ナリスの伝説 「オンリーワン」

けにあ

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ナリスの伝説「オンリーワン」

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★新しい出会い★

目が覚めたらそばに睦と雫が立っていた。
「おはようございます。昨夜はありがとうございました。」
「ナリス様、起きられますか?」
「イリス様も先ほど起きられて今、朝食を食べておられます。」
「私もそうします。」と返事を返した。
「では私たちはこれから睡眠をとります。」
「見張り、ご苦労様、ありがとう」


一階に降りていき、食堂に入った。
イリスが手を挙げて
「おはようございます」
「おはようございます。はやいね」
イリスはもう食べ終わっていた。

王妃様と王女様もやってきた。
「おはようございます。」

イリスが
「昨夜、最後に報告した件ですが、獣人族が三名居りました。」

「屋敷の外にいる三人がそれかな?」索敵に反応が・・・
イリス
「たぶん、そうかと思います。あとをつけてきたというより、痕跡をたどってきたのかと、匂いとかで」

ロック解除と紋の解除をしないとすぐまたつかまるか・・・・
イリス
「私が行ってきます。つれてきても?」

「ああ、暴れないようならつれてきてください。」

イリスが立ち上がり出て行った。

王妃様が「なにかありましたか?」と聞いてきた。

「昨夜奴隷商人のところで捕まっていた他のものを解放したそうです。その三人が屋敷の外に来ています。逃げられたけど行くところがないといったところでしょうか?」

朝食を食べ終わって様子を見に行くと、イリスが泡だらけの三人に水をかけようとしていた。
「あまりにも汚く、臭くて 笑 ナリス様の所に連れて行く前に身を綺麗にしてもらいました。」

「ゆっくり、しっかり洗ってください」
と、門のほうが騒がしくなった。

「洗い終わったら三階に案内して」
「わかりました。」とイリスが返事を返してきた。

騎士団長ギル様が部下と一緒にやってきていた。
どうしたのか聞いてみると
「王様の許可を得て、こちらで魔物の倒し方を伝授していただこうと、部下ともどもお願いしに来ました。」

昨夜遅くまでみんなで騒いだので今日はまだみんな寝ていますから、静かにしてくださいとお願いしました。嘘は行ってないよね?

ギル様が王妃様、王女様の方を見ていたので
「あ、こちらフラン様とシルビア様です」と紹介した後、何で変装をしているのか考えてくださいね。と念を押した。

「これはフラン様、シルビア様、おはようございます。」
と挨拶をするギル様に二人は軽く会釈して答えた。

フラン様が
「ナリス様、私どもも一緒に修練をいたしたいと思います。私たちに何か適正はありますでしょうか?」

フラン王妃様 :回復魔法・体術・超回復・解錠・魅了・見切り
シルビア王女様:光魔法・回復魔法・付与魔法・解呪・異常状態無効・掌握


お二人には回復魔法の修練を一緒に、フラン様は相手の攻撃をかわすのがうまくなると思われます。私と一緒に受け流す練習もしましょう 
シルビア様は光魔法、合わせて訓練されるのがいいと思います。

澪と雫に面倒見るように連絡しておきますね。

向こうから弥生が走ってくるのが見えた。
イリスからの伝言だろう
「ナリス様、イリス様から準備が整ったと」

ギル様もついて来ようとしたので振り返って「すけべ」と言ってやったら
「はぁ!」って言いながら赤くなっていた

王妃様と王女様ものりがいい、すれ違いざまに「すけべ」って言っていた。
かえって気になるようだけどほっといた。
ギル様がずっとこっちを見ていた。

イリスが裏口から獣人三人を屋敷の中に招き入れていた。
三階の部屋に待機していたというかお腹減っていたのだろうなあ、さっきの朝食にがっついていた。
食べ終わって一息ついたところで、イリスが獣人に説明を始めた。

イリスもエリス、クリスも獣人語がわかる・・・ってドラゴンだからか?

助かる!

フラン王妃様とシルビア王女にお二人が持っている能力について話をして、実は昨夜も利用させていただいたことを説明した。

「お役に立てたようでよかったです」と二人とも言ってくれた

で今回も利用させていただきます。

「はい、喜んで」

王妃様と王女様の能力:解呪・解錠
 ※解呪:問答無用で呪いを解く
 ※解錠:問答無用で鍵を開ける
 ※(どちらもスキルランクで成功、失敗があります)
 
 「解呪のスキル、解錠のスキルを解放・発動」
 
 ※注 解放スキル:私だけのオンリー・ワンスキル
他人のスキルを解放することで私の意思で使用、取得、付与することが出来る

三人の奴隷用ロックが光に包まれる。

奴隷商人のところに捕まっている奴隷の奴隷紋はやっぱり発動していないみたいです。反応なし、
解錠で奴隷用ロックの解除

外れたロックをどうするか、考えていたらシルフィーが
「今出向した船が見えるからそいつに乗せてしまおう」って、
続けて
「空に向かって投げてみてください、ナリス様、そのあと私が吹き飛ばします」

おお、ってことで空に向かってロック三つを投げてみた。
すごい風が吹いてロックは海の方に飛んで行った。

イリスが「獣人の三名は故郷の状況がどうなっているのかを気にしています」

それは今すぐにどうこう出来る問題ではないことを伝えてもらい、今は解放されたことを喜んでほしい。
今後のことはイリスに一任、言葉が通じないし
とりあえず一件落着・・・でいいのかな


庭ではギル様たちが剣の訓練を始めたようです。
エリスとクリスが指導をしていました。
剣を振る訓練ではなく、魔力を込める訓練が始まった。

それと王妃様と王女様が回復魔法を、新しく来たハイエルフの八名も援護のため、それぞれ戦いの訓練を始めることが決まりました。

この屋敷の防衛力がかなり、上がることになりますね。

ああ、そうそう 獣人の三名もこの屋敷に住むようです。
女戦士ライアが一人、女の子が二人ミイとメイ



★修練場★

屋敷の庭はかなり広く贅沢なのです、が、今や修練場となっております。
騎士団長ギル様が部下を連れて毎日やってくる!

