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シュマギナール皇国編
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実に男は巧妙で、準備万端であった。
渋々、エルマーがサジの拘束から解放してやると、ふらふらと立ち上がる。その様子は、漸く開放されたと言わんばかりに疲れていた顔をしていた。しかし男はまだ諦めてはいなかった。溜め息を吐くと、がしりとナナシの手首を掴んだのである。
「う?」
「すまない!」
そして、即座に足に強化魔法をかけたかと思うと、ナナシを抱き上げた。
後ろを振り向くまいと、馬車が止まっている所に誘導するように勢いよく走りだすその姿は、ひったくり犯もかくやと言わんばかりの焦り顔だ。
エルマーはポカンとした後、己の大切が男によって連れ去られたのを視界に捉え、ぴきりとこめかみに血管が走らせた。
「っひい!」
突然、男の背後から鋭い殺気が膨れ上がった。まるで、己の背後を獰猛な獣が牙を剥き、追いかけてくるかのようなそんな心地だ。
己の首に細い腕を回す少年は、落ちないようにしがみついてくれている。彼には敵意が無いことが伝わっているのに、背後の男は伝わっていないのだろうか。泣きたい。
「てめえええええ!!!人が下手に出てりゃあつけ上がりやがってナナシ返せエエエ!!!」
「ヒィいいいいぃいい!!返します、返しますとも!!でもとりあえず大通りまではぁぁぁあああ!!!」
「アッハッハ!!愉快である!おまえ、またエルマーを怒らせて何がしたいのだ!真性のマゾかあ!いい、いいぞお!もっと自分の性癖を曝け出すがいい!」
「あああああ無理ですうううう怖いよおおおお!!!」
狭い路地裏を、猛スピードで駆け抜ける。ナナシはというと、二人がついて来てくれているし、自分はギンイロも側にいるし、この人も悪いことをするつもりはなさそうだしと、なんともマイペースにこの状況を受け入れていた。まあ、突然抱き上げられたときは驚きはしたが。
「てめえ!!その首落とす!!!」
エルマーが、足元の礫を弾く。ひと息に壁を蹴って飛び上がると、男の頭上に躍り出た。そのまま体を捻った勢いで、長い脚を男の頭目掛けて振り下ろそうとした、その時だった。
「おいたしちゃだめよぉ!!」
「っ、」
唐突に、予想外の方向から繰り出された掌底が、エルマーの一打を防ぐ。太ましい男の腕を持つ声の主は、随分と低い女言葉でリアクションをとると、そのまま弾きあげるようにしてエルマーを振り払った。
「おわぁ!!」
軽い音を立てて地面に降り立ったエルマーを、男臭い腕が拘束する。地面に這いつくばっていた男の仲間らしい。喜々とした声色で刺客の名前を呼ぶと、慌てて立ち上がる。
「と、トッド!!!よかった!!きてくれたのか!!」
トッドと呼ばれた大男は、薄桃色のドレスにその身を押し込んだ姿で、ぎゅうぎゅうとその豊かな大胸筋にエルマーを押し付けその身を揺さぶる。
エルマーはというと、その振る舞いが気に食わなかったらしい、げんなりとした顔で腕を叩くが、トッドは動じてはいないようだった。
「あらやだっ、サジじゃない。ジルバはどうしたのよ。」
「離せクソアマ!!誰だてめぇ!!」
「クソアマはムカつくけど、女扱いする姿勢は好きよ。」
エルマーの腕よりも二回り以上逞しい、男らしい腕毛に後ろから羽交い締めにされながら、新たに現れた刺客にいよいよエルマーの頭の血管が切れる。
そのまま足を振り子のように大きく揺らすと、腹筋だけで一気に下肢を持ち上げた。トッドの腕を両手で鷲掴むと、遠心力を利用して頭をスポンと抜く。そして、トッドの首を長い脚で挟み込もうとした時だった。
「トッドぉ!!」
「あらやだ!こないだぶりねぇ!あん!」
「どわっ、いってぇ!!」
トッドがエルマーの体を後ろに放り投げると、駆け寄ってきたナナシを見て柔らかく微笑む。ナナシがトッドに抱きつくと同時に地面に激突したエルマーは、髪に埃をくっつけたまま、全く分けがわからんといった表情で体を起こす。
「なんだ、お前もグルか?」
「人聞き悪いわね。もともとアタシは城勤めのお針子の顔も持つのよ。市井に紛れて市場の様子を見るのだってお仕事のひとつなんだから。」
「ああ、確か第二王子のお抱えだったか。ん?てことはこの男も?」
