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シュマギナール皇国編
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腕に抱くナナシの体温が高くなる。酔っ払いめ、何言ってんだと笑ってやりたいのに、首に回された細い腕が、縋り付くように回される。
エルマーは、その背を優しく撫でた。体をくっつけているからこそ、ナナシの心臓の鼓動はよくわかる。なにか気の利いたことを言ってやろうと思ったが、結局何も出てはこなくてやめた。
ここで、歩きながら話すよりも、どうせなら部屋の中のほうがいいと思ったのだ。
宿まではすぐそこだ。エルマーは無言になってしまったナナシの体を抱えたまま受付を済ませると、渡された鍵を持って充てがわれた部屋に入った。
「える、」
「ん?」
ナナシを下ろすと、きゅっと服を握りしめられて名前を呼ばれる。自分よりも低い位置にあるナナシの顔を見下ろすと、少しだけ泣きそうな顔で見つめ返してきた。
目の虹彩に、不安の色が交じる。エルマーはそのまろい頬をそっと撫でてやると、困ったように微笑む。
「だ、」
「抱きてえよ、そりゃ」
「う…、」
エルマーの声が、ナナシの言葉を遮る。自分が好いている者に、そんなことを言わせてしまったことに、己の不甲斐なさを感じる。
少しだけ眠たげなその目尻の涙を拭おうとして、自分の指がカサついていることに気がついた。誤魔化すように髪を流すように撫でてやると、その瞳に涙を溜めたまま、ひっく、と涙声混じりの嗚咽が聞こえた。
「や、ぁ…っ、」
「傷つけねえかさ、怖えんだよ。」
「な、ナナシ…、っ…え、えるが…ほし、っ…」
「あー‥、うん、うん。」
エルマーにしがみついていたのはナナシの方だったのに。エルマーの方が切なそうな顔をしている。ゆっくりと深呼吸をしたかと思うと、その細い体に首を垂れるように床にしゃがみ込む。そのままナナシの細い腰を引き寄せ、薄い腹に頬を擦り寄せた。
そんなエルマーの頭を、恐る恐る小さな手のひらが撫でた。いつもと違って、随分と静かなその様子を見せる姿は、ナナシには悩んでいるかのように見えた。
やっぱり、駄目なのだろうか。ナナシはきゅっと口を一文字に引き結ぶと、ごしごしと溢れる涙を拭った。
「える、」
やっぱり、いい。そう言って諦めようとしたのに。
「ここ、にさ。」
「ぅ、」
エルマー熱い手のひらが、ナナシの服を捲りながら侵入する。言葉を遮るようにして口を挟んだエルマーは、何かを辛抱するような様な表情だった。切なげに、それでいて労わるような優しさを感じる表情で、ナナシの晒した薄く白い腹にそっと口付ける。
「ひぅ、っ…」
「挿れたら、…もう戻れねえよ。ナナシ、」
「ぁ、っえ、える、そ、そこ…っ、」
掠れた声は、仄かに滲む欲の色を含んでいた。己の内側で獣を押し殺しているかのような、腰に響く声だ。
ナナシの反応にエルマーの金眼が細まり、誘われるかのように形の良い臍を舌先で愛撫する。
後手に腰を引き寄せると、リップ音をたてながら腹に口付け、ナナシのこぶりな性器へと布越しに手を添えた。
柔らかなそこは、エルマーが優しく触れるだけで可愛らしく反応を返すのだ。
形のいい唇がナナシの薄い腹部へと吸い付く。ふにりとしたやわらかな感触を腹に感じ、そして強く吸い付かれた。ちゅ、と濡れた音を立てた後、ナナシの白いお腹にはぽちりと赤い痕が散らされる。
「う、…」
そうか、こうして赤い痕ができるのか。沢山愛されると刻まれるそれは、エルマーの所有の証だ。
ナナシはじわりと耳を染め、そのトパーズの瞳は蜂蜜のように甘くとろける。
腰を撫でられる。エルマーの手がゆっくりとナナシのボトムスを下げるのを、大人しくされるがままで待った。ナナシの小さな性器へと導かれるように、エルマーが触れる。下腹部に口付けられ、その金眼がゆっくりとナナシを見つめるのを、熱に浮かされた表情のまま、静かに見つめ返した。
「ぇ、える、ぁ…っ」
ぱくりとそこを咥えられる。エルマーの咥内に招き入れられた小振りな性器に絡みつく舌が気持ちよくて、ナナシの細い腰はふるりと震えた。
ナナシは、エルマーから目が離せなかった。大好きな人が、自分に触れてくれるのが嬉しくて、心臓がバクバクと忙しい。
触れられることの喜びを、心臓の鼓動を響かせる震えた指先で伝えるように、そっと整った顔に触れる。
エルマーの目が優しく細められ、薄く開いた口から見えた赤い舌が、ゆっくりと幹全体に這わされる。
男らしい腕が、その腰を抱えあげられるようにして抱き締めるものだから、ナナシのお尻はエルマーの腕に立ったまま腰掛けるような形になってしまう。
「ぁ、あ、あっ」
「ン、」
「ひぅ、ぁ、やっ…」
赤い舌が、先走りと唾液を混ぜたとろみを引きずりながら、ゆっくりと小ぶりな袋へと這わされる。
舌に乗せるように舐め上げられ、時折ちゅるっと吸い付かれれば、腰が抜けそうに気持ちがいい。
ナナシはされるがまま、静かな宿の室内に、荒い呼吸と共に、口淫の水音が静かに響く。
厚みのあるエルマーの舌が丁寧に愛撫する感覚を受け止めるように、ナナシは思考を熱でぼやけさせたまま、されるがままに受け入れていた。
「で、でちゃ…ぇ、る…ぇるぅ…はぅ、ぁ、あっ…」
ぢゅ、と強く吸い付かれた後、ナナシは膝を震わしながらエルマーの舌の上に精液を吹き出した。
ああ、もう終わってしまう。ひくひくと腰を跳ねさせながら余韻に浸るナナシの性器から唇を離すと、エルマーはその細腰を引き寄せるようにして、己の足に跨がらせた。
「っやー‥ぁ、も、もぅ…おしま、い…?」
「んー‥」
「ぁ、ふ…っ、」
ナナシの問に答えないまま、エルマーはナナシを強く抱きしめた。吐精後の余韻でふるふると身を震わす、腕の中の愛しい子。自分が先に見つけたからという執着が、口にするのも恥ずかしくて仕方がない感情に変わったのはいつからだろう。
この子は、流されてるんじゃないか。自分という存在しか、頼るものがいない。そんな状況で、それを恋に置き換えているのではないか。
エルマーは、ずっとそう思ってきた。自分の手でとろめく素直な体を、抱いてしまえばいよいよ手放せなくなる。もしナナシの抱いている自分への感情が、洗脳だとしたら。この苦しい気持ちの行き場はきっとなくなってしまうだろう。
ナナシの頬に手を添えるようにして、顔を覗き込む。もし、そうだとしたら。汚い自分は術を使ってでも、ナナシが離れないようにしてしまうかもしれない。ああ、いつの間にこんなに情けない男になったのか。
「…ナナシ、」
「ん…っ、」
エルマーの瞳がゆるりと光を帯びる。己の大切が、一生側から離れないように縛り付けてしまいたい。
愚かな男の仄暗い欲が金眼に宿った瞬間、ナナシは瞼を閉じてその薄い唇に、自分のそれを押しつけた。
「…、っ…え、ぅ…すき、すき…」
「ん…、」
まつげを濡らしながら、細い腕を首に回して口付ける。小さな手のひらはエルマーの頭をふわふわと撫で、ぺしょりと薄い舌が甘えるように唇を舐めるのを、エルマーは唇を開いて答えた。
「っ、…ナナシ、…」
「ふ、ンん…んぅ、…」
細い腰に腕を回す。自分は今、ナナシに何をしようとした。存在を確かめるようにきつく抱きしめる。わずかな隙間も許さぬと言わんばかりに深く唇を合わせれば、甘えた吐息を漏らしたナナシが顔を傾け深い口付けに答える。
「ん…ちゅ、う…ふぁ、…っ、すき…える、も、もっと…あっ、」
「っ、…煽んな、バカ。」
「あ、あ、あー‥」
背中に回した腕がナナシの素肌を撫でる。猛った性器は布地を押し上げ、ナナシのこぶりな尻にごりごりとあたっていた。エルマーがこの傷だらけの汚い背中を撫でながら、興奮してくれている。
その事実がナナシの体温をさらに高めてしまうのだ。エルマーが触れてくれる場所はどこも熱いのに、まだ触れられた事のない腹が、何かを待ち侘びるかのように準備をし始める。
「える、えるぅ…!」
「くそ、…なあ、痛えよ多分…血がでっかも…」
「い、よぅ…っ、え、えるなら…いーよぅ…っ、」
涙の膜が張ったナナシの瞳が、エルマーを見つめて柔らかく微笑んだ。全てを包み込むような慈愛の瞳に映った己は、まるで獣のような顔をしている。
じくりと犬歯が疼く。腕の中の大切を求めたい、満たされたいと思った。
「…優しくする、できるだけ。」
「ひぁ、っ…!」
ぐる、と喉が鳴った。その細い首筋に顔を埋めて、本能のままに喉仏に舌を這わす。脱がした下肢のボトムは乱暴に放り投げられ、その華奢な身体を床に押し倒す。目の前にベッドがあるのに、移動する時間も惜しかった。
ナナシが何も言わないのをいいことに、エルマーは細い腰を鷲掴むと、己に引き寄せて腰を密着させた。
「ナナシ、ナナシ…っ、」
「ふぁ、え、える…ぅ、すき…はぁ、ぁっ…」
唇を擦り合わせるように何度も唇を重ねる。ぬちぬちと互いの舌が粘膜の触れ合で音を立てるたび、ナナシの体はふるふると震えながら喜んだ。
気づけばじょわりと幼い性器から尿を漏らし、腰の周りにじわじわと広がる。我慢していたものが、性感によって箍が外れてしまったのだ。
エルマーは気にすることもなく、カチャカチャと音を立てて己のバックルを外すと、ホルスターごとベルトを放り投げてボトムスのジッパーを下げた。
「ん、んんっ、ふ…ちゅ、…はぅ、…」
「はあ、くそ、くそ…っ、かぁいいなあ、おまえ、…っ、だめだとまんね…」
「はぁ、っ…うれ、し…」
熱い舌に必死で応える。大きな手のひらがナナシの薄い腹を優しく撫でては、互いの唾液を交換するようにはしたない口づけを何度も繰り返す。エルマーが興奮してくれるのが嬉しい。ナナシの性器に重なるように、猛ったエルマーの性器が押しつけられる。太い血管が走るそれは、ナナシの性器よりもずっと大きくて、硬く張り詰めていた。
とろりとした先走りを塗りつけるように、ナナシの臍へと先端が触れる。すべて収めたら、ここまで来るんだぞと教えこむようにだ。
ナナシの膝裏に手を添えて、大きく開く。そのまま腰で押し上げるように下半身を持ち上げると、ナナシの小ぶりな性器がぽろんと揺れた。
エルマーの目の前に、余すことなく全てを曝け出している。恥ずかしい、恥ずかしいけど、それでもよかった。
ナナシの目の前には、瞳孔の開いたエルマーが、雄の顔をして見下ろしていた。整った顔を堪えるかのように僅かに歪ませ、その犬歯でがじりと太ももを甘噛みする。
「ぁ、っ…」
「沢山、かぁいい声きかせろ、な?」
「え、る…!っぁ、あ!」
エルマーの頭が下がって、赤い舌がナナシの蕾に張り付いた。素直な体はビクンと腰を震わせて、これからの刺激を期待するかのように小さく震えた。
興奮したエルマーの熱い舌が、にゅくにゅくと解すように蕾を弄る。慎ましやかなそこをねぶられるたびに、少しずつ収縮をし始める。
あ、あ、と熱に浮かされて出た声は無意識だ。エルマーの赤い舌が自分の胎内を舐めているという視覚情報だけで、もうだめだった。
「ひゃ、んんっあ、ぁっや、やら…あ、あー‥っ!」
「ふ、んん、っ…ふは、熱…」
「あぁ、ん…だ、だめぇ…あ、あ、あっ」
「やめねえよ、もう…止まらねえ。」
濡れた舌の先端と蕾が銀糸で繋がる。綻んだそこへ、遠慮なしに差し込まれた無骨な指が、ナナシの内壁を撫で上げるようにしてゆっくりと深くまで挿入される。つぽつぽとぬめりを纏いながら探るように中を弄られ、ナナシの口からはだらし無く唾液がこぼれた。
「はひ、…っ、ゆ、び、はぃ…ちゃ、っ…」
「もっとすげえのいれんだろ、」
「ぁふ、え、える…ひぁ、っ…」
舌と指が、ナナシのそこを翻弄する。お腹の中が気持ちいい、エルマーの指が入っているだけで、ナナシの体は馬鹿になってしまいそうだった。
床に身を投げ出したまま、びくびくと腰を震わせる。小ぶりな性器の先端からは、蜜がとろとろと溢れていく。その一雫が腰を伝って漏らした水溜りに落ちた。行き場の無い手が、感度に震えながら胸の前で小さくなった時だった。
「ん、…ほら、」
「う、ぅー‥っ、」
ナナシの足を肩で担いだエルマーの片手が、そっと小さな手と絡まる。宥めるように繋いだ手の親指が、ナナシの人差し指の根本を撫でてくれると、安心できた。
鋭い快感は毒だ。気づけばエルマーの指を二本も飲み込んだ。素直な腹の、主張する内側のしこりをトントンと押されるだけで、ナナシの性器は端なく精液を零すようになってしまった。
エルマーの腹の下、床にあられもなく身を投げだして、全身を赤く染め上げて蕩けるナナシの幼い体は、まるでもっと奥にと誘うように、甘くエルマーの指を飲み込んでいく。
あと一本、入らないときつい。
「ナナシ、尻向けて。あと一本飲み込めねぇと、多分入んねえから…」
「ん、…ぁ、い…っ…」
震える膝で踏ん張りながら、のろのろと尻を向ける。上半身を持ち上げる余裕はなく、尻だけ上げる形でエルマーに差し出した。
エルマーはその柔らかい尻肉にちゅっと口付けをしてから、再び舌と指で優しく解し始める。