剣技に関しては イリス、エリスが騎士団の方、担当

回復は澪、雫がシルビア王女様とハイエルフ三人

攻撃魔法は睦、弥生がハイエルフ五人に指導しています。

私はクリスと受け流す、体術を主にやっています。フラン王妃も一緒です。
あとハイエルフの二人
ハイエルフの皆さんは接近戦になっても戦闘は避けるために受け流す体術を交代で訓練されています。

一月ぐらいでフラン王妃様は一旦お城に戻られたのですが、二か月ほどで準備は万端ですとか言って戻ってこられました。
何の準備なのかは不明です。

それからはずっと屋敷に滞在されております。
公務は大丈夫なのかな?
私が心配することではないですけど・・・・・


訓練は午前中 昼に食事を取ったら薬草採集、森の探索等やって、イノシシとか狩れたらギルドに買い取ってもらう、を繰り返しています。

問題も起こらずに半年ぐらいこの調子で暮らしてきました。
全員の動きがだいぶ良くなっています。
王妃様も王女様も薬草の知識、倒したイノシシの扱いとか、ポーション制作についてとか、だいぶ慣れてこられました。

もうすぐ 十歳になります。
春から王立学園に入学です。
選択する講義ですが、
礼儀・作法・・・・・・これは必須です

魔法についての座学、剣術、戦術、歴史このあたりです。

帝王学、算術、経済学、経営学、等選択できるようです。

家賃、食費等、いらなくなりましたから当初の予定よりかなり余裕で暮らしていけます。
まあ、イリスの持ってきた戦利品、あれだけで暮らしていけます・・・・


★王立学園★

王立学園に入学を許可されました。(というか入学が義務なのですが 笑)
そして見たことのある人が向こうから手を振っている。
王妃フランソワーズ・オルレアン様です。
講師の席に座っておられます。
あ、言っていた準備って・・・・このことか?

「礼儀・作法の授業を担当いたします、フランソワーズ・オルレアンと申します」
「どうぞよろしくお願いいたします。」

フラン様、上機嫌ですね イリスが笑っていた。

学園生活が始まりました。
といっても 話題になるような事柄は・・・・・うーん
はっきりいってありません!

礼儀・作法の講義を一日二時間は選択するようにフラン様に言われて二時間組んでいたら、えっ? て顔されて、「二時間なのですか?」って・・・

いやいやいやいや・・・・・あはは

はぁ 三時間になりました。フラン様は一日三回講義をされる。

あと、魔法の座学を二時間選択しました。

選択した科目は二つだけです。
あとは図書館で過ごそうかと思っています。

と、護衛についてですが、
シルビア王女様と全て同じ講義をとることはないので誰かが同じ講義を受けることになりました。

ちなみに
礼儀・作法の講義を一日に三時間選択するってどういうことかと言うと
同じ内容の講義を三回受けます。
一時間目:講義を受ける・二時間目:講義を受けて復習をする・三時間目:講義を受けて復習をする
一日に三回同じ講義をどこかの時間で受けます。

魔法の座学も同じ感じです。


★イベント★

お昼は学生食堂でみんなと一緒に軽くすませています。
というかこの学園 学食だけでも数か所あります。
フラン様も一緒です。

イリスが楽しそうに聞いてきた。
「ナリス様、見ましたか、イベントの告知」
「え、学園内大会のこと?」
「あれって出場規定 十二歳以上でしょ?」
「というか、出られても百パーセント。力セーブしろよ?」

「百パーセント!!」 イリスの声です。

「そうか・・百パーセントじゃあどうしようもないか、一パーセントぐらいは出してもいいかな」

「大体、普通に出場すると優勝するでしょ?優勝しなくても、目立ってしまうと、スカウトされてしまうよ?」

「スカウト? ですか」みんなに注目されてしまった。

「考えてみたのだけど、この学園の目的ってなんだろうって」
イリス
「目的ですか?」

「国中から子供集めて、勉強させる。どれだけの費用がかかっているだろう?」
と、つづけた。

「すごい生徒数ですから、講師への報酬、学食の費用、建物の建設費、エトセトラ」エリスが言うなり、黙り込んだ。

「大金をかけて国民を育てる、国民としてはいい国ってことになるけど、国としてはどうなのだろう?学園にかかる費用は、防衛費?軍事費?」
少し考えてから続けた。

「徴兵すると費用は少なくなるかもだけど、反感を買うだろうし、あ、徴兵すると給金が発生するのか、徴兵と学園で費用面に大差がないなら、学園で子供を選別して、兵力を育てている。優秀な人材を見つけやすい。」

さらにつづけた。
「そうなると、大会イベントは必須になって、好成績を出した優秀な人材はいろんな部署から誘いを受ける、もしくは力を発揮できる部署に配属される」
皆を一度見て続けた
「国がみんなのことを私の部下としてみてくれると助かるのだけどね」
「どういうことでしょうか?」クリスが聞いてきた。みんなの視線が集まる。

「王女様の護衛を一般人にさせるわけにはいかないと爵位をいただいた、と思っています。」

私は今、男爵で任務は護衛・・・・「ね、私は既に処理済み・・・」

「今後、国がみんなを私の部下としてみてくれるならどんなにいい成績を出しても問題ないのだけど、他の部署が欲しがる人材ばかりだし?」

みんな、にこにこしている・・・・

「そうでしょう、そうでしょうとも」みんなの意見です。

「なるほど、ということは適当な成績でこの学園を卒業した方が良いと言うことですね」 エリスが言った。
フラン様
「今までそのような目線でこの学園を見てこなかったのですが、言われて見れば心当たりがありますね。」
フラン様が続けて
「大会でいい成績を残した生徒には皆の注目が集まり、獲得しようと躍起になっていましたね。」

いいシステムだ・・・・・皆が無言で同じことを考えていると思った。

「ナリス様は兵力増強とか、考えていないのですか?」
イリスが聞いてきた。

「おおお」 みんなの反応です。

「みんながそれぞれ隊長となって兵を率いるの?それとも隊長になれる人を探して兵を預ける?」
イリス
「私はナリス様を守護しますので、隊長として離れるより、ナリス様のとなりに置いてください。」

