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新学年
ナリスの伝説「オンリーワン」
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★新学年★
とんでもなく忙しい一年が終わり学園生活も二年目に突入です。
卒業生、九十名程がランカスターで仕事をすることになり、城の近くに寮を作りました。と言っても食事は着きません。普通にアパートです。
数人で一緒に住む方、個人で部屋を借りる方、それぞれです。
給金は一日銀貨三枚の計算で三十日、月に銀貨九十枚、年間、銀貨九百六十枚、休日は週に一日、あとは職場でのスケジュール調整です。
寮費は部屋代が月に銀貨二枚、水は現在、井戸水、環境汚染等はないようですけど生水は飲まないように注意してくださいと通達しております。
ガス、電気等はないので食事は外食、朝は買い置きしたパンと飲み物ぐらいでしょうか?
卒業生は学園生活での寮の有難さが身に染みるのではないでしょうか?
私は、屋敷にいるメイドさんたちのおかげで楽をしております。ありがとうございます。
さて、学年が上がるという事は初々しい後輩が入学してくるという事であります。
が、私には何も関係ないようです。
新入生と会って話をする機会もない、誰が新入生かもよくわからない、制服が真新しいとそうかもしれませんが、自分たちの制服もまだ・・・ねぇ
うーん。そういえば、在校生ともこの一年会話らしいことはしていない、まあ要するに私はぼっち、気質と言いましょうか
メイが
「ナリス様には私もみんなもいますから大丈夫ですよ?」それってフォローになっていないかも?
サーシャが
「どうした、景気の悪いこと言っているな?」
スルーしよ
サーシャ
「俺が慰めてやろうっていってんだ、おとなしく慰められろ」
イリス
「この、離れろ、サーシャ」と引きはがそうとするイリス
相変わらずです。
突然
「あんたかい、女好きで有名なナリスって先輩は?」
私
「有名なんだ、良かった。女好きで間違いないから、男は寄ってこなくていいです。」
サーシャ
「なにが良いんだよ、喧嘩売られているだろうが、シャキッと買えよ」
面倒くさい。
知らない新入生らしい男子生徒はもう私よりサーシャの綺麗さに目を奪われておられます。
振り向いて、サーシャに聞いてみた。
「喧嘩を買えばいいのですか?」と
サーシャ
「おお、そうだよ、さっさと買ってしまえ」と言われて私は、サーシャをぎゅっと抱きしめた。
イリスが
「ああああ、離れろ、サーシャ、この、早く離れろ、」
サーシャ
「俺じゃねぇだろ、抱き着いているのは」
イリスが
「顔が嫌がってない」と言われたサーシャがにやっと笑って私に抱き着き返して来た。
学園の往来で抱き合う二人になってしまいました。
イリス
「離れろ、サーシャ」
ふふふ、君たちが目を奪われる美しいサーシャに抱きつけるのは私だけなのですよ、どうだ、くやしいだろう、泣け、わははは
メイが
「何をしているのですか、変な事ばかり考えて」と言いつつ私の頭をボコッと叩いた。
変な事ばかり考えて・・・周りの目がこの言葉に反応している、え、いやちょっと
私
「メイ、最近、私の頭を叩きすぎじゃないですか?」
メイ
「しょうがないでしょ、私のやきもちですから、何でよりによってサーシャ様に抱きついているのですか?私だって怒りますよ」
サーシャ
「メイ?」
メイ
「イリス様も澪様も何をしておられるのですか?あと数年したら私も参戦しますからね」
なにに?
メイの勢いに押されて男子生徒の事も騒ぎの事も忘れて校舎の中に入ってしまいました。
今年度の講座の内容は行儀・作法を二時間に減らしました。フラン様にはすごく嫌な顔をされましたが、了承していただき、魔法の座学を一時間、歴史を一時間入れました。
歴史を選んだのは、七千年前、魔王が封印された場所の手がかりを探すためです。
講義を受けて情報が得られるとは思えないですが、何かしら行動を起こさないと何も起きないような気がして、藁にもすがれ・・・です。
何事もなく、平穏無事な毎日を・・お? そういえば朝何かありましたね。
食堂で昼食を何時ものように皆でとっていると
「居たな、やっと見つけたぞ、朝はよくも俺様を無視してくれたな?」
誰だっけ?
メイが
「今、朝、何かあったなと考えていた、その何かです」
おお
「朝、サーシャに見とれていた男子生徒か」
ぶ、そこですか
男子生徒
「このやろぉ、俺はお前と違ってエリートなのに毎日必死に修練を欠かさず行ってきた、その俺をバカにしやがって」といきなり火の魔法の詠唱をはじめました。
バニラとチョコが私の後ろに来て
「ナリス様、危ないです」
イリスが
「お前ら、後ろに隠れてどうする、前に立って盾になれ盾に」
バニラとチョコ
「そんなことしたら死んじゃいますよ」
サーシャ
「お前らなにビビってんだよ、ナリス様だぞ? な」と言ってこっちを見たから
「あれ撃ったら食堂なくなりそうだね」
サーシャ
「ぶ、なんとかしろよ」
私
「詠唱長いね、そろそろ撃つかな?」
男子生徒がさらに怒ったようにこっちを睨んで、詠唱を完了、魔法を撃った。
私は魔法を放つ男子生徒を魔法障壁で囲みました。
魔法障壁の玉の中にただ一人男子生徒がいる状態です。
放った魔法は魔法障壁の玉の中で爆発、すごい音がして玉の中は炎で充満しています。
イリス
「おみごと」
サーシャ
「あいつ自分の撃った魔法で死んだんじゃねぇか?」
私
「さっき、エリートとか言っていたので大丈夫なのでは?」
まあ、死んでいても知りませんけど、私を殺すつもりで放った魔法でしょうから、返り討ちに会っても文句はいえません。
魔法障壁内の炎が弱まり、消えました。
私は魔法障壁を解除しました。
そこには真っ黒な人の形をした燃えカスが横たわっていました。
サーシャ
「エリートって口だけかよ」
魔法詠唱を始めた時から避難で回りには人がいなくなっていたので
「皆、結界を張ってください」
私は能力「解放」を使用した。
「超幸運のスキル解放、超回復のスキルを解放」
※注 解放スキル:私だけのオンリー・ワンスキル
他人のスキルを解放することで私の意思で使用、取得・付与することが出来る
真っ黒な人の形をした燃えカスが光に包まれた。
「肉体再生のスキルを解放・発動」
メイのスキル、医療及び専門知識:医術をさらに解放
真っ黒な人の形をした燃えカスの全身を再生、そして神経、血管、筋肉等確認してさらに、再生を試みた
真っ黒な人の形をした燃えカスを包んでいた光が薄れていき、再生は完了、成功した
当然、衣服等の再生は出来ませんので裸です。そのまま帰って変態の称号を受けてもらいましょう。
「死者蘇生」と、唱えて魔力を解放した。
私達は席に戻って何事もなかったように食事を続け・・・・焦げ臭い
食べる気もなくして、食器を片付け食堂を出ました。
澪が
「あの方はいいのでしょうか?」
私
「いきなり人の大勢いる場所であんな魔法を撃ってくるような人の事は知りません」
そのうち目を覚ますでしょ
エリスが
「目を覚ましたらまた、攻撃しに来ますね」
私
「ところで、エリートってどういう事? 」
澪
「さっきの方に聞かないと駄目ですね」
面倒くさいからいいや
というか、もう来ないでほしいね。
私の願いは聞き入れてもらえませんでした。
次の日の朝
学園の門をくぐると左側に膝まずいている男子生徒がいました。
「おはようございます、昨日は大変失礼をいたしました。申し訳ありませんでした。」
誰?
