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第二章 俺様、ダンジョンを出る
8、肉よこせ、肉!
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食事の後、おっちゃん達が交代で見張りをしながら夜を明かした。
おっちゃん達がルシアちゃんを襲うんじゃないかってまだ少し警戒していたんだけど、杞憂だったようだ。食後倒れるように眠ってしまったルシアちゃんをテントを組み立てて中に運び、これからの行軍の打ち合わせをしたりしてさっさと寝てしまった。
「よし、今日の計画を確認するぞ。目標は、4オーラまでに30階層まで行くこと。そのためには、どうしても戦わざるを得ない階層ボス以外は極力無視しての強行軍だ」
朝食を食べながらアルベルトがそう言った。つまり今日中に17階層下りるわけだな。
今この階層はルシアちゃんから提供した情報と合わせ全54階層と見做し、1~18階層が浅層、19~36階層が中層、37~45階層が深層、46~54階層が最深層だそうだ。
今は47階層だから、かなりの強行軍だとわかるだろう。それだけ王都に余裕がないのかもしれない。
食後簡単に武器・防具、薬品類の点検をすると出発となった。
今日も昨日と同じ陣形で進む。いくらも進まないうちに階段を見つける。
階層ごとに変わる景色が面白い。俺は自分の出番がないのを良いことにすっかり観光気分になっていた。
そして、階段を見つけ登った先に、そいつはいた。
グォォォォォォォオオオオオオオ!!
登り切ってすぐに、ビリビリと鼓膜を破る勢いで咆哮を浴びせられる。
巨大な部屋の天井に届くかというくらい大きな漆黒のドラゴンが俺らに向かって咆哮したのだ。それは衝撃波となって襲い、アルベルトが膝をつき、ドナートが吹き飛びルシアちゃんにぶつかる。
ドナート……直前に警戒の合図出してたのに……。
「無事か?!」
耳を抑えたアルベルトが叫ぶ。が、こちらの返事は聞こえていないようだ。
無事なのは、聖結界を展開したルシアちゃん、その効果範囲にいた俺、ベルナルド先生。
後方で咄嗟に盾を構えたチェーザーレと、それに守られたバルドヴィーノは動けるっぽいが鼓膜は破れたっぽいな。
「階層ボスか!」
何かミノタウロスより存在感あるけど。あれはきっと通常の徘徊モンスターでこいつが階層ボスだからってことだろうな。
漆黒ドラゴン……言いにくいな。黒ドラで良いや。黒ドラの口周りが光る。
『まずい! ブレスが来るぞ!』
チェーザーレが前に出て盾を構える。ルシアちゃんが結界を全員が入るくらい大きくした。
なるほど、こういう時に念話が活用されるんだな。
「くそっ! ここのボスはバジリスクじゃなかったのかよ!」
バルドヴィーノが毒づく。
俺は、何だか嫌な予感がしてルシアちゃんの聖結界を飛び出した。そのまま黒ドラの横まで飛んでいく。ブレスにはブレスを――
「我が劫火に焼かれよ」
黒ドラのブレスに横からブレスをぶつける。相殺はできなかったが、黒ドラのブレスはルシアちゃん達から大きく外れて側面の壁を溶かした。
「腐食効果付きのブレスとは……」
怖っ! 怖いよ! こんなん絶対勝ち目無いだろ!
竜の本能とでも言うのだろうか。俺は、黒ドラのブレスをルシアちゃんの聖結界では防げないと感じてしまった。
『そのまま時間稼ぎを頼む!』
頭の中に突然響くベルナルド先生の声。見ると、詠唱を始めたベルナルド先生をチェーザーレが盾で、ルシアちゃんが結界で守っている。
ドッ
よそ見をした一瞬の隙に、全身に衝撃が走った。天井が高い。
尻尾で叩き落とされたのだと悟ったのは、黒ドラの尻尾による追撃が迫ってきたから。俺は横に転がってギリギリでかわす。
「おりゃぁぁぁぁぁぁっ!!」
俺が防戦一方なのを見てか、アルベルトとバルドヴィーノが黒ドラの脚に斬りかかる。が、重い剣戟のような音を立てて弾かれる。
『ヴィー! 腹を狙え!』
『応!』
なるほど、柔らかい場所を狙うのか。でも、それにはちょっと黒ドラがでかすぎて届かないだろ。
俺は黒ドラの気が二人に向いた隙に黒ドラの真上に飛ぶ。そして、脳天めがけて真下にブレスを吐く。命中。炎を振り払おうとしたのか上半身を屈める黒ドラの腹に、二人の剣先が届く。
グォォォォォォォオオオオオオッ!