「私も一緒です。」はい、全員同意見。

「あのさ、兵を預けられる信用出来る人を探すのに、大会で優秀な成績を収めたから大丈夫とかならないでしょ?」
少し考えてから続けた
「ああ、でもそこから始めないとだめか、でも、今は間に合っているからなあ・・・・」

「あれ、イリス、推薦したい人でもいた?」
イリス
「いえ、そういうわけではないです。」

「みんなも仲間にしたいと思える人がいるかもだから、チェックしといてね」

大会の項目としては
剣部門・槍部門・格闘部門(この三つは実践形式)
弓部門(正確さ)・魔法実技部門(詠唱速度と正確さ)

イリスが「王妃様、王女様、お二人は観戦に行かれますか?」

二人が「はい、その日は貴賓席にいると思います」

イリスがにっこり笑って言った。
「ナリス様、私たちは護衛ですね、一緒に観戦しましょう」
エリス
「そういう日に特攻してくるバカはいないでしょうから、毒とか蜘蛛とか蛇とかが要注意対象でしょうか?」
イリス
「澪もそばにいてもらったほうがいいかもですね」

「承知いたしました。」喜んでとにっこり笑った。

「エリスは席の右側、クリスは左側で指揮をとってください、ハイエルフの皆さんは分かれて二人の指示に従ってください。」

「承知いたしました。任せてください」

当日は皆で観戦が決まりました。



★大会当日★ 

王様の席は貴賓室一番前中央、その右側に王妃様、王女様の席が準備され、その後ろに私たち三人が座りました。

騎士団長ギル様の姿も見えます。会場の見回り担当のようです。
王様の左側、そして後方にいる偉い人達のことはさっぱりわかりません。

とりあえず、護衛の任務で緊張している風に・・・・

自意識過剰なのか、冷たい視線を感じつつ無言の時間に耐えていると、それは突然やってきた。


索敵に巨大な反応!! それも、上からだ!

鳥・・・じゃない、いきなり現れた、転移か?

「王様、皆さんすぐに貴賓室から出てください、急いで!」
偉い人
「何を偉そうに命令しておるか!」
て、怒鳴り声も聞こえているけど、そういうやつは死んでくれて結構です。
ムシムシ(でもあんたはそこにいろ!と怒鳴りたい 笑)

「王妃様、王女様も急いでください」

シルフィーが「少しだけ時間を稼いでやる」と言って飛び出していった。

落ちてくる巨大な何かを下から強風でスピードを落とした?

貴賓室から出てすぐにそれは地に落ちた・・・・地に・・・おや?

シルフィーが少し軌道まで変えてくれたようです。ナイス!シルフィー

闘技場? の中に現れたその巨大なものは、キングコブラ・・・だと思います。

※回想
注意すべきは、毒、蜘蛛とか蛇とか・・・大当たり
ナイス エリス・・・じゃなくて

でかい!
おや?なんかこのキングコブラさん、きょとんとしているような?
きょろきょろし始めた。

あ、王妃様、王女様、王様、ご無事ですか?
いや、王様がついでというわけでは、決して・・・

残念ながら貴賓室にいた他の方たちも全員が無事です。

王様が討伐の指示を出す前にイリスが手を挙げて
「しばらくお待ちください」
イリスが念話を使いだした。
「おい、お前!」
「おまえ・・・・サーシャだろ?」
「ん?この声は」
キングコブラは空を見ながらきょろきょろし始めた。
「その声はイリスだろ、どこにいる?」

「ここだ、もっとした。そうそう、視線を下げて見ろ、もっと、下だよ」
きょろきょろしながらどんどん首を下に向けている。
「お?」グイっと首をイリスの方に向けた
「見つけたか? 」イリスが聞いている。
サーシャ
「本当か、お前その姿・・・・しばらく見ないうちにずいぶん可愛くなったじゃないか!・・・いや、お前だけずるいぞ、というかお前この百年ぐらいの間どこで何をしていたのだ、探したぞ! お前がいないから暇で、暇で」

イリス
「流石に私も三千年、生きていたら体が動かなくなってしまって、朽ち果てるだけとあきらめて大人しくしていた」
サーシャ
「ほう、で、なぜその姿に?そこは詳しく聞きたいな」
イリス
「詳しく聞きたいなら、今は暴れないで大人しくしてくれ」
サーシャ
「私は寝ていたのだが、騒がしくて起きたら空中を落下していたのだ」
と別に暴れる気はないと断言していた。

寝ているキングコブラさんを見つけた誰かが攻撃して目覚めさせてから転移させた。こんなところだろうか?

ということはその転移をさせた輩もその辺で様子を見ているのではないだろうか?

っと、索敵に反応が、また突然現れた、転移してきたってことか。

「エリス、クリス気をつけろ!何かくる」
反応は二十一!

作戦成功を確認しに来るのかな
それにしてもかなりゆっくりこちらに近寄ってくる。

「王様!このキングコブラさんは暴れる気はないそうです。外に連れ出す許可をください。」
偉い人
「何を勝手なことを行っておるか!」これはさっきの貴賓席にいたやつの声!
お前は死んでしまえ   これは私の心・・・

「どういうことか説明してくれ」
王様が聞いてきた。

「寝ていたのに目が覚めたら空中を落ちていたそうです。」
続けて
「寝ている魔物を転移でここに連れてきて、貴賓席に落とし誰かに死んでほしかったのではないかと思われますが、落ちた場所がずれたおかげで人的被害が出ないで済みました。」
私は一度貴賓席を見渡して
「外に連れ出して大人しくまた寝ていただくのが一番だと思います。」

「大丈夫なのか?」 王様が心配そうに言ってきた。

「はい、大丈夫です」

そこに
「異常事態を感じて、はせ参じました。」と宮廷魔術師団が姿を現した。
今来たばかりにしては、ここの状況を見て驚かない・・・・って
やっぱりこいつらが・・・ 
作戦失敗の動揺はさすがに表にはださないよね・・・

「ご苦労、だが、この一見は解決した。手出し無用である」
王様が命じた。
宮廷魔術師団隊長らしき人
「いや、しかし、・・・・・え?  はい、かしこまりました。」

「では王様、私はこの魔物を外に連れ出します。」

「お待ちください」王妃様が立ち上がっていった。
「王女と私もお連れください。」・・・・と

はぁ何言っているの、あんたは・・・私の心の声です。
フラン様
「ものすごく興味があります。その魔物に、それと護衛の貴方が王女のそばを離れてはなりません。なれば、王女があなたについていけばよろしいかと存じますが、いかかでしょうか?」

それって正論のような、むちゃくちゃなような・・・・

「・・・・王様の許可がおりるなら」王様!反対してお願い
「王様、いかがでしょうか。」王妃様はにっこり笑って言った。
王様
「非常事態である、事の成り行きを見定めてくるがいい」
皆が軽くガッツポーズをしているのが見えた。
エリスが何か指示を出している。馬車の用意かな?