「と、トッド貴様!!僕がどんな思いで素性を隠したと思っている!!!」
「あら。そうなの?」
「こいつのおかげでエルマーがお冠だ。素性の知らんやつには協力しないと喚いている。」
エルマーだけがポカンである。何だこれ、なんで俺だけが取り残されてんだとばかりに呆けている。サジとも既知らしく、エルマーを差し置いて話が盛り上がっている。もはや怒るのもバカバカしい。
ナナシはトッドを気に入っているらしい。その太く逞しい大きな手を、自分の小さい手で握りしめてニコニコとご機嫌である。
「トッド!おようふく、たくさんうれしかった。おれい、いえるのうれしい!」
「あらあ!!まあまあまあ!!喋れるようになったのねえ!?嫌だぁ、なんて素直な子なのっ、ナナシちゃんの為なら何でもしてあげるわぁっ!」
「トッドすき、える!トッドはナナシのおともらち。」
「今なら母乳が出せそうな気がするわぁ!!!宜しくね伊達男。」
「お、おぉ…。」
ナナシはご機嫌で何よりだが、エルマーからしてみたらお針子というよりはむしろ手練の傭兵に見えて仕方がない。なんだその筋肉はとひきつり笑みを浮かべていると、先程のいけ好かない男が馬車の扉を開いた。
「トッド!今はとにかく先を急がねば!早く乗るように言ってくれ!」
「もう、せっかちねぇ。ほら殿方たちは乗った乗った。悪いようにはしないわ、終わったら帰すから。」
「トッド!となり、となりすわろ!える、いい?」
「お、おう…」
「あらやだぁーもー!!すわるすわるぅ!かんわいいわぁもー、守りたいわぁ、この笑顔。」
トッドの腕によって、馬車の中へぽいぽいと押し込まれたサジとエルマーは隣同士、ナナシはニコニコしながらトッドの横にお行儀よく座った。隣同士の方が触れ合う狭い車内ではあったが、座り心地は悪くない。
行者は先程の男が務めるらしい。馬車のスプリングが跳ね、滑り出すように動き出した。こうして、四人を乗せた馬車は、舗装されていない道を慣らすかのようにして目的地へ向かう。
車内では、昔話に花を咲かせるようにして、トッドがナナシの頭を撫でながら語り出す。
「アタシもねぇ、子供が生きてたらこの子くらいになってたかなぁって思うと、どうしても構いたくなっちゃってねぇ。」
「え、産んだのか?」
「あらやだ!産むわけないじゃない!アタシがいくら女性らしくても流石に無理よぉ。」
いや、そういう単為生殖の魔物かと思った。と口をついて出そうになったが、なんとか飲みこむ。エルマーは引きつり笑みを浮かべたまま、それで?と話の続きを促すことで精いっぱいだった。
「アタシ、西の国との戦争に参加していた時期があるの。そこで孤児の赤ちゃんを拾ってね、放っておけなくて育ててたんだけど、病気で。」
「へえ。」
「深くは聞かないのね。まあ、これ以上続きはないのだけど。」
「あんたのことだから、きちんと弔ってやったんだろ?」
「勿論よ、女に憧れてたアタシを、短い間だけでもママにしてくれたんだもの。亡くなった今でも愛してるわ。」
穏やかな瞳で、トッドは振り返る。過去にそんなことがあったと言うのは、サジも初めて聞いたようだった。チラリと目線だけをトッドに向けはしたが、言葉を発することもなく黙って聞いていた。
隣に座っていたナナシは、トッドの言葉の裏に哀感を感じ取る。血の繋がりなどなくとも、亡き子を振り返るトッドのその表情は、慈愛に満ちていた。ナナシはぎゅっとその腕に抱きつくと、そっと気持ちに寄り添った。
「うふふ、慰めてくれるの?ありがとう。」
「なんつーか、まあ、お前が悪い奴じゃ無いってのはわかったよ。」
「伊達男からもお墨付きね?ごめんなさいね、アランが警戒させちゃったみたいで。」
「アランかあ。このまま名前がわからなければ肉蛇口と呼ぶとこであった。」
相変わらずのサジのネーミングセンスに、エルマーが辟易とした顔をする。ある意味そのセンスは光ってはいるのだが、名付けの意味はナナシには伝わらない。大人にしかわからないその話題は、完全に下ネタ以外の何者でもない。
キョトンとしているナナシの様子に居た堪れなくなったのか、トッドは咳払い一つでその場の空気を切り替えた。
「道はまだ先よ。まずなんで魔女を頼ることになったのか、そこから話すわ。」
「おう、頼むわ。」
トッドの話はこうだった。
