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シュマギナール皇国陰謀編
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「ほら!!しゃんとしなさい!!コルセットが締めれないでしょうが!!」
「おえええっや、やめろおおしぬうう!!」
「腹掻っ捌かれた奴がこれくらいで死ぬわけないじゃない!!エルマー、あんた顔だけはいいんだから活かしなさいな!!」
「うぐぇっ!」
レイガンは、ゲンナリとした顔で溜め息を吐いた。目の前では、エルマーの腹筋が痛めつけられるかのように、コルセットで締め上げられている。男らしい体を飾るそれはなんとも歪ではあるが、目的のためなら仕方あるまいと割り切るべきか。
顔を真っ青にしたエルマーが、コルセットの胸の部分に、肌色の水風船のようなものを詰めらた。男性らしい美しい体に無理やり作られた括れと偽乳。
あの惨めな格好は、レイガンも装う羽目になる。
そう、二人はジルバによってお膳立てされ、あろうことか女装をすることになったのだ。
「絶対おかしいだろうが!!なんで俺なんだあ!!ナナシもサジもいるだろうが!!」
「サジは一度女装して正体明かしちゃったし、ナナシちゃんはほわほわしてて癒やし要員すぎるのよ!お茶会ならまだしも、潜入ならある程度取り繕えるずる賢さが必要よっと!」
「おげぇっ!!やめ、腰にそんなひらひらっ、」
「それに、殿下にお会いするのにうら若き乙女なんて連れてけないわ!だからアタシの店の子から女装子二名つれていくから間違いもないですって、それをジルバ様がお膳立てしてくれたのよっ!」
「おのれジルバアアアアア!!!」
怨恨混じりの怒声が、室内に響き渡る。エルマーのこめかみに浮かぶ血管が何よりの証拠だ。
無理くり穿かされた控えめなパニエに下肢を隠され、ニセ乳を挟んだコルセットの上からパフスリーブのシンプルなドレスを着せつけられていく。
お針子とわかるようにエプロンまで付けられ、仕上げといわんばかりに、トッドに長い赤髪をシニヨンに纏められると、髪の色を変えるリボンで飾られる。
仕上がったエルマーは見事な女装に身を包み、満身創痍といわんばかりに這々の体だ。
「んもおおおお顔ー!!いつの間に傷なんて作ってんのよ!!ナナシちゃあん!!こいつの左目の痣を治してあげてえ!」
「はわ……はあい!」
「いい!!ぜんっぜんこまってねえからこれでいい!」
ポカンとした様子で一部始終を見つめていたナナシはというと、トッドからのご指名に慌てて返事をした。なんとなく、そうしなくてはいけないと本能的に感じ取ったと言っても過言ではない。
エルマーの頬に手を添えようとすれば、その手をガシリと掴まれ止められる。ナナシの手首に痕が残らない程度の優しい力ではあったが、エルマーはしっかりと顔に拒否を貼り付ける。
「ぅー……」
これには、ナナシも困った。エルマーの嫌なことはしたくない。眉を下げたまま、伺うようにトッドを見上げれば、それはもう満面の笑みで微笑まれた。
その瞬間、ナナシの中でエルマーの言うことを聞くことよりも、トッドが怒る方がエルマーにとってえらいことになるに違いないと、天秤が傾いた。
ふんす、と意気込んだナナシがこくりと頷く。そのままエルマーの頬を両手で包めば、その手の内側でエルマーがクチャっとした顔をする。拒否をしたいが、ナナシのする事に対しては強く出れない男なのだ。
「えええ……」
「だめ!トッドのがえるよりもつおい。」
「いやそれ、筋肉量では確かに強えけ、どっ!」
ゴンッと、トッドに頭を殴られる。筋肉量を指摘されたのが地雷だったらしい。トッドいわく、好きでついているわけではないとのことだ。
乙女心がわからないなんて!と、トッドは顔を背けて憤る。
「もおおまた縛るううう!!!」
「あんたはひとまずおしまい、次レイガンね。」
「俺もか…」
椅子に縛られジタバタするエルマーを、サジが指さして笑っている。己が蚊帳の外な分、この状況が愉快で仕方がないらしい。
アロンダートはというと、物珍しそうな表情でトッドの商売道具であろう、色とりどりの化粧品を弄っては遊んでいる。
