オッドアイ

本城 智咲

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第24話 最幸

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何もない空間が、段々と黒ずんで行く。
その原因を皆が見ると驚愕と共に恐怖を覚えた。...黒いモヤが千聖を拘束するようにまとわりついていた。
「ちさ!」
 フランの精一杯張った声になんの反応がない。そして、よく見ると千聖の身体半分は黒く侵食されていた。
「...まさか、再びここに来るとは、しかし、貴様らでは何も出来んぞ、」
「それは、どうかな?無策で突っ込むわけないじゃん。」
「ここでは全能の能力者しか能力を使えないことはお前がいちばん知っているであろう?それなのになぜ?」
「アラモスには、いちばんかけているものだろうね」
「なんだと?」
「人をみんなを信じる気持ちだよ、本当だったら、私ひとりで突っ込む気だったからね、けど1人じゃなくて皆なら、チサを助けられるって信じれる。」
「貴様も感情論を語り出したか、馬鹿馬鹿しい、それでは、なんの解決にもならないであろう?」
「んなもん、やって見ねぇとわかんねぇだろうが、神だからって、わかりきった言動とってんじゃねぇぞ!」
「無力な人間たちよ、今ここで、歴代の英雄の血を継ぐものたちの、嘆きと絶望を味あわせてやろう!」
 アラモスが手を掲げると、黒いモヤが全員を囲い込む。すると、回想シーンが周りに映し出された。そこには、大人に殺された者、同い年に殺された者、親や親戚、兄弟に殺された者。17歳病の呪いで死んだもの、テロリスト達によって殺された者。飢餓や餓死で死んだ者。生まれた瞬間または、母体から生まれる前に殺された者など、様々な死が目の前に繰り返される。
「これが、あれの正体というわけか」
「む、惨い」
「下手したら、私達も似たようなことになっていたわね。」
「つまり、あの黒いのは生きたいという執念が千聖先輩を取り込んだってことになりますよね。」
「そうだよ。けど、殺した人を怨んでいる意思が強いんだ。」
「なるほど、政治塔の前に来たのはこの国を支配しているTOPの人間を排除するためか、」
「そんなことしても何も無いんじゃ?ただ人が無くなるだけじゃない?」
「鬱憤ばらしっていうだったら、筋は通ると思うけど、やりすぎなレベル」
「歴代の能力者はみんな17歳になったとき死んでるけど、チサはそれを乗り越えた。それがこの人たちの意志を強くさせた。」
「だから、身体を乗っとるって訳か、腐ってんな。」
「...君たちもこれで気づいたでしょう?兄さんはただ1人。イレギュラーを起こしのうのう生きてる。僕たちは苦しい世の中を最大でも17年しか生きられないというのに!」
「だからといって、乗っ取っていいと言う話でもないと思うのだが?」
「皆利害一致したからねぇ、兄さんの身体を乗っ取ってでもこの世を生きたいもしくは殺した人に復讐したい、皆そんなことしか考えていないさ呪いを乗り越えた兄さんの身体は、もう何年生きられるか分からなくなった。死が約束されないからこそ、自分のモノにしたいんだよ。だから邪魔しないでくれる」
「嫌です。千聖様の肉体は千聖様の物です。歴代の人たちが肩代わりするものじゃない。」
「はぁ、もういいや、どうせ君たちはここでは無能だし、さっさと朽ちてもらおうか。」
 戦闘態勢に一瞬で入って、距離を詰めてくる男に、焔が槍で応戦する。その攻防がしばらく続いた。焔は能力を使って劣勢品に互角に渡り合い、押されることもおすこともなかった。
「···なんで!ここで能力が使えるんだ!」
「は?知るかそんなもん。使えるから使ってんだよ」
「焔だけか?」
「この感じだと、そうかも、ラテの槍をもっているから?」
「いいえ、私は使えます」
「?なんで、舞夜と焔が?」
「あ、待って、私も使える」
「栞まで、点でわかりませんね」