空いた手でにゅくにゅくと幼い性器を絞るようにして刺激してやると、よほど気持ちいいのだろう、ひゃんと可愛く鳴いて内股を濡らした。
「ふあ、あー‥、ぁん、っえ、える…き、もち…きもちぃ…える、えるぅ…」
「かぁい、い…くそ、ちんこいてえ…ああ、かぁいいなナナシ、」
「も、おしり…ゃだよう…ち、ちんち…いれ、て…えるぅ…っ、」
「お前、それはだめだろ…!」
「ひぁ、あ!」
じゅぽ、と三本目の指が入った。ぱつぱつに引き伸ばされた蕾は、エルマーの指を飲み込んでキュウキュウと締め付ける。
ナナシの腹が痙攣し、ぶわりと背筋に沿って甘い痺れが広がる。前立腺をぐにぐにと刺激されて我慢できなかったのか、ぴゅるぴゅるとだらしない射精をして崩折れた。
「あー‥あ、あぁ…れ、てぅ…ひゃ、ん…っ、」
「ん、すげえうねってる…はあ、っ…挿れていいか…、なあ、…おまえの、なかに…」
じゅぼ、と音を立ててエルマーの指が引き抜かれた。ぽっかりとあいた蕾は、赤い媚肉を晒しながら、呼吸にあわせてひくひくと開閉し、その内壁から蜜を零して誘う。
エルマーはぬちぬちと性器を握り擦りながら、許しを請うようにがじがじと尻に甘噛みをした。
「ひぅ、え、える…い、よぅ、…っ、」
とろりとした蜜が蕾から零れ、とろとろとナナシの内股を濡らす。ごくりと喉を鳴らすと、エルマーは後ろから覆いかぶさるようにしてナナシの華奢な体を包み込んだ。
「力抜け、ゆっくり入れっから…」
「ぁ、ぁん、ぅ、うー‥、っ…」
エルマーの指が、ナナシの小さな口を開き、その薄い舌を愛撫する。声が聞きたい、ナナシの可愛らしい声が。
雄の欲を隠そうともせずに、小さな口から溢れる唾液を指に絡ませると、エルマーは濡れた手で己の張り詰めた性器を握る。
蕾に押し付けられた熱源に、ナナシはふるりと背筋を震わした。頸に、エルマーの熱い吐息がかかる。フウフウと荒い呼吸を繰り替えしながら、その先端をゆっくりとナナシの蕾に沈み込ませていく。
「かふ、っ…ひゃ、ぃ、いた、ぁ、っ…」
「痛え、よなあ…っ、ん、ゆっくり…呼吸しな、」
「は、はふ…あ、っ…は、ぁ、ぁ、」
にゅぽ、とはしたない音を立てて、ナナシの呼吸に合わせてゆっくりと性器を飲み込ませる。先端がすべて入ると、ふるふると震えるナナシの背筋に口づけた。
「ん、上手…ちっと馴染むまでこのままな…」
「え、ぇる…も、もっと…き、きてぇ、…っ、」
「おう、ナナシが落ち着いたら、また付き合ってくれや」
「は、ァう…っ、…」
ぱつぱつに張ったそこは、ちゅうちゅうとエルマーの性器の先端に媚びる。その甘やかな刺激に、エルマーの蟀谷からは汗が伝い、ナナシの背筋にぽたりと落ちた。
「ひぁ、っ…!」
その小さな刺激に、落ち着いてきた性感を乱される。突然きゅっと締まるものだから、エルマーもぐっ、と息を詰め、腰が跳ねそうになるのをグッと堪えた。
「あ、あ…ぁー‥、は、っ…」
「ナナシ?」
へなへなと床に突っ伏す。余程気持ちが良かったらしい。ナナシのへたる様子を気にかけるように見下ろすと、その華奢な体はぴくぴくと反応をしながら快感を受け取っていた。
エルマーが恐る恐る腰を進めると、上手に力が抜けているせいか、にゅぷっ、と音を立てながら一番太いところまで飲み込んでいく。
「ひ、ぁん、あ、あ、だ、だめ…え、えるま…ぁっ、」
「あ、く…すげ、…っ、」
「けふ、っ…お、おなか…く、ぅし…っ、」
口端からけぷりと唾液を零す。目の前のチカチカと点滅する光に、ナナシは目を回していた。
なんだこれ。なんだこれなんだこれ。
お腹の中にエルマーがいる。それだけでなんだか気持ちよくって、ナナシはふるりと身を震わす。小さな口からは唾液がこぼれ、ハフハフと必死に呼吸をする。胸がドキドキして、息がなかなか整わない。蕾の縁が甘く痺れて、元の形に戻ろうとすればするほど、エルマーの性器を甘やかに締め付ける。
まるで、もっととねだるような内壁の動きに、エルマーは小さく息を詰めた。
ナナシの腰は、もっとと促すように揺らめく。それに煽られたエルマーが、ぐるると獣のように喉を鳴らした。
「やめろ、…っ…壊しちまう…」
ぐっと後ろから押さえつけられ、耳元で我慢ならないといった具合に囁かれる。
ナナシは涙目でエルマーに擦り寄ると、その大きな手に小さな自分の手を添えて指を絡めた。
「うれ、しぃ…」
