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第五章 俺様、北方へ行く
16、ぐっ、何だこの可愛い生き物は!
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突然ですが大ピンチです。何でこんな事に……。
「ふふ、ダメですよ、リージェ様逃げちゃ……」
『ル、ルシアよ。せめて何か服を……』
「あら、私とリージェ様の仲じゃないですか♪」
俺は今、ルシアちゃんのたわわなメロンに圧し包まれている。それも布越しじゃない、生だ。いかん、鼻血が出そうだ……。
「だいたいですよ、野営続きで、久しぶりに街でお風呂に入れると思ったのに跡形もないし。本音を言えば私より皆さんに湯浴みをしていただきたいのに……」
話は数分前に遡る。
皆が寝静まった頃起き出したルシアちゃんが突然、泉があるのだから水浴びがしたいと言い出したのだ。
当然、見張りをしていたドナートとバルトヴィーノがどちらかを護衛につけるのでなければダメだと止めたのだが……。
「あら、護衛ならリージェ様がいれば十分ですわ。貴方達どちらかでもリージェ様より強いと胸を張って言えますこと? それとも、乙女の裸体を見たいと?」
「バカを言うな!」
「俺達に幼女趣味はねぇ!」
と、俺を抱きしめて離さないルシアちゃんが二人を黙らせて強引に水浴びを始めたのだ。いざという時のために服は着ておけと言ったのだけれど聞く耳を持ってくれない。
あら、私のような幼女の裸体に欲情するような殿方はいないので大丈夫ですよ、と頬を膨らませている。完全に拗ねちゃってるよ、これ。体の成長は早くてもまだ子供なんだよな。
で、今に至る。
『ルシアよ。これでは見張りにならんが?』
「良いんです。私がこうしていたいだけなのです。……だめ、ですか……?」
ぐっ、何だこの可愛い生き物は! 顔見えないけどこれ絶対目ウルウルしてるよ! 身長差が逆じゃなきゃ絶対上目遣いだよ! くそぅ、いや、メロンをムグムグできるこのポジションもなかなか……やっぱりこのままで良いか。
『しかしなぁ、ルシア。俺様が本当は年頃の男子だともう知っているだろう。乙女というならもう少し恥じらいをだな……』
「リージェ様はリージェ様ですわ」
あ、ダメだこれ。俺が下心もある思春期真っ只中なお年頃だなんて思ってもいないわ。というかルシアちゃんの中の俺の扱いってなんなの? ペット?
結局、ずっと風呂に入っていない他のメンバーが男臭くて耐えられないという愚痴を延々と聞きながら水浴びに付き合った。
く、臭いか? 俺はドラゴンな分嗅覚が強い方だが、気にならない。ましてやエミーリオが生活魔法で簡単に全員の汚れを落としているのだ。臭いわけがない。それとも、女子の嗅覚というのは男子と違うのだろうか……。
今度から俺も極力水浴びするようにしよう……。生臭いとか言われたら立ち直れない気がする……。
その後馬車に戻って眠ってくれたのだが、実は昨夜偽暗黒破壊神に遭遇してからというものルシアちゃんが俺を抱き枕にして放してくれないのだ。
「よっ、色男!」
『1号……助け……』
タップしても全然緩めてくれないもんだから、首が若干絞まっているのだ。正直ルシアちゃんの胸の感触を楽しむどころではない。
1号は良い笑顔でサムズアップすると頑張れよ、と言い残して去ってしまった。裏切者め!
色んな意味で眠れない夜を過ごした俺。ルシアちゃんと共に朝馬車から出ると、既に朝食の用意ができていた。
「おはようございます」
「おはようございます。よく眠れたようで良かったです」
ルシアちゃんにそう声をかけるエミーリオ。俺がその腕の中でぐったりしているのを見て、おや、聖竜様は今日はずいぶんと寝坊助さんですね、なんて抜かすので久々に殺意が湧いた。
「ここからベネディジョンは馬車で1日の距離です。現地の調査をするとなると、なるべく休息を取らずに行きたいのですが……」
食事を摂る全員に向かってエミーリオが申し訳なさそうに告げた。いつもなら到着して1泊、夜が明けてから調査して状況次第でもう1泊という流れなのだが。
そこまで急ぐ旅では無いにも関わらず強行したいのは、なるべく考えまいとしていた昨夜の邂逅のせいだろう。あれはベネディジョンの方角から来た。きっとあちらは長居したくない状況になっているに違いない。
『走行中に馬に回復魔法をかけろということだな』
「そうです。お願いできますか?」
「あの、リージェ様と別々の馬車に乗れということですか……?」
ルシアちゃんの俺を抱く腕に力が籠る。俺は腕を緩めるようタップしながら、一緒だから安心しろと言った。
『術をかける時だけ俺が空を飛んで後続の馬車に行けば良い』
「そうですよ。ずっと別々の馬車に乗れなどとは言いませんから大丈夫ですよ」
エミーリオが微笑みながらそう言って、ようやくルシアちゃんは承諾した。他のメンバーも休みなしで行くことに反対はないようだ。
「あ、ちょっといいか?」
話が終わったタイミングで1号が手を挙げた。
聞けば、明日こちらに来るはずだった本体が来れないらしい。代わりに、本体の弟にあたる人物が来るので面倒見てやって欲しいと。
話を聞いた全員の顔に何でそんな人が来るの? と書かれていた。
「子供が勇者の一人なんだよ。で、どうしても連れて行けって。ルナが行き来させられるのは一人、或いは1点だけなんだよ。知らない場所に一人放り出すわけにもいかないから、二日間だけ頼む」
普段おどけてばかりの1号が真剣な顔をするときはたいてい生徒がらみなんだよな。
一人増えようが二人増えようが変わらない、とアルベルトが言ってくれて明らかにほっとしていた。どんなおっさんが来るんだろう?
