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11、村岡さんが、欲しいんです *(side:律)
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「おかえり、律」
「た、ただいま……」
悪友たちにどうなったか結果を聞かせろよ、なんて揶揄われながら帰ると村岡さんが笑顔で出迎えてくれた。
村岡さんを押し倒す、なんて息巻いていたのに、顔を見ただけでドキドキしてしまう。
エプロン姿の村岡さん、とてもかっこいいんだもの。
色っぽくも見えるのは、エッチすることを意識しているからだろうか。
「まだ食事の用意できてないんだけど、もうすぐ店仕舞いするから待ってて」
「あ、じゃあ片付け手伝うよ」
「ありがとう。じゃあ、頼んじゃおうかな」
掃除くらいならできると思って手伝うなんて言ったのだけど、思いのほか村岡さんは喜んでくれた。
ありがとうって言葉がなんだかくすぐったい。
少しでも一緒にいたいって下心だったんだけどなぁ。
「律、もう次のバイト決まったのか?」
「ううん、まだ……早く働きたいんだけど」
着替えてきてテーブルを拭いていると、レジでお金を数えていた村岡さんが聞いてきた。
言葉を濁した僕に、焦らなくて良いって言ってくれる。
「お金が溜まるまでとは言ったけど、いつまでだっていて良いからな? また無茶なバイトするんじゃないぞ」
「はーい」
一緒に暮らそうって言ってくれた時に言われた言葉。
借金は早く返してしまいたいけれど、村岡さんと一緒にいられなくなるならこのままが良いと思ってしまう。
だから、次のアルバイトについて聞かれると、出ていけと言われているみたいで。
僕ばっかり村岡さんを好きみたい。
一緒に暮らそうって言ってくれたときは浮かれていたけれど、村岡さんの態度は出会ったばかりの頃とちっとも変わらないし。
あの日、僕の名前を呼びながらオナニーしていたのは僕の聞き間違いだったのかな?
「律、どうした? また何か悩み事か?」
「え?! う、ううん。何もないよ!?」
「そうか……なら良いけど」
ご飯中、村岡さんの顔を見つめて「やっぱりかっこいいなぁ」なんてぼんやりしてたから、村岡さんが声をかけてくれてたのに気づけなかった。
心配そうな顔が近くにあって、思わず声が裏返ってしまう。
深くは追及しないでくれたけど、納得してない顔だ。
でも言えないよ! 村岡さんをどうやって押し倒そうか悩んでました、なんて!
「ぼ、僕、宿題やらなきゃだったんだ! 部屋戻るね!」
「あ、ああ。頑張れよ」
慌てて部屋に駆け込んでしまった。
村岡さんとエッチするぞ、って思えば思うほど、ドキドキしてしまってまともに村岡さんと話せない。
今までどうやって会話してたっけ?
「うぅ、このままじゃ、エッチどころか……」
あれ? でも、押し倒すのはともかく、そもそも男同士ってどうやるんだろう?
気になって、携帯で調べてみる。
「はわっ?!」
お尻におちんちんが出入りしている動画が出てきて、びっくりしてしまった。
エッチなDVDを見た時もそうだったけど、いけないものを見ているみたいで落ち着かない。
けど、映像を消すどころか、目を離すこともできなかった。
あんな太いものが、出たり、入ったり。なのに、とても気持ちよさそうにしていて。
(村岡さんのが、ここに……)
入るだろうか。
そっと指を入れてみる。
案外すんなり入ってしまった。
正直、異物感ばかりで気持ちいいとかはないけれど。
「えっと、このくらい、かな……?」
村岡さんのは、僕のよりもっと太かった。
指を1本1本ゆっくりと差し込んでいく。
ピリ、と入口に痛みが走った。
「や、やっぱり無理……アッ?!」
怖くなって指を抜こうとした時、少しだけ硬くてツルツルしたところに指が触れた。
その途端、おちんちんに電流が流れたような感じがした。
恐る恐るそこを指先で撫でる度に気持ちよさが押し寄せてきて、体から力が抜ける。
肛門の痛みもなくなって、指を3本入れても大丈夫になってくる。
「ん、これ、なら……んぁっ」
自分で弄ってるだけなのに、気持ちいい。
これなら村岡さんのも受け入れられそう。
そう思ったら、どんどん体が疼いてきて。
「村岡さん……」
「律? 顔が赤いぞ? 大丈夫か?」
たまらくなって村岡さんの部屋をノックすると、村岡さんはすぐに僕の様子に気付いた。
けれど、熱を出したと思われたみたい。
額に触れる村岡さんの手がひんやりとして気持ちいい。
「村岡さん、僕……」
「り、律?」