皇国を統べるサイネリア家は、跡目争いの最中にあった。城は第一王子派と第二王子派で分かれており、その中でも、アランやトッドは穏やかで争いごとが苦手な第二王子を守る為の、専属の部隊だった。とはいっても、正妃では無い側室の子である第二王子に傅くものは少ない。
皆、時期国王である第一王子の下に侍り、第二王子は数少ない侍従と共に静かに慎ましく暮らしていたという。
同じ城の中でも、第二皇子は宮殿の中の一室しか与えられずにいた。それも、まるで使用人が住まうような狭い部屋だ。第一皇子との扱いには雲泥の差がある。
そんな第二王子の身辺は、城の中でも居場所の無くなった者たちが守っている。実力は申し分ない。だが、活躍する場はない。そんな、ただ居るだけと言われている者たちだ。
トッドたちは城を守る騎士であったが、休戦が言い渡された今、後進にその席を譲るべく職を離れたと言う。アランは宮廷に仕える者達の中で唯一火の属性魔力をその身に宿しているのだが、戦場では役に立っても、城の中では出番は少ない。もちろん、万が一ボヤ騒ぎを起こしても首が飛ぶ。仕方がないとわかってはいるが、術についての教鞭を取ることも許されず、魔法を使えるアランは属性について散々突かれ、妬み嫉みの対象となってしまった。今はただいるだけの存在として席を汚しているだけの彼が、トッドとともに居場所を与えてくれた第二王子に傅くのは、もはや必然だった。
「王子は、最初から玉座なんて望んでいなかったの。ただ叶うことなら、市井で王族ということを隠して、穏やかに過ごしたい。そう願われていたのだけれど、」
「早まった莫迦が暗殺でも企てたのか。」
「そう、呪いの込められた魔石を、送りつけた莫迦がいるの。」
「魔石に呪いを込める?んなこと出来んのかサジ。」
トッドの話を黙って聞いていたサジは、エルマーの問いに首を横に振る。口元に手を当て、しばし逡巡するかのように難しい顔で暫く黙りこくる。そして、何かを思い出すかのようにして眉間を揉むと、少しだけ不貞腐れたような口調で言う。
「魔石に呪いは、無理だ。空魔石ならわからんが、おそらく宿す魔力が強すぎて弾け飛ぶ。呪い、魔石…思い至るとしたら、エルマー。」
「待て、ちょっと待て。なんかすげえ嫌な予感がする。」
トッドの話に苦虫を噛み潰したかのような顔をする。エルマーの中での、思い当たる一つのもしかしてが色濃くなったのだ。呪いをこめた魔石は存じ上げないが、正しく処理をしないと呪われる魔石なら、エルマーはよく知っていた。
項垂れるように、両手で顔を覆う。呆れた目線を向けるサジの隣で、エルマーは深い溜息を一つ吐き出すと、重い口調で宣った。
「おまえ、幽鬼の魔石はしってるか。」
「幽鬼、って…アタシは見たことないけど、闇属性よね?だとしたら紫だと思うけど…」
「ああ、だけど聖水をかける前は、黒い瘴気を吹き出してんだ。」
「ちょ、ちょっとまって。黒い瘴気ですって!?」
心当たりがあったのだろう、トッドの声が上擦る。
予想できた反応を返されて、ますますエルマーは渋い顔をする。この事態は、おそらくだがエルマー自身の怠惰で招いてしまったようなものだ。己の倒した幽鬼の魔石が何者かによって盗まれたことを話すと、トッドはひどく狼狽えた。
「聖水をかける前に、盗まれただなんて…。」
「普通は盗らねえんだよ。呪われたくないだろ誰だって。聖水がなけりゃ、聖属性か光属性の魔法かけりゃいいけど、それをかけられた形跡もねえ。まるまんま、跡形もなく盗まれた。余程の馬鹿野郎かと思ったが、日にち的な偶然が無けりゃ、俺の魔石だろうな。」
「最悪な偶然が重なってしまったのね…。でも、どうやって城まで…」
エルマーとトッドの溜息が重なる。まさかこの出会いも必然なのだろうか。エルマーの奪われた魔石を通して、随分と厄介な問題事と繋がりができてしまうだなんて思いもよらなかった。
関係ないじゃ済まされない。エルマーが渋い顔で黙りこくる横で、サジは自分の髪の毛を弄りながら、考え込む二人に気を遣うこともなく宣った。
「あるぞ。」
「あ?」
「だから、瘴気ごと運ぶ方法だ。」
何度も言わせるなと言った顔で背もたれによりかかる。サジの言葉に顔を上げたエルマーが、眉間にシワを寄せながら思考を巡らせる。最近使う機会もなかったせいか、すっかり忘れていた無属性魔法の一つに、それはあった。
「あ、転移。」
「そう、お前が一番知っているだろう、エルマー。」
「あぁー、あのクッッソ面倒くせえ術の。」
