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第二章
3 凱旋の知らせ
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静かに考え込む子供達の中で、突然大きな声が響き渡った。
「うあー、分かんねぇ! 俺は計算なんか出来なくていいや!」
子供達の中で力が強く、年齢の割に体も大きく、リーダー格のジーノである。
他の子供達の面倒見がよくて体力もあるのだが、とにかく勉強することは苦手な子だった。
食堂の片隅で大量の繕い物をしていた修道女が聞き咎め、ジーノにやんわりと注意する。
「ジーノ、前に院長先生もおっしゃっていたでしょう? 計算が出来ないと将来給金を勝手に少なくされても気付かないって」
「知ってるよ! でもさ、俺、将来は偉い騎士になるんだ。騎士の給金は王様がくれるんだろ? だったらチョロまかす奴はいねぇよ」
ガキ大将のジーノが自信満々に言ったため、他の子供達もひそひそし始めた。
ミアは一人ずつペンを持ち直させ、集中するように言って回る。
「実力さえありゃ、生まれが悪くても将校になれるんだからな! そうだ、俺が金持ちになったら……ミアを嫁にしてやってもいいぜ!」
「……あら、私を?」
まだまだ子供だと思っていたジーノの言うことが大人びていて、ミアは素直に驚く。
自分が子供だった頃と比べると、彼はかなり背伸びしているようだ。
「コラッ、ジーノ! エウフェミア様になんてことを!」
「いてっ」
繕い物を放り出した修道女が走ってやって来て、ジーノの頭にゲンコツを落とした。
このやり方は少々荒っぽくて、通い始めたばかりの頃はよく驚いていた。しかし、あまり痛くないように手加減をしてやっていると知ってからは、ミアも笑って見ていられるようになった。
でももしも自分がされていたら、ショックで泣いてしまったかもしれないが。
「エウフェミア様っ、大変申し訳ありません!」
「いいのよ。気になさらないで」
必死に謝る修道女をなだめ、ミアはジーノのそばに寄る。
「ジーノ、私をお嫁さんにしてくれるの?」
「おう! どうしてもって言うならもらってやるよ」
「ふふ、ありがとう。楽しみにしてるわ」
ミアが礼を言うと、ジーノが照れたように頭の後ろを掻いた。まだ10歳だが、もう立派に男のプライドがあるのだろう。
だが、それならば余計に、ジーノには勉強してもらわねばならない。
ミアはジーノが投げ出した計算用紙とペンを拾う。
「……ねぇ、ジーノ。確かに国王陛下はお給金を誤魔化す方ではないわ。でもね、騎士になるにはたくさんの試験があるって知ってる?」
「え……」
ジーノがパチパチと瞬く。
「私のお兄様は去年騎士になったけれど、毎日たくさんお勉強をなさっていたのよ。もちろん計算も」
昨年軍に入ったミアの次兄は王立学院からストレートで騎士になったが、学院時代は相当勉強していたようだった。
平民であるジーノが騎士になるにはもっと大変だ。
まずは簡単な学力試験と体力試験を突破して一般兵士になり、地道に働きながら実績を積む。それから上司の推薦を獲得出来たら昇格試験を受け、研修と最終審査で合格出来たら騎士になるという狭き門だ。
試験の内容は知らないが、今教えている計算どころの難易度ではないということだけはミアにも分かる。
それを丁寧に説明してやると、少し考え込んでいたジーノは仏頂面で椅子に座り直した。
「……やる」
「偉いわ、ジーノ」
早速問題が分からなくて頭を抱えていたが、こうやって学ぶ姿勢になっただけでも進歩だ。ミアはほっと胸を撫で下ろした。
そして勉強が終わり、みんなでりんごのタルトを食べるおやつの時間になった。
贅沢品である菓子は普段あまり口に入らないため、子供達は表情を蕩けさせながらタルトを頬張っている。
彼らの嬉しそうな様子を見ていると、ミアも胸がじんわりと温かくなる。
と、そこに先ほどの授業で使った紙を持ったジーノがやって来た。
タルトはもう食べてしまったのだろう、口の周りにクリームがついている。
「なぁ……これが出来たら、本当に騎士になれる?」
ジーノの手には、何度も書き直してくしゃくしゃになった計算用紙が握られていた。端っこも少し破れていて、一目見るだけで真剣に取り組んだのだということが分かる。
拗ねたように目をそらすジーノの口元をハンカチで拭って、ミアは優しく微笑んだ。
「そうね……、これだけじゃ少し足りないかもしれないわ。でも頑張って毎日お勉強したら、きっと夢は叶うはずよ」
ジーノの黒く汚れた小さな手を取ると、ミアは白い手でぎゅっと包み込んだ。
ここにいる子供達は、12、3歳になるとどこかに住み込みで奉公にやられることになっている。しかし成績の良い子は稀に寄宿学校に入れるチャンスもあり、ミアに出来るのはそれを目指す手伝いだ。
「一緒にがんばりましょうね?」
