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本編
46 ブラックなパーティとの決別
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「先程の心配は気にされなくとも結構です」
「あ!?」
「彼女の魔素病に関しては以後、俺が責任を持ちますので」
「あーそうかい! で、それがどうした!? そんなことよりも、お前が人の物を取ることには、どう落とし前をつける気だ!」
とうとう、自分の物とか言い出したぞコイツ。
「そもそもの話、貴方達とは違い、俺は彼女を娼婦として扱い、一ツ星娼婦としての相場である15分で銅貨1枚を支払っています」
「……?」
俺の言葉が理解できないという感じで、3人組は固まってしまう。
「逆払いではありませんよ。俺が支払っているのです」
「そ、そんなハッタリが!」
白魔法少女のコハクは、昨日の俺との大切な一時を思い出したのか、我に返ったかのように慌てて俺の背後へと舞い戻った。
「パーティーとはいえ仕事である以上、儲けの良い方へ行くのは道理ですよね。それとも、貴方達は今日から彼女を娼婦としても扱い、銅貨1枚を支払うことが可能ですか?」
「……ぐ」
兜男は悔しそうに歯噛みする。
俺は分かっていた。
支払えるわけがない、と。
なにせ、白魔法少女のコハクは「魔素喰み」体質。
銅貨1枚を支払って抱いた所で、男性にとっての魔素排出量は半分。
となれば、ますます銅貨1枚など払えない。
3人組にとっては、1日の貴重な儲けを捨てるに等しい行為だからだ。
「ど、どうせハッタリだろうがよ!」
ここまで言っても、納得しない兜男。
……うーん。
いくら搾取していたとはいえ、彼等がいたからこそ白魔法少女のコハクも生きながらえることができた、ということに免じて、せめてもの恩情をかけてあげようと思ったのだけれどもなー。
こうなると、本気の実力行使をするしかないのだろうか。
俺が覚悟を決めようかと考えていると、俺の背後にいたコハクが、ずいと前に出てきた。
「――う、嘘じゃありません!」
白魔法少女のコハクは、手の平に乗せた銅貨1枚を兜男に突き出すように見せつけた。
あれは、昨夜、俺が支払った娼婦代金だな。
兜男はコハクの手の平に乗っている銅貨1枚を見ながら舌打ちした。
「あ、貴方達は私が『魔素喰み』体質なのを利用して徹底的に搾取し続けました!!」
「……ぐ」
「わ、私も、他に誰も助けてくれる人がいなかったから、仕方なく、貴方達のパーティーに付き従っていただけです!!」
「……」
「貴方達よりも良い条件を見つけた以上、貴方達と一緒にいる理由は少しも有りませんっ!!」
3人組はポカンと小さく口を開けながら、白魔法少女のコハクを見ていた。
従順だった奴隷に手痛く反逆されたという感じだろうか。
コハクは大きく息を吸い込むと、3人組に対して最後の言葉を投げつける。
「――わ、私は、今日限り貴方達のパーティーから出ていきます!! 今日までお世話になりました!! さようならっ!!!」
白魔法少女のコハクが大きく頭を下げると、とうとう堪忍袋の緒が切れたのか、兜男が腰に下げていた剣の柄に手を伸ばした。
「――舐めくさりやがって!! お前みたいな魔素喰み体質で何の役にも立てないゴミクズ白魔道士にバカにされるぐらいならば、俺の方から捨ててやるよ!! ただし、バカなお前をそそのかしたその男が得をしないように、しっかりと壊してからだけれどもなっ!!!」
はい、アウトー!