怒りに満ちた眼に、ドナートの矢が突き刺さる。巧い。
「全員離れて!」
ルシアちゃんが叫ぶ。次の瞬間、ベルナルド先生の高威力魔法が黒ドラの腹に文字通り穴を開けた。
数秒の後、地面を揺らし黒ドラが倒れる。
「「「やったぁぁ!」」」
俺達、最強じゃね? ルシアちゃんと俺が加わった即席パーティーだっていうのに、コンビネーションばっちり。今なら偽暗黒破壊神だって倒せるんじゃね?
シャラシャラと崩れていく黒ドラ。後に残ったのは、一欠片の黒い結晶。それと、濁った色の石。強敵だった割にショボい。
『――≪リージェ≫が暗黒破壊神の欠片を倒しました。経験値5,500を入手しました――』
『――≪リージェ≫のスキル≪我が劫火に焼かれよ≫がLv.4になりました――』
経験値までショボい。ミノタウロス以下かよ。つか肉よこせ、肉!
「暗黒破壊神の欠片、だと?」
「何だって?!」
鑑定持ちのベルナルド先生の声に驚くおっちゃん達。どうやらこの経験値云々の声は聞こえていないのか?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【ステータス】
名前 : リージェ
レベル : 12
EXP : 12499/18231
HP : 901/1356
MP : 941/1218
Atk : 2839
Def : 834
スキル : タリ―語 Lv.2
我が劫火に焼かれよLv.4
血飛沫と共に踊れ Lv.5
全てを見通す神の眼 Lv.1
念話 Lv.1
称号 : 中二病(笑)
害虫キラー
農家
ドM
おっちゃん達がルシアちゃんを襲うんじゃないかってまだ少し警戒していたんだけど、杞憂だったようだ。食後倒れるように眠ってしまったルシアちゃんをテントを組み立てて中に運び、これからの行軍の打ち合わせをしたりしてさっさと寝てしまった。
「よし、今日の計画を確認するぞ。目標は、4オーラまでに30階層まで行くこと。そのためには、どうしても戦わざるを得ない階層ボス以外は極力無視しての強行軍だ」
朝食を食べながらアルベルトがそう言った。つまり今日中に17階層下りるわけだな。
今この階層はルシアちゃんから提供した情報と合わせ全54階層と見做し、1~18階層が浅層、19~36階層が中層、37~45階層が深層、46~54階層が最深層だそうだ。
今は47階層だから、かなりの強行軍だとわかるだろう。それだけ王都に余裕がないのかもしれない。
食後簡単に武器・防具、薬品類の点検をすると出発となった。
今日も昨日と同じ陣形で進む。いくらも進まないうちに階段を見つける。
階層ごとに変わる景色が面白い。俺は自分の出番がないのを良いことにすっかり観光気分になっていた。
そして、階段を見つけ登った先に、そいつはいた。
グォォォォォォォオオオオオオオ!!
