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第九章 俺様、ダンジョンに潜る
23、いよいよ中層へ
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再びルシアちゃんたちと合流し、駆け足で進む。
当然ルシアちゃんとベルナルド先生は俺の背で全員の武器・防具を作成。
破壊不能機能に関してはベルナルド先生が一番性能良いんだ。
おかげで、ベルナルド先生のMP値と等しい925回まではどんな攻撃も無効化できる防具が全員分揃った。
贅沢を言うなら全員分の予備も欲しい。
雑魚を出すより階層ボスを何度もリポップさせてぶつけてくるので、地味に消耗しているんだ。
だが、雑魚敵がいないってことは一気に進めるってことで。
さらに経験値も美味しい。
もともと最下層まで下りられるだけの実力のあったレガメメンバーは、中層ボスであるバジリスクを単独撃破できるようになっていた。
エミーリオとジルベルタはまだ二人で協力してやっとってところだけど。
俺たちと行動することで高レベルになってたエミーリオにジルベルタが対抗心を燃やして頑張っているので、彼女も成長が著しい。
「同じ敵と何度も戦えるので、修行にはちょうど良いですね!」
良い運動をしたとばかりに爽やかな笑顔でエミーリオが言う。
そんなエミーリオに危機感を覚えたのは俺だけじゃなかったようだ。
「エミーリオとジルベルタはもうバジリスクとは戦うな」
「なっ!」
「何故だ?! もう少しで、我々でも労せず勝てるようになるというのに!」
アルベルトの忠告に、二人とも納得がいかないといった様子。
ジルベルタはともかく、エミーリオは気づいても良いと思うんだけどな。
「同じ相手とばかり戦っていると、おかしな癖がつくぞ。どうしても戦うってんなら、他のメンバーと組手でもする方がまだマシだ」
「む……そうか。従おう」
レベルMAXとなったアルベルトが言うことだからか、ジルベルタも大人しく引き下がった。
次にバジリスクが出たとき、戦闘の邪魔にならないよう組手をしようとエミーリオに約束させている。
強くなるために貪欲なのは良いことだ。ルシアちゃんに怒られてからはちゃんと協力的だしな。
「お、中層に入ったみたいだぞ」
地下へと潜り続け、40階層ほどに至っただろうか。
ここまでずっと薄暗い人口の建造物だったダンジョン風景が、突如だだっ広い草原に変わった。
確か、ここでイナゴの大群に襲われたんだっけ。懐かしい。
「次の階層へは、太陽に向かってまっすぐな」
先行している分体から情報を受け取った1号が道を教えてくれる。
一応索敵もしてみるが、イナゴはいないようだ。
前回のような嫌な感覚はしない。
もっとも、あいつらが厄介なのは数だけで、1個体のステータスは脅威ではないから遭遇しても問題はないが。
雑魚がいないなら、突き進むだけだ。
以前ここで苦労させられた記憶のある白虎は雑魚扱いなのだろうか。
白虎と再び遭遇することもなく、1号に導かれるがままさらに階層を進む。
「しかし、何度来てもここがダンジョンの中だと忘れそうになるな」
「大地の下にまた太陽があるとは、不思議ですね」
アルベルトの呟きに、エミーリオがしみじみと答える。
岩を切り出したような階段を下っていくと、突然風景が変わるのだ。
暗い地下へと降りているはずが、光が届かなくなるほど下ったところでパッと青空が広がるのだ。
暖かな日の光も肌をなぞる風も本物のようだが、実際にはそこにないことを俺は知っている。
飛べるようになったばかりの頃、どこまでも高く登ろうとして見えない天井に激突したからな。
だが、飛ぶ手段のないエミーリオ達にとってはこの空が本物か偽物かなどどうでもよいみたいだ。
視界が確保できる光源がある。その事実が重要なんだと。
「モンスターの来る気配もないし、しばらくここでのんびりしたい気持ちになるな」
「この戦いが終わったら、みんなでピクニックがしたいですね」
休憩中、そんなことを言いながら景色を眺めるジルベルタに、エミーリオも同意する。
この戦いが終わったら、ね。
ふと、不安そうに俺を見上げてくるルシアちゃんの視線に気付いた。
伝承の通りなら、アミールを倒した時点で俺はその力をすべて取り込み次代の暗黒破壊神となる。
それは俺の本懐であるのだが、な。
『大丈夫だ。俺様はルシアの敵とはならん。暗黒破壊神となっても、共にいよう』
「リージェ様は、暗黒破壊神になどなりません」
おや。
安心させてやろうと選んだ言葉は、お気に召さなかったらしい。
可愛らしく頬を膨らませ、顔を逸らされてしまった。
台詞こそ以前と同じだが、その言葉はどこか弱々しい。
「本心なんだがな」
「? リージェ様、今、何と?」
俺は暗黒破壊神になる。だけど、ルシアちゃんの敵にはならない。
何故なら、ルシアちゃんは俺の嫁にするから。そんで、世界中にこう宣言するんだ。
聖女を寄越せば世界を破壊するのはやめてやろう、なんちゃって。
聖女を傍に侍らせて世界を我が物にする俺、かっこいい。
そのためにも、早く俺を差し置いて暗黒破壊神を名乗るアミールも、ルシアちゃんを泣かした偽女神もやっつけねぇとな。
首を洗って待っていやがれ。すぐに追いついてやるからな!
短い休憩を終え、再び進み始めた時。
問題は突然発生した。
「あ」
それは1号の間の抜けた声。
「ごっめーん、分体全滅しちゃった☆」
おいこら、きのこ!