エルマーの保有する無属性魔法に、一つだけ身体強化以外の魔法がある。それが転移魔法で、これは他の属性をその身に宿す者も、行使することは出来るのだが、無属性魔法保持者のほうがより精緻に抵抗なく発動することができるのだ。
ただし、発動条件としては一度行った場所であることと、転移する場所に人が近寄らないようにすること。そして、人目につかないように転移することが条件だが。
「なるほど、確かに魔石ならできるわ。」
「だろう。魔力がある者なら可能だ。まあ、普通は思い至らんだろう。」
転移術とは非常に便利な反面、特定の条件を満たさねばならない面倒なものだ。行使するのなら、本人が転移するほうが早い。今回のように、物だけ転移と言うのは極めて難しい。その理由としては、物は思考することができないからだ。ここにいきたい、という気持ちが伴わなければ転移は難しい。仮に、物を転移をさせるとしたら、転移させたい物ごと手に持って転移をするのが普通だ。
「まって、ならどうやって思考出来ない魔石を転移させたのよ!」
トッドの反応は尤もだ。通常ならあり得ないことは、今の話で十分に理解はできた。しかし、もし本当に物だけで転移をさせるほどの手練れがいたとしたら、それは脅威以外の何者でもない。焦りからか、語気が強まったトッドは、サジの言葉にくってかかる。
ラブラドライトの瞳に冷たさを宿したサジが、気だるそうにエルマーにもたれかかりながら口を開く
「付与だな。魂魄付与、簡単に言うとまあ、石に意識を移したということだ。」
「よっっっぽどの魔力量じゃねえとやらねえ。しかも一人じゃ無理だ。やるとしたら二人、魂付与した石だけ転移させたら、あとは体に戻って終わり。無属性が一人と、珍しい闇属性持ちが一人。」
「しかし闇属性持ちとはなあ。ジルバしか知らんなサジは。」
「あいつはしねえだろ。王子がリストに乗ってんならやるかもしんねーけど、あいつ自身が一人でやる方が早い。」
二人の話に、トッドは顔を青褪めさせた。何か思い当たる節があったらしい。剣だこの残る手のひらで、震える唇を隠すように覆う。戸惑いに揺れる視線をゆっくりと目の前の二人に向けると、緊張で僅かに掠れた声を、絞り出すようにしながら口を開く。
「だ、第二王子の…母君が闇属性よ…。」
「あ?」
「彼女は、半魔なの。」
四人を乗せた馬車は、がたがたと揺れる。急いで走るせいか、それとも刻まれた轍通りにいかないせいか。車輪の滑る不安定な悪路は、まるでトッドの心情のようだった。
車内を、静かな緊迫感が包み込む。エルマーはしばらく黙りこくっていた。もしトッドの話が本当なら、第二皇子は自らの産みの親から暗殺をされかけたということだ。スキャンダラスな事実を前に、その瞳に剣呑さを宿したまま、エルマーは問い詰めるようにしてトッドを見つめた。
「まて、ならなんで王族に嫁げる。光と聖属性のみの筈だろ。」
「側室になりたくてなった訳じゃないもの。彼女は、その見目の良さで特例として密かに召し上げられたの。今は皇国外れの静養地にお住まいよ。」
「後宮ではなくてか。」
「気が狂れてしまったの。わかるでしょう、好きでもない男の子供を孕んでしまったのよ。血筋はどうであれ、王の子を死産にさせるわけにはいかないもの。」
トッドの言葉に、エルマーもサジも、その整った顔を嫌悪に歪ませた。王族だからといって、何をやっても許されるのだろうか。
王によってレイプされ、望まぬ妊娠をした。そして、己の意志を無視されてまで産み落とした子供は、その手から取り上げられる。
最初から、第二皇子の人生は虐げられていたということだろうか。誰からも愛されぬまま、しきたりによって生かされてきた哀れな皇子。そして、今はその母親から命を狙われている可能性がある。
そんな人生、エルマーだったら願い下げだ。
「王子は、その事実を知ってンのか。」
「城にいるのは敵だらけよ、当たり前じゃない。」
ガタン、と音がして馬車が止まる。どうやら目的地に到着したようだった。
話は、中途半端な所で止まる。それ以上続きを聞くにも気が重くなるような話題だ、ある意味タイミングが良いと言えばいいのか。
馬車の扉を開く。使い込まれた扉が軋む音を聞きながら、エルマーたち三人はトッドに促されるままに降り立った。
「ついたわ、ここよ。」
随分と古めかしい屋敷の前に、エルマーたちは立っていた。今にもゴーストでも出てきてしまいそうな、廃墟と言ってもいいその外観を前に、エルマーは己の怠惰でことを招いてしまった、過去の自分を少しだけ呪った。