メイが
「黒こげの人ではないでしょうか?」
ああ
「私は、レムス・クァン・ロットと申します。侯爵様の屋敷に呼ばれそのまま反乱の罪で廃嫡になりました。」
「我が家は代々、魔法師の家柄で国の守りに貢献してきました。が、あの時侯爵様からの呼び出しでは行かないわけにはまいらぬと出かけた父を見たのが最後でした。」
そう言う事なら昨日の事件もしょうがないと言えばしょうがないか・・・
「ロット領内はわが父の元、団結しておりましたので、領内の貴族は全員侯爵様の屋敷に出向いております。今ロット領を納める貴族はおりません。学園を出て家の再興をと思っております。」
「昨日は、力の差を見せつけられ思い知りました。どうか教えを請いたく存じます。我が願いどうか、お聞き入れください。」
私
「い・・・・・むぅ」イリス、エリスが私の口を押えております。
メイが
「ナリス様は女好きでおられますので男性の方は無理かと存じます。昨日、貴方様もそうおっしゃっておられましたよね、どうぞお引き取りください。」
メイ、ナイス・・・のような気がする。けどなんか微妙な気もする。
イリスが
「私はイリスと申します。申し訳ありませんがナリス様はお忙しい身なれば、その願いを聞き届けている暇がありません。」
レムス
「あ、いや、そこを曲げてお願い申し上げます。」
わがままな奴だな
イリス
「今ここに、昨日貴方が殺害しようとしたシルビア王女様、フランソワーズ・オルレアン元王妃様が居られます。貴方の話を聞いてくださるかもしれません。」
それは国を守って来た家柄の方が行う行動とは思われないね。と言うか、あれ食堂にいた人、全員死んでいたでしょ
レムス
「大変ご無礼をいたしました。」
フラン様
「私もロット伯爵様の御人柄はよく存じております。その跡継ぎの方が貴方みたいな愚か者とは思いもよりませんでした。私は今の貴方を貴族に推薦など出来ません。」
続けて
「ところでナリス様、昨日あの後すぐにお助けになられたのには理由があるのでしょうか?」
?
私
「ああ、何故でしょうね、考え無しに動いていますね」
フラン様が、ふふっと笑って
「レムス様、ナリス様が直感で貴方をお助けされております。貴方には何かがあるのかもしれません。精進なさってください。」
私
「神楽、楓、茜」
はい
続けて
「バニラ、チョコの護衛を神楽、楓、茜に任せようと思います。フラン様、シルビア様、クラリス様も一緒におられるので三人でお願いしたいのですが、貴方にも機会を与えましょう、レムスさん、貴方も護衛に参加してみますか?」
イリス
「ナリス様、どうしたのですか?」
私
「うん・・・何か、直感?」
レムス
「我が友も二人参加させてもよろしいでしょうか?」
私
「フラン様に聞いてみてください、お任せいたします。」
フラン様
「では、参加していただきましょう」
何か変な奴が増えました。
★学園内イベント★
何事もなく日々を過ごしておりました。
終末にドワーフ村に行き、ランカスター城をまわって帰ってくる。
そうしている間に、イリスがソワソワする時期が来ました。
あ、今年はもっと煩いのがいます、サーシャです。
出場年齢制限に激しく抵抗しております。
お城の方からの通達でエキシビジョンマッチを閉会式の後に行ってほしいと要望が来ました。
イリス、サーシャが大喜びではしゃぎ回っていましたけど、私は面倒なのでイリスに丸投げしました。
数日が過ぎて学園内を歩いている
と
「ナリス様、がんばってくださいねぇ」と応援する声が聞こえ始めました。
何を頑張るのでしょうか?
今まで気にもしなかった廊下のポスター・・・・
ふと目をやると学園内イベントの隣にそれよりも少し大きめのエキシビジョンマッチのポスターが貼ってありました。
内容は一番勝負、ナリス対サーシャ、二番勝負、ナリス隊神楽、三番勝負、ナリス隊イリス え? どういうこと??
イリス
「最初は、サーシャが私とやるって聞かなかったのですが、神楽が「じゃあ、私ナリス様と戦う」と言い出したら話がこじれまして、最終三人ともナリス様と戦うことで合意しました。順番は、一番は絶対に譲らないとサーシャがごねまして、神楽と私でじゃんけんしました。」
・・・・・・
私
「私何も聞いておりませんが?」
イリス
「私に丸投げで、好きにしていいとおっしゃいましたので、はい」
・・・・・・
ええっと
サーシャ
「学園内イベントよりこっちの方が盛り上がっているらしいぞ」
続けて
「ナリス様の首を落として、二番、三番の出番をなくして泣かせてやる。ふふふ」
おいおい
今年も何か、落ちてこないかな?
私
「サーシャ、以前、巨大な蜘蛛と戦った事とかないの?」
無いな
「どうせ、ご主人様に良い見せ場を用意してかっこよく勝たせてやるだけだろ?」
なかなか嬉しい外野の声
レムス
「あの、ナリス様大丈夫でしょうか? とんでもない回復系の魔法をお持ちのようですが、近接での実践はどうなんですか?」
フラン様
「私もナリス様が剣を持って戦っておられる姿を見たことはありません。」
レムス
「それってかなりやばいのでは?」
クリス
「イリス様、申し訳ございません。ひいき目に見てもナリス様の楽勝かと存じます。」
レムス
「え?」
エリス
「私もそのように思います。」
フラン様
「そんなに差があるのですか?」
エリス
「はい、十歳を過ぎてからとんでもない強さになられております。」
神楽
「まじか、なんか緊張してきたぞ」
サーシャ
「大丈夫、俺が一人で終わらせる。」
レムス
「回復魔法が強力で、近接での実践も強いなんて、敵無ですね」
エリス
「何を言っているの? ナリス様の攻撃魔法は最強ですよ。」
クリス
「レムス、貴方は本気で最強の方に喧嘩を売ったのですよ。」
生きていてよかったですね。
レムス
「いえ、死にましたけど、私」
大会当日が近づくにつれ、外野の声がうるさくなってきました。
なんでよいしょ大会とかやるんだよ、ばかばかしい
見るやつとかいるのか?
優勝者に挑戦大会のほうがよくないか
この国ってほんとに終わっているよな
サーシャ
「外野の声とかどうでもいい、ナリス様と戦える、本気にさせてやる。」
私
「それ、本人の目の前で言う?」
はい、面倒なので、学園内イベント表彰式が行われております。
会場の見物人は表彰式が始まると皆出て行きました。
そこにガヤガヤ入ってくる一団がいました。
マーリン、ラミア、ベリアル、ハデス、クロード、リチャード、ダグラス・・・・軍隊全員?
ライカ
「アリス様こっちです、間に合いましたよ」
ドワーフ村も全員?
アスナ
「私、転移するの初体験でした。びっくりですね」
シルフィーが飛んできて
「ナリス様、なんか観客が少ないみたいなことをサーシャ様が嘆いておられたので皆を呼んできました。頑張ってください」
いやいや、頑張らないけど・・・・・
クロード
「だから急げと言ったんですよ、アルファー、ぎりぎりじゃないですか」
アルファー
「間に合ったんだからいいじゃないですか」
ノルン
「ナリス様、ランカスター領の領民が大勢来ましたよ。入れますかね?」
闘技場って収容人数、何千? 何万も入るのかな?
ノルン
「この闘技場は広くはないですが一万人以上は入れそうですね。」
観客席がいっぱいになってガヤガヤうるさくなったら出て行った人たちが気になったのか少しずつ戻ってきました。
帰れ ←私の心の声
表彰式が終わり、エキシビジョンマッチの紹介が始まりました。
挑戦者の三人の不戦勝でいいのになあ
メイが
「そんなことになったらせっかく遠くからきた皆が泣きますよ?」
ええ・・・・
★エキシビジョンマッチ★
本日のエキシビジョンマッチ 第一試合
挑戦者 サーシャ、対するのはナリス
アンディー
「姉御ってドラゴンを素手で殴りとばしたことあったよな、うちの大将大丈夫か?」
サーシャ
「ナリス様、素手でやりましょう、殴りっこだ」
「もう、わがままだな、先に言ってよ」、武器に籠手に脛あてに靴も脱いでいいか、上着もいらないね」
よおし、準備できた。
会場司会者が大きな声で試合開始を告げた。
「試合開始」
一気に詰めてくると思ったら・・・・?
サーシャ
「なんだ、しらねぇのか?こういう時は一回拳を合わせるんだぞ」
げ、サーシャに言われてしまった。
右と右の拳を合わせて、改めて開始だ。
サーシャが一回さがって、一気に踏み込んできた。
右で殴りに来た。ステップを踏んで左手で合わせて右側にいなす。
サーシャの背中が見えたと思ったらそのまま左足が飛んできた。
下がるより前に出て避けた。下がっていたらそのまま回転して右足で蹴られていた。
やるな
サーシャ
「やるなあ」
リチャード
「ダグラス、今の見えたか?」
ダグラス
「何言ってんだよ、見えるわけねえだろ」
マーリン
「あのサーシャってすごいね、あれ、マジでやばいじゃん」
ベリアル
「イリスとやりあって引き分けなんだろ、昔」
ハデス
「なんであれを避けてんだ、うちの大将普通の人間だよな」
サーシャ
「本気で来ないと後悔するぞ」
いやいや、ここに居ること自体を後悔しております。
「おおらあぁ」
右足での、ローキックから左足で床を蹴って体を捻じって頭を狙ってきた。
後ろに下がると楽勝で避けられるけど?
