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姦邪Ⅰ -ルィリア編-
第43話 命の責任と契約
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こうして死んだ筈の人間によって殺されるという奇奇怪怪な連続殺人事件は、暗殺者の魂が宿ったボロ布が焼却された事で解決に至った。
この事件は王都内ではかなり有名だったらしく、犯人がわかり解決したという記事が世に出回った途端に国民達は安堵と喜びの声を一斉に上げたという。その声は、ルィリア邸内にいた俺達にすら聞こえてきた。
だが……大団円、という訳ではない。
暗殺者との戦闘で重傷を負ったり、死亡してしまった団員は少なくはなかった。団員の中には妻や子を持つ者もいた。亡くなった団員の家族には、総団長であるカナンが直々に遺骨を持って死を告げたそうだ。
「…………」
一通り終えて帰ってきたカナンの表情は……酷く沈痛していた。顔には痛々しい真っ青な痣が沢山出来ていた。恐らく亡くなった団員の親族によって付けられたものだろう……“お前のせいで”と。
「無理に顔を合わせる必要は無かったんじゃないのか? こうなる事は……わかってただろ」
「……わかっていたよ、だからこそだ。夫を失った悲しみや怒りを受け止めるのは……総団長である私の責任でもある」
「…………」
カナンの重い言葉に、俺は何も喋れなくなった。
返す言葉は幾らでもあった。だが、どれもカナンを気遣うようなものである代わりに、亡くなった団員の親族にとっては無責任なものになってしまう。
多くの命を預かる、総団長としての責任。しかしこれでは……カナンの心が保たない。
「……気遣ってくれてありがとう、シン。だが私は平気だ、嫌われるのは……慣れたものだ」
カナンは自分自身を嘲るような笑みを浮かべ、明らかに強がってそう言うと、俺の横を通り過ぎてどこかの部屋へ行ってしまった。
「カナン……」
——俺は、カナンを追うことが出来なかった。
◇
更に言ってしまうと、まだ解決出来ていない謎が沢山ある。
一つは、リヒトの死体についてだ。
光の粒子となって消滅してしまった事で、本当の死亡時刻を調べる事が不可能となってしまい、俺の“実は爆発事故で亡くなった訳ではない”という考察が合っていたのか間違っていたのかが不明になってしまった。
二つは……
「どないしたんシン? そんなとこで一人突っ立ってて」
「……」
何故かネフィラがこのルィリア邸に棲みついている事だ。というのも、目が覚めたら何故か俺の隣でネフィラが眠っていたのだ。
「ちょ、無視せんといてや? まぁ蜘蛛は虫やないけど」
「何でアンタがここに居るんだよ」
「そんなん決まっとるやん? シンがウチの新しいご主人様やからね」
「は!? そんなの俺は了承してないぞ!」
俺は衝撃の事実に、思わず声を荒げた。
「ほらウチ、シンのうなじ噛んだやん? あれは主人の血を飲むっちゅう契約の儀式なんよ」
「だから本人の了承も無しに勝手に契約するな!」
「別にええやろ? こんなべっぴんな女と一緒に居れるんやからなぁ」
「確かに顔は良いと思うけどさ……じゃあ命令だ、今すぐ契約破棄してどっか行け!」
「ええよ~? ほな、そこら辺のメス食べよかな~」
「……追加で命令! もう俺の使い魔でいいから絶対に人食うな!!」
「フフ……優しいんねぇ? ウチの事も他のメスも救う、流石シンや」
「そういう訳じゃない! ……あ、そういえばネフィラに何個か聞きたいことがあるんだ」
「そういえばそんなん言っとったなぁ。ええよ、何でも答えちゃる」