渋々、エルマーがサジの拘束から解放してやると、ふらふらと立ち上がる。その様子は、漸く開放されたと言わんばかりに疲れていた顔をしていた。しかし男はまだ諦めてはいなかった。溜め息を吐くと、がしりとナナシの手首を掴んだのである。
「う?」
「すまない!」
そして、即座に足に強化魔法をかけたかと思うと、ナナシを抱き上げた。
後ろを振り向くまいと、馬車が止まっている所に誘導するように勢いよく走りだすその姿は、ひったくり犯もかくやと言わんばかりの焦り顔だ。
エルマーはポカンとした後、己の大切が男によって連れ去られたのを視界に捉え、ぴきりとこめかみに血管が走らせた。
「っひい!」
突然、男の背後から鋭い殺気が膨れ上がった。まるで、己の背後を獰猛な獣が牙を剥き、追いかけてくるかのようなそんな心地だ。
己の首に細い腕を回す少年は、落ちないようにしがみついてくれている。彼には敵意が無いことが伝わっているのに、背後の男は伝わっていないのだろうか。泣きたい。
「てめえええええ!!!人が下手に出てりゃあつけ上がりやがってナナシ返せエエエ!!!」
「ヒィいいいいぃいい!!返します、返しますとも!!でもとりあえず大通りまではぁぁぁあああ!!!」
「アッハッハ!!愉快である!おまえ、またエルマーを怒らせて何がしたいのだ!真性のマゾかあ!いい、いいぞお!もっと自分の性癖を曝け出すがいい!」
「あああああ無理ですうううう怖いよおおおお!!!」
狭い路地裏を、猛スピードで駆け抜ける。ナナシはというと、二人がついて来てくれているし、自分はギンイロも側にいるし、この人も悪いことをするつもりはなさそうだしと、なんともマイペースにこの状況を受け入れていた。まあ、突然抱き上げられたときは驚きはしたが。
「てめえ!!その首落とす!!!」
エルマーが、足元の礫を弾く。ひと息に壁を蹴って飛び上がると、男の頭上に躍り出た。そのまま体を捻った勢いで、長い脚を男の頭目掛けて振り下ろそうとした、その時だった。
「おいたしちゃだめよぉ!!」
「っ、」
唐突に、予想外の方向から繰り出された掌底が、エルマーの一打を防ぐ。太ましい男の腕を持つ声の主は、随分と低い女言葉でリアクションをとると、そのまま弾きあげるようにしてエルマーを振り払った。
「おわぁ!!」
軽い音を立てて地面に降り立ったエルマーを、男臭い腕が拘束する。地面に這いつくばっていた男の仲間らしい。喜々とした声色で刺客の名前を呼ぶと、慌てて立ち上がる。
「と、トッド!!!よかった!!きてくれたのか!!」
トッドと呼ばれた大男は、薄桃色のドレスにその身を押し込んだ姿で、ぎゅうぎゅうとその豊かな大胸筋にエルマーを押し付けその身を揺さぶる。
エルマーはというと、その振る舞いが気に食わなかったらしい、げんなりとした顔で腕を叩くが、トッドは動じてはいないようだった。
「あらやだっ、サジじゃない。ジルバはどうしたのよ。」
「離せクソアマ!!誰だてめぇ!!」
「クソアマはムカつくけど、女扱いする姿勢は好きよ。」
エルマーの腕よりも二回り以上逞しい、男らしい腕毛に後ろから羽交い締めにされながら、新たに現れた刺客にいよいよエルマーの頭の血管が切れる。
そのまま足を振り子のように大きく揺らすと、腹筋だけで一気に下肢を持ち上げた。トッドの腕を両手で鷲掴むと、遠心力を利用して頭をスポンと抜く。そして、トッドの首を長い脚で挟み込もうとした時だった。
「トッドぉ!!」
「あらやだ!こないだぶりねぇ!あん!」
「どわっ、いってぇ!!」
トッドがエルマーの体を後ろに放り投げると、駆け寄ってきたナナシを見て柔らかく微笑む。ナナシがトッドに抱きつくと同時に地面に激突したエルマーは、髪に埃をくっつけたまま、全く分けがわからんといった表情で体を起こす。
「なんだ、お前もグルか?」
「人聞き悪いわね。もともとアタシは城勤めのお針子の顔も持つのよ。市井に紛れて市場の様子を見るのだってお仕事のひとつなんだから。」
「ああ、確か第二王子のお抱えだったか。ん?てことはこの男も?」
「と、トッド貴様!!僕がどんな思いで素性を隠したと思っている!!!」
「あら。そうなの?」
「こいつのおかげでエルマーがお冠だ。素性の知らんやつには協力しないと喚いている。」
