20 / 228
第二章 俺様、ダンジョンを出る
7、これで! ついに! ルシアちゃんと会話ができる!
しおりを挟む
ベルナルドは、モンスターテイムというスキルを持っており、その関係でモンスターの言葉もわかるらしい。思念にMPを乗せて相手に伝わるように念じればこのように頭の中に直接話しかけることもできるらしく、ある程度知性のあるモンスターと闘う際に必須の能力だから覚えたほうが良いと教えてくれた。
『――≪リージェ≫がスキル≪念話≫Lv.1を取得しました――』
「よっしゃぁぁ!」
これで! ついに! ルシアちゃんと会話ができる!
『凄いね、まさかこんな早く習得するとは』
『おっちゃんの教え方が上手いからだよ』
実践して見せてくれたしな。驚くベルナルドにそう返すと、嬉しそうにそうかと笑った。
相手がむさいおっちゃんなのがちょっと残念だけど、久々の会話、すっげぇ楽しい。
『ところで、最初の話に戻るが』
『最初の話?』
何だっけ?
『暗黒破壊神が結界で守られた王都にたやすく侵入できたって話』
『ああ! そういやそんな話してたな』
完全に忘れていた俺にベルナルドが苦笑する。
『暗黒破壊神も元は女神様と同列の神様だからね。聖女様が他の結界に干渉できるのと一緒だよ。暗黒破壊神も結界に干渉できるのさ』
『えっ! じゃあ、結界なんて意味ないじゃん!』
俺なら、即行結界を解除するよ。
『そうだね、暗黒破壊神には結界そのものは意味がないが、モンスターは入って来られない。それに、結界があると聖女や勇者がいることを警戒するらしくてね、今回のように街中へ突然現れてもすぐに去ってしまうのだよ』
『へぇー』
『で、話を戻すけど、君は王都に現れた暗黒破壊神を偽物だと言ったね。何でだい?』
ベルナルドが聞きたいのは、何故偽物だと断言したかってことかな? そりゃ、暗黒破壊神たる俺様がここにいるんだから、今いる暗黒破壊神は偽物に決まってるだろう。
けど、ここでそれをいう訳にはいかない。今ここにいる全員を敵に回してしまう。勝ち目のない内は悪手だ。
『そりゃ、わざわざ結界を潜り抜けて王都に来たって言うのにすぐ逃げ出すとか、小物臭が物凄いからさ。復活したばかりだと聞いたし、影を送り込んで本体はどこかにいるって考えるのが普通じゃないか?』
苦しいか? と思ったがベルナルドは納得してくれた。
『――≪リージェ≫のスキル≪タリ―語≫がLv.2になりました――』
おお!! ベルナルドと会話したからか、ようやくタリ―語のレベルが上がった。と同時に、聞き取りにくかった単語が聞き取れるようになる。
と言っても、実はまだまだ意味の解らない単語があって前後の文で推測している所が多いからなぁ。レベルが上がっていけばもっと解るようになるのかな。
「今日はここまでにしよう」
先頭を歩いていたアルベルトがそう言って立ち止まる。手には紫色に光るカカオ豆のような実が。うぇ、何あの毒々しい色の実。食べるの?
『時告げの実だよ』
なるほど、時計か! ベルナルドがこっそり教えてくれた話だと、オレンジ→黄色→緑→青→紫→赤→オレンジの順に一日一巡、毎日同じ間隔で色が変わるのだと。一色で四時間って所か。
更に追加情報で一日は6オーラ。オーラって言うのが時間の単位なんだって。時間っていう概念はあっても何分っていう概念はなかった。まぁ、時計がなくてこんな不思議植物に頼っているようじゃそりゃあ細かな時間設定はないか。細かく時間を決めたい時でも、緑4分の1オーラとか、或いは2と4分の1オーラって感じで指定するんだってさ。
ってことは、今は全体が紫になっているから、大体夕方の4時頃か。
ここまで来る間に、ベルナルドはたくさんの事を教えてくれた。レベルの事、スキルのこと。ほとんどの人はレベル99がMaxで、それを突破して強くなれるのは勇者や聖女、聖竜だけなのだそうだ。逆に言えば、暗黒破壊神はレベル100以上じゃなければ倒せないって事か。
レベルの差を覆す重要な要素がスキルなわけだけど、スキルレベルの上限は10でこれは勇者や聖女、聖竜であっても変わらないらしい。
色々教えてくれたベルナルドに敬意を表して気付けば先生と呼んでいた。
「今は大体どの辺りなんでしょう?」
ルシアちゃんが野営準備をしているアルベルトに尋ねる。
アルベルトは手を止めるでもなく、この階層は四十七階層だと答えた。
「えっ!? 私たち、寝所を出てからかなり階層を登ってきていますけど……」
ルシアちゃんの話だとここは五十層のダンジョン。その最下層から正確には七階層登ってきたから、四十三階層のはずなのだが。
「ここはダンジョンですよ。コアを破壊しない限り、成長し続けるんです。年々深くなっていますよ」
アルベルトの言葉を肯定するようにベルナルド先生が言う。ならば間違いないのだろう。嘘を吐く理由がないものな。
ルシアちゃんはショックを受けているようだが、確かルシアちゃんが最下層に潜ったのは五年も前だ。五年も経てばそりゃ育つだろう。
ダンジョンコア……もしかして、女神様が眠っているとかいうあの水晶か?
