビア様よ、綺麗、うらやましいわぁ」

フランソワーズ様とシルビア様、二人の名前が頭の中で繰り返し響いた。
そのまま気を失ったようで、気が付いたら家で寝ていました。爺ちゃんがおぶって連れ帰ってくれたようです。
私はそのまま、また寝てしまいました。

きらきらジジィ
「よいか、ナリスよお前の選んだ能力では自分の身を守るのが大変だろう、加護と恩恵さらに、索敵と鑑定はつけておいてやる、しっかり使えよ」
声が遠くから聞こえるような小さな声になっていく
「加護と恩恵、記憶は十歳までは封印じゃ」

「あ、そうだ、十歳、十歳になったな、鑑定と索敵か、ジジィめ、味な真似を、あ、くそ、ジジィのドヤ顔が目に浮かびそう・・・・消えろ」
さてと、十歳か、記憶が戻ったぞ
いやまて、その前に私を育ててくれた爺ちゃんはどこだ?
ふらつく足で爺ちゃんを探して外に出ると、夜?にしては明るい・・・お?森が燃えている。
爺ちゃん
「おお、ナリスよ、目が覚めたか、戦いの準備をしなさい、魔物が襲ってきた。」
私は部屋に戻って短剣を二本と籠手と脛当て、靴を履いた。いや、衣服は着ています。

家を飛び出すと爺ちゃんが熊?と戦っていた。と言うか襲われていた。
爺ちゃんを襲っている熊の右、側面に飛び込んで短剣に魔力を込め、わきの下に突き刺した。
爺ちゃん
「ナリス、危ない、逃げなさい」
いやいや、危ないのは爺ちゃんのほうだろ
右わきの下に短剣が刺さって、熊が怒り空に向かって吠えた後こっちを睨んだ。
すごく睨まれております・・・
短剣のせいか、右腕はうまく動かなくなったみたいで、体ごとこっちを向いて左腕で薙ぎ払うつもりなのか、威嚇しているのか、上から目線です。
私は持っていたもう一本の短剣に魔力を込めて、熊の喉目掛けて投げつけた。
魔物の熊はこちらがビビッて何もしないと思っていたのか、投げた短剣はサクッと熊の喉に突き刺さりました。
いかに魔物の熊といえども、のどに短剣が刺さっては、気管に血が流れ窒息するしかない。
よたよたしていると思って見ているとバタっと倒れた。
近づいてつんつん、死んだかな?
爺ちゃん
「あぶない、離れるんだ」
私は二本の短剣を抜きながらふと見ると熊の額に赤い石があるのを見つけました。
短剣でごりごり赤い石を取り出すと石は地面に転がって灰になって消えました。
もしかして魔物を凶暴にする石とかかな?
これはいい毛皮が手に入ったぞ、と思っていると遠くから呼ぶ声が聞こえてきた。
その声の主は爺ちゃんのそばまで来て、お前たちその熊を倒したのか、すごいな、今街が盗賊に襲われている、生きている者は加勢に行ってくれ。
と救援要請だった。
爺ちゃん
「それはいかん、急いでいかないと」とやって来た男に背を向けた瞬間
「がっ、なにをするか?」いきなり刺された。
「ナリス・・・」
街から来た男
「瀕死の状態でガキの心配か?心配するな、すぐに後を追わせてやる。がはっ・・・」

「貴方は私の育ての親に何をしてくれているのですか、死んで詫びて来なさい。」
喉を短剣で刺したのでこの男も窒息死で間違いないでしょう
爺ちゃんの方は横腹から心臓に向けて斜めに剣を刺されていました。
手の施しようがありません。

「爺ちゃん、今までありがとうございました。」
爺ちゃんの手が、目がわずかに動いたように見えました。
家の横に穴を掘って爺ちゃんの墓を作り弔って熊の毛皮を剥ぎ、吊るして干しました。
爺ちゃんを殺害した男の武器、装備品、装飾品は、はぎ取って、持っていた硬貨も全部いただきました。

さてと、私、落ち着け、まずは、ここはどこだろう
森の番人の村とか呼ばれていたな
森から出てくる魔物を食い止めるための捨て石と言う所かな?
森?死の森とか不帰の森だと嬉しいなあ

まてまて、あせるな、フラン様とシルビア様がいるという事は同じ世界に来ている、あとはどの年代にいるか・・・・あれ? フラン様とシルビア様?
過去か未来に転生しているはずだけど・・・・・
ジュ・オン、オリエ、ステラとたぶんマリア、まさか二人も、あ、もう一人クラリス・・・七人ともクローン、仲間か
連絡を取り合っているようには見えなかった。

ジュ・オンさんもどこかにいるわけだし、すでに監視されているのかも・・・まあ、とりあえず、この村の被害を先に調べようかな、家を出て村をぐるりと回って見ることにしました。
この村は街に住めなくなったものが来る場所なので住民はそんなに多く居なくて五十人ぐらいでしょうか
魔物と街から来た、爺ちゃんを殺害したやつの仲間とかに殺されて、生きているのは私ぐらいではないでしょうか?
思った通り、モンスターの死骸は無く、村の住民の遺体が四散しております。
さてと
住み慣れた家を出ていくことになるので、作ってみたい、いや絶対に必要になるアイテムを「創作」します。
ディメンションポケットです。次元の異なる場所にポケット、要するに収納庫を作るという事です。

ええと、うーん・・・どうしようか、イメージがわきません。 笑
大体次元の違う空間にポケットを作る・・・・次元の違う空間ってなんだ?

あ、そうか、封印の間みたいなやつか、なるほど、では、封印の間を作ってから考えてみよう。

街に降りて行っても、フラン様とシルビア様がいるし、今は顔を合わせない方が良いと考えて山の方に行くことにしました。
少し歩いて思いつきました。
そうだ、山の上から見下ろせば、少しは場所を確定出来る。
私は隠蔽で気配を消して、索敵を行いました。
回りには誰もいないようです。

体の周りを球体状に魔法障壁を張り、魔法障壁の外に隠蔽をかけ、魔力を解放、「空中浮遊」を唱えました。

転生で新しく得た能力、「創作」でこの「空中浮遊」の魔法に修正をかけます。
魔法スペルを詠唱すると空を飛べるのですが、詠唱の途中で記述にリセットを加えました。
あ、そういえばネイが言っていましたね
「詠唱が長すぎて私の場合は詠唱が終わる前に魔方陣が消えてしまうとかなんとか」
こういう事か・・・

「空中浮遊」「解除」浮遊するだけでは役に立たないので、一旦地におりました。
「空中浮遊」から「空中移動」に変更です。

「創作」能力のすごいところは、私が思い描いた物を作り出すことが出来る能力です。
今回は、「ごちゃごちゃいうな、とにかく空に浮いて好きなところに移動が出来る。」
重力だ、法則だ、とか一切無視、飛んで移動する魔法です。

ではやり直し、「空中移動」を唱えて、魔力を解放しました。
体が宙に浮いて行く、移動したい場所を決め、そこまで進もうとすると自然と体が動き出しました。何度かやっているうちに目で見た地点に移動が可能になってきました。
これは面白い。


★封印の間を創作★

山の中腹辺りで止まり、振り返って見ると、展望できる地形は、未開発のオルレアン王国でした。お城がありません。
広大な森?
遠くに見える海、あの辺りにマリアさんの家がある崖だな、おや?という事は、足元に広がっているのは死の森だ。
私はもう一度下に降りてシルフィーの封印の間の入り口になる祠を探してみました。
索敵を使って自分の魔力を探索してみましたが、駄目です。
ここには封印の間は無いようです。あのきらきらジジィめ、何が行先は指定出来ないだ。ちゃんとわかっているじゃん
ありがとう

私の考え
私は神楽が召還され、魔王討伐のために修行をしているだろう時代、私が希望した時代に転生した。と思う、要確認

という事で、ここで早速創作です。
魔力を薄く広く地面に張り、隠蔽をかけました。
目の前の地中に封印の間を作り出します。
オリエが描いた封印の間の断面図、側面図、設計図、それと入り口の扉、その後の小さなダンジョン、最後に外に面することになる祠、あ、忘れてはいけないディメンションルーム用の部屋、これら全部を頭の中でイメージする。
私は能力「解放」を使用した。

 「創作のスキルを解放」
 
 ※注 解放スキル:私だけのオンリー・ワンスキル 
自分、他人のスキルを解放することで私の意思で使用、取得、付与することが出来る
 
 地面が光に包まれた。
 「創作のスキルを発動」
 
地面を包み込んだ光が徐々に消えて行った。

創作は成功、完了した。
目の前に祠が出来ました。

「我ナリスが命じる、扉よ、開け」と言って手をかざしてみました。
扉が開いたので中に入り、しっかり扉を閉めて、魔力を解放しました。
通路の天上に等間隔で明かりが灯りました。
順路は分かっているので迷わずに進み、最後の扉の前につき、扉に近づくと扉が光だして軽く押すと開きました。
転移門を印し、これでいつでもここに転移で戻ることが可能になりました。
そして、ディメンションルームの出入り口は無い、魔法で出し入れする窓を作れば完成。よおし。早速硬貨と飲み物と食料、熊の干し肉、ポーション等を中に入れました。

ちなみに今回、私の所有しているスキルは

転移・捕獲・創作・時間移動・解放・隠蔽

索敵・鑑定については転生及び、神の加護、神の恩恵と一緒に隠しスキルとして所有しています。

転移  :転移門を印した場所に瞬時に移動が可能
捕獲  :標的を気づかれる事なく捕獲、連れ去ることが出来る
創作  :何もないところから思いついたものを自由に作ることが出来る
時間移動:時間の移動が可能(制約あり)
解放  :自分、他人の能力を解放することで自由に使う事が可能
隠蔽  :隠すことに特化しています。


幸先のいいスタートです。この後はオルレアン王国のお城のあった場所に行って神楽の封印の間を作る。その後は神楽が今どこにいるのか、探さないといけません。
あとは、アスナ、アリアン、ウィンディそして魔王の封印の間を創作する事がこの時代でする事。

外に出て、村に戻るというか通過するような道筋になりますね。
街の様子も一応見てみようかと街の方に向かったらすぐに声が聞こえました。
「おい、ガキが一人生きているぞ」
この感じは敵でいいよね、索敵でみると相手は五人、何故この人たちって上から目線なのだろうか?自分たちは殺す側としか、考えていない、不思議な人達です。
敵が準備完了まで待つ必要もないので、踏み込んで相手の剣を抜きそのまま喉を突き刺しました。
油断と言うか、想定してないからでしょうけど、五人とも同じように倒しました。
当然持ち物検査、お?金貨とか持っている、盗賊って儲かるのかな?

何かの報酬とか・・・身に着けている宝石等も確認、武器防具、ショートソード(短剣よりちょっと長い)と額当て、脛当て、手甲をもらっていくことにしました。
ディメンションルーム、大活躍です。

街につながる道に、一応見張りを置いていたのかな?
街の外から見てすぐわかるようなところ、屋根の上に見張りが立っています。

街には入らず、気づかれないように迂回して目的地を目指すことにしました。
しばらく行くと
「すみません、助けてくださいませんか?」と声がした。
こういう時は聞こえないふりで通りすぎようとしたのですが、目の前に人影が飛び出して来た。

どう見てもシルビア様です。
「すみません、母が足を怪我しています、助けてください。」

「私を盗賊の一味とは思わなかったのですか?」
シルビア様
「え、あ、あの、思いませんでした。」
母ってフラン様だよなぁと思いながら案内され、ついて行くと、やっぱりフラン様でした。
フラン様
「すみません、ご迷惑をお掛けいたします。」
さて、どうした物か・・・・

私は隠蔽をかけて、魔法障壁を絨毯のようにして、二人を上に乗せ、私も乗って「空中移動」を唱えて魔力を解放しました。
魔法の絨毯の出来上がり、木の少し上まで登り、そのまま移動を行いました。
って、なんで早く気が付かないかな?歩かなくてよかったじゃん・・・・
とりあえず、街から離れて、
「どこに連れて行けばいいでしょうか?」と聞いてみた。
フラン様
「ロット伯爵の屋敷までよろしければお願いします。」
タクシーだな 笑
ロット伯爵・・・なんか聞いたことあるような?

「すみません、そのロット伯爵様の家がわかりません。どっちの方向かわかりますか?」
フラン様
「たぶん、東の方向かと思います。」
げっ

「では、時間はかかりますが、盗賊に会わないように迂回しながらここより東方向を目指します。」
フラン様
「よろしくお願いいたします。」
シルビア様
「あの、ところでこれは一体何でしょうか?」
これ?
シルビア様
「この乗り物なのですけど」

「空飛ぶ、魔法の絨毯です。」そのままかよ

襲われた街を左手に見ながら、回り込んで私の目的地より左方向に移動中
「前から大勢が移動してきます。見方でしょうか」
フラン様
「あれはロット伯爵様の旗です。味方です、助かりました。」

「空中移動、解除」、隠蔽も解除して地面に降りて、団体様が近くに来たので、
「では私はこれにて失礼いたします。」
二人が引き留める前に隠蔽をかけて姿を消しました。

あの大軍はこの後二人を保護、街に盗賊の討伐に向かうはず、という事は私の方も今がチャンスかな?

急いでオルレアン城のあった場所に向かいました。
馬車で六日ぐらいかかる距離だったけど、馬車って時速十キロぐらいの速度でしょうか?という事は、一日八時間は馬も走りたくはないだろうけど、仮定すると十×八×六で五百キロぐらいの距離って事かな?
時速三十キロの速度で飛んで行くと、十六か十七時間、休憩も入れながら三日もあれば着きますね。
空を飛んでいるので障害物とか、関係なく一直線に進んできたので二日で到着しました。

そういえば、ここって少し広かった気がします。
魔力を薄く広く地面に張り、隠蔽をかけ、目の前の地中に封印の間を作り出します。
オリエが描いた封印の間の断面図、側面図、設計図、それと入り口の扉、通路に階段、最後に外に面することになる祠、これら全部を頭の中でイメージする。
私は能力「解放」を使用した。

 「創作のスキルを解放」
 
 ※注 解放スキル:私だけのオンリー・ワンスキル 
他人のスキルを解放することで私の意思で使用、取得、付与することが出来る
 
 地面が光に包まれた。
 「創作のスキルを発動」
 
地面を包み込んだ光が徐々に消えて行った。

創作は成功、完了した。
目の前に祠が出来ました。

「我ナリスが命じる、扉よ、開け」と言って手をかざしてみました。
扉が開いたので中に入り、しっかり扉を閉めて、魔力を解放しました。
通路の天上に等間隔で明かりが灯りました。
階段を下りて行き、最後の扉の前、扉に近づくと扉が光だし、軽く押すと開きました。
転移門を印して、これでいつでもここに転移で戻ることが可能になりました。
イメージ通りに少し広めになっています。

そしてここからなのですが、どうしましょう。
この祠の前ってちょっと広めの部屋があってそれから城の中、謁見の間につながっていました。

もう一度、創作スキルを解放、オルレアン城をイメージしてみました。
こんな城誰が作ったのだろうといつも考えていましたが・・・・
秘蔵書物の書庫、あれも一緒にイメージしておきます。中身の書物も一応準備しておいて、そうかここに転移門があれば随時追加しに来られる。それで行きます。

途中省略・・・

私の創作スキルだったのか、お城が完成しましたが、あとの事はしりません。
一夜城の完成です。

あ、そういえばランカスター城って私の魔力を吸収することが度々ありましたけど、あれも私の創作かな? って、あれ・・・・という事は城の下には封印の間がある。
そうか、先に作っておけば転移で来られるのだし、どこで魔王が倒されてもいいのか。
急いでランカスター城のあった場所に向かいました。
着いた頃には夜が明けて来そうだったので、転移門を印して、一旦ランカスター城のあった場所からオルレアン城封印の間に転移して寝ることにしました。

次の日の夜、ランカスター城のあった場所で、オルレアン城と同じように封印の間を先に作り、ランカスター城を思い出してイメージ、創作スキルを解放して完成。

一夜城が二つも出来た。明日からこの辺りは大騒ぎですね。
数千年もこのままの状態を維持出来るのは、私の魔力で保護されているのかな?
まあぁ、いいか 細かいことは後回し、これで三か所の封印の間が完成です。
今日はここで、休憩、今日も熊の干し肉と飲み物で腹を満たして、寝ました。

崖の所にあったマリアさんの家、あれは、今作っても無意味だよね・・・
あ、基礎だけ準備してみよう。
次の日、夕方ごろ出て、暗くなってから到着しました。

崖の所で海を眺めて、良い処だよねホントに、ただ、この岩山の崖に良く基礎を作ったなって不思議に思っていたのですが、これも私だったとは、という事でちょっと手の込んだことをしてみます。
下水は途中で貯めて、分解、消臭、解毒、殺菌するようにタンクに記述して、その後下まで落ちて海に排出、それでいこう
ずっと自分には隠蔽をかけてきましたが、魔力障壁を地面に薄く張り、隠蔽をかけ、崖の上に下水の穴とタンク、家の基礎、なんて便利な「創作」スキル、イメージと思った事がそのまま実行できる。

途中省略・・・

基礎の完成です。
これで、この国でやっておくことは終わりました。
情報収集に行きますか、一応この近くに転移門を印して出発です。



★ロット領★

次の日
ロット伯爵様の領地にある街を目指してみることにしました。

とりあえず東に向かっていけば、あるのではないか、なぁ 笑
地図を思い出してみると東には他の国があったと思います。ロット領は防衛線ということですね。
あ、それは数千年先の話か、今はもしかして首都?かな

街道らしい道に出たので道沿いに、これは北上、そういえば南に港町がありましたね。
現在の首都と港町を結ぶ街道でいいのかな?