「(私は想像ついたよ...ってことはもしかして···)」
 栞がひらめき向いた方向は、
「紅咲流 槍術 通貫淵叢 停爆比重」
 劣勢品の腹を槍で突き刺して、中から爆発を起こして、木っ端微塵となった。途端周囲を囲っていたモヤは次第に無くなって行った。
「ほう、少しはやるようだな。だが、お前たちの求めるものは、もう手に入らん」
 拘束していた黒いモヤは、千聖の身体のほとんどを侵食していた。
「手に入らなくなる前に、てめぇをぶった斬る。」
「同意です」
「黒崎流 紅咲流 槍剣術 炎牢散布 黒縫餓狼」
 炎による牢獄を間を縫うように黒線が貫いていく。
「ねぇ、フラン。君も能力使えるよね」
「!」
「この状況を打破できるのはフランしかいない。チサを取り込んでるモヤを破壊すれば、依代の無くなったアラモスは消える」
 そう言われ、フランは能力を開眼する。
 すると、取り付いていたモヤに段々とヒビが入っていき、消滅していく。
「ま、まさか、破滅の能力者も使えるとは、ここまでか、、、」
 消滅と同時にアラモスも消えていく
 拘束から放たれた千聖を残し現実世界へと戻る一行。目の前には気を失った千聖が倒れていた。
 咄嗟に近づく皆
「大丈夫じゃよ、主は気を失っているだけじゃ、しばらくすれば目を覚ますのじゃ」
「なら、いいけど。」
「···ッ、嬢ちゃんらすげぇな。」
「あとは一等部隊が対処するから車に乗りな、送ってくよ」
「そうしよう、これ以上私たちに出来ることは無い」
「···」
 ジェーンの運転の元。家に帰る一行(ガラディーンを除いた)
 家に着いて、
「···なんか、難しい感情が漂ってる」
「まぁ、あんな光景を見せられたのだもの無理はないわ」
「能力者のなかでも、特別な存在の彼らがあそこまでとなると、今より昔は酷かったのだろうな」
「それをひとりで背負って私たちの事を養ってるって考えると···」
「千聖先輩って、恐れ知らずなとこありますよね」
「···」
 しばしの沈黙が続くと、ジェーンのスマホに着信がなる。
「はい、こちらJJ、どうぞ!···はい!了解しました!···」
「はぁ、マジか、」
「何があったんですか?」
「教官からの依頼で、デュークが帰ってくるまで、ここにいて、お前らを守れってさ···だから、しばらくここに止まらせて頂く」
「分かりました、ですが、千聖様の容態は?」
「意識はまだ取り戻してない。けど取り戻したら精密検査して異常がなかったら帰ってくると思うから、少なくとも二三週間は帰ってこないだろうなぁ」
「今度は、前より長いのね···」
「まぁ、そう落ち込むなよ、デュークが帰ってくるって信じて明るく迎えてやろうや」
「ですね、心配するだけ損です!」
「私がいる間、シャイボーイの話でもしてやるからさ」
「!!!ぜひ!」
 ジェーンの言葉に目がキラキラになるフランと舞夜と愛美。

 そうして、ジェーンが家に泊まるようになって1週間が経ち、その間本当に千聖の過去話で盛り上がった。
 リビングにて、
「今日は3月13日ですか、明日は𝑾𝒉𝒊𝒕𝒆 𝑫𝒂𝒚ですね、千聖さん、返す気でいたのに、残念ですね」
「仕方がないわよ、自分ひとりで抱え込んで、限界がきたら爆発しちゃったんだもの」
「ちなみに、聞くけどよ、デュークはどんくらい貰ったんだ、あの何も食えないシャイボーイのことだから、1個も貰ってないとかだろ?」
「···」
「···写真があるから見ますか?」
「···え、なにこれ、全部チョコなの?」
 みんなは何も言わずに縦に頷く。
「まぁじかぁ、うわぁ、ちょっとどころか、盛大に引くわぁ···え、ちょっと待て結局これは、どうなったんだ?」
「手伝ってくれた男子達にあげたと私たちは聞いている。」
「ぜってぇ、糖尿病になりそうだし、最低でもニキビは大量にできそうな話だな。」
「まぁ、実際貰った男子たちは日が経つに連れて、顔色わるくなってた。」
「くいすぎなレベルじゃねぇか!」
「千聖先輩があれを食べていたらどうなってたことか、」