そんなの想定内だよね、上から頭突きかよ、笑
ベリアル
「あれ、一発でも入ると・・・いやいや俺があれで気絶したんだっけ?」
そうそう
着地の時隙ありだけど、誘いかな?
ワンステップで後ろ回し蹴り、詰めていたら当たっていたな
会場全体が沸き上がった。
おおおおおおおおおおぉぉ
ん?
観客増えたか?
サーシャ
「そろそろ本気出せやぁぁ」
私
「サーシャ、死ぬなよ?」
サーシャ
「殺してみろぉぉぉ」
飛び込んできて右パンチ、私は左手でサーシャの右手首をいなして右手で掴む、そのまま左手で肘を抑えワンステップ入れて、流れで頭から落とした。
ガンッ
って、床の方が負けた? へこんでいるし・・・・
ベリアル
「姉さんのパンチを見切って掴んだ?」
サーシャ
「これくらいで殺せると思っているのか」
丈夫だなあ
私は無造作にサーシャに近づいて行った。
サーシャの右足ハイキック、左足で床を蹴って、回し蹴りを入れに来たところでサーシャは私の姿を見失った。
サーシャ
「どこ行った?」
ここだよ?
私は体を捻じって反動をつけているサーシャの背中にピッタリ寄り添ってサーシャの視界から消えました。
サーシャの着地の瞬間に腹部に一撃入れてみた。
ガハッ
サーシャの丈夫な体は問題ないだろうけど、当て身だから気を失っていいはず、なんだけどね、立ち上がるのか、すごいね
立ち上がった、サーシャだけど立ったまま気絶しているみたい。
ふぅ
わぁぁぁぁぁ
「勝負あり」
場内アナウンスが入って試合終了
リチャード
「ダグラスどうやって勝負がついたんだ?」
ダグラス
「姉御が蹴り入れて飛んで着地したら終わった。」
ベリアル
「俺たち降参して正解だったな、本当に」
ハデス
「ああ、あんなの相手にできないだろ」
マーリン
「ナリス様、かっこいいねえ」
本日のエキシビジョンマッチ 第二試合
挑戦者 神楽 対するは ナリス
装備をまたつけて上着も着て、靴も履いた。
準備出来た。
アリス
「神楽って・・・あら?」
ライカ
「ご存じの方ですか?」
アリス
「いえいえ、ずっと昔の有名人が神楽って名前だったと思います。」
ベリアル
「神楽って誰だ?」
会場司会者が大きな声で試合開始を告げた。
「試合開始」
お互いに武器を前に出し軽く当てて、挨拶を交わした。
神楽はにっと笑ってジャンプそして上段から剣を振り下ろして来た。
振り下ろした反動で一回転、もう一回上段から勢いを増して来た。
少し目が回っているように見えるのは気のせいか?
パ、パフォーマンスってやつかな?
ふらつく足で・・・酔拳か?
突いてきた。見た目には一突きだけど実際には、三回は突いているってやつか?
神楽
「いや、神槍はこれからだ」
?剣なのに槍ってなんだよ
神楽
「しっかり受けないと死ぬぞ」
持っているのは間違いなく剣なのに、間合いは槍?
段々早くなっている
リチャード
「なあ、ダグラス神楽ってやつの剣が、手が見えないのだけどお前見えるか?」
ダグラス
「心配するな、俺も見えん。」
ベリアル
「突きが止まらない?」
マーリン
「いや、突いているのか、どうかもわからない」
ハデス
「え?ナリス様が間合いを詰めているようにみえるが?」
マーリン
「間違いないよ、間合いが詰まって来た」
どういう事?
ベリアル
「あの見えない突きを完ぺきに捉えて攻撃をかわしているとしか思えん。」
ハデス
「あの持っている短剣でか?」
神楽が後ろに飛びのいた。
神楽
「すごいね、かわすだけでもすごいのに間合いを詰めてくるとは、自信なくすなぁ」
ベリアル
「あの突きの速さについて行けるとは・・・」
マーリン
「でもまだ先があったら?」
ハデス
「速さも異常だが、あの距離はどういうことだ?剣の間合いじゃないだろ、あれ」
神楽
「いきますよ」
神楽が構えて突きを放つ
持っている武器で突いて来る剣をさばきながら距離を詰めて・・・・? 一気に後ろに飛んだ、そこに剣先が走って来た。
神楽
「今のをかわしますか、まいったなあ」
リチャード
「何が起きている?」
ダグラス
「俺にもわからん」
ベリアル
「今のは感か?」
マーリン
「感だろうね。今頃あぶねぇとか思っているかも」
なにがまいったなぁだよ、あぶないなあ、ただの感で飛んだだけだよ、まったく
ハデス
「お前ら今の、かわせるか?」
ベリアル
「その前に間合いを詰められない」
マーリン
「そうだね、もう何回、体を刺し突かれて死んでいることやら・・・」
ベリアル
「動きが止まったな、何か会話でもしているのか?」
マーリン
「うん、何か話をしているようですね」
私
「いきますよ」
神楽が構えなおした。
神楽
「両手に短剣」一人呟いた。
無造作に神楽の間合いに近づいて、さらに間合いを詰める。
神楽の神槍攻撃が来る。
剣先を短剣で、止めたり、剣を受け流したり。
どんなに早くても剣は一本、短剣二本でさばけないはずはない。
下から剣を振り上げてきた。
一本で上に受け流しながら残り一本を剣に沿って滑らせて神楽の懐に入った。
最初の受け流しに使った短剣を神楽の首の前に突きだして
神楽
「まいった。」
ふぅ
シーンと静まり返る闘技場の中でアナウンスが入る。
「勝負あり」
「うわぁぁぁ、すごいぞぉ」
試合終了
リチャード
「何が起きた?何で終わったんだ?」
ダグラス
「大丈夫、俺にもわからん。」
ハデス
「見損ねた・・・何が起きた?」
ベリアル
「今のは、本人かイリスに聞かないと駄目だな。」
マーリン
「ナリス様が無造作に止まらず神楽の懐まで入り込んだように見えた。」
続けて
「神楽が勝ったと思ったのに、終わったら負けていた」
アルファー・レイン
「兄さん、あの・・・・あれはいったい」
クロード・レイン
「いやはや、とんでもない人たちと出会いましたね。」
アルファー・レイン
「あのような戦いは見たことが無いです。」
クロード・レイン
「私もですよ」
フラン様
「これほどまでのすさまじい闘技は見たことがありません。」
シルビア様
「何をどうすれば、あのように戦えるようになるのでしょうか?」
私
「まったく、危ない、危ない、穴ぼこだらけにするつもりかよ?」
神楽
「何を言っているのですが、一発も当たりませんでした。」
私
「助かりましたよ、神槍ですか、あの技一つで押し通してくれて」
神楽
「は? あれは奥義ですよ」
私
「奥義? かっこいいなあ、私もほしい」
神楽
「はぁ、負けた、負けた。」
はぁ、は私の方ですよ、もう疲れました。
本日のエキシビジョンマッチ 第三試合
挑戦者 イリス 対するは ナリス
もうイリスの不戦勝でよくない?
イリス
「エキシビジョンマッチには勝敗は関係ありません。」
無情にも響き渡る場内アナウンス
「試合開始」
お互いに武器を前に出し軽く当てて、挨拶を交わした。
イリスが上段から剣を振り下ろして来た。
って、おい その剣圧、会場ぶっ壊すつもりか?