時々人とすれ違うようになりました。が、皆が変な目で見てきます。
なんだろうな・・・
街が見えてきました。
街の入り口に守衛門があり、通行人のチェックが行われています。
守衛さん
「ん?見ない顔だな、ランス・ロットの街へ、ようこそ」

「はい、初めて来ました。」
守衛さん
「街には何をしに来た?」

「出来れば、食料を買いたいです」
守衛さん
「通行料 銀貨一枚必要だ、入ったら冒険者ギルドに行って登録してきな、登録証を見せれば、出る時に返してやる」

「わかりました。」
ポケットにジャラジャラ入れていた硬貨を探って、銀貨一枚を渡して、街の中に入れました。
いい匂いがしています。
パンに焼いた肉を挟んだものが売ってあります。
これって言うなら、ホットドックかな?
一ついくらするか聞いてみると、銅貨五枚、買って食べました。うまい!

食べ終わってのんびり歩いて冒険者ギルドを探し、見つけて中に入ってみました。

カウンターの受付で冒険者登録をお願いした。
受付のお姉さん
「こんにちは、初めまして、私、当冒険者ギルト受付のエミリーと申します、よろしくお願いいたします、冒険者登録ですね、かしこまりました。」

ここに記入をしてくださいと紙を渡された。
氏名、年齢、良く使用する武器、へえ、珍しい
ナリス、十二歳、短剣と記入して受付をしてもらい、カードを受け取りました。
Fランクです。
受付のエミリー
「冒険者登録証はFランク、Eランクの方は二月の間クエストクリアが無い場合登録抹消になりますのでお気を付けください。Dランクの方は三か月、Cランクの方は六か月、Bランクの方は一年、Aランク以上の方には抹消期間はございません。」

何か今出来るクエストはありますか? 一応聞いてみました。
受付のエミリー
「薬草採集、これは常時、受付ておりますので、よろしくお願いします。」
薬草採集なら得意

「それ直ぐやります。」
しばらくして、
「ではこれがクエストの依頼書になります。薬草五束集めてください」
はい、わかりました。ありがとうございます。
と振り返ると、なんかすごく怒っているおっさんが立ちふさがっていました。
おっさん
「おい、お前、その額当て、どうした?」

「これは、爺ちゃんを殺した男が付けていた物です」
それは俺の弟が身に着けていた物だ。

「貴方の弟さんかどうかは私にはわかりません。あと武器はショートソードでした。」
おっさん
「その爺さんの敵は討ったのか?」

「はい、この短剣で、喉を突き刺しました。」
おっさん
「俺の弟はロングソードを使っていた、どのみちもう生きてはいないか、小僧情報をありがとうな、その額当ては良かったら使ってくれ」

「はい、ありがとうございます。」
ギルドを出て守衛さんのいる出入口に行き、冒険者登録証を見せたら、銀貨一枚を返してくれました。そのまま薬草採集に行くと伝えて街の外に出て、森の方に行こうとしたら守衛さんが大声で魔物が出るから気をつけろと叫んでくれていました。
手を振ってこたえ、森の方に走りました。
いやいや、薬草とかそこら中に生えています。大量です、五束と言わず三セット分、十五束を集めて冒険者ギルドに戻りました。
受付のエミリー
「薬草五束で報酬が銀貨一枚となります。今回は銀貨三枚のお支払いとなります、どうぞお受け取りください。」
銀貨三枚を受け取って、クエスト依頼の募集掲示板を見てみると、「勇者の従者募集」と言うのが目に入った。

受付締め切りと選抜試験の日付が記載されている。受付に選抜試験の日を聞いてみた。
受付のエミリー
「選抜試験は本日行われております。見学は自由ですよ、行ってみますか?」
はい
選抜試験は伯爵様の屋敷の前の広場で行われている、伯爵様の屋敷はギルドを出て右に行き、しばらく行くと右側に大きな屋敷が見えてくるからすぐわかるそうです。
たしかに大きな家が見えたけど、左側にもあるぞ?
ここが首都ならあっちは王家とか?
屋敷につくと野次馬がいっぱい、勇者神楽の従者募集と書いてある。
ここは神楽が儀式召還されたばかりの時代だったのか

きらきらジジィめ、やるなぁ
あ、いやいや、という事は討伐まで十年以上かかるってことか・・・・

でも最大の難関はクリア出来た。

神楽を簡単に見つけられたのは素晴らしいことだ、苦情を言ってはいけない。
うん、うん

あ、さっきのおっさんがいる、がんばれぇ


冒険者ランクを上げると登録抹消期間が長くなるから私もランクを上げる事にします

冒険者ランクは完了したクエストの数でDランクまでは上がる、Dランクで規定数のクエストをクリアすると、Cランク昇格試験があり、合格する必要がある。

少しの間、従者選抜試験を見ていましたが、ギルドに戻り再度クエストクリア数を増やしに行こうと思います。
冒険者ギルドに戻ると
受付のエミリー
「お帰りなさい、どうでしたか、選抜試験の方は?」

「見ていたら、冒険者ランクを急いで上げたほうが良いと思って戻ってきました。」
受付のエミリー
「ナリス様は、Fランクですが、一つ上のEランクのクエストまで受ける事が出来ます。それと薬草採集を三回分クリアされていますのであと二回のクリアでEランクに上がりますよ。」

「薬草採取、二回やります。あと何かEランクのクエストはありませんか?」
受付のエミリー
「Eランクのクエストは毒消し草の採集があります。」

「それも同時にやれますか?」
受付のエミリー
「同時進行は可能ですが、少し森の中に入らないと探せないと思います、少々危険になります。」

「大丈夫です、二つ同時にやります。」
受付のエミリー
「承知いたしました。では依頼書を準備いたします。」
ジーク・レイン
「おい、小僧、俺はここのギルドマスターをやっている、ジーク・レインと言う者だ、よろしくな、ジークと呼ばれている。」

「ナリスです、よろしくお願いします。」
ジーク・レイン
「ナリスか、良い名前だな」
ギルドマスターを名乗ったおっさん、ジーク・レインさんは気まずそうな面持ちで、
「ああ、お前に頼み、いや、ギルドから指名クエストを依頼したい」

「指名クエスト?」
受付のエミリー
「指名クエストは特定の冒険者様にギルドから直接依頼を行うものです。お待たせいたしました。こちらが薬草及び、毒消し草採集の依頼書になります。」
ジーク・レイン
「おい、お前ら、ちょっとこっちに来てくれ」
ギルドマスターから呼ばれたのは、二人のハイエルフ?
ジーク・レイン
「えっと、アイラとレイラだ」
はぁ?
ジーク・レイン
「悪いのだが、この二人に薬草採集を手ほどきしてくれないか?」
え?
アイラとレイラ
「すみません、よろしくお願いします。」
ジーク・レイン
「冒険者ギルドに貸しを作るとあとでいいことがあるかもしれないぞ?」
無いかもしれないじゃん
受付のエミリー
「ギルドからの正式な依頼書を作成いたしました。薬草の見分け方、採集の手ほどきになります、残念ながらこのクエストに対しての報酬はありません。」
アイラとレイラ
「冒険者になりに出てきたのですけど、何もわからなくてお金も無くなって食べるものも無いのです、助けてください。」

「それって、薬草採集を一緒にやればいいってことですか?」
ジーク・レイン
「まあ、そういう事だな」

「では、今から出かけますから、一緒にいきましょう。」
アイラとレイラ
「あの、でもお腹が減って動けません。」

「そうですか、じゃあ、そこで餓死してください。」
アイラとレイラ
「あああ、待ってください、いきますから」

「動けるじゃないですか」
アイラとレイラ
「お腹が減って死にそうです。」

「お腹が減っただけでは死にません。」
ギルドを出て歩いているといい匂いがしていて、さらに二人が泣き出しそうな顔になりました。
はぁ
ホットドックを三個注文して、銅貨十五枚を支払い、一個ずつ食べました。
本当にお腹が減っていたのね、涙をこぼしながら食べています。
うまい 笑
街の出入り口の守衛さんにギルド登録証を見せて、また、薬草採集に行ってくることを告げ、街を出ました。
薬草の見分け方を説明して、鑑定スキルがあれば楽なのですが、二人には見分ける事が出来るようになってもらうという事で、これだと思ったら私に見せる、私が確認して採集、一人三セット分集めて、もう少し森の奥に入り、毒消し草を探します。
毒消し草は緊急時には、そのままかじっても大丈夫なので、しっかり覚えてもらわないといけません。
毒消し草も一人三セット分採集が出来たので帰ろうとしたのですが、魔物と遭遇しました。
猪です。
ウサギとかだったらよかったのに、こいつは早いし、突進してくるし、重いし・・・
二人はと見てみると、戦う気はないようです、冒険者あきらめて帰れと言いたい
あ、こっちに気が付いた、戦う気満々?面倒くさいなあ
猪が突進してくる前に私の方で走って近づいて・・・・案の定後ろの二人もあわててついて来る・・・あの二人邪魔だ、避けると後ろの二人にぶつかります。

という事で、ジャンプというか、頭から猪の背中に向かって飛び、短剣を抜いて上から首辺りに突き刺しました。
まあ、勢いは止まらないので二人に激突、止まったところでもう一本の短剣で首を刺して窒息するのを待ちます。動かなくなったら首の方の短剣で少し切り開き、逆さに吊るして血抜きをします。
そう、この重いのを吊るして・・・

レイラが回復魔法を使って傷を治しています。
アイラは火属性の魔法が使えるそうです。なので、アイラが倒してレイラが回復、ナイスな二人だと思って出て来たそうです。
どうやって持って帰ろうか悩んでいると、おーいと呼び声が聞こえてきました。
ギルドマスターのジーク・レインさんと守衛さんたちが遅いから様子を見に来てくれました。
ジーク・レイン
「こいつ、ナリス、お前がやったのか?」

「はい」
ほう、と言う顔をして、にやにやし始めたギルドマスター・・・
「よし、お前帰ったらDランクに昇格させてやる。猪退治のクエスト依頼書を作成してもらえ、Dランクポイントもつくぞ、この猪は俺たちが引き取る、いいな」
それは助かる

皆で街に戻って、冒険者ギルドで薬草、毒消し草を引き取ってもらって、Dランクに昇格、猪討伐クエストの依頼書をもらって、クエスト完了の手続きから報酬をもらいました。

薬草が三回分で銀貨三枚、毒消し草が三回分で銀貨三枚、猪は銀貨二十枚になりました。
二人も銀貨六枚が手に入ったから今日の宿代、食事代は余裕ですね。

次の日から
薬草及び毒消し草の採集と猪討伐を三人でやって、一日猪を二頭倒してポイントと報酬を稼いできました。二人が猪の報酬は一頭につき、私が銀貨、十枚で自分たちは五枚あればいいと言ってきたのでそれで分けています。

三週間ほどこういう生活をして来ましたら、受付のエミリーさんから
「ナリス様、Dランクポイントが溜まりましたので、Cランク昇格試験を受ける事が可能となりました事をお知らせいたします。」
アイラとレイラも今はDランクに昇格しております。
当然Cランク昇格試験を受験すると告げて、手続きはどうしたらいいのかを質問しました。
ギルドマスター、ジーク・レインが出てきて
「ナリス、Cランク昇格試験か、ちょっと来い」
と言われてギルドの裏口から出て、練習場かなと思える広場に来ました。
ジーク・レイン
「よし、Cランク昇格試験開始だ、かかってこい」
え、いきなり?
ジーク・レイン
「俺がやると言ったらやるし、合格と言えば合格だ」
なるほど
短剣を抜いて、一気に近づいて、一歩手前で左右に揺れてから、攻撃を仕掛けました。
ギルマスは右に体をずらして避けながら、剣で私の短剣を払いのけた。
ジーク・レイン
「お前、短剣を二本持っているが、両手で扱えるのか?」

「はい」
ジーク・レイン
「ふむ、よし、いいだろう、合格だ」

「え?これだけで、いいのですか?」
ジーク・レイン
「はぁ、お前何を言っている、俺相手に恐れることなくサクッと攻撃してくるやつはめったにいないぞ? それにいい攻撃だ」
そうですか・・・・
ジーク・レイン
「お前、俺を殺そうと思えばいつでも殺せるぐらいの技を持っているだろう?」
技ですか?
ジーク・レイン
「まあ、いい、Cランク登録をしてこい」

受付のエミリー
「Cランク昇格おめでとうございます、Cランクからはダンジョンへの入場が可能となります。ただし、ダンジョン内では人間同士の争いも許可されておりますのでご注意ください。」
ダンジョン?
人間同士の争い・・・そんな危ない処には行かなくてもいいかな
受付のエミリー
「ダンジョンは一人につき銀貨、一枚の入場料を支払っていただくことになっております。」
入場料払って、危険なところに?
受付のエミリー
「ダンジョンは現在、地下何階まであるのか分かっておりません。Aランク冒険者のパーティの最高到達階が地下九階です。」
なるほど、最初に十階クリアを目指している冒険者がいっぱいいるわけだ。
受付のエミリー
「ダンジョンで得たモンスターからのドロップ品、鉱石、宝石等について必要のないものはギルドで買い取りをしております。」
ドロップ品?
受付のエミリー
「ドロップ品には武器、防具等、マジックアイテム等が確認されております。」
ジーク・レイン
「ナリス、話の途中割り込んで悪いが、お前、この街にくるときに城を見なかったか?」
はい?
ジーク・レイン
「この街から西に行ったところにいきなりでかい城が立ったそうだ、さらに西に行ったところにも城が立っているのが確認された、どちらも無人だと報告されている」

「では、早い者勝ちですか?」
ジーク・レイン
「あほか、王族と貴族が調査をして、この国のお偉いさん達が決めるだろう、それに勝手に住んでいましたではその後すまないだろう、どうやって建てたのか拷問されるぞ」
それは、怖い
ジーク・レイン
「なんだ、興味なさそうだな」

「はぁ、お城とか私には関係ありませんから」
アイラとレイラはうっとりしながら何やら妄想の世界に旅だったようです。

王子様も敬遠しそうな二人だ・・・とか思っていたら
「今、大変失礼な事を考えていませんでしたか?」って、おお、するどい

「いえ、別にそんなことは」あります

二人はお城見物に出かけてきたらどうですか?私はその間、ダンジョン探索に行ってみますからと言ったらジーク・レインが
「お前、ソロで行く気か?」

「はい」
呆れたやつだな、まあいいか、がんばってこい


★初ダンジョン★


次の日
受付のエミリーさんにダンジョン入口の場所を聞いて、登録証を見せる事そしてくれぐれも気を付けていくことを注意され出かけました。
いつものホットドックを一つ食べて、二つお弁当に持っていくことにしました。
三つで銅貨、十五枚、入場料が銀貨、一枚、これが必要経費、さてと利益は出るでしょうか

ダンジョンの入り口が見えてきました。その手前に休憩?待ち合わせかな、ガラの悪そうなやつらがこっちを見ています。
入口で登録証を見せ銀貨一枚を支払いました。
今日はまだ誰も入っていないそうです、通常は誰かが入った後一時間たたないと次の者は入れない決まりになっていると教えてくれました。
これがダンジョンの入り口か、転移するのかな?
ダンジョン一階、とりあえず右に行きます。
なるほど、通常なら次の者が入ってくるまでに出来るだけ先に進む方が良いわけだ、今日は新顔の私を見たら、一階をマッピングすると思うだろうなあ、という事は邪魔をしに来るあほがいる・・・と
トラップと思われるものは全部起動して行こう。
お?落とし穴とかあったらそのまま二階に降りられるのかな? 楽しみ
えっと・・・もしかしたら、一階にはモンスターは出ないとかかな、全然遭遇しない。
あ、隠蔽かけているからか・・・・隠蔽解除して索敵起動
あれ?もう一時間経ったのかな?後ろから四人組が来ている。
速度が上がった、あ、今隠蔽解除したから私を見つけたのか、面倒くさいのが来たなあ
「おぉい、待てやぁ」
後ろを振り返ると、剣を抜きながら走ってきています。
「ガキがソロで来るとか、生意気なんだよ、死んで後悔しな」

