ブックメイカー ~ゴミスキルを開花させた少年は、孤児から頂点へと成り上がる~

卯月 みつび

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第二章 冒険者の門出、差別、救済

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 一週間後。

 ガーフさんに言われて鍛冶屋にやってきた。

 しっかりした武器を作るには時間が必要だってことで、今日になったのだ。

 僕としては店先に並んでいるのでよかったんだけど、レイカもガーフさんも絶対にダメだと譲らなかったのだ。



 外から声をかけると、なんだかやつれた気がするガーフさんがふらふらになりながら現れた。



「お、おう。エンドか。ちょっと座っててくれ。今、終わったところだ」

「うん。けど、ガーフさん、大丈夫ですか? 体調悪そうですけど」

「今日は徹夜だったからなぁ。まあ、すぐ持ってくるから。待ってろ」



 ガーフさんはそういうと、奥から大きな箱を持ってくる。

 僕とレイカは、近くにある椅子に座ってそれを待っていた。



「まずは防具だ。これは、言われた通り軽くて丈夫なものを選んだ。金属だと重くなるから、魔物の素材を使ってる」

「へぇ。それが、これですか」



 ガーフさんが取り出したのは、深い灰色ものだった。

 肩と胸、そして胴回り、腰を守るように作られたそれは、洗練されたかっこよさを感じさせる。



「外側には陸竜亀の甲羅を使った。硬さだけならドラゴンのものより強い。ドラゴンのは流通が少なくてな。手に入らなかったんだ。内側は、スナラクダの皮を使ってる。これは、すぐれもんでな。寒い時は熱を封じ込め、熱い時は熱を逃がし弾く。防具の中張りとしちゃ、最高のもんだ。全身じゃないから常に適温とまではいかねぇが、ある程度ならどんな気温でももろともしねぇ。快適に、そして固く軽く。今手に入る素材で最高のもんを作った。つけてみてくれ。動きづらいところは調整すっからよ」



 僕は言われてつけてみた。

 つけ外しもしやすいように単純な作りだけど、うん。軽い。動きやすい。

 それでいて見た目もかっこいいんだからこの上なくいいものなんだろうな。お金、大丈夫かな。



「一応、同じ素材で作ったブーツもつけておくぞ。それで、こっちは剣だが――」



 そういって取り出したのは、黒い剣だった。

 その輝きは、吸い込まれそうなほどに美しく思わず目を見張った。



「これは」

「わかるか? こいつはなアダマンタイトを使った剣だ。やや重いが、丈夫で固い。単純な剣の性能としてなら一級品よ。ほら、持ってみろ」



 そう言われてその剣を持つと、ずしりと片手に重みを感じる。

 だが、触れないほどではない。

 むしろ、振っているほうが安定し楽なくらいだ。



「ガーフさん……すごい、剣です」

「そうだろう。傑作だ」



 一緒に鞘を渡してくれたガーフさん。

 僕は、もらった防具と剣を装備してみた。



「……かっこいい」

「ん? どうしたの? レイカさん」

「い、いえ! なんでも――」



 やけに慌てている様子は珍しい。

 僕は満足した装備を作ってくれたガーフさんに頭を下げた。



「ガーフさん。ありがとうございます。無理を言ってしまって」

「なにいってやがんだ。金を払ってくれるなら文句はねぇよ」

「そういえば……これってどれくらいの値段になるんですか?」

「あ? ざっと材料費だけでざっと金貨五十枚は下らねぇ」

「た、たかぁ!!」



 僕は思わず叫んでいた。

 っていうか金貨五十枚って、普通に豪邸が建つ金額じゃなかろうか!

 一瞬で血の気が引いてしまった僕は助けを求めるようにレイカに視線を向けた。

 すると、レイカは苦笑いを浮かべいる。



「ガーフさん。剣には銘はあるんですか?」

「あ? そんな偉そうなもんねぇよ。好きなように呼んでくれ」

「はい。わかりました。それで、支払いのほうですが――」



 すると、ガーフさんは片手を僕らのほうに突き出していった。



「金はいらねぇ! と、目を覚まさしてくれたおめえらには言いてぇが……。それはお前らにひどく失礼だと考えている」



 い、いえ!

 払えって言われても払えないんですけど!?



「それだけの装備にふさわしい男だ。こんな金、払うのも簡単に出来ちまうだろうよ。だからよ、五年だ」



 そう言って、掌を広げた。



「五年待ってやる。それまでに、その装備をつけたてめぇで稼いだ金を持ってこい。そんときは、もっといい装備をつくってやれるように俺も精進しておくからよ」



 ガーフさんが僕をまっすぐみた。

 鋭い視線。

 それを真正面から受け止めたその時、彼が言いたいことが伝わってくる。



「それは……僕に期待してくれてるってことですか?」

「期待じゃねぇ、確信だ。お前はでけぇ男になる」

「そう……ですか」



 ここまではっきり言われては、僕だって引けない。

 大きくうなづい言葉を返した。



「ガーフさん。僕は必ず戻ってきますよ。ちゃんと、この装備にふさわしい男になって。必ず」

「ああ、待ってるぞ」



 ガーフさんはそういうと、レイカに用意していたナイフを何本か渡して奥に入ってしまった。

 僕はレイカに目配せをして、そっとその場から立ち去った。



「じゃあ行こうか」

「ええ。エンド様」



 そういって、僕らは商店街へと向かった。

 明日からの冒険にむけた準備をするために。
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