登り切ってすぐに、ビリビリと鼓膜を破る勢いで咆哮を浴びせられる。
巨大な部屋の天井に届くかというくらい大きな漆黒のドラゴンが俺らに向かって咆哮したのだ。それは衝撃波となって襲い、アルベルトが膝をつき、ドナートが吹き飛びルシアちゃんにぶつかる。
ドナート……直前に警戒の合図出してたのに……。
「無事か?!」
耳を抑えたアルベルトが叫ぶ。が、こちらの返事は聞こえていないようだ。
無事なのは、聖結界を展開したルシアちゃん、その効果範囲にいた俺、ベルナルド先生。
後方で咄嗟に盾を構えたチェーザーレと、それに守られたバルドヴィーノは動けるっぽいが鼓膜は破れたっぽいな。
「階層ボスか!」
何かミノタウロスより存在感あるけど。あれはきっと通常の徘徊モンスターでこいつが階層ボスだからってことだろうな。
漆黒ドラゴン……言いにくいな。黒ドラで良いや。黒ドラの口周りが光る。
『まずい! ブレスが来るぞ!』
チェーザーレが前に出て盾を構える。ルシアちゃんが結界を全員が入るくらい大きくした。
なるほど、こういう時に念話が活用されるんだな。
「くそっ! ここのボスはバジリスクじゃなかったのかよ!」
バルドヴィーノが毒づく。
俺は、何だか嫌な予感がしてルシアちゃんの聖結界を飛び出した。そのまま黒ドラの横まで飛んでいく。ブレスにはブレスを――
「我が劫火に焼かれよ」
黒ドラのブレスに横からブレスをぶつける。相殺はできなかったが、黒ドラのブレスはルシアちゃん達から大きく外れて側面の壁を溶かした。
「腐食効果付きのブレスとは……」
怖っ! 怖いよ! こんなん絶対勝ち目無いだろ!
竜の本能とでも言うのだろうか。俺は、黒ドラのブレスをルシアちゃんの聖結界では防げないと感じてしまった。
『そのまま時間稼ぎを頼む!』
頭の中に突然響くベルナルド先生の声。見ると、詠唱を始めたベルナルド先生をチェーザーレが盾で、ルシアちゃんが結界で守っている。
ドッ
よそ見をした一瞬の隙に、全身に衝撃が走った。天井が高い。
尻尾で叩き落とされたのだと悟ったのは、黒ドラの尻尾による追撃が迫ってきたから。俺は横に転がってギリギリでかわす。
「おりゃぁぁぁぁぁぁっ!!」
俺が防戦一方なのを見てか、アルベルトとバルドヴィーノが黒ドラの脚に斬りかかる。が、重い剣戟のような音を立てて弾かれる。
『ヴィー! 腹を狙え!』
『応!』
なるほど、柔らかい場所を狙うのか。でも、それにはちょっと黒ドラがでかすぎて届かないだろ。
俺は黒ドラの気が二人に向いた隙に黒ドラの真上に飛ぶ。そして、脳天めがけて真下にブレスを吐く。命中。炎を振り払おうとしたのか上半身を屈める黒ドラの腹に、二人の剣先が届く。
グォォォォォォォオオオオオオッ!
怒りに満ちた眼に、ドナートの矢が突き刺さる。巧い。
「全員離れて!」
ルシアちゃんが叫ぶ。次の瞬間、ベルナルド先生の高威力魔法が黒ドラの腹に文字通り穴を開けた。
数秒の後、地面を揺らし黒ドラが倒れる。
「「「やったぁぁ!」」」
俺達、最強じゃね? ルシアちゃんと俺が加わった即席パーティーだっていうのに、コンビネーションばっちり。今なら偽暗黒破壊神だって倒せるんじゃね?
シャラシャラと崩れていく黒ドラ。後に残ったのは、一欠片の黒い結晶。それと、濁った色の石。強敵だった割にショボい。
『――≪リージェ≫が暗黒破壊神の欠片を倒しました。経験値5,500を入手しました――』
『――≪リージェ≫のスキル≪我が劫火に焼かれよ≫がLv.4になりました――』
経験値までショボい。ミノタウロス以下かよ。つか肉よこせ、肉!
「暗黒破壊神の欠片、だと?」
「何だって?!」
鑑定持ちのベルナルド先生の声に驚くおっちゃん達。どうやらこの経験値云々の声は聞こえていないのか?
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【ステータス】
名前 : リージェ
レベル : 12
EXP : 12499/18231
HP : 901/1356
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スキル : タリ―語 Lv.2
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全てを見通す神の眼 Lv.1
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ドM
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