後ろの方で魔法を唱えているのが見える。睡眠かな?状態異常・・・身体強化どっちだろ、取り敢えず、魔法障壁を薄く強く張って見た。
短剣を二本抜いて、先頭を走ってくるお馬鹿さんが振るってきた剣を流して、もう一本の短剣で剣を握っている指を切り落とした。
カラン、剣が地面に落ちた音です。
二番手に来たでかいお兄さんは落とした剣を茫然と見ているお馬鹿さんが邪魔で立ち往生しています。

お馬鹿さんの首を短剣で刺して、立往生しているでかいお兄さん右足股関節を短剣で刺すと持っていたハンマーを落としてうずくまったので、そのまま首を刺す、残りの二人は盗賊と回復担当かな?落ちているハンマーを手に取ってそのまま二人目掛けて放り投げた。横にくるくる回転しながら二人に向かって飛んでいくハンマー、当然相手もそれを避ける、そこに短剣を投げて命中。盗賊風の男の足に刺さって横に倒れた、起き上がるところを首に短剣を刺す、魔法師はハンマーを避けきれなかったみたいで仰向けに倒れていたので、やっぱり首を短剣で刺した。
この四人もCランク以上ってことだよね、大丈夫か?ここのギルド、弱すぎだろ
持ち物検査タイム!
四人の武器、剣、ハンマー、杖、短剣、硬貨は金貨が十二枚、銀貨は数えるのが面倒、銅貨もいっぱい、ネックレス、指輪、腕輪、額当て、魔法でも付与されているのかな?
ディメンションルームに入れて、めぼしいものは無いか眺めていたら全員が転送された。死亡すると外に出される?まぁ、ここに死体が転がっていても後続の邪魔だし、そっちの方が良いのか。

では気を取り直して先に進みましょう。
通路の明らかに変な突起物、壁にある四角い切れ目、トラップのスイッチだよね
どんな罠か想像をして安全地帯だと思うところに立って、スイッチオン
突起物を踏むと上から槍が数本突き出してきてそのまま収納されました。
壁の切れ目は床が落ちて下に尖った岩が落ちてくるものを串刺しにしようと立っています。
床が落ちたのではなくて開いた?しばらくすると閉じて元の通路に戻りました。
動力は・・・魔力かな
二時間ぐらい歩いていると壁がレンガ風になってきました。って十メートルぐらいで不通に岩壁にもどっている。
なにかある!
レンガの壁を調べると扉っぽい、開けるためのスイッチがどこかにあるはず、と思って辺りを探索、レンガの一つが押せるとか、端から一個ずつ押してみた。
三十個目ぐらいのレンガ、天上辺りにあるので少しよじ登って押すと扉が開いた。よく見るとそのレンガの色が少し赤い、覚えておこう。
中に入ると小部屋に机が一つ、上に小さい箱が一つ、箱の前に手紙?が一枚
「隠し部屋を探し出した貴方には贈り物があります。どうぞ受け取ってください。」
箱を開けると扉が閉まった。・・・・あれ?
中には指輪と説明書?
「指輪をはめて、脱出と唱えると外に出られます。」
脱出の指輪ゲット
おや?扉が閉まった、という事は強制使用? いや待て、待て、早まるな、例えば箱を閉めてみるとか?指輪だけ取って箱を閉めてみると、扉が開いた。ビンゴ!

通路に出ると扉は締まりました。
お腹が減ってきました。お昼の時間になったのかな?持ってきたホットドックを食べながらマップを整理してみると入口から右に行ってぐるっと回って入口に向かって歩いているような気がしています。
途中わき道に外れていくと行き止まりで元の通路に戻っていましたからここ一階は入り口から入るとまず真っすぐにいくのが正解という事ですね。
誰もが同じことを経験しているだろう?いや情報が出回っていると初めての者でも真っすぐに進む、さっきの隠し部屋が見つかっていないのも納得できました。
食べ終わって一時間程度歩いたところで入口に戻りました。
ちょうど、入口から他のパーティが入ってくるところでした。
「なんだ、お前そこで何をしている」

「入って右に行ってそのまま、進んでいたらここについたところです。」
知らないパーティの人
「なんだ、情報もらってなかったのか?無駄な時間を過ごしたな、でこれからどうする?」
今日はこのまま外に出る事を告げて、分かれました。
外に出てダンジョン初日終了
と、外にはお馬鹿さん達の死体が横たわっていました。
守衛さんから呼び止められて登録証を見せてくれと言われ見せると、「ちょっと待っていてください」と言って守衛室に入って行った。
出てきたのはギルドマスター、ジーク・レインさん
「戻って来たかナリス、待っていたぞ、お前入って右か左に曲がって全ての通路を歩いてきただろ、それもかなりゆっくりと、楽しめたか?」
良くわかりましたね。
「一階は今言った順路だと四、五時間ぐらいかかるってことは分かっている」
なるほど
ジーク・レイン
「ところでナリス、こいつらお前か?」

「はい、中に入ってすぐに「死んで後悔しろ」とか言って襲ってきたので、返り討ちにしました。」
守衛さんたちから驚きの声が上がっています。

ジーク・レイン
「こいつら、かなり持っていただろ」

「はい、全員で金貨が十二枚、銀貨、銅貨は数得るのが面倒なぐらいです」
ジーク・レイン
「こいつら、Aランク昇格試験を受けられる実力者だ、最近ダンジョンでの冒険者の死亡が多くて、こいつらには注意をしていたのだが、証拠がなくて、手が出せなかった」
悪者だったのですね、やっぱり
ジーク・レイン
「そこで、お前に相談なのだが、こいつらとたぶん、こいつらに殺された被害者の葬儀代を出してもらえないか?」
たぶん被害者だろう人達の埋葬もギルドで費用を負担してきたらしい・・・
まあいいか
ディメンションルームからハンマーと金貨を一枚出して、渡しました。
ジーク・レイン
「おい、何だ、今のは?」
魔法の収納バックとだけ答えました。
ジーク・レイン
「金貨一枚とは奮発してくれたな、あとこのハンマー高級品だぞ、金貨一枚どころの話じゃない、いいのか?」
それ重たいし、いらないから、引き取ってください。

お馬鹿さん達がダンジョン前にいる時は探索を止めるパーティが多かったそうで、今回の件はあっという間に冒険者ギルド及び街に広まりました。
Aランク級パーティが一人にやられた、ソロの小僧にダンジョンで会っても手を出すなと情報が流れているようです、まあ、面倒事が減って、良いかもですね。

次の日
ダンジョン地下二階を目指しました・・・って入口から真っすぐにいくとそのまま階段とか、マジかってつい声が出てしまいました。

二階も魔物とか全然遭遇しない、あ、他のパーティが倒しているからいないって事?

前に人影が見えます。
何かあったようです、野次馬なので見に行きます
回復担当が怪我をして気を失っているようで、他のメンバーがしょうがないから戻ろうと話をしているところでした。
この人たちポーションも持っていないのだろうか?
私に気が付いた一人が「え、ソロの子供?」
かまわずに中級ポーションを倒れている人に少し飲ませて、残りを傷にかけました。ジュと音がして白い煙が上がり、傷が治りました。
お礼ぐらい言えよと思いながらそのまま先に進んだのですが、ソロの子供ってことで怖くて声も出なくなったって話を後日、耳にしました。

ダンジョン内で私と遭遇した人は皆、片手を挙げて友好を示してきます。
私もペコリと会釈をしてその場を離れるようにしております。
冒険者ギルド及び、酒場での話題は、ダンジョン内で私と遭遇した事だそうです。

アイラとレイラが二つのお城見学を終えて帰ってきました。
Dランクポイントがもうすぐ溜まるのでCランク昇格試験を受けると張り切っております。
「がんばってね」
アイラとレイラ
「そんな他人事みたいに」

「え、他人事だし、昇格試験は個人の力量で判断されるから、頑張るしかない」
問題はこの二人、ダンジョンに入ったら即誰かに襲われるだろうなぁ・・・

薬草採集、毒消し草採集をやりつつ、森の魔物討伐クエストをやって、小銭とポイントの両方を稼ぎに行こう
火属性の魔法を猪の鼻に当てて口を開けたら、さらに口の中に撃ち込むとアイラ一人で倒すことも可能ではないだろうか?良し今日はそれを試してみよう。
ジーク・レイン
「ナリス、出かけるのか?ちょっとまってくれ」
はい?
ジーク・レイン
「一人も二人も三人も同じだろ? もう一人、面倒を見てくれないか?」
え?

ジーク・レイン
「そんなに露骨に嫌な顔をするな、本人いずれは聖騎士になりたいそうだ」
そうですか・・・
ん?なるほどこの二人にとっては欲しい職ってことか
で?
どこにいるのでしょうか?
ギルドの出入り口の扉が開いて
「おはようございます。」と一人の少女?が入って来た。
ジーク・レイン
「遅いぞ、こっちに来い、今話していたのがこいつだ」
ソフィー・マルセル
「初めまして、ソフィー・マルセルと申します、よろしくお願いします。」
アイラ
「アイラです、火属性の魔法を使います、よろしくお願いします。」
レイラ
「レイラです、回復系魔法が使えます、よろしくお願いします。」

「ナリスです」
ジーク・レイン
「ランクはFだ、薬草と毒消し草の採集に連れて行ってくれ、ついでにポーションの作り方も伝授してくれたら助かる」
それもギルドへの、貸しなの?
ジーク・レイン
「おお、それで頼む」と、がははと笑い出した。
がはは、じゃねぇよ、がははじゃ・・・・
ソフィーに薬草と毒消し草のクエストを受けてもらっていつものパン屋さんで朝食をとり、お弁当を買って出発です。
歩きながら今日は猪を見つけたら、私とソフィーは下がるのでアイラとレイラで倒してください。
アイラとレイラ
「え、無理、無理、死んじゃいますよ」
本当にこいつらってバニラとチョコそっくり・・・
猪と対峙したら、二人とも避ける準備をして、アイラが魔法を猪の顔、出来れば鼻に向かって撃つ、当たっても止まらないだろうから右か左に避ける。
大丈夫、魔法が当たっていたら猪は止まったり、曲がったりしないと思う、怒るか息をするために大きく口を開けたらそこに、二発目の魔法を撃つ、口の中に当たると、それで、倒せると思う。一応避ける準備はしておいて
レイラ
「あの、私はなにを?」

「身体強化の魔法、俊敏とか、防御とか、覚えていたら、かけてやって、アイラの後ろから指示を出す、一発目の魔法を撃ったら、避けるよ、とかさ、分かっていても足が動かないかもだし、背中を押してやる、まあレイラが震えて動けない場合もあるけど」
アイラとレイラ
「わかった、やってみる」
それと今日から薬草と毒消し草のポーションを作ります。
私はウエストポーチを開けて、ポーション三個と中級ポーション三個が入っているのを見せました。
「これは手作りです」
薬草五束で銀貨一枚の報酬ですが、ポーション三個分が作れます。ポーションは一個、銀貨一枚ですからかなりお得です。
三人
「おお」
レイラがいるので、ポーションは緊急用もしくはレイラが怪我をした時用ですね。
アイラとソフィー
「なるほど」
レイラ
「ありがとう」
アイラ
「私達ってずっと薬草をギルドに買い取って貰っているけど余るとか、していないの?」

「大丈夫、中級ポーションの方を作っているだろうから、中級は成功率も高くないから数も多くないしその分高価」
レイラ
「ナリスさっき中級ポーション三個持っていると言っていたよね?手作り?」
そそ
三人
「中級ポーションも作れるの?」
作れるよ?
「何で作れるのよ?」

「作って売らないと生活出来なかったから・・・じゃない?爺ちゃんと一緒にいろいろ試していたら、出来た」
アイラ
「出来た・・・ってそういう物なの?」
そそ
何か言いたげな顔をしていますが、無視です、無視
ソフィーに薬草の見分け方を説明しながら毒消し草のある場所まで移動、毒消し草の場所まで来るときには薬草、四束は採集済み、毒消し草も三束集めて、猪を探しにうろうろ、猪発見、ですがアイラの足がガクガクブルブル、レイラが後ろから話しかけています、ナイスフォロー、私とソフィーは少し離れて様子を見ていました。
作戦通りに火属性の魔法を鼻に見事に当てた、レイラがアイラを横に押し出して猪の突進をかろうじて避けた。猪が止まって振り向き雄叫びを上げたところに二発目の火属性の魔法を撃って、見事に口の中に命中した。おみごと
すぐに首に短剣を刺して、もう一本で首に切り目を入れていき、首を落とし、逆さに吊るして血抜きです。

吊るしたら、ポーションを作る準備を始めました。
小さい竈を三つ作って薪を置いたらアイラに火属性の魔法で点火
ソフィーと私とレイラで川から水を汲んできて、竈の上に鍋をおいて、それぞれでお湯を沸かします。
一つ目の鍋で毒消し草を煮る、色がついて来たらあくとか、ごみをとって、少しだけすくって二つ目の鍋に入れる、良くかき混ぜてこの鍋の毒を消します。この鍋のお湯は捨てます。ここに三つ目の鍋のお湯を少し入れて残った毒消し草を洗い流します。
それを二回やったら、三つ目の鍋も同じように毒を消します。
二つ目と三つ目の鍋に水を入れて沸騰させます。
一つ目の鍋の毒消し草を取り出して捨てます。
あくとゴミをとって放置します。
二つ目と三つ目の鍋が沸騰してきたら、水で洗い流した薬草を入れます。
良くかき混ぜて、しばらく放置して冷まします。
この間に毒消し草の方を処理します。上に浮いているごみが無いか確認して揺らさないように注意しながら上澄み液を小瓶に注ぎます。毒消しポーションの完成です。
沈殿物は廃棄します。水で洗って終わりです。
次は薬草の方を処理します。二つ目の鍋の薬草を取り出して三つ目の鍋に入れます。
二つ目の鍋に浮いている、あくとゴミを取り除きます。
これも揺らさないように小瓶に注ぎます。瓶三本ぐらい取ったら、三つ目にいれた薬草を戻し、三つ目の鍋に入れた薬草も入れます。
三つ目の鍋も同じように、浮いている、あくとゴミを取り、揺らさないように瓶に注ぎます。瓶三本取ったら終わりです。
あ、薬草を二束使ってしまった。
アイラとレイラ
「あ、思っていたけど言えませんでした。ごめん」
ついでだからこの先もやります
アイラとレイラ
「え?」
この足した二つの使用済みの薬草なのですが、上からぎゅうっと押します。
三つ目の鍋の余っている液体も足して、もう一度沸騰させます。
三つ目の鍋を空で熱します。そこに二つ目の鍋に入れた薬草だけを水を切りながら入れます。
焦げないように火加減を調整(鍋を持ち上げて)して水が切れたぐらいで薬草を二つ目の鍋に戻します。
そのまま少し熱します。
「よく見ていてください。成功すると緑の水の色が青に変わっていきます。」
アイラとレイラ
「あ、青くなった。」

「貴方方は運がいい、初めてが、そのまま初めての成功になるなんて」
薬草を取り出し、浮いている、あくとゴミを取り除き、揺らさないように小瓶に注ぎます。瓶三本分ぐらい取ってあとは捨てます。不純物が多くなるからです。
欲を出してまだとれると瓶に注ぐとその分は効き目が落ちますので、苦情が来ます。

ハイポーションと中級ポーションは劣化しないので、作り置きが出来ますが、普通のポーションは一週間ぐらいで交換しています。
ソフィー
「その中級ポーション作りで今まで失敗も多くしてきたのですか?」

「私? 私はこの手順でやって、失敗したことはありません・・・ね」
アイラとレイラ
「じゃあ、製造方法を皆に教えてあげると喜ばれる?」

「その代わり、売れなくなりますけどね」
アイラとレイラ
「それは困るね」
私はこの作り方を初めて人に伝えましたので、知っているのはここに居る四人だけです。秘伝とするとか、誰かに教えて回るとか好きにしてください。
ソフィー
「いいのかい?」
成功率はやって見ないと分かりませんけどね
アイラとレイラ
「今やってみたい」
どうぞ
アイラとレイラ
「ちゃんと見ていてね」

・・・省略・・・

空の鍋に水きりをした薬草を入れて焦げないように火加減を調整して焦げ目がついても何とか大丈夫なくらいで元の鍋に戻します。
そのまま少し熱して成功すると緑色が青色に変わります。
アイラとレイラ
「うぅん、変わらないですね、失敗したかな?」
私はどれどれと寄っていて中を覗き込んでみました。
すると、緑から青に変わって中級ポーション成功しました。
「あ」
つい、アッと言ってしまいました。
これも私の魔力が成功率に関係しているようです。
アイラとレイラ
「え?」

「成功しましたけど、中級はもうお勧めしません。」
アイラとレイラ
「何か成功する原因が別にあるのですね」

「と思われます。」
ソフィー
「何が原因か聞いてもいいでしょうか?」

「はぁ・・・たぶん、私の魔力が影響していると思います。」
ソフィー
「ナリスの魔力?」
はい
ソフィー
「魔力って・・・ナリスは魔法を使えるのですか?」

「使える魔法もあります。でも短剣職なので、近接で戦ってきました。」
ソフィー
「それは、羨ましいですね、私、魔法は使えそうにありません。」

「魔法にもいろいろありますので、攻撃魔法だけではなく、回復、強化とか、試してみてはどうですか?」
ソフィー
「なるほど、身体強化が出来れば戦いやすくなりますね。」
はい
「ソフィーさんはポーション作って予備に小瓶三本くらいは持っていた方が良いと思います。」
少し考えてソフィーが
「ナリスが腰につけているウエストポーチを私も欲しい。」
アイラとレイラ
「私も欲しい」
ええ・・・
そうですね、これ小瓶が六つと、あ?
「もしかしてディメンションポケットがほしい?」
うん、うん
考えておきます。
いや、まだ嬉しそうな顔をするのは早い・・・

ソフィーがポーション作成に挑戦、と思ったのですが、小瓶が無くなりました。
「すみません」
吊るした猪のはらわたを取って、ギルドで換金しに戻りましょう。
ソフィー
「あ、時間があるなら、戦闘訓練をお願いできないでしょうか?」

「もしかして、それもギルドマスターから言われました?」
はい

四人で相手の攻撃を受けるのではなく、受け流す訓練を始めました。
まずは説明をして、あとは反復練習あるのみ、とくにアイラとレイラは敵が目前まで来ることもあるはずだから、怖がって逃げてもどうしようもない、相手の攻撃を受け流しながら他の味方がいる所まで逃げないと駄目です。

もし、二人の所にソフィーが助けに行こうとするとソフィーは敵に背を向ける事になるので、ソフィーが危険になります。
三人
「なるほど」
ソフィーも相手の攻撃を剣で受けていると剣を切られてそのまま自分が怪我をします。
ソフィー
「え、いやいや、それはないでしょ?」
アイラとレイラ
「剣を切るの?」
そうです
三人が、「この人言い切ったよ」どうするって感じで顔を見合わせています。
ソフィー
「剣を切れるなら、鎧も切れますね?」
ですね
アイラとレイラ
「おい、おい」


「でもわざわざ鎧を切りに行くことはまずないです」
どういうこと?