村岡さんにそっと抱きついて顔を摺り寄せる。
戸惑うような声が頭の上から聞こえるけれど、もう我慢できない。
「村岡さん、好き。好きなんです」
身長差でキスができないのが切ない。
村岡さんは驚きすぎたのか固まってしまった。
そういえば、僕の気持ちを伝えるのはこれが初めてだっけ。
ここで村岡さんを押し倒す、と思ったけどベッドが遠すぎた。
それに、体格差がありすぎて僕の力じゃ倒れてくれそうにないということにも今更ながらに気が付いた。
だからって、ここでやめられるはずもない。
「村岡さん……」
DVDで見た付け焼き刃の知識で乗り切るしかない。
抱き着いたまま服の上から村岡さんの胸にキスをし、ずっと触れたかった村岡さんのおちんちんに手を伸ばす。
そっと触れると、ビクリと村岡さんの体が反応した。
「り、律!」
けれど、僕ができたのはそこまでで。
村岡さんのたくましい腕が、べり、と僕をその体から引き剥がした。
「ダメだ! 律!」
「……どうして……」
抵抗されるかもとは思ったけれど、こんな風に拒絶されるとは思わなかった。
「こんなこと、しちゃダメだ!」
「村岡さん……」
涙で視界が歪む。
零れ落ちる涙を止めることができなかった。
拒絶されたショックや悲しさ、両想いだと勘違いしていた恥ずかしさ。そんな感情が入り混じった涙がボロボロと頬を伝う。
「律、ごめんな」
「……っ」
村岡さんが「泣くな」と頭を撫でてくれる。
その優しさがまたつらい。
涙が止まらなくて、小さな子供みたいにしゃくり上げる。
「でも、律の気持ちには応えられないんだ」
「っ……ぅ……」
僕、村岡さんにフラれたんだ……。
もしかして、僕が好きって言うの、迷惑だった?
そういえば、僕も社長さんに好きって言われるのも、触られるのも嫌だった。
僕、それと同じことを村岡さんにしちゃったんだ……。
「ごめ、なさ……っ。も、言わな……から、嫌わないで……っ」
「律……大丈夫、嫌わないよ……」
泣いている僕を抱きしめてくれるのは、村岡さんが優しいからだ。
今度こそ、誤解しちゃだめだ。
期待したら、だめ。
でも……。
「諦める、から……。これで、最後に、する……だから」
「律?!」
「だから、一度だけ……」
僕は羽織っていたパジャマ代わりのパーカーを脱ぎ捨てる。
さっきまでオナニーしていて、下には何も着ていない。
裸のまま、僕は村岡さんの胸に飛び込んだ。
「た、ただいま……」
悪友たちにどうなったか結果を聞かせろよ、なんて揶揄われながら帰ると村岡さんが笑顔で出迎えてくれた。
村岡さんを押し倒す、なんて息巻いていたのに、顔を見ただけでドキドキしてしまう。
エプロン姿の村岡さん、とてもかっこいいんだもの。
色っぽくも見えるのは、エッチすることを意識しているからだろうか。
「まだ食事の用意できてないんだけど、もうすぐ店仕舞いするから待ってて」
「あ、じゃあ片付け手伝うよ」
「ありがとう。じゃあ、頼んじゃおうかな」
掃除くらいならできると思って手伝うなんて言ったのだけど、思いのほか村岡さんは喜んでくれた。
ありがとうって言葉がなんだかくすぐったい。
少しでも一緒にいたいって下心だったんだけどなぁ。
「律、もう次のバイト決まったのか?」
「ううん、まだ……早く働きたいんだけど」
着替えてきてテーブルを拭いていると、レジでお金を数えていた村岡さんが聞いてきた。
言葉を濁した僕に、焦らなくて良いって言ってくれる。
「お金が溜まるまでとは言ったけど、いつまでだっていて良いからな? また無茶なバイトするんじゃないぞ」
「はーい」
一緒に暮らそうって言ってくれた時に言われた言葉。
借金は早く返してしまいたいけれど、村岡さんと一緒にいられなくなるならこのままが良いと思ってしまう。
だから、次のアルバイトについて聞かれると、出ていけと言われているみたいで。
僕ばっかり村岡さんを好きみたい。
一緒に暮らそうって言ってくれたときは浮かれていたけれど、村岡さんの態度は出会ったばかりの頃とちっとも変わらないし。
あの日、僕の名前を呼びながらオナニーしていたのは僕の聞き間違いだったのかな?
「律、どうした? また何か悩み事か?」
「え?! う、ううん。何もないよ!?」
「そうか……なら良いけど」
ご飯中、村岡さんの顔を見つめて「やっぱりかっこいいなぁ」なんてぼんやりしてたから、村岡さんが声をかけてくれてたのに気づけなかった。
心配そうな顔が近くにあって、思わず声が裏返ってしまう。
深くは追及しないでくれたけど、納得してない顔だ。
でも言えないよ! 村岡さんをどうやって押し倒そうか悩んでました、なんて!