レイガンは、ちらりとエルマーに目を向ける。男らしく鍛えられた美しい体は、コルセットと偽乳のせいか随分とメリハリのある体つきになっている。
男性が女性の服を着ているというのは分かるが、赤髪から焦げ茶の髪になるだけで随分と印象がかわる。肩幅はパフスリーブで誤魔化されているが、トッドの趣味なのかニセ乳は結構な豊満具合だ。
まあ似合ってはいる。変な男の性癖は刺激しそうだ。
「アレになるのか…」
「レイガンてめえ一蓮托生だかんな。お前も逃げらンねえんだよお!!」
「セリフが悪役じみているぞエルマー……」
随分と治安の悪い顔で恫喝してくるが、見た目がアレなのでなんとも言えない。そんな凄まなくても、一応ある程度の覚悟は決めている。任務のこととなると、己の意思を押し殺すことができるレイガンの方が、間違いなくこの場では大人であった。
レイガンは覚悟を決める。どこの国の言葉だかは忘れたが、男は度胸がないといけないと聞いたことがある。多分、そんな気がする。
余計な思考を散らすかのように首を振ると、深呼吸を一つ。レイガンは切り替えるように顔を上げると、その紫の瞳でトッドを見た。
「俺も男だ。よし、こい!」
「潔い男は嫌いじゃないわ…うふふ。いい顔、腕がなるわあ…」
トッドの背後には、仄暗い何かが。つまり見えてはいけないようなものを垣間見た気がした。
レイガンの背筋がぞくりと凍る。あ、やっぱなしで。と思い直すくらいに、捗ったトッドの顔は怖かった。
血管の浮いた無骨なトッドの手が、がしりとレイガンを拘束する縄を鷲掴む。薄赤に染まった爪先は、歴戦の猛者の証だろうか。トッドはブチりと音を立てて縄を引き千切る。
「えいっ」
軽い声かけと共に、レイガンのシャツは縄のついでに弾け飛ばされた。シャツを止めていたボタンが、四方へと散弾銃のように飛んでいく。その内の一つがエルマーの頬にベチりと当たると、青い顔をしたエルマーがゆっくりとレイガンから顔を背けた。
「さあ、あなたはさらに特別コースよ。」
「え、あ、ちょ、ま」
上半身を裸に剝かれ、死にそうな顔をしたレイガンが、トッドによって肩に担がれ部屋の奥へと連れて行かれる。
重々しい扉が閉まる音がしたかと思えば、室内からは情けない悲鳴の声が聞こえてくる。
「いゃあああああアアアアア!!!!!」
「ヒィいいいいいいい!!!!!!」
エルマーは、その断末魔の悲鳴にびくりと体を跳ねさせると、忙しなく椅子ごと立ち上がってナナシの元に駆けつける。
体裁を遠く彼方へぶん投げると、飛び込むようにしてナナシの腕の中に体を滑り込ませる。そんな、小さな手に慰められている情けない姿を、サジがドン引きをして見つめていた。
「える、こわいのう?」
「もう帰ろう、今すぐ帰ろう。」
「まだ何も終わりではないよ。エルマー。」
「は?」
筆をもったアロンダートが、柔らかな笑みを讃えてエルマーを見下ろした。その手には化粧筆が握り締められている。エルマーはそれに気がつきながらも、訳がわからないと言った具合で見つめ返した。
アロンダートは、悲鳴が聞こえる部屋をちらりと見た。あちらはあちらで準備を初めているのだろう。椅子に縛り付けられたエルマーを、ナナシの腕の中から回収する。
青い顔をしたエルマーは、力負けしたように縛り付けられた椅子ごと引き寄せられた。
「筋肉はほぐすと柔らかくなる、柔軟性は、肉体にも性格にも、そして気転にも必要になってくるな、エルマー。」
ならば、その始まりは緊張をほぐすところからだろう。とアロンダートが宣ったのとほぼ同時に、エルマーの背後ではレイガンの悲鳴が聞こえてきた。
「……ああ、彼はがっしりしていたから、ある程度の痛みは致し方ないだろう。」
「うわあ……」
引き攣り笑みを浮かべたエルマーが、ぎこちなく背後へと振り返る。エルマーの拷問を受けた時は、あそこまで絶叫はしていなかった。後学のためにも是非見てみたい気もするが、ちょっと、いや。かなり恐ろしくて若干引いていた。
「おおこわ……俺体柔らかくてよかったあ……っ、て……何してんだアロンダート。」
エルマーの目の前で、アロンダートがカチャカチャと音を立てて、小瓶をテーブルの上に並べていく。なんだか楽しそうなアロンダートの様子を前に、エルマーは不思議そうに首を傾げる。
「いやあ、僕は幽閉生活が長かったろう。だから暇を持て余していてな、色んな本を読んだんだ。」
「ああ、お前博学だもんなあ。」
「ありがとう。トッドも本をよく貸してくれたんだが、その中に女性の化粧についての本もあってな。」
「おう、読んだのか?」
「ああ、なかなかに興味深かったよ。学んだことは実践するべきだ。そうだろう、エルマー。」
くるりと振り向いて、ニコリと微笑む。好奇心に満ちた雰囲気を纏ったアロンダートの様子を前に、ようやく雲行きが怪しくなってきたことに気がついた。エルマーの口端が、ひくんと引き攣る。
「いや、そういうのは来たるべきときの為に取っておけ。な?」
「ああ、それは今だ。」
「え。」
がしりと体を掴まれた。エルマーはアロンダートの腰から生えた腕を見て、部分的に転化出来るほど体を操っているとは流石だなあと、変な方向で感心した。その手に握られている化粧筆は、見なかったことにして。
「エルマー、まずは下地からだ。」
「え、うそうそまって」
「淑女のように、嫋やかにしてやろうな。」
「なにその薄紫の!?まてまてうわっ、え、毒じゃねえンだよなあ!?え、え、あ、」
恐ろしい程の膂力で身動きが取れない。容赦なくべチャリと顔面に塗りつけられると、マッサージをするようにして顔に広げられる。
なんだか女くさい。妙な香料に顔をしかめながら、この謎の染料で病気になったら真っ先に恨むと心に決めた。
ああ、もう面倒くさい。もう好きなようにしろと言わんばかりに投げやりになる。恥はかきすて、エルマーはレイガンの無事を祈りながら、大人しく瞼を閉じて終わるのを待った。
城の廊下に、三人分のヒールの音が響く。比較的女性にしては体格がいい三人は、至極真面目な顔で真っ直ぐに前を向いていた。
すらりと伸びた背に、女戦士のような力強さを宿した雰囲気。マナー教師のように背筋をピシリと張ったその姿は、真面目な顔つきも相まって、近寄りがたさすら感じる。
簡素なロングドレスの裾を捌きながら、長い布包みを抱きかかえて歩く姿をみた侍女や侍従が、皇室御用達の仕立て屋だ。と囁くと、皆羨望の眼差しを向けながら道を譲った。
市井に店を構えるそこは、逝去なされた第二王子お抱えの洋品店である。手頃な値段から、皇室に献上するような上等の生地まで幅広く取り揃えており、その上デザインも非常に洗練されていた。
貴族がこぞってデザインを買い、お抱えのお針子に頼むこともできるのだが、店主であるトッドの腕で同じものを作ると、それは雲泥の差であった。
そして、何よりも一番選ばれる理由は従業員にある。
王族に実際に会って御身に触れて採寸をするのだ。こればかりは人選はやはり厳しい。まず、婦女はだめだ。万が一があると困る。あわよくばと考え、年頃の貴族の子女がお針子になる話は多いが、実際はそんなひょいひょいと接点を得られるわけではない。
そして、貴族も駄目だ。あの貴族はよかったのに、なぜうちはだめなのか。と、そういう話になってくる。そうすると、色々と面倒なのである。
なので市井で、平民で、かつ信頼の置ける人物となってくると、元近衛のトッドが営むこの洋品店は非常に使い勝手がよかった。
本人が女装家…いや、心は女性ということもあり、気配りもできる。そして王族についてもきちんと理解をしており、何かあった際の肉の盾としても申し分ない。まあ、何かがあっても困るのだが。
三人のうちの一人。一番存在感のあるトッドが、招かれた王の私室の中で一歩前に出る。
「毎度ご贔屓にして頂きありがとうございます。こちら、私の補佐として参りましたお針子二名にございます。」
トッドは、その豊満な肉体をグレーのシンプルなドレスで包み、上品なカーテシーを披露する。
筋肉の収納に関しては、他の追随を許さない。このドレスを破けば鋼の肉体が隠されていることを知っている兵士達は、毎回呆気にとられた顔で見つめるのだ。
「こちら、ミシェルとランダでございます。ほら、ご挨拶なさい。」
名前を呼ばれた二人は、トッドに促されるようにしてゆっくりと歩み出る。
一人は美しい茶髪を小綺麗に纏めている。華やかな顔立ちを黒縁の眼鏡で隠すミシェルは、にこりと微笑みかけると、軽く膝を折って挨拶をする。