「鎧に持っている武器で攻撃できる距離まで詰める事が出来るなら、私なら敵の腕とか指とかを切りに行きます。切ったら即、喉を突きます。」
アイラとレイラ
「何か、すごく酷いことを言っているけど、それが出来たら勝てるね」
そしてその距離を詰めるためにも攻撃を受けるのではなく、受け流していくのです。
アイラとレイラ
「私達って相手の攻撃を武器で受けても後ろに吹っ飛ばされるね」と笑いながら言った。いやいや笑い事ではありません、その通りです。
一、二年ぐらいかけてやればなんとかなるでしょ。

防御魔法、シールドとか支援を受けている敵には、普通に攻撃しても効果は、期待できません。
そういう時は自分の武器に魔力を込めるといいです。込める・・・? 纏う?
ソフィー
「残念ながら、私には魔力は無いと思います。」

「それは勘違いです、誰でも魔力を持っています。」
私はソフィーに両手を前に出すように言って、出して来た両手を持って、私の左手の方から魔力を少し、ソフィーに流してみました。
ソフィー
「え? あ、何?」
流した魔力がソフィーの体を巡って、私の右手に戻ってきました。

「わかりますか?」
少し流す魔力の量を増やしてみます。
ソフィー
「ひぃ」
流していた魔力を止めて、手を放します。

「どうですか? まだ体中を魔力が巡っているのがわかると思いますが?」
ソフィーが自分の手を見ています。

「剣を持って、魔力でその剣を包む感じで、切りかかるとすごい威力になります。」
ソフィーが早速剣を持って魔力を纏った剣を振った、その瞬間、ソフィーは膝をついて「何、この脱力感・・・立てない」
現在のソフィーの魔力の使用量の限界は剣の一振りという事ですね。
魔力量と魔力の一度に使用できる量を上げて行くのです。
アイラ
「ちょっと、ナリス、私にもさっきのやつやって見てくれない?」
とアイラが両手を出して来た。
私はアイラの両手を持って、ソフィーと同じように魔力を流してみました。
アイラ
「ひぃ・・・・なに、なに」
私は魔力を止めて
「アイラは自分の魔力量を今まで気にしてこなかったでしょ、でも今自分がかなり、すごい量の魔力を持っていることが分かったはずです。今度から通常は魔力を抑えて詠唱の時に使う魔力量を瞬間的に増やすよう、意識してください。」

レイラがこっちを見て笑いながら両手を差し出していました。
同じように両手を持って魔力を流してみました。
レイラ
「ひぃ・・・これか、二人の気持ちが今分かった」
レイラが続けて
「まって、ナリスまだ手を離さないで、ああ、あ、あ、ひぃ・・・」レイラが手を離しました。
レイラ
「はぁ、はぁ・・・今私、私の魔力の限界?魔力量が増えた気がする」
それを聞いたソフィーが立てないのに両手を差し出して来た。
ソフィー
「私ももう一度お願いします。」
両手を持って再度魔力を流してみました。
ソフィー
「ひぃ・・・あ、あ、もうちょっと」
ソフィーが手を離して
「レイラの言ったことがわかりました。」と大の字になって
「マジで動けません」と笑って言った。

この三人もしかして、この時代に名前を残すのかも知れない。

この日から薬草、毒消し草を採集してポーションを作成、戦闘訓練と魔力の流れを意識する体感、限界を超えると魔力が増えるらしいけど、感触としては電気ショックみたいなものでしょうか?かなり苦しそうです。

ソフィーが武器に魔力を纏う事になれて来たみたいです、一度ではなく数回、纏ったまま剣を振っています。
そして三人に攻撃を受け流す際に自分の武器に魔力を纏ってやると楽になると話をしました。
三人
「ほんとだ、早く言ってよ」

「ソフィーは何度もやると倒れるよ?」
ばた・・・・ソフィーが倒れた音です。
アイラとレイラは魔力を纏う事に問題が無いようなので、魔法障壁とはいかないでも攻撃が当たる場所に魔力を集中して防御してみる事を話しました。
どういうこと?


「え、いや、そのままですけど?」


「例えば、敵の攻撃が肩に当たる、もうどうしようもないって時には、肩に魔力を纏うつもりでやると、防御出来ます。」
その瞬間に使う魔力量で強さに差が出ると思いますけど、二人で交互に軽く肩を叩く、叩かれた方が肩に魔力を纏うと練習になると思います。

なるほど

アイラ
「どうする? 私達ものすごく強くなるかも?」
レイラ
「ほんとね、どうしよう」
ソフィー
「私も頑張ります」

一か月ほど、この調子で硬貨とポイントを稼ぎ、訓練をこなしてきてソフィーもDランクポイントが溜まり、Cランク昇格試験を受けられるようになりました。
ところが・・・昇格試験受験申請を三人で行ったらギルドマスターからお前らにはまだ早いと却下されて、しょんぼり帰ってきました。

さらに一か月小銭を稼ぎ、訓練を重ねましたが、アイラとレイラが今言ってもまだ早いって言われそうだから、あとひとつき訓練したいと言い出し、ソフィーもそれに賛成したので訓練続行です。
毎日電気ショック(魔力の循環の事です)を受けてもらって、少しずつですが魔力量の増加を実感しているそうです。敵の攻撃を受け流す様も華麗になり、ステップも軽やかです。

猪討伐をやりながら奥に入って行って、熊とも対峙してきました。
最初は三人とも恐怖で動けませんでしたが、きゃぁきゃぁ言いながら何とかなっております。アイラが火属性の魔法を口に打ち込むことに成功すると一瞬動きが止まった熊にソフィーが魔力を纏った剣を喉に突き刺す。

それとレイラが身体強化の補助魔法を使えるようになっています。
ソフィーも魔力を纏った剣を使っても倒れないようになりました。

小銭も三か月で、銀貨千二百枚は貯まりましたので三人の装備を新調してから、Cランク昇格試験の受験申請を出しました。
買ったのは両手剣と杖、あと軽めの籠手と脛当てです。
魔力を纏うのに現物があったほうがやりやすいだろうと言う話になって購入が決まりました。

あ、衣服についてはすぐにボロボロになるからその都度買っているようです。

今回はギルドマスターから「いいだろう、がんばれ」と励ましてもらったと喜んでいます。
三人揃って昇格試験に挑戦です。
この三人なら、Bランクパーティと戦闘になっても勝てるのではないでしょうか
まてまて、親バカか?

今回の昇格試験は一週間後、朝九時開始、三十分前までに受付を済ませておく事、各職別に分かれて技術を測り、合格すると摸擬戦その内容によって最終合否が決定されます。

試験当日まで今までやって来た事の復習です、小銭も稼いで、薬草と毒消し草は三人とも楽勝です。ポーション作りも楽勝、猪討伐は、身体強化の魔法をソフィーにかけて、アイラが鼻に火属性の魔法を当てる、やっぱり通り過ぎていくのだけど、猪が振り返って雄叫びを上げる瞬間、ソフィーが、一閃、首を断ち切る。

熊の時も、身体強化の魔法をソフィーにかける、襲い掛かってくる熊の顔に火属性の魔法を当てる。目くらまし状態になっている熊の脇にソフィーが剣を突き刺す。
これで熊の右腕は動かなくなります。うまくいくと右腕は切り落とされます。
左腕を振り上げる時に援護で火属性の魔法を左腕もしくは顔に当てる、右側から近寄って喉を突きさす。

三人とも猪と熊にはもう恐怖心はなさそうです。

大変なのは血抜きと運搬
血抜きの間にポーション作って、戦闘訓練をやって、最後は電気ショックを受けてもらう。

戦闘訓練で、レイラ自身に身体強化の魔法をかけて、受け流す訓練もやってみました。
レイラ
「これは、すごいですね、早く動けるのはすごく嬉しいです」
何で今まで自分に使わなかったのでしょう? って、しらんし


★ランク昇格試験★

昇格試験前日

私はランカスター城、封印の間に来ました。
スキル解放を使用、創作で封印の間の横に三つのスペースを作り、名前を「アイラ」「レイラ」「ソフィー」専用とし、次に創作でウエストポーチをイメージ、小瓶が三つずつ二列に並ぶように仕切りと、右側に少し大きめのポケットを付けて、魔法ディメンションポケットを付与しました。
両サイドにタックを付け、出し入れの時大きく開くように細工をし、内側から外側に中が見えないように被せるようにして、創作スキルで作ったルビー三つを、一個ずつ被せる部分の内側中央に取り付けて、魔力を付与、収納スペースにつけた名前と合わせてウエストポーチにも名前を付けて、「ディメンションポケット名前」と唱えると繋がります。ディメンションポケットの魔法はルビーに込めた私の魔力で起動、このつながった収納スペースの広さの分収納が可能になります。
ポケットの内側にはもう一つ小さなポケットを用意して、小銭入れを準備して完成です。


昇格試験当日

アイラとレイラ、ソフィーが冒険者ギルドで昇格試験の受付を行って、朝食をとっているとギルドマスター、ジークさんがやって来て、「ナリス、何をしている受付がまだだぞ」

ジーク・レイン
「わはは、私の方でお前のBランク昇格試験申請をしておいた、有難く思え」

カウンターで受付のエミリーさんにBランク昇格試験出席届を行い、ぎりぎり間に合いましたねとエミリーさんに言われてしまいました。
す、すみません、よろしくお願いします。
ジーク・レイン
「よおし、ナリス受付出来たようだな、こっちだ、試験を始めるぞ」
試験場に出て、振り向き
「俺と摸擬戦開始だ」と言うなり両手剣を持ち上げて、踏み込みながら振り払ってきた。
ワンステップ入れて左後方に下がり、剣が通過していくのを見ながら体を詰めたけど、剣を右腕一本で握りしめ、左手で押し出すように横に振り戻して来た。
下がるより、ジーク・レインの背中の方に歩を進め、短剣の柄の先で背中をツンと突っついて、そのまま、遠くに飛んで逃げた。
ジーク・レイン
「ほぉ、俺に一撃入れて行ったか、いつでも殺せるよってことか? まあその前に俺の攻撃を見事に避けたな、びっくりだ」
続けて
「よし、合格だ、Bランク登録をして来い」
ソフィー
「え、合格・・・?何?」
アイラとレイラ
「え、終わったの?」
三人
「えっと、ナリス合格おめでとう」
ありがとう、皆もがんばって
はい
ルータス
「ちょっとまてよ、そんなのありかよ」
まあ、出ても当然な苦情かな
ルータス パーティの人
「私も今のは、納得できません、おかしいです」
ジーク・レイン
「お前らBランク冒険者から見て、今のが解らなかったのか?」
ルータス
「ギルマスが剣をぶん回してよけられただけだろ」
ジーク・レイン
「なら、お前俺とやって今の攻撃を受けてみるか?Bランクだし余裕だよな」
ルータス
「その小僧相手に手加減して、俺たちには本気でくるってか?」

ぷっ
つい笑ってしまいました。
ルータス
「この、小僧今笑ったな?」
はい、笑いましたけど、なにか?
ルータス
「なんだとぉ」
おお、すごいお怒りです。
ジーク・レイン
「何煽ってんだよ、そうか、ならお前その小僧と戦って見ろ、勝ったら小僧の合格は取り消しだ」
うぁ、面倒くさい、まあいいか

「で、相手は誰ですか、私対パーティですか?」
ますますお怒りになっています
「はぁ、おい、全員でぶっ殺すぞ、あの世で後悔しろ」
前衛の男が剣を抜いて、後衛から身体強化の魔法がかかり、攻撃魔法の詠唱が聞こえ始めた。
一人は魔法職の前で盾を構えている。
盾の横から火属性の魔法が飛んできた。避けたところに前衛が剣を振ってくるのかな?
私は左斜め前方にステップを踏んで、敵前衛と私の間を火属性の魔法が飛んでいくように立ちました。
敵前衛さんも私の動きについてきて、私を把握していましたが、火属性の魔法が通りすぎていく瞬間、飛んでいる火属性の玉に気を取られてしまい、隙が出来ました。
腕を切り落とすわけにも行かず・・・ステップを踏んで右足で踏み込み、左拳を横腹に打ち込むと、剣を落として、苦しそうにうずくまってしまったので落とした剣を拾って首に向けてとんと当てたら少し切れて血が出てきました。
「うわぁぁぁぁぁ」と叫びながら後ずさりをしていき、回復魔法を要求している様は、まあ、みっともないと言ったところでした。
ジーク・レイン
「よおし、そこまで、どうだ合格に不服はないだろう」
ルータス
「ダンジョンであったら殺してやる」

「その言葉覚えておきます。会ったら私も速攻で殺しに行きますね、今みたいに二、三秒で首を落とされたらなぜ死んだのかもわかりませんのでお気を付けください。」
私は拾った剣をギルドマスターに渡して、受付カウンターに向かいました。

ジーク・レイン
「ギルドマスターの俺からお前らに忠告しておく、お前らがどんなに口で言ってもダンジョン内であいつと遭遇したら逃げろ、持って三十秒ぐらいだぞ、全員死亡だ、いいか一応忠告はしたからな」

ソフィー
「ナリスってあれ、まだ全然、全力とかだしてないよね」
アイラとレイラ
「私もそう思う」
なんで、あんなに強いの?

ジーク・レイン
「よおし、今回Bランク昇格試験の受講者は一人だったから、次Cランク昇格試験を始める、職業別に分かれて試験官の指示に従え」
ルータス
「ちょっとまて、Aランク昇格試験受講者もいるぞ」
ジーク・レイン
「Cランク冒険者に十秒でやられるようなパーティをAランクに昇格する訳ないだろう、出直してこい、不合格だ」

私は受付のエミリーさんにBランク登録証をもらって
「ナリス様はBランクに昇格されましたので、クエストクリア期間が一年になり、Aランククエストも受ける事が可能となりました、おめでとうございます」
ありがとうございます。
「昇格試験の見学は可能でしょうか?」
受付のエミリーさん
「はい、真っすぐではなく右の階段を昇って行ってください。」
はい、ありがとうございます。
階段を上って行くと観客席が準備されていました。
さっきのルータス、パーティが文句を言いながら歩いています。
「さっきの小僧を倒してAランクに昇格してやる。」

「それは無理だよ、諦めて別の方法を探してください。」
ルータス
「なんだ、上からものを言っているんじゃねぇ、お前の仲間から殺してやろうか」
私は飛び込んで、ルータスの頭の上から短剣を振るい、耳をそぎ落とした。

「お望みなら、今ここで殺してあげますよ?」
ルータス
「うわぁぁ、人殺しだぁ、助けてくれ」

「ぷっ」 すみません、笑ってしまいました。
ジーク・レイン
「何を騒いでいる、試験の邪魔だ、出ていけ」
ルータス
「この小僧がここで俺を殺すって言ったんだよ」
ジーク・レイン
「それがどうした。お前もさっきから殺すと言っていただろ」
ルータス
「これを見ろ、耳を切られた」
ジーク・レイン
「なんだ、Aランクに昇格しようってやつがさっきまでCランクだった奴にやられたと訴えているのか? お前ら一生かかってもここでは、Aランクにはなれない、引退して故郷に帰りな」
ルータス
「なんだと」
ジーク・レイン
「お前らも、いい加減・・・まあいい、早く消えろ」
ちくしょうと言う声がだんだん小さくなっていった。

ジーク・レイン
「ナリス、Bランクに昇格したのか?」
?はい
ジーク・レイン
「そうか、ここではBランク以上の冒険者は昇格試験の選抜を手伝う事になっている、他のBランク冒険者が何をしているのかもしっかり見て行けよ」
はい

・・・Cランク試験内容は省略です・・・

Cランク昇格試験も無事に終わり、結果は、三人とも合格でした。

三人ともカウンターでCランク登録完了を受付のエミリーさんに告げられて登録証を受け取りました。
ソフィー
「おお、Cランク登録完了」
アイラとレイラ
「嘘みたいだね、私たちもCランクに昇格だ」

「昇格おめでとう」
三人
「ありがとう」
で、昇格のお祝いがあると告げ、ウエストポーチを取り出し、「これ合格祝いね」と言って一つずつ渡しました。
小瓶が六つと小銭入れ、それとポケットが一つ、「ディメンションポケット名前」で別の所に作った収納スペースと繋がるので見た目以上に物が入ることを伝えました。
「やったぁぁぁ」
え?
ソフィー
「Cランクに昇格出来たら絶対くれると信じていたよ、ナリス、ありがとう」
アイラとレイラ
「絶対くれると思っていました。ありがとう」
あれ、行動ばれ、ばれ?