不安そうにしていたジーノの表情がみるみるうちに明るくなる。
「そっか、俺がんばるよ! それで立派な将校になって、ミアを迎えに行ってやるからな!」
「ええ、待ってるわ」
ジーノの自信たっぷりな様子に、ミアからも自然に笑みが零れる。
しかしジーノは気付いているのだろうか。
多分その頃にはミアは相当年をとっているはずで、結婚適齢期を逃した立派な行き遅れなのだと。もしも本当に迎えに来てくれても、すっかり様変わりしたミアを見ると逃げ出してしまうに違いない。
はぁ、とミアはため息をついた。
その頃ミアの隣には、一体誰がいるのだろう。
半年前の舞踏会で出会った誰かなのか、いずれ両親が見つけてくるかもしれない政略結婚の相手なのか。
もしもミアの隣にいてくれるのがあの夜の彼であったなら、それほど嬉しいことはないのに。
だが、彼の消息は分からないままだ。
国境争いが有利に終結したとか、その混乱に乗じて攻めて入って来た第三国の軍を完膚なきまでに叩きのめしたとか、華々しい戦況は兄から耳にするが、彼と再会出来る保証はどこにもない。
これまで全て周囲にお膳立てしてもらって生きてきたミアにとって、あの夜、連絡先や名前を聞いておかねばならない、という発想はまるでなかったのだ。
そんな風に彼を思い出していたミアは、次の瞬間、ジーノの無邪気な一言に大きく息を呑むことになった。
「そうだ、今度遠征軍の凱旋行進もみんなで見に行くんだぜ! かっこいいんだろうなぁ~」
「………………え?」
咄嗟に、ジーノが言った言葉に反応が出来なかった。
遠征軍、凱旋、行進、という言葉だけが断片的に脳裏に響く。
「おう! 昨日街に一斉に張り出されたんだ! な、先生?」
「ええ、そうね。お祭りのようなものですから、子供達を連れ出してやることにしたのですよ。エウフェミア様はご存知ありませんか?」
「い、いえ。私は……」
遠征軍が、王都に帰って来る?
あまりのことに、ミアは息が止まりそうだった。
その中には、もしかして彼がいるのではないだろうか。
「俺が偉くなったら、大隊の先頭を立派な軍馬に乗って走るんだ。そうしたら、そこからミアに手を振ってやるからなっ」
胸を張って大口を叩くジーノの言葉も、もはやミアの耳には入っては来ない。
「え、ええ……ありがとう」
手が震え、うまく息を吐き出せなかった。ミアは咄嗟に胸を押さえる。
縮み上がっていたミアの心臓が、急に大きな音を立てながら動き始めた。
知らなかった、もうすぐ彼が帰って来るだなんて。
どうしよう、どうしよう、どうしよう……!
胸がいっぱいで、苦しくて、ミアは涙をこらえるのがやっとだった。
「うあー、分かんねぇ! 俺は計算なんか出来なくていいや!」
子供達の中で力が強く、年齢の割に体も大きく、リーダー格のジーノである。
他の子供達の面倒見がよくて体力もあるのだが、とにかく勉強することは苦手な子だった。
食堂の片隅で大量の繕い物をしていた修道女が聞き咎め、ジーノにやんわりと注意する。
「ジーノ、前に院長先生もおっしゃっていたでしょう? 計算が出来ないと将来給金を勝手に少なくされても気付かないって」
「知ってるよ! でもさ、俺、将来は偉い騎士になるんだ。騎士の給金は王様がくれるんだろ? だったらチョロまかす奴はいねぇよ」
ガキ大将のジーノが自信満々に言ったため、他の子供達もひそひそし始めた。
ミアは一人ずつペンを持ち直させ、集中するように言って回る。
「実力さえありゃ、生まれが悪くても将校になれるんだからな! そうだ、俺が金持ちになったら……ミアを嫁にしてやってもいいぜ!」
「……あら、私を?」
まだまだ子供だと思っていたジーノの言うことが大人びていて、ミアは素直に驚く。
自分が子供だった頃と比べると、彼はかなり背伸びしているようだ。
「コラッ、ジーノ! エウフェミア様になんてことを!」
「いてっ」
繕い物を放り出した修道女が走ってやって来て、ジーノの頭にゲンコツを落とした。
このやり方は少々荒っぽくて、通い始めたばかりの頃はよく驚いていた。しかし、あまり痛くないように手加減をしてやっていると知ってからは、ミアも笑って見ていられるようになった。
でももしも自分がされていたら、ショックで泣いてしまったかもしれないが。
「エウフェミア様っ、大変申し訳ありません!」
「いいのよ。気になさらないで」
必死に謝る修道女をなだめ、ミアはジーノのそばに寄る。
「ジーノ、私をお嫁さんにしてくれるの?」
「おう! どうしてもって言うならもらってやるよ」
「ふふ、ありがとう。楽しみにしてるわ」
ミアが礼を言うと、ジーノが照れたように頭の後ろを掻いた。まだ10歳だが、もう立派に男のプライドがあるのだろう。
だが、それならば余計に、ジーノには勉強してもらわねばならない。
ミアはジーノが投げ出した計算用紙とペンを拾う。
