箱庭のエデン

だいきち

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後日譚 二人の恋愛事情 5 *

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「っどこ触って、ぇ……っ……」
「ん、言ったでしょ」
「ぁ、そんな、とこっ、ま、まって、っ」
「男同士でできるって」
「ぃや、アッん、んむ……っ」
 
 由比都のなけなしの抵抗も、夜見は容易く口付けで塞ぐ。拒む言葉は舌で押し込められ、薄い手のひらで夜見の肩を押し返そうにも難しい。ベットを軋ませて、夜見の濡れた手が由比都の左足を抱えるように持ち上げ、覆い被さってくる。厚みのある体で、押さえ込まれてしまうのだ。
 唇の隙間から、わずかな呼吸のみを許される。味蕾を摩擦するようないやらしい口付けに、夜見の腹で押し潰された性器から白濁が漏れた。
 
「ちゅ、ふ……っ」
「もうちょい、……頑張れる?」
「ぅ、夜見……ゃだ……」
「後でいくらでも殴っていいから、今だけ……お願い」
「っ、ん……」
 
 由比都を見下ろす夜見の顔が、切なそうに笑みを浮かべる。また、由比都の見たことのない顔だ。
 夜見の性器は、由比都のお尻の肉に埋まるように存在を主張してくる。下半身は全然可愛くないのに。夜見はずるい。
 由比都が甘やかしたくなる表情を、きっと理解しているに違いない。
 鼻先が触れ合って、甘えるように何度も唇を啄まれる。結局、ダメだった。由比都が答えるように夜見の唇を啄んでしまったから、調子に乗らせてしまったのだ。
 
「気持ちいって言って、どこが好きか、俺に教えて」

 そう言って、夜見の手が由比都の蕾に触れた。
 出すところで、入れるところじゃない。こんなところで気持ちよくなれるわけがないのに。夜見の頬に擦り寄るように、開かされた足の間へと目を向ける。濡れた夜見の手首に持ち上げられるように、慎ましく勃ち上がった由比都の性器があった。もちりとした袋を、時折手首が押し上げる。無骨な手が由比都の蕾に先走りを塗り込むたび、媚びるように性器が夜見の手首に懐くのだ。
 その、もどかしい性感にまた性器が硬くなって、羞恥を煽る。
 
「きもち、ぃ……」
「いいこ」
「あ、っ……それ、くすぐった、ぃ……っ」
「くすぐったいだけ……?」
「っ……きもち、ぃっ」
 
 夜見の指先が、にゅくりと由比都の蕾に侵入してくる。指の形を覚えるようにちゅうちゅうと吸い付いてしまうから、勝手に腰が持ち上がってしまう。
 太腿に力が入って、指を締め付ける。先程の排泄感とはまた違った感覚が、下腹部に重だるく溜まっていく。
 
「よ、み……っょみ、こぁ、い……っ」
「首に腕回して、くっついてていいから。ん、いいこだね」
「っぁ……い、ぃこ……っ」
「ちゃんと、気持ちいいって言えていいこ」
 
 薄い腹が震えて、夜見の指を締め付ける。
 甘やかすように頬に口付けられ、由比都はいいこだと誉めそやされる。
 胸の奥の、柔らかいところが甘く鳴いて、夜見の熱い体温が嬉しい。尻に押し付けられた太い性器が、由比都の尻を先走りで汚すのだ。
 男の体で、ここまで夜見が興奮している。その事実が、由比都の体を素直にさせる。
 
「っ、ぁ……そ、そこ、っ」
「ここ?」
「ぅあ、っン……っきもち、ぃ……っ」
 
 股の間で、手首を由比都の先走りで汚しながら指を動かす。夜見の鍛えられた胸の谷間を汗が流れて、由比都のお腹にぽたりと落ちる。奥を暴かれるのは慣れなくて怖い。けれど、夜見の頬に己の頬を重ねるようにして抱きつけば、夜見が宥めるように首筋に口付けてくる。
 そうするとすんなりと力が抜けて、また指の挿入が深くなるのだ。

「ぁ……開いちゃ、ぁ、あ」
「二本入ったよ、お腹平気?」
「ぅ……じゅ、うじゅする……ぁ、っ」
「ン、俺のお腹でオナニーしないの」
「腰、がっ、勝手に、っ」
「ああ、じゃあここが由比都の、」
 
