上 下
112 / 164
カストール編

111

しおりを挟む

「はああああ!?!?」

ギルドの中で、エルマーの声が響いた。
受付で渡された闘技に関しての説明書きで、納得の行かないものがあったのだ。
闘技場での余興が、今回に限り防衛戦へと変わったのだ。それも、選ばれた部外者を守り抜くという余興である。
本戦であるデュラハン討伐までたどり着かない者も多いと聞いて、参加者が減ったのだ。
通例なら命を危険に晒すようなことは行われない。しかし、観覧料で成り立っている運営が滞ることを懸念して、より集客の集まりそうな催しに替えたらしい。


「もうやめりゃあ良いじゃん観客巻き込むようなやつ。」
「エルマー、闘技に出る人って土地もほしいけど結婚したい人もいるんだわ。」
「もしかして定住してもらうためか……?」
「まあ、婚活も兼ねてる的な?だから僕だって入れ喰いだっていったじゃん。」

ユミルの言葉に、エルマーがひきつり笑みを浮かべる。
危険な命の遣り取りをする環境で、互いに芽生える恋を推奨しているらしい。
開放的すぎんだろ!!エルマーのがなる声に、レイガンも同意する。
どうやら今回の予選は対人に対する立ち回りだけでなく、護衛の技量も問われるようだ。
しかし観客を巻き込むと一口に言っても、防衛戦で守る相手は選ぶこともできる。ようするに、闘技に参加してないものなら誰でも構わないのだ。
守る相手がいない場合は、ギルド側が事前に配った観戦チケットの通し番号から適当に選ばれる。

「くそ、ナナシ。俺と組んでくれ」
「いいよう」

ナナシの腰を抱くようにして引き寄せる。そんなエルマーを前に予測はついていたのか、レイガンはユミルの手を握ると、真っ直ぐに目を見つめて言った。

「守られてくれ。」
「なにそのプロポーズじみた言葉!」

悲鳴をあげるようにユミルが宣った。
もしかしたらこうなるかもなとは思っていたが、まさかそんな言い回しをされるとまでは予測していなかったようだ。
ユミルは耳まで赤く染めると、照れ隠しのように渋い顔をする。
指名を受け、防衛戦へと向かう人は誰もが誇らしげだ。辺りを見渡せば、すでに何組か出来上がっていた。
ユミルだって、これが初めてではない。だからこそ守られる側の行動なども知っているはずだ。
ただ、こんなに真っ直ぐに求められたことがないので、どうして良いのかわからない。
顔を赤くするユミルに鈍感なレイガンは気づくわけもない。
それはそれで悔しい気がするとむすくれると、仕方なくといった空気を出して了承した。

「ユミル、おかおあかいね」
「ああ、あいつ惚れっぽいからなあ。」

エルマーの手を握り、キラキラとした目でナナシが見つめる。どうやら何かを嗅ぎ取ったらしい。
ご機嫌なナナシへ、エルマーはユミルへと呆れた目線を向けながら宣う。

「こい?ユミルこいした?はわあ……はじめてみた」

他人の恋路に興味を持つナナシの頭を撫でる。
エルマーからしてみれば、カストールは通過点でしか無い。レイガンもここに留まることもないだろうことを考えると、ユミルも難儀な相手に惚れたものだ。
恋に苦労してそうな幼馴染を、エルマーは少しばかし哀れんだ。












「いっけええガス!!お前の底力観衆に見せつけてやれエエエ!!」
「うおおおおお!!」

土煙が上がる中、観衆は大いに沸き立っていた。
まさか初戦でガスとデールの試合を見られるとは思わなかったからである。
ガスと呼ばれる大男は、牛の獣人だ。その整った顔立ちと男なら憧れるであろう見事な筋肉の鎧を惜しげも無く晒すと、引き千切ったシャツを高々に投げ捨てた。

「ほしい!あの後ろの獣人!ガス、赤毛を倒したら、あいつをうちのもんにしよう!」
「主がそういうんならそうしよう!聞いたか赤毛!!お前の後ろの雌は、このデール様のものにする!!」

ガスとはちがい痩せぎすの男は、興奮を隠さぬままに掲げた指先を、ナナシへと向けて振り下ろした。
乾燥気味の指先に捉えられたナナシはというと、心配そうにエルマーの顔を覗き込んでいるようだった。

