1 / 16
プロローグ 一月前の出来事
しおりを挟む
――国歴――の月――日
一月前のあの日から、私達三人の関係は変わったのかもしれない。
……違う、変わったのは私だけ……だと思う……。
眠り続けていた間は夢も見ずに目を覚ましたら目に見えるものが……感じとれるものが……全てが変わっていた。
目が覚めて聞こえたのは慌てた侍女の声、そして見えたのは……
私にそっくりな……双子の姉の姿だった。
そのすぐ後、目が覚めたばかりだった私は、あの日あった事を両親に語った。
あの時の感動も、焦りも、自信も、悲しみも全てが現実に起きたことじゃないみたいで……まるで他人事のように思い出せる限りを話した。
私の記憶が途切れる少し前の話をした辺りから私にべったりくっついている姉が震えている事に気が付いた。
両親もその事には気が付いていたようだし、私も意識失ってからの事はさすがに覚えていない。
あの日の事については幼馴染や姉が既に話していると思う。
恐らくは私の記憶に齟齬が生じていないか確認のためかもしれない。
話がひと段落し姉が勢いよく部屋を出ていった直後、両親は私を抱きしめてくれた。
そして自然と涙が……。
あの日の出来事がきっかけで変わってしまった私自身のことについてはまだ話せていない。
どう説明すれば良いのか上手く伝えられるかわからなくて……。
――――――――――
日記を書き終わると、頁の背景に薄っすらと、寝台にから上半身を起こした私と姉と両親――家族――の絵が浮かび上がってきた。
その絵を確認して日記帳を閉じると、日記帳は薄っすらと輝いたがすぐに消えた。
この日記帳を貰った時から続いていた習慣だったが無意識にこの日記を書いていたことに気が付く。
日記を書く前に一頁前を捲った時に見た日付は一月前。
妹にとって全てが変わってしまったあの日から目が覚めるまでの間が空白になっていた。
一月前のあの日から、私達三人の関係は変わったのかもしれない。
……違う、変わったのは私だけ……だと思う……。
眠り続けていた間は夢も見ずに目を覚ましたら目に見えるものが……感じとれるものが……全てが変わっていた。
目が覚めて聞こえたのは慌てた侍女の声、そして見えたのは……
私にそっくりな……双子の姉の姿だった。
そのすぐ後、目が覚めたばかりだった私は、あの日あった事を両親に語った。
あの時の感動も、焦りも、自信も、悲しみも全てが現実に起きたことじゃないみたいで……まるで他人事のように思い出せる限りを話した。
私の記憶が途切れる少し前の話をした辺りから私にべったりくっついている姉が震えている事に気が付いた。
両親もその事には気が付いていたようだし、私も意識失ってからの事はさすがに覚えていない。
あの日の事については幼馴染や姉が既に話していると思う。
恐らくは私の記憶に齟齬が生じていないか確認のためかもしれない。
話がひと段落し姉が勢いよく部屋を出ていった直後、両親は私を抱きしめてくれた。
そして自然と涙が……。
あの日の出来事がきっかけで変わってしまった私自身のことについてはまだ話せていない。
どう説明すれば良いのか上手く伝えられるかわからなくて……。
――――――――――
日記を書き終わると、頁の背景に薄っすらと、寝台にから上半身を起こした私と姉と両親――家族――の絵が浮かび上がってきた。
その絵を確認して日記帳を閉じると、日記帳は薄っすらと輝いたがすぐに消えた。
この日記帳を貰った時から続いていた習慣だったが無意識にこの日記を書いていたことに気が付く。
日記を書く前に一頁前を捲った時に見た日付は一月前。
妹にとって全てが変わってしまったあの日から目が覚めるまでの間が空白になっていた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
忘却の思い込み追放勇者 ずっと放置され続けたので追放されたと思ったのだけど違うんですか!?
カズサノスケ
ファンタジー
「俺は追放されたのだ……」
その者はそう思い込んでしまった。魔王復活に備えて時の止まる異空間へ修行に出されたまま1000年間も放置されてしまったのだから……。
魔王が勇者に討たれた時、必ず復活して復讐を果たすと言い残した。後に王となった元勇者は自身の息子を復活した魔王との戦いの切り札として育成するべく時の止まった異空間へ修行に向かわせる。その者、初代バルディア国王の第1王子にして次期勇者候補クミン・バルディア16歳。
魔王戦に備えて鍛え続けるクミンだが、復活の兆しがなく100年後も200年後も呼び戻される事はなかった。平和過ぎる悠久の時が流れて500年……、世の人々はもちろんの事、王家の者まで先の時代に起きた魔王との戦いを忘れてしまっていた。それはクミンの存在も忘却の彼方へと追いやられ放置状態となった事を意味する。父親との確執があったクミンは思い込む、「実は俺に王位を継承させない為の追放だったのではないか?」
1000年経った頃。偶然にも発見され呼び戻される事となった。1000年も鍛え続けたお陰で破格の強さを身に着けたのだが、肝心の魔王が復活していないのでそれをぶつける相手もいない。追放されたと思い込んだ卑屈な勇者候補の捻じれた冒険が幕を開ける!
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
父が再婚してから酷い目に遭いましたが、最終的に皆罪人にして差し上げました
四季
恋愛
母親が亡くなり、父親に新しい妻が来てからというもの、私はいじめられ続けた。
だが、ただいじめられただけで終わる私ではない……!
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる