私だけの運転手

新たな影

優しさと私

斗真はひたすらに電話越しで怒鳴り散らし
数分後私の姿を見つけると今にも殴りかかりそうな勢いで走りよってきた

｢お前舐めてんか
迎えに来いとか二度と言うな！｣

｢…ごめんなさい…っ…｣

｢うっさい！泣くなや！何でお前が泣いてんねん！うざいねん｣

涙が止まらなく俯いてる私に構わず怒鳴り続け
翔くん達が待つもとに着いても変わらなかった
普段友達の前では優しい斗真がひどく怒っている様子を見て
2人は微妙な面持ち

｢こいつ位置情報見てもわからんとかやばくね？使えへんわ｣

｢…翔く…ん、遠…矢…くん…っ…ごめんな…さい…っ｣

｢喋んな黙れや｣

車に乗りこんで進み始めてからも斗真の怒りは収まらず
延々と私への怒りを話す

｢もうええやん、泣いてるのに…言い過ぎやで｣

遠矢くんは運転席でルームミラー越しにちらりと私達を見て
そう告げた
それに続いて翔くんも｢気にするなよ｣と私に話しかけた
それでもずっとイライラしている斗真に責められながら
家まで送ってもらう

｢遠矢くん…運転ありがと…ごめんなさい…｣

申し訳なくて私が無意識の内に呟いた言葉に

笑いながら
｢百々那ちゃんの為やったら何でもするで！｣と言う遠矢くんの優しさに心に引っかかっていたモヤモヤしていたものがスッと取れる感覚に陥る

その瞬間に私の中で何かが始まる気配がした