「んー、おめめごろごろへいき?」
「あの馬鹿が砂嵐なんて呼び寄せっからよお。ナナシは平気か?」
「ナナシはいたくないよう」
「そりゃなによりだあ」

ガスとデールの派手な登場に丸無視を決め込んだエルマーはというと、ナナシの手に頬を包まれながら文句を言っていた。
デールが呼び起こした砂嵐の細かな砂塵が、左眼に入ってしまったらしい。
戦いの場だと言うのに、二人の世界を作り込んでいる様子に、ガスとデールは顔を赤くして震えていた。

「こいつら、もしかして余興の意味をわかってないんじゃないかデール……」
「盛り上がらねえと金は落としてもらえねえ。そうすっと、運営が苦しくなっちまうぞガス」

囁きあうようなやり取りは、この見世物じみた防衛戦の初戦がヤラセだということを示していた。
ガスとデールは強い。この闘技場で最初に勝ち進んだ元冒険者で、今はギルドから闘技場運営を任されている立場であった。
二人には責任があった。それは、この闘技場に観客を呼び込んで、地域に金を落としていってもらうという大切な役目が。

「……なあガスやい。あいつギルドランクFらしいから手加減してやんな。ほんで勝ったとしても、あの雌を傷つけるな。ああいうこは酷い目に合うほうが金儲けになるけれど、実際にやっちまって泣かせたら、可哀想だろう。」
「デール、でもいいのか?あいつの雌、すげえ上等だぜ?きっとパフォーマンスで酷いことしても、後で事情を話せば許してくれるだろう。ああいう別嬪は心まできれいだってばあちゃんが言ってた。ほらみろよ、優しそうだし。」

盛り下がってきた闘技場を任された悪役演者でもある二人は、きちんと対戦相手のランクを見て相手をする生真面目さもあった。
本気で来られればこてんぱんに負かすこともあるが、あとからギルドを通して事情が説明されるし、ガスとデールだって悪役であって本気で悪いわけではない。ただ顔の作りが怖いだけである。
痛めつけた側にもきちんと謝るし、捕らえた雌だって酷いことはしない。きちんとお土産を渡して返す、実に立場を理解した上で働く善良なもの達であった。
エルマー達ののほほんとしたやり取りのお陰で、会場は徐々に白け始めている。このままではまずいと判断したデールが、慌ててガスの角を掴むようにして耳元で囁いた。

「おいガス、あとで雌には謝るとして、もういっちょ煽ってやってくれ。このままじゃ観客が白けちまうよ。」
「おうよ、せっかくなら楽しんでもらわねえと。……おおい!!怖気づいたか赤毛ェ!!お前の雌奪い取って、てめえの首をキーホルダーにしてやるか、」

ら。とガスが全て言い切ることは出来なかった。
二人の目の前に、地べたにしゃがみこんでいるナナシしかいなかったからである。
守りの対象を放置したエルマーに、ガスは大慌てであたりを見渡したその時、会場から沸き立つような声が響いた。

「な、なん」

ガスの頭上に、黒い影が差した。
慌てて顔を上げたガスの視界に入ってきたのは、太陽を背負うようにして跳躍したエルマーであった。
黒い影を纏った体が、靭やかに捻りをくわえた。遠心力を利用するように振り上げられた長い脚が、雷のような勢いでガスへ向かって振り下ろされたのだ。

「ガス、防御!!」
「うわあ!!!」

デールによる咄嗟の判断で、ガスは筋力を腕に集中させて一打を防いだ。
骨身に響くびりびりとした痛みに全身を苛む。
腰を落として受け止めてよかった。間に合わなければ、きっと腕が折れていたかもしれない。
足技を防いだ腕で、弾くようにしてエルマーを遠ざける。
どんな身体能力だと呆れてしまうほどなめらかに、エルマーはストンとナナシの前に降り立った。

「お、おまえ急にそれはねえだろう!!」
「あ?なんでよ。闘技だろうが。俺ルールとか知んねえもん。」

気だるそうに宣うエルマーに、ガスもデールも言葉が出なかった。
デールによって治癒された腕は治ったが、もう一度やり合うのは正直怖い。
ひきつり笑みを浮かべるガスを知ってか知らずか、ナナシはほっぺを赤らめながらエルマーの腰に抱きついた。

