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きのことわんこ
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きのこになって二日目の昼。
今俺は、二人のハンターに襲われ大ピンチ。
「すいませんでしたー!」
見よ、長年のクレーム対応で培われたこの綺麗なお辞儀を!
きのこボディをくにっと曲げた拍子に頭の上にいたちび俺が落っこちたけど。
ハンターに向けて下げた頭に、ゴリマッチョの放った矢が突き刺さる。
「ちょっと!謝罪してる人に攻撃とかあり得なくない?!」
「黙れ!この魔物が!」
「刺さってるのに、何で無傷なのよ!」
ゴリマッチョが三度矢を番え、軽装の男が剣を…って、えぇぇぇぇ!?
剣士の方がオネェだった!んでもって雄々しい口調のゴリマッチョは近くで見たら女だった!びっくりだよ!
はっ、そうじゃない。誤解を解かねば。
「ちょっと待て!俺は人畜無害な群馬県産食用きのこ!魔物じゃないよ!煮てよし炊いてよし焼いてよし、俺的にはバター炒めがお勧めです!」
「勧めてどうする?!」
確かに!魔物から食物に変化しただけで獲物には変わりねぇ!
ピーッ、と剣士の方が指笛を吹くと、森から大きなわんこが飛び出してきた。ハスキー犬に似ている。いや、狼っぽいのか。完全に狩猟犬だな。飛び出すと同時に、地面に落ちたちび俺に狙いを定めて噛みつこうとしてる。
ちび俺が、お前本当に俺と同一存在なのかと聞きたくなるくらい俊敏に避ける。
「ちょ、何で本体には見向きもしないの?!」
しなくて良いですよー。俺はきのこ。ただのきのこ。ただここに生えているだけのオブジェ。
人畜無害という発言に思うところがあるのかハンターは何故か攻撃してこない。
存在感を限りなく無にして静止する俺の周りでちび俺が逃走中。
ぐるぐるぐるぐる。わんこがちび俺を追いかけ回す。
ぐるぐるぐるぐる。わんことちび俺が俺の周りを駆け回る。
「バターになっちゃう!」
そうそう、そんな絵本が昔あったねぇ。あれは虎がぐるぐるしてたんだっけ。
あれ?ちび俺がバターになったら俺が調理されちゃうんじゃね?さっき自分で勧めたばっかだし。
それはいかん!
ふと足元を見ると、完全に出遅れて土の中で息を潜めているちび俺その2と目が合った。
うんうん、こうして隠れてやり過ごそうとするとこ、やっぱ俺だよね。
んでもって、俺はそんな俺が嫌いなわけで。何が言いたいかと言うと。
「これをどうぞ。」
俺はちび俺その2を捕まえてわんこに差し出す。
涙目のちび俺その2が「あー」と悲し気な声を出して連れていかれた。合掌。美味い料理になってやれ。
ドナドナを見送る気分で共に合掌で見送るちび俺を拾って再び頭の上に乗せる。
さて、俺が魔物でも獲物でもないと納得してもらうには、やはりあの方法しかないだろうな。
俺は意を決すると、ハンターに向かって駆け出した。
「果たして俺の取った行動とは…?!待て、次回!」
まさかの、続く…!
あ、ちび俺次回予告お疲れさん。
今俺は、二人のハンターに襲われ大ピンチ。
「すいませんでしたー!」
見よ、長年のクレーム対応で培われたこの綺麗なお辞儀を!
きのこボディをくにっと曲げた拍子に頭の上にいたちび俺が落っこちたけど。
ハンターに向けて下げた頭に、ゴリマッチョの放った矢が突き刺さる。
「ちょっと!謝罪してる人に攻撃とかあり得なくない?!」
「黙れ!この魔物が!」
「刺さってるのに、何で無傷なのよ!」
ゴリマッチョが三度矢を番え、軽装の男が剣を…って、えぇぇぇぇ!?
剣士の方がオネェだった!んでもって雄々しい口調のゴリマッチョは近くで見たら女だった!びっくりだよ!
はっ、そうじゃない。誤解を解かねば。
「ちょっと待て!俺は人畜無害な群馬県産食用きのこ!魔物じゃないよ!煮てよし炊いてよし焼いてよし、俺的にはバター炒めがお勧めです!」
「勧めてどうする?!」
確かに!魔物から食物に変化しただけで獲物には変わりねぇ!
ピーッ、と剣士の方が指笛を吹くと、森から大きなわんこが飛び出してきた。ハスキー犬に似ている。いや、狼っぽいのか。完全に狩猟犬だな。飛び出すと同時に、地面に落ちたちび俺に狙いを定めて噛みつこうとしてる。
ちび俺が、お前本当に俺と同一存在なのかと聞きたくなるくらい俊敏に避ける。
「ちょ、何で本体には見向きもしないの?!」
しなくて良いですよー。俺はきのこ。ただのきのこ。ただここに生えているだけのオブジェ。
人畜無害という発言に思うところがあるのかハンターは何故か攻撃してこない。
存在感を限りなく無にして静止する俺の周りでちび俺が逃走中。
ぐるぐるぐるぐる。わんこがちび俺を追いかけ回す。
ぐるぐるぐるぐる。わんことちび俺が俺の周りを駆け回る。
「バターになっちゃう!」
そうそう、そんな絵本が昔あったねぇ。あれは虎がぐるぐるしてたんだっけ。
あれ?ちび俺がバターになったら俺が調理されちゃうんじゃね?さっき自分で勧めたばっかだし。
それはいかん!
ふと足元を見ると、完全に出遅れて土の中で息を潜めているちび俺その2と目が合った。
うんうん、こうして隠れてやり過ごそうとするとこ、やっぱ俺だよね。
んでもって、俺はそんな俺が嫌いなわけで。何が言いたいかと言うと。
「これをどうぞ。」
俺はちび俺その2を捕まえてわんこに差し出す。
涙目のちび俺その2が「あー」と悲し気な声を出して連れていかれた。合掌。美味い料理になってやれ。
ドナドナを見送る気分で共に合掌で見送るちび俺を拾って再び頭の上に乗せる。
さて、俺が魔物でも獲物でもないと納得してもらうには、やはりあの方法しかないだろうな。
俺は意を決すると、ハンターに向かって駆け出した。
「果たして俺の取った行動とは…?!待て、次回!」
まさかの、続く…!
あ、ちび俺次回予告お疲れさん。
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