私は急いで、魔法障壁で私とイリスを囲いました。
ガンッ
イリスの剣圧が魔法障壁にぶち当たった音です。流石に切り裂くことは出来なかったようです。よかった。
私
「会場の見物人ごと、叩き切るつもりかよ」
イリス
「相手がナリス様ですから、手を抜いてはおれません。が、これで心置きなく剣をふるう事が出来ます。ありがとうございます」
いやいや、そこ、お礼を言われても・・・・
リチャード
「おい、ダグラス、あれなに?」
ダグラス
「俺には、わからん。」
ベリアル
「イリスの剣圧、あれだけで潰されそうだな」
ハデス
「あの魔法障壁が無ければ、あの辺りの見物人、全員死んでいるな」
マーリン
「あの剣圧をものともしない魔法障壁か・・・・」
イリスが剣を振る、ナリスが避けるが数回続いた。
剣圧が障壁にぶつかる音が少しずつ変化していった。
ガンッで始まったが今は、ザンからザクッに変わった。
イリスの剣圧はだんだんと研ぎ澄まされた剣のように変わっていた。
ベリアル
「なんだか、剣圧で障壁を切ってないか?」
ハデス
「あれは、とんでもない切れ味のでかい剣を振り回しているようなもんだな」
アリス
「まったく何年たってもあの子は乱暴者なのですね、あの頃のあの子は、毎日怒っていて何が不満なのか自分でもわからないようで、苛立つ気持ちを辺りに当たり散らしているだけでしたのに、私はあんなに楽しそうなイリスを見るのは初めてです。」
ライカは国一つ滅ぼしたと言う話も頷けると思っていた。
エリス
「クリス、ここは私が見るから、オットーとカールと三人で向こうの客席を守れ」
クリス
「わかりました。」
クリスがオットーとカールの所に走って行った。
イリス
「あはははは、しっかり障壁張っていてくださいよ、ナリス様」
私
「無茶言うな」
キュベレイ・ロンギヌス
「すごいな、あいつどんどん、力を増しているぞ」
ヘスティア・グリス
「うらやましい限りです、楽しそうですね」
ノルン
「ナリス様、あれをどうなさるのでしょうね」
キュベレイ・ロンギヌス
「ノルン、何を言っているのだ、お前は、当然、真っ向から受け止める、だ」
なんか無茶な事を言っている奴がいる気がする、気のせいか?
ベリアル
「ナリス様はあの剣圧を避けているわけではないのか、弾かれていて、それが障壁に当たって、あの斬撃・・・・か」
ハデス
「あれを、弾く?そんなことをしていると巻き込まれて細切れになって散るだけだろ」
マーリン
「そうですね、ハデス、私もそう思います」
私
「イリス、いい加減にしろよ、お前」
イリス
「いやです、こんなに楽しいのは初めてですから、やめたくありません」
悔しかったら止めて見ろってか・・・・このやろぉー
魔法障壁の外側にもう一つ薄いけど強い魔法障壁を張った。
キュベレイ・ロンギヌス
「まだ、剣圧の鋭さが増している」
私は上段から振り下ろされるイリスの剣、その剣圧を左に避けた。
イリスは振り下ろした剣を横に振り上げ、その剣圧が私を横に切り裂こうと迫る。
マーリン
「あ、え? ナリス様が二人いる。」
ベリアル
「なにを・・・え? いや三人いるぞ」
ハデス
「四人だ」
エリス
「ナリス様、この状況で何かを会得された?」
イリス
「全て薙ぎ払うのみ」
キュベレイ・ロンギヌス
「幻影? いや分身か?」
ヘスティア・グリス
「幻影にしろ、分身にしろ、徐々にイリスに近づいている」
ノルン
「あの分身、全部イリスの剣圧を避けていますね。」
イリスが攻撃をやめ、後ろに飛んだ。
イリスが集中しているのがわかる。そしてイリスの剣圧が消えた。
恐ろしいほどに研ぎ澄まされたイリスの剣技、その構えの美しさに会場も魅了されている。
空気がイリスを中心に舞っている。
私はかまわず攻撃を仕掛けた。
ナリスの分身四人がイリスに突っ込んだ。
ノルン
「ばかな」
四人のナリスはあっという間にイリスに切り払われる。
その瞬間、ナリスが頭上から、イリスに抱きついた。
キュベレイ・ロンギヌス
「五人目、いやただ単に一人に戻った?」
私
「イリス、捕まえたぞ、このやろぉ」
一瞬でイリスの闘気が消えた。
イリス
「あれ? えぇぇぇぇ、まいりました」
アナウンスが入る。
「勝負あり」
試合終了
ベリアル
「分身だってよ」
ハデス
「今度教えてもらおう」
マーリン
「私もやりたい」
ハデス
「お前ら今のイリスに向かって行けたか?」
ベリアル
「無駄な質問をするな、無理に決まっているだろ」
マーリン
「分身が出来ても無理だね、あの構えを見るだけで、震えが来るよ」
キュベレイ・ロンギヌス
「おみごと、と言っておくしかないよね」
ヘスティア・グリス
「この状況だから、分身が出来たのだろうか?」
ノルン
「極限だからこその能力会得でしょうか?」
キュベレイ・ロンギヌス
「いきなり使い切ったのもすごいね、四人か」
続けて
「それにしてもあの三人、侮れないね、まいったな」
ヘスティア・グリス
「余裕で私たちが強いと思っていましたけどね」
ノルン
「一対一で対峙して戦うのは面倒ですね。」
キュベレイ・ロンギヌス
「そうだな、それをやり遂げたナリス様はさらにすごいという事か」
流石です。
会場中が言葉を失っているようでした。
三試合ともどうやって勝負がついたのかわからない人ばかりで、解説を行う人もいないし、いてもわからなかっただろう・・・けど 笑
アリス
「ナリス様も面白い方ですね、あんなに暴れているあの子を最後抱きしめて終わるなんて、あの子の全力でも、かなわない人がいるなんて世の中はすごいですね」
ライカ
「はい、イリス様に勝てる方がいるとは思ってもおりませんでした。」
アリス
「私もです」と言って笑った。
学園内イベント、エキシビジョンマッチ終了です。
サーシャが
「もう一回やらせてくれ、次は負けないから」
うるさい
私
「皆、よぉぉく聞いておいてください。もう二度と私は参戦しません。」
サーシャ
「なあ、神楽、背中に目をつけるにはどうしたら、いいんだ?」と真顔で聞いていた。
イリスが
「えぇぇ、またやりましょうよ」
うるさい
神楽
「背中に目・・・・か」
こいつも真剣に考える人なのね・・・
エリスが冷静に
「サーシャ様の背中に目があった場合、現在見えているのが、前なのか後ろなのか、わからずに攻撃されて終わる可能性の方が高いかと思います。」
ぶっ。全員が納得して大笑いになった。
サーシャもなるほど・・・って
睦
「あの、ナリス様、私感動しました。もう涙が止まりません、すごすぎです。」
ハイエルフの皆が一緒に頷いて、涙を拭いていました。
ネイ
「お疲れさまでした。本当にすごい人と知り合えてよかったです。」
バニラとチョコ
「ね、やっぱり、私たちがナリス様を守るなんて絶対無理、私たちが守ってもらう方がお得です」と涙目になりながら笑っていました。
なに?お得って・・・・
メイ
「お疲れさまでした。ミイとライアも格闘してみたいそうです。」
やだ
はぁ、疲れました。
学園内イベントが終わって数日経ちましたが、あの?熱狂がまだ冷めないようです。
私の名前は、さらに有名になりました。
私の評価がどれだけ低かったのかが良くわかりました。
そのまま昼行燈で居たほうが良かったのかもしれません。が、名前は売れても顔を知らない人が多いのが不思議です。
学園内食堂で私の名前が良く「すごいね」と一緒に、聞こえてくるのですが、座っている私の横を歩いて、いても私には気が付かない様子です。
その都度メイが
「どんまい」と声をかけてきます
分身についてよく皆から聞かれるのですが、と言うか教えてほしいとお願いされます。
戦いの最中に自分がもう一人いたら楽なのに、ちょっと出て来いと考えていたら突然一人増えた。
これの話をすると皆怒ります。うーん・・・・
分身:一人の者が、二人以上に分かれる事、そうなんだ?
高速で移動して途中で止まったりして大勢いるように錯覚させている技だと思っていました。
あの時を思い出すと確かに分かれていました。それも全部が私なのだけれど、それぞれ自分の意思で動いていたように思います。
ドッペルゲンガー・・・うーん
私が二人に分かれて、その二人がまた二人に分かれたから合計四人になった、という事は八人にもなれるのかな?
まてよ、全部私だった気がするんだよね、それって多すぎると精神崩壊・・・
考えすぎかな?