 気持ちいところだ。
 夜見が、そう口にした瞬間。由比都の性器は夜見の腹で弾むようにして精液を吹きこぼした。
 かくん、と腰が揺れて、ねばつく白が熱を伴って夜見の割れた腹を汚す。頭に血が上ったように何も考えられない。藍色の瞳を曇らせながら、だらしない顔で荒い呼吸を繰り返す。
 
「っは、ぁ……はあ、あっ、ぁ……っ
「えっち」
「ン、ぃ……っぅあ、あっや、ンめ、っ」
「なんで。上手に体の力抜けてるから、今しかないでしょ」
「ひゃ、あ、ああ、あ、あ、あっそこダメ、えっ」
 
 瞳を大きく見開いて天井を仰ぐ。夜見の楽しげな声が聞こえているのに、体に縋るだけで必死だった。口からは、ひっきりなしにだらしない声が漏れている。全身へと鋭い性感が走り、夜見が指を動かすたびに腰が跳ねる。
 夜見の腹に塗りつけるように先端で精液をかき混ぜながら、聞くに耐えない音を作り出す。
 グチュグチュという内臓をかき混ぜる音が、夜見よって侵されているのだと記憶させる。
 腹の内側でしこったそこを、より一層強く押し潰される。薄い腹が震えて、ガクンと腰が跳ねて、膝から力が抜けた。ベットを軋ませながら身を落とせば、夜見の指が体液を纏いながら引き抜かれた。
 
「頑張れば、中でイけそうだね」
「からだ……っ、変……」
「変じゃないだろ」
 
 夜見の手が胸元に伸びて、ふくりと腫れた胸の突起を摘まれる。鋭い疼痛が胸に走り、かふりと空気を漏らした。
 
「いいこは、なんていうんだっけ」
「っ……きもち、ぃ……」
「可愛い、上手に言えたね」
「っン……」
 
 柔らかく目元を緩ませて、夜見が笑みを浮かべる。素直になった由比都を見て、嬉しそうに笑うのだ。
 夜見の手のひらが頬を撫で、指先が唇に触れて、紋の刻まれた舌を愛でる。
 だらしなく身を投げ出しているのに、体液に塗れた由比都を見下ろして、愛でられる。
 これは、すごくいけない。勘違いをしてしまいそうになる。
 由比都は可愛いんだ。素直で、いい子にしていれば。夜見がいっぱい嬉しいを見せてくれるんだ。
 じゃあ、今だけは、こうして肌を重ねている時だけは、バカになるのもいいかもしれない。
 そんな具合に、おつむが緩くなってしまう。
 
「お……」
「なあに」
「お腹、きもち、ぃ……」
「可愛いね」
「だ、から……、も、もっと、してほし……」

 言葉にするのは、だいぶ気力がいるけど。それでも、呆気にとられた夜見の顔が、額まで赤く染まって悔しそうに歪む。そんな可愛い表情を見れるのなら。由比都は矜持を捨ててはしたなくなれる。
 うるり、と獣みたいに喉を鳴らして、夜見の額が由比都の額と重なる。震える手で頬を包み込むと、顔を傾けるようにして口付ける。
 
「ン、ゆい」
「ふ、ンぅ」
「ゆ、いと」
「ぁ、よ、み」
「ン、待って」
「ゃだ、ほし……」
「~~~~っ」
 
 夜見の言葉を奪うように、啄む口付けを繰り返した。精一杯の甘えたは、効果覿面だったらしい。由比都に体重をかけまいと体を支えていた夜見の腕に力が入る。太い血管が手の甲に浮かび上がり、キツく握り込まれると、夜見は声を絞り出すように宣った。
 
「優しく、したいんだってば……っ」
「ぅ……」
 
 こめかみに血管を浮かび上がらせて、信じられないくらい治安の悪い顔を晒す。大きな獣が、由比都からのを待つように、腹を空かせてお利口にしているのだ。
 火傷しそうなほど熱い性器が、由比都の袋を持ち上げるようにして擦り寄る。重量感のあるそれは先走りをこぼしていた。ぬるつく先端が、指を飲み込んでいた蕾へと当てがわれる。まるで媚を売るように蕾が性器へ吸い付いて、由比都の足は勝手にだらしなくなった。




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