僕物語

如月 怜

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僕物語 第2章「想いと、思い。」

第5話(真実と偽りの境界線。)

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「なんで探すの?」


「それはっ!
 それは怜が……」

僕は言葉が見つからなかった。
すると怜は泣きながら僕へ想いを話した。


「家族だから!?
 そうなんでしょ!?
 美咲さん放ったらかして
 なんで私に構うの!?
 そんなことなら探して
 欲しくなんかなかった!!
 美咲さんがいるんでしょ!?
 私なんか放っといてよ!!
 もう嫌だよ、、、」

その言葉が僕の気持ちに引っかかった。
そして僕は初めて怜に怒鳴った。


「バカなこと言うなっ!!」

怜は驚いたのか身体を小さくして震えていた。
しかし僕は抑えていた想いが爆発してしまい、そのまま話し続けた。


「家族だから!?
 だからなんだよ!
 家族でも家族じゃなくても
 怜はたった一人心を許した
 大切な人なんだよ!
 話しかけてくれた時や再開した時、
 抱きしめあった時、
 今まで怜と過ごした全ての時間が
 大切なんだよ!
 怜が引っ越した時、
 僕は涙が止まらなかった!
 大切な人と離れるのがあんなに
 辛いと思わなかったんだよ、
 同じ想いをしてほしくないし
 僕もあんな思いはしたくない、
 怜を独りにしたくないんだ、
 怜が大切だから、」

怜は言い返して来た。


「でも美咲さんと
 付き合ってるんでしょ!?」


「それは違うよ!!」


「違わないよ!
 美咲さんが言ってたの聞いたもん!」


「っ!!
 じゃあの時廊下を走ってったのは、」


「そうだよ!
 私だよ!」

そう。
あの時廊下を走って行ったのは兄ではなかったのだ。
あの時追いかけていれば、
僕は勘違いをしていた。
この勘違いのせいでこのまま怜が勘違いしてたら、そう思うと心が張り裂けそうだ。
僕は正直に話した。


「あれは兄貴かと思って、
 だから追いかけなくて、ごめん、」


「今更なんなの、
 ………。
 もういいから早く美咲さんの
 ところに行ってあげたら、、?」

怜は泣きながら言った。
とても悲しい顔をしていた。
怜のこんな顔は初めて見た。


(このままじゃだめだ。
 また怜を傷つけてしまう、)

僕は決心した。


「なぁ怜、
 僕の好きな人、
 僕の好きな人は美咲じゃないよ、

 僕は……、
 僕は怜が好きなんだよ、
 誰よりも好きなんだよ、
 美咲が言ったのは嘘なんだよ。
 美咲が僕のことを好きで、
 それで嘘をついたんだよ。
 もちろん好きって言われたのは
 嬉しかった。

 でもそれでも僕は怜が好きだし、
 怜が大切だよ、
 美咲の気持ちと偽りの言葉が
 答えをくれたんだよ、
 自分の気持ちを隠さずに
 伝えることが大切だって、
 美咲が教えてくれたんだ。

 でも、、、
 それでも僕は怜が好き。
 これが偽りが教えてくれた
 僕の真実だよ。」

自分でも何を言ってるのかわからなくなっていた。
しかし怜は全てを理解してくれた。
そして怜が言った。


「あぁー、
 また先に言われちゃった、」

怜は泣いていた。


「大丈夫?」


「大丈夫!
 だって、嬉しいんだもん!」


「……え?……」

僕は驚いた。


「嬉しいって、、」


「そうだよ?
 私も…好きなの。」

僕は言葉を失った。


「あなたが…好き。」

変態だと思われてもどう思われても構わない。
そう思った僕は言った。


「………、
 あのさ、
 だめかもしれないけどさ?
 それでも僕の一つの願い、
 聞いてほしいな、」


「なに?」


「ホントのじゃないけど、
 家族で妹だけどさ、
 僕と…、
 付き合ってくれませんか?」

怜は答えた。


「私も…同じ気持ちです。
 こちらこそ、
 よろしくお願いします。」

2人の想いに赤い糸が繋がった瞬間だった。

怜と僕は家路を急いだ。
美咲にも事情を話した。



過去に犯した罪が消えることはない。
でも後悔はしてない。
偽りでも真実でも、
過去が未来を作り出すのならば、
過去での軌跡と未来への奇跡を心に抱きながら、
現在イマこの時を過ごして行こうと思う。

2人で充実した人生を、
生きて行くとしよう。



僕物語 第2章

「想いと、思い。」

END
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