俺は剣の柄に手を付けつつ無茶苦茶な理論を叫び始めた兜男に、素早く回り込む様に側面へと近づいていく。
「……?」
武器も持っていない素手の俺が、更には両手を下げながら無防備で近づいてくる姿に、一旦、様子見という感じで剣の柄を握りながら眉を寄せる兜男。
残念、その油断が命取り。
俺は兜男の腕に軽くタッチする。
「……何のつもりだ?」
苛立ちを含んだ声で凄んでくる兜男。
「いえいえ。では、さようなら」
俺は「発光効果(パーティクル)」をOFFにして、「反転小回復(アンチライトヒール)」を全力で叩き込むと、兜男は白目を向いて膝を折り、そのまま顔面から地面に突っ伏した。
その姿は、まるで白魔法少女のコハクに対して土下座をしているようでもあった。
後ろの軽装備な2人が慌てて剣の柄に手を伸ばす。
「はい、動くな。動いたら、この兜な男を殺しますよ?」
ニコニコと微笑む俺。
2人組はお互いに目を交わしながら、剣の柄から手を離した。
自分達のリーダー格が一瞬で無力化された事で、俺のことを恐れ始めてくれたようである。
「い、一体、何をした?」
2人組の片方が俺にそう問いかけてくるので、俺は気怠そうに答えた。
「少しばかり『魔法』を使いました」
俺の言葉に、2人組は一瞬で青ざめてしまう。
それもそうだろう。
なにせ、この異世界において攻撃魔法を使うのは黒魔道士のみらしい。
そして、黒魔道士とは貴族ばかりのエリート中のエリート様。
俺が使用したのはあくまで白魔法なのだが、魔法を使用したという意味においては嘘を言ってはいない。
ということで、2人組は俺の事を「黒魔道士」だと勝手に勘違いをしてくれたらしい。
俺はニコニコと微笑みながら、兜男が自然と土下座している後頭部をガンと踏みつけた。
「おい、お前らも土下座して、彼女に謝罪しろ」
「な、なんで俺達が!」
「ふざけんな!」
おい、お前ら、俺は黒魔道士エリート貴族様(仮)だぞ、分かってるのか?
いや、思わず反抗するということは、分かっているようで、まだ分かっていないということだろう。
仕方がないので、立場を分からせる為に俺はニコニコしながらも言葉を続ける。
「……そうか。ならば、お前らは特別に、俺の『魔法』で燃やして灰にしてやろうか?」
嘘である。
完全なハッタリであるが、効果は抜群だった。
2人組は顔面蒼白ですぐさま土下座すると、白魔法少女のコハクに向かって土下座しながら謝罪した。
「す、すみませんでした!」
「も、申し訳ございませんでした!」
謝罪されたコハクは戸惑った表情を浮かべるだけだった。
今日までの仕打ちを考えても、一度だけ謝られた所でスッキリしないのは当然だろうとは思う。
このまま3人組の身ぐるみを全部剥いで、コハクにあげようかなとも思ったが、こいつらの物を貰った所で、見る度に嫌な感情が思い浮かんでも辛いだろうし、やめておくか。
お金に関しては、これから娼婦代として俺が渡せばいいものな。
朝の人通りの多い中での喧嘩騒動。
装備を整えた戦士である3人組を土下座させる優男な若い見た目の俺と、白魔道士で少女なコハクの姿はかなり異様だったらしく、周りが少し騒がしくなり始めていた。
あらら……、北欧女神様なエルさんの所でやらかした時と同じく、あまり宜しくない状況である。
「こ、こっちですシロスケさん! 行きましょう!」
次の瞬間、白魔法少女のコハクが俺の手を掴んでその場から走り出すと、俺はコハクに引っ張られながら商業街を駆け抜けていく。
土下座している3人組の姿が見えなくなる所まで走った後、そのまま商店の間の路地裏に飛び込むと、白魔法少女のコハクは俺の手を離してくれた。
白魔法少女のコハクは両膝に手を付きながら荒い呼吸を繰り返しており、その体はガクガクと小さく震えていた。
「い、今頃になって体が震えてきました」
苦笑いを浮かべるコハク。