「デュークは万が一でも食わないとは思うけど、もし、食べたら暴走する可能性たかいだろうな」
「結果的には、何一つ口にしてはいないけどね」
「まぁ、ならいいや、」
「...ちさ、帰って来ないかな」
「まだ、難しいよ。組織から連絡があったけど、精密検査は順調に進んでいるが、もうしばらく待てってさ...」
「そんなァ~~~」 
 と、嘆きに浸かっていると、
「ただ今じゃ、お主達」
「!!ラテ、今までどこ行ってたの!?」
「わしだけでは無いぞ」
「···」
「ちさ!?」
「あぁ、ただいま···」
「あれ、精密検査終わったのか?」
「検査はな、結果に関しては後々送られてくる」
「ってことは、私はここまでだな、」
「いや、JJしばらく休暇ならここで泊まっていけ」
「え、まじ!やったァー」
「大丈夫なのかい?」
「あぁ、問題はないJJがいるのはせいぜい2週間程度だからな」
「いえ、凪紗さんが言いたいのは千聖さんの身体の方では?」
「あぁ、恵那の言う通り千聖の身体を心配したんだが、」
「···それは、済まない。はやとちった。特に問題ない。そうでなければここにこんな早く帰って来ていない。」
「···」
「主の言ったことに不安。というより信頼が置かれていないようじゃの。」
「ちさの問題ないとか、大丈夫は信用出来ない。」
「同感します。普段無茶ばかりするからこそ。安心させるような言葉は逆に不安にさせていますよ。」
「では、どういう言い方が皆を心配させないんだ?」
「···言葉ではなく、行動で見せて欲しい」
「了解した。では、しばらく、キッチンを借りる。」
「手伝う?」
「いや、俺一人で十分だ」
 そうして、千聖がキッチンに立つと。ものの数分で作業を始めた。しかし、千聖でた行動は皆を驚かせた。
「!まさか、私の能力かい!?」
「そうだよ、前に言ったでしょ。能力が全解放されてるって、だけどちさの物体移動は凪紗ほど大きいものは動かせないよ。」
「動かせないとは言っても、精密さが凄いんだけど」
「一気に10個動かしてる!!」
 3つのボールに材料をそれぞれ一気に投入して混ぜていく
「···!!!栞これはまずいことになった」
「どうしたのいつになく必死になってるけど、」
「このままだと、私たち二人の手伝う余地が無くなってしまう」
「まぁ、ご飯の時は無いかもね。」
「良かったじゃない、やること減ったのだから」
「良くない!!私と栞の出番が減ってしまう!!」
「メテェナ!」
「···大丈夫だ、今だけだ。夕飯の準備は手伝ってもらうから。今作っているのは俺の手で最後まで作りたいと言うだけの話だ、出番が無くなる訳では無いから安心しろ」
「なら、いいけど」
 そして、千聖がキッチンに立ってしばらく経つと。
「よし、あとは焼くだけだ」
 オーブンに焼き物を入れる。
「それじゃ、栞、美紀。夕飯作るから手伝ってくれ」
「うんOK」
「よし、やろう!」
 3人でキッチンに出し人数分の料理を作り。食事にする。その光景は前の光景と一緒の皆の幸せが溢れるものだった。
 夕飯が食べ終わり、千聖以外の全員はお風呂に入り。千聖は作業に取り掛かって葛藤し始める。
「うーん、これでいいものか」
 完成したものに不満がある千聖
「千聖さぁーん。上がりました!」
「······あぁ、わかった」
「ところで、さっきから気になってはいましたが、何作っているんですか?」
「先月のお返しに作っているんだが、あまり納得が行ってなくてな。もし良かったら試作があるんだ皆で食べてくれ、飲み物もいるな、なにがいい?」
「じゃ、オレンジジュース下さい」
「了解した。」
 恵那に続いて、みんなも試作を食べる
「別に美味しいけど、悩むことあるのかな?」
「いや、美味しというのなら問題は無いんだ。味の保証がついただけありがたい。」
「あぁ、そっか、千聖は食えねぇもんな」
「それもあるがこう行った。デザート系は普段あまり作らないからな、分量を間違えると味変わってしまって不安材料が
増える要因になる。」