「……ねぇ、ジーノ。確かに国王陛下はお給金を誤魔化す方ではないわ。でもね、騎士になるにはたくさんの試験があるって知ってる?」
「え……」
ジーノがパチパチと瞬く。
「私のお兄様は去年騎士になったけれど、毎日たくさんお勉強をなさっていたのよ。もちろん計算も」
昨年軍に入ったミアの次兄は王立学院からストレートで騎士になったが、学院時代は相当勉強していたようだった。
平民であるジーノが騎士になるにはもっと大変だ。
まずは簡単な学力試験と体力試験を突破して一般兵士になり、地道に働きながら実績を積む。それから上司の推薦を獲得出来たら昇格試験を受け、研修と最終審査で合格出来たら騎士になるという狭き門だ。
試験の内容は知らないが、今教えている計算どころの難易度ではないということだけはミアにも分かる。
それを丁寧に説明してやると、少し考え込んでいたジーノは仏頂面で椅子に座り直した。
「……やる」
「偉いわ、ジーノ」
早速問題が分からなくて頭を抱えていたが、こうやって学ぶ姿勢になっただけでも進歩だ。ミアはほっと胸を撫で下ろした。
そして勉強が終わり、みんなでりんごのタルトを食べるおやつの時間になった。
贅沢品である菓子は普段あまり口に入らないため、子供達は表情を蕩けさせながらタルトを頬張っている。
彼らの嬉しそうな様子を見ていると、ミアも胸がじんわりと温かくなる。
と、そこに先ほどの授業で使った紙を持ったジーノがやって来た。
タルトはもう食べてしまったのだろう、口の周りにクリームがついている。
「なぁ……これが出来たら、本当に騎士になれる?」
ジーノの手には、何度も書き直してくしゃくしゃになった計算用紙が握られていた。端っこも少し破れていて、一目見るだけで真剣に取り組んだのだということが分かる。
拗ねたように目をそらすジーノの口元をハンカチで拭って、ミアは優しく微笑んだ。
「そうね……、これだけじゃ少し足りないかもしれないわ。でも頑張って毎日お勉強したら、きっと夢は叶うはずよ」
ジーノの黒く汚れた小さな手を取ると、ミアは白い手でぎゅっと包み込んだ。
ここにいる子供達は、12、3歳になるとどこかに住み込みで奉公にやられることになっている。しかし成績の良い子は稀に寄宿学校に入れるチャンスもあり、ミアに出来るのはそれを目指す手伝いだ。
「一緒にがんばりましょうね?」
不安そうにしていたジーノの表情がみるみるうちに明るくなる。
「そっか、俺がんばるよ! それで立派な将校になって、ミアを迎えに行ってやるからな!」
「ええ、待ってるわ」
ジーノの自信たっぷりな様子に、ミアからも自然に笑みが零れる。
しかしジーノは気付いているのだろうか。
多分その頃にはミアは相当年をとっているはずで、結婚適齢期を逃した立派な行き遅れなのだと。もしも本当に迎えに来てくれても、すっかり様変わりしたミアを見ると逃げ出してしまうに違いない。
はぁ、とミアはため息をついた。
その頃ミアの隣には、一体誰がいるのだろう。
半年前の舞踏会で出会った誰かなのか、いずれ両親が見つけてくるかもしれない政略結婚の相手なのか。
もしもミアの隣にいてくれるのがあの夜の彼であったなら、それほど嬉しいことはないのに。
だが、彼の消息は分からないままだ。
国境争いが有利に終結したとか、その混乱に乗じて攻めて入って来た第三国の軍を完膚なきまでに叩きのめしたとか、華々しい戦況は兄から耳にするが、彼と再会出来る保証はどこにもない。
これまで全て周囲にお膳立てしてもらって生きてきたミアにとって、あの夜、連絡先や名前を聞いておかねばならない、という発想はまるでなかったのだ。
そんな風に彼を思い出していたミアは、次の瞬間、ジーノの無邪気な一言に大きく息を呑むことになった。
「そうだ、今度遠征軍の凱旋行進もみんなで見に行くんだぜ! かっこいいんだろうなぁ~」
「………………え?」
咄嗟に、ジーノが言った言葉に反応が出来なかった。
遠征軍、凱旋、行進、という言葉だけが断片的に脳裏に響く。
「おう! 昨日街に一斉に張り出されたんだ! な、先生?」
「ええ、そうね。お祭りのようなものですから、子供達を連れ出してやることにしたのですよ。エウフェミア様はご存知ありませんか?」
「い、いえ。私は……」
遠征軍が、王都に帰って来る?
あまりのことに、ミアは息が止まりそうだった。
その中には、もしかして彼がいるのではないだろうか。
「俺が偉くなったら、大隊の先頭を立派な軍馬に乗って走るんだ。そうしたら、そこからミアに手を振ってやるからなっ」
胸を張って大口を叩くジーノの言葉も、もはやミアの耳には入っては来ない。
「え、ええ……ありがとう」
手が震え、うまく息を吐き出せなかった。ミアは咄嗟に胸を押さえる。
縮み上がっていたミアの心臓が、急に大きな音を立てながら動き始めた。
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