彼女がどれだけの勇気を振り絞って、あの3人組に決別宣言を叩きつけたのかが伝わってくる。
ちなみに、俺の方もあの3人組を危険な真正面から何事もなく退治できて心底ホッとしていた。
「……いやー、それにしても、ちゃんと言えたね。立派だっだよ」
「は、はい!」
妖精感に満ちあふれた白魔法少女のコハクが、にっこりと微笑む。
うん、可愛い。
この笑顔を守れた事を誇りに思うわ。
これだけ手痛く決別宣言をされた以上、あの3人組がコハクを狙うことは無いだろう。
もし、何かあるとすれば俺を狙うはずだ。
俺という支えを失えば、また白魔法少女のコハクを奴隷化できると考えるだろうからな。
とはいえ、きちんと魔法の力も見せつけておいたので、余程のバカでない限りは下らない真似はしないとは思う。
その為に残りの2人組を気絶させずに、俺を「黒魔道士」だと思い込ませたわけだしな。
兜男が暴走しても、あの2人がたしなめて抑え込むだろう。
ただ、そうでない場合は、それ相応の仕置きをするしかないだろうけれども。
「とりあえず、魔素病に関しては、俺がコハクを娼婦として扱うから安心してくれ」
「は、はい! ありがとうございます!」
「あと、せっかくだし俺とパーティーも組んでおこうか」
白魔法少女のコハクをブラックとはいえ3人組パーティーから無理やりに脱退させておきながら、フリーで放って置いたままでは彼女も不安だろうし、あまりに無責任だろう。
それに、俺の仲間としておけば、あの3人組を含めて、ろくでもない事を考える連中に迫られても、「私には仲間がいますので!」と言い返すだけでも牽制できるだろうからな。
「――え!? い、良いのですか!?」
「いいよいいよ。とはいえ、大した活動は何もしていないけど。とりあえず今の所は、ポーション作りと朝の露店を手伝ってもらうことぐらいかな」
「ぜ、ぜひ! お手伝いをさせて下さい!!」
ポーション作りと露店という彼女が一番やりたいことが2つもあって、大興奮のようであった。
「そ、それでは今日からお世話になります! 一生懸命に頑張りますので、宜しくお願い致します! シロスケ先輩!」
「先輩?」
「は、はい! だって、私の尊敬する白魔道士さんですからっ!!」
妖精感がある可愛らしい少女に満面の笑顔で「先輩」と呼ばれて、なんだか妙に背中がむず痒かったが、とても嬉しくもあった。
引きこもりで誰からも必要とされなかった俺が、こんなにも可愛らしい少女から尊敬の念を抱いてもらえるなんて、本当にありがたい話である。
先輩を、頑張ろう。
俺は素直にそう思うのだった。
「あ!?」
「彼女の魔素病に関しては以後、俺が責任を持ちますので」
「あーそうかい! で、それがどうした!? そんなことよりも、お前が人の物を取ることには、どう落とし前をつける気だ!」
とうとう、自分の物とか言い出したぞコイツ。
「そもそもの話、貴方達とは違い、俺は彼女を娼婦として扱い、一ツ星娼婦としての相場である15分で銅貨1枚を支払っています」
「……?」
俺の言葉が理解できないという感じで、3人組は固まってしまう。
「逆払いではありませんよ。俺が支払っているのです」
「そ、そんなハッタリが!」
白魔法少女のコハクは、昨日の俺との大切な一時を思い出したのか、我に返ったかのように慌てて俺の背後へと舞い戻った。
「パーティーとはいえ仕事である以上、儲けの良い方へ行くのは道理ですよね。それとも、貴方達は今日から彼女を娼婦としても扱い、銅貨1枚を支払うことが可能ですか?」
「……ぐ」
兜男は悔しそうに歯噛みする。
俺は分かっていた。
支払えるわけがない、と。
なにせ、白魔法少女のコハクは「魔素喰み」体質。
銅貨1枚を支払って抱いた所で、男性にとっての魔素排出量は半分。
となれば、ますます銅貨1枚など払えない。
3人組にとっては、1日の貴重な儲けを捨てるに等しい行為だからだ。
