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第一章 俺様、ドラゴンになる
9、聖女候補に聖竜と勘違いされてるんですけど?!
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レベリングのため、俺は今メロン畑をじーっと凝視している。
芋虫は、あの巨体に紫色と超目立つせいか、あっと言う間に狩り尽くしてしまった。と言っても三匹しかいなかったのだが。
こう、じーっと見てると、ラノベにおける三大チート能力、鑑定とかそれ系のスキルが手に入らないもんだろうか? ……ダメか。
ステータスどころか、名前すら見えない。だが、俺は諦めんぞ!
より最強に近づくためには、スキルの獲得が絶対必要だ。取得条件が分からない以上、あれこれ試していくしかない。習熟度とかもわからんから、可能性を信じて暇さえあれば見つめるようにしていこう。
「それにしても……モンスター化したところで近づかなければ動かないみたいだから、全く以て見分けがつかんな」
「いざ探すとなると、いませんねぇ……」
ルシアちゃんもメロンをポンポン叩きながらそう言っている。
となると、周りの森にまで足を延ばしてみるか。
「あっ! いけません、リージェ様!」
「どういうことだ?」
俺の言葉が伝わるはずがないので、説明を促すよう首を傾げて見せる。
「……リージェ様、まずは、天井まで行ってみてください」
「天井?」
ルシアちゃんが上空を指さして言う。その指の先を追うように上を見るが、青空が広がるだけである。
因みに、月は三つあったが太陽は一つだけであった。
まぁ良いか。まだそれほど高くは飛べないが、上空へ行けばより遠くまで見えるかもしれないし。
ゴッ
「?!」
森の切れ目が見えないか、地平に目を向けたまま飛び上がると、突然頭をぶつけた。
「な、何だこれは?」
頭をぶつけたものの正体を見極めようとしたがそこには何もない。だが、再度上昇しようとするとまたゴツゴツと何かに当たる。
まるで、それより上に行くことを禁止されたかのように不可視の天井がそこにはあった。
「届きましたか?」
たぶんあの不可視の天井のことだとわかり、コクコクと頷く。
「実は、ここはダンジョンの中なのです」
な、何だってぇぇえ?!
ここがダンジョン? 空もあるのに? あ、いやいや、それは天井があるってたった今身を以て知ったからな。
ん? ってことは、一面広がっているように見えるこの森も、どこかで壁に突き当たるってことか?
いっちょ飛んで確認を、と飛び上がったら尻尾を掴まれて落ちた。
強かに打ち付けた顔をさすりながらルシアちゃんを睨むと、慌てたようにペコペコとしながら説明をしてくれる。
何でも、ここは女神の寝所と呼ばれる神殿で。暗黒破壊神を倒したものの力を使い果たした女神が眠りについた場所とされているそうだ。
んでもって、暗黒破壊神が復活した際に真っ先にダンジョン化したのを、この周辺だけ結界で覆っているのだと。
結界の外はルシアちゃんでさえ太刀打ちできないモンスターがいるんだと。シャレにならんな、それは。
「ダンジョンの出口は、この教会の扉を出てひたすらまっすぐなんですが」
ルシアちゃんは俺を抱っこすると、教会の正面へ回って方角を示した。
ん? ルシアちゃんでも太刀打ちできないモンスターがいるって、この子、じゃあ産まれてからずっとここに閉じ込められてんの?
「暗黒破壊神が復活した今、女神様もお目覚めになられるはずなのです。女神様から聖女の力を授からない限り、私はここを離れられません」
へ? ルシアちゃん聖女候補なの?
何てこったい、敵対すること確定じゃんか。ああ、いやいや、今からこちら側に引き込めれば……聖女を降し従える暗黒破壊神……うん、良いね! 最強そう!
「ですから、それまで、ここを出られるように強くなりましょうね。リージェ様も立派な聖竜様となりますように」
んん? ディオ・リジェロって、そういうこと?
聖女候補に聖竜と勘違いされてるんですけど?!
これ、俺が暗黒破壊神だってバレたらどうしよう? 現時点では俺の方がたぶんルシアちゃんより弱いし瞬殺される?!
「うむ! 共に精進しようぞ!」
よし、郷に入っては郷に従え。暫くは聖竜のふりをしよう。んでもって、ある程度強くなったら速攻逃げる!
ルシアちゃんと戦うのは絶対嫌だし、こちら側に洗脳する作戦も実行していこう。そうしよう。
「この世界のどこかに召喚されているはずの異世界の勇者様達も、ご無事でいらっしゃると良いのですが……一刻も早く、聖女にならなくては……」
うん、また少し状況を把握。
俺の推測が正しければ、その異世界の勇者とやらが下民どもの可能性が高いな。
俺が転生してるってことは、下民どもも本命の勇者以外は転生している可能性もある。
わかったようで全然情報が足りないな。かと言って、世間と隔絶されたダンジョン内でこれ以上の情報は見込めないし。
寝坊助の女神を叩き起こしてルシアちゃんを聖女にして、早々にこのダンジョンを脱出しなければ。
芋虫は、あの巨体に紫色と超目立つせいか、あっと言う間に狩り尽くしてしまった。と言っても三匹しかいなかったのだが。
こう、じーっと見てると、ラノベにおける三大チート能力、鑑定とかそれ系のスキルが手に入らないもんだろうか? ……ダメか。
ステータスどころか、名前すら見えない。だが、俺は諦めんぞ!