メイが
「それって怖いですね」
イリスが
「また、分身について考えているのですか?」
サーシャ
「あれは、マジで卑怯だ、一人でも大変なのに増えてんじゃねぇよ」
神楽
「あれ、私の時にやっていたら、楽勝だったのではないですか?」
私
「なぜか急に、もう一人いればって思っていたら、増えたんだよね、本当に」
あの時、なんか、楽しかったな。
メイが
「ナリス様、ひとりでにやにやしていると、気持ち悪いですよ」
な・・・・
とんでもなく忙しい一年が終わり学園生活も二年目に突入です。
卒業生、九十名程がランカスターで仕事をすることになり、城の近くに寮を作りました。と言っても食事は着きません。普通にアパートです。
数人で一緒に住む方、個人で部屋を借りる方、それぞれです。
給金は一日銀貨三枚の計算で三十日、月に銀貨九十枚、年間、銀貨九百六十枚、休日は週に一日、あとは職場でのスケジュール調整です。
寮費は部屋代が月に銀貨二枚、水は現在、井戸水、環境汚染等はないようですけど生水は飲まないように注意してくださいと通達しております。
ガス、電気等はないので食事は外食、朝は買い置きしたパンと飲み物ぐらいでしょうか?
卒業生は学園生活での寮の有難さが身に染みるのではないでしょうか?
私は、屋敷にいるメイドさんたちのおかげで楽をしております。ありがとうございます。
さて、学年が上がるという事は初々しい後輩が入学してくるという事であります。
が、私には何も関係ないようです。
新入生と会って話をする機会もない、誰が新入生かもよくわからない、制服が真新しいとそうかもしれませんが、自分たちの制服もまだ・・・ねぇ
うーん。そういえば、在校生ともこの一年会話らしいことはしていない、まあ要するに私はぼっち、気質と言いましょうか
メイが
「ナリス様には私もみんなもいますから大丈夫ですよ?」それってフォローになっていないかも?
サーシャが
「どうした、景気の悪いこと言っているな?」
スルーしよ
サーシャ
「俺が慰めてやろうっていってんだ、おとなしく慰められろ」
イリス
「この、離れろ、サーシャ」と引きはがそうとするイリス
相変わらずです。
突然
「あんたかい、女好きで有名なナリスって先輩は?」
私
「有名なんだ、良かった。女好きで間違いないから、男は寄ってこなくていいです。」
サーシャ
「なにが良いんだよ、喧嘩売られているだろうが、シャキッと買えよ」
面倒くさい。
知らない新入生らしい男子生徒はもう私よりサーシャの綺麗さに目を奪われておられます。
振り向いて、サーシャに聞いてみた。
「喧嘩を買えばいいのですか?」と
サーシャ
「おお、そうだよ、さっさと買ってしまえ」と言われて私は、サーシャをぎゅっと抱きしめた。
イリスが
「ああああ、離れろ、サーシャ、この、早く離れろ、」
サーシャ
「俺じゃねぇだろ、抱き着いているのは」
イリスが
「顔が嫌がってない」と言われたサーシャがにやっと笑って私に抱き着き返して来た。
学園の往来で抱き合う二人になってしまいました。
イリス
「離れろ、サーシャ」
ふふふ、君たちが目を奪われる美しいサーシャに抱きつけるのは私だけなのですよ、どうだ、くやしいだろう、泣け、わははは
メイが
「何をしているのですか、変な事ばかり考えて」と言いつつ私の頭をボコッと叩いた。
変な事ばかり考えて・・・周りの目がこの言葉に反応している、え、いやちょっと
私
「メイ、最近、私の頭を叩きすぎじゃないですか?」
メイ
「しょうがないでしょ、私のやきもちですから、何でよりによってサーシャ様に抱きついているのですか?私だって怒りますよ」
サーシャ
「メイ?」
メイ
「イリス様も澪様も何をしておられるのですか?あと数年したら私も参戦しますからね」
なにに?
メイの勢いに押されて男子生徒の事も騒ぎの事も忘れて校舎の中に入ってしまいました。
今年度の講座の内容は行儀・作法を二時間に減らしました。フラン様にはすごく嫌な顔をされましたが、了承していただき、魔法の座学を一時間、歴史を一時間入れました。
歴史を選んだのは、七千年前、魔王が封印された場所の手がかりを探すためです。
講義を受けて情報が得られるとは思えないですが、何かしら行動を起こさないと何も起きないような気がして、藁にもすがれ・・・です。
何事もなく、平穏無事な毎日を・・お? そういえば朝何かありましたね。
食堂で昼食を何時ものように皆でとっていると
「居たな、やっと見つけたぞ、朝はよくも俺様を無視してくれたな?」
誰だっけ?
メイが
「今、朝、何かあったなと考えていた、その何かです」
おお
「朝、サーシャに見とれていた男子生徒か」
ぶ、そこですか
男子生徒
「このやろぉ、俺はお前と違ってエリートなのに毎日必死に修練を欠かさず行ってきた、その俺をバカにしやがって」といきなり火の魔法の詠唱をはじめました。
バニラとチョコが私の後ろに来て
「ナリス様、危ないです」
イリスが
「お前ら、後ろに隠れてどうする、前に立って盾になれ盾に」
バニラとチョコ
「そんなことしたら死んじゃいますよ」
サーシャ
「お前らなにビビってんだよ、ナリス様だぞ? な」と言ってこっちを見たから
「あれ撃ったら食堂なくなりそうだね」
サーシャ
「ぶ、なんとかしろよ」
私
「詠唱長いね、そろそろ撃つかな?」
男子生徒がさらに怒ったようにこっちを睨んで、詠唱を完了、魔法を撃った。
私は魔法を放つ男子生徒を魔法障壁で囲みました。
魔法障壁の玉の中にただ一人男子生徒がいる状態です。
放った魔法は魔法障壁の玉の中で爆発、すごい音がして玉の中は炎で充満しています。
イリス
「おみごと」
サーシャ
「あいつ自分の撃った魔法で死んだんじゃねぇか?」
私
「さっき、エリートとか言っていたので大丈夫なのでは?」
まあ、死んでいても知りませんけど、私を殺すつもりで放った魔法でしょうから、返り討ちに会っても文句はいえません。
魔法障壁内の炎が弱まり、消えました。
私は魔法障壁を解除しました。
そこには真っ黒な人の形をした燃えカスが横たわっていました。
サーシャ
「エリートって口だけかよ」
魔法詠唱を始めた時から避難で回りには人がいなくなっていたので
「皆、結界を張ってください」
私は能力「解放」を使用した。
「超幸運のスキル解放、超回復のスキルを解放」
※注 解放スキル:私だけのオンリー・ワンスキル
他人のスキルを解放することで私の意思で使用、取得・付与することが出来る
真っ黒な人の形をした燃えカスが光に包まれた。
「肉体再生のスキルを解放・発動」
メイのスキル、医療及び専門知識:医術をさらに解放
真っ黒な人の形をした燃えカスの全身を再生、そして神経、血管、筋肉等確認してさらに、再生を試みた
真っ黒な人の形をした燃えカスを包んでいた光が薄れていき、再生は完了、成功した
当然、衣服等の再生は出来ませんので裸です。そのまま帰って変態の称号を受けてもらいましょう。
「死者蘇生」と、唱えて魔力を解放した。
私達は席に戻って何事もなかったように食事を続け・・・・焦げ臭い
食べる気もなくして、食器を片付け食堂を出ました。
澪が
「あの方はいいのでしょうか?」
私
「いきなり人の大勢いる場所であんな魔法を撃ってくるような人の事は知りません」
そのうち目を覚ますでしょ
エリスが
「目を覚ましたらまた、攻撃しに来ますね」
私
「ところで、エリートってどういう事? 」
澪
「さっきの方に聞かないと駄目ですね」
面倒くさいからいいや
というか、もう来ないでほしいね。
私の願いは聞き入れてもらえませんでした。
次の日の朝
学園の門をくぐると左側に膝まずいている男子生徒がいました。
「おはようございます、昨日は大変失礼をいたしました。申し訳ありませんでした。」
誰?