叩き壊してやりゃ良かった、と思いつつ夕食の牛肉串に舌鼓を打つのだった。お肉マジ最高!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【ステータス】
名前 : リージェ
レベル : 12
EXP : 6999/18231
HP : 1276/1356
MP : 971/1218
Atk : 2839
Def : 834
スキル : タリ―語 Lv.2
我が劫火に焼かれよLv.3
血飛沫と共に踊れ Lv.5
全てを見通す神の眼 Lv.1
念話 Lv.1
称号 : 中二病(笑)
害虫キラー
農家
ドM
『――≪リージェ≫がスキル≪念話≫Lv.1を取得しました――』
「よっしゃぁぁ!」
これで! ついに! ルシアちゃんと会話ができる!
『凄いね、まさかこんな早く習得するとは』
『おっちゃんの教え方が上手いからだよ』
実践して見せてくれたしな。驚くベルナルドにそう返すと、嬉しそうにそうかと笑った。
相手がむさいおっちゃんなのがちょっと残念だけど、久々の会話、すっげぇ楽しい。
『ところで、最初の話に戻るが』
『最初の話?』
何だっけ?
『暗黒破壊神が結界で守られた王都にたやすく侵入できたって話』
『ああ! そういやそんな話してたな』
完全に忘れていた俺にベルナルドが苦笑する。
『暗黒破壊神も元は女神様と同列の神様だからね。聖女様が他の結界に干渉できるのと一緒だよ。暗黒破壊神も結界に干渉できるのさ』
『えっ! じゃあ、結界なんて意味ないじゃん!』
俺なら、即行結界を解除するよ。
『そうだね、暗黒破壊神には結界そのものは意味がないが、モンスターは入って来られない。それに、結界があると聖女や勇者がいることを警戒するらしくてね、今回のように街中へ突然現れてもすぐに去ってしまうのだよ』
『へぇー』
『で、話を戻すけど、君は王都に現れた暗黒破壊神を偽物だと言ったね。何でだい?』
ベルナルドが聞きたいのは、何故偽物だと断言したかってことかな? そりゃ、暗黒破壊神たる俺様がここにいるんだから、今いる暗黒破壊神は偽物に決まってるだろう。
けど、ここでそれをいう訳にはいかない。今ここにいる全員を敵に回してしまう。勝ち目のない内は悪手だ。
『そりゃ、わざわざ結界を潜り抜けて王都に来たって言うのにすぐ逃げ出すとか、小物臭が物凄いからさ。復活したばかりだと聞いたし、影を送り込んで本体はどこかにいるって考えるのが普通じゃないか?』
苦しいか? と思ったがベルナルドは納得してくれた。
『――≪リージェ≫のスキル≪タリ―語≫がLv.2になりました――』
おお!! ベルナルドと会話したからか、ようやくタリ―語のレベルが上がった。と同時に、聞き取りにくかった単語が聞き取れるようになる。
と言っても、実はまだまだ意味の解らない単語があって前後の文で推測している所が多いからなぁ。レベルが上がっていけばもっと解るようになるのかな。
「今日はここまでにしよう」
先頭を歩いていたアルベルトがそう言って立ち止まる。手には紫色に光るカカオ豆のような実が。うぇ、何あの毒々しい色の実。食べるの?
『時告げの実だよ』
なるほど、時計か! ベルナルドがこっそり教えてくれた話だと、オレンジ→黄色→緑→青→紫→赤→オレンジの順に一日一巡、毎日同じ間隔で色が変わるのだと。一色で四時間って所か。
更に追加情報で一日は6オーラ。オーラって言うのが時間の単位なんだって。時間っていう概念はあっても何分っていう概念はなかった。まぁ、時計がなくてこんな不思議植物に頼っているようじゃそりゃあ細かな時間設定はないか。細かく時間を決めたい時でも、緑4分の1オーラとか、或いは2と4分の1オーラって感じで指定するんだってさ。
ってことは、今は全体が紫になっているから、大体夕方の4時頃か。
ここまで来る間に、ベルナルドはたくさんの事を教えてくれた。レベルの事、スキルのこと。ほとんどの人はレベル99がMaxで、それを突破して強くなれるのは勇者や聖女、聖竜だけなのだそうだ。逆に言えば、暗黒破壊神はレベル100以上じゃなければ倒せないって事か。
レベルの差を覆す重要な要素がスキルなわけだけど、スキルレベルの上限は10でこれは勇者や聖女、聖竜であっても変わらないらしい。
色々教えてくれたベルナルドに敬意を表して気付けば先生と呼んでいた。
「今は大体どの辺りなんでしょう?」
ルシアちゃんが野営準備をしているアルベルトに尋ねる。
アルベルトは手を止めるでもなく、この階層は四十七階層だと答えた。
「えっ!? 私たち、寝所を出てからかなり階層を登ってきていますけど……」
ルシアちゃんの話だとここは五十層のダンジョン。その最下層から正確には七階層登ってきたから、四十三階層のはずなのだが。
「ここはダンジョンですよ。コアを破壊しない限り、成長し続けるんです。年々深くなっていますよ」
アルベルトの言葉を肯定するようにベルナルド先生が言う。ならば間違いないのだろう。嘘を吐く理由がないものな。
ルシアちゃんはショックを受けているようだが、確かルシアちゃんが最下層に潜ったのは五年も前だ。五年も経てばそりゃ育つだろう。
ダンジョンコア……もしかして、女神様が眠っているとかいうあの水晶か?
叩き壊してやりゃ良かった、と思いつつ夕食の牛肉串に舌鼓を打つのだった。お肉マジ最高!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【ステータス】
名前 : リージェ
レベル : 12
EXP : 6999/18231
HP : 1276/1356
MP : 971/1218
Atk : 2839
Def : 834
スキル : タリ―語 Lv.2
我が劫火に焼かれよLv.3
血飛沫と共に踊れ Lv.5
全てを見通す神の眼 Lv.1
念話 Lv.1
称号 : 中二病(笑)
害虫キラー
農家
ドM
0
お気に入りに追加
128
あなたにおすすめの小説

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは


【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる