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シュマギナール皇国陰謀編
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ジクボルトの目は、ナナシの金色の瞳を前にして、すっと細まった。
あまりに美しいその虹彩は、エルマーの左目に収まった虹彩と瓜二つ。透き通った金色は、宝石よりも美しい。
ナナシは、ジクボルトの言葉の意味がわからなかった。本当は、己の知らぬ本当を明るみに出されるのが怖かったのかもしれない。
薄い唇は、微かに震えていた。ナナシが緊張しているのが、目に見えてわかった。
「ナナシ、の……?」
「君たちが出会ったのは、金眼が引き寄せたからだ。知っているかい?君達が知る邪龍の、もう一つの姿を。」
「もう一つの…?」
ジクボルトが、倒れたエルマーを担ぎ上げ、ソファに寝かせる。
ぐったりとしたエルマーの左目は、赤く爛れた皮膚に囲まれるかのようにして、輝いている。サジもアロンダートも、異様な状態に戸惑いながら、ジクボルトへ説明の続きを促すように閉口していた。
「ほら、ダート。復習だ。君は王族だったろう?」
「な、んでそれを…」
「わかるさ!だって、僕は死化粧をするんだよ?君が仮死薬を飲んだことなんて、棺にしまった時点で知っていた。」
だって僕、葬儀屋だし。ジクボルトはニッコリ笑うと、アロンダートに邪龍伝承についての話を聞かせるようにと促した。
アロンダートは、その表情を僅かに曇らせると、己の記憶を辿るかのようにして、しばし逡巡した。シュマギナール皇国を収める王家の第二皇子として、特に歴史を好んで学んでいた。その中に、始まりの大地に降り立った龍の話も確かにある。その伝承を、アロンダートは一つしか知らなかった。
ー厄災の龍、その地に降りたし彼の者の、もたらす災禍は国をも絶やす。立ち上がりし四人はその血肉を滅ぼし、災禍を屠る。彼らが築きし礎は、呪いを抑える枷となる。
アロンダートが記憶を辿るように呟く。ジクボルトは出来のいい生徒を褒めるように、満足げに頷いた。そして、己の袖を正すかのように両手を掲げると、片手で指をパチンと鳴らした。その様子は、まるでオーケストラの指揮者にも見える。
ジクボルトに応えるように、ふわりと飛んできたのは酷く古びた本だった。表紙も読めぬほど劣化し、紙は黄ばんで触れるのも戸惑うようなそれは、壁にもたれていたレイガンの元へと運ばれた。
レイガンは、片手でそれを受け取ると、怪訝そうな顔でジクボルトを見つめる。
「まあ、ここに南のものは居ないんだけど。この場に集結したのは西、東、北の国の者たちさ。ダート。君が語った伝承が、本当に全てだと思うかい?」
「…僕は、そう習ってきたが、違うのか。」
「ウンウン、じゃあ違和感を感じたことは?」
「違和感、」
ジクボルトに促されるままに、アロンダートはもう一度頭の中で伝承を思い起こしてみた。古い言い回しはあるが、とくに違和感は感じなかった。
現に、シュマギナール皇国内ではこれが事実として広まっている。シュマギナール皇国に住むものなら、国歌同然に馴染みのある伝承だ。
「違和感は、とくには…」
「そこなんだよ。」
アロンダートの目の前で、ジクボルトが人差し指をピンと立てた。シルクハットから僅かに見える目を細めると、演説をするかのように両手を広げた。
「僕の国では、こう。」
ー厄災の龍、その地に降りたし彼の者の、もたらす災禍は国をも絶やす。立ち上がりし四人はその血肉を奪いし災禍を屠る。彼らが築きし礎は、呪いを抑える枷となる。
「奪いし…?滅ぼしではないのか?」
「これね、対象がおかしいんだよ。」
違和感のある伝承に、アロンダートが反応を示す。ジクボルトは懐から羽ペンを取り出すと、そのペン先に魔力を乗せて、虚空にサラサラと文字を書き始めた。