メイが
「黒こげの人ではないでしょうか?」
ああ
「私は、レムス・クァン・ロットと申します。侯爵様の屋敷に呼ばれそのまま反乱の罪で廃嫡になりました。」
「我が家は代々、魔法師の家柄で国の守りに貢献してきました。が、あの時侯爵様からの呼び出しでは行かないわけにはまいらぬと出かけた父を見たのが最後でした。」
そう言う事なら昨日の事件もしょうがないと言えばしょうがないか・・・
「ロット領内はわが父の元、団結しておりましたので、領内の貴族は全員侯爵様の屋敷に出向いております。今ロット領を納める貴族はおりません。学園を出て家の再興をと思っております。」
「昨日は、力の差を見せつけられ思い知りました。どうか教えを請いたく存じます。我が願いどうか、お聞き入れください。」
私
「い・・・・・むぅ」イリス、エリスが私の口を押えております。
メイが
「ナリス様は女好きでおられますので男性の方は無理かと存じます。昨日、貴方様もそうおっしゃっておられましたよね、どうぞお引き取りください。」
メイ、ナイス・・・のような気がする。けどなんか微妙な気もする。
イリスが
「私はイリスと申します。申し訳ありませんがナリス様はお忙しい身なれば、その願いを聞き届けている暇がありません。」
レムス
「あ、いや、そこを曲げてお願い申し上げます。」
わがままな奴だな
イリス
「今ここに、昨日貴方が殺害しようとしたシルビア王女様、フランソワーズ・オルレアン元王妃様が居られます。貴方の話を聞いてくださるかもしれません。」
それは国を守って来た家柄の方が行う行動とは思われないね。と言うか、あれ食堂にいた人、全員死んでいたでしょ
レムス
「大変ご無礼をいたしました。」
フラン様
「私もロット伯爵様の御人柄はよく存じております。その跡継ぎの方が貴方みたいな愚か者とは思いもよりませんでした。私は今の貴方を貴族に推薦など出来ません。」
続けて
「ところでナリス様、昨日あの後すぐにお助けになられたのには理由があるのでしょうか?」
?
私
「ああ、何故でしょうね、考え無しに動いていますね」
フラン様が、ふふっと笑って
「レムス様、ナリス様が直感で貴方をお助けされております。貴方には何かがあるのかもしれません。精進なさってください。」
私
「神楽、楓、茜」
はい
続けて
「バニラ、チョコの護衛を神楽、楓、茜に任せようと思います。フラン様、シルビア様、クラリス様も一緒におられるので三人でお願いしたいのですが、貴方にも機会を与えましょう、レムスさん、貴方も護衛に参加してみますか?」
イリス
「ナリス様、どうしたのですか?」
私
「うん・・・何か、直感?」
レムス
「我が友も二人参加させてもよろしいでしょうか?」
私
「フラン様に聞いてみてください、お任せいたします。」
フラン様
「では、参加していただきましょう」
何か変な奴が増えました。
★学園内イベント★
何事もなく日々を過ごしておりました。
終末にドワーフ村に行き、ランカスター城をまわって帰ってくる。
そうしている間に、イリスがソワソワする時期が来ました。
あ、今年はもっと煩いのがいます、サーシャです。
出場年齢制限に激しく抵抗しております。
お城の方からの通達でエキシビジョンマッチを閉会式の後に行ってほしいと要望が来ました。
イリス、サーシャが大喜びではしゃぎ回っていましたけど、私は面倒なのでイリスに丸投げしました。
数日が過ぎて学園内を歩いている
と
「ナリス様、がんばってくださいねぇ」と応援する声が聞こえ始めました。
何を頑張るのでしょうか?
今まで気にもしなかった廊下のポスター・・・・
ふと目をやると学園内イベントの隣にそれよりも少し大きめのエキシビジョンマッチのポスターが貼ってありました。
内容は一番勝負、ナリス対サーシャ、二番勝負、ナリス隊神楽、三番勝負、ナリス隊イリス え? どういうこと??
イリス
「最初は、サーシャが私とやるって聞かなかったのですが、神楽が「じゃあ、私ナリス様と戦う」と言い出したら話がこじれまして、最終三人ともナリス様と戦うことで合意しました。順番は、一番は絶対に譲らないとサーシャがごねまして、神楽と私でじゃんけんしました。」
・・・・・・
私
「私何も聞いておりませんが?」
イリス
「私に丸投げで、好きにしていいとおっしゃいましたので、はい」
・・・・・・
ええっと
サーシャ
「学園内イベントよりこっちの方が盛り上がっているらしいぞ」
続けて
「ナリス様の首を落として、二番、三番の出番をなくして泣かせてやる。ふふふ」
おいおい
今年も何か、落ちてこないかな?
私
「サーシャ、以前、巨大な蜘蛛と戦った事とかないの?」
無いな
「どうせ、ご主人様に良い見せ場を用意してかっこよく勝たせてやるだけだろ?」
なかなか嬉しい外野の声
レムス
「あの、ナリス様大丈夫でしょうか? とんでもない回復系の魔法をお持ちのようですが、近接での実践はどうなんですか?」
フラン様
「私もナリス様が剣を持って戦っておられる姿を見たことはありません。」
レムス
「それってかなりやばいのでは?」
クリス
「イリス様、申し訳ございません。ひいき目に見てもナリス様の楽勝かと存じます。」
レムス
「え?」
エリス
「私もそのように思います。」
フラン様
「そんなに差があるのですか?」
エリス
「はい、十歳を過ぎてからとんでもない強さになられております。」
神楽
「まじか、なんか緊張してきたぞ」
サーシャ
「大丈夫、俺が一人で終わらせる。」
レムス
「回復魔法が強力で、近接での実践も強いなんて、敵無ですね」
エリス
「何を言っているの? ナリス様の攻撃魔法は最強ですよ。」
クリス
「レムス、貴方は本気で最強の方に喧嘩を売ったのですよ。」
生きていてよかったですね。
レムス
「いえ、死にましたけど、私」
大会当日が近づくにつれ、外野の声がうるさくなってきました。
なんでよいしょ大会とかやるんだよ、ばかばかしい
見るやつとかいるのか?
優勝者に挑戦大会のほうがよくないか
この国ってほんとに終わっているよな
サーシャ
「外野の声とかどうでもいい、ナリス様と戦える、本気にさせてやる。」
私
「それ、本人の目の前で言う?」
はい、面倒なので、学園内イベント表彰式が行われております。
会場の見物人は表彰式が始まると皆出て行きました。
そこにガヤガヤ入ってくる一団がいました。
マーリン、ラミア、ベリアル、ハデス、クロード、リチャード、ダグラス・・・・軍隊全員?
ライカ
「アリス様こっちです、間に合いましたよ」
ドワーフ村も全員?
アスナ
「私、転移するの初体験でした。びっくりですね」
シルフィーが飛んできて
「ナリス様、なんか観客が少ないみたいなことをサーシャ様が嘆いておられたので皆を呼んできました。頑張ってください」
いやいや、頑張らないけど・・・・・
クロード
「だから急げと言ったんですよ、アルファー、ぎりぎりじゃないですか」
アルファー
「間に合ったんだからいいじゃないですか」
ノルン
「ナリス様、ランカスター領の領民が大勢来ましたよ。入れますかね?」
闘技場って収容人数、何千? 何万も入るのかな?
ノルン
「この闘技場は広くはないですが一万人以上は入れそうですね。」
観客席がいっぱいになってガヤガヤうるさくなったら出て行った人たちが気になったのか少しずつ戻ってきました。
帰れ ←私の心の声
表彰式が終わり、エキシビジョンマッチの紹介が始まりました。
挑戦者の三人の不戦勝でいいのになあ
メイが
「そんなことになったらせっかく遠くからきた皆が泣きますよ?」
ええ・・・・
★エキシビジョンマッチ★
本日のエキシビジョンマッチ 第一試合
挑戦者 サーシャ、対するのはナリス
アンディー
「姉御ってドラゴンを素手で殴りとばしたことあったよな、うちの大将大丈夫か?」
サーシャ
「ナリス様、素手でやりましょう、殴りっこだ」
「もう、わがままだな、先に言ってよ」、武器に籠手に脛あてに靴も脱いでいいか、上着もいらないね」
よおし、準備できた。
会場司会者が大きな声で試合開始を告げた。
「試合開始」
一気に詰めてくると思ったら・・・・?
サーシャ
「なんだ、しらねぇのか?こういう時は一回拳を合わせるんだぞ」
げ、サーシャに言われてしまった。
右と右の拳を合わせて、改めて開始だ。
サーシャが一回さがって、一気に踏み込んできた。
右で殴りに来た。ステップを踏んで左手で合わせて右側にいなす。
サーシャの背中が見えたと思ったらそのまま左足が飛んできた。
下がるより前に出て避けた。下がっていたらそのまま回転して右足で蹴られていた。
やるな
サーシャ
「やるなあ」
リチャード
「ダグラス、今の見えたか?」
ダグラス
「何言ってんだよ、見えるわけねえだろ」
マーリン
「あのサーシャってすごいね、あれ、マジでやばいじゃん」
ベリアル
「イリスとやりあって引き分けなんだろ、昔」
ハデス
「なんであれを避けてんだ、うちの大将普通の人間だよな」
サーシャ
「本気で来ないと後悔するぞ」
いやいや、ここに居ること自体を後悔しております。
「おおらあぁ」
右足での、ローキックから左足で床を蹴って体を捻じって頭を狙ってきた。
後ろに下がると楽勝で避けられるけど?
