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きのこと子豚
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きのこになって二回目の朝。
今俺は、胞子で増えた大量の小さな俺に囲まれて保父さん状態。
増えたちび俺が、俺のような人間の腕が生えたキモい姿じゃなくて良かった。もしそうだったらきっと発狂してた。
俺は増殖したちび俺の相手に疲れながらも、話し相手ができたこの状況をどこか楽しんでいた。
ちび俺はどいつもこいつも自分が本体であるという主張をしてこない。
よく聞く増殖ものだと、自分が本物主張をして殺し合いに発展するんだけどな。
「「「「まぁ、腕が明確に違うからな。」」」」
「ユニゾンで喋るのやめれ。」
「「「無理。」」」
「まぁ、バラバラに喋られるよりましか。」
それこそ収集つかんくなるもんな。
「ん?何かお前ら、減ってないか?」
「「「え?あ、マジだ。俺がいない。俺どこ行ったの?」」」
バラバラの方向に向かって俺はどこー?と叫ぶちび俺達。誰だ、ここは誰って叫んだの。
プギー
「ん?」
今何か聞こえた。そしてちび俺がどっか引き摺られて行くのも見えた。
ぶっちゃけ、その瞬間の視覚も共有してるんだけど、何かに食われたっぽい。
まあ、ちび俺が食われた所で痛くも痒くもないから放置!
「ぎゃっ。」
パクっとちび俺がまた食われた。
木陰からのっそりと現れた犯人は、子豚。
「可愛いなぁ。何でこんなとこにいるん?迷子?」
ほっこり。
「「違うでしょ、俺!食われてるから!」」
たーすーけーてー、と逃げ惑うちび俺達。
「豚とエリンギかー。バター醤油で一緒に炒めたら超美味いよねー。」
「「お、お前、食う気か…!?」」
ちび俺は子豚の足の半分くらいのサイズしかないせいかぱくぱく食われてる。
最後のちび俺が子豚から逃げて俺の上に登ってきた。
それを追って子豚が俺に迫ってくる。さすがにちょっと怖い。
思わず両手で子豚を掴んでしまった。
「プギッ!?」
子豚が俺から逃れようとすごい暴れる。
「どうしよう、これ!?どうしよう!?」
ちび俺に助けを求めてみる。手を離したら、俺も食われるよね?
「よっしゃ!そのまま掴んでろ!」
ちび俺に後頭部を蹴られてつんのめる。
俺の口が子豚の口に当たった。生臭い中にほんのりきのこ臭。
「豚と接吻してしまった…。」
な、泣いてなんかないもんっ。
驚いて放してしまったら、子豚はどこかに逃げて行ってしまった。
まぁ、子豚からすれば化け物だもんな、俺。
「「あ、目が元に戻ってる。」」
ちび俺の目を通して見たら目が人間のそれに戻っていた。
「だから何でパーツごとなんよ?!」
「まあまあ。全身一気に戻ったらそれはそれで問題ありよ?あなたの真実の愛の相手は先ほど全力で逃走した子豚です、ってなっちゃう。」
「その原理で言うと俺魔女の婆ちゃんの運命の相手よ?ないわー。」
取り敢えず、人間に戻るためにはキス魔になるしかないらしい。
今俺は、胞子で増えた大量の小さな俺に囲まれて保父さん状態。
増えたちび俺が、俺のような人間の腕が生えたキモい姿じゃなくて良かった。もしそうだったらきっと発狂してた。
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ちび俺はどいつもこいつも自分が本体であるという主張をしてこない。
よく聞く増殖ものだと、自分が本物主張をして殺し合いに発展するんだけどな。
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ぶっちゃけ、その瞬間の視覚も共有してるんだけど、何かに食われたっぽい。
まあ、ちび俺が食われた所で痛くも痒くもないから放置!
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「プギッ!?」
子豚が俺から逃れようとすごい暴れる。
「どうしよう、これ!?どうしよう!?」
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な、泣いてなんかないもんっ。
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