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シュマギナール皇国編
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あれから、ジルバはサジと少し話がしたいと言ったので、ナナシは気を使ってお外で待っていると申し出た。
「いいのか、この部屋で待っていても構わないぞ?ただし、遮蔽させてもらうが…」
「ナナシおそといる。いいこにまってられるよ。」
「ふん。手短に終わらせる。砂壁の前で待っていろ。」
「はあい。」
サジもジルバも、大人の男の人にしか出来ないお話があるのだ。ナナシはまだ子供だから、こういうときは居ちゃいけないというのをよく理解していた。
ジルバは最後まで心配そうに眉を下げてくれて、それが少しだけ嬉しいと思ってしまう。そんな様子につい頬が緩みそうになって、慌てて口をもごつかせて誤魔化した。
心配してくれる人がいるのは、幸せなことだなあ。ナナシはゆるゆると手を振ると、ジルバに言われた通りに大人しく目を瞑って三つ数えた。すると元来た場所に出る。
どれだけ魔女の家に居たのだろう、お空は少しだけ赤くなっていた。
ナナシはエルマーの大切な薬の小瓶をバックの中にしっかりしまい、それをお腹に隠した。膝を抱きかかえて、体を小さく畳むようにして乱雑に積み上がった木箱の間に収まると、まだ少しドキドキする胸を宥めるように、深呼吸をした。口元がもにょついて、ついくふんと笑ってしまい、慌ててそれを誤魔化すようにして口元を小さな手で隠す。
「これ、える。びっくしするかなあ。」
ナナシがきちんと話せるようになったよって言ったら、エルマーはどれだけ驚いてくれるのか。
頬を染めながら、エルマーが腰を抜かす想像をして、またくふくふ笑う。小さい手で口元を隠して静かに笑うのは、昔からの癖だった。
「さじ、じるば。とっど、すーま、まいことじじ。あと、えるまー」
すごい。ナナシには八人も友達が出来た。片手で足りない。両手が忙しくて、それも嬉しくてもぞもぞする。
まだ上手くは喋れないけど、言葉はスムーズに出てくる。どう言えばいいのか、口が教えてくれる。
「えるまー、すき。」
くふんと笑って小さく呟く。みんな大好きだけど、エルマーが一番大好き。ナナシは小瓶をもう一度見たくて、バッグの中身を確かめる。
ナナシがエルマーの為に、初めてお使いをした。
まだ出来ないことが沢山あるけれど、ナナシはきちんとお薬くださいと言えたのだ。影から出てきたジルバはちょびっとだけ怖かったけど、ナナシはエルマーに褒めてもらいたくて頑張った。頭を撫でてもらいたい。抱きしめてほしい、もしかしたら、よくやったとキスもしてくれるだろうか。
「ふふ、」
沢山の経験を一日でしてしまった。そのせいだろうか、小柄な体は疲れたのか、少しだけ眠くなってきた。くありと一つ欠伸を漏らすと、膝を抱えたまま数度瞬きをする。眠たい。サジが帰ってきたら起こしてくれるだろうか。
ふわふわする不思議な感覚で、体力の無い身体が抗えぬ眠気に敵う筈もない。
ナナシはバッグを抱きしめたままこてりと夢の中に旅立った。それが意図的なものだとも知らずに。
エルマー達が飲み屋で見た、大男に怒鳴られていた痩せぎすの男は、実に入念に準備をしていた。
最初の狙いはサジだった。
あの枯葉色の髪を緩く結んだ美貌の男は、よくこの砂壁の前で見かけていた。たまたま、数週間前に何度か男が根城にする路地裏を通って行ったのだ。当然こんな狭くて汚いところをわざわざ通る理由が気になる。
何度か後をつけたのだが、毎回壁のところで見失う。だから男は罠を張った。もちろんかかることはないとも思っていた。
ふざけて買った眠り香、それをあの木箱の一つに入れておいたのだ。それが発動するのは、魔力を感知した時だけである。
今日駄目だったら、もう諦めてしまおうか。そう思っていた男の目の前で、まさかのことが起きる。男は確かに見たのだ。砂壁から突然現れた、幼い美少年を。
「まさかこっちが釣れるとはなあ。」
正直持ち運びがしやすい分有り難い。くたりと寝こけている少年を抱きかかえると、痩せぎすの男はそのまま路地裏を後にした。
この少年は、旦那が先に目をつけていた。これを持っていったらきっと、もう少し待遇も良くなるだろう。
しかし驚いた。ありゃ一体何だったんだ。
男の目の前で形を変えた砂壁。あそこに住むのは何なのだ。追求したくても命は惜しい。男は後ろ髪を引かれつつも、足音を消してその場を後にした。伊達に後衛で働いてきていない。身体強化やバフなど、自分にかけることができる己の能力を、男は重宝していた。
「う、」