淡い水色の光を放ち、僅かな魔力を宿した光の粒子が、ペン先を追いかけるように文字を縁どる。正面にいたアロンダートが鏡文字になっていることに気がつくと、ジクボルトの背後に回るように移動した。
「血肉を滅ぼし、は東の国。つまりは皇国が主体となって倒したってことだね。それにくらべて西の国、まあジルガスタントはこれ。血肉を奪いし。どう?」
アロンダートの横に並んだサジが、そのラブラドライトの瞳に文字を映す。しばらくの逡巡の後、ゆっくりと口を開いた。
「血肉を奪いし、は…龍ではないのか?」
白い嫋やかな指が文字に触れる。一文を繰り返し呟きながら出した答えは、文章の流れを綺麗に繋げた。
「さすがエルダちゃん!!そう、そうなのよ!!ジルガスタント側の伝承だと、龍が国民の血肉を奪いしってなるの、つまり、このあとの災禍は国を絶やし、という部分が綺麗につながる。」
「一見、まとまりがあるように見えるが、たしかに…血肉を滅ぼし災禍を屠る、だと…二度殺すという意味になるな。」
「ね、皇国ってすっごい慎重に殺すんだねえ!僕なんかよりずーーーっとサイコパスだねっ!」
手を叩いて無邪気にはしゃぐジクボルトとは反対に、アロンダートはその顔を青褪めさせていた。今まで、この伝承をなんの違和感もなく受け入れてきた。それは、皇国が主体となって広めた伝承だと言われてきたからだ。
伝承の始まりの国が、間違える事など無い。しかしその前提が、そもそも間違っていたのだ。
ジクボルトは、皇国が建国当初から歴史に関わる秘密を隠してきたと言うことを、こうしてアロンダート達へと伝えたのだ。
「これは、シュマギナールだけなのか…。」
「そうだね、この大地は地続きだ。意図的に変えない限り、伝承は何処も同じだよ。」
「そう、か…」
レイガンは難しい顔をしたあと、エルマーの側で小さくなっているナナシを見つめた。
可哀想に、ナナシは顔色を無くしたまま、何かに怯えるようにエルマーの側を離れない。胸元に顔を埋めるようにして俯くと、その手でぎゅっとエルマーの服を握るようにして縋りついた。
「皇国は、何かを隠している。そもそも厄災のきっかけなんてどの文献にも書いていない。どこが始まりかもわからない話を、なんで疑いもせずに信じていられる」
朽ちかけた本を撫でるレイガンの言葉に、ナナシが瞳を揺らした。厄災のきっかけ、その言葉が、小さな突起となってナナシの心の内側をチクリと刺したのだ。
吐息が震える。小さく息を詰めたナナシの微かな変化を、ジクボルトはしっかりとその目で捉えていた。
「金眼の持ち主は、災禍の邪龍だ。でもそれだと、なんでそんな物を国宝にするのかってね。」
「まて、お前さっきナナシに言ったよな?金眼は君のものだとか。」
「ああ、僕はそう思っている。」
読めぬ笑みを浮かべたジクボルトが、俯くナナシの頭を撫でる。訝しげな目線を寄越すサジへと再び向き直ると、わかりやすく眉を下げ、憐れみを宿すような瞳をナナシへと向ける。
「うん、うんうん…レイガンから聞いたよ、君は聖石を取り込むのだろう?しかもただの聖石ではない、巷で噂の呪いの土から出来たものだ!」
ナナシはジクボルトの言葉に顔を上げると、不安げな色を瞳に宿したまま、ゆるゆると頷いた。
本当は、怖いことを言われたくはない。ジクボルトの言葉で、サジやアロンダートに怯えられてしまったら、意識の戻ったエルマーに、嫌がられてしまったら。そんな、もしかしてがいくつも凝り固まって、ナナシの心が引き攣れる。
きゅう、とエルマーの手を握り締める。ヒック、と喉を震わせると、大好きなエルマーの手のひらへと、祈るように額をくっつけた。
「その呪いの土、何で出来ているのか気になるだろう?」
ジクボルトは龍玉を手に持つと、再び羽ペンで虚空をなぞる。そのペン先がついで足掻き出したのは、下手くそな龍の絵であった。
「こちらに金眼。そして龍玉。じゃあ残りの体の部位は?それも分け合ったろう。南の国は鱗と爪だったかな。これはきちんと大聖堂に管理されている。僕はこの目で見たから安心してくれ。」