一方ランダはミルクティのような髪色をした幼顔の人物で、ハーフアップにされた長い髪の毛が美しい人。
どちらも迫力のある美人である。
護衛として同席を許された兵士も、トッドが連れている人物であるからにして、恐らく男性であろうと予想はしていても、それを口にして心象を悪くしたらと考えてしまうくらいには意識をしてしまう。
男社会であるからして、婦女との出会い自体は決して多いわけではない。だからこそ、こうして美しく着飾った男を見てしまうと、まあ色々な妄想は掻き立てられてられてしまうわけである。
ミシェルと名付けられているのは、エルマーだ。壁際に立つジルバの目が完全に笑っているのを感じ取ってしまい、その貼り付けた表情の下では、先程からギリギリと歯噛みをしていた。いわく、笑ってんな殺すぞ。である。
ランダことレイガンは、トッドが挨拶を終え侍従がグレイシスを呼びにいくのを見送った後。エルマー同様ぎこちない微笑みを浮かべたまま、真っ直ぐに前を見つめている。
その様子は、唇の隙間から魂が抜けてしまいそうな程であった。聞いたこともないような細やかな声で、帰りたいと泣き言を漏らすのも、きっと今日が最後だと思いたい。
「ご婦人方。自己紹介をありがとう。私は次期国王グレイシスの側近であるジルバだ。彼は今忙しい。公務が終わるまで別室で待っていてくれと言付かっている。すまないが一緒に来てくれるだろうか。」
やけに真面目そうな顔で、女装をした二人へと目を向ける。そのまま、整った顔に嘘くさい笑みを貼り付けると、諸悪の根源は実に優しげな口調で宣った。
胡散臭い野郎が。エルマーとレイガンは、口を引き結びながらジルバを睨み返す。
「ジルバ様直々のご案内だなんて、恐れ多いですわ。ミシェル、ランダ。粗相の無いように頼みますよ。」
「アイヨ。う゛う゛んっ……かしこまりやした。」
「すみません姉は少々喉をやられておりまして……」
「おやそれは大変だ。後で薬湯でも運ばせよう。」
そう言うと、ジルバは片手の合図で兵士を下がらせる。三人の為に、ジルバは実に紳士的に扉を開け、サロンへと入室を促す。重厚な扉がエルマーたちを受け入れるようにゆっくりと閉じると、ジルバは瞬き一つで空間遮蔽の術を施した。
キン……という空間を切り取るかのような音が静かに響く。室内のやりとりを聴かせないようにするその魔法は、秘密ごとを語り合うのに適している。
「さて、お膳立てはできた。くふ、ミシェル。中々に美人に仕上がっているじゃないか。」
「うるっせぇ殺すぞ。ったく回りくどい呼び出ししやがって。」
「まあそう吠えるな。エルマー、ナナシはどうした。今日は居ないのか。」
「サジと市井に身を寄せている。んな危険なとこについて来させるわけねえだろう。」
エルマーの内心としては、ダラスがいるこの城に連れて来るのが嫌だった、というのが本当だ。
エルマーの強い瞳の光に何かを感じとったのか、ジルバはそっと目を細める。そのまま優雅に己の影から一冊の本を取り出すと、それをエルマーへ向けた。
「お前の目に入れておきたい物があってなあ。エルマー、その前にお前はどこまで知っている。」
「俺の左目が龍眼になった。」
ジルバの目を見ていったエルマーの一言に、わかりやすくその表情を変えた。
「……成る程、焦らすのはやめろと言う意味だな。いいだろう。」
そう宣ったジルバは、酷く獰猛な笑みを浮かべる。手に持った本を見やすいようにテーブルに置くと、それは勝手にページを捲り始めた。やがて選ばれたページが本の端を伸ばすかのように動きを止めると、その内容は随分と古い術の指南書のようなものだった。
中には動物への変化術やら、年齢を操作する術など、眉唾レベルに突飛な内容が、実にこと細やかに記載されている。一体これが、なんだというのか。
エルマーはくつくつと笑うジルバへと怪訝そうな目つきを向ける。
「左眼の龍眼……っふ、灯台下暗しとはよくいう。まだそのことはバレてはいないな?」
「俺にその質問するってぇことは、黒幕の目星はついてんだよなあ。」
「証拠はないがな。しかしエルマー。お前の左眼が答えを見せてくれたろう。」
ジルバは、まるでわかっていると言わんばかりに笑っている。
