俺、きのこです。

禎祥

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きのこはジゴロ?

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きのこになって二日目の昼。
俺は今、魔物と勘違いされてハンター達に武器を向けられている。
とても女には見えないゴリマッチョの弓使いと、オネェ口調の軽装の剣士だ。
…お前ら絶対職業逆だろ!?体格と武器が合ってねぇよ!
前衛職だからか、男だからなのか、オネェがゴリマッチョの前に立っている。

ハンター達に俺が魔物でも獲物でもないと納得してもらうには、やはりしかないのだろう。
あー、やだなー。でも他に方法思いつかないし。
ここまで殺気立ってる相手を説得する話術は俺にはない。
いやさ、怒り狂ってる相手と折り合い付けることは多々あったよ?けど、それは相手が俺を人間として扱ってくれたからできたことで。今みたく俺を殺すべき相手として見ている人間と接した事なんて一度だってない。

痛くないとはいえずっと攻撃されるのは気分が良くない。第一、きのこボディが不死身である保証なんてないんだ。
よし、やるぞ!男は度胸!
意を決して俺はハンターに向かって駆け出した。狙いは、一応女であるゴリ。
その唇に向かって思いっきりダイブ。

ブッチュゥゥゥゥ

スポンッと音がするほど激しく吸って離れる。
そこには、ゴリではなくオネェが顔を真っ赤にしてくねくねしてた。
「何故お前が!?」
恥じらうオネェを華麗に躱して今度こそゴリにダイブ!

ブチュウッ

狙い通りにゴリにキス。
スポンッと音を立てて離れると、はい、こちらも恥じらう乙女の出来上がり。
色気がないとか知ったことか。こちとらほんの二日前までキスすら知らない童貞男チェリーボーイだったんだ。
そもそも俺は綺麗なお姉さんが好きなの!何が悲しくて男とゴリにキスしなきゃならんのだ?!
いや、自分からやったわけだけど!

「本体本体、だいぶ戻ってる。」
「何?!」
水面で見ると腕と顔が元に戻っていた。おお。久しぶり、俺の顔!
顔出しの着ぐるみを着てるみたいになったけど。まぁ、これはこれで。

「あんた、人間だったのか。」
ハンター二人が色々察したみたいで恥じらいつつ同情の眼差しを向けてくる。
「そう。だから魔物じゃないって。攻撃しないでくれる?」
俺は大げさにハンズアップして敵意がないことを見せる。

「…あたし達の村に、来る?」
「行く!」
オネェの申し出にすぐ飛びつく俺。だって人里に行きたかったんだもん。
…って、ちょっとそこのオネェ、何モジモジしてんの?違うからね?お前の家に婿入りする訳じゃないからね?
ちょっと!二人して腕を絡めてくるのやめて!

「本体本体、顔が一気に戻ったってことは…。」
「やめて、今それ考えたくない。」
たった今まさにやらかした気がするからな!
ラノベだと異世界ものはたいていハーレムが出来上がるけど、俺はこんなハーレム絶対要らない!

本当に、人生ままならない。いや、今きのこだけど。

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