下手くそな龍の絵に、ジクボルトがサラサラと書き込みをしていく。そのペン先へと視線が集まると、その先端で絵を突くかのようにして、説明混じりに語り出す。
「沈んだ北の国と、国宝自体ないと思っているジルガスタント。ここも恐らく、いやまあ間違いなく分け合ったろうねえ。立ち上がりし四人は建国の礎となった者たちだろうし。四人仲良くわけわけしました、と。」
その二カ国がなにを持っていったかは知らないけど。と、クエスチョンマークを国名の横に描く。説明書きを終えると満足をしたのか、ジクボルトは再びくるりと振り向いた。
その目線の先で、サジを隣に侍らせたアロンダートは、真っ直ぐにその絵を見つめていた。理知的な琥珀の瞳は、頭の中での物事の組み立てを急かすかのように、実に真剣な色味を宿していた。
「災禍の邪龍……、討伐の証のように剥ぎ取られた体の一部が国宝になったのだとすれば、残りの血肉はどうなる…」
淡々とした口調は、その裏に僅かな緊張感を孕んでいた。アロンダートの落ち着いた声が紡ぐ、見落としていた一つの過程に、サジは小さく息を呑んだ。
それは、ジクボルトの満足する答えだったらしい。パチンと指を弾いて頷くと、肩を竦ませて宣った。
「いらなくない?今だってそうでしょう。血も肉も、食べれないものは捨てちゃうでしょう?」
人間は、上辺だけの、見栄えがする部分しかいらないのさ。そう、さも当たり前かのように宣う。
ジクボルトの言葉は、正しくその場にいたものを戦慄させた。もしかしたら、今は当たり前となった魔物の剥ぎ取りも、この邪龍の討伐後から常識になったのかもしれない。人間が作った常識。確かに、血も肉も内蔵も、それは等しく汚いものだ。
「呪いの土。もしそれが、邪龍を倒したあとに出る、忌諱するものだとしたら……それって普通の土じゃなくない?」
「呪いの土は、人を幽鬼にさせる。そして、幽鬼にされたものが吐き出す魔石は、何故かか聖属性を持つ……。」
「そして、その聖石は……」
サジの怯えた声色に促されるように、レイガンは己のインベントリから聖石を取り出した。邪龍の血肉の結晶、そして、ナナシの糧でもある魔力の結晶。
元の場所に還るように体に馴染んだあの感覚が、こんなにも恐ろしいことだったなんて、ナナシは知リたくなかった。
四人の瞳が、ナナシへと向いた。己の異端を晒された今、ナナシは、それを受け入れることを拒否していた。
ナナシの華奢な体は、怯えたように小さく身を竦ませる。それを向けないで、触らせないで。人間でい続けたい。自分がエルマーとは違う生き物なのだと、証明しないで欲しかった。
薄い胸は浅い呼吸を繰り返す。そんなナナシを前に、レイガンが目線を合わせるようにしゃがみこんだ。
「ナナシ、怖いか。」
「や、やだ……やだよう……い、いらな……い、……」
「大丈夫だ、俺は護るためにここにいる。恐いだろうけど、恐れなくていい。」
レイガンの眼は、まっすぐとナナシを見つめていた。揺る気ないその瞳を前に、じわりと涙が滲む。ナナシはわかっていた。記憶を取り戻したときから、自分はみんなと違うものなんじゃないかと、ずっと思っていたのだ。
レイガンの手のひらの上、聖石がつるりと光を放つ。まるで、ナナシが触れるのを待っているかのようであった。
体は小刻みに震えている。再びこの身に取り込むことで、何かが大きく変わってしまうのではないか。そんな想像をしてしまって、怖かったのだ。泣きそうな顔のまま、ナナシは助けを求めるようにサジを見上げた。
「見捨てぬ、そばにいる。」
サジは、真っ直ぐにナナシを見つめていた。共に肩を並べるアロンダートも、その琥珀色にナナシを映して小さく頷いた。
ナナシは、その言葉に耐えきれずに、ぼろりと大粒の涙を零した。やめておけ。そう言われることを期待したのもあった。しかし、己の期待していた言葉よりも、強い意志を持った言葉がナナシの心に寄り添った。