やがてグローブを嵌めたてでそっと本を撫でると、真っ直ぐにエルマーを見据えて宣った。
「エルマー。お前、亡霊を信じるか。」
「おえええっや、やめろおおしぬうう!!」
「腹掻っ捌かれた奴がこれくらいで死ぬわけないじゃない!!エルマー、あんた顔だけはいいんだから活かしなさいな!!」
「うぐぇっ!」
レイガンは、ゲンナリとした顔で溜め息を吐いた。目の前では、エルマーの腹筋が痛めつけられるかのように、コルセットで締め上げられている。男らしい体を飾るそれはなんとも歪ではあるが、目的のためなら仕方あるまいと割り切るべきか。
顔を真っ青にしたエルマーが、コルセットの胸の部分に、肌色の水風船のようなものを詰めらた。男性らしい美しい体に無理やり作られた括れと偽乳。
あの惨めな格好は、レイガンも装う羽目になる。
そう、二人はジルバによってお膳立てされ、あろうことか女装をすることになったのだ。
「絶対おかしいだろうが!!なんで俺なんだあ!!ナナシもサジもいるだろうが!!」
「サジは一度女装して正体明かしちゃったし、ナナシちゃんはほわほわしてて癒やし要員すぎるのよ!お茶会ならまだしも、潜入ならある程度取り繕えるずる賢さが必要よっと!」
「おげぇっ!!やめ、腰にそんなひらひらっ、」
「それに、殿下にお会いするのにうら若き乙女なんて連れてけないわ!だからアタシの店の子から女装子二名つれていくから間違いもないですって、それをジルバ様がお膳立てしてくれたのよっ!」
「おのれジルバアアアアア!!!」
怨恨混じりの怒声が、室内に響き渡る。エルマーのこめかみに浮かぶ血管が何よりの証拠だ。
無理くり穿かされた控えめなパニエに下肢を隠され、ニセ乳を挟んだコルセットの上からパフスリーブのシンプルなドレスを着せつけられていく。
お針子とわかるようにエプロンまで付けられ、仕上げといわんばかりに、トッドに長い赤髪をシニヨンに纏められると、髪の色を変えるリボンで飾られる。
仕上がったエルマーは見事な女装に身を包み、満身創痍といわんばかりに這々の体だ。
「んもおおおお顔ー!!いつの間に傷なんて作ってんのよ!!ナナシちゃあん!!こいつの左目の痣を治してあげてえ!」
「はわ……はあい!」
「いい!!ぜんっぜんこまってねえからこれでいい!」
ポカンとした様子で一部始終を見つめていたナナシはというと、トッドからのご指名に慌てて返事をした。なんとなく、そうしなくてはいけないと本能的に感じ取ったと言っても過言ではない。
エルマーの頬に手を添えようとすれば、その手をガシリと掴まれ止められる。ナナシの手首に痕が残らない程度の優しい力ではあったが、エルマーはしっかりと顔に拒否を貼り付ける。
「ぅー……」
これには、ナナシも困った。エルマーの嫌なことはしたくない。眉を下げたまま、伺うようにトッドを見上げれば、それはもう満面の笑みで微笑まれた。
その瞬間、ナナシの中でエルマーの言うことを聞くことよりも、トッドが怒る方がエルマーにとってえらいことになるに違いないと、天秤が傾いた。
ふんす、と意気込んだナナシがこくりと頷く。そのままエルマーの頬を両手で包めば、その手の内側でエルマーがクチャっとした顔をする。拒否をしたいが、ナナシのする事に対しては強く出れない男なのだ。
「えええ……」
「だめ!トッドのがえるよりもつおい。」
「いやそれ、筋肉量では確かに強えけ、どっ!」
ゴンッと、トッドに頭を殴られる。筋肉量を指摘されたのが地雷だったらしい。トッドいわく、好きでついているわけではないとのことだ。
乙女心がわからないなんて!と、トッドは顔を背けて憤る。
「もおおまた縛るううう!!!」
「あんたはひとまずおしまい、次レイガンね。」
「俺もか…」
椅子に縛られジタバタするエルマーを、サジが指さして笑っている。己が蚊帳の外な分、この状況が愉快で仕方がないらしい。
アロンダートはというと、物珍しそうな表情でトッドの商売道具であろう、色とりどりの化粧品を弄っては遊んでいる。
レイガンは、ちらりとエルマーに目を向ける。男らしく鍛えられた美しい体は、コルセットと偽乳のせいか随分とメリハリのある体つきになっている。