ネフィラは優しく微笑むと、少しだけ俺との距離を縮めて腕を組んだ。
《ネフィラに何を聞こう?》
→1.ネルフィラの動機について
2.ボロ布について
3.契約について
4.ネフィラ封印について
「……ネルフィラがルィリアを狙った動機って何なんだ?」
「好きな男を地味な子に取られた妬みやないん?」
「いや、それだけじゃないと思うんだ」
“あんな出来損ないがリヒトを奪ったのは許せないしムカつく……殺したいって思うほどにね……! でも、それだけじゃないわよ”
ネルフィラは、確かにそう言っていた。それだけじゃない理由を聞いたが、適当に濁されてしまったのだ。
「ふぅん。でも終わった事を気にしてどないするん?」
「……単なる自己満足だ」
「そ。別に話してもええよ? ただちぃと長くなるよ? それに、あのボロ布についても話さないといかんしなぁ?」
“おうおう、派手にやっとるのぉ。あの死体好きのボロ布如きが”
ルィリア邸の一部が爆発した際、ネフィラはそんな事を言っていた。ネフィラとあの暗殺者はどうやら深い関わりがあるように思える。
1.ネルフィラの動機について
→2.ボロ布について
3.契約について
4.ネフィラ封印について
「ボロ布、暗殺者か」
「暗殺者ねぇ。ウチからすれば、あれはただの死体弄りが好きなさいこぱすにしか思えへんけどなぁ」
「なんか知ってるみたいだな」
「よく知っとるよ? アイツとは昔っから腐れ縁でな……まぁそこはどうでもええから端折るけど。とにかくアイツは暗殺なんてせえへんかったし、そもそも人に迷惑をかけるような奴やなかったんよ」
「つまり、最近殺しをするようになった訳か?」
確かに、奴は暗殺者にしては動きが単調過ぎていた。動きこそ早かったが、暗殺で洗練された動きという感じでは無かった。てっきり、今までは他人になりすまして油断した所を後ろから刺す……というものばかりであったが故に戦い慣れていなかったものだと思っていた。
「そう。……あの女、ウチと名前が似とうネルフィラが、アイツを変えてしもうたんよ」
「ネルフィラが?」
「そう。ネルフィラはアイツを唆して、いっぱい殺しをさせたんよ……」
「という事は、もしかしたら今までの被害者達に何かしらの共通点があるかもしれないな」
「ウチがちょろっと聞いた話やと、母親の仇とか……後は栗がどうのって言うとったなぁ」
「母親の仇と……く、栗?」
母親の仇の為に人を殺す……それだけなら理解出来るが、それってつまりルィリアが母親の仇という事になるが……あと“栗”ってどういう事だ?
「……決して卑猥な意味とちゃうよ?」
ネフィラはニヤニヤと笑いながら、内股になって足の付け根の真ん中あたりを左手で覆ってそう言った。
「連想してない!!」
「顔赤くしちゃって……ホンマ可愛ぇなぁ」
……コイツ、絶対わかって言ってるだろ。
1.ネルフィラの動機について
2.ボロ布について
→3.契約について
4.ネフィラ封印について
「話変わるけど、アンタと契約する上で代償とか無いよな」
「そんなんあらへんよ。悪魔じゃあるまいし」
「悪魔みたいなもんだろ、アンタ」
「確かにウチのこのみすてりあすな雰囲気は、悪魔的とも言えるなぁ」
「……」
「まぁ、契約してる間は戦や夜のお供まで何でもしたるよ。代償は……契約破棄したら食べちゃうゾ♡……くらいやな」
「アンタの場合本当に食われるから怖いんだよ……」
「フフ……」
俺の反応を、ネフィラはまるで楽しんでいるようにニヤニヤと笑みを浮かべていた。
しかし“悪魔じゃあるまいし”という単語が出てきたという事は……やっぱりこの異世界では悪魔が存在しているのだろうか?