ひっく、と嗚咽を漏らしながら、震える手のひらで意志を受け取った。その瞬間、滾々と泉が湧き上がるかのようにして、純粋な光が溢れ出す。
ナナシはまろい頬に幾筋もの涙を滑らせながら、手のひらで汲むようにして口元へと運んだ。聖なる泉の水が、ナナシの体の内側へと浸透していく。
ああ、満ちていく。悲しくて、認めたくなかった。拒絶していたはずのそれは、緩やかに身の内側へと染み渡っていく。
己の腹に根付いた小さな大切が、喜ぶかのように反応した気がした。
「ああ、やはり美しい。」
ジクボルトの感嘆とする声が漏れた。
光の奔流が収まる。まるで祝福するかのような光の粒が、そっと変化を遂げたナナシの身に降り注いだ。
灰色だった髪は、なめらかな光沢を放つ白銀の髪へと変化していた。宝石のような虹彩を持つ金色の双眸は、涙に濡れてなお美しい。
長い睫毛を涙で濡らしながら、ナナシはゆるりと顔を上げた。天鵞絨のような毛並みの獣の耳が、白く美しい捻れた枝のような角が、その神聖な雰囲気と相まって宗教画のように見えた。
「える、まー……」
鈴の転がるような、陽光を待つ花の綻ぶ音のような、それでいて透きとおった冬の空気のような、不思議な声色で名前を紡ぐ。
誰かの息を呑む音がした。聖なる人外へと姿を変えたナナシの声が、寂しげに鳴いたのだ。
「ナナシは、……ナナシでいたい……えるの、えるのナナシで、いたかったよう……っ……」
懇願にも似た言葉は、嗚咽混じりであった。はらはらと溢れた涙が、エルマーの手の甲を濡らす。
いとけない雰囲気を纏った人外の神が、祈るようにエルマーの手を握り締めた。
「……、みつけて。えるが、……とじこめたナナシのほんとうを、えるがみつけて…」
ナナシの嫋やかな手が、エルマーの長い前髪をそっとよける。白銀の長い髪が、囲うようにエルマーの顔を隠した。
爛れた左目の傷へと、柔らかな唇を落とす。エルマーの顔を、手のひらで優しく包み込むと、ナナシはゆっくりと唇を重ねた。
舌先に魔力をのせると、顔の角度を変えて口付けを深めた。ナナシの魔力がエルマーの摩耗した体にじんわりと染み渡る。
ナナシはゆっくりと唇を離すと、横たわるエルマーの胸元に頬を寄せた。
「ナナシ…?」
動かなくなったナナシに、サジが戸惑った声を上げる。
涙に濡れた顔は、まるで眠っているかのように目を閉じたまま、開くことはない。
ナナシの背を撫でても、反応は無い。わけがわからないまま、焦りだけがつのっていく。
ジクボルトははっとした顔をすると、そっとナナシの口元に手を添えた。
「息をしていない。もしかしたら、夢渡りをしているのかもしれない。」
「夢渡り……?」
「仮死状態のエルマーは、龍玉に触れたろう。彼は今、この中に刻まれた記憶を辿っている。」
「まて、ナナシは自分から追いかけに行ったのか!?」
サジは目を見開いた。刻まれた記憶を辿るということは、あの時のゾーイに見せられた悪夢を繰り返す事と同じだ。
ナナシはひどく痩せていた。よほど恐ろしい記憶に囚われていたに違いない。
再びその中に身をと投じたということは、また同じ悪夢に囚われるという事だ。
「もっと悪いよ、ナナシくんは見つけてと言っただろう。それに、龍玉の最後の記憶は死でしかない。呪われた土になる過程を、エルマーくんが見つけるまで繰り返すということだ。死にはしない、けど……彼が見つけ出すまで、それは繰り返す。」
「まて、エルマーが見つかるまで、ナナシは死に続けるということか!?」
澄んだ青色の宝玉は、魂そのものだ。辛い記憶を刻みこむ度に、その美しさは少しずつ磨かれていった。人外が心を学ぶたびに研磨されていったそれが、今世では感情を得たナナシが傷つく度に罅が入っていく。
心根は違えど同じものだ。受け入れる器が違えば、その負担は直接魂へ響く。
ナナシの心の宝玉が完全に割れてしまう前に、エルマーがナナシの本来の姿を見つけ出すことができるのか。