「では、我々もご同行しましょう」と宮廷魔術団の隊長らしき人が言った。
「手出し無用」
「お断りいたします。」王様と王妃様が同時に断りを入れた。

今一番危ないと思われるのはあなた達でしょうに・・・とはいえ、王様と王妃様の態度も露骨な・・・・感じ、仲悪いのかな?

「皆様はここの警備をお願いします」王妃が続けて言った。

イリスが外に向かって歩き出した。
キングコブラさんは門を通れないので観客席を登ってから下に降りて行った。

王妃様、王女様とエリス、クリス、ハイエルフのみんなと一緒に私も外に出てイリスの後を追いかけました。
騎士団長ギル様、その部下さんたちと一緒に追いかけてきた馬車に王妃様、王女様が乗り込んでスピードアップ

しばらく行くとイリスが待っていました。

お二人に馬車を降りていただき、ギル隊長たちにはここで待っていてくれるようにお願いして、・・・当然不満の声が上がっていますが、無視

エリスに「風の精霊シルフィー」が封印されていたダンジョンに転移をお願いしました。

私の魔力を上乗せして騎士団長隊以外全員を転移!
キングコブラさんは、イリスが前もって話をしてくれていたのだろう、何も苦情を言わずに転移を受け入れている。

「澪、雫、椿、茜、明かりをよろしく」
ゆっくりと明るくなってきた。

「ここは?」王妃様が先に口を開いた。

「ここは、風の精霊シルフィーが二千年もの間、封印されていた場所です。」
「外からの干渉は出来なくなっていて、ここの施設はナリス様に呼応してしか動きません。」
さらにエリスが自慢げに
「つまりナリス様がいなければ入ってこられないということです。」と続けた。


「なので、ここでの会話は他に漏れない、盗聴されません。」
私が説明した。
「すごい隠れ家をお持ちなのですね」フラン様
・・・・えっと、最近見つけたばかりなのですけど、ね

「さて、イリス」
「はい、ナリス様」

「ご紹介いたします。こちらは私と何度か戦って引き分けで決着がつかなかった、キングコブラのサーシャ様です。」
イリスと引き分け・・・・
びっくりしてイリスを見ているサーシャ様
「しばらく、見ないうちにそんな丁寧な話し方を・・・するようになったのですね」
ギロっとイリスが睨みつけた。

「ただいまご紹介していただきました・・・・えっと、サーシャと申します」

「こちらはこの国の王妃様でフランソワーズ・オルレアン様と王女様のシルビア・オルレアン様です。」
二人が軽く会釈で答えた。

「そして私はナリスと申します」
順に自己紹介をしてもらった。
いや、書くのがめんどうだった・・・・わけでは、もごもご

イリスの念話で全員、話が出来ています。
イリス
「ナリス様、サーシャは私だけが可愛くなっているのはずるいと申しております。」

「イリスはもう朽ち果てる寸前だったから、私の提案を受け入れて今の状態になっているのですが、貴方はまだ元気そうですし、そのままでもいいのではないでしょうか? えっと、他のみんなで元に戻りたいっていう人がいるかも?」
皆が首を横に振っているのが見えてちょっと安心しました。

サーシャが話し始めた
「私は生まれた時から周りから怖がられ、恐れられ、思っている以上に頑丈で簡単には死ねませんでした。私を見つけた者はすぐに攻撃してくるし、生きるために戦って、いつの間にか敵なしになっていました。」
続けて
「イリスと出会って、戦ってはいましたが、姿が見えなくなり急にさみしさを感じるようになって、一時期は探し回ったぐらいです。出来ることなら、私も仲間に入れてください。何百年も寝て過ごすより遥かに楽しそうです」
ちょっと間をおいてサーシャが続けた

「仲間になるからには身命をかけてお仕えいたしましょう」

「私としては願ってもないことだけど、みんなの意見は?」
私は皆を見て言った。

「ナリス様、私たちハイエルフと同じです、安心して生きていける場所がないのはつらいです。孤独も又つらいです。」

フラン様の目が光っている。

「フラン様、どうかされましたでしょうか?」
フラン様曰く、
「私が危惧しております所はまた別のところ故、お構いなきよう、お願いします」
?よくわからないけど・・・・・

イリスと澪を近くに呼んで
そして私はサーシャに対して持っている能力「解放」を使用した。
 
「不死のスキル解放、超幸運のスキル解放、超回復のスキルを解放」
 
 ※注 解放スキル:私だけのオンリー・ワンスキル 
他人のスキルを解放することで私の意思で使用、取得・付与することが出来る
 
 サーシャが光に包まれた。
 「肉体再生のスキルを解放・発動」

澪の肉体再生を行ったときのイメージを思い出して精神集中

サーシャを包んだ光が小さくなって消えた。
サーシャも同年代の子供の姿に再生が成功しました。

ナリス様!!
皆の歓喜の声、と「これは!」イリスの声

サーシャが「なに、なに、どうしたの?」

そこには一人の女神さまが立っていた。
といってもいい、美しい子供が立っていた。

「そんな、・・・・・・また強敵が現れました」王妃様がつぶやいた。

サーシャはガラスに映った自分の姿を見て震えていた。
「これが、これが私・・・・」そして泣き出した。
涙を拭きながらサーシャが
「私はこれまで、なぜこんなにも醜い姿で生まれてきたのかと泣くことしかできませんでした。次に生まれてくるときはせめて普通にと願っていました。」
サーシャは小声でつぶやいた
「夢がこのような形でかなうとは・・・・」