早速、ウエストポーチをつけ、小瓶と小銭を数枚入れて、残りはディメンションポケットに直していました。
ソフィー
「すごい」
アイラとレイラ
「うん、うん、これは使えます」


私は受付のエミリーさんにクエスト依頼書をカウンターに置いて聞いてみました。
「ギルドからの指名クエストってもしかしてもうクリアしたかな?」
受付のエミリーさんは依頼書の確認をして
「はい、クエスト完了しております、手続きをしてきますので、少々お待ちください」
ギルドマスターのジーク・レインさんが出てきて
「おお、ナリス、指名クエストご苦労様、この三人をCランクに昇格まで鍛えてくれてありがとう、お礼にお前にはBランクのポイントを全て付与してやる、いつでもAランク昇格試験を受けに来い」
三人がおろおろしているのが見えます。
ジーク・レイン
「そこでだ、また指名クエストを受けてもらいたい」
はい?
ジーク・レイン
「その三人をBランク昇格試験合格まで面倒を見てもらいたい」
ちょ・・・ちょっと、え?Bランク昇格試験合格まで・・・
三人
「それは是非受けてください、お願いします」
受付のエミリーさん
「こちらが正式なギルドからの指名クエスト依頼書になります。」
まあ、いいか私もまだまだ時間はいっぱいある

「わかりました。Bランクに昇格出来るかどうかは不明ですが、受けてみます」
ジーク・レイン
「わはは、お前ならそう言うと思っていたよ、よろしく頼む」
なんだよ、わははって
三人
「よろしくお願いします」
ジーク・レイン
「それとな、ナリス、もう一件指名クエストを受けてほしい」
はい?
受付のエミリーさん
「こちらが、正式なギルドからの指名クエスト依頼書になります。」
内容を確認してみると
はい?
「なにこれ、無理でしょこんなの」
ジーク・レイン
「そうか、お前なら出来ると思ったのだが、駄目か」
いやいや、駄目でしょ

「依頼人:国王 依頼内容:勇者の育成」

「申し訳ありませんが、拒否権はありません。」
誰?
ジュ・オン
「いえ、拒否権はあるのですが、どうしても受けていただきたいのです。」
ジュ・オン・・・・

「私は従者になる気はありません。」
ジュ・オン
「はい、我々もいろいろと手を尽くしておりますが、勇者様ご本人がやる気になってくださいません。とりあえずこの世界を知っていただかない事には先には進まないと考えました。」
ジーク・レイン
「つまりだ、その三人と同様に扱ってもらって構わないそうだ」
ジュ・オン
「とりあえず経費として金貨二十枚を用意してきました。」
経費?
ジュ・オン
「はい、食事、武器、防具、衣類等必要なものを買いそろえるための物です。」
それで、何故私にこの話が来たのでしょうか?
ジーク・レイン
「簡単だ、俺が推薦した」
おい、ドヤ顔でいうなよ
ジーク・レイン
「断ったらとか、考えているか?その場合は俺の顔がつぶれる」
つぶれろ

で、どの人でしょうか?
ジュ・オン
「神楽様」
呼ばれて奥の部屋から一人の少女が姿を現し、「いやなら、断ればいいだろ」と言ったので、「そう、じゃあ、断ります。」と即答しました。
ジーク・レイン
「な、ナリスぅ」

「では、そういう事で失礼します。」
出入り口の方に歩いて行こうとすると、追いかけてきて
「すみません・・・面倒をみてください」とお願いして来た。
ちょっとまて・・・・え?神楽を育てたのって私ってことになるの?

「はぁ、ナリスです、よろしく」
ソフィー
「私はソフィーです、聖騎士を目指しています、よろしくお願いします」
アイラとレイラ
「私はアイラ、こっちはレイラです。よろしくお願いします」
神楽
「神楽麗です、よろしくお願いします」
受付のエミリーさん
「ではナリス様、こちらが依頼書です、よろしくお願いします」

「あ、引き受けるのに一つだけ条件を出させていただきます。」
ジーク・レイン
「おい、おい」

「貴方・・・ジュ・オン様でしたか?貴方はもうここには来ないでください。」
ジュ・オン
「それは・・・承知いたしました。何かあればギルドマスターを通して連絡いたします。」
そう言うと、袋を一つギルドマスターに渡して、ではこれで失礼いたしますと言って出て行った。
ジーク・レイン
「ナリス、お前本当に怖いもの知らずだな、ジュ・オン様は国王様の次に偉い人なのだぞ?」

「私にはそういうのは関係ありません、あの人は気に入りません」
ギルドマスターが両手を挙げて笑っています。
ジーク・レイン
「それとこれ、置いて行ったのは金貨の袋だぞ、持っていろ」

「ソフィー、宿屋同じ部屋とかいける?」
ソフィー
「ナリスが同じ部屋に?」
あほか
「神楽だよ」
ソフィー
「あはは、そうだよね、うん、二人部屋で今私一人だから、一緒に泊まれます」

「神楽、荷物は?」
神楽
「衣服と軽装備、武器を持ってきています。」

「エミリーさん? どこかに空き家ってないでしょうか?」
受付のエミリーさん
「物件探しなら商業ギルドの方になります。」

「わかりました、ありがとうございます。」
ジーク・レイン
「俺の家のそばに壊れた空き家があるぜ」
壊れていたら住めないでしょ?
ジーク・レイン
「がはは、そりゃそうだな」
がはは、じゃねぇよ

神楽、ソフィー、アイラとレイラに拠点となる家を探さないかと聞いてみました。
返事はすぐ探す。
一緒に商業ギルドに行って空き家の物件の話を聞いてみました。

お察しの通り、案内されたのはギルドマスターが言っていた近所の壊れた空き家・・・
元は貴族が使用していた屋敷だそうです。
屋敷も敷地も広い・・・申し分ない。
だけどこれだとかなり高い・・・だろうなあ
商業ギルドの人
「あの、ここ土地も荒れ果てて、屋敷もボロボロですが、この物件を利用されるなら費用は国の方で払うと言われております。売れることは無いと思うので出来れば使用をお願いしたいのですが・・・」
なんと
ムカつくけど、さすがジュ・オンさん、よくわかっていらっしゃる。

「はい、ここに決めます、手続きをお願いします。」
ソフィー
「ナリス、本気か・・・とてもじゃないが住めないぞ?」
アイラとレイラ
「立て直した方が早そうですね・・・」
商業ギルドの人
「では、すぐに戻って手続きを済ませてきます。」と走って行った。
皆で「ギルドの人も必死だね」

「なるほど、国が支払うという事は言い値が通るのかな?」
皆もなるほどと納得していた。

この広い庭の掃除も大変そうですねとアイラとレイラが嘆いていた。
ソフィー
「あれ、あの屋根・・・間違いなく穴開いているよね?」
ここで一体何があった?

アイラとレイラ
「この壁腐ってないですか?」
玄関の扉が開かない・・・

あいた・・・というか壊れた
中に入ると・・・笑うしかない、一言ですね、酷い


「では、皆は宿に戻って明日荷物を持って引っ越してきて」
え?明日?

「はい、明日です」
いやいやいやいや

「そうですか、じゃあ、いいです」
またお会いしましょう、さようなら
今日の所は宿に戻ってもらって、私もいつものパン屋さんでホットドックを二個買い、夕飯にして夜を待ちました。
夜になると真っ暗で何も見えません。


一応、敷地内を索敵、問題なし、地面と屋根の高さに合わせて魔力障壁で囲んで、隠蔽を使います、
一階は台所、リビング、応接室、風呂、トイレ、二階は廊下を挟んで部屋が三つずつ全部で六部屋、各部屋と玄関、風呂、トイレには鍵がかかるようにし、壊れた家具も新品のイメージで、屋敷の外観は今の崩れかけた見た目のままでいい、通用門から玄関までの通路だけ綺麗になればいいかな?

私は能力「解放」を使用した。

 「創作のスキルを解放」
 
 ※注 解放スキル:私だけのオンリー・ワンスキル 
他人のスキルを解放することで私の意思で使用、取得、付与することが出来る
 
 地面が光に包まれた。
 「創作のスキルを発動」
 
敷地内が光に包まれたあと、包んでいた光が消えていきました。

創作は成功、完了した。

外観の見た目は悪いままですが、魔法障壁を薄く張って補強、内装は綺麗にしました。
家具も綺麗で使えるようになっています。
二階に上がってベッドルームに入って、熊の毛皮を敷いて、その上で寝ました。

次の日
起きて、一階に降り、台所と風呂、トイレを見に行きました。

台所ってだいたい、貴族の屋敷は広いですね、お客を呼んでパーティとかやるためでしょうけど、まあ綺麗になっております。
トイレは前々から問題にしている下水処理なのですが、分子分解、毒消し、消臭、海に流す・・・うみ・・・下水管の先にタンクを作って、海のそばにもタンクを作ってディメンションポケットをつなぎっぱなしにしてたれ流すか・・・
水は貯水タンクを創作して、魔力で水を湧き出させて、タンクから漏れ出た水はお風呂に流して途中で温度を上げればいける・・・
竈も魔法スペックを書き込んで魔力で温度調整が出来ればいいと・・・よし

拠点の確保、完了

外から話声が聞こえてきました。
「気のせいじゃないよね、この通路綺麗になっている」
外に出てみると四人が、荷物を抱えて来ていました。

「いらっしゃい」
ソフィー
「あの、宿引き払ってきたんだけど・・・」

「ああ、二階に空き部屋があるけど、私はベッドに熊の毛皮を敷いているので、他の部屋を選んでください。」
一階は、台所、お風呂、トイレ、応接室になっています。

四人が恐る恐る中に入って
「ええええええええええ」
まあ、そうなるでしょうね
二階で自分の部屋を決めて降りてきた。

台所はあまり関心が無いようで・・・・トイレはとりあえず水洗、見たこともないだろうから、怪しんでいます。
アイラとレイラ
「お風呂が沸いています」
ソフィー
「ほんとだ、誰かいるの?」
神楽
「ここ、水洗トイレなんだ、すごい」
三人
「え、神楽、これわかるの?」
神楽
「最後にこのレバーを押すと水が流れていきます。」
お、おおお
神楽
「でもそのあとはどうなっているのですか?」

「それは秘密です、一応下水処理して垂れ流しです」

その後一応説明をしました。
台所に貯水タンクがあって、水が湧き出る魔法で常に水が出ています。あふれ出た水をお風呂に流して、途中で温度が上がる魔法の場所を通るとお湯になってお風呂に流れてきます。お風呂から出たお湯は下水に合流していきます。

台所も火を使う場所には温度が上がる魔法を使っているので火を使わないけど料理が出来ます。
神楽
「電子調理器みたい」
三人
「え、これも神楽、わかるの?」
アイラとレイラ
「と言うか昨日こんなんじゃなかったよね」
ソフィー
「ナリスが一人でそれも一晩で作ったの?」
そそ
あんた、何者?

食事は作るのもいいけどやっぱり、朝と昼はホットドック、夜は店で食べるのが楽でいいかもです。

賛成

神楽
「何で、内装はこんなに綺麗なのに外観は前のままなの?」

「だって、外観が綺麗になると周りの人たちが怪しむでしょ?」
この屋敷の水とか下水とかどうなっているのかって聞かれても説明できないからこの屋敷には知らない人は寄ってこないように気を付けないとね

続けて
「それと外壁もぼろぼろだけど、魔法障壁を張っているので雨漏りも強度も心配はいりません。」

だから、あんた、何者?

さてと、ギルドに行って冒険者登録して薬草採集にいきますか
はい

冒険者ギルドに行って
ジーク・レイン
「ナリス、結局うちの近所の空き家にしたんだな、昨日の夜なんか明るかったが、何かあったのか?」
寝ぼけたんじゃないの?とごまかしておきました。


神楽の冒険者登録を行い、薬草及び毒消し草の採集とポーション作成から始めました。
三人がすでに慣れているので任せても大丈夫、戦闘訓練で受け流しの説明も三人がやってくれました。
武器、防具に魔力を纏って使用することも説明し、練習を始めました。
そして電気ショックの洗礼を受けてもらい、神楽の場合はもともと魔力量が多かったのですが、電気ショックの度に増えていきました。
猪を倒して、熊と対峙し、恐怖を乗り越え、三か月繰り返しやりました。
Dランクポイントも貯まりましたが、さらに二か月同じように過ごし三人のCランクポイントが貯まりました。
途中昇格試験が何度か実施されていたようですが、私はギルド指名クエスト中と言う事でボランティア活動の試験官の手伝いは免除されていたようです。
神楽は余裕でCランクに昇格しました。

さらに四か月を同じように過ごして神楽のCランクポイントを溜めて、四人でBランク昇格試験に挑戦です。
私もAランク昇格試験申請を提出しました。
ジーク・レイン
「ナリス、お前ってマジですごいやつだな、こいつらをBランク昇格試験申請出来るまで育てるなんて」
な、なんてことを・・・・

「それって、真剣に冒険者ギルドではこの三人をお荷物と思っていたってことだよね?」
アイラとレイラ
「あ、ナリス・・・私たちはたぶん、本当のお荷物で、干されていたと思う」
ソフィー
「何も知らない田舎者だった、私も夢見て出てきたお荷物だったと思います。」
そう・・・自他ともに認めていたお荷物だったのね

「私は初心者ってこんなものなんだろうと思っていました。」
神楽
「私は?」

「え・・・お前自覚は無いのね?」
神楽
「あ、やっぱり、私もお荷物ですか・・・・」
だろ?

「まあ、覚えは三人より早かったかな?」
三人がそこは認めますよ・・・・って顔をしています。

ジーク・レイン
「今日はCランク昇格試験からやるからな、準備だけしておけ」

・・・昇格試験内容は省略です・・・

Bランク昇格試験の結果は、四人とも合格です。
そして
私のAランク昇格試験の結果ですが
ジーク・レイン
「ナリス、ギルド指名クエスト完了をもって、Aランク昇格試験合格とする」
まぁ、要するに私はずっとAランク昇格試験を受けていたという事でしょうか?