てへぺろ、じゃねーよ!
先行して道を探索してたからここまで迷わず来れたってのに、どうすんだよ!?
当然ルシアちゃんとベルナルド先生は俺の背で全員の武器・防具を作成。
破壊不能機能に関してはベルナルド先生が一番性能良いんだ。
おかげで、ベルナルド先生のMP値と等しい925回まではどんな攻撃も無効化できる防具が全員分揃った。
贅沢を言うなら全員分の予備も欲しい。
雑魚を出すより階層ボスを何度もリポップさせてぶつけてくるので、地味に消耗しているんだ。
だが、雑魚敵がいないってことは一気に進めるってことで。
さらに経験値も美味しい。
もともと最下層まで下りられるだけの実力のあったレガメメンバーは、中層ボスであるバジリスクを単独撃破できるようになっていた。
エミーリオとジルベルタはまだ二人で協力してやっとってところだけど。
俺たちと行動することで高レベルになってたエミーリオにジルベルタが対抗心を燃やして頑張っているので、彼女も成長が著しい。
「同じ敵と何度も戦えるので、修行にはちょうど良いですね!」
良い運動をしたとばかりに爽やかな笑顔でエミーリオが言う。
そんなエミーリオに危機感を覚えたのは俺だけじゃなかったようだ。
「エミーリオとジルベルタはもうバジリスクとは戦うな」
「なっ!」
「何故だ?! もう少しで、我々でも労せず勝てるようになるというのに!」
アルベルトの忠告に、二人とも納得がいかないといった様子。
ジルベルタはともかく、エミーリオは気づいても良いと思うんだけどな。
「同じ相手とばかり戦っていると、おかしな癖がつくぞ。どうしても戦うってんなら、他のメンバーと組手でもする方がまだマシだ」
「む……そうか。従おう」
レベルMAXとなったアルベルトが言うことだからか、ジルベルタも大人しく引き下がった。
次にバジリスクが出たとき、戦闘の邪魔にならないよう組手をしようとエミーリオに約束させている。
強くなるために貪欲なのは良いことだ。ルシアちゃんに怒られてからはちゃんと協力的だしな。
「お、中層に入ったみたいだぞ」
地下へと潜り続け、40階層ほどに至っただろうか。
ここまでずっと薄暗い人口の建造物だったダンジョン風景が、突如だだっ広い草原に変わった。
確か、ここでイナゴの大群に襲われたんだっけ。懐かしい。
「次の階層へは、太陽に向かってまっすぐな」
先行している分体から情報を受け取った1号が道を教えてくれる。
一応索敵もしてみるが、イナゴはいないようだ。
前回のような嫌な感覚はしない。
もっとも、あいつらが厄介なのは数だけで、1個体のステータスは脅威ではないから遭遇しても問題はないが。
雑魚がいないなら、突き進むだけだ。
以前ここで苦労させられた記憶のある白虎は雑魚扱いなのだろうか。
白虎と再び遭遇することもなく、1号に導かれるがままさらに階層を進む。
「しかし、何度来てもここがダンジョンの中だと忘れそうになるな」
「大地の下にまた太陽があるとは、不思議ですね」
アルベルトの呟きに、エミーリオがしみじみと答える。
岩を切り出したような階段を下っていくと、突然風景が変わるのだ。
暗い地下へと降りているはずが、光が届かなくなるほど下ったところでパッと青空が広がるのだ。
暖かな日の光も肌をなぞる風も本物のようだが、実際にはそこにないことを俺は知っている。
飛べるようになったばかりの頃、どこまでも高く登ろうとして見えない天井に激突したからな。
だが、飛ぶ手段のないエミーリオ達にとってはこの空が本物か偽物かなどどうでもよいみたいだ。
視界が確保できる光源がある。その事実が重要なんだと。
「モンスターの来る気配もないし、しばらくここでのんびりしたい気持ちになるな」
「この戦いが終わったら、みんなでピクニックがしたいですね」
休憩中、そんなことを言いながら景色を眺めるジルベルタに、エミーリオも同意する。
この戦いが終わったら、ね。
ふと、不安そうに俺を見上げてくるルシアちゃんの視線に気付いた。
伝承の通りなら、アミールを倒した時点で俺はその力をすべて取り込み次代の暗黒破壊神となる。
それは俺の本懐であるのだが、な。
『大丈夫だ。俺様はルシアの敵とはならん。暗黒破壊神となっても、共にいよう』
「リージェ様は、暗黒破壊神になどなりません」
おや。
安心させてやろうと選んだ言葉は、お気に召さなかったらしい。
可愛らしく頬を膨らませ、顔を逸らされてしまった。
台詞こそ以前と同じだが、その言葉はどこか弱々しい。
「本心なんだがな」
「? リージェ様、今、何と?」
俺は暗黒破壊神になる。だけど、ルシアちゃんの敵にはならない。
何故なら、ルシアちゃんは俺の嫁にするから。そんで、世界中にこう宣言するんだ。
聖女を寄越せば世界を破壊するのはやめてやろう、なんちゃって。
聖女を傍に侍らせて世界を我が物にする俺、かっこいい。
そのためにも、早く俺を差し置いて暗黒破壊神を名乗るアミールも、ルシアちゃんを泣かした偽女神もやっつけねぇとな。
首を洗って待っていやがれ。すぐに追いついてやるからな!
短い休憩を終え、再び進み始めた時。
問題は突然発生した。
「あ」
それは1号の間の抜けた声。
「ごっめーん、分体全滅しちゃった☆」
おいこら、きのこ!
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