「ありがとうございます、ありがとう・・・・」言うなり、片膝をついて
「この感謝は言葉でお伝えできません。これより私、サーシャはナリス様に身命を賭してお仕えいたします。どうぞお仕えすることをお許しください」

イリスが近づいてきた。そしていきなり抱き着いてきた。
「サーシャなんかに、負けませんから」と囁いた。

エリス・クリス・澪・ハイエルフのみんなもそれに続いた。

「これから、よろしくお願いします」

キングコブラ:サーシャが仲間に加わった。

風の精霊シルフィーが
「ところで、ナリス様」
はい?
「ナリス様の魔力量って何それ?」
何と言われても…‥
「えーっと・・・・・気づいた?」
皆がなになに、どういうことって顔をしています。
イリスが説明を始めた
「今まで話題にしてこなかったのですが、実はナリス様って無駄に魔力量が多いのです。」

無駄に?
イリス
「はい、魔法関連のスキルをお持ちでは無いのであまり魔法を使用されません。」
なので
「誰もナリス様の魔力量とか気にしてこなかったのですが」

イリスが続けた
「この世界の誰もナリス様の魔力量に並び立てる者はいないと思います。存在すると仮定してそれはもう女神をも凌駕するのではないかと思います。」

「誰かの魔法スキルを解放して使うというのもあるのだけど、そこまでする必要が今までなかったから、私は魔力をシールドに利用してきました。腕とか足とか、もう体全体とかに薄く濃く、張り巡らせたり、敵の攻撃が当たる場所だけにシールドを張ったりとかで防御してきました。」

シルフィーが
「その魔力をさ、私が使うことってできないよね?」

「それは可能だけど?いままでも魔力を上乗せするとかやってきたから」

「私のお願いを聞いてください」シルフィーです。
どうした、突然!

皆さん、炎の精霊というと連想するのは?
「イフリート?」
そう!
どんな見た目?
「炎が燃え滾る?火が燃え滾る人?」
そこだ!!
精霊なのに姿を目撃されているのです。
なぜ?
精霊は姿を現すことが出来るのです。

「能力というか、自分の姿の実体化というか、難しいのです。
ただ、単に私の精霊としてのレベルが足らないだけかもしれませんが、一応私も上位精霊の一人・・・・なのですよ?」
風の精霊シルフィー
「私、今から姿の実体化を試してみますから魔力の上乗せをお願いします。」

空中に光の玉が出現し、私に近づいてきた。
シルフィーが光に包まれて私に寄ってきたということですね。

私はその光に向かって自分の魔力を上乗せ、というか光を私の魔力で包んでみました。光の玉に、はじかれない様に自分の魔力を重ねて融合させていきました。

私の魔力が光の玉に吸い込まれ、光の玉がだんだんと小さくなっていき、光がはじけた、と、そこに可愛らしい少女の姿が出現しました。

「おおおおお」私を含めて皆の声!

「やったー  成功だ」空中を飛び回り、はしゃぎ回る少女
まあ、当然でしょうけど素っ裸
誰かあとで着る物用意してあげてください。

少女は地に降り立って
「皆様、お初にお目にかかります、風の上位精霊シルフィーです。」
あ、なんか肩書が変わった?

エリスが
「ということはですよ? もしかして解放スキルで肉体再生とかもナリス様の膨大な魔力があって成功しているということでしょうか?」

「なるほど」 皆の声です。

私って魔力をちゃんと使っていたのね 
スキルと膨大な魔力量が揃って成り立っていたのか。
うん、新しい発見です。


闘技場に戻るわけですが、宮廷魔術師団について考えてみました。

宮廷魔術師たちの集まりだろうに、宮廷の敵・・・・・あ、違う
宮廷内、貴族の中で誰か個人的な戦力となっているのか

まあ、王位継承権争いなのだろうから・・・・・・敵だ。
とか考えていると

「ナリス様?」イリスが何事かとのぞき込んできた。
振り返ると
イリスの言葉を聞いたみんなも気にしているようなので、はっきり言った。

「宮廷魔術師団は敵として扱います」
今決めました。

「王位継承権争いに関係しているだろうと考えると必然的にそうなるということです。ただ今回の件についてですが、貴賓室にサーシャが落ちていたら、全員下敷きで、死亡、重症だったでしょう。けど、まだ、これが宮廷魔術師団の仕業とはいいきれません。なので、情報が、確証が欲しいです。」
続けて
「確証が取れたら敵対する勢力もしくは、敵対しそうな貴族、闇で暗躍しているものもすべてに対応しましょう、後手に回ってこちらに被害が出てからでは遅すぎます」
イリス
「私たちはナリス様の決定に従います。それと私も同じ考えです。」

ハイエルフのみんなも「まかせてください!」とガッツポーズで答えてきた。


キングコブラにはまた眠ってもらったとみんなで話を合わせて、騎士団長ギル様が待っている場所にまた転移して帰ってきました。
あ、サーシャは今来ると、さすがに変だろうから封印の間に残ってもらいました。
後でこっそり、転移で連れてくる手はずです。
あ、シルフィーは元の状態に?もどっています。


闘技場の近くまで来た時に王妃様が聞いてきた
「ナリス様、人数がかなり減りましたけど?」

「皆、それぞれの役割を果たしに行ったのでしょう」

闘技場について、貴賓室に入るとすぐ、王妃様が王様に報告をした。
宮廷魔術師団の視線を感じつつも、ここまで何事もなく席についた。

大会の方は準決勝が終わって決勝に進むところだった。

選手が入場してきて場内には大歓声が上がる。

各ステージに選手が揃ったところで試合開始、始まった。

観客は闘技場の戦いに見入っている。

索敵に反応があった宮廷魔術師団の数が減っていく。

宮廷魔術師団の隊長近辺があわただしくなってきた。

と言っている間に隊長さんと側近?二人と合わせて三人になった。


決勝の戦いが全て終了しました。  

表彰式が行われ王様の挨拶も無事終わり、大会は閉会した。

王妃様、王女様を護衛して屋敷に戻ります。

宮廷魔術師団をみんなが調査するはず、連絡待ちです。


屋敷でみんなの帰りを待っているとイリスが話しかけてきた。
「ナリス様、お願いがあります。」

「なに?どうかした」
イリス
「屋敷に留まっている獣人についてなのですが、ライアは戦士です。戦力として加えていただけませんか?とライアが申し出てきました。会ってみてもらえませんか?」