泣き顔で、ふにゃふにゃ笑う。ナナシのあどけない表情にエルマーは目を見開くと、男らしい腕でキツく抱きしめた。このまま一生閉じ込めてしまいたい。己の一等の大切に、エルマーは、小さくごめん呟いた。
エルマーは、その背を優しく撫でた。体をくっつけているからこそ、ナナシの心臓の鼓動はよくわかる。なにか気の利いたことを言ってやろうと思ったが、結局何も出てはこなくてやめた。
ここで、歩きながら話すよりも、どうせなら部屋の中のほうがいいと思ったのだ。
宿まではすぐそこだ。エルマーは無言になってしまったナナシの体を抱えたまま受付を済ませると、渡された鍵を持って充てがわれた部屋に入った。
「える、」
「ん?」
ナナシを下ろすと、きゅっと服を握りしめられて名前を呼ばれる。自分よりも低い位置にあるナナシの顔を見下ろすと、少しだけ泣きそうな顔で見つめ返してきた。
目の虹彩に、不安の色が交じる。エルマーはそのまろい頬をそっと撫でてやると、困ったように微笑む。
「だ、」
「抱きてえよ、そりゃ」
「う…、」
エルマーの声が、ナナシの言葉を遮る。自分が好いている者に、そんなことを言わせてしまったことに、己の不甲斐なさを感じる。
少しだけ眠たげなその目尻の涙を拭おうとして、自分の指がカサついていることに気がついた。誤魔化すように髪を流すように撫でてやると、その瞳に涙を溜めたまま、ひっく、と涙声混じりの嗚咽が聞こえた。
「や、ぁ…っ、」
「傷つけねえかさ、怖えんだよ。」
「な、ナナシ…、っ…え、えるが…ほし、っ…」
「あー‥、うん、うん。」
エルマーにしがみついていたのはナナシの方だったのに。エルマーの方が切なそうな顔をしている。ゆっくりと深呼吸をしたかと思うと、その細い体に首を垂れるように床にしゃがみ込む。そのままナナシの細い腰を引き寄せ、薄い腹に頬を擦り寄せた。
そんなエルマーの頭を、恐る恐る小さな手のひらが撫でた。いつもと違って、随分と静かなその様子を見せる姿は、ナナシには悩んでいるかのように見えた。
やっぱり、駄目なのだろうか。ナナシはきゅっと口を一文字に引き結ぶと、ごしごしと溢れる涙を拭った。
「える、」
やっぱり、いい。そう言って諦めようとしたのに。
「ここ、にさ。」
「ぅ、」
エルマー熱い手のひらが、ナナシの服を捲りながら侵入する。言葉を遮るようにして口を挟んだエルマーは、何かを辛抱するような様な表情だった。切なげに、それでいて労わるような優しさを感じる表情で、ナナシの晒した薄く白い腹にそっと口付ける。
「ひぅ、っ…」
「挿れたら、…もう戻れねえよ。ナナシ、」
「ぁ、っえ、える、そ、そこ…っ、」
掠れた声は、仄かに滲む欲の色を含んでいた。己の内側で獣を押し殺しているかのような、腰に響く声だ。
ナナシの反応にエルマーの金眼が細まり、誘われるかのように形の良い臍を舌先で愛撫する。
後手に腰を引き寄せると、リップ音をたてながら腹に口付け、ナナシのこぶりな性器へと布越しに手を添えた。
柔らかなそこは、エルマーが優しく触れるだけで可愛らしく反応を返すのだ。
形のいい唇がナナシの薄い腹部へと吸い付く。ふにりとしたやわらかな感触を腹に感じ、そして強く吸い付かれた。ちゅ、と濡れた音を立てた後、ナナシの白いお腹にはぽちりと赤い痕が散らされる。
「う、…」
そうか、こうして赤い痕ができるのか。沢山愛されると刻まれるそれは、エルマーの所有の証だ。
ナナシはじわりと耳を染め、そのトパーズの瞳は蜂蜜のように甘くとろける。
腰を撫でられる。エルマーの手がゆっくりとナナシのボトムスを下げるのを、大人しくされるがままで待った。ナナシの小さな性器へと導かれるように、エルマーが触れる。下腹部に口付けられ、その金眼がゆっくりとナナシを見つめるのを、熱に浮かされた表情のまま、静かに見つめ返した。
「ぇ、える、ぁ…っ」
ぱくりとそこを咥えられる。エルマーの咥内に招き入れられた小振りな性器に絡みつく舌が気持ちよくて、ナナシの細い腰はふるりと震えた。
ナナシは、エルマーから目が離せなかった。大好きな人が、自分に触れてくれるのが嬉しくて、心臓がバクバクと忙しい。
触れられることの喜びを、心臓の鼓動を響かせる震えた指先で伝えるように、そっと整った顔に触れる。
エルマーの目が優しく細められ、薄く開いた口から見えた赤い舌が、ゆっくりと幹全体に這わされる。
