Defense 2 完結

消えゆく存在と国家

22 武器商人.2

 次の日の午後2時を回る頃、やっと武器商人の位置が把握できるようになった。ダートからの情報によると武器商人の位置はロレーヌ州近郊にあるアパートだ。別の車両などの移動手段で逃げられる前に武器商人を確保するためにも、すぐに作戦に出る必要があった。イスビッシュは即座にICICLEの隊員十数人を集めた。


「今回は時間がない。ターゲットに逃げられる前に奴らを抑える必要がある。だが、ターゲットの武器商人がいるのはロレーヌ。先の事件で州内では連日警戒態勢は万全の状態となっている。それに、ターゲットにもボディガードなどの類いの連中もいるはずだ。」


集められたICICLE隊員たちは元特殊部隊員などの精鋭だったが、そんな彼らもこの状況には眉をひそめていた。


「今日の夜8時からは雨の予報で、しかも結構な激しさらしい。それに乗じてでは無いが、晴れの夜よりかは目立たずに動けるはずだ。」


見兼ねたイスビッシュは何ら役に立たない天気情報を言った。


「まずアパートを攻めるに当たって、ざっと3隊に分ける。まずは狙撃隊だ。連日の出動になるがポッツとメンデスに任せる。基本的に主力2隊の援護とルートの確保を頼む。」


その調子で淡々と進めて行き、作戦前のブリーフィングは終わった。レイはリストと同じ隊で第2隊のB隊に配属された。隊長の名はレーマンで、彼もまた戦時中はセグワ軍の兵士だった。
 レイは武器庫でリストと共に装備品をチェックしていた。レイはSIG553にドットサイトを装着し、サプレッサーも装備した。そうしてレイはヘルメットを持ってリストの方を見た。


「部隊、出発するぞ！急げ。」


外から声がした。リストは自分を見ているレイに頷いてみせ、2人は部隊の待つ外へと出た。車両にリストが乗り込む。レイは深呼吸をしてヘルメットを被って車両に乗った。