「しかも、これから尋常じゃない数作るんですよね?」
「あぁ、約200近くな」
「それ、病み上がりの体でもつ?」
「そう、心配するな。同じ工程を何度もやるだけの事だ。身体への負担は心配にあたるほどではない。」
 フランの心配の眼差しに戸惑う千聖。
「···適度に休憩するから、な」
「······わかった、信じる」
「ありがとう。フラン」
 そう言って頭を撫でる千聖と嬉しがるフランだった。
 その後、自室に戻ったり、作業している千聖を見守るなど、各々自由に過ごした。 
 翌日、早朝。
 一晩中作業に取り掛かっていた千聖
「よし、これでいいだろう」
 約200個のカップケーキに飾りつけをする。
「···おはよう、ちさ、終わったの?」
「おはよう、フラン。いや、まだ入っているものがあるから、それを飾りつけすれば終わりだ」
「···ちゃんと、休んだ?」
「あぁ、もちろん、焼いている間に休憩は挟んださ」
「なら...いい」
「...なに飲みたい?」
「...紅茶、ちょうだい」
 ひと時の朝の二人だけの空間、決して会話を交わすわけではなく、ただ淡々と時間の流れを待つ。
「じゃ、出かけてくるから、家の事頼むぞ。1時間しないくらいで帰ってくるつもりでいるから」
「うん、行ってらっしゃい。」
 千聖は、包みを持って外に配りに行った
「ほんとに、あの量作って持って行きやがった。」
「まぁ、千聖様は律儀な方ですから、ちゃんとした日に返さないとって思っているのかと...」
「それでも、一晩で200近くのお返しものを作るなんてどんな忍耐力してんのよ」
「しかも病み上がりの身体で」
「まぁ、シャイボーイは昔っから無茶ばっかりだったからなぁ。それでも今のデュークは変わったよ。あれだけ、感情がうっすいデュークが誰かの為に行動を起こすとか、考えらんないわ」
「確かに、昔の千聖様と比べてしまってわ、だいぶ変わりましたね」
「どんだけよ」
「それだけ変化が生まれたわけだ、良いことじゃないか...」
「いい事なのかのぉ」
「悩んむことあるの?」
「主の身体はしばらく本調子に戻ることはない事がわかってるんじゃ、下手すれば、前にみたいに能力を何回か使うだけで限界を迎えてしまうこともあることにはあるじゃよ。」
「それ先言って...」
「黙っとれと主に口止めされていたんじゃよ、前みたいに何食わぬ表情をするじゃろうが、身体に対しての疲労は前より大きいじゃろうな」
「...じゃ、千聖さん以上に気遣わないとですね」
「そうーしよっか」
「どうせ、千聖は身体に出るでしょうからね」
「とりあえず、帰りを待ちましょう」
 そうして、待つこと1時間
「···ただいま、」
「!また、急に現れないでよ!玄関からちゃんと入って来なさいよ!!」
「···すまない、だが、玄関から入ったぞシアの目で見えなかっただけだ。」
「そんなわけないじゃない、」
「あ、いや、本当に玄関から入って来てますよ、ほら」
 愛美は、能力を使って映像を見せる
「速すぎるので、スロー再生にしてます」
「あぁ、スローにしてまで正確に見えていないって、どんだけ速いのよ」
「前に体力テストでの、50メートル走
 1秒もなかったよね?」
「ハッハァー、相変わらずデュークははぇなぁ」
「···立証できたかな?」
「まぁ、これは今に越したことでもないもの良いわ、でも驚かすような行動は控えて頂戴。わかったわね」
「あぁ、気をつける」
「ところで、主よ。なにか身体に異変は無いかの?と言ってもワシにも何らおかしいことは起きていないから平気なのは分かるんじゃが」
「これといって問題は無い。むしろ前より身体動く」
「なら、いいじゃろ」
「...じゃぁ、やっとゆっくり出来るの?(´-`).。oO」
「いいや、まだやることがあるがそっちは急ぐ必要はない事だから、多少はゆっくり出来ると思うぞ」
「良かった(*^_^*)」
「それじゃ、もう今日はゆっくりゆったり休もう!」
「あぁ、そのつもりだ」