エルマーだけがポカンである。何だこれ、なんで俺だけが取り残されてんだとばかりに呆けている。サジとも既知らしく、エルマーを差し置いて話が盛り上がっている。もはや怒るのもバカバカしい。
ナナシはトッドを気に入っているらしい。その太く逞しい大きな手を、自分の小さい手で握りしめてニコニコとご機嫌である。
「トッド!おようふく、たくさんうれしかった。おれい、いえるのうれしい!」
「あらあ!!まあまあまあ!!喋れるようになったのねえ!?嫌だぁ、なんて素直な子なのっ、ナナシちゃんの為なら何でもしてあげるわぁっ!」
「トッドすき、える!トッドはナナシのおともらち。」
「今なら母乳が出せそうな気がするわぁ!!!宜しくね伊達男。」
「お、おぉ…。」
ナナシはご機嫌で何よりだが、エルマーからしてみたらお針子というよりはむしろ手練の傭兵に見えて仕方がない。なんだその筋肉はとひきつり笑みを浮かべていると、先程のいけ好かない男が馬車の扉を開いた。
「トッド!今はとにかく先を急がねば!早く乗るように言ってくれ!」
「もう、せっかちねぇ。ほら殿方たちは乗った乗った。悪いようにはしないわ、終わったら帰すから。」
「トッド!となり、となりすわろ!える、いい?」
「お、おう…」
「あらやだぁーもー!!すわるすわるぅ!かんわいいわぁもー、守りたいわぁ、この笑顔。」
トッドの腕によって、馬車の中へぽいぽいと押し込まれたサジとエルマーは隣同士、ナナシはニコニコしながらトッドの横にお行儀よく座った。隣同士の方が触れ合う狭い車内ではあったが、座り心地は悪くない。
行者は先程の男が務めるらしい。馬車のスプリングが跳ね、滑り出すように動き出した。こうして、四人を乗せた馬車は、舗装されていない道を慣らすかのようにして目的地へ向かう。
車内では、昔話に花を咲かせるようにして、トッドがナナシの頭を撫でながら語り出す。
「アタシもねぇ、子供が生きてたらこの子くらいになってたかなぁって思うと、どうしても構いたくなっちゃってねぇ。」
「え、産んだのか?」
「あらやだ!産むわけないじゃない!アタシがいくら女性らしくても流石に無理よぉ。」
いや、そういう単為生殖の魔物かと思った。と口をついて出そうになったが、なんとか飲みこむ。エルマーは引きつり笑みを浮かべたまま、それで?と話の続きを促すことで精いっぱいだった。
「アタシ、西の国との戦争に参加していた時期があるの。そこで孤児の赤ちゃんを拾ってね、放っておけなくて育ててたんだけど、病気で。」
「へえ。」
「深くは聞かないのね。まあ、これ以上続きはないのだけど。」
「あんたのことだから、きちんと弔ってやったんだろ?」
「勿論よ、女に憧れてたアタシを、短い間だけでもママにしてくれたんだもの。亡くなった今でも愛してるわ。」
穏やかな瞳で、トッドは振り返る。過去にそんなことがあったと言うのは、サジも初めて聞いたようだった。チラリと目線だけをトッドに向けはしたが、言葉を発することもなく黙って聞いていた。
隣に座っていたナナシは、トッドの言葉の裏に哀感を感じ取る。血の繋がりなどなくとも、亡き子を振り返るトッドのその表情は、慈愛に満ちていた。ナナシはぎゅっとその腕に抱きつくと、そっと気持ちに寄り添った。
「うふふ、慰めてくれるの?ありがとう。」
「なんつーか、まあ、お前が悪い奴じゃ無いってのはわかったよ。」
「伊達男からもお墨付きね?ごめんなさいね、アランが警戒させちゃったみたいで。」
「アランかあ。このまま名前がわからなければ肉蛇口と呼ぶとこであった。」
相変わらずのサジのネーミングセンスに、エルマーが辟易とした顔をする。ある意味そのセンスは光ってはいるのだが、名付けの意味はナナシには伝わらない。大人にしかわからないその話題は、完全に下ネタ以外の何者でもない。
キョトンとしているナナシの様子に居た堪れなくなったのか、トッドは咳払い一つでその場の空気を切り替えた。
「道はまだ先よ。まずなんで魔女を頼ることになったのか、そこから話すわ。」
「おう、頼むわ。」
トッドの話はこうだった。
皇国を統べるサイネリア家は、跡目争いの最中にあった。城は第一王子派と第二王子派で分かれており、その中でも、アランやトッドは穏やかで争いごとが苦手な第二王子を守る為の、専属の部隊だった。とはいっても、正妃では無い側室の子である第二王子に傅くものは少ない。