「ど、どうせハッタリだろうがよ!」
ここまで言っても、納得しない兜男。
……うーん。
いくら搾取していたとはいえ、彼等がいたからこそ白魔法少女のコハクも生きながらえることができた、ということに免じて、せめてもの恩情をかけてあげようと思ったのだけれどもなー。
こうなると、本気の実力行使をするしかないのだろうか。
俺が覚悟を決めようかと考えていると、俺の背後にいたコハクが、ずいと前に出てきた。
「――う、嘘じゃありません!」
白魔法少女のコハクは、手の平に乗せた銅貨1枚を兜男に突き出すように見せつけた。
あれは、昨夜、俺が支払った娼婦代金だな。
兜男はコハクの手の平に乗っている銅貨1枚を見ながら舌打ちした。
「あ、貴方達は私が『魔素喰み』体質なのを利用して徹底的に搾取し続けました!!」
「……ぐ」
「わ、私も、他に誰も助けてくれる人がいなかったから、仕方なく、貴方達のパーティーに付き従っていただけです!!」
「……」
「貴方達よりも良い条件を見つけた以上、貴方達と一緒にいる理由は少しも有りませんっ!!」
3人組はポカンと小さく口を開けながら、白魔法少女のコハクを見ていた。
従順だった奴隷に手痛く反逆されたという感じだろうか。
コハクは大きく息を吸い込むと、3人組に対して最後の言葉を投げつける。
「――わ、私は、今日限り貴方達のパーティーから出ていきます!! 今日までお世話になりました!! さようならっ!!!」
白魔法少女のコハクが大きく頭を下げると、とうとう堪忍袋の緒が切れたのか、兜男が腰に下げていた剣の柄に手を伸ばした。
「――舐めくさりやがって!! お前みたいな魔素喰み体質で何の役にも立てないゴミクズ白魔道士にバカにされるぐらいならば、俺の方から捨ててやるよ!! ただし、バカなお前をそそのかしたその男が得をしないように、しっかりと壊してからだけれどもなっ!!!」
はい、アウトー!
俺は剣の柄に手を付けつつ無茶苦茶な理論を叫び始めた兜男に、素早く回り込む様に側面へと近づいていく。
「……?」
武器も持っていない素手の俺が、更には両手を下げながら無防備で近づいてくる姿に、一旦、様子見という感じで剣の柄を握りながら眉を寄せる兜男。
残念、その油断が命取り。
俺は兜男の腕に軽くタッチする。
「……何のつもりだ?」
苛立ちを含んだ声で凄んでくる兜男。
「いえいえ。では、さようなら」
俺は「発光効果(パーティクル)」をOFFにして、「反転小回復(アンチライトヒール)」を全力で叩き込むと、兜男は白目を向いて膝を折り、そのまま顔面から地面に突っ伏した。
その姿は、まるで白魔法少女のコハクに対して土下座をしているようでもあった。
後ろの軽装備な2人が慌てて剣の柄に手を伸ばす。
「はい、動くな。動いたら、この兜な男を殺しますよ?」
ニコニコと微笑む俺。
2人組はお互いに目を交わしながら、剣の柄から手を離した。
自分達のリーダー格が一瞬で無力化された事で、俺のことを恐れ始めてくれたようである。
「い、一体、何をした?」
2人組の片方が俺にそう問いかけてくるので、俺は気怠そうに答えた。
「少しばかり『魔法』を使いました」
俺の言葉に、2人組は一瞬で青ざめてしまう。
それもそうだろう。
なにせ、この異世界において攻撃魔法を使うのは黒魔道士のみらしい。
そして、黒魔道士とは貴族ばかりのエリート中のエリート様。
俺が使用したのはあくまで白魔法なのだが、魔法を使用したという意味においては嘘を言ってはいない。
ということで、2人組は俺の事を「黒魔道士」だと勝手に勘違いをしてくれたらしい。
俺はニコニコと微笑みながら、兜男が自然と土下座している後頭部をガンと踏みつけた。
「おい、お前らも土下座して、彼女に謝罪しろ」
「な、なんで俺達が!」
「ふざけんな!」
おい、お前ら、俺は黒魔道士エリート貴族様(仮)だぞ、分かってるのか?