そんなの想定内だよね、上から頭突きかよ、笑
ベリアル
「あれ、一発でも入ると・・・いやいや俺があれで気絶したんだっけ?」
そうそう
着地の時隙ありだけど、誘いかな?
ワンステップで後ろ回し蹴り、詰めていたら当たっていたな
会場全体が沸き上がった。
おおおおおおおおおおぉぉ
ん?
観客増えたか?
サーシャ
「そろそろ本気出せやぁぁ」
私
「サーシャ、死ぬなよ?」
サーシャ
「殺してみろぉぉぉ」
飛び込んできて右パンチ、私は左手でサーシャの右手首をいなして右手で掴む、そのまま左手で肘を抑えワンステップ入れて、流れで頭から落とした。
ガンッ
って、床の方が負けた? へこんでいるし・・・・
ベリアル
「姉さんのパンチを見切って掴んだ?」
サーシャ
「これくらいで殺せると思っているのか」
丈夫だなあ
私は無造作にサーシャに近づいて行った。
サーシャの右足ハイキック、左足で床を蹴って、回し蹴りを入れに来たところでサーシャは私の姿を見失った。
サーシャ
「どこ行った?」
ここだよ?
私は体を捻じって反動をつけているサーシャの背中にピッタリ寄り添ってサーシャの視界から消えました。
サーシャの着地の瞬間に腹部に一撃入れてみた。
ガハッ
サーシャの丈夫な体は問題ないだろうけど、当て身だから気を失っていいはず、なんだけどね、立ち上がるのか、すごいね
立ち上がった、サーシャだけど立ったまま気絶しているみたい。
ふぅ
わぁぁぁぁぁ
「勝負あり」
場内アナウンスが入って試合終了
リチャード
「ダグラスどうやって勝負がついたんだ?」
ダグラス
「姉御が蹴り入れて飛んで着地したら終わった。」
ベリアル
「俺たち降参して正解だったな、本当に」
ハデス
「ああ、あんなの相手にできないだろ」
マーリン
「ナリス様、かっこいいねえ」
本日のエキシビジョンマッチ 第二試合
挑戦者 神楽 対するは ナリス
装備をまたつけて上着も着て、靴も履いた。
準備出来た。
アリス
「神楽って・・・あら?」
ライカ
「ご存じの方ですか?」
アリス
「いえいえ、ずっと昔の有名人が神楽って名前だったと思います。」
ベリアル
「神楽って誰だ?」
会場司会者が大きな声で試合開始を告げた。
「試合開始」
お互いに武器を前に出し軽く当てて、挨拶を交わした。
神楽はにっと笑ってジャンプそして上段から剣を振り下ろして来た。
振り下ろした反動で一回転、もう一回上段から勢いを増して来た。
少し目が回っているように見えるのは気のせいか?
パ、パフォーマンスってやつかな?
ふらつく足で・・・酔拳か?
突いてきた。見た目には一突きだけど実際には、三回は突いているってやつか?
神楽
「いや、神槍はこれからだ」
?剣なのに槍ってなんだよ
神楽
「しっかり受けないと死ぬぞ」
持っているのは間違いなく剣なのに、間合いは槍?
段々早くなっている
リチャード
「なあ、ダグラス神楽ってやつの剣が、手が見えないのだけどお前見えるか?」
ダグラス
「心配するな、俺も見えん。」
ベリアル
「突きが止まらない?」
マーリン
「いや、突いているのか、どうかもわからない」
ハデス
「え?ナリス様が間合いを詰めているようにみえるが?」
マーリン
「間違いないよ、間合いが詰まって来た」
どういう事?
ベリアル
「あの見えない突きを完ぺきに捉えて攻撃をかわしているとしか思えん。」
ハデス
「あの持っている短剣でか?」
神楽が後ろに飛びのいた。
神楽
「すごいね、かわすだけでもすごいのに間合いを詰めてくるとは、自信なくすなぁ」
ベリアル
「あの突きの速さについて行けるとは・・・」
マーリン
「でもまだ先があったら?」
ハデス
「速さも異常だが、あの距離はどういうことだ?剣の間合いじゃないだろ、あれ」
神楽
「いきますよ」
神楽が構えて突きを放つ
持っている武器で突いて来る剣をさばきながら距離を詰めて・・・・? 一気に後ろに飛んだ、そこに剣先が走って来た。
神楽
「今のをかわしますか、まいったなあ」
リチャード
「何が起きている?」
ダグラス
「俺にもわからん」
ベリアル
「今のは感か?」
マーリン
「感だろうね。今頃あぶねぇとか思っているかも」
なにがまいったなぁだよ、あぶないなあ、ただの感で飛んだだけだよ、まったく
ハデス
「お前ら今の、かわせるか?」
ベリアル
「その前に間合いを詰められない」
マーリン
「そうだね、もう何回、体を刺し突かれて死んでいることやら・・・」
ベリアル
「動きが止まったな、何か会話でもしているのか?」
マーリン
「うん、何か話をしているようですね」
私
「いきますよ」
神楽が構えなおした。
神楽
「両手に短剣」一人呟いた。
無造作に神楽の間合いに近づいて、さらに間合いを詰める。
神楽の神槍攻撃が来る。
剣先を短剣で、止めたり、剣を受け流したり。
どんなに早くても剣は一本、短剣二本でさばけないはずはない。
下から剣を振り上げてきた。
一本で上に受け流しながら残り一本を剣に沿って滑らせて神楽の懐に入った。
最初の受け流しに使った短剣を神楽の首の前に突きだして
神楽
「まいった。」
ふぅ
シーンと静まり返る闘技場の中でアナウンスが入る。
「勝負あり」
「うわぁぁぁ、すごいぞぉ」
試合終了
リチャード
「何が起きた?何で終わったんだ?」
ダグラス
「大丈夫、俺にもわからん。」
ハデス
「見損ねた・・・何が起きた?」
ベリアル
「今のは、本人かイリスに聞かないと駄目だな。」
マーリン
「ナリス様が無造作に止まらず神楽の懐まで入り込んだように見えた。」
続けて
「神楽が勝ったと思ったのに、終わったら負けていた」
アルファー・レイン
「兄さん、あの・・・・あれはいったい」
クロード・レイン
「いやはや、とんでもない人たちと出会いましたね。」
アルファー・レイン
「あのような戦いは見たことが無いです。」
クロード・レイン
「私もですよ」
フラン様
「これほどまでのすさまじい闘技は見たことがありません。」
シルビア様
「何をどうすれば、あのように戦えるようになるのでしょうか?」
私
「まったく、危ない、危ない、穴ぼこだらけにするつもりかよ?」
神楽
「何を言っているのですが、一発も当たりませんでした。」
私
「助かりましたよ、神槍ですか、あの技一つで押し通してくれて」
神楽
「は? あれは奥義ですよ」
私
「奥義? かっこいいなあ、私もほしい」
神楽
「はぁ、負けた、負けた。」
はぁ、は私の方ですよ、もう疲れました。
本日のエキシビジョンマッチ 第三試合
挑戦者 イリス 対するは ナリス
もうイリスの不戦勝でよくない?
イリス
「エキシビジョンマッチには勝敗は関係ありません。」
無情にも響き渡る場内アナウンス
「試合開始」
お互いに武器を前に出し軽く当てて、挨拶を交わした。
イリスが上段から剣を振り下ろして来た。
って、おい その剣圧、会場ぶっ壊すつもりか?