アロンダートもサジも、守るといったレイガンでさえ手が出せない。ジクボルトは難しい顔をしながら、今は待つしかないよ、と落ち着いた声で呟いた。
あまりに美しいその虹彩は、エルマーの左目に収まった虹彩と瓜二つ。透き通った金色は、宝石よりも美しい。
ナナシは、ジクボルトの言葉の意味がわからなかった。本当は、己の知らぬ本当を明るみに出されるのが怖かったのかもしれない。
薄い唇は、微かに震えていた。ナナシが緊張しているのが、目に見えてわかった。
「ナナシ、の……?」
「君たちが出会ったのは、金眼が引き寄せたからだ。知っているかい?君達が知る邪龍の、もう一つの姿を。」
「もう一つの…?」
ジクボルトが、倒れたエルマーを担ぎ上げ、ソファに寝かせる。
ぐったりとしたエルマーの左目は、赤く爛れた皮膚に囲まれるかのようにして、輝いている。サジもアロンダートも、異様な状態に戸惑いながら、ジクボルトへ説明の続きを促すように閉口していた。
「ほら、ダート。復習だ。君は王族だったろう?」
「な、んでそれを…」
「わかるさ!だって、僕は死化粧をするんだよ?君が仮死薬を飲んだことなんて、棺にしまった時点で知っていた。」
だって僕、葬儀屋だし。ジクボルトはニッコリ笑うと、アロンダートに邪龍伝承についての話を聞かせるようにと促した。
アロンダートは、その表情を僅かに曇らせると、己の記憶を辿るかのようにして、しばし逡巡した。シュマギナール皇国を収める王家の第二皇子として、特に歴史を好んで学んでいた。その中に、始まりの大地に降り立った龍の話も確かにある。その伝承を、アロンダートは一つしか知らなかった。
ー厄災の龍、その地に降りたし彼の者の、もたらす災禍は国をも絶やす。立ち上がりし四人はその血肉を滅ぼし、災禍を屠る。彼らが築きし礎は、呪いを抑える枷となる。
アロンダートが記憶を辿るように呟く。ジクボルトは出来のいい生徒を褒めるように、満足げに頷いた。そして、己の袖を正すかのように両手を掲げると、片手で指をパチンと鳴らした。その様子は、まるでオーケストラの指揮者にも見える。
ジクボルトに応えるように、ふわりと飛んできたのは酷く古びた本だった。表紙も読めぬほど劣化し、紙は黄ばんで触れるのも戸惑うようなそれは、壁にもたれていたレイガンの元へと運ばれた。
レイガンは、片手でそれを受け取ると、怪訝そうな顔でジクボルトを見つめる。
「まあ、ここに南のものは居ないんだけど。この場に集結したのは西、東、北の国の者たちさ。ダート。君が語った伝承が、本当に全てだと思うかい?」
「…僕は、そう習ってきたが、違うのか。」
「ウンウン、じゃあ違和感を感じたことは?」
「違和感、」
ジクボルトに促されるままに、アロンダートはもう一度頭の中で伝承を思い起こしてみた。古い言い回しはあるが、とくに違和感は感じなかった。
現に、シュマギナール皇国内ではこれが事実として広まっている。シュマギナール皇国に住むものなら、国歌同然に馴染みのある伝承だ。
「違和感は、とくには…」
「そこなんだよ。」
アロンダートの目の前で、ジクボルトが人差し指をピンと立てた。シルクハットから僅かに見える目を細めると、演説をするかのように両手を広げた。
「僕の国では、こう。」
ー厄災の龍、その地に降りたし彼の者の、もたらす災禍は国をも絶やす。立ち上がりし四人はその血肉を奪いし災禍を屠る。彼らが築きし礎は、呪いを抑える枷となる。
「奪いし…?滅ぼしではないのか?」
「これね、対象がおかしいんだよ。」
違和感のある伝承に、アロンダートが反応を示す。ジクボルトは懐から羽ペンを取り出すと、そのペン先に魔力を乗せて、虚空にサラサラと文字を書き始めた。
淡い水色の光を放ち、僅かな魔力を宿した光の粒子が、ペン先を追いかけるように文字を縁どる。正面にいたアロンダートが鏡文字になっていることに気がつくと、ジクボルトの背後に回るように移動した。