皆、時期国王である第一王子の下に侍り、第二王子は数少ない侍従と共に静かに慎ましく暮らしていたという。
同じ城の中でも、第二皇子は宮殿の中の一室しか与えられずにいた。それも、まるで使用人が住まうような狭い部屋だ。第一皇子との扱いには雲泥の差がある。
そんな第二王子の身辺は、城の中でも居場所の無くなった者たちが守っている。実力は申し分ない。だが、活躍する場はない。そんな、ただ居るだけと言われている者たちだ。
トッドたちは城を守る騎士であったが、休戦が言い渡された今、後進にその席を譲るべく職を離れたと言う。アランは宮廷に仕える者達の中で唯一火の属性魔力をその身に宿しているのだが、戦場では役に立っても、城の中では出番は少ない。もちろん、万が一ボヤ騒ぎを起こしても首が飛ぶ。仕方がないとわかってはいるが、術についての教鞭を取ることも許されず、魔法を使えるアランは属性について散々突かれ、妬み嫉みの対象となってしまった。今はただいるだけの存在として席を汚しているだけの彼が、トッドとともに居場所を与えてくれた第二王子に傅くのは、もはや必然だった。
「王子は、最初から玉座なんて望んでいなかったの。ただ叶うことなら、市井で王族ということを隠して、穏やかに過ごしたい。そう願われていたのだけれど、」
「早まった莫迦が暗殺でも企てたのか。」
「そう、呪いの込められた魔石を、送りつけた莫迦がいるの。」
「魔石に呪いを込める?んなこと出来んのかサジ。」
トッドの話を黙って聞いていたサジは、エルマーの問いに首を横に振る。口元に手を当て、しばし逡巡するかのように難しい顔で暫く黙りこくる。そして、何かを思い出すかのようにして眉間を揉むと、少しだけ不貞腐れたような口調で言う。
「魔石に呪いは、無理だ。空魔石ならわからんが、おそらく宿す魔力が強すぎて弾け飛ぶ。呪い、魔石…思い至るとしたら、エルマー。」
「待て、ちょっと待て。なんかすげえ嫌な予感がする。」
トッドの話に苦虫を噛み潰したかのような顔をする。エルマーの中での、思い当たる一つのもしかしてが色濃くなったのだ。呪いをこめた魔石は存じ上げないが、正しく処理をしないと呪われる魔石なら、エルマーはよく知っていた。
項垂れるように、両手で顔を覆う。呆れた目線を向けるサジの隣で、エルマーは深い溜息を一つ吐き出すと、重い口調で宣った。
「おまえ、幽鬼の魔石はしってるか。」
「幽鬼、って…アタシは見たことないけど、闇属性よね?だとしたら紫だと思うけど…」
「ああ、だけど聖水をかける前は、黒い瘴気を吹き出してんだ。」
「ちょ、ちょっとまって。黒い瘴気ですって!?」
心当たりがあったのだろう、トッドの声が上擦る。
予想できた反応を返されて、ますますエルマーは渋い顔をする。この事態は、おそらくだがエルマー自身の怠惰で招いてしまったようなものだ。己の倒した幽鬼の魔石が何者かによって盗まれたことを話すと、トッドはひどく狼狽えた。
「聖水をかける前に、盗まれただなんて…。」
「普通は盗らねえんだよ。呪われたくないだろ誰だって。聖水がなけりゃ、聖属性か光属性の魔法かけりゃいいけど、それをかけられた形跡もねえ。まるまんま、跡形もなく盗まれた。余程の馬鹿野郎かと思ったが、日にち的な偶然が無けりゃ、俺の魔石だろうな。」
「最悪な偶然が重なってしまったのね…。でも、どうやって城まで…」
エルマーとトッドの溜息が重なる。まさかこの出会いも必然なのだろうか。エルマーの奪われた魔石を通して、随分と厄介な問題事と繋がりができてしまうだなんて思いもよらなかった。
関係ないじゃ済まされない。エルマーが渋い顔で黙りこくる横で、サジは自分の髪の毛を弄りながら、考え込む二人に気を遣うこともなく宣った。
「あるぞ。」
「あ?」
「だから、瘴気ごと運ぶ方法だ。」
何度も言わせるなと言った顔で背もたれによりかかる。サジの言葉に顔を上げたエルマーが、眉間にシワを寄せながら思考を巡らせる。最近使う機会もなかったせいか、すっかり忘れていた無属性魔法の一つに、それはあった。
「あ、転移。」
「そう、お前が一番知っているだろう、エルマー。」
「あぁー、あのクッッソ面倒くせえ術の。」
エルマーの保有する無属性魔法に、一つだけ身体強化以外の魔法がある。それが転移魔法で、これは他の属性をその身に宿す者も、行使することは出来るのだが、無属性魔法保持者のほうがより精緻に抵抗なく発動することができるのだ。
