Defense 2 完結

パンチマン

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消えゆく存在と国家

37 奮起

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リストとロベスピエールは二階につき、一室のドアを開けると中に鉄製の強度のあるドアがまた現れた。

「これか?」

リストが不思議そうに見て尋ねた。

「そうだ。中には満足のいく銃があるし、応急用の簡易医療具もある。あと盾もだ。」

すぐにロベスピエールがドアを開けた。鉄製の重厚感あるドアが開くと、中に多数の銃器が置かれていた。リストは辺りを見回して言った。

「こんなにも重厚なのに、置いてある武器は小銃ぐらいなのか。」

すぐにロベスピエールは反論した。

「重火器は売りさばいた。今はこれだけしかないんだ。」

リストはM4を二丁取り、ファストエイドも持った。

「手榴弾はないのか?」

「さすがにそこまでは仕入れてない。」

ロベスピエールはそう答えると、盾を持ち出した。一通り装備を揃え終えて、階段に差し掛かった。だがすぐ目の前に敵弾が着弾して簡単に通れそうには無かった。

「私に任せてくれ。」

ロベスピエールはリストの前に立って盾を構えた。リストは心配して背中を見て言った。

「大丈夫か?」

「これも国を守るため、だろ?」

ロベスピエールは振り向かずに言った。

「任せたぞ。」

リストは若干微笑んで言い、ロベスピエールは階段をゆっくり降り始めた。盾に弾が当たって金属音を鳴らすと同時に火花を散らした。リストはロベスピエールの背中に手を置き、時折背後から身を覗かせて、ピストルで数発応射した。時折弾が近くをすり抜けていくのを感じながら怯まず進み、なんとか一階の部屋に戻りついた。リストは背負ったバックを下ろしてファストエイドやマガジンを取り出した。しかしリストは目の前の異常をすぐ察知した。

「レイ!」

それはレイだった。仰向けで倒れたレイの元へ駆け寄って様子を伺ってみた。全身焼け焦げたような跡が出来ていて、またレイは右手を顔の当たりに覆わせていた。それだけでなく左腕には鉄片が無数に刺さり込み、血塗られているようだった。レイは痛みに喘ぎ苦しんでいた。

「大丈夫か?レイ!」

リストは顔を覆うレイの手をどかした。

「リスト.....目が、目が見えない....それに左腕の感覚が.....ない」

見ると、レイの目の周りにはいくつもの鉄片が刺さっていて目の周りが真っ赤になっていた。また服の左腕の袖をたくし上げて見ると、腕の肉が裂け酷く出血しているようだった。リストは一瞬言葉を失ったが、すぐに切り替えた。

「なにがあった?」

「足元に手榴弾が転がって.....投げ返そうと思ったら.....目の前炸裂して.....それで咄嗟とっさに身構えたら.....そこからは分からない...」

「だ、大丈夫だ。しっかりしろ。」

「目が見えない...左腕の感覚が無い....怖いよ....」

「落ち着くんだ。助かる可能性はある。」

リストは声をかけて落ち着かせようとした。するとそれを見たロベスピエールがすぐに言った。

「ファストエイドじゃ無理だ!」

「分かってる.....」

レイは激しく息を切らし、吐血までし始めた。しかし現状の応急処置用のファストエイドだけでは対応しきれない事は、火を見るよりも明らかだった。あっという間に患部に当てたガーゼは真っ赤になっていく。応急処置じゃ無理だ。リストはブリュメールとレイの様子を見て切り替えた。敵を倒し、この場を切り抜けて病院へ向かった方が早い。リストはロベスピエールの方を見て言った。

「敵を倒して病院へ運ぶ。」

「分かった。」

返事をしてロベスピエールはM4を持って壁際に寄り威嚇射撃をし始めた。

「リスト...」

レイはロベスピエールの援護に行こうとしたリストの名を呼んだ。リストはすぐにレイに寄ってひざまずいた。

「敵を倒して病院へ送る。それまで耐えてくれ。」

リストはレイに言い聞かせた。

「耐えてみせるよ...」

リストは焦燥感に駆られながらも床に置いたM4を拾い上げて、振り返ってロベスピエールの方に向かった。

「敵は少なくなってる。彼女のおかげだ。」

ロベスピエールはM4で撃ちながら言った。リストは壁から頭を出して視認した。けれども依然として銃撃がされていて、なかなか反撃が出来ずにいた。リストとロベスピエールは隙を見計らっては反撃するが、人数で勝る敵は制圧射撃をしながら徐々に距離を詰め始めて来た。焦ったロベスピエールは釘付け状態にもかかわらず、身を乗り出そうとした。

「待て!」

リストがロベスピエールの体を押さえ込む。しかしその拍子に右腕に激痛が走った。すぐに壁にもたれかかって見てみる。

撃たれた.....

「すまない!私のせいだ。」

「大丈夫だ。けどそんな事より....」

どうやって切り抜けるか、陰に隠れて必死に考えを凝らしていると、なにかの音が聞こえてきた。それはロベスピエールにも聞こえていたのだろう。彼もまた不思議そうにリストの顔を見た。

「車の駆動音....?」

「奴らの増援かもしれないな」

ロベスピエールは覚悟を決めたようだった。そして胸ポケットから情報を取り出した。

「最悪、この暗証番号も識別できないように粉々にしないといけない。」

ロベスピエールはリストの方を見ていった。だがリストは諦めていなかった。


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