「血肉を滅ぼし、は東の国。つまりは皇国が主体となって倒したってことだね。それにくらべて西の国、まあジルガスタントはこれ。血肉を奪いし。どう?」
アロンダートの横に並んだサジが、そのラブラドライトの瞳に文字を映す。しばらくの逡巡の後、ゆっくりと口を開いた。
「血肉を奪いし、は…龍ではないのか?」
白い嫋やかな指が文字に触れる。一文を繰り返し呟きながら出した答えは、文章の流れを綺麗に繋げた。
「さすがエルダちゃん!!そう、そうなのよ!!ジルガスタント側の伝承だと、龍が国民の血肉を奪いしってなるの、つまり、このあとの災禍は国を絶やし、という部分が綺麗につながる。」
「一見、まとまりがあるように見えるが、たしかに…血肉を滅ぼし災禍を屠る、だと…二度殺すという意味になるな。」
「ね、皇国ってすっごい慎重に殺すんだねえ!僕なんかよりずーーーっとサイコパスだねっ!」
手を叩いて無邪気にはしゃぐジクボルトとは反対に、アロンダートはその顔を青褪めさせていた。今まで、この伝承をなんの違和感もなく受け入れてきた。それは、皇国が主体となって広めた伝承だと言われてきたからだ。
伝承の始まりの国が、間違える事など無い。しかしその前提が、そもそも間違っていたのだ。
ジクボルトは、皇国が建国当初から歴史に関わる秘密を隠してきたと言うことを、こうしてアロンダート達へと伝えたのだ。
「これは、シュマギナールだけなのか…。」
「そうだね、この大地は地続きだ。意図的に変えない限り、伝承は何処も同じだよ。」
「そう、か…」
レイガンは難しい顔をしたあと、エルマーの側で小さくなっているナナシを見つめた。
可哀想に、ナナシは顔色を無くしたまま、何かに怯えるようにエルマーの側を離れない。胸元に顔を埋めるようにして俯くと、その手でぎゅっとエルマーの服を握るようにして縋りついた。
「皇国は、何かを隠している。そもそも厄災のきっかけなんてどの文献にも書いていない。どこが始まりかもわからない話を、なんで疑いもせずに信じていられる」
朽ちかけた本を撫でるレイガンの言葉に、ナナシが瞳を揺らした。厄災のきっかけ、その言葉が、小さな突起となってナナシの心の内側をチクリと刺したのだ。
吐息が震える。小さく息を詰めたナナシの微かな変化を、ジクボルトはしっかりとその目で捉えていた。
「金眼の持ち主は、災禍の邪龍だ。でもそれだと、なんでそんな物を国宝にするのかってね。」
「まて、お前さっきナナシに言ったよな?金眼は君のものだとか。」
「ああ、僕はそう思っている。」
読めぬ笑みを浮かべたジクボルトが、俯くナナシの頭を撫でる。訝しげな目線を寄越すサジへと再び向き直ると、わかりやすく眉を下げ、憐れみを宿すような瞳をナナシへと向ける。
「うん、うんうん…レイガンから聞いたよ、君は聖石を取り込むのだろう?しかもただの聖石ではない、巷で噂の呪いの土から出来たものだ!」
ナナシはジクボルトの言葉に顔を上げると、不安げな色を瞳に宿したまま、ゆるゆると頷いた。
本当は、怖いことを言われたくはない。ジクボルトの言葉で、サジやアロンダートに怯えられてしまったら、意識の戻ったエルマーに、嫌がられてしまったら。そんな、もしかしてがいくつも凝り固まって、ナナシの心が引き攣れる。
きゅう、とエルマーの手を握り締める。ヒック、と喉を震わせると、大好きなエルマーの手のひらへと、祈るように額をくっつけた。
「その呪いの土、何で出来ているのか気になるだろう?」
ジクボルトは龍玉を手に持つと、再び羽ペンで虚空をなぞる。そのペン先がついで足掻き出したのは、下手くそな龍の絵であった。
「こちらに金眼。そして龍玉。じゃあ残りの体の部位は?それも分け合ったろう。南の国は鱗と爪だったかな。これはきちんと大聖堂に管理されている。僕はこの目で見たから安心してくれ。」
下手くそな龍の絵に、ジクボルトがサラサラと書き込みをしていく。そのペン先へと視線が集まると、その先端で絵を突くかのようにして、説明混じりに語り出す。