「ナナシもやりたい、」
「だめだあ。お前やると酩酊させて一発だろう」
「はわぁ……」

エルマーの言葉に、ナナシのお耳がしょんもりと下がった。
なんで守られる側が嬉々として混ざりたがるのかさっぱりわからない。
どちらにしても、初戦からえらいのとぶつかってしまったと焦るデールの気持ちは、しっかりと判断を鈍らせていた。
デールの手が、ガスの体へと触れる。そのまま術を行使する様子を前に、エルマーの目はすっと細まった。

「まじかよ!!デールお前、それは久しぶりすぎる!!」
「こうなったらこっちも手加減はナシだあ!!好きなだけやれガス!!」

デールがガスに施したのは、ガスの強すぎる力を制御するための箍を外す行為だ。
初めての出場での勝ち上がりは実にあっけないものだった。
ここを任されるようになってからは、デールはガスと話し合いをして制御することにしていたのだ。

「ったく人の嫁を雌メスいいくさってよぉ。」
「赤毛ェ!!今度は簡単にはいかんぞ!!男なら正面切って俺の突進を受け止めてみな!!」
「ナナシはただの雌じゃねえんだよ。」
「うおおおおおおくらえええ!!!」

なにやら不機嫌なエルマーを前に、ガスはそれでも怖じることなく体を強化した。
ガスの足元の地面が、地鳴りとともに割れていく。土魔法を使ったらしい。亀裂は地面を走るようにエルマーとナナシの元へと向かう。
ガスは跳躍した。拳に力を込めながら。超え高く笑うように指示を出したデールは、指先をびしりとエルマーへ向けた。

「うはははは!!上はガスだし下は地割れ!!どうするう!!どこへ逃げるう!!」
「はあ……」

迫りくる地割れを前に、エルマーは逃げも隠れもしなかった。むしろ呑気に髪を掻いているだけであった。
誰もが逃げられないと思う状況であった。土煙が会場の視界を不明瞭な物にする。
グシャリと嫌な音が響いて、内心でデールが冷や汗をかいたときであった。

「はえ、」

風によって攫われていった土煙がすべてをあらわにする。
デールの目前では、飛び上がったガスが空中に張り付いていた。
一体何が起きたのだ。
静まり返る会場で、ガスはガラスの上を滑るかのような不快な音を立てて地面へ落ちる。
赤い血が縦に伸びる向こう側では、パタパタと尾を揺らしたナナシが、エルマーに頭を撫でられていた。

「守られる側のサポートはありなんだってなあ?なら結界もありだろう。」
「け、結界!?うそだろ!!ガスの突進は結界を破るんだぞ!?」
「突進だったらな。だけどお前が地割れして道塞いでんじゃねえか。」
「あ、」

不遜な態度のエルマーの言葉に、デールが間抜けな顔を晒した。
目前では、結界に気がついたらしいガスが頭を振って起き上がる。牛獣人という恵まれた体躯で致命傷にはならなかったようだ。
エルマーが感心したように見やれば、隣りにいたナナシが引き止めるまもなくガスへ駆け寄った。

「あたまごちんした。いたかった?へいき?」
「へ、へいき……おれ、う、うしだし……」
「うしさん、ナナシ、うしさんかわいくてすき」

敵だというのに、へにゃへにゃとご機嫌に微笑むナナシに毒気を抜かれる。
小さな手のひらが背伸びをして触れたのは、赤くなったガスの額だ。
ジンジンと痛むそこに暖かな体温が触れるなり、チカチカと光が弾けて痛みを消した。

「あ……」
「もう、いたいない?」
「お、おん」

きょと、と首を傾げるナナシを前に、ガスの頬がじんわりと染まる。敵だというのに、なんとも心優しいことである。
ガスは、うしさんかわいい。と言われて照れていた。大柄で、筋肉だるまな体をもじりとさせ、ひょろ長い尾っぽをブンブンと振り回す。

そんな和やかな空気にしびれを切らしたのか、デールは髪を乱すようにして叫んだ。

「ガス!ガスやい!いまがそのときなんじゃねえのかい!?」
「はっ、そうだった!!」

すっかり失念していた。そうである、勝敗はナナシを守りきれるかなのである。
ガスはほんわかした気持ちを叱咤してナナシに向き直ると、少しばかし痛そうな顔をした。
この雌に暴力を振るうのはちっとばかし心が痛むなあと思ったのだ。
せめてナナシが逃げ切れるゆとりを残すべく、持ち上げた両手を顔の前で開くようにして脅かした。

