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第七章 俺様、南方へ行く
27、まだまだ連れ回すよ
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昼食後、必要な物を買い揃えるために街に繰り出す、と言ったら皇帝が王城への通行証を人数分発行してくれた。帰ってきたらそれを門番に見せれば城へ入れるというだけの物だが、街中で何かあればそれを見せれば皇帝が後見している証明にもなるらしい。
勇者達もそれぞれ仲の良い者達でグループ行動をするようだ。元々アスーにいた連中に道案内を頼む者、城で休む者と様々に自由時間を楽しむ模様。街中に行きたがる者が多かったため皇帝からもらった軍資金を全員に分配した。
「聖女さん、俺が道案内してやるよ!」
「いや、俺が!」
「俺が!」
おお、ルシアちゃん大人気だ。まぁ、当然だな。これだけの美少女はなかなかいない。
アスーで合流した男連中がこぞってルシアちゃんに道案内を申し出ているが、当のルシアちゃんは困り顔だ。
そろそろ助け舟が必要かな?
「いえ、既にカツキ様に道案内と荷物持ちをお願いしてありますの。ね、カツキ様」
「えっ? う、うん。一緒に行く約束しているよ」
「はぁ? ずっと引きこもっていた本庄がどこを案内できるって言うんだよ?」
『貴様ら、空気を読め。ルシアはカツキと二人きりになりたいと申しているのだ』
ルシアちゃんがおもむろに本庄の腕に絡みつき、その肩に頭を寄せて微笑みながら男達に断りを入れる。本庄は突然の行為に顔を真っ赤にしながらも話を合わせる。
振られた男達の言葉はもっともであるが、ここはそういう事にしておこう。
それにしてもルシアちゃん、いつの間にこんな小技を……やっぱり女の子って怖い。
そんなぁ、と項垂れる男達を尻目に街へ繰り出す。
二人きり、と彼らには言ったが当然そんなことはない。俺がルシアちゃんに抱かれているし、少し離れた位置を町人に扮したエミーリオとバルドヴィーノがついてきている。
その更に後ろを敵愾心剥き出しでさっき振られていた連中がついてきているが、何かする前にエミーリオ達が抑えるだろう。気づいているようだし。
「で、まず何を見る?」
『食料だ!』
「……さっき食べてなかった?」
『貴様のスキルなら時間経過なく保存できるだろう?』
本庄が呆れたように笑う。目的は勿論美味しい料理。
正直皇帝に見つめられながらの格式ばった食事など食った気はせんよ。
「了解。と言っても僕も実際どこに何があるかわからないから、何人かにお勧めを聞きながら行こう」
さすが、心を読める奴は話が早い。
くねくねと入り組んだ街並みを、いくつもの木戸をくぐり一般庶民の居住区まで繰り出す。資金は潤沢とはいえ、貴族向けのはやたら香辛料が多く使われてて味より見栄というのをこれまでの経験で知っているからだ。
とはいえ、雑貨屋とかは気になるから目的の物が無かったら戻りながら覗くつもりだ。
『こ、これは……!』
「ポップコーンだね」
最初に教えてもらった店は、お菓子を売る店だった。
飴やパウンドケーキなど目を楽しませるカラフルなものや、団子やまんじゅうのような素朴なものもあった。
その中でも、アスー銘菓として勧められた“パフィ”はどう見てもポップコーンだった。
久々にジャンクなものが食べたいとおねだりして速攻お買い上げ。できたて熱々の物を出してくれたのをそのまま本庄のインベントリへ。因みにシンプルな塩味だった。
ルシアちゃんがうっとりと見つめていたプリンも大量購入。生クリームの乗った卵プリンと真っ白なミルクプリンとかぼちゃのクリームが乗ったかぼちゃプリンがあった。全種類購入したのは言うまでもない。
続いて見つけた店は、揚げ物を売る店。
野菜チップスなんてものもあったが、俺が目をつけたのはごま油。
店内に漂う食欲をそそるこの香り。思わず腹が鳴ってしまった。