「沈んだ北の国と、国宝自体ないと思っているジルガスタント。ここも恐らく、いやまあ間違いなく分け合ったろうねえ。立ち上がりし四人は建国の礎となった者たちだろうし。四人仲良くわけわけしました、と。」
その二カ国がなにを持っていったかは知らないけど。と、クエスチョンマークを国名の横に描く。説明書きを終えると満足をしたのか、ジクボルトは再びくるりと振り向いた。
その目線の先で、サジを隣に侍らせたアロンダートは、真っ直ぐにその絵を見つめていた。理知的な琥珀の瞳は、頭の中での物事の組み立てを急かすかのように、実に真剣な色味を宿していた。
「災禍の邪龍……、討伐の証のように剥ぎ取られた体の一部が国宝になったのだとすれば、残りの血肉はどうなる…」
淡々とした口調は、その裏に僅かな緊張感を孕んでいた。アロンダートの落ち着いた声が紡ぐ、見落としていた一つの過程に、サジは小さく息を呑んだ。
それは、ジクボルトの満足する答えだったらしい。パチンと指を弾いて頷くと、肩を竦ませて宣った。
「いらなくない?今だってそうでしょう。血も肉も、食べれないものは捨てちゃうでしょう?」
人間は、上辺だけの、見栄えがする部分しかいらないのさ。そう、さも当たり前かのように宣う。
ジクボルトの言葉は、正しくその場にいたものを戦慄させた。もしかしたら、今は当たり前となった魔物の剥ぎ取りも、この邪龍の討伐後から常識になったのかもしれない。人間が作った常識。確かに、血も肉も内蔵も、それは等しく汚いものだ。
「呪いの土。もしそれが、邪龍を倒したあとに出る、忌諱するものだとしたら……それって普通の土じゃなくない?」
「呪いの土は、人を幽鬼にさせる。そして、幽鬼にされたものが吐き出す魔石は、何故かか聖属性を持つ……。」
「そして、その聖石は……」
サジの怯えた声色に促されるように、レイガンは己のインベントリから聖石を取り出した。邪龍の血肉の結晶、そして、ナナシの糧でもある魔力の結晶。
元の場所に還るように体に馴染んだあの感覚が、こんなにも恐ろしいことだったなんて、ナナシは知リたくなかった。
四人の瞳が、ナナシへと向いた。己の異端を晒された今、ナナシは、それを受け入れることを拒否していた。
ナナシの華奢な体は、怯えたように小さく身を竦ませる。それを向けないで、触らせないで。人間でい続けたい。自分がエルマーとは違う生き物なのだと、証明しないで欲しかった。
薄い胸は浅い呼吸を繰り返す。そんなナナシを前に、レイガンが目線を合わせるようにしゃがみこんだ。
「ナナシ、怖いか。」
「や、やだ……やだよう……い、いらな……い、……」
「大丈夫だ、俺は護るためにここにいる。恐いだろうけど、恐れなくていい。」
レイガンの眼は、まっすぐとナナシを見つめていた。揺る気ないその瞳を前に、じわりと涙が滲む。ナナシはわかっていた。記憶を取り戻したときから、自分はみんなと違うものなんじゃないかと、ずっと思っていたのだ。
レイガンの手のひらの上、聖石がつるりと光を放つ。まるで、ナナシが触れるのを待っているかのようであった。
体は小刻みに震えている。再びこの身に取り込むことで、何かが大きく変わってしまうのではないか。そんな想像をしてしまって、怖かったのだ。泣きそうな顔のまま、ナナシは助けを求めるようにサジを見上げた。
「見捨てぬ、そばにいる。」
サジは、真っ直ぐにナナシを見つめていた。共に肩を並べるアロンダートも、その琥珀色にナナシを映して小さく頷いた。
ナナシは、その言葉に耐えきれずに、ぼろりと大粒の涙を零した。やめておけ。そう言われることを期待したのもあった。しかし、己の期待していた言葉よりも、強い意志を持った言葉がナナシの心に寄り添った。
ひっく、と嗚咽を漏らしながら、震える手のひらで意志を受け取った。その瞬間、滾々と泉が湧き上がるかのようにして、純粋な光が溢れ出す。
ナナシはまろい頬に幾筋もの涙を滑らせながら、手のひらで汲むようにして口元へと運んだ。聖なる泉の水が、ナナシの体の内側へと浸透していく。