「これで合格って、大丈夫ですか?」
ジーク・レイン
「何を言っているんだ、お前は・・・他の冒険者に同じことを頼んでも引き受けたりしないぞ」 笑

え・・・ええ?
私はギルド指名クエスト依頼書を受付のエミリーさんに提出、完了手続きをお願いしました。

ジーク・レイン
「お荷物君に足を引っ張られて、自分のランク上げが遅くなる、たとえ引き受けても喧嘩になる」
受付のエミリーさん
「かしこまりました。ギルド指名クエスト完了手続きを行います」

なるほど、私はランクにこだわってはいませんから・・・ね
受付のエミリーさん
「ナリス様、お疲れさまでした。クエスト完了でございます。」

受付のエミリーさんに冒険者登録証の更新をお願いして、Aランク冒険者登録証を手に入れました。
四人ともBランク冒険者登録証を見せあっています。

受付のエミリーさんにギルド指名クエストについて質問しました。
三人についてはBランク冒険者昇格だったので、完了
神楽については勇者の育成・・・これってどうなるとクエスト完了なのでしょうか?
ジーク・レイン
「アイラとレイラ及びソフィーにギルド指名クエストを依頼する。内容は勇者の育成の補助だ、ナリスを手伝ってやってくれ」
はぁ
受付のエミリーさん
「こちらがギルドからの正式な依頼書になります。」
三人
「やります、やります、やらせてください」と飛びついて行った。
ジーク・レイン
「勇者の育成だからなあ、Sランク昇格ぐらいまで行かないと駄目じゃないか?」
まてまて

「途中放棄は可能ですか?」
神楽
「それは認められません、ちゃんと面倒見てください」
はい?
ジーク・レイン
「そういう事だそうだ、まぁよろしく頼む」
受付のエミリーさん
「ギルドマスター、大事な事を忘れていますよ」
ジーク・レイン
「おお、そうだ、国王様から経費の追加を預かっている、受け取れ」
以前貰ったやつも全然使ってないですけど?
ジーク・レイン
「使え」
はい・・・

という事で今日は神楽の武器、防具を新調するべく街に行きました。
神楽
「そういえば、皆軽装備だね」
アイラとレイラ
「ナリスが軽装備だから、真似しています。」
ソフィー
「重装備にするより、軽装備で素早く動ける方を選択しました。」
アイラとレイラ
「軽装備にして瞬間的に魔力を纏って防御が出来ると重装備はいらないです。」
ソフィー
「うん、それと魔力を纏えると武器、防具も傷まない」
神楽
「じゃあ、私もそうします」
アイラとレイラ
「私たちが買ったお店に行ってみましょうか」
皆で武器屋に入ると店主さんが
「いらっしゃい、今日は珍しい、ミスリルの武器が入っていますよ」
アイラとレイラ
「何?ミスリルって」
ソフィー
「武器を作る鉱石の名前で切れ味抜群」
アイラとレイラ
「それってすごいじゃないですか」
ソフィー
「その分高いよ、手が出ない」

「ミスリルの剣を見せてください」
店主さんが二振りあるよ
日本刀の形に似ています。
神楽
「これ欲しい」
店主
「一振り、金貨、二枚でいかがでしょうか?」

「匕首もしくは短剣はないでしょうか?」
店主
「ミスリル製短剣も二本あります、こちらは出来ましたらセットでお買い求めいただけたら助かります。」
価格はいくらでしょうか?
店主
「二本で金貨、一枚でいかがでしょうか?」

「ミスリルの剣 二振りと短剣二本買います。」
店主
「ありがとうございます。」

「すみません、あと魔法職が使用する杖はありませんか?」
店主
「そうですね、杖でしたらこちらはいかがでしょうか?」
杖の先端に大きめのルビーが埋め込まれている。
店主
「杖の先端に宝石を埋め込み、魔力を増幅し、威力が上がると言われております。」
ただ、と店主が続けて
「宝石が人を選びます。使う人と宝石の相性が合わないと効果が少ないとも言われておりまして、ただ単にこれがおすすめと言うわけにはいきません。」

「杖の価格はどれくらいでしょうか?」
店主
「宝石の種類が違いますが杖、一本銀貨、五百枚になります。」

「アイラ、このルビーの杖を持ってみて、レイラはこっちのサファイアの杖を持ってみて」
二人がそれぞれ、杖を持ってみたので、次は交換して持ってみてくれる

「どう持ってみて違いが分かった?」
アイラ
「私、最初の杖の方が力強く感じた。」
レイラ
「私も最初の杖の方が持ちやすく感じました。これが、宝石が人を選ぶって事かな?」

「この二本の杖も買います」
店主
「ありがとうございます。」
私は店主に金貨、六枚を支払い、剣は神楽とソフィー、杖はアイラとレイラに渡しました。
三人が
「神楽の買い物をしに来たんだよね、良いのかな私たちまで」
フフっと笑ったら
「何で笑うのよ」と怒られてしまいました。

「こんなにタイミング良く全員の武器があるなんて、普通に考えてないでしょ、これって国の方で用意してくれた物だと思いますよ」

なるほど

「流石に杖に装着する宝石については限定出来ないから五本あったのではないかな?」
という事は?
そう、防具屋にも期待したいですね

防具屋に入って
店主
「いらっしゃいませ、どなた様の物をお探しでしょうか?」
神楽
「あの、私なのですが、軽装備にしようと思っております。」
店主
「額当て、籠手、脛当て、胸当て、靴、こちらはミスリル鉱石を使用されておりますのでしっかりと身を守ってくれますよ」

「価格はどれくらいでしょうか?」
店主
「五点セットで購入していただけましたら、セットで金貨、一枚でいかがでしょうか?」

「では、一セット買います。」
店主
「ありがとうございます。」

「他にもおすすめはありますか?」
店主
「この軽装備のセットでしたらあと四セット在庫がございます」

「皆、どうします?」
三人
「欲しい、絶対ほしい、皆でお揃いになりますよ」

「では残りの四セットも買います。」
店主
「ありがとうございます。」
私は五セット分、金貨、五枚を支払い各自、靴が履けるか確認してから受け取りました。
店を出て
アイラとレイラ
「本当にナリスの言ったとおりだったね、サイズまで・・・え?サイズ会っているけど、なぜ分かった?」

「まだ最初に預かった金貨が九枚あるから、衣服も見に行ってみましょう」
全員
「うぉぉ、行きましょう」
いや、そんなに気合い入れなくてもいいよ
たぶん軽装備の下に着る、厚手の生地で作られたパンツ、シャツ、上着等が売ってあると思います。
衣類屋に入って
店主
「いらっしゃいませ、何かお探しでしょうか?」
少し厚手の生地で作られた上下の服を探しに来ました。
店主
「それはちょうどいいものが入荷しております、こちらになります」
上下黒で統一されていて、軽装備を連結する工夫もしてあります。

「価格はどれくらいでしょうか?」
店主
「袖なしの上着とセットで、銀貨、四百枚になります。」

「五人分、五セット用意できますでしょうか?」
店主
「今五セットございますよ サイズが合えばよろしいですが?」
全員でサイズを確認して受け取りました。
私は 五セット分、金貨、二枚を支払いました。

屋敷に帰る前に食事も済ませてしまいましょう。
賛成
食事の前にアルコールでは無い飲み物で合格おめでとうの乾杯を済ませ、夕飯も普段食べない高価なものを選び、楽しく食べてから屋敷に帰りました。

私がそうだからたぶん、皆も自室で今日、購入した物の試着をしているはず

そうそう、忘れないうちにウエストポーチを作らないとね、ランカスター城の封印の間に転移して、神楽専用収納スペースを創作、三人と同じようにウエストポーチを創作、宝石、ルビーを創作で作り埋め込んで、神楽の名前を入れる、ディメンションポケットの魔法を連結、「ディメンションポケット名前」で使用可能、あとは小銭入れを作って完成。


次の日
全員が新調した服、装備で出てきました。
アイラとレイラ
「お揃いの服と装備で同じチームメンバーってすぐわかりますね。」
ソフィー
「うん、うん」

「神楽、これ遅くなったけどプレゼント」
神楽
「おおお、ウエストポーチだ、これ欲しかったんです、ありがとう」
それもお揃いですね

「ディメンションポケット神楽」と唱えるとポケットが収納ボックスと連結して多くの物を入れることが出来ます。」
神楽
「ディメンションポケット神楽」
おお、これはすごい

「硬貨とか予備の剣とか入れておくといいですよ」
早速、今持っている硬貨を入れているみたいです。お金は置いていけないですよね。

「それと、今日から私たちは「チーム神楽」と名乗ることにしましょう。」
国から経費としてお金をもらっていますから、少しは顔を立てないとね、

「私は個人的な目的がありますので最後まで一緒にいる事が出来るかどうか不明ですけど、勇者のパーティとして活動を始めましょう。」
皆が
「その個人的な目的って私たちが手伝う事は出来ないのでしょうか?」

「はい、目的の場所には私しかいけないから、私が一人でやります。」
神楽
「その目的を達成するのはいつ頃か、分かっているの?」
私は両手を広げて答えました。
「ぜんぜん・・・五年、十年・・・さっぱり」
続けて

「実は、ダンジョン攻略が最初の手がかりではないかと思っています。」
アイラとレイラ
「え、私たちのためにダンジョン攻略、進んでいないよね」

「はい、後回しにしましたから」
Bランクに昇格したし、クエストを受けてダンジョンを攻略しに行きます。
私たちも一緒に行きますって言ってくれているけど?

「ダンジョンって人数制限とかないのかな?」
あ?
どうだろう

冒険者ギルドで聞いてみましょう。

受付のエミリーさんにダンジョンに入るとき、パーティメンバーの人数制限とかありますかと聞いてみた。
受付のエミリーさん
「いえ、よく四人で行動されるパーティが多いですが、特に規定はありません。」
ギルドマスター、ジーク・レイン
「なんだ、なんだ、お前らお揃いの格好しているじゃないか、パーティ結成したのか?」

「今日から、五人で、チーム神楽と名乗ることにしました。」
ジーク・レイン
「ほう、それは勇者パーティ結成という事でいいのか?」
そうです

「ダンジョン攻略と、とりあえずAランク昇格を目指してみます。」
ジーク・レイン
「了解した、上にも報告しておくぞ」
よろしくお願いします。


「エミリーさん、ダンジョンで、出来るクエスト依頼はありますか?」
受付のエミリーさん
「当ギルドでダンジョンに関する依頼はありません、情報収集の場所、ドロップ品の買い取りを行っております。」

そういえば、初めてダンジョンにはいる時もクエストとか受けてなかった、探索して名声を求めているのかな?

「つまり、とりあえず九階を探索してくることなのですね、ただし、何もないかもしれない・・・」
皆でホットドックを朝食として食べて、お弁当に二個ずつ持って行くことにしました。
チーム神楽での初ダンジョン探索に出発します。

ダンジョンに向かう道、相変わらずニヤニヤしながらこっちを見ている奴らが多い。
入口で登録証を見せて銀貨一枚を支払い、中に入りました。
やばい
入ってから、気が付いた。さっきのこっちを見ていたやつらあれは・・・
「皆さん、気を付けてください、他のパーティが襲ってきますよ」
え?
どういうこと?
「それと人を殺す覚悟を決めてください」
はい?

「このダンジョンを本気で探索している人はたぶんいないのです。人対人で殺しあって装備を奪う、それもドロップ品として扱っているで、間違いないでしょう。」
アイラとレイラ
「それって最低じゃん」

「その最低が今ここでは、まかり通っているって事です」
神楽
「ではこれからどうするの?」

「通常、誰かが入ると一時間あけて次のパーティが入る決まりですが、二十分程度で入ってくると思います、ここを右に曲がって様子を見てみましょう」
右に進むと左に分かれ道があるのでここに身を隠して様子を見る事にしました。
二十分もしないうちにガヤガヤ話声が聞こえてきました。
「じゃあ俺たちは右に行くからな、外れても文句は言いっこなしだぜ」
「それはこっちの台詞だよ」
また別の声
「じゃあ、頑張って稼ごうぜ」
「ああ、ひよっこのミスリル装備はいただきだ」


「もう来ましたね、皆殺しにして装備を奪うつもりらしいです」
皆を見回して
「どうしますか?人を殺すことなんて出来ないから殺されて装備も全部プレゼントしますか?」
ソフィー
「それは嫌だ」
ダンジョンに入る前に気が付けばよかったのですが、皆は人と戦う事に躊躇しています。このままでは皆は戦えない、死なせないためには今入って来たパーティを先に殲滅する事、そしてもうこのダンジョンは一度一掃しないと駄目だ。

「すみません、皆さんとはここでお別れのようです、私はあんな奴ら大嫌いですので平気で殺します、ドロップ品は奪います、皆さんは隠れていて静かになったら急いで外に出てください」
アイラとレイラ
「まって、あの」

「すみません、今この場で震えているようなやつは邪魔にしかなりません」
追いかけて来た冒険者
「ビンゴ、おい当たりだぜ、見つけた」

「何か、ようですか?」
追いかけて来た冒険者
「ガキのお前には用はない、後ろの女と金目の物に用がある、おとなしく死ねや」
私は男が言い終わる前に飛び出して剣を持っている右肘を抑え内側に曲げ、剣先を男の首にあて、そのまま剣を掴んで引き、首を切り裂き、持っている剣を次の男の首目掛けて投げつけ、突き刺さりました。
魔法職の男二人はお互いを見ながら話に夢中で何が起きているのか把握していません。首に刺さった剣を抜き、二人がこちらに気が付いた時はもう遅い、二人の首が飛びました。
武器、装備、装飾品、硬貨等ドロップ品はディメンションポケットに入れて次を探します。

「一階は右に行っても左に行ってもまた同じ入口前に戻ってきます。ここに居ると左に向かったパーティがきますよ」
ソフィー
「ナリス、貴方はこれからどうすつもりなの?」

「私はこのダンジョンで好き勝手やっている連中を一掃します。こういうのは一度完全に壊さないと元には戻りません」
続けて
「まさかとは思いますが、もしかして九階には町が出来ているのかもしれません?」
え?
「もしそうなら、その街ごと破壊してきます。」
私は奥に向かって移動し左に行ったパーティを探しました。
私も走っていましたけど向こうの方も走っていたみたいです。
すぐに向こうから来るのが見えました。

「一階で他のパーティと遭遇するなんてめずらしいですね」

追いかけて来た冒険者その二
「見つけたぞ、ビンゴだ、女たちはどうした?」

「そんなことを聞いてどうするのですか?」

追いかけて来た冒険者その二
「ガキは聞かれたことにだけ答えていればいいんだよ」と言いつつ剣を抜いて切りつけてきましたが、私のほうも想定内、意表を突いたつもりなのかもしれませんが対応可能です。剣を横に振り、私に避けられても電光石火のごとく切り返した?遅いです、私の短剣は首に突き刺さっています。
こういう人って自分一人で片付くとマジで思っているのでしょうね。
後続は対応が遅れています、目についたドロップ品をディメンションポケットに入れて剣を拾って後続に対応、回復と攻撃魔法に短剣職、右に左にジグザグで距離を詰めたところに火属性の魔法が飛んできた、持っていた剣を火球目掛けて投げつけ、火球の向こう側にいた短剣職の男に突き刺さった。
魔法の詠唱が聞こえるが、このタイミングでは間に合わないよ?両手で短剣を抜いて魔法職の二人に突っ込んでいったら、詠唱を途中でやめて杖で応戦しようと構えるけど、それも間に合いません、一瞬早く私の短剣が首に刺さる。
回復職の人は何をしに来たのか、戦闘中の回復魔法とか使ったことが無いのか、死亡する為に来ただけの人でした。
ドロップ品の回収を急いで、この持ち物って今まで殺して来た冒険者から奪ったものだよね、私が奪っても問題ないと自分に言い聞かせて・・・・正当な理由とか今さらいらないか・・・
よし、二階に移動だ

ダンジョンの入り口では、ギルドマスター、ジーク・レインが呼ばれて来ていた。
死亡して転移で外に出された冒険者を今確認しているところで、「四人か、名前とか調べられるか?」と話をしている間に追加の転移者が四人現れた。
「八人になった」

「ナリス達が入って行ったはずだが、どうなっている」
守衛
「あの、子供たち五名が入ってすぐに 三パーティ、十二名があとを追いかけていきました。」
ジーク・レインに睨まれて「すみません、脅されて入れてしまいました。」
ジーク・レイン
「脅されて?いや、お前以前も同じことをしているだろう」
守衛が舌打ちをした瞬間、左拳の一発が守衛の腹に突き刺さって悶絶して倒れた。
守衛はいつも二人組で行動していて、もう一人の方は手を挙げて降参し捕縛されました。
二人の守衛を拘束したあとにジーク・レインがダンジョンの中に入って「神楽、ソフィー、アイラ、レイラ」を大声で叫んでみるとすぐに返事が返って来て、全員が泣きながらしゃがみこんでいるのを見つけ、保護した。
ジーク・レイン
「ナリスはどうした?」
ソフィー
「ナリスはこのダンジョンは一度、一掃する必要があるって言って一人で行きました。」
ジーク・レイン
「そうか、分かった、全員外に出るぞ」


私は四階で、三つ目のパーティを見つけました。
「ガキのやろうどこまでいったんだ」

「ガキって私の事でしょうか?」
声にびっくりした四人が振り返ってやっぱり第一声は「女はどうした」でした。

「さぁ、どこにいるのでしょうね、教える義理はありません」
「なら、お前だけここで死ね」
不思議です、自分は殺す側で戦闘では負けないと信じているのでしょうか?
すぐ後ろまで接近を許して声をかけられるまで気が付かない人たちとか、たかが知れています。
まだ武器も抜いていないのですが戦う気はないのかな?
まあいいか、知らん
両手に短剣を抜いてすれ違いざまに首を切り裂いていき終わりです、薄れ良く意識の中で何が起きたのか考えてください。
遠慮なくドロップ品はもらっていきます。

この三パーティの人たちは早い者勝ちだと思っていた人たち、そしてこの人たちが外で待機していたのを見てその他の冒険者はダンジョンに入ってこられなかった。
という事はこの先にはほぼ誰もいないと考えていいはずです。