ただし、発動条件としては一度行った場所であることと、転移する場所に人が近寄らないようにすること。そして、人目につかないように転移することが条件だが。
「なるほど、確かに魔石ならできるわ。」
「だろう。魔力がある者なら可能だ。まあ、普通は思い至らんだろう。」
転移術とは非常に便利な反面、特定の条件を満たさねばならない面倒なものだ。行使するのなら、本人が転移するほうが早い。今回のように、物だけ転移と言うのは極めて難しい。その理由としては、物は思考することができないからだ。ここにいきたい、という気持ちが伴わなければ転移は難しい。仮に、物を転移をさせるとしたら、転移させたい物ごと手に持って転移をするのが普通だ。
「まって、ならどうやって思考出来ない魔石を転移させたのよ!」
トッドの反応は尤もだ。通常ならあり得ないことは、今の話で十分に理解はできた。しかし、もし本当に物だけで転移をさせるほどの手練れがいたとしたら、それは脅威以外の何者でもない。焦りからか、語気が強まったトッドは、サジの言葉にくってかかる。
ラブラドライトの瞳に冷たさを宿したサジが、気だるそうにエルマーにもたれかかりながら口を開く
「付与だな。魂魄付与、簡単に言うとまあ、石に意識を移したということだ。」
「よっっっぽどの魔力量じゃねえとやらねえ。しかも一人じゃ無理だ。やるとしたら二人、魂付与した石だけ転移させたら、あとは体に戻って終わり。無属性が一人と、珍しい闇属性持ちが一人。」
「しかし闇属性持ちとはなあ。ジルバしか知らんなサジは。」
「あいつはしねえだろ。王子がリストに乗ってんならやるかもしんねーけど、あいつ自身が一人でやる方が早い。」
二人の話に、トッドは顔を青褪めさせた。何か思い当たる節があったらしい。剣だこの残る手のひらで、震える唇を隠すように覆う。戸惑いに揺れる視線をゆっくりと目の前の二人に向けると、緊張で僅かに掠れた声を、絞り出すようにしながら口を開く。
「だ、第二王子の…母君が闇属性よ…。」
「あ?」
「彼女は、半魔なの。」
四人を乗せた馬車は、がたがたと揺れる。急いで走るせいか、それとも刻まれた轍通りにいかないせいか。車輪の滑る不安定な悪路は、まるでトッドの心情のようだった。
車内を、静かな緊迫感が包み込む。エルマーはしばらく黙りこくっていた。もしトッドの話が本当なら、第二皇子は自らの産みの親から暗殺をされかけたということだ。スキャンダラスな事実を前に、その瞳に剣呑さを宿したまま、エルマーは問い詰めるようにしてトッドを見つめた。
「まて、ならなんで王族に嫁げる。光と聖属性のみの筈だろ。」
「側室になりたくてなった訳じゃないもの。彼女は、その見目の良さで特例として密かに召し上げられたの。今は皇国外れの静養地にお住まいよ。」
「後宮ではなくてか。」
「気が狂れてしまったの。わかるでしょう、好きでもない男の子供を孕んでしまったのよ。血筋はどうであれ、王の子を死産にさせるわけにはいかないもの。」
トッドの言葉に、エルマーもサジも、その整った顔を嫌悪に歪ませた。王族だからといって、何をやっても許されるのだろうか。
王によってレイプされ、望まぬ妊娠をした。そして、己の意志を無視されてまで産み落とした子供は、その手から取り上げられる。
最初から、第二皇子の人生は虐げられていたということだろうか。誰からも愛されぬまま、しきたりによって生かされてきた哀れな皇子。そして、今はその母親から命を狙われている可能性がある。
そんな人生、エルマーだったら願い下げだ。
「王子は、その事実を知ってンのか。」
「城にいるのは敵だらけよ、当たり前じゃない。」
ガタン、と音がして馬車が止まる。どうやら目的地に到着したようだった。
話は、中途半端な所で止まる。それ以上続きを聞くにも気が重くなるような話題だ、ある意味タイミングが良いと言えばいいのか。
馬車の扉を開く。使い込まれた扉が軋む音を聞きながら、エルマーたち三人はトッドに促されるままに降り立った。
「ついたわ、ここよ。」
随分と古めかしい屋敷の前に、エルマーたちは立っていた。今にもゴーストでも出てきてしまいそうな、廃墟と言ってもいいその外観を前に、エルマーは己の怠惰でことを招いてしまった、過去の自分を少しだけ呪った。
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