男らしい腕が、その腰を抱えあげられるようにして抱き締めるものだから、ナナシのお尻はエルマーの腕に立ったまま腰掛けるような形になってしまう。
「ぁ、あ、あっ」
「ン、」
「ひぅ、ぁ、やっ…」
赤い舌が、先走りと唾液を混ぜたとろみを引きずりながら、ゆっくりと小ぶりな袋へと這わされる。
舌に乗せるように舐め上げられ、時折ちゅるっと吸い付かれれば、腰が抜けそうに気持ちがいい。
ナナシはされるがまま、静かな宿の室内に、荒い呼吸と共に、口淫の水音が静かに響く。
厚みのあるエルマーの舌が丁寧に愛撫する感覚を受け止めるように、ナナシは思考を熱でぼやけさせたまま、されるがままに受け入れていた。
「で、でちゃ…ぇ、る…ぇるぅ…はぅ、ぁ、あっ…」
ぢゅ、と強く吸い付かれた後、ナナシは膝を震わしながらエルマーの舌の上に精液を吹き出した。
ああ、もう終わってしまう。ひくひくと腰を跳ねさせながら余韻に浸るナナシの性器から唇を離すと、エルマーはその細腰を引き寄せるようにして、己の足に跨がらせた。
「っやー‥ぁ、も、もぅ…おしま、い…?」
「んー‥」
「ぁ、ふ…っ、」
ナナシの問に答えないまま、エルマーはナナシを強く抱きしめた。吐精後の余韻でふるふると身を震わす、腕の中の愛しい子。自分が先に見つけたからという執着が、口にするのも恥ずかしくて仕方がない感情に変わったのはいつからだろう。
この子は、流されてるんじゃないか。自分という存在しか、頼るものがいない。そんな状況で、それを恋に置き換えているのではないか。
エルマーは、ずっとそう思ってきた。自分の手でとろめく素直な体を、抱いてしまえばいよいよ手放せなくなる。もしナナシの抱いている自分への感情が、洗脳だとしたら。この苦しい気持ちの行き場はきっとなくなってしまうだろう。
ナナシの頬に手を添えるようにして、顔を覗き込む。もし、そうだとしたら。汚い自分は術を使ってでも、ナナシが離れないようにしてしまうかもしれない。ああ、いつの間にこんなに情けない男になったのか。
「…ナナシ、」
「ん…っ、」
エルマーの瞳がゆるりと光を帯びる。己の大切が、一生側から離れないように縛り付けてしまいたい。
愚かな男の仄暗い欲が金眼に宿った瞬間、ナナシは瞼を閉じてその薄い唇に、自分のそれを押しつけた。
「…、っ…え、ぅ…すき、すき…」
「ん…、」
まつげを濡らしながら、細い腕を首に回して口付ける。小さな手のひらはエルマーの頭をふわふわと撫で、ぺしょりと薄い舌が甘えるように唇を舐めるのを、エルマーは唇を開いて答えた。
「っ、…ナナシ、…」
「ふ、ンん…んぅ、…」
細い腰に腕を回す。自分は今、ナナシに何をしようとした。存在を確かめるようにきつく抱きしめる。わずかな隙間も許さぬと言わんばかりに深く唇を合わせれば、甘えた吐息を漏らしたナナシが顔を傾け深い口付けに答える。
「ん…ちゅ、う…ふぁ、…っ、すき…える、も、もっと…あっ、」
「っ、…煽んな、バカ。」
「あ、あ、あー‥」
背中に回した腕がナナシの素肌を撫でる。猛った性器は布地を押し上げ、ナナシのこぶりな尻にごりごりとあたっていた。エルマーがこの傷だらけの汚い背中を撫でながら、興奮してくれている。
その事実がナナシの体温をさらに高めてしまうのだ。エルマーが触れてくれる場所はどこも熱いのに、まだ触れられた事のない腹が、何かを待ち侘びるかのように準備をし始める。
「える、えるぅ…!」
「くそ、…なあ、痛えよ多分…血がでっかも…」
「い、よぅ…っ、え、えるなら…いーよぅ…っ、」
涙の膜が張ったナナシの瞳が、エルマーを見つめて柔らかく微笑んだ。全てを包み込むような慈愛の瞳に映った己は、まるで獣のような顔をしている。
じくりと犬歯が疼く。腕の中の大切を求めたい、満たされたいと思った。
「…優しくする、できるだけ。」
「ひぁ、っ…!」
ぐる、と喉が鳴った。その細い首筋に顔を埋めて、本能のままに喉仏に舌を這わす。脱がした下肢のボトムは乱暴に放り投げられ、その華奢な身体を床に押し倒す。目の前にベッドがあるのに、移動する時間も惜しかった。
ナナシが何も言わないのをいいことに、エルマーは細い腰を鷲掴むと、己に引き寄せて腰を密着させた。
「ナナシ、ナナシ…っ、」
「ふぁ、え、える…ぅ、すき…はぁ、ぁっ…」
唇を擦り合わせるように何度も唇を重ねる。ぬちぬちと互いの舌が粘膜の触れ合で音を立てるたび、ナナシの体はふるふると震えながら喜んだ。