「じゃあ今、会ってみましょう。」あ、会えるのかな?
イリス
「私が見てきます。」

と、しばらくしてイリスが獣人 三人を連れて入ってきた。

イリスが言うには、屋敷に住まわせていただきありがたいばかりですが、何かのお役に立てたらと思い申し出た、戦うことぐらいしか自分には出来ないので戦士として使ってほしい、とそれでミイとメイの面倒を見させてほしいとのことです。

メイ? この子の私を見る目が・・・・なんか変

鑑定してみた。
メイ :千里眼・心眼・医術・蘇生・回復魔法・専門知識:医療
ミイ :奥義:近接戦闘・武術・身体強化・気功・専門知識:身体・超回復
ライア:奥義:剣術・格闘・技巧・身体強化・気功・専門知識:身体

この三人、すごいぞ・・・・
千里眼・・・・心を見通す?・・・・・例えば?

「イリス」 とイリスの名前を呼んでこっちにおいでと手を振ってみた。

「はい?」っと何事かとイリスがこっちに歩み寄ろうとした瞬間
「だめー!!」とイリスの行く手をメイが抱き着いてふせいだ。
「おおおおおおおおお」びっくりしたのは私のほうです!!
「いっちゃだめ!」

今、頭の中で想像したのは、イリスを呼んで服を脱がせて抱き着くことでした。
この子、メイはそれを読んでイリスを引き留めた!

まじっすか! ←これ私、

イリスがびっくりして、何事ですかとこっちを見ている。

「イリス、この子すごいよ、私の頭の中の想像を読んだ」
イリス
「え? 読んだ??」

「何を想像されたのですか?」澪が聞いてきた。

「え、なにを?って、ええっと、服を脱がして、裸のイリスに抱きついた。」


「ナリス様!!」イリスが叫んだ

「な、すごいだろ、人の心の中を見ることが出来るなんて」

「そこではありません。」
イリス
「裸の私に抱き着いた想像をされたのですか?」

メイがなんか やーい、怒られろって顔をしている気がする。
イリスが
「なぜ、想像なのですか?」と続けて服をさっと脱ぎ、裸になって抱き着いてきた。
「いつでもこうして抱き着いてきていただいてよろしいですのに」
「私もです」
澪も裸になって抱き着いてきた。

澪が
「何のお役にも立たない私ですが、よければ抱き着いてきてくださいませ」
イリスが続けた
「私は身も心もすべてナリス様に捧げますと申し上げたではありませんか!」

イリスがさらに続けた
「ナリス様はよそよそしいので、私は嫌われているのかと心配しておりました。」

「澪、お役に立てないって、間違っているよ、三人でいるときに私とイリスが澪を守っているのは、澪が最後の砦だからだよ?」
澪がきょとんとして聞いている

「澪が一人無事でいてくれると、回復してくれる澪がいるから私たちは戦える、先に澪が倒されると、私たちにはもう後がない状態になるからね」
イリス
「魔法防御もバリアもよろしく頼みます」

澪が涙目になって
「そんな風に考えたことなんかありませんでした。生き残ってみんなを回復ですね、承知いたしました。がんばります」

「そしてイリス、いつも隣でしっかりと補佐をしてくれる頼もしい存在です」

そこに王妃様と王女様が「何を楽しそうに騒いでいるのですか?」と王妃様が言いながら入ってきた。
「な、なんとうらやましいことを」と言いながら服を脱ぎ去り裸で抱き着いてきた。
王女様は恥じらいながら「私だけ仲間外れはいやです」と裸になって抱き着いてきた。

いやいやいやいや、嬉しいですけど獣人さんたちが見ていますよ。

とメイの方を見ると、何かうっすら後光がさしている。
あれ?

体が光に包まれて「心眼」というスキル文字が輝いている。
鑑定能力を持つ私だけに見えているようです。

メイの能力が開花した。

メイが下を向いて、話始めた

「申し訳ありません。頭の中でどんなに想像を膨らませようと誰にも迷惑はかけません。想像することで実際に行動しないで済むように我慢なされていたのですね。」
通訳はイリスです。

「いや、私もただの男、すけべなだけです・・・あはは」
イリスが
「そうだったのですか!我慢などしなくてもよろしいですのに、もっと素直に行動されてください。」とにっこりとほほ笑んだ

「メイは 私を嫌っているみたいだけど?」私は聞いてみた。

「思慮が足らずにすみませんでした。」メイが赤くなって謝罪をしてきた。
「でも、女たらしなのですね?」と付け足して聞いてきたので
通訳はイリスです。

「ああ、十二名もいる守護者、全員女性だしね 間違いない」

「え・・・十二」メイがつぶやいた。

話が違う方向にずれてしまったけど、メイの誤解?が解けて良かった。

「でライアのことだけど、イリスの下に配属とかでよくない?」
「あ、エリスもクリスも言葉わかるのかな?」

イリスが
「はい、あの二人も会話ができます。というかハイエルフのみんなもわかっているとおもいますよ」

じゃあ、屋敷内でここの警護でよくない?

獣人三人いつも一緒にいられるし、私もイリス、澪は護衛で留守番しているから、ライアが作戦に参加するときはイリスが二人を預かれる、ということで話はまとまりました。

朝の訓練には三人共に参加してもらうことに決まりました。

ところで、そろそろ皆さん離れませんか?

まだ、日が昇るには時間がある。みんな無事かな?