「うがあ!!襲っちまうぞ!!」
「ひぅっ」

ガスの怖い顔に、ナナシの体がぴょっと跳ねた。金色のお目々がじわじわと潤む。可哀想な事をしたかもしれないと、牛の耳を下げた瞬間。デールの悲鳴が背後から聞こえた。

「が、ガス!!ああっ!!」
「ぅぶぇっ!!」


気がついたら、ガスは地べたと口付けをしていた。
突然の出来事に頭が回らない。何が起きたとガスが首を動かして振り向けば、かろうじて見えたのはエルマーのブーツだった。

「な、なん……」
「ふー……」

深いため息とともに、背中に体重がかかる。変な声が出そうになったのは、デールを背負うように片腕で持ち上げるエルマーが、真顔でガスを見下ろしていたからだ。

「ひえっ」

金眼は感情を宿していない。顔に影をおとすように無表情で見つめられ、浴びせられた威圧に冷や汗が吹き上がった。

「体の内側から壊死させてやろうか。あ?」

なにそれ怖い。

低い声で宣った言葉は、ガスとデールにしか聞こえないほどの細やかなものだった。
このままでは殺される。ひっくと引き攣る喉を叱咤して、ガスとデールは揃って声を張り上げた。

「こ、降参んんんん!!!」








あんな怖い思いをしてまで続けられるわけがない。
ガスとデールは額を地べたに擦り付けるようにして、仲良く無様を晒していた。

「はい、ごめんなさい。復唱。」
「ごめんなさい!!!」
「ゴメンナサイ!!!」

大の大人二人が揃ってナナシの目の前で土下座である。
くすんと鼻をすする半べそナナシが、エルマーの背後からお許しをくれたときは、ようやっと肺に酸素を取り込めた。

どうやら自分たちはこの男の地雷を踏み抜いたらしい。そんな起爆装置みたいな相手と知っていれば、初戦で当たる前にやめてくれと手を回したというのに。

「ガス、まだ終わりじゃねえ。ほら、あれ言わねえと。」
「はっ、そ、そうだった。」
「あん?」
「あっ、そっ、そこにいてくれていいんで……」

いつになくしおらしい態度でガスが宣った。
睨みつけてくるエルマーを前に、デールと二人仲良く走って闘技場の中央まで向かう。まだ仕事は終わりではないのだ。
まさか久しぶりにこの言葉を言うことになるとは思いもしなかった。
ガスはなんとかセリフを思い出すと、大きな声でエルマーに向かって叫ぶ。

「ふ、フハハハは!!ここで終わりだと思うなよ!……せいぜいつかの間の愉悦に浸っているといい!!」
「んじゃあ次はレイガンとユミルか?」
「あっ、そうですね、はい。お疲れ様でした。ってまてまてまて!」

帰ろうとするエルマーをデールが取りすがるようにして引き留めるなり、ポケットの中から小さなカードを取り出した。

「なにこれ。」
「勝ったやつに渡してんだ。これ結構レアなんだぜ!?」
「ブロマイド?」

どうやら予選を勝ち進んだ相手にはカストールで有名な二人のサイン入りブロマイドを渡しているらしい。
しっかりと表情を作ったガスとデールの写し絵に、一度きりだがオートヒールの付与付きを施したしろものだ。
微妙に捨てるに捨てられない線をついてくる。エルマーは心底辟易とした顔でそれを受け取ると、ナナシが嬉しそうに覗き込む。

「ふわあ、かこいい……ナナシもほしい」
「やるよ。」
「ええ、いいのう?ふへ、」

ナナシはキラキラと光る二人の写真を手に持つと、デールとガスへにへらと笑いかける。
純粋なファンの称賛があるからこその仕事だ。ナナシの笑みを思い出せば、今後の辛いこともきっと軽減されるだろう。赤毛はめちゃくちゃに怖いが。

そんな具合に、ご機嫌に別のブロマイドにまでサインを書くものだから、控室に戻ってもナナシはご機嫌のままだった。
エルマーがこてんぱんにした相手に構ってもらうナナシの人懐っこさは相変わらずだ。