私はスキル索敵と隠蔽を使用しながら、初見の六階以降も誰にも、魔物にも遭遇する事なく、順調に降りてきました。
八階から下に降りる階段、いよいよ次が九階です。

魔物も何も出現しないのなら、恰好の場所ですよね、盗賊のアジトとして、そしてそういう時の親分はだいたい貴族、考えすぎだといいのですが・・・

索敵で見ると九階には五十人はいます。

どこかに転移門がある・・・? 転移門があると入ってこられるって事か
うーん・・・動き回っている敵影だけに絞って二十人に対して魔力解放「絶対零度」と唱えて攻撃、即「解除」一番近い敵の所に走って、ドロップ品の確認と思ったけどやめた。先を急ぎます。転移で逃げられても困る。
残り三十、だけど全く動かない影が十人ちょっといる、捕まっている可能性大
隠蔽のおかげで私の事に気が付いていないみたいです。
八人を索敵で把握して、魔力を解放「絶対零度」を唱え攻撃、「解除」を唱え、正面の扉の向こうに十人、全員が敵なのか捕虜なのか確認してから戦闘開始かな・・・

あ、死者蘇生があるから、いいか、正面の部屋にいる敵影、十人を把握して魔力を解放「絶対零度」を唱え攻撃、「解除」を唱えてから、扉を開けてみました。
貴族風の男が一人、魔法師風のフードをかぶっているのが三人、盗賊の頭と手下風の男たちが六人「よし、全部敵だ」
そして動かない十人ちょっとは左の・・・あれ、二人動いているな、こっちに近づいてきている。
壁の向こう側、っと壁が動いた、隠し扉か、話声も聞こえてきて、二人がこっちの部屋に入って来た、死んでいる盗賊の短剣を拾って二人、目掛けて投げつけた。
と、同時にダッシュ、一人には命中、もう一人は剣を抜いて飛んできた短剣を払いのけた。払った剣を切り返して私を切りつけようとしましたが間に合わず、私の方が先に相手の腕を切り捨てました。残る一本の短剣で、首を突き刺して終わりです。
ふぅ
二人が出てきた方向に行くと鉄格子のついた牢?
中には女性が閉じ込められています。
部屋の隅には宝箱? 開けてみると中には金貨、別の箱には銀貨、分けてある
部屋の中に入って行って、閉じ込められているのは見てわかりますが、一応聞いてみました。
「貴方方はここの盗賊の一味ですか?」
一人の女性
「ここは子供が来るところじゃないわよ、・・・え? 貴方どうやってここまで来たの?」
「歩いたり、走ったりしてここまで来ましたけど?」
一人の女性
「そうじゃなくて、大人の男がいっぱいいたでしょ?」

「あっちで皆死んでいますよ?」
あ、もう転移されて外に出されたかもしれません
鉄格子を調べて
「鍵がかかっていますね、この南京錠の鍵はどこにあるかわかりますか?」
一人の女性
「貴方の後ろの壁にかかっているけど?」
振り向いて鍵を確認していると後ろから攻撃されました。槍?ですか
一人の女性
「お馬鹿なお子様ですこと、あの世で泣きなさい」
私は振り返って、「あの世にはいけそうにありません」
一人の女性
「え、槍で串刺しに・・・なっていない?」
魔法障壁を張っていたので、言っても解らないでしょうけど無理ですよ
「他の方も皆、この人の仲間と考えていいでしょうか?」
もう一人の女性
「まってください、私たちは本当に捕らえられています、助けてください」
私は無造作にそれぞれの南京錠を開けて行きました。
他の女性が攻撃してくることはありません。
最初の女性の鍵が、ちゃんとかかっていることを確認して、「では皆さんここを出ましょうか?」
「あ、ちょっと待っていてくださいね、奥に続く扉があるか確認してきます。」
奥にいる女性
「それならこの先だよ、何もないとか、あいつらが言っていたよ」
私は先に進んで少し開いている扉を見つけました。
中に入るとかなり広い、ああ、そうか一応ここ、ボス部屋設定、なんだと思いました。
この部屋から先に進めるような通路、扉は無い、ここが最終のようです。
ここに、ボスが居たのでしょうけど倒されたのか、ここから出て行ったのか、「脱出」の指輪、私にはいらない物だから上げるね、ボス部屋に投げ入れてきました。
戻って宝箱から金貨も銀貨も半分ずつ、いや数えてはいません。約、たぶん、程?をディメンションポケットに入れて、ここに居る女性たちに報酬として金貨、銀貨を半分ぐらい貰っていきます。残りは皆さんで分けてください、お好きにどうぞ。と告げた。
一応この辺り全部に魔力を広げて、索敵、転移門が無いか調査をすると、さっきの貴族風の男が居たそばに印があるのがわかりました。印を破壊したあと、もう一度索敵で調査、もう無い事を確認しました。

「私は一度外に出て冒険者ギルドに皆さんに、この事を伝えます、助けに来てくれるように頼みますから、ここで待っていてください。」

このダンジョンはさっきのボス部屋にボスが居て初めて機能するようになっているのではないでしょうか?
逃げたもしくは倒された、でその後補充が出来なかった。・・・誰が補充する?
いやそもそもダンジョンってなんだ?

まてよ、このボス部屋に上位精霊とかを封じると精霊の力でダンジョンが活動を開始するとか・・・上位精霊ではなくても、精霊を集めて閉じ込めるとかでいいのかも
つまり、ここのボスが居なくなった、このダンジョンを機能させたい、動力が無い、どうしよう、精霊の力を使って見るか、よし、捕獲しよう、となると、世界から精霊がいなくなるって流れが完成する、なるほど、なんか繋がって来たぞ

たしかなことはダンジョンを管理している者がいる、管理できるのってあの人たちしか思いつかないけど・・・

いろいろ考えながら歩いていたらあっという間に出口につきました。
外に出るとギルドマスター、ジーク・レインさんが走ってこっちにやってきます。
「ナリス、帰って来たか、で・・・・これ全部お前か?」

「はい、それと九階に女性が十名程捕らえられていました。動けないみたいでしたから救助に行ってもらえませんか?あ、一人だけ盗賊の仲間らしき女性は鉄格子のついた牢に閉じ込めてあります。」
金貨、銀貨がいっぱいありますよ

「ボス部屋は空でした。」
ジーク・レイン
「昔俺が現役で若いころ、Aランク冒険者のエースと言われていたパーティがいた。
彼らはボス部屋に入ったと思われる、死んで外に転移してきた姿はドラゴンとでも戦ったのかってくらい凄惨だったよ、あれから皆ボス部屋にはいかないようになったんだ」
なるほど
それを盗賊が利用していた、それとボス部屋に居たのはドラゴンだった
え?
ボスキャラはドラゴンか・・・
戻ったら確認しにダンジョンに行ってみよ

未来の世界には精霊はいなくなっていると言っていたけど、ドラゴンはまだいた

ジーク・レインは
「俺は救助に行ってくる、大人しくしていろよ」
と言って、ギルドマスターの務めを果たすため、かなりの数の人たちを引き連れてダンジョンに入って行った。

私はもう一度ダンジョンに入り、右に行って誰もいないのを確認、ランカスター城封印の間に転移しました。
ここが一番安心して寝る事が出来ます。
おやすみ



★旅立ち★

目が覚めて
「腹減った」食べるものなし
街には、戻りにくいし、よし、ドワーフ村を目指してみるか
マリアさんの家の前に転移で出て、西に向かって、森の中で食料を探しながら進みました。
薬草、キノコ、毒消し草、そして見つけました、猪、これで数日分の食料確保です。
首を落として吊るす、血抜きをやって、皮を剥ぎ、腸は捨てて、毛皮は塩もみして、木に伸ばしながら括り付ける。肉は塩焼きです。
燻製に挑戦して保存食として持っていくことにします。
そして、おやくそく、ですね、保存食が確保できるといっぱい、現れる猪

一月程、のんびり狩りをしながら歩いてきましたけど、海が見えました。
見えました、アーセナル国です。
暗くなるのを待って、魔法の絨毯発動です、魔法障壁を張って「空中移動」を唱えて魔力を解放、船に乗らずに済んで助かりました。
え?理由ですか・・・・過去のトラウマとでもいいましょうか・・・・
まあ、いいか

高度とスピードを上げて、島の中央を目指します。
緑に覆われた山の方はハイエルフの里があり、その左にちょっと険しい山の方にドワーフ村がありました。この時代では、どうなっているか行ってみないと分かりません。

夜が明けそうなので一旦降りて「空中移動、解除」
魔法のホットプレート、魔法の水瓶、実に有能です。
猪の肉を塩焼きで食べる、コショウがあればもっといいですが贅沢は言えません。
塩焼き最高

匂いにつられて来たのかドワーフ?が一人こっちを見ています。
無視して食べていたら、だんだん近づいてきて、「ダ・ナ」と一言、言いました。
名前?


「ダ・ナ?」と言ってみると、首を縦に振って、うん、うんと言っているように見えました。
そして、お腹がぐぅっとなり、意思の疎通?が完了なのかな?

串に刺した、焼けた塩焼き猪肉を出しだすと、ふぅふぅしながら食べ始めました。
木製のコップに水を入れて渡すと、うまそうな表情で水を飲み、指をさしてから手を横に振り始めました。

「水が無い?」と言っているような気がします。どこに・・・?
ドワーフ村には川が流れていた・・・けどこの時代にはあの川が無いとか?

もうひとつ串刺し猪焼肉を差し出したら、ニッコリ笑ってうまそうに食べてくれました。
後片付けを終わらせて、ドワーフ村に向かって歩き出すとダ・ナも横に並んで歩きだしました。
見覚えのあるような岩肌の山・・・・いや、こっちの方が高い、削れていったのかな?
見張りがいるわけでもなく、誰かに止められることもなく、ドワーフ村の田畑を作っただろう場所に出ましたけど、うぁ、岩だらけ・・・あれ?

向こうの方に大勢のドワーフ? が休んでいる場所が見えます、行ってみると休んでいるのではなく、これは・・・たぶん、倒れているのだと思います。
井戸らしきものがあるけど、覗き込んでも水はなさそう?
やっぱり、さっきの手を振っていたのは水が無いと訴えていたようです。

魔法の水瓶を出して、木製のコップに水を入れてダ・ナに渡す、ダ・ナが水を飲むように言っているのか、何かつぶやきながらコップを口に運んでやっています。
ここには十人が倒れています。
ダ・ナが遠くを指さして何か言っています、向こうにもドワーフが倒れているのかな?一通り水を飲ませたらその辺の桶に水を一杯入れて、ダ・ナが指さした方に移動しました。
遠くにやっぱり人らしき影が倒れています。
やっぱり、水が無いようです。
空の桶に魔法の水瓶から水を注いで、辺りを見渡すとここにも十名のドワーフが倒れています。
ダ・ナを入れて二十一名の住民かな?
ダ・ナが魔法の水瓶に興味を示しています。まぁそうでしょうね、水がいつまでも沸いて来る。不思議でしょうね
私は「解除」を唱えて、水瓶をディメンションポケットに入れました。

見渡しても横切る川はありません。確か左側の山から流れて来ていたような、右側の岩に間に流れ込んで行っていたような、うぅん・・・

場所的にはこの辺りだったかなとあたりを付けて右側の岩山を見に来ましたけど、穴も切れ目もありませんね。
私はこっそり、能力解放、創作を起動しました。海に向かってトンネルを作り下水道として、少し水たまりになるようにして、次は左側の方に行ってみました。

左の山の上から水が滝になって落ちて来ていたので、上の方を見に来ました。
水? が滝のように・・・ただの岩山ですね、あれ?

岩山の山頂? ここでも能力解放、創作を起動して、堤を作り、下に流れて行くように工夫をしてから、中央に魔法のスペルを記述、私が止めない限り水があふれ出してくるはず、下に降りて、ダ・ナの所に行き、猪の肉の在庫を渡しました。
薬草と毒消し草も一緒に渡してみました。わかるかな?

色々混ぜて煮込んでスープとして皆に配っていました。味はともかく体にはいいかも

夜になって、封印の間のあった場所辺りに行き、魔力を薄く広く地面に張り、隠蔽をかけました。

目の前の地中に封印の間を作り出します。
オリエが描いた封印の間の断面図、側面図、設計図、それと入り口の扉、通路に階段、最後に外に面することになる祠、これら全部を頭の中でイメージする。
私は能力「解放」を使用した。

 「創作のスキルを解放」
 
 ※注 解放スキル:私だけのオンリー・ワンスキル 
他人のスキルを解放することで私の意思で使用、取得、付与することが出来る
 
 地面が光に包まれた。
 「創作のスキルを発動」
 
地面を包み込んだ光が徐々に消えて行った。

創作は成功、完了した。
目の前に祠が出来ました。

「我ナリスが命じる、扉よ、開け」と言って手をかざし、扉が開いたので中に入り、しっかり扉を閉めて、中を見ると通路の天上に等間隔で明かりが灯りました。
階段を下りて行き、最後の扉の前、扉に近づくと扉が光だし、軽く押すと開いたので中に入り、転移門を描いて、これでいつでもここに転移で戻ることが可能になりました。

アスナの封印の間も完成です。残り二か所になりました。



★ソフィーの後悔★

ランス・ロットの街、冒険者ギルドでは、ナリスの帰りを待っていました。
ジーク・レイン
「ソフィー、ナリスはまだ帰ってこないのか?」
分かってはいるが聞かない訳にはいかない。

ソフィー
「はい」
ジーク・レイン
「今や、この街の英雄となったっていうのにあいつはどこに行ってしまったんだ」
アイラとレイラ
「ナリスは多くの人を殺しているから、人を殺すことをためらった私達とは住んでいる世界が違うと考えて、出て行ったんだと思います。」
神楽
「ナリスは自分だけしか、行けない場所で役目を果たすみたいなことも言っていたから旅に出たんだと思います。」
ジーク・レイン
「それでか・・・あいつのあの覚悟を決めた目、あれは普通ではないと思っていたが、何かとんでもないものを背負っているんだな、あいつ」

ソフィーは毎日同じ事ばかりを考えるようになっていた。
私はなんて馬鹿なのだろう、何が大切か全く理解していない、自分の気持ちだけを大事にしてしまった。
あの時、なぜナリスの傍に居てやらなかった・・・バカヤロー
神楽が察して、ソフィーの肩に手を当てて私も一緒だ・・・何が勇者だ

アイラとレイラは
「ナリス、ごめん、ごめんね」が口癖になって、泣いている。


ダンジョンの中でナリスが行ってしまった後も他の冒険者と戦う事を躊躇していたところに、ギルドマスター、ジーク・レインの声が聞こえた。
ジーク・レイン
「お前ら、無事か、ひとまずここを出るぞ、ほら、立て」
通路には死体は無いが、血の跡が残っている。
ジーク・レインもそれを見ていたが何も言わないで、外に出る事を急いだ。
ダンジョンの外に出ると八名の死体が横たわっていた。
ソフィー
「これは?」
ジーク・レイン
「お前らがダンジョンに入った後、二十分もしないうちに三つのパーティが後を追いかけて行ったそうだ、そのうちの二つだな、三人は戦闘になった痕跡があるが、あとの五人は戦った後がない、何が起きたかわからないうちに死んだんだろうな」
キーンと音が鳴った。
ジーク・レイン
「お前ら、少し下がれ、誰かが追い出されてくるぞ」
さらに四人の死体が外に出されて来た。
ジーク・レイン
「たぶん、こいつらがお前たちを追いかけて行った三つ目のパーティだろう」
四階層か五階層まで下りたかな?

四人は放心状態で動かないし、反応もない
ジーク・レイン
「はぁ、お前らもう帰れ、陰気くさい、帰れ」

まあ、若い姉ちゃんたちに人を殺せと言ってもなあ、無理だわ、しょうがない
「あの四人はもう、分かっているんだろうなあ、ナリスを失ったって事」
認めたくはない・・・か
四人の姿が見えなくなるまで見送ってジーク・レインが
「お前ら、この仏さんたちを引っ張り出せ、まだ続々出てくるぞ」
十二人の遺体を並べて持ち物を検査、装備、武器、装飾品、硬貨等全て改めて、記録を取っていく。
全ての記録が取れたら、倒した者に六割が支給され、二割を冒険者ギルドが手数料として取る。残りの二割を被害者に分配される。
それから賞金首になっていないかの確認、賞金がかかっているようならそれも倒した者に支給される。
キーンとまた、音が鳴った。
ジーク・レイン
「来たぞ、少し離れろ」
二十名の遺体が外に出されて来た。
一気に二十人か
ジーク・レイン
「よし、急げ」
次に誰かが外に出されて来てもいい様に少し離れたところまで引っ張り出して所持品の確認を行っている。
守衛
「こいつら、見たことないですけど冒険者でしょうか?」
ジーク・レイン
「なんだと・・・」
ダンジョン内では生活は出来ないから、必ず出入りをする、守衛が解らないはずがない。
顔を確認しようと見ていた、ジーク・レインは遺体に傷が無いことに気が付いた。
どうやって殺した?