より最強に近づくためには、スキルの獲得が絶対必要だ。取得条件が分からない以上、あれこれ試していくしかない。習熟度とかもわからんから、可能性を信じて暇さえあれば見つめるようにしていこう。
「それにしても……モンスター化したところで近づかなければ動かないみたいだから、全く以て見分けがつかんな」
「いざ探すとなると、いませんねぇ……」
ルシアちゃんもメロンをポンポン叩きながらそう言っている。
となると、周りの森にまで足を延ばしてみるか。
「あっ! いけません、リージェ様!」
「どういうことだ?」
俺の言葉が伝わるはずがないので、説明を促すよう首を傾げて見せる。
「……リージェ様、まずは、天井まで行ってみてください」
「天井?」
ルシアちゃんが上空を指さして言う。その指の先を追うように上を見るが、青空が広がるだけである。
因みに、月は三つあったが太陽は一つだけであった。
まぁ良いか。まだそれほど高くは飛べないが、上空へ行けばより遠くまで見えるかもしれないし。
ゴッ
「?!」
森の切れ目が見えないか、地平に目を向けたまま飛び上がると、突然頭をぶつけた。
「な、何だこれは?」
頭をぶつけたものの正体を見極めようとしたがそこには何もない。だが、再度上昇しようとするとまたゴツゴツと何かに当たる。
まるで、それより上に行くことを禁止されたかのように不可視の天井がそこにはあった。
「届きましたか?」
たぶんあの不可視の天井のことだとわかり、コクコクと頷く。
「実は、ここはダンジョンの中なのです」
な、何だってぇぇえ?!
ここがダンジョン? 空もあるのに? あ、いやいや、それは天井があるってたった今身を以て知ったからな。
ん? ってことは、一面広がっているように見えるこの森も、どこかで壁に突き当たるってことか?
いっちょ飛んで確認を、と飛び上がったら尻尾を掴まれて落ちた。
強かに打ち付けた顔をさすりながらルシアちゃんを睨むと、慌てたようにペコペコとしながら説明をしてくれる。
何でも、ここは女神の寝所と呼ばれる神殿で。暗黒破壊神を倒したものの力を使い果たした女神が眠りについた場所とされているそうだ。
んでもって、暗黒破壊神が復活した際に真っ先にダンジョン化したのを、この周辺だけ結界で覆っているのだと。
結界の外はルシアちゃんでさえ太刀打ちできないモンスターがいるんだと。シャレにならんな、それは。
「ダンジョンの出口は、この教会の扉を出てひたすらまっすぐなんですが」
ルシアちゃんは俺を抱っこすると、教会の正面へ回って方角を示した。
ん? ルシアちゃんでも太刀打ちできないモンスターがいるって、この子、じゃあ産まれてからずっとここに閉じ込められてんの?
「暗黒破壊神が復活した今、女神様もお目覚めになられるはずなのです。女神様から聖女の力を授からない限り、私はここを離れられません」
へ? ルシアちゃん聖女候補なの?
何てこったい、敵対すること確定じゃんか。ああ、いやいや、今からこちら側に引き込めれば……聖女を降し従える暗黒破壊神……うん、良いね! 最強そう!
「ですから、それまで、ここを出られるように強くなりましょうね。リージェ様も立派な聖竜様となりますように」
んん? ディオ・リジェロって、そういうこと?
聖女候補に聖竜と勘違いされてるんですけど?!
これ、俺が暗黒破壊神だってバレたらどうしよう? 現時点では俺の方がたぶんルシアちゃんより弱いし瞬殺される?!
「うむ! 共に精進しようぞ!」
よし、郷に入っては郷に従え。暫くは聖竜のふりをしよう。んでもって、ある程度強くなったら速攻逃げる!
ルシアちゃんと戦うのは絶対嫌だし、こちら側に洗脳する作戦も実行していこう。そうしよう。
「この世界のどこかに召喚されているはずの異世界の勇者様達も、ご無事でいらっしゃると良いのですが……一刻も早く、聖女にならなくては……」
うん、また少し状況を把握。
俺の推測が正しければ、その異世界の勇者とやらが下民どもの可能性が高いな。
俺が転生してるってことは、下民どもも本命の勇者以外は転生している可能性もある。
わかったようで全然情報が足りないな。かと言って、世間と隔絶されたダンジョン内でこれ以上の情報は見込めないし。
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