気づけばじょわりと幼い性器から尿を漏らし、腰の周りにじわじわと広がる。我慢していたものが、性感によって箍が外れてしまったのだ。
エルマーは気にすることもなく、カチャカチャと音を立てて己のバックルを外すと、ホルスターごとベルトを放り投げてボトムスのジッパーを下げた。
「ん、んんっ、ふ…ちゅ、…はぅ、…」
「はあ、くそ、くそ…っ、かぁいいなあ、おまえ、…っ、だめだとまんね…」
「はぁ、っ…うれ、し…」
熱い舌に必死で応える。大きな手のひらがナナシの薄い腹を優しく撫でては、互いの唾液を交換するようにはしたない口づけを何度も繰り返す。エルマーが興奮してくれるのが嬉しい。ナナシの性器に重なるように、猛ったエルマーの性器が押しつけられる。太い血管が走るそれは、ナナシの性器よりもずっと大きくて、硬く張り詰めていた。
とろりとした先走りを塗りつけるように、ナナシの臍へと先端が触れる。すべて収めたら、ここまで来るんだぞと教えこむようにだ。
ナナシの膝裏に手を添えて、大きく開く。そのまま腰で押し上げるように下半身を持ち上げると、ナナシの小ぶりな性器がぽろんと揺れた。
エルマーの目の前に、余すことなく全てを曝け出している。恥ずかしい、恥ずかしいけど、それでもよかった。
ナナシの目の前には、瞳孔の開いたエルマーが、雄の顔をして見下ろしていた。整った顔を堪えるかのように僅かに歪ませ、その犬歯でがじりと太ももを甘噛みする。
「ぁ、っ…」
「沢山、かぁいい声きかせろ、な?」
「え、る…!っぁ、あ!」
エルマーの頭が下がって、赤い舌がナナシの蕾に張り付いた。素直な体はビクンと腰を震わせて、これからの刺激を期待するかのように小さく震えた。
興奮したエルマーの熱い舌が、にゅくにゅくと解すように蕾を弄る。慎ましやかなそこをねぶられるたびに、少しずつ収縮をし始める。
あ、あ、と熱に浮かされて出た声は無意識だ。エルマーの赤い舌が自分の胎内を舐めているという視覚情報だけで、もうだめだった。
「ひゃ、んんっあ、ぁっや、やら…あ、あー‥っ!」
「ふ、んん、っ…ふは、熱…」
「あぁ、ん…だ、だめぇ…あ、あ、あっ」
「やめねえよ、もう…止まらねえ。」
濡れた舌の先端と蕾が銀糸で繋がる。綻んだそこへ、遠慮なしに差し込まれた無骨な指が、ナナシの内壁を撫で上げるようにしてゆっくりと深くまで挿入される。つぽつぽとぬめりを纏いながら探るように中を弄られ、ナナシの口からはだらし無く唾液がこぼれた。
「はひ、…っ、ゆ、び、はぃ…ちゃ、っ…」
「もっとすげえのいれんだろ、」
「ぁふ、え、える…ひぁ、っ…」
舌と指が、ナナシのそこを翻弄する。お腹の中が気持ちいい、エルマーの指が入っているだけで、ナナシの体は馬鹿になってしまいそうだった。
床に身を投げ出したまま、びくびくと腰を震わせる。小ぶりな性器の先端からは、蜜がとろとろと溢れていく。その一雫が腰を伝って漏らした水溜りに落ちた。行き場の無い手が、感度に震えながら胸の前で小さくなった時だった。
「ん、…ほら、」
「う、ぅー‥っ、」
ナナシの足を肩で担いだエルマーの片手が、そっと小さな手と絡まる。宥めるように繋いだ手の親指が、ナナシの人差し指の根本を撫でてくれると、安心できた。
鋭い快感は毒だ。気づけばエルマーの指を二本も飲み込んだ。素直な腹の、主張する内側のしこりをトントンと押されるだけで、ナナシの性器は端なく精液を零すようになってしまった。
エルマーの腹の下、床にあられもなく身を投げだして、全身を赤く染め上げて蕩けるナナシの幼い体は、まるでもっと奥にと誘うように、甘くエルマーの指を飲み込んでいく。
あと一本、入らないときつい。
「ナナシ、尻向けて。あと一本飲み込めねぇと、多分入んねえから…」
「ん、…ぁ、い…っ…」
震える膝で踏ん張りながら、のろのろと尻を向ける。上半身を持ち上げる余裕はなく、尻だけ上げる形でエルマーに差し出した。
エルマーはその柔らかい尻肉にちゅっと口付けをしてから、再び舌と指で優しく解し始める。
空いた手でにゅくにゅくと幼い性器を絞るようにして刺激してやると、よほど気持ちいいのだろう、ひゃんと可愛く鳴いて内股を濡らした。
「ふあ、あー‥、ぁん、っえ、える…き、もち…きもちぃ…える、えるぅ…」
「かぁい、い…くそ、ちんこいてえ…ああ、かぁいいなナナシ、」