男性が女性の服を着ているというのは分かるが、赤髪から焦げ茶の髪になるだけで随分と印象がかわる。肩幅はパフスリーブで誤魔化されているが、トッドの趣味なのかニセ乳は結構な豊満具合だ。
まあ似合ってはいる。変な男の性癖は刺激しそうだ。
「アレになるのか…」
「レイガンてめえ一蓮托生だかんな。お前も逃げらンねえんだよお!!」
「セリフが悪役じみているぞエルマー……」
随分と治安の悪い顔で恫喝してくるが、見た目がアレなのでなんとも言えない。そんな凄まなくても、一応ある程度の覚悟は決めている。任務のこととなると、己の意思を押し殺すことができるレイガンの方が、間違いなくこの場では大人であった。
レイガンは覚悟を決める。どこの国の言葉だかは忘れたが、男は度胸がないといけないと聞いたことがある。多分、そんな気がする。
余計な思考を散らすかのように首を振ると、深呼吸を一つ。レイガンは切り替えるように顔を上げると、その紫の瞳でトッドを見た。
「俺も男だ。よし、こい!」
「潔い男は嫌いじゃないわ…うふふ。いい顔、腕がなるわあ…」
トッドの背後には、仄暗い何かが。つまり見えてはいけないようなものを垣間見た気がした。
レイガンの背筋がぞくりと凍る。あ、やっぱなしで。と思い直すくらいに、捗ったトッドの顔は怖かった。
血管の浮いた無骨なトッドの手が、がしりとレイガンを拘束する縄を鷲掴む。薄赤に染まった爪先は、歴戦の猛者の証だろうか。トッドはブチりと音を立てて縄を引き千切る。
「えいっ」
軽い声かけと共に、レイガンのシャツは縄のついでに弾け飛ばされた。シャツを止めていたボタンが、四方へと散弾銃のように飛んでいく。その内の一つがエルマーの頬にベチりと当たると、青い顔をしたエルマーがゆっくりとレイガンから顔を背けた。
「さあ、あなたはさらに特別コースよ。」
「え、あ、ちょ、ま」
上半身を裸に剝かれ、死にそうな顔をしたレイガンが、トッドによって肩に担がれ部屋の奥へと連れて行かれる。
重々しい扉が閉まる音がしたかと思えば、室内からは情けない悲鳴の声が聞こえてくる。
「いゃあああああアアアアア!!!!!」
「ヒィいいいいいいい!!!!!!」
エルマーは、その断末魔の悲鳴にびくりと体を跳ねさせると、忙しなく椅子ごと立ち上がってナナシの元に駆けつける。
体裁を遠く彼方へぶん投げると、飛び込むようにしてナナシの腕の中に体を滑り込ませる。そんな、小さな手に慰められている情けない姿を、サジがドン引きをして見つめていた。
「える、こわいのう?」
「もう帰ろう、今すぐ帰ろう。」
「まだ何も終わりではないよ。エルマー。」
「は?」
筆をもったアロンダートが、柔らかな笑みを讃えてエルマーを見下ろした。その手には化粧筆が握り締められている。エルマーはそれに気がつきながらも、訳がわからないと言った具合で見つめ返した。
アロンダートは、悲鳴が聞こえる部屋をちらりと見た。あちらはあちらで準備を初めているのだろう。椅子に縛り付けられたエルマーを、ナナシの腕の中から回収する。
青い顔をしたエルマーは、力負けしたように縛り付けられた椅子ごと引き寄せられた。
「筋肉はほぐすと柔らかくなる、柔軟性は、肉体にも性格にも、そして気転にも必要になってくるな、エルマー。」
ならば、その始まりは緊張をほぐすところからだろう。とアロンダートが宣ったのとほぼ同時に、エルマーの背後ではレイガンの悲鳴が聞こえてきた。
「……ああ、彼はがっしりしていたから、ある程度の痛みは致し方ないだろう。」
「うわあ……」
引き攣り笑みを浮かべたエルマーが、ぎこちなく背後へと振り返る。エルマーの拷問を受けた時は、あそこまで絶叫はしていなかった。後学のためにも是非見てみたい気もするが、ちょっと、いや。かなり恐ろしくて若干引いていた。
「おおこわ……俺体柔らかくてよかったあ……っ、て……何してんだアロンダート。」
エルマーの目の前で、アロンダートがカチャカチャと音を立てて、小瓶をテーブルの上に並べていく。なんだか楽しそうなアロンダートの様子を前に、エルマーは不思議そうに首を傾げる。
「いやあ、僕は幽閉生活が長かったろう。だから暇を持て余していてな、色んな本を読んだんだ。」
「ああ、お前博学だもんなあ。」
「ありがとう。トッドも本をよく貸してくれたんだが、その中に女性の化粧についての本もあってな。」