いや、思わず反抗するということは、分かっているようで、まだ分かっていないということだろう。
仕方がないので、立場を分からせる為に俺はニコニコしながらも言葉を続ける。
「……そうか。ならば、お前らは特別に、俺の『魔法』で燃やして灰にしてやろうか?」
嘘である。
完全なハッタリであるが、効果は抜群だった。
2人組は顔面蒼白ですぐさま土下座すると、白魔法少女のコハクに向かって土下座しながら謝罪した。
「す、すみませんでした!」
「も、申し訳ございませんでした!」
謝罪されたコハクは戸惑った表情を浮かべるだけだった。
今日までの仕打ちを考えても、一度だけ謝られた所でスッキリしないのは当然だろうとは思う。
このまま3人組の身ぐるみを全部剥いで、コハクにあげようかなとも思ったが、こいつらの物を貰った所で、見る度に嫌な感情が思い浮かんでも辛いだろうし、やめておくか。
お金に関しては、これから娼婦代として俺が渡せばいいものな。
朝の人通りの多い中での喧嘩騒動。
装備を整えた戦士である3人組を土下座させる優男な若い見た目の俺と、白魔道士で少女なコハクの姿はかなり異様だったらしく、周りが少し騒がしくなり始めていた。
あらら……、北欧女神様なエルさんの所でやらかした時と同じく、あまり宜しくない状況である。
「こ、こっちですシロスケさん! 行きましょう!」
次の瞬間、白魔法少女のコハクが俺の手を掴んでその場から走り出すと、俺はコハクに引っ張られながら商業街を駆け抜けていく。
土下座している3人組の姿が見えなくなる所まで走った後、そのまま商店の間の路地裏に飛び込むと、白魔法少女のコハクは俺の手を離してくれた。
白魔法少女のコハクは両膝に手を付きながら荒い呼吸を繰り返しており、その体はガクガクと小さく震えていた。
「い、今頃になって体が震えてきました」
苦笑いを浮かべるコハク。
彼女がどれだけの勇気を振り絞って、あの3人組に決別宣言を叩きつけたのかが伝わってくる。
ちなみに、俺の方もあの3人組を危険な真正面から何事もなく退治できて心底ホッとしていた。
「……いやー、それにしても、ちゃんと言えたね。立派だっだよ」
「は、はい!」
妖精感に満ちあふれた白魔法少女のコハクが、にっこりと微笑む。
うん、可愛い。
この笑顔を守れた事を誇りに思うわ。
これだけ手痛く決別宣言をされた以上、あの3人組がコハクを狙うことは無いだろう。
もし、何かあるとすれば俺を狙うはずだ。
俺という支えを失えば、また白魔法少女のコハクを奴隷化できると考えるだろうからな。
とはいえ、きちんと魔法の力も見せつけておいたので、余程のバカでない限りは下らない真似はしないとは思う。
その為に残りの2人組を気絶させずに、俺を「黒魔道士」だと思い込ませたわけだしな。
兜男が暴走しても、あの2人がたしなめて抑え込むだろう。
ただ、そうでない場合は、それ相応の仕置きをするしかないだろうけれども。
「とりあえず、魔素病に関しては、俺がコハクを娼婦として扱うから安心してくれ」
「は、はい! ありがとうございます!」
「あと、せっかくだし俺とパーティーも組んでおこうか」
白魔法少女のコハクをブラックとはいえ3人組パーティーから無理やりに脱退させておきながら、フリーで放って置いたままでは彼女も不安だろうし、あまりに無責任だろう。
それに、俺の仲間としておけば、あの3人組を含めて、ろくでもない事を考える連中に迫られても、「私には仲間がいますので!」と言い返すだけでも牽制できるだろうからな。
「――え!? い、良いのですか!?」
「いいよいいよ。とはいえ、大した活動は何もしていないけど。とりあえず今の所は、ポーション作りと朝の露店を手伝ってもらうことぐらいかな」
「ぜ、ぜひ! お手伝いをさせて下さい!!」
ポーション作りと露店という彼女が一番やりたいことが2つもあって、大興奮のようであった。
「そ、それでは今日からお世話になります! 一生懸命に頑張りますので、宜しくお願い致します! シロスケ先輩!」
「先輩?」
「は、はい! だって、私の尊敬する白魔道士さんですからっ!!」
妖精感がある可愛らしい少女に満面の笑顔で「先輩」と呼ばれて、なんだか妙に背中がむず痒かったが、とても嬉しくもあった。
引きこもりで誰からも必要とされなかった俺が、こんなにも可愛らしい少女から尊敬の念を抱いてもらえるなんて、本当にありがたい話である。
先輩を、頑張ろう。
俺は素直にそう思うのだった。
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