その腕に囚われて

禎祥

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17、お仕置き *(side 真)

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 リオを初めて抱いた日。
 強姦だとはいえ、なるべく傷つけないよう丁寧に念入りに愛撫をして本懐を遂げた。
 白い肌を朱に染め腰をくねらせるリオは、想像以上に艶めかしく。
 これ以上はリオに負担がかかりすぎると思いつつ、止めることができなかった。
 これまでにしたどの女性との行為よりも気持ち良かったし、感じてくれているのが嬉しくて調子に乗った。

 でも、あんなに愛し合ったというのにリオには俺の想いなんて全然伝わってなくて。
 恋人じゃないなんて言われてしまった。
 だから、写真をばら撒くなんて脅してまで恋人になってもらった。
 こんなはずじゃなかったのに……。
 どうしたらリオの心が手に入るんだろう?

 俺はスマホを前に何度目かのため息を吐いた。
 本当はとっくにリオの番号もメアドも知っている。
 こっそり俺の番号もリオのスマホに登録してある。
 けど、怖がらせたくなくて、嫌われたくなくて、連絡を入れられないままだった。

「けど、もう恋人同士になったんだし、メールくらいなら……」

 メッセージ入力画面を開いて、固まる。
 メールだと顔を見れないから、声を聞けないから、リオがどう思うのかわからなくて怖い。
 自分のヘタレ加減に笑えてくる。
 これまで付き合った女性達は俺が何もしなくても向こうからどんどん寄ってきてくれたから、こんな時どうしたら良いのかわからない。

「何だ? 富永に振られたか?」
「まだ振られてません」
「な、何怒ってんだよ。冗談だろうが」

 スマホを持ってはため息を吐いて机に置く、という行為を繰り返している俺に生島さんが声をかけてきた。
 生島さんからすれば冗談のつもりだろうが、リオを脅迫してまで手に入れたばかりの俺にはとても流せない言葉だ。
 返事に怒気が籠ってしまうのも仕方がないというもの。

「いやしかし、今朝の富永は妙な色気があってヤバかったな……。お前が富永富永言ってるせいか、俺までおかしくなったのかな?」
「……笑えない冗談ですね」

 あれなら俺も抱ける気がするなんて笑う生島さんを睨みつけてしまった。
 色気……俺が抱いたせいだろうか? 俺が変えたというのなら嬉しい変化だが、そのせいで虫が増えるのはいただけない。
 リオは俺のだ、と言ってしまおうか? あぁ、でもそれだと脅しに使ってる写真の効果がなくなってしまう。
 縛り付けるものがなくなれば、リオはすぐに手の届かない所まで逃げてしまう気がする。

「え? 帰った?」

 また悩みの種が増えた、と思いつつ開発課まで来たら、リオの姿はなく既に早退したと聞かされた。
 おまけに。

「社長が富永さんに顎クイしたり、腰を抱いたりしててね。ただならぬ雰囲気だったの」
「やっぱりあの二人付き合っているのかしら?」
「あ、じゃあ社長が最近頻繁にこのフロアに来るのも……」

 キャー、と俺を取り囲みながら盛り上がる女子達。
 リオをいびっていたクズ課長がクビになったのは良かったけど、その後がいただけない。
 守がリオの腰を抱いて連れて行ったって、どういうことだ!?

「……出ない! クソッ」

 嫌な予感がして早退すると飛び出した俺は、リオに何度も電話をかける。
 出ないのは気が付いていないからか、それとも出られない状況なのか。
 守の方に電話をかけたら、「逃げられた」と教えられて心底安堵した。

 昼食を一緒に食べると約束してもらったし、リオの家に行くと不在だった。
 探しに行こうと施錠したところで、リオが見知らぬ男と一緒に戻ってきた。
 俺に気づくなり、リオが男の影に隠れる。
 そいつはリオの何なんだ。
 今すぐ殴り飛ばしてやりたい衝動に駆られる。それを止めたのは、男の言葉だった。

「じゃあ里桜の恋人さんの方か。里桜、何隠れてるんだよ?」

 恋人。俺の事をそう紹介してくれたのか。
 嬉しい。顔がにやけてしまう。
 文京稜人と名乗った男は、リオが泣いていたところを見つけて送ってきたのだと言う。
 リオが落ち着けるように、とフレーバーティーを淹れた所、リオが守に襲われたって教えられた。

「じゃあ、約束破ったリオにお仕置きタイムだね」
「えっ? ちょ、ちょっと!」

 文京が帰った後はリオにお仕置き。
 俺がどれだけ心配したか、少しは思い知ったら良いんだ。
 俺以外に可愛い顔見せるなって言ったのに、守だけじゃなく生島さんまで誘惑して。
 リオは自分の魅力に気付いていない。無自覚だから無防備で。
 そんなだから、守に手を出されるんだ。

「やだっ、シン! アッ……」

 今日のリオはいやいやと抵抗する。少しだけ震えていたのは気付かないふりで俺はリオの体中に口付ける。
 少し愛撫をしただけで、頬を蒸気させ目を潤ませているのに俺を拒絶する。
 守がリオに触れたというのが許せなくて。
 守にもそんな蕩けた顔を見せたのかと思うと悔しくて。

 気づけばリオを縛りあげていた。
 堰き止めたまま、リオの陰茎を喉奥まで咥え、吸い付いたり舐めたり、鈴口を舌先で押したり。
 男のモノを咥えることへの嫌悪感は不思議となかった。
 それどころか、俺の不慣れな行為でも感じて腰をくねらせるリオが愛おしくて。

「やぁっ、も、イかせてぇっ……ああっ、んっ」
「だめ」
「こんな……おかしく、なる……あっ」
「もっとおかしくなって良いよ」

 本当に、このままおかしくなってしまえば良いのに。
 このまま俺の腕の中に閉じ込めて、俺だけを欲しがるようになればもう他の男になんて触れられないだろう?
 ドライでイッたのか、一際激しく痙攣するリオに俺はしつこく愛撫を続ける。

「ねぇ、リオ。『シンの太いの挿れて』って言えたらイかせてあげる」
「ふ……え……?」

 たとえ本心じゃなくても、リオの口から俺を欲しがる言葉が聞きたいと思って言ってみた。
 リオは蕩けた顔のまま、ぼんやりとしている。
 やっぱり、ダメか。そう思った次の瞬間、リオが腰をくねらせながらおねだりをしてきた。

「シ、ンッ……シンの太いの、いれて……」
「!」

 そう言って微笑むリオはあまりにも扇情的で。
 情けないことに俺はそれだけでイきかけた。
 怒張した杭をリオの中に突き入れると、奥へと導くように収縮してくる。
 挿入していくらもしないうちに俺とリオは同時に吐精した。

 抜こうとした俺のを惜しむようにリオの中が吸い付いてくる。
 達した後の敏感な部分に刺激をされたら元気になるに決まっている。
 さあ、第二ラウンドといこうか。
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