「ふふ、ダメですよ、リージェ様逃げちゃ……」
『ル、ルシアよ。せめて何か服を……』
「あら、私とリージェ様の仲じゃないですか♪」
俺は今、ルシアちゃんのたわわなメロンに圧し包まれている。それも布越しじゃない、生だ。いかん、鼻血が出そうだ……。
「だいたいですよ、野営続きで、久しぶりに街でお風呂に入れると思ったのに跡形もないし。本音を言えば私より皆さんに湯浴みをしていただきたいのに……」
話は数分前に遡る。
皆が寝静まった頃起き出したルシアちゃんが突然、泉があるのだから水浴びがしたいと言い出したのだ。
当然、見張りをしていたドナートとバルトヴィーノがどちらかを護衛につけるのでなければダメだと止めたのだが……。
「あら、護衛ならリージェ様がいれば十分ですわ。貴方達どちらかでもリージェ様より強いと胸を張って言えますこと? それとも、乙女の裸体を見たいと?」
「バカを言うな!」
「俺達に幼女趣味はねぇ!」
と、俺を抱きしめて離さないルシアちゃんが二人を黙らせて強引に水浴びを始めたのだ。いざという時のために服は着ておけと言ったのだけれど聞く耳を持ってくれない。
あら、私のような幼女の裸体に欲情するような殿方はいないので大丈夫ですよ、と頬を膨らませている。完全に拗ねちゃってるよ、これ。体の成長は早くてもまだ子供なんだよな。
で、今に至る。
『ルシアよ。これでは見張りにならんが?』
「良いんです。私がこうしていたいだけなのです。……だめ、ですか……?」
ぐっ、何だこの可愛い生き物は! 顔見えないけどこれ絶対目ウルウルしてるよ! 身長差が逆じゃなきゃ絶対上目遣いだよ! くそぅ、いや、メロンをムグムグできるこのポジションもなかなか……やっぱりこのままで良いか。
『しかしなぁ、ルシア。俺様が本当は年頃の男子だともう知っているだろう。乙女というならもう少し恥じらいをだな……』
「リージェ様はリージェ様ですわ」
あ、ダメだこれ。俺が下心もある思春期真っ只中なお年頃だなんて思ってもいないわ。というかルシアちゃんの中の俺の扱いってなんなの? ペット?
結局、ずっと風呂に入っていない他のメンバーが男臭くて耐えられないという愚痴を延々と聞きながら水浴びに付き合った。
く、臭いか? 俺はドラゴンな分嗅覚が強い方だが、気にならない。ましてやエミーリオが生活魔法で簡単に全員の汚れを落としているのだ。臭いわけがない。それとも、女子の嗅覚というのは男子と違うのだろうか……。
今度から俺も極力水浴びするようにしよう……。生臭いとか言われたら立ち直れない気がする……。
その後馬車に戻って眠ってくれたのだが、実は昨夜偽暗黒破壊神に遭遇してからというものルシアちゃんが俺を抱き枕にして放してくれないのだ。
「よっ、色男!」
『1号……助け……』
タップしても全然緩めてくれないもんだから、首が若干絞まっているのだ。正直ルシアちゃんの胸の感触を楽しむどころではない。
1号は良い笑顔でサムズアップすると頑張れよ、と言い残して去ってしまった。裏切者め!
色んな意味で眠れない夜を過ごした俺。ルシアちゃんと共に朝馬車から出ると、既に朝食の用意ができていた。
「おはようございます」
「おはようございます。よく眠れたようで良かったです」
ルシアちゃんにそう声をかけるエミーリオ。俺がその腕の中でぐったりしているのを見て、おや、聖竜様は今日はずいぶんと寝坊助さんですね、なんて抜かすので久々に殺意が湧いた。
「ここからベネディジョンは馬車で1日の距離です。現地の調査をするとなると、なるべく休息を取らずに行きたいのですが……」
食事を摂る全員に向かってエミーリオが申し訳なさそうに告げた。いつもなら到着して1泊、夜が明けてから調査して状況次第でもう1泊という流れなのだが。
そこまで急ぐ旅では無いにも関わらず強行したいのは、なるべく考えまいとしていた昨夜の邂逅のせいだろう。あれはベネディジョンの方角から来た。きっとあちらは長居したくない状況になっているに違いない。
『走行中に馬に回復魔法をかけろということだな』
「そうです。お願いできますか?」
「あの、リージェ様と別々の馬車に乗れということですか……?」
ルシアちゃんの俺を抱く腕に力が籠る。俺は腕を緩めるようタップしながら、一緒だから安心しろと言った。
『術をかける時だけ俺が空を飛んで後続の馬車に行けば良い』
「そうですよ。ずっと別々の馬車に乗れなどとは言いませんから大丈夫ですよ」
エミーリオが微笑みながらそう言って、ようやくルシアちゃんは承諾した。他のメンバーも休みなしで行くことに反対はないようだ。
「あ、ちょっといいか?」
話が終わったタイミングで1号が手を挙げた。
聞けば、明日こちらに来るはずだった本体が来れないらしい。代わりに、本体の弟にあたる人物が来るので面倒見てやって欲しいと。
話を聞いた全員の顔に何でそんな人が来るの? と書かれていた。
「子供が勇者の一人なんだよ。で、どうしても連れて行けって。ルナが行き来させられるのは一人、或いは1点だけなんだよ。知らない場所に一人放り出すわけにもいかないから、二日間だけ頼む」
普段おどけてばかりの1号が真剣な顔をするときはたいてい生徒がらみなんだよな。
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