1.ネルフィラの動機について
2.ボロ布について
3.契約について
→4.悪魔の存在について《NEW》
5.ネフィラ封印について
「サラッと流したけど……この世界には悪魔が存在するのか?」
「沢山おるよ。皆、心の中には悪魔の側面があってな」
「それはわかってるから。そういう事じゃなくて、こう……うまく言語化出来ないんだが……」
「ふふっ、わかっとるよ。確かに、この世界には“悪魔”と呼ばれとる存在はいる。どんな願いも叶えて最高潮になったところで、代償による絶望へと叩き落とす……そんな人生の転落劇、即ち“不幸”を愉しむ存在がな」
「代償……例えば?」
「そうやなぁ……例えば“速く走れるようになりたい”という願いを叶えたとする。そして世界一の称号を獲得出来そうというところで、奇病を患って足を切断せざるを得なくなる……みたいな感じやな」
「うわぁ……思ってたよりだいぶ酷いな」
悪魔の代償が思っていたよりもだいぶえげつない内容で、俺は思わず引いてしまった。
つまり、代償は願いが本末転倒になるもの……という事か。
——ん? ちょっと待て。
願いが叶って暫く経った後に、代償によって何もかもが壊れる……それ、最近見た気がする。
「……なぁ、契約の代償って、契約した時に申告されるのか?」
「一応はされるみたいやけど……まぁ悪魔との契約やから、代償は覚悟の上って感じやと思う。そこまでして叶えたい願いだなんて……よっぽどよなぁ。そんな覚悟決められるなら、願いを叶える為に身を削る事も出来るやろうに」
“いつかはこうなるって……わかってたから。僕とシェリルは、本当の愛で結ばれた訳じゃないんだ”
“僕のシェリルに対する想いは本物。でもそれ以外は全部、偽りなんだ”
“気持ち悪い……アンタと付き合った覚えも、結婚した覚えもない……ましてや子を孕ったなんて!”
“私の名を呼ばないでっ!! アンタの事なんて知らない……気色悪いっ!! ソイツもっ!!”
俺はてっきりあの男が禁書の力で洗脳魔術を使い、シェリルを洗脳し我が物にしていたのだと思っていた。
でも、もしあの男がシェリルとの関係をより深いものにする為に悪魔と契約していたら。
シェリルが正気に戻ったのも、そこから不倫に繋がったのも、最終的にあの男が殺されたのも……全ては代償によるものなのだとしたら。
“そう言われてもなぁ……シンを産むまでシェリルは僕にゾッコンだったじゃないか”
「っっ!!」
夫婦にとって最も幸せな事は……恐らく、自分達の子供が生まれる事。
——じゃあ俺は、悪魔の契約によって生まれた……代償による絶望へのトリガーだったって事じゃないか。
この事件は王都内ではかなり有名だったらしく、犯人がわかり解決したという記事が世に出回った途端に国民達は安堵と喜びの声を一斉に上げたという。その声は、ルィリア邸内にいた俺達にすら聞こえてきた。
だが……大団円、という訳ではない。
暗殺者との戦闘で重傷を負ったり、死亡してしまった団員は少なくはなかった。団員の中には妻や子を持つ者もいた。亡くなった団員の家族には、総団長であるカナンが直々に遺骨を持って死を告げたそうだ。
「…………」
一通り終えて帰ってきたカナンの表情は……酷く沈痛していた。顔には痛々しい真っ青な痣が沢山出来ていた。恐らく亡くなった団員の親族によって付けられたものだろう……“お前のせいで”と。
「無理に顔を合わせる必要は無かったんじゃないのか? こうなる事は……わかってただろ」
「……わかっていたよ、だからこそだ。夫を失った悲しみや怒りを受け止めるのは……総団長である私の責任でもある」
「…………」
カナンの重い言葉に、俺は何も喋れなくなった。
返す言葉は幾らでもあった。だが、どれもカナンを気遣うようなものである代わりに、亡くなった団員の親族にとっては無責任なものになってしまう。
多くの命を預かる、総団長としての責任。しかしこれでは……カナンの心が保たない。
「……気遣ってくれてありがとう、シン。だが私は平気だ、嫌われるのは……慣れたものだ」
カナンは自分自身を嘲るような笑みを浮かべ、明らかに強がってそう言うと、俺の横を通り過ぎてどこかの部屋へ行ってしまった。
「カナン……」