不味い。慌てて走ったから揺らしてしまっただろうか。止めていた馬車にそっと寝かすと、フードがずれて烏珠の黒髪がこぼれた。長いまつ毛に小さな頤、ツンとたった鼻梁。造形の美しい少年の細い首筋に、ごくりと生唾を飲み込んだ。
この子は確か白痴だ。襲ったとしても上手くは説明出来ないだろう。ここで抱いてしまおうか。いや、まだあの壁からはそこまで離れたわけではない。ならばこのまま馬を走らせてアジトに戻ろう。
そっとその口に布を巻くと、麻袋を被せた。慎重に体を縛りつけると、男に急かされるようにして鞭を打たれた馬は、不満気に嘶いた。空は仄かに赤かった。もうすぐ夕闇が辺りを覆うだろう。
「サジ。」
「ああ面倒くさい。エルマーにしばかれる。」
「俺も怒られよう。さて、仕事だ」
ジルバはサジの腰を抱きながら、そっとその光景を高い位置から見つめていた。
今の男が向かった先に、彼の処刑対象がいたからだ。
ジルバは魔女で、男で、ずる賢い。だからサジがこうして狙われていると知ってからは、その仲間に紛れていた魔女を炙り出すために放っておいたのだ。
連れてきたナナシを見たときに、魔女狩りは二人のほうがやりやすいなあ。と考えを変えてナナシを囮にした。
サジはあの時、すべてを悟った。
こいつ、嵌めやがったなと。
「むかつく。まじでむかつく。ジルバ、お前ほんとそういうところだ。」
「サジからお前と聞くとは。よほど怒っているな。」
「こんなことエルマーにバレたらサジが処される。任せるって言われたのはサジだぞ。任せる意味合いが違う。」
「まあ、説明すると警戒されるだろう。となると、まとめて片付けられないからなあ。」
ジルバがナナシを外に出したとき。選択肢を与えて保険をかけていた。ナナシの性格からして、断らないだろうことを予想した上、責任は自分にはありませんという建前をしっかりと作っていたのだ。ジルバの性格は、実に魔女らしく小賢しい。
「しかし考えたな。魔力に反応する眠り香とは、やはり入れ知恵をしたやつがいる。」
男が操る馬車は、郊外の森の中奥深くを走っていた。そして、開けた場所でその車輪を止めると、コーチからナナシと思われる人を抱え降ろした。
麻袋を被せられて縛られているナナシを見て、サジの魔力が張る。人並みに怒りも感じるのかとジルバは感心したが、どうやらそれは違ったようだ。
「痕がついたら、ますます言い逃れはできん。誘拐するにしても実にスマートではない。あいつ、センスが無いんじゃないか。」
「うんうん、サジはサジだな。まあ待て、魔女を狩るにも親玉がまだ出てこない。」
ジルバは煙管を咥えて、ふぅっと煙を細く吐き出した。火花は煙に侍るよう、空気を弾く音をたて、ゆっくりと散る。その煙は意思を持ったかのように、男とナナシが消えていった洞穴に入り込んでいく。
「さて、久しぶりの本性だ。ナナシは怖がるだろうか。」
「ナナシは魔物を見ても愛しむ阿呆だ。ただ合言葉は知らんぞ。誰に言わせるつもりだ。」
「ふむ、後ろ暗い奴が言ってくれるさ。」
そういうと、ジルバの灰の瞳の瞳孔が縦に伸びた。
サジは心底辟易とした顔でジルバとともに地面に降り立つと、そっと土に触れた。
「ナナシの鼓動を感知せよ。出来るだろう、エルマー」
ざわりと木々が波打つ。了承の証か、地面から枯れた蔦がぼこりと一本姿を表した。懐くようにサジの指先に絡みついてからスルリと離れると、そのまま地面に潜って消える。
「よい、バックアップはエルマーがするだろう。存分に暴れよ。」
「寝た男の名前をつけるとは趣味が悪い。」
「悪食のジルバにだけは言われたくないわ。」
二人はまっすぐに洞穴を見た。爛々と輝くジルバの目は、まるで今から起こることを期待するような、そんな子供のように無邪気なものだった。
一陣の風が吹く。木々はざわめき、砂埃が洞穴に誘われるようにして入っていく。
まだか、まだか。二人は静かにその時を待った。
ぽこん。
地面から蔦が顔を出す。合図が来た、ナナシはまだ生きている。サジはにやりと笑うと、ジルバは身を震わせて喜んだ。
「カウントしようか。」
「不要だ、ほら。」
すっと指をさした瞬間、にわかに洞穴が騒がしくなる。まるで巣をつつかれた蜂のように飛び出してくる件の男達は、揃いも揃って燻られたかのように煤に塗れていた。
「な、なんだってんだ!!急に火がつきやがった!!」
「おまえ、煙草の火を消したのか!?俺はあんなとこで吸うなって毎回言ったよなあ!?」
「俺のせいだって言いてえのか!!!」
顔に傷のある大男は、仲間の胸ぐらを掴むと喚き散らした。後を追うように遅れて出てきたのは、黒いローブを纏った女だ。