売っていた鶏肉の素揚げを大量購入しつつ、出てきた店主に油を購入したいと言ったら仕入れている油屋を教えてもらった。
そこには様々な種類の油があり、見慣れているごま油とオリーブオイルと菜種油の三種を購入。
「ん~……っ♪」
『美味い!』
次に入ったお店は大衆食堂。
腹が減った俺は普通に肉料理。まだあまり空いていないという二人は生クリームたっぷりのパンケーキを頬張っている。
ルシアちゃんが一口食べて幸せそうに腕をブンブン振っているのがとても可愛い。
俺の食べている肉は、若干筋張ってはいるが、丁寧に叩いてあるようで食べやすい。
胡椒の他に鼻を突き抜けるような刺激のある香りのスパイスがかかっていて、低温でローストしたらしい肉は次から次へと口に入れたくなる。
勧められただけあって、味もボリュームも大満足だ。テイクアウトもできると言うので、50人前頼んだら仕入れる都合があるから明日でも良いかと言われた。仕方ないからそれで注文する。
「このあとは……」
『店主に砂糖とミルクを仕入れている店を聞いてくれ』
これまでの国では砂糖は貴族街にしかなかった。それがこんな大衆食堂や菓子屋でふんだんに使っているということは、この国で砂糖を生産しているはずだ。
砂糖があれば、菓子パンや煮物など料理の幅が更に広がる。
本庄が聞いたら心良く教えてくれた。
教えてもらった店は食材店のようだが、既にピークタイムは過ぎたとかで閑散としていた。
扱っていた砂糖は近隣の村で栽培しているテンサイが原料だそうだ。黒糖に近いものだったが、砂糖は砂糖だ。
ミルクもその日絞りたての物しか売らず売れ残れば処分してしまうと言うので買占め。
卵も扱っていたのでそれも買占める。食材はこんなもんかな?
『じゃぁ、今度こそ装備や日常品などを探すか』
若干本庄が疲れてきているようだが、まだまだ連れ回すよ。
細工屋、或いは宝飾屋の場所を聞いてもらったが、そういうのは貴族街にしかないらしい。
代わりに、女性向けの日用雑貨を多く扱う雑貨屋の場所を教えてもらった。
可愛い雑貨がある、と聞いたルシアちゃんの目が輝いているのがとても可愛い。
と、若干浮かれながら教えてもらった店に向かう途中、通りかかった剣のマークの店の中から、ガシャン、という大きな音と怒声、そして悲鳴が聞こえてきた。
勇者達もそれぞれ仲の良い者達でグループ行動をするようだ。元々アスーにいた連中に道案内を頼む者、城で休む者と様々に自由時間を楽しむ模様。街中に行きたがる者が多かったため皇帝からもらった軍資金を全員に分配した。
「聖女さん、俺が道案内してやるよ!」
「いや、俺が!」
「俺が!」
おお、ルシアちゃん大人気だ。まぁ、当然だな。これだけの美少女はなかなかいない。
アスーで合流した男連中がこぞってルシアちゃんに道案内を申し出ているが、当のルシアちゃんは困り顔だ。
そろそろ助け舟が必要かな?
「いえ、既にカツキ様に道案内と荷物持ちをお願いしてありますの。ね、カツキ様」
「えっ? う、うん。一緒に行く約束しているよ」
「はぁ? ずっと引きこもっていた本庄がどこを案内できるって言うんだよ?」
『貴様ら、空気を読め。ルシアはカツキと二人きりになりたいと申しているのだ』
ルシアちゃんがおもむろに本庄の腕に絡みつき、その肩に頭を寄せて微笑みながら男達に断りを入れる。本庄は突然の行為に顔を真っ赤にしながらも話を合わせる。
振られた男達の言葉はもっともであるが、ここはそういう事にしておこう。
それにしてもルシアちゃん、いつの間にこんな小技を……やっぱり女の子って怖い。
そんなぁ、と項垂れる男達を尻目に街へ繰り出す。
二人きり、と彼らには言ったが当然そんなことはない。俺がルシアちゃんに抱かれているし、少し離れた位置を町人に扮したエミーリオとバルドヴィーノがついてきている。
その更に後ろを敵愾心剥き出しでさっき振られていた連中がついてきているが、何かする前にエミーリオ達が抑えるだろう。気づいているようだし。
「で、まず何を見る?」
『食料だ!』
「……さっき食べてなかった?」