キーンと三度目の音が鳴った。
ジーク・レイン
「来るぞ、準備をしろ」
また十八名の遺体が外に出された。
ジーク・レインはこの遺体も傷が無い、濡れているのはなぜだ?不思議に思ったが作業を優先した。

作業の続きを行おうとするとまた、キーンと音が鳴った。
ジーク・レイン
「駄目だ、一旦離れろ、来るぞ」
作業をしていた者が離れた直後に二人の遺体が出てきた。
この二人とは戦ったみたいだな、腕を切り落としてやがる、綺麗な切り口だな

ジーク・レイン
「作業再開だ、急げ」

並べた遺体の数は五十二人、内、冒険者が二十名(五パーティ)、賞金首の盗賊が二十七名、貴族が一人、その従者が一人、魔法師が三人

大事件になった。
貴族が盗賊と手を組んで私腹を増やしていた。
ジーク・レインはすぐに王家、伯爵家に使いを出した。

守衛の一人が走って来て
「子供が一人出てきました。」
ジーク・レイン
「わかった。」
急いで出入口まで走り、ナリスを確認したジーク・レインが
「ナリス、帰って来たか、で・・・・これ全部お前か?」
ナリス
「はい、それと九階に女性が十名程捕らえられていました。動けないみたいでしたから救助に行ってもらえませんか?あ、一人だけ盗賊の仲間らしき女性は鉄格子のついた牢に閉じ込めてあります。」
金貨、銀貨がいっぱいありますよ
ナリス
「ボス部屋は空でした。」
ジーク・レイン
「昔俺が現役で若いころ、Aランク冒険者のエースと言われていたパーティがいた。
彼らはボス部屋に入ったと思われる、死んで外に転移してきた姿はドラゴンとでも戦ったのかってくらい凄惨だったよ、あれから皆ボス部屋にはいかないようになったんだ」
何か考え込んでいるナリスを見ていたが、ジーク・レインは
「俺は救助に行ってくる、大人しくしていろよ」
と言って、ギルドマスターの務めを果たすため、かなりの数の人たちを引き連れてダンジョンに入って行った。


九階についた、ジーク・レイン一行が見た物、それは無数の宝石、武器、防具、金貨、銀貨、金製品、銀製品
ジーク・レイン
「これは運び出すのも大変だぞ」
守衛
「ギルマス、こっちに女性が倒れています」
ナリスが行っていた要救助者だな
一人だけ牢に入れてあると言っていたが、こいつか
「お前も盗賊の仲間だな」

「ち、違います、私も捕まっていたのです」
ジーク・レインは、女の足元に落ちている槍を拾って
「死んでここを出るのと、とりあえず、生きて出るのと、どっちを選ぶ?ああ、ここにこのまま置き去りもありだな、どうする」

「な・・・・ちくしょう」
ジーク・レイン
「お前は連行する、おとなしくしろよ」
ダンジョンを根城にしていた盗賊とその一味、貴族が一掃された。
そのニュースは町中に広まり、ナリスは一躍、英雄として有名になった。
ダンジョンは魔物も出現しない、ボスも消えていてもう機能していないことが発表された。

数日してまだダンジョンの騒ぎが収まらないでいる中、神楽の元へジュ・オンさんとギルドマスターが訪問してきた。
ジュ・オン
「お久しぶりにございます、勇者神楽様」
神楽
「はぁ」
ジュ・オン
「ソフィー様、アイラ様、レイラ様、お久しぶりです」
三人
「こんにちは」
ジュ・オン
「三人様には神楽様を手助けしていただきたく依頼をしに来ました。」

ジュ・オン
「神楽様にはやがて現れるであろう魔王の討伐のため、戦闘経験を積んでいただき、Aランク冒険者、いえ、Sランク冒険者まで実力を上げていただきたいのです。」
Sランク・・・
ジュ・オン
「この街のダンジョンは機能していないことが判明しましたので、別のダンジョンに行って経験を積んでいただきたく存じます。」
ソフィー
「やがて、現れるであろう、魔王?」
ジュ・オン
「そうです、魔王出現までにランクを上げておいてください。」
続けて
「ここで皆さんがいつまでもふさぎ込んでいてもらってはこちらとしても困るのです。」
ジーク・レイン
「ナリスも自分しか出来ない事ってやつをやり遂げるために頑張っていたんだろ、お前らも後を追いかけろ」

後を追いかける

ジーク・レイン
「もし、次にナリスに会ったとき今のお前らのままで恥ずかしくは無いか?」
今の私たちのまま
神楽
「わかった、ナリスの役に立てるような戦士になる」
ソフィー
「ナリスの・・・なるほど」
アイラとレイラ
「足手まといにならないように強く」

ジーク・レイン
「決まりだな、修行の度に出る準備をしろよ、ああ、それとこれからは自分の身は自分で守れよ」
役立たずのまま死んでもそれは自業自得だと思え
ジーク・レイン
「覚悟を決めろ、他人を傷つける覚悟、自分が傷つく覚悟、殺される覚悟、殺す覚悟だ」

覚悟

四人の目から涙が消えた。



★ハイエルフの里★

ドワーフの村の左の岩山、山頂に作った堤からあふれた水が滝のように落ちてきて右側のトンネルに消えていくのを確認してから、ドワーフ村をあとにしました。

次の封印の間を目指しても良かったのですが、一度ハイエルフの里も見てみたいと思って少し北上?してみました。

すぐ近くにハイエルフの里があったと記憶しているのですが、どの辺りだろう

ととと、索敵に反応が・・・と言うか囲まれていました。
ハイエルフの代表
「旅の人よ、この地に何用か?私はリー・ザと申します。」

「私はナリスと申します、この辺りにハイエルフの里があったと記憶していましたので願い事をしに訊ねてきました。」
リー・ザ
「ナリス殿は、この地をハイエルフの里と知って訪ねて来たと申されるか」
はい
何か話し合っている感じがします。
リー・ザ
「ナリス殿、ここをなぜ知っているのか捕らえて尋問しなければいけなくなりました。」

「すみません、私を捕らえるのは無理だと思います。」
リー・ザ
「これは、強気な発言ですな、しかし、周りはすでに囲んでおりますぞ」

「私はハイエルフの里の方達に危害を加えるつもりはありません、が、しかしどうしてもと言われるのなら取り囲んでいる皆さんで一斉に弓矢でも放ってみてください」
ハイエルフの一人が手を挙げて、放てと声を上げた。
私に向かって一斉に矢が飛んできましたが、魔法障壁を張っているので私にはあたりません。


また話声が聞こえてきました。何を相談されているのやら?
リー・ザ
「ナリス殿は結界を張ることが出来るのですか?」

「これは結界?・・・魔法障壁と呼んでおります」

一人のハイエルフが私の前に姿を現して
「大変失礼をいたしました。リー・ザでございます。我らがハイエルフの里にご案内いたします、長老様にお会いください」
はい?
魔法障壁は張ったまま、リー・ザと名乗るハイエルフの後をついて行きました。

木がものすごく茂っていて、それぞれの木がものすごくでかい樹齢数百年、千年とか行くのだろうか?

外からは全く気が付かなかったのですが、いやいや、これを気が付かないってどういう事だろう。
誰も想像もしない、言っても信じないだろう程に大きい樹木がここにたっています。
屋敷に入るように案内され、通された部屋には一人のハイエルフの男性が座って待っていました。
その隣に腰を掛けたリー・ザと名乗ったハイエルフさんがどうぞおかけくださいと声をかけてきました。

「失礼いたします。」と椅子に座りました。
リー・ザ
「先ほどは失礼をいたしました。こちらに居られますのは我らが里の最長老リー・オン様でございます、その隣に居りますのはリー・ゼと申します」
リー・オン
「ハイエルフの里最長老のリー・オンと申します、ハイエルフの里へようこそ」
リー・ゼ
「リー・ゼでございます」
リー・ザ
「最長老様、ナリス殿は我がハイエルフの里に願い事をしに来られたそうです」
リー・オン
「ほう、お主が客人をお連れすること自体、驚きでしたが、願い事ですか」
リー・ザ
「はい、その願い事を最長老様にご確認いただき、私どもで叶えられる事柄でしたら、その引き換えにナリス殿にこちらからも、一つお願いしたき事が出来ました。」
リー・オン
「なんと?」
リー・ザ
「最長老様も、もうお気づきと存じますが、ナリス殿は自らの体の周りに結界を張っておられます。」
やはり、これは結界なのですか
リー・ザ
「我らの里の戦士が放った弓矢は全て当たる寸前で地に落ちました。」
おお
リー・ザ
「ナリス殿、我らの願いを叶えてくださるのなら、こちらも貴方の願いを叶えられるよう善処いたします。」
リー・オン
「ふむ、我らの長年の夢を叶えてくださる方が来訪されたと判断したのですね」
リー・ザ
「はい」
リー・オン
「ナリス殿、貴殿の願い事とはどんなことでしょうか、お聞かせください」

「はい、信じてはいただけないかもしれないのですが、今より六千年程後にネイと名乗る者がこの里を訪ねてきます。」
リー・ザ
「なんと?」
リー・オン
「六千年後ですか・・・」
リー・ゼ
「お待ちください、最長老様、という事はこの里は六千年後も安泰という事になります。」
おお
リー・オン
「なるほど、考えようによってはそういう事となる」
リー・ゼ
「それで、そのネイと名乗る者が訊ねてきたら私どもは何をすればよろしいのでしょうか?」

「はい、よろしければ何も聞かず、何も言わず、黙って保護してあげてほしいのです」
三人が保護でしょうか?と顔を見合わせています。

「何が起こるのかは私も知りませんが、誰も信用出来ない、誰とも話もしたくないと悲観に暮れてこの里にたどり着いてきます。」
はぁ?

「千年程保護していただければ、この里の願いを一つ聞き入れてくれるはずです。その時は役に立つ存在です」
リー・オン
「ナリス殿、貴方は今より七千年先の事をご存じなのですか?」

「はい」
なんと
リー・ゼ
「我々は長寿と申しましてもそれ程までに長寿ではありません。」
リー・ザ
「さよう、どうすればナリス殿の願いを聞き届けた事になりますでしょうか?」

「この里の子孫の皆さんに口伝でお伝えしていただければ問題ないと思います。」
リー・オン
「なぜ、そのような事がわかるのでしょうか?」

「本人が千年程ハイエルフの里に籠っていたといつも話をしてくれていましたから」
はぁ?
リー・オン
「ナリス殿は七千後に生きる者と会話をしたと言われるのですか?」

「はい」
リー・ゼ
「なるほど、これは信じろと言われてもすぐには難しいですな」

「はぁ、あの、ハイエルフの里からの願い事とはどんなものでしょうか?」
リー・ゼ
「はい、ここにくるときに見られたと思いますが、我らは「世界樹」と呼んでおります。」
リー・オン
「我々は「世界樹」に守られ、守りながら生きてきました。ここ数百年程でしょうか「世界樹」を守る結界が弱くなっている事が解っております」
リー・ゼ
「このままでは隠して来た「世界樹」の存在が公になってしまいます。人間どもの欲に巻きこまれるのはどうしても避けたいのです。」
リー・オン
「故に結界を新たに張れる力のあるものを探しておりました。」

「なるほど、しばらくお待ちください」
私は魔力を解放して、このハイエルフの里全体を索敵、鑑定で確認してみました。
なるほど、結界が張られているのを確認しました。
今張られている結界の外側に薄く、強い魔法障壁を張ってみます。
ととととと
あれ、世界樹が私の魔力を吸収しているみたいです。
ハイエルフの男性
「最長老様、世界樹が」
リー・オン
「世界樹がどうかしたのですか?」
リー・ゼが急いで外に出て世界樹を確認しました。
なんと
リー・ゼ
「最長老様、世界樹が花を咲かせております。」
ハイエルフの若い男衆二人が最長老様を椅子ごと抱えて外に出てきました。
リー・オン
「おお、なんと美しい」
世界樹が花を咲かせ、その花びらが舞い散ってくる。
リー・ザ
「世界樹の生命が溢れております」
世界樹が生き返った。
ハイエルフの里は沸き上がった。
私も魔法障壁を張り終わり外に出てみました。
私の体の周りに風が吹き、花びらが舞っています。
リー・ザ
「世界樹が喜んでいます。」
世界樹の枝が一本私の方に寄って来て、新芽の枝と種?を置いて行きました。

「ええっと、枝と種、これはもらってもいいものですか?」
リー・オン
「世界樹が貴方をお認めになられました。」
リー・ゼ
「なんという・・・おおお」
リー・オン
「ナリス様、貴方様は我々ハイエルフ族よりも上位の存在となられました。」
はい?
世界樹に認められるとはそういう事なのです。
リー・ザ
「その新芽の枝は新たな世界樹の苗木、種に願い事をすると必ず叶うと言われております。」

「そんな、貴重なものを私に?」
リー・オン
「ナリス様、今貴方は一体何をなさったのでしょうか?」

「え?結界の外に私の魔法障壁を薄く、強く張りました。その時に私の魔力を世界樹がかなり吸収していったようです。」
リー・オン
「世界樹は貴方の魔力のおかげで生き返ったのですね、ありがとうございます」
リー・ザ
「結界に力が蘇っております。もう大丈夫です」

「それは何よりです、おめでとうございます。」
リー・オン
「リー・ザよ、宴を開く余裕はありますか?」
リー・ザ
「お任せください、大丈夫です」
リー・オン
「皆の者、今宵は宴じゃ、お祝いじゃ」

わああぁあ

リー・ゼ
「皆、準備を急げ」

えっと・・・どうしていいか、分からないのでうろうろしていると
リー・ザ
「何をなさっておられるのですか、世界樹の高貴なお方、ナリス様、こちらにおいで下さい、席を準備しております。」

ハイエルフ族のイメージは暗くて、大人しくて、真面目?こんなに大騒ぎをするとは思っていませんでした。まぁ、それだけの大事が起きたという事でしょうけど

座ってばかりでは気が引けたので、魔法の水瓶と魔法の竈を出して、猪の肉を塩焼きにして食べてもらいました。
しかし・・・・まぁ当然と言えば当然ですが、肉も旨いが、それよりも「なんだ?その水瓶と竈は」って事になり、ハイエルフの里中央広場に水場を作り、水の湧き出るスペルを記述、あふれ出る水は森に流して、もう水くみに出る必要がなくなったと皆が大喜びしております。
さらに竈ですが、中央広場の中に二か所、竈を設置して、調理が出来るようにしました。弱火、中火、強火の説明が大変でした。

リー・オン
「ナリス様、何から何までお世話になり申し訳ありません。」
リー・ゼ
「ナリス様からの願い、たしかに承りました。六千年後ぐらいに来訪してくるネイと言う者を千年ほど、保護せよと伝えていきます。」

「よろしくお願いします。」
なんか、すごいことになった気がするけど、来てよかった。
リー・ザ
「ナリス様、これをお持ちくださいませ」と渡された物は、ペンダント?
リー・ザ
「このペンダントは世界樹の友の証、世界樹から頂いた枝で作られております。」
世界樹が認めた物しか持つ事が許されておりません、ゆえにハイエルフ族全ての者がこのペンダントの持ち主に敬意をしめします。

「ありがとうございます。大事にします」
リー・オン
「出来ましたら時々、数百年、数千年ごとでもよろしいので様子を見に来てください」

「出来るようでしたら、そうします、突然の訪問で申し訳ありませんでした。」
リー・オン
「何を言われるのですか、我々が困っているところに来て下さった、有難いことです」
リー・ゼ
「また来てくださいね」
はい

「あの、もう一つお願いしてもいいでしょうか?」
何でも行ってください

「ここに転移門を印していってもいいでしょうか?」
転移門?

「どこからでも飛んでこられます。」
是非、印していってください。

「ありがとうございます。」転移門を印して、これでいつでも来られます。

ではまた

私は転移を使ってシルフィーの封印の間に移動しました。

ドワーフ村に、ハイエルフの里、両方とも無縁ではありませんでした。

残るはあと二つとなりました。というか一か所ですけど


あれ・・・おかしい、なにが?えっと・・・
そうか、そこに封印の間があると分かっていたから作って来たけど、この時代で作ってよかったのだろうか?
いやいや、まて、まて・・・
精霊がいなくなるという情報は今の私にはある。なぜいなくなるのかは不明、原因はたぶん、ダンジョンの運営が関係しているでいいと思う
四人の精霊は封印されていたので、存在している。もし封印しなかった場合彼らもいなくなる可能性が高い。
だから封印を実行するつもりだけど・・・
結果が解っているから行動を起こした?
普通は原因があるから対応をする・・・

何故上位精霊は封印されたのか?
それは!
私のいたずら心、しかし、結果行方不明を免れた・・・もうこれでいいか・・・

良くないけど考えてもわからないし

ドワーフ村の川はどうなる?
過去、私が作った水瓶から溢れた水が川になった、それを利用して堀を作った。

七千年流れ続けた川、二千年封印され続けた上位精霊・・・・これはもう、歴史の
一部として認められているということか?

ん? 私は別に歴史を改ざんしようとしているわけではない、断じてない

今から五千年後にたまたま見つけた施設を利用して上位精霊をいたずらに封印して回った。・・・・酷いやつだな
ああああああ、駄目だ、思考を停止しよう、この件についてはなるようになれ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

処理中です...