「も、おしり…ゃだよう…ち、ちんち…いれ、て…えるぅ…っ、」
「お前、それはだめだろ…!」
「ひぁ、あ!」
じゅぽ、と三本目の指が入った。ぱつぱつに引き伸ばされた蕾は、エルマーの指を飲み込んでキュウキュウと締め付ける。
ナナシの腹が痙攣し、ぶわりと背筋に沿って甘い痺れが広がる。前立腺をぐにぐにと刺激されて我慢できなかったのか、ぴゅるぴゅるとだらしない射精をして崩折れた。
「あー‥あ、あぁ…れ、てぅ…ひゃ、ん…っ、」
「ん、すげえうねってる…はあ、っ…挿れていいか…、なあ、…おまえの、なかに…」
じゅぼ、と音を立ててエルマーの指が引き抜かれた。ぽっかりとあいた蕾は、赤い媚肉を晒しながら、呼吸にあわせてひくひくと開閉し、その内壁から蜜を零して誘う。
エルマーはぬちぬちと性器を握り擦りながら、許しを請うようにがじがじと尻に甘噛みをした。
「ひぅ、え、える…い、よぅ、…っ、」
とろりとした蜜が蕾から零れ、とろとろとナナシの内股を濡らす。ごくりと喉を鳴らすと、エルマーは後ろから覆いかぶさるようにしてナナシの華奢な体を包み込んだ。
「力抜け、ゆっくり入れっから…」
「ぁ、ぁん、ぅ、うー‥、っ…」
エルマーの指が、ナナシの小さな口を開き、その薄い舌を愛撫する。声が聞きたい、ナナシの可愛らしい声が。
雄の欲を隠そうともせずに、小さな口から溢れる唾液を指に絡ませると、エルマーは濡れた手で己の張り詰めた性器を握る。
蕾に押し付けられた熱源に、ナナシはふるりと背筋を震わした。頸に、エルマーの熱い吐息がかかる。フウフウと荒い呼吸を繰り替えしながら、その先端をゆっくりとナナシの蕾に沈み込ませていく。
「かふ、っ…ひゃ、ぃ、いた、ぁ、っ…」
「痛え、よなあ…っ、ん、ゆっくり…呼吸しな、」
「は、はふ…あ、っ…は、ぁ、ぁ、」
にゅぽ、とはしたない音を立てて、ナナシの呼吸に合わせてゆっくりと性器を飲み込ませる。先端がすべて入ると、ふるふると震えるナナシの背筋に口づけた。
「ん、上手…ちっと馴染むまでこのままな…」
「え、ぇる…も、もっと…き、きてぇ、…っ、」
「おう、ナナシが落ち着いたら、また付き合ってくれや」
「は、ァう…っ、…」
ぱつぱつに張ったそこは、ちゅうちゅうとエルマーの性器の先端に媚びる。その甘やかな刺激に、エルマーの蟀谷からは汗が伝い、ナナシの背筋にぽたりと落ちた。
「ひぁ、っ…!」
その小さな刺激に、落ち着いてきた性感を乱される。突然きゅっと締まるものだから、エルマーもぐっ、と息を詰め、腰が跳ねそうになるのをグッと堪えた。
「あ、あ…ぁー‥、は、っ…」
「ナナシ?」
へなへなと床に突っ伏す。余程気持ちが良かったらしい。ナナシのへたる様子を気にかけるように見下ろすと、その華奢な体はぴくぴくと反応をしながら快感を受け取っていた。
エルマーが恐る恐る腰を進めると、上手に力が抜けているせいか、にゅぷっ、と音を立てながら一番太いところまで飲み込んでいく。
「ひ、ぁん、あ、あ、だ、だめ…え、えるま…ぁっ、」
「あ、く…すげ、…っ、」
「けふ、っ…お、おなか…く、ぅし…っ、」
口端からけぷりと唾液を零す。目の前のチカチカと点滅する光に、ナナシは目を回していた。
なんだこれ。なんだこれなんだこれ。
お腹の中にエルマーがいる。それだけでなんだか気持ちよくって、ナナシはふるりと身を震わす。小さな口からは唾液がこぼれ、ハフハフと必死に呼吸をする。胸がドキドキして、息がなかなか整わない。蕾の縁が甘く痺れて、元の形に戻ろうとすればするほど、エルマーの性器を甘やかに締め付ける。
まるで、もっととねだるような内壁の動きに、エルマーは小さく息を詰めた。
ナナシの腰は、もっとと促すように揺らめく。それに煽られたエルマーが、ぐるると獣のように喉を鳴らした。
「やめろ、…っ…壊しちまう…」
ぐっと後ろから押さえつけられ、耳元で我慢ならないといった具合に囁かれる。
ナナシは涙目でエルマーに擦り寄ると、その大きな手に小さな自分の手を添えて指を絡めた。
「うれ、しぃ…」
泣き顔で、ふにゃふにゃ笑う。ナナシのあどけない表情にエルマーは目を見開くと、男らしい腕でキツく抱きしめた。このまま一生閉じ込めてしまいたい。己の一等の大切に、エルマーは、小さくごめん呟いた。
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