——俺は、カナンを追うことが出来なかった。
◇
更に言ってしまうと、まだ解決出来ていない謎が沢山ある。
一つは、リヒトの死体についてだ。
光の粒子となって消滅してしまった事で、本当の死亡時刻を調べる事が不可能となってしまい、俺の“実は爆発事故で亡くなった訳ではない”という考察が合っていたのか間違っていたのかが不明になってしまった。
二つは……
「どないしたんシン? そんなとこで一人突っ立ってて」
「……」
何故かネフィラがこのルィリア邸に棲みついている事だ。というのも、目が覚めたら何故か俺の隣でネフィラが眠っていたのだ。
「ちょ、無視せんといてや? まぁ蜘蛛は虫やないけど」
「何でアンタがここに居るんだよ」
「そんなん決まっとるやん? シンがウチの新しいご主人様やからね」
「は!? そんなの俺は了承してないぞ!」
俺は衝撃の事実に、思わず声を荒げた。
「ほらウチ、シンのうなじ噛んだやん? あれは主人の血を飲むっちゅう契約の儀式なんよ」
「だから本人の了承も無しに勝手に契約するな!」
「別にええやろ? こんなべっぴんな女と一緒に居れるんやからなぁ」
「確かに顔は良いと思うけどさ……じゃあ命令だ、今すぐ契約破棄してどっか行け!」
「ええよ~? ほな、そこら辺のメス食べよかな~」
「……追加で命令! もう俺の使い魔でいいから絶対に人食うな!!」
「フフ……優しいんねぇ? ウチの事も他のメスも救う、流石シンや」
「そういう訳じゃない! ……あ、そういえばネフィラに何個か聞きたいことがあるんだ」
「そういえばそんなん言っとったなぁ。ええよ、何でも答えちゃる」
ネフィラは優しく微笑むと、少しだけ俺との距離を縮めて腕を組んだ。
《ネフィラに何を聞こう?》
→1.ネルフィラの動機について
2.ボロ布について
3.契約について
4.ネフィラ封印について
「……ネルフィラがルィリアを狙った動機って何なんだ?」
「好きな男を地味な子に取られた妬みやないん?」
「いや、それだけじゃないと思うんだ」
“あんな出来損ないがリヒトを奪ったのは許せないしムカつく……殺したいって思うほどにね……! でも、それだけじゃないわよ”
ネルフィラは、確かにそう言っていた。それだけじゃない理由を聞いたが、適当に濁されてしまったのだ。
「ふぅん。でも終わった事を気にしてどないするん?」
「……単なる自己満足だ」
「そ。別に話してもええよ? ただちぃと長くなるよ? それに、あのボロ布についても話さないといかんしなぁ?」
“おうおう、派手にやっとるのぉ。あの死体好きのボロ布如きが”
ルィリア邸の一部が爆発した際、ネフィラはそんな事を言っていた。ネフィラとあの暗殺者はどうやら深い関わりがあるように思える。
1.ネルフィラの動機について
→2.ボロ布について
3.契約について
4.ネフィラ封印について
「ボロ布、暗殺者か」
「暗殺者ねぇ。ウチからすれば、あれはただの死体弄りが好きなさいこぱすにしか思えへんけどなぁ」
「なんか知ってるみたいだな」
「よく知っとるよ? アイツとは昔っから腐れ縁でな……まぁそこはどうでもええから端折るけど。とにかくアイツは暗殺なんてせえへんかったし、そもそも人に迷惑をかけるような奴やなかったんよ」
「つまり、最近殺しをするようになった訳か?」
確かに、奴は暗殺者にしては動きが単調過ぎていた。動きこそ早かったが、暗殺で洗練された動きという感じでは無かった。てっきり、今までは他人になりすまして油断した所を後ろから刺す……というものばかりであったが故に戦い慣れていなかったものだと思っていた。
「そう。……あの女、ウチと名前が似とうネルフィラが、アイツを変えてしもうたんよ」
「ネルフィラが?」
「そう。ネルフィラはアイツを唆して、いっぱい殺しをさせたんよ……」
「という事は、もしかしたら今までの被害者達に何かしらの共通点があるかもしれないな」
「ウチがちょろっと聞いた話やと、母親の仇とか……後は栗がどうのって言うとったなぁ」
「母親の仇と……く、栗?」
母親の仇の為に人を殺す……それだけなら理解出来るが、それってつまりルィリアが母親の仇という事になるが……あと“栗”ってどういう事だ?