『貴様のスキルなら時間経過なく保存できるだろう?』
本庄が呆れたように笑う。目的は勿論美味しい料理。
正直皇帝に見つめられながらの格式ばった食事など食った気はせんよ。
「了解。と言っても僕も実際どこに何があるかわからないから、何人かにお勧めを聞きながら行こう」
さすが、心を読める奴は話が早い。
くねくねと入り組んだ街並みを、いくつもの木戸をくぐり一般庶民の居住区まで繰り出す。資金は潤沢とはいえ、貴族向けのはやたら香辛料が多く使われてて味より見栄というのをこれまでの経験で知っているからだ。
とはいえ、雑貨屋とかは気になるから目的の物が無かったら戻りながら覗くつもりだ。
『こ、これは……!』
「ポップコーンだね」
最初に教えてもらった店は、お菓子を売る店だった。
飴やパウンドケーキなど目を楽しませるカラフルなものや、団子やまんじゅうのような素朴なものもあった。
その中でも、アスー銘菓として勧められた“パフィ”はどう見てもポップコーンだった。
久々にジャンクなものが食べたいとおねだりして速攻お買い上げ。できたて熱々の物を出してくれたのをそのまま本庄のインベントリへ。因みにシンプルな塩味だった。
ルシアちゃんがうっとりと見つめていたプリンも大量購入。生クリームの乗った卵プリンと真っ白なミルクプリンとかぼちゃのクリームが乗ったかぼちゃプリンがあった。全種類購入したのは言うまでもない。
続いて見つけた店は、揚げ物を売る店。
野菜チップスなんてものもあったが、俺が目をつけたのはごま油。
店内に漂う食欲をそそるこの香り。思わず腹が鳴ってしまった。
売っていた鶏肉の素揚げを大量購入しつつ、出てきた店主に油を購入したいと言ったら仕入れている油屋を教えてもらった。
そこには様々な種類の油があり、見慣れているごま油とオリーブオイルと菜種油の三種を購入。
「ん~……っ♪」
『美味い!』
次に入ったお店は大衆食堂。
腹が減った俺は普通に肉料理。まだあまり空いていないという二人は生クリームたっぷりのパンケーキを頬張っている。
ルシアちゃんが一口食べて幸せそうに腕をブンブン振っているのがとても可愛い。
俺の食べている肉は、若干筋張ってはいるが、丁寧に叩いてあるようで食べやすい。
胡椒の他に鼻を突き抜けるような刺激のある香りのスパイスがかかっていて、低温でローストしたらしい肉は次から次へと口に入れたくなる。
勧められただけあって、味もボリュームも大満足だ。テイクアウトもできると言うので、50人前頼んだら仕入れる都合があるから明日でも良いかと言われた。仕方ないからそれで注文する。
「このあとは……」
『店主に砂糖とミルクを仕入れている店を聞いてくれ』
これまでの国では砂糖は貴族街にしかなかった。それがこんな大衆食堂や菓子屋でふんだんに使っているということは、この国で砂糖を生産しているはずだ。
砂糖があれば、菓子パンや煮物など料理の幅が更に広がる。
本庄が聞いたら心良く教えてくれた。
教えてもらった店は食材店のようだが、既にピークタイムは過ぎたとかで閑散としていた。
扱っていた砂糖は近隣の村で栽培しているテンサイが原料だそうだ。黒糖に近いものだったが、砂糖は砂糖だ。
ミルクもその日絞りたての物しか売らず売れ残れば処分してしまうと言うので買占め。
卵も扱っていたのでそれも買占める。食材はこんなもんかな?
『じゃぁ、今度こそ装備や日常品などを探すか』
若干本庄が疲れてきているようだが、まだまだ連れ回すよ。
細工屋、或いは宝飾屋の場所を聞いてもらったが、そういうのは貴族街にしかないらしい。
代わりに、女性向けの日用雑貨を多く扱う雑貨屋の場所を教えてもらった。
可愛い雑貨がある、と聞いたルシアちゃんの目が輝いているのがとても可愛い。
と、若干浮かれながら教えてもらった店に向かう途中、通りかかった剣のマークの店の中から、ガシャン、という大きな音と怒声、そして悲鳴が聞こえてきた。
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