ああ、満ちていく。悲しくて、認めたくなかった。拒絶していたはずのそれは、緩やかに身の内側へと染み渡っていく。
己の腹に根付いた小さな大切が、喜ぶかのように反応した気がした。
「ああ、やはり美しい。」
ジクボルトの感嘆とする声が漏れた。
光の奔流が収まる。まるで祝福するかのような光の粒が、そっと変化を遂げたナナシの身に降り注いだ。
灰色だった髪は、なめらかな光沢を放つ白銀の髪へと変化していた。宝石のような虹彩を持つ金色の双眸は、涙に濡れてなお美しい。
長い睫毛を涙で濡らしながら、ナナシはゆるりと顔を上げた。天鵞絨のような毛並みの獣の耳が、白く美しい捻れた枝のような角が、その神聖な雰囲気と相まって宗教画のように見えた。
「える、まー……」
鈴の転がるような、陽光を待つ花の綻ぶ音のような、それでいて透きとおった冬の空気のような、不思議な声色で名前を紡ぐ。
誰かの息を呑む音がした。聖なる人外へと姿を変えたナナシの声が、寂しげに鳴いたのだ。
「ナナシは、……ナナシでいたい……えるの、えるのナナシで、いたかったよう……っ……」
懇願にも似た言葉は、嗚咽混じりであった。はらはらと溢れた涙が、エルマーの手の甲を濡らす。
いとけない雰囲気を纏った人外の神が、祈るようにエルマーの手を握り締めた。
「……、みつけて。えるが、……とじこめたナナシのほんとうを、えるがみつけて…」
ナナシの嫋やかな手が、エルマーの長い前髪をそっとよける。白銀の長い髪が、囲うようにエルマーの顔を隠した。
爛れた左目の傷へと、柔らかな唇を落とす。エルマーの顔を、手のひらで優しく包み込むと、ナナシはゆっくりと唇を重ねた。
舌先に魔力をのせると、顔の角度を変えて口付けを深めた。ナナシの魔力がエルマーの摩耗した体にじんわりと染み渡る。
ナナシはゆっくりと唇を離すと、横たわるエルマーの胸元に頬を寄せた。
「ナナシ…?」
動かなくなったナナシに、サジが戸惑った声を上げる。
涙に濡れた顔は、まるで眠っているかのように目を閉じたまま、開くことはない。
ナナシの背を撫でても、反応は無い。わけがわからないまま、焦りだけがつのっていく。
ジクボルトははっとした顔をすると、そっとナナシの口元に手を添えた。
「息をしていない。もしかしたら、夢渡りをしているのかもしれない。」
「夢渡り……?」
「仮死状態のエルマーは、龍玉に触れたろう。彼は今、この中に刻まれた記憶を辿っている。」
「まて、ナナシは自分から追いかけに行ったのか!?」
サジは目を見開いた。刻まれた記憶を辿るということは、あの時のゾーイに見せられた悪夢を繰り返す事と同じだ。
ナナシはひどく痩せていた。よほど恐ろしい記憶に囚われていたに違いない。
再びその中に身をと投じたということは、また同じ悪夢に囚われるという事だ。
「もっと悪いよ、ナナシくんは見つけてと言っただろう。それに、龍玉の最後の記憶は死でしかない。呪われた土になる過程を、エルマーくんが見つけるまで繰り返すということだ。死にはしない、けど……彼が見つけ出すまで、それは繰り返す。」
「まて、エルマーが見つかるまで、ナナシは死に続けるということか!?」
澄んだ青色の宝玉は、魂そのものだ。辛い記憶を刻みこむ度に、その美しさは少しずつ磨かれていった。人外が心を学ぶたびに研磨されていったそれが、今世では感情を得たナナシが傷つく度に罅が入っていく。
心根は違えど同じものだ。受け入れる器が違えば、その負担は直接魂へ響く。
ナナシの心の宝玉が完全に割れてしまう前に、エルマーがナナシの本来の姿を見つけ出すことができるのか。
アロンダートもサジも、守るといったレイガンでさえ手が出せない。ジクボルトは難しい顔をしながら、今は待つしかないよ、と落ち着いた声で呟いた。
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