とか思っていたら、みんなが戻ってきた。

「ナリス様、戻りました。」エリスが挨拶をしてきた。

「みんなお帰り、お疲れ様」
イリスが報告を促した。

エリス、いや帰還した皆がこっちを見て
「裸でスキンシップを楽しんでいるのですか?」
では私たちもって、みんな服を脱ぎ始めた

エリスが獣人三名を見ていたので、
「大丈夫、今日から屋敷で働いてもらうことになったから、誰か同時通訳で内容を教えてあげて。」

闘技場で最初に宮廷魔術師団の十八名を転移で連れ去り、自由を奪い尋問を行いました。
宮廷魔術師団は現在 三つに分裂しているそうです。
一つは第一王位継承者の第一王子派、
一つは第二王位継承者の第二王子派
一つは侯爵様、現王様の弟君です。
前に王妃様、王女様を狙ったのも、今回の騒動も第二王子派の仕業です。
とらえた十八名の証言を取りました。
残りの三名を尾行していきましたら、伯爵の屋敷に入り、そこに第二王子様も待っていました。

伯爵の屋敷に入り込んで、他の貴族も数名確認できました。
ここで第二王子様を暗殺するわけにもいきませんので、別れて他の貴族を尾行、こちらは十名程度の護衛もろとも皆、死んでいただきました。
宮廷魔術師団の三人は転移で連れ去り拘束してあります。
第二王子派はだいぶ手駒を失い、動きが鈍くなるのではないでしょうか?

魔術師の二十一名に関しては利用価値があるかと思いまだ生かしてあります。

「え?」←これ私

「どうかされましたか?」エリスが聞いてきた。

「いや、今日一日で今回の件は処理完了?」
「そうですね、今後、侯爵様がどう動くのかが問題でしょうか?」

「侯爵様と第二王子派が繋がっているということは?」
続けて
「宮廷魔術師団同士で連絡を取り合っているとしたら?」


「これは私のミスです、すみません」
エリスが言った。

「侯爵が第二王子をたきつけたとか・・・さ、侯爵からすると、第一王子、第二王子、第三王女・・?第三、第三王位継承権は第三王女? 王妃様の娘だから?」
まあいいか

三人の継承権が邪魔なわけだから三人とも死んでもらうとかが必要だよね
今回の場合、第二王子が成功しても、失敗して連行されようとも、構わなかったということか・・・な?

第二王子も伯爵も王妃様も王女様も、そして王様も生きているから侯爵様は大失敗に終わったわけだ。
貴賓室にいた王様よりの貴族も巻き添えを食らってくれたら大成功だったのね

「捕らえた魔術師 二十一名は侯爵派に助けられているか、口封じで殺されているか、しているかもね。」
そのまま放置されていたら、こちらを探るため?
考えすぎかな?

「これ楽しいね、二十一名の魔術師が生きていたらどう対応する?」

「なに、にやにやしているのですか、もう」イリスが笑って言ってきた。

「一.サクッと死んでもらう、二.開放する、三.手駒にする」

ちょっと考えて、
「我々に復讐しようとするようなやつらなら一.」
「我々のことを探ろうとしているようなら二.」
「我々に従うようなら三.」
「でも、三はどうせまた裏切るだろうね」

一は安全策だね 二.はどこに逃げ込むかが楽しみ 三.は寝返ったことがバレバレになるから、魔術師さんたちの立場というか、居場所が無いね
シルフィーが
「じゃあ、とりあえず私が様子を見てこようか、そのまま放置でもいいのかもね」
と言ってシルフィーが飛び指して言った。

四人ともまだ裸、というかみんな裸になっているしこのまま風呂で温まってから寝ようということになり、全員で汗を流しに風呂場に移動。

風呂場についたときにいきなり思い出した

サーシャを迎えに行かないと、エリスと一緒にもう裸でいいかって風呂場から転移!

「サーシャ、迎えに来たよ」
サーシャ
「おそかったねえ。もう忘れているのかと思ったよ。」

「ごめん、忘れていた」
サーシャ
「!“$%#&&”」

サクッと転移で風呂場にゴー!

「ようこそ!我が屋敷に」

「ここは?」 サーシャがきょろきょろしている

「我が家の大浴場です」

「みんなで一緒に入れる広いお風呂です」エリスが笑いながら言ってきた。

サーシャが驚いている
「この水、熱いぞ」

「全身、いや肩までつかると気持ちいいですよ」
睦が幸せそうな顔をして笑っている

「ふぅ」

「ほんとだ、この感じ、いいなあ」
「お前たち、いつもこんなにいい思いをしているのか?」
サーシャが不満そうな顔をしていると

「何を言っているのですか! もっといい思いをしていますよ」
イリスが意地悪く言い放った。
サーシャ
「私もこれからはお前たちと一緒にもっといい思いをする!」

「働き次第じゃないかな? ね、ナリス様」
イリスが笑いながら言った。

皆でお湯につかって話をしていると、メイがとことこやってきた。
「ナリス様 先ほどまでの非礼、大変申し訳ございませんでした。」
同時通訳はイリスです。
メイ
「私はお気づきの通り、人の心を読むことが出来ます。そして先程、新たに真実を見る力(スキル:心眼)を得ました。」

「うん、見ていたよ」
メイ
「もう、私の前で嘘をつくことは誰にも出来ません。と思います、どうでしょうか? 私ってすごいと思いませんか?」
といって メイはニッコリと笑った。

「獣人三名の能力は確かにすごいと思います」

メイが湯船に浸かっている私の前に立って
「私が、ナリス様の従者になって差し上げます。」

反射的にライアの方を見てしまった。保護者さんはどう思いますか的な?
メイ
「ナリス様の横に常に立って物申す者の真偽を私が見定めて差し上げます、ナリス様を見て感じたことは、貴方から離れてはいけない、貴方についていけば間違いない! 獣人の未来も貴方がよくしてくれる、です。」

ライアとミイも横に立ってライアが
「先ほどはメイの態度が気になっておりましたので言い出せませんでした。」
「ナリス様をというより、周りにいる皆様を見ていると実に楽しそうで、羨ましい限りです。」
「私たち三名も身命を賭してお仕えします。」
通訳はイリスです