「お前ら実はいいやつだろ。」

控室のソファで足を組んだエルマーが、ナナシと一緒にどんぐりコマで遊んでいるガスとデールを見つめて言う。
もうすっかり打ち解けたらしい。見た目の割に随分と面倒見が良い。

「俺らは悪役だからなあ。ギルド長から盛り上げてくれって言われてるんだよ。たかいたかーい!」
「はわぁ、たかい!えるよりもたかい!」
「そのギルド長が怖いのなんのって、まあお前のほうが怖いけど。」

ナナシの体が、ガスによって持ち上げられる。天井に小さな手が触れるのが楽しいようだ。せわしなく揺れるオッポから見てもご機嫌は受け取れる。
ナナシの細腰を掴む大きな手にムスッとはしているが、ガスに欲はないようなのでエルマーは大目に見ている。

「ギルド長ってどんなやつなんだあ?」
「こええよ!魔女だし。なんか最近いっちゃってるってーかよう、なんか変なんだあ。」
「魔女……」

気難しい顔をしたデールが唸る。
魔女という言葉にエルマーが反応を示した。その後ろでは、ナナシがガスの太い腕に尻を落ち着けるようにして聞き耳をたてている。

「ミュクシル様の話か?」
「ああ、ガスがこの間怖い目にあったんだよなあ。」
「おー、そうだそうだ。パフォーマンス後で呼び出されたんだけどよう、なんか実験させてくれとか言われてよう。」

生身の体に、ドロみたいなもんを入れろって。
ガスの言葉に、エルマーの眉間にぐっとしわが寄った。
ドロ、それはつまり、あの土を水で溶かしたもので間違いないだろう。
鋭い空気をまとったエルマーに、ガスは慌てて否定をした。

「俺ぁドーピングはしねえって言ったんだ。だけどよう、ザイークの野郎は快く受けっちまったんだあ。」


薬は良くねえよ。と言うガスの頭を、ナナシの手のひらがよしよしと撫でる。
弾かれるように顔を上げたのはエルマーだ。その真顔の治安の悪さに、デールは危うく情けない声を上げることであった。

「ザイークって奴は、今日出場してんのか。」
「してるよう、ほら。あんたんとこのレイガンってやつの相手だあ。」

エルマーが息を呑む。控え室には、デールの言葉を待っていたかのように二戦目の合図が放送で流れた。
レイガンの名とともに、ザイークの名も高々と上げて。




しおりを挟む
感想 45

あなたにおすすめの小説

信じて送り出した養い子が、魔王の首を手柄に俺へ迫ってくるんだが……

鳥羽ミワ
BL
ミルはとある貴族の家で使用人として働いていた。そこの末息子・レオンは、不吉な赤目や強い黒魔力を持つことで忌み嫌われている。それを見かねたミルは、レオンを離れへ隔離するという名目で、彼の面倒を見ていた。 そんなある日、魔王復活の知らせが届く。レオンは勇者候補として戦地へ向かうこととなった。心配でたまらないミルだが、レオンはあっさり魔王を討ち取った。 これでレオンの将来は安泰だ! と喜んだのも束の間、レオンはミルに求婚する。 「俺はずっと、ミルのことが好きだった」 そんなこと聞いてないが!? だけどうるうるの瞳(※ミル視点)で迫るレオンを、ミルは拒み切れなくて……。 お人よしでほだされやすい鈍感使用人と、彼をずっと恋い慕い続けた令息。長年の執着の粘り勝ちを見届けろ! ※エブリスタ様、カクヨム様、pixiv様にも掲載しています

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

【完結】第三王子は、自由に踊りたい。〜豹の獣人と、第一王子に言い寄られてますが、僕は一体どうすればいいでしょうか?〜

N2O
BL
気弱で不憫属性の第三王子が、二人の男から寵愛を受けるはなし。 表紙絵 ⇨元素 様 X(@10loveeeyy) ※独自設定、ご都合主義です。 ※ハーレム要素を予定しています。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜 ・不定期

【完結】悪役令息の従者に転職しました

  *  
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。 依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。 皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ! 本編完結しました! 時々おまけのお話を更新しています。

【完結】ここで会ったが、十年目。

N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化) 我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。 (追記5/14 : お互いぶん回してますね。) Special thanks illustration by おのつく 様 X(旧Twitter) @__oc_t ※ご都合主義です。あしからず。 ※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。 ※◎は視点が変わります。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。 ★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

処理中です...