「ぼ、僕、宿題やらなきゃだったんだ! 部屋戻るね!」
「あ、ああ。頑張れよ」
慌てて部屋に駆け込んでしまった。
村岡さんとエッチするぞ、って思えば思うほど、ドキドキしてしまってまともに村岡さんと話せない。
今までどうやって会話してたっけ?
「うぅ、このままじゃ、エッチどころか……」
あれ? でも、押し倒すのはともかく、そもそも男同士ってどうやるんだろう?
気になって、携帯で調べてみる。
「はわっ?!」
お尻におちんちんが出入りしている動画が出てきて、びっくりしてしまった。
エッチなDVDを見た時もそうだったけど、いけないものを見ているみたいで落ち着かない。
けど、映像を消すどころか、目を離すこともできなかった。
あんな太いものが、出たり、入ったり。なのに、とても気持ちよさそうにしていて。
(村岡さんのが、ここに……)
入るだろうか。
そっと指を入れてみる。
案外すんなり入ってしまった。
正直、異物感ばかりで気持ちいいとかはないけれど。
「えっと、このくらい、かな……?」
村岡さんのは、僕のよりもっと太かった。
指を1本1本ゆっくりと差し込んでいく。
ピリ、と入口に痛みが走った。
「や、やっぱり無理……アッ?!」
怖くなって指を抜こうとした時、少しだけ硬くてツルツルしたところに指が触れた。
その途端、おちんちんに電流が流れたような感じがした。
恐る恐るそこを指先で撫でる度に気持ちよさが押し寄せてきて、体から力が抜ける。
肛門の痛みもなくなって、指を3本入れても大丈夫になってくる。
「ん、これ、なら……んぁっ」
自分で弄ってるだけなのに、気持ちいい。
これなら村岡さんのも受け入れられそう。
そう思ったら、どんどん体が疼いてきて。
「村岡さん……」
「律? 顔が赤いぞ? 大丈夫か?」
たまらくなって村岡さんの部屋をノックすると、村岡さんはすぐに僕の様子に気付いた。
けれど、熱を出したと思われたみたい。
額に触れる村岡さんの手がひんやりとして気持ちいい。
「村岡さん、僕……」
「り、律?」
村岡さんにそっと抱きついて顔を摺り寄せる。
戸惑うような声が頭の上から聞こえるけれど、もう我慢できない。
「村岡さん、好き。好きなんです」
身長差でキスができないのが切ない。
村岡さんは驚きすぎたのか固まってしまった。
そういえば、僕の気持ちを伝えるのはこれが初めてだっけ。
ここで村岡さんを押し倒す、と思ったけどベッドが遠すぎた。
それに、体格差がありすぎて僕の力じゃ倒れてくれそうにないということにも今更ながらに気が付いた。
だからって、ここでやめられるはずもない。
「村岡さん……」
DVDで見た付け焼き刃の知識で乗り切るしかない。
抱き着いたまま服の上から村岡さんの胸にキスをし、ずっと触れたかった村岡さんのおちんちんに手を伸ばす。
そっと触れると、ビクリと村岡さんの体が反応した。
「り、律!」
けれど、僕ができたのはそこまでで。
村岡さんのたくましい腕が、べり、と僕をその体から引き剥がした。
「ダメだ! 律!」
「……どうして……」
抵抗されるかもとは思ったけれど、こんな風に拒絶されるとは思わなかった。
「こんなこと、しちゃダメだ!」
「村岡さん……」
涙で視界が歪む。
零れ落ちる涙を止めることができなかった。
拒絶されたショックや悲しさ、両想いだと勘違いしていた恥ずかしさ。そんな感情が入り混じった涙がボロボロと頬を伝う。
「律、ごめんな」
「……っ」
村岡さんが「泣くな」と頭を撫でてくれる。
その優しさがまたつらい。
涙が止まらなくて、小さな子供みたいにしゃくり上げる。
「でも、律の気持ちには応えられないんだ」
「っ……ぅ……」
僕、村岡さんにフラれたんだ……。
もしかして、僕が好きって言うの、迷惑だった?
そういえば、僕も社長さんに好きって言われるのも、触られるのも嫌だった。
僕、それと同じことを村岡さんにしちゃったんだ……。
「ごめ、なさ……っ。も、言わな……から、嫌わないで……っ」
「律……大丈夫、嫌わないよ……」
泣いている僕を抱きしめてくれるのは、村岡さんが優しいからだ。
今度こそ、誤解しちゃだめだ。
期待したら、だめ。
でも……。
「諦める、から……。これで、最後に、する……だから」
「律?!」
「だから、一度だけ……」
僕は羽織っていたパジャマ代わりのパーカーを脱ぎ捨てる。
さっきまでオナニーしていて、下には何も着ていない。
裸のまま、僕は村岡さんの胸に飛び込んだ。
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