「……決して卑猥な意味とちゃうよ?」
ネフィラはニヤニヤと笑いながら、内股になって足の付け根の真ん中あたりを左手で覆ってそう言った。
「連想してない!!」
「顔赤くしちゃって……ホンマ可愛ぇなぁ」
……コイツ、絶対わかって言ってるだろ。
1.ネルフィラの動機について
2.ボロ布について
→3.契約について
4.ネフィラ封印について
「話変わるけど、アンタと契約する上で代償とか無いよな」
「そんなんあらへんよ。悪魔じゃあるまいし」
「悪魔みたいなもんだろ、アンタ」
「確かにウチのこのみすてりあすな雰囲気は、悪魔的とも言えるなぁ」
「……」
「まぁ、契約してる間は戦や夜のお供まで何でもしたるよ。代償は……契約破棄したら食べちゃうゾ♡……くらいやな」
「アンタの場合本当に食われるから怖いんだよ……」
「フフ……」
俺の反応を、ネフィラはまるで楽しんでいるようにニヤニヤと笑みを浮かべていた。
しかし“悪魔じゃあるまいし”という単語が出てきたという事は……やっぱりこの異世界では悪魔が存在しているのだろうか?
1.ネルフィラの動機について
2.ボロ布について
3.契約について
→4.悪魔の存在について《NEW》
5.ネフィラ封印について
「サラッと流したけど……この世界には悪魔が存在するのか?」
「沢山おるよ。皆、心の中には悪魔の側面があってな」
「それはわかってるから。そういう事じゃなくて、こう……うまく言語化出来ないんだが……」
「ふふっ、わかっとるよ。確かに、この世界には“悪魔”と呼ばれとる存在はいる。どんな願いも叶えて最高潮になったところで、代償による絶望へと叩き落とす……そんな人生の転落劇、即ち“不幸”を愉しむ存在がな」
「代償……例えば?」
「そうやなぁ……例えば“速く走れるようになりたい”という願いを叶えたとする。そして世界一の称号を獲得出来そうというところで、奇病を患って足を切断せざるを得なくなる……みたいな感じやな」
「うわぁ……思ってたよりだいぶ酷いな」
悪魔の代償が思っていたよりもだいぶえげつない内容で、俺は思わず引いてしまった。
つまり、代償は願いが本末転倒になるもの……という事か。
——ん? ちょっと待て。
願いが叶って暫く経った後に、代償によって何もかもが壊れる……それ、最近見た気がする。
「……なぁ、契約の代償って、契約した時に申告されるのか?」
「一応はされるみたいやけど……まぁ悪魔との契約やから、代償は覚悟の上って感じやと思う。そこまでして叶えたい願いだなんて……よっぽどよなぁ。そんな覚悟決められるなら、願いを叶える為に身を削る事も出来るやろうに」
“いつかはこうなるって……わかってたから。僕とシェリルは、本当の愛で結ばれた訳じゃないんだ”
“僕のシェリルに対する想いは本物。でもそれ以外は全部、偽りなんだ”
“気持ち悪い……アンタと付き合った覚えも、結婚した覚えもない……ましてや子を孕ったなんて!”
“私の名を呼ばないでっ!! アンタの事なんて知らない……気色悪いっ!! ソイツもっ!!”
俺はてっきりあの男が禁書の力で洗脳魔術を使い、シェリルを洗脳し我が物にしていたのだと思っていた。
でも、もしあの男がシェリルとの関係をより深いものにする為に悪魔と契約していたら。
シェリルが正気に戻ったのも、そこから不倫に繋がったのも、最終的にあの男が殺されたのも……全ては代償によるものなのだとしたら。
“そう言われてもなぁ……シンを産むまでシェリルは僕にゾッコンだったじゃないか”
「っっ!!」
夫婦にとって最も幸せな事は……恐らく、自分達の子供が生まれる事。
——じゃあ俺は、悪魔の契約によって生まれた……代償による絶望へのトリガーだったって事じゃないか。
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