獣人語って私覚えられるかな?とか考えてしまいました。笑

「奴隷として扱われている獣人の情報が入ったら助けるのを手伝います」
睦が発言してハイエルフのみんなが賛同していた。

「それは是非お願いいたします。」ライアが拳を強く握りしめながら言った。

メイがさらに私に近づいてきた
「それでナリス様、十二名の守護者の件についてですが、私が十三人目に立候補いたします。よろしくお願いします。」

一体メイの心眼には私の何が見えたのだろう・・・・かなり心配だ

まだ五、六歳ぐらいだと思うけどしっかりしているなあ、すごい子だ
とか思っていたら

「はい、五歳です、でも体の成長は人間と比べるとかなり早いので一年もすると私の方がお姉さんになるかもですよ?」

今まで黙っていたミイも
「メイがなるなら私もなります。十四人目に立候補します」

「・・・・・・」
「こちらこそ、よろしくお願いします」


獣人三名が仲間になった。


シルフィーが帰ってきた。

「ただいまー」
「お帰りシルフィー お疲れ様」
シルフィー
「結果から言うと、魔術師 二十一名全員生きていました。あれは、次に誰が接触してくるか見張っているように感じました、拘束を解くとか逃げようとかの動作が全く感じられませんでしたよ、魔術師たちのそばをゆっくり流れて通りすぎ見てきました。」
シルフィーは少し考えて
「放置でいいかと思います。」
エリス
「第二王子様は明日になるとかなり落胆されるでしょうが、侯爵様は勢いづくかもです。」

翌日 騎士団長ギル様は稽古には姿を現さなかった。
王都中が大騒ぎです。

それはそうでしょうね、伯爵とかの貴族が数名殺されているわけですし、それも第二王子様の派閥の方ばかり。

街の中では王位継承権争いの話題で盛り上がっているので、皆は外に出ないようにして、情報はシルフィーが集めてくれています。

拘束していた宮廷魔術師団 二十一名の姿は消えていたそうです。

第二王子様のところに戻れたのか、第一王子様もしくは侯爵様のところに合流したのか、気になるところですが、しばらくは放置でしょうか、また転移を使用してくるかもしれないってところが要注意ですね。

こちらの情報は向こうには皆無だろうから、察知されないように慎重に情報を集めないと、ということで、シルフィーが大活躍です!

ふと、思ったのですが、今更ですけど
第一王子様がちらっとも気配すら感じないのはどういうことでしょうね

幼少のころから体が弱くて部屋から出てこられない、あるあるの設定ですが、これって命の危険を感じた本人もしくは後見人が自己防衛の策として使うというのもあるあるですよね。

そしてこの状態は本人を知っているようで見たことが少ないもしくは、ない!方達が多い。

すぐ隣に第一王子様が立っていてもわからないってことがあってもおかしくはない!   本当か ?

さてどうしたものでしょうか?

どうしようもないのが現状ですね

大体、第一王子様は王位継承をする気が無い、もしくは出来ないと周りは思っている、いや思わされている可能性もあります。

宮廷魔術師団は第一王子様の指示で動いているとしたら?

うん、これが一番面白いかも

表に姿を現すことなく、自分の見方を探し出し、敵の排除をこっそり行ってきているとしたら?

「また変なこと考えていますね?」
イリスが笑いながら言ってきた

「イリス様よくお分かりですね、そうなのですよ」
とメイが笑っている。

「いやいや全然変ではないでしょ?私の頭の中では、宮廷魔術師団は第一王子様の指示で動いているのが一番面白いかなあと、なりました。」
皆が何々って寄ってきた

「第一継承者が次の王様になるのが一番ですが、なった時に回りが敵だらけだと困るじゃないですか、なので敵を減らしておく作戦なのだと」
私はフラン様の方を見て
「フラン様 第一王子様にお会いになったことはありますか?」
フラン様
「幼少のころに何度か、でもここ数年お会いしておりません。なんでもかなりおからだの調子が悪いとかで」

長い間合わなくてもこの方が第一王子様だという見極めは可能なのか?・・・そっくりさんとか、火傷を負ったとか・・・・・で、なり替わることが可能か?
一目見ると忘れられないぐらいの美形とか?

「あれ?」
独り言が口に出てしまいました。 
皆がどうしました?ってこっちを見た。

「いやー いろいろ考え込んでしまいましたけど、第一王位継承権保有者だろうが、第二保有者だろうが、別人が成り代わっていようが、私たちに害のない方なら誰が王様になっても私たちには問題ないね?」
と思ったのですが?
イリス
「それもそうですね」
エリス
「この国が栄えるも、滅ぶも、言ってしまえば私たちが案ずることではないですね」 私
「だろ 、じゃあ、ということでサーシャを上から落としてきた犯人だろう、宮廷魔術師団の二十一名には報復をするべきだったかな?」
私は続けて
「それもまあどうでもいいと言えばどうでもいいか」

サーシャが
「いやいや、私は空から落とされたのですが?この落とし前はちゃんと・・・・」

「あ、ごめん、そうね、やられた分は返さないとね」
皆が噴き出して笑っている


「え?」
また独り言が・・・・
またですか?今度は何でしょう という顔に見える・・・・
「フラン様」
はい? こっちを見られた
「一応質問しておきます、なぜ第三王女様が第三王位継承者になられたのでしょうか?」
私が続けた
「もしかして、第一王子様に頼まれた?  とか」
皆が
「どういうことですか」関心を持って聞いてきた。

「いやね、侯爵様が第三王位継承者か 第四王位継承者かではかなり違いが出るのかなあと思ったのですけど?」

「それって第四継承者にすると野心が薄れるかも?ってことですか」
エリスが聞いてきた。

「そそ、第一継承者は病弱、自分が第三なら第二をどうにかしてしまうといいわけですね、でも第四だと 第二と第三がいるからひと手間かかる」
エリスがあるかもと発言した。

フラン様は何も言わずに笑っていて、シルビア様はじっとフラン様の顔を覗き込んでおろおろしています。

まあ そこは黙秘権を使いますよね

第一王子様はかなりのやり手ですね!

「よし! 当分は侯爵様を優先に監視、ついでに第二王子様の動向を探りましょう」
「あ、シルビア王女様の護衛の為にですよ、念のため」
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