Defense 2 完結

独立への戦い

43 最終決戦(前編)

段々と暖かくなり始めてきた時期だったが、北方に位置するノーザンライト州はどこを見渡しても、真冬の如く雪が積もっていた。
 ヘリが州警本部の屋上着陸した。シャロンがドアを開けて降り、ヘリポートで待機していた警備部長の元へ行った。

「話は聞いてます！待ってました！」

警備部長はヘリの爆音に負けないよう声を張ってシャロンに言った。警備部長のすぐ後方にはOD色の出動服を着た警察特殊部隊員数人が整列していた。

「話はケイン殿から聞いてます！ですが、この情勢下です。我々も下手に動けませんので、これだけしか出動させれません！ですが現場付近は全面通行止めの措置を取っております！」

シャロンも大きな声で返事をした。

「ありがとうございます！では私は行かなければいけませんので、それでは行ってまいります！」

警備部長は頷いて、後ろの隊員に目をやった。隊員達は着陸したヘリに向かって行き、乗り込んだ。シャロンは警備部長に敬礼して振り返り、ヘリに乗った。

<本部から保安庁ヘリ、現場はウォルツ市ベルゲン26番地だ。付近は州警が封鎖している。頼んだぞ。>

<了解。>

テイラーは機内を振り返って見た。

「それでは離陸します！」

テイラーはゆっくり操縦を開始して、目的地へ機首を向けた。
 20分ほど飛行していると、目的地付近へと到達した。下に目的地の二階建ての事業所が見えた。

「ここで降りるわ」

シャロンがそう言い、テイラーは高度を下げて、少し広い公道に着陸した。ヘリから降りて展開し、待機した。

<シャロン課長。燃料補給と状況連絡のため、一旦本部に戻ります。すぐに戻りますので、把握お願いします。それと必要があればこちらから随時報告しますので無線は開けといて下さい。>

<分かったわ。>

<幸運を。>

ヘリはゆっくりと高度を上げて行き上空で旋回し始めた。シャロンは隊を指揮して、事業所へと向かい始めた。
 
「行くわ。スバル、予定通り狙撃配置について、他の者は私と一緒よ！」

シャロンは意気込んで隊を率い、簡易な門を抜けて、玄関付近まで近づいた。
 突入要員は、隊列の先頭で盾を持った警官を含め、前衛がアンディーともう1人の別警官の3人、リストがシャロンの援護役だった。狙撃員のスバルは事業所の向かい側から狙いをつけていた。

<シャロン隊長。配置につきました。>

<了解。そこから何が見える？>

<二階の窓にはカーテン？でしょうか？外からは中の様子は分かりません。>

<了解.....突入するわ>

シャロンの応答を聞いた隊員達が緊張から力み始めた。
 
「突入準備。」

シャロンの指示で隊員達は玄関に寄り詰め、突入の指示を今か今かと待った。
 シャロンは緊張に満ち満ちた現場を見渡した。先頭に立った盾を持った警官が恐怖からか、鬼のような形相をして、玄関を睨んでいた。シャロンは一旦目を閉じて呼吸を落ち着かせた。

元はと言えば私の責任。ここで全てを終わらす！

シャロンはハッと目を開け、声を張って言った。

「突入！！」