 そうして、いつも通りの日常が戻ってきた。しばらくはのんびりまったりして過ごすと。
「さて、そろそろ準備するか、」
「待って、千聖。今日こそは私たちにも手伝わせて、待ってるだけは退屈すぎるから」
「...あぁ、わかった」
不服そうな表情の美紀と
「(私たちってことは私も含まれている。別にいいんだけど)」
私もやるんだ?という感情を持った栞がキッチンに立つ。
栞が材料を取るために冷蔵庫を開けるといつも入っていないものに気づいて
「?千聖くんこれ何?」
「···あ、それか。後でのお楽しみだ。」
「栞、こっち手伝ってほしい」
「あ、うん。わかった」
気にかけた栞だったが、焦りだした美紀に手伝いを要求され、結局真相は掴めないまま夕飯となった。食べ終わってみんなが入浴中に千聖は冷蔵庫から物を取り出して、それに飾りをつけていく。
「ちさとー!!上がったよォー」
「あぁ、わかった。みんないるか?」
「行っけどなんかあんのか?」
「...まぁな、真白。ここに座れ真白が主役だからな」
キョトンとする真白は言われるがままテーブルの椅子に座る。そして、真白の目の前にワンホールケーキが置かれた。
「誕生日おめでとう。真白」
「!!!」
「え!誕生日だったの!?」
「あぁ、去年もこの日だったから覚えていたし、去年祝っておいて今年は祝わないなんて、俺のプライドが許さなかったものだから。用意したんだ。少し昔の話をするか、この家の最初の家族である真白は約1年の半月程度ここに住んでいる。最初の頃はお互い距離がなかなか会話がなかった。何とか打開しようと思っていたら、誕生日の存在を知ったから今と同じように祝ったんだ。まぁ、今年は去年と比べて、豪華で騒がしくて明るい家庭になったがな。」
「...あ、あの 千聖お兄さん。その、ありがとうございます。」
「どういたしまして、それと、みんなにもお返ししなきゃな、真白の誕生日ケーキと一緒のものだが、こっちは先月のお返しだ。真白のと一緒にみんなで食べてくれ。」
「市販品じゃないよね。こんな大きいの見たことない」
「あぁ、みんなで沢山食べれるように作ったんだ。」
「やはり、千聖には毎度驚かされるね。とりあえずいただこう。それと紅茶を入れてくれるかい?」
「あぁ、みんなも飲みたいもの入れるから言ってくれ。」
そして、しばらくみんなで千聖の作ったケーキを堪能する。そして、
「...真白、それとこれは誕生日プレゼントな...といっても、俺からじゃないんだが。」
真白の前に長方形の箱を渡す。
「?どういうことなのかしら?」
「これを、渡してと言ったのはDDなんだ。」
「はぁ!あの脳筋ゴリラが!!」
「というのも」
回想
ここは精密検査の途中で千聖が検査服で休んでいる時、
「おい、デューク。これやるよ」
「なんだ?これ」
「タブレットだよ。ケースとフィルムも入ってる。」
「俺には、不要なものなんだが。」
「お前にじゃなくて、あのちいせえ嬢ちゃんだよ。あの探知できる嬢ちゃん。レーダーに触れて能力を発動した時反映されたからな。それに、1人だけ連絡手段ないの辛いだろ。常に誰かと行動しなきゃ行けねぇんだからな。それ持っときゃ、地図アプリでも能力使えればすぐ場所わかるだろ?」
「...わかった。渡しておこう」
千聖宅にもどって、
「というわけだ、設定に関してはこっちでやっておいた。ロックのパスワードは箱の中に紙で入っているし、タブレットの内のデータに保存してある。あと、分からない事があったら聞いてくれ。これはもう真白ものだ。基本的に好きに使っていい。」
「あ、はい」
「それじぁ、後でみんなの連絡先交換しておこっか!」
「...はい!」
こうして、千聖達に日常が帰ってくるのであった。
                                                              続
そして、次の舞台は過去に繋がる。
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