「おう、読んだのか?」
「ああ、なかなかに興味深かったよ。学んだことは実践するべきだ。そうだろう、エルマー。」
くるりと振り向いて、ニコリと微笑む。好奇心に満ちた雰囲気を纏ったアロンダートの様子を前に、ようやく雲行きが怪しくなってきたことに気がついた。エルマーの口端が、ひくんと引き攣る。
「いや、そういうのは来たるべきときの為に取っておけ。な?」
「ああ、それは今だ。」
「え。」
がしりと体を掴まれた。エルマーはアロンダートの腰から生えた腕を見て、部分的に転化出来るほど体を操っているとは流石だなあと、変な方向で感心した。その手に握られている化粧筆は、見なかったことにして。
「エルマー、まずは下地からだ。」
「え、うそうそまって」
「淑女のように、嫋やかにしてやろうな。」
「なにその薄紫の!?まてまてうわっ、え、毒じゃねえンだよなあ!?え、え、あ、」
恐ろしい程の膂力で身動きが取れない。容赦なくべチャリと顔面に塗りつけられると、マッサージをするようにして顔に広げられる。
なんだか女くさい。妙な香料に顔をしかめながら、この謎の染料で病気になったら真っ先に恨むと心に決めた。
ああ、もう面倒くさい。もう好きなようにしろと言わんばかりに投げやりになる。恥はかきすて、エルマーはレイガンの無事を祈りながら、大人しく瞼を閉じて終わるのを待った。
城の廊下に、三人分のヒールの音が響く。比較的女性にしては体格がいい三人は、至極真面目な顔で真っ直ぐに前を向いていた。
すらりと伸びた背に、女戦士のような力強さを宿した雰囲気。マナー教師のように背筋をピシリと張ったその姿は、真面目な顔つきも相まって、近寄りがたさすら感じる。
簡素なロングドレスの裾を捌きながら、長い布包みを抱きかかえて歩く姿をみた侍女や侍従が、皇室御用達の仕立て屋だ。と囁くと、皆羨望の眼差しを向けながら道を譲った。
市井に店を構えるそこは、逝去なされた第二王子お抱えの洋品店である。手頃な値段から、皇室に献上するような上等の生地まで幅広く取り揃えており、その上デザインも非常に洗練されていた。
貴族がこぞってデザインを買い、お抱えのお針子に頼むこともできるのだが、店主であるトッドの腕で同じものを作ると、それは雲泥の差であった。
そして、何よりも一番選ばれる理由は従業員にある。
王族に実際に会って御身に触れて採寸をするのだ。こればかりは人選はやはり厳しい。まず、婦女はだめだ。万が一があると困る。あわよくばと考え、年頃の貴族の子女がお針子になる話は多いが、実際はそんなひょいひょいと接点を得られるわけではない。
そして、貴族も駄目だ。あの貴族はよかったのに、なぜうちはだめなのか。と、そういう話になってくる。そうすると、色々と面倒なのである。
なので市井で、平民で、かつ信頼の置ける人物となってくると、元近衛のトッドが営むこの洋品店は非常に使い勝手がよかった。
本人が女装家…いや、心は女性ということもあり、気配りもできる。そして王族についてもきちんと理解をしており、何かあった際の肉の盾としても申し分ない。まあ、何かがあっても困るのだが。
三人のうちの一人。一番存在感のあるトッドが、招かれた王の私室の中で一歩前に出る。
「毎度ご贔屓にして頂きありがとうございます。こちら、私の補佐として参りましたお針子二名にございます。」
トッドは、その豊満な肉体をグレーのシンプルなドレスで包み、上品なカーテシーを披露する。
筋肉の収納に関しては、他の追随を許さない。このドレスを破けば鋼の肉体が隠されていることを知っている兵士達は、毎回呆気にとられた顔で見つめるのだ。
「こちら、ミシェルとランダでございます。ほら、ご挨拶なさい。」
名前を呼ばれた二人は、トッドに促されるようにしてゆっくりと歩み出る。
一人は美しい茶髪を小綺麗に纏めている。華やかな顔立ちを黒縁の眼鏡で隠すミシェルは、にこりと微笑みかけると、軽く膝を折って挨拶をする。
一方ランダはミルクティのような髪色をした幼顔の人物で、ハーフアップにされた長い髪の毛が美しい人。
どちらも迫力のある美人である。