私は急いで、魔法障壁で私とイリスを囲いました。
ガンッ
イリスの剣圧が魔法障壁にぶち当たった音です。流石に切り裂くことは出来なかったようです。よかった。
私
「会場の見物人ごと、叩き切るつもりかよ」
イリス
「相手がナリス様ですから、手を抜いてはおれません。が、これで心置きなく剣をふるう事が出来ます。ありがとうございます」
いやいや、そこ、お礼を言われても・・・・
リチャード
「おい、ダグラス、あれなに?」
ダグラス
「俺には、わからん。」
ベリアル
「イリスの剣圧、あれだけで潰されそうだな」
ハデス
「あの魔法障壁が無ければ、あの辺りの見物人、全員死んでいるな」
マーリン
「あの剣圧をものともしない魔法障壁か・・・・」
イリスが剣を振る、ナリスが避けるが数回続いた。
剣圧が障壁にぶつかる音が少しずつ変化していった。
ガンッで始まったが今は、ザンからザクッに変わった。
イリスの剣圧はだんだんと研ぎ澄まされた剣のように変わっていた。
ベリアル
「なんだか、剣圧で障壁を切ってないか?」
ハデス
「あれは、とんでもない切れ味のでかい剣を振り回しているようなもんだな」
アリス
「まったく何年たってもあの子は乱暴者なのですね、あの頃のあの子は、毎日怒っていて何が不満なのか自分でもわからないようで、苛立つ気持ちを辺りに当たり散らしているだけでしたのに、私はあんなに楽しそうなイリスを見るのは初めてです。」
ライカは国一つ滅ぼしたと言う話も頷けると思っていた。
エリス
「クリス、ここは私が見るから、オットーとカールと三人で向こうの客席を守れ」
クリス
「わかりました。」
クリスがオットーとカールの所に走って行った。
イリス
「あはははは、しっかり障壁張っていてくださいよ、ナリス様」
私
「無茶言うな」
キュベレイ・ロンギヌス
「すごいな、あいつどんどん、力を増しているぞ」
ヘスティア・グリス
「うらやましい限りです、楽しそうですね」
ノルン
「ナリス様、あれをどうなさるのでしょうね」
キュベレイ・ロンギヌス
「ノルン、何を言っているのだ、お前は、当然、真っ向から受け止める、だ」
なんか無茶な事を言っている奴がいる気がする、気のせいか?
ベリアル
「ナリス様はあの剣圧を避けているわけではないのか、弾かれていて、それが障壁に当たって、あの斬撃・・・・か」
ハデス
「あれを、弾く?そんなことをしていると巻き込まれて細切れになって散るだけだろ」
マーリン
「そうですね、ハデス、私もそう思います」
私
「イリス、いい加減にしろよ、お前」
イリス
「いやです、こんなに楽しいのは初めてですから、やめたくありません」
悔しかったら止めて見ろってか・・・・このやろぉー
魔法障壁の外側にもう一つ薄いけど強い魔法障壁を張った。
キュベレイ・ロンギヌス
「まだ、剣圧の鋭さが増している」
私は上段から振り下ろされるイリスの剣、その剣圧を左に避けた。
イリスは振り下ろした剣を横に振り上げ、その剣圧が私を横に切り裂こうと迫る。
マーリン
「あ、え? ナリス様が二人いる。」
ベリアル
「なにを・・・え? いや三人いるぞ」
ハデス
「四人だ」
エリス
「ナリス様、この状況で何かを会得された?」
イリス
「全て薙ぎ払うのみ」
キュベレイ・ロンギヌス
「幻影? いや分身か?」
ヘスティア・グリス
「幻影にしろ、分身にしろ、徐々にイリスに近づいている」
ノルン
「あの分身、全部イリスの剣圧を避けていますね。」
イリスが攻撃をやめ、後ろに飛んだ。
イリスが集中しているのがわかる。そしてイリスの剣圧が消えた。
恐ろしいほどに研ぎ澄まされたイリスの剣技、その構えの美しさに会場も魅了されている。
空気がイリスを中心に舞っている。
私はかまわず攻撃を仕掛けた。
ナリスの分身四人がイリスに突っ込んだ。
ノルン
「ばかな」
四人のナリスはあっという間にイリスに切り払われる。
その瞬間、ナリスが頭上から、イリスに抱きついた。
キュベレイ・ロンギヌス
「五人目、いやただ単に一人に戻った?」
私
「イリス、捕まえたぞ、このやろぉ」
一瞬でイリスの闘気が消えた。
イリス
「あれ? えぇぇぇぇ、まいりました」
アナウンスが入る。
「勝負あり」
試合終了
ベリアル
「分身だってよ」
ハデス
「今度教えてもらおう」
マーリン
「私もやりたい」
ハデス
「お前ら今のイリスに向かって行けたか?」
ベリアル
「無駄な質問をするな、無理に決まっているだろ」
マーリン
「分身が出来ても無理だね、あの構えを見るだけで、震えが来るよ」
キュベレイ・ロンギヌス
「おみごと、と言っておくしかないよね」
ヘスティア・グリス
「この状況だから、分身が出来たのだろうか?」
ノルン
「極限だからこその能力会得でしょうか?」
キュベレイ・ロンギヌス
「いきなり使い切ったのもすごいね、四人か」
続けて
「それにしてもあの三人、侮れないね、まいったな」
ヘスティア・グリス
「余裕で私たちが強いと思っていましたけどね」
ノルン
「一対一で対峙して戦うのは面倒ですね。」
キュベレイ・ロンギヌス
「そうだな、それをやり遂げたナリス様はさらにすごいという事か」
流石です。
会場中が言葉を失っているようでした。
三試合ともどうやって勝負がついたのかわからない人ばかりで、解説を行う人もいないし、いてもわからなかっただろう・・・けど 笑
アリス
「ナリス様も面白い方ですね、あんなに暴れているあの子を最後抱きしめて終わるなんて、あの子の全力でも、かなわない人がいるなんて世の中はすごいですね」
ライカ
「はい、イリス様に勝てる方がいるとは思ってもおりませんでした。」
アリス
「私もです」と言って笑った。
学園内イベント、エキシビジョンマッチ終了です。
サーシャが
「もう一回やらせてくれ、次は負けないから」
うるさい
私
「皆、よぉぉく聞いておいてください。もう二度と私は参戦しません。」
サーシャ
「なあ、神楽、背中に目をつけるにはどうしたら、いいんだ?」と真顔で聞いていた。
イリスが
「えぇぇ、またやりましょうよ」
うるさい
神楽
「背中に目・・・・か」
こいつも真剣に考える人なのね・・・
エリスが冷静に
「サーシャ様の背中に目があった場合、現在見えているのが、前なのか後ろなのか、わからずに攻撃されて終わる可能性の方が高いかと思います。」
ぶっ。全員が納得して大笑いになった。
サーシャもなるほど・・・って
睦
「あの、ナリス様、私感動しました。もう涙が止まりません、すごすぎです。」
ハイエルフの皆が一緒に頷いて、涙を拭いていました。
ネイ
「お疲れさまでした。本当にすごい人と知り合えてよかったです。」
バニラとチョコ
「ね、やっぱり、私たちがナリス様を守るなんて絶対無理、私たちが守ってもらう方がお得です」と涙目になりながら笑っていました。
なに?お得って・・・・
メイ
「お疲れさまでした。ミイとライアも格闘してみたいそうです。」
やだ
はぁ、疲れました。
学園内イベントが終わって数日経ちましたが、あの?熱狂がまだ冷めないようです。
私の名前は、さらに有名になりました。
私の評価がどれだけ低かったのかが良くわかりました。
そのまま昼行燈で居たほうが良かったのかもしれません。が、名前は売れても顔を知らない人が多いのが不思議です。
学園内食堂で私の名前が良く「すごいね」と一緒に、聞こえてくるのですが、座っている私の横を歩いて、いても私には気が付かない様子です。
その都度メイが
「どんまい」と声をかけてきます
分身についてよく皆から聞かれるのですが、と言うか教えてほしいとお願いされます。
戦いの最中に自分がもう一人いたら楽なのに、ちょっと出て来いと考えていたら突然一人増えた。
これの話をすると皆怒ります。うーん・・・・
分身:一人の者が、二人以上に分かれる事、そうなんだ?
高速で移動して途中で止まったりして大勢いるように錯覚させている技だと思っていました。
あの時を思い出すと確かに分かれていました。それも全部が私なのだけれど、それぞれ自分の意思で動いていたように思います。
ドッペルゲンガー・・・うーん
私が二人に分かれて、その二人がまた二人に分かれたから合計四人になった、という事は八人にもなれるのかな?
まてよ、全部私だった気がするんだよね、それって多すぎると精神崩壊・・・
考えすぎかな?
メイが
「それって怖いですね」
イリスが
「また、分身について考えているのですか?」
サーシャ
「あれは、マジで卑怯だ、一人でも大変なのに増えてんじゃねぇよ」
神楽
「あれ、私の時にやっていたら、楽勝だったのではないですか?」
私
「なぜか急に、もう一人いればって思っていたら、増えたんだよね、本当に」
あの時、なんか、楽しかったな。
メイが
「ナリス様、ひとりでにやにやしていると、気持ち悪いですよ」
な・・・・
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