護衛として同席を許された兵士も、トッドが連れている人物であるからにして、恐らく男性であろうと予想はしていても、それを口にして心象を悪くしたらと考えてしまうくらいには意識をしてしまう。
男社会であるからして、婦女との出会い自体は決して多いわけではない。だからこそ、こうして美しく着飾った男を見てしまうと、まあ色々な妄想は掻き立てられてられてしまうわけである。
ミシェルと名付けられているのは、エルマーだ。壁際に立つジルバの目が完全に笑っているのを感じ取ってしまい、その貼り付けた表情の下では、先程からギリギリと歯噛みをしていた。いわく、笑ってんな殺すぞ。である。
ランダことレイガンは、トッドが挨拶を終え侍従がグレイシスを呼びにいくのを見送った後。エルマー同様ぎこちない微笑みを浮かべたまま、真っ直ぐに前を見つめている。
その様子は、唇の隙間から魂が抜けてしまいそうな程であった。聞いたこともないような細やかな声で、帰りたいと泣き言を漏らすのも、きっと今日が最後だと思いたい。
「ご婦人方。自己紹介をありがとう。私は次期国王グレイシスの側近であるジルバだ。彼は今忙しい。公務が終わるまで別室で待っていてくれと言付かっている。すまないが一緒に来てくれるだろうか。」
やけに真面目そうな顔で、女装をした二人へと目を向ける。そのまま、整った顔に嘘くさい笑みを貼り付けると、諸悪の根源は実に優しげな口調で宣った。
胡散臭い野郎が。エルマーとレイガンは、口を引き結びながらジルバを睨み返す。
「ジルバ様直々のご案内だなんて、恐れ多いですわ。ミシェル、ランダ。粗相の無いように頼みますよ。」
「アイヨ。う゛う゛んっ……かしこまりやした。」
「すみません姉は少々喉をやられておりまして……」
「おやそれは大変だ。後で薬湯でも運ばせよう。」
そう言うと、ジルバは片手の合図で兵士を下がらせる。三人の為に、ジルバは実に紳士的に扉を開け、サロンへと入室を促す。重厚な扉がエルマーたちを受け入れるようにゆっくりと閉じると、ジルバは瞬き一つで空間遮蔽の術を施した。
キン……という空間を切り取るかのような音が静かに響く。室内のやりとりを聴かせないようにするその魔法は、秘密ごとを語り合うのに適している。
「さて、お膳立てはできた。くふ、ミシェル。中々に美人に仕上がっているじゃないか。」
「うるっせぇ殺すぞ。ったく回りくどい呼び出ししやがって。」
「まあそう吠えるな。エルマー、ナナシはどうした。今日は居ないのか。」
「サジと市井に身を寄せている。んな危険なとこについて来させるわけねえだろう。」
エルマーの内心としては、ダラスがいるこの城に連れて来るのが嫌だった、というのが本当だ。
エルマーの強い瞳の光に何かを感じとったのか、ジルバはそっと目を細める。そのまま優雅に己の影から一冊の本を取り出すと、それをエルマーへ向けた。
「お前の目に入れておきたい物があってなあ。エルマー、その前にお前はどこまで知っている。」
「俺の左目が龍眼になった。」
ジルバの目を見ていったエルマーの一言に、わかりやすくその表情を変えた。
「……成る程、焦らすのはやめろと言う意味だな。いいだろう。」
そう宣ったジルバは、酷く獰猛な笑みを浮かべる。手に持った本を見やすいようにテーブルに置くと、それは勝手にページを捲り始めた。やがて選ばれたページが本の端を伸ばすかのように動きを止めると、その内容は随分と古い術の指南書のようなものだった。
中には動物への変化術やら、年齢を操作する術など、眉唾レベルに突飛な内容が、実にこと細やかに記載されている。一体これが、なんだというのか。
エルマーはくつくつと笑うジルバへと怪訝そうな目つきを向ける。
「左眼の龍眼……っふ、灯台下暗しとはよくいう。まだそのことはバレてはいないな?」
「俺にその質問するってぇことは、黒幕の目星はついてんだよなあ。」
「証拠はないがな。しかしエルマー。お前の左眼が答えを見せてくれたろう。」
ジルバは、まるでわかっていると言わんばかりに笑っている。
やがてグローブを嵌めたてでそっと本を撫でると、真っ直ぐにエルマーを見据えて宣った。
「エルマー。お前、亡霊を信じるか。」
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