ジルバのお目当ての一人であるその魔女は、ローブを握りしめながら分かり易く怯えていた。なぜ火が起きたのかを理解している様子で、その顔色を青褪めさせる。
「おい!ガキはどうした!まさか中に置いてきたわけじゃねえだろうな!?」
「無理だよ旦那!だって中には木の化け物もいたんだぜ!?あいつを囮にしなきゃ逃げきれなかったってえ!!」
痩せぎすの男が半泣きで叫ぶ。女はつかつかとその男の側まで行くと、力いっぱい頬を叩いた。
「この愚図!!あんたのせいだね!!厄介なもん連れてきやがって!!あいつに気づかれたらどうするんだい!?」
「だ、誰だよあいつって、俺のこと叩いたな!?女のくせに生意気な!!」
「てめえ!ヤらせもしねえくせに威張り散らしやがって!!俺が躾直してやる!」
「誰があんたみたいな臭い男と寝られるかってんだ!冗談は面だけにしときな!!」
しゅるりと蔦が洞穴から出てくる。その様子を見た魔女が目を見開くと、文句もそこそこにローブを翻して指先を蔦に向けた。
「なんで燃えていない!!お前も一緒に焼かれて死ねばいい!!」
女は実に優秀な火魔法を扱う魔女であった。赤い爪が彩る指先から螺旋を描いて吹き出した炎は、その範囲を徐々に広げて、エルマーと名付けられたフオルンに襲いかかろうとした。
誰もが当たり前に燃えると思っていた。先程のボヤで燃えなかったのだ。今度こそ、この威力ならばと。
「やめてくれ。可哀想だろう。」
低く甘い声が響く。フオルン自身の影が伸び、その影が帯状に形を形成すると、火を遮るようにして木の身体を護る。フオルンが影を操るなんて聞いたことがない。一体、今のはなんなのだ。その場にいたものは、異常な様子に目を見開いた。
誰かが息を呑む音がした。何かを警戒するかのように、粗野な男共が慌てて後ろを振り向くのに、魔女だけは振り向けなかった。
「なんだお前!こないだの男か!!」
大男は新手かと身構えたが、痩身の男が二人立っていただけだと知る。男は、顔のシワを釣り上げるかのように、醜悪な顔でニヤつく。
先程の騒動のせいでアドレナリンが出ているらしい。興奮したように顔を赤らめて、己の得物らしい斧を握る。
サジは呆れた。ずっと後ろにいたというのに、気づかなかった鈍臭さで、こちらに対して優位だと勘違いしているのだ。間抜け以外のなにものでもなく、辟易とした顔でその姿を見下す。
気だるそうにその身でジルバに寄りかかると、枯葉色の豊かな髪が、一房その華奢な肩を滑る。
「ジルバ、もう面倒くさいから早く終わらせよう。」
「サジはナナシを連れて離れていてくれ。俺の楽しみを取ってくれるなよ。」
「あー、エルマー!!」
サジの声に反応して、フオルンがその根を土中に巡らせるようにして、音を立て洞穴を崩す。その土塊を突き破るようにして、狭い入り口から無理やり巨体を引きずり出すと、フオルンは木の珠をサジの目の前に持ち上げる。
ちゃんとできたよと言わんばかりだ。物言わぬ木の魔物は、指示を待つかのように、その体で囲むようにしてサジに侍る。
「う、わ、うわあああ!!」
「っ、ジルバ!!くそ、サジまでいるなんて聞いていない!!」
「三下め。誰のものに手を出したと思っているのだ。」
フオルンによって渡されたナナシは、図太いのかくうくうと寝息を立てていた。サジはその細い体を抱き上げると、フオルンに乗ってジルバの背中が見える高さまでその身を移動させた。
「どっちにしろガキ一人じゃねえか。何をビビる必要がある!!さっさと燃やしちまえ!!」
「くそ、くそくそくそ!燃えろ!!」
ヤケクソのように、魔女によって繰り出された火球が周りの空気を焼きながら襲いかかってくる。
轟々と燃え盛るそれを前に、ジルバはその灰色の瞳をすっと細めた。
瞳の奥でクラクラと揺れる炎を捉えると、影の一つが形成した煙管をかちりと咥え、細く煙を吐いた。手に持つ煙管をその火に向ける。その先からしゅる、と煙が現れたかと思うと、その火球に纏わりついた。空気に踊らされる煙程度がその火球の動きを止めたのだ。
ジルバはにい、と笑うと、その煙管をくるりと手の中で回転させれば、引きずられるようにして、煙に捉えられた火球が煙管の中に消えていく。
そうして、月を背負い、見下ろすように言った。
「お前は失礼なやつだな。まず、俺はお前の名前を知らん。名乗れ。」
「ああ!あたしの火が!!」
「返してほしいのなら、返そうか。」
ジルバがその先端を咥え、息を吹きかけた。瞬時にその煙は、巨大な火球に変異して男共へと襲いかかる。轟々と眩い光を放つ火球は、先程のものとは違い、随分と大きい。
「ああすまん、つい加減を誤った。」
なんせ、炎属性は苦手なものでな。そう嫌味ったらしく宣うと、火球はあたりを飲み込むようにして間近に迫る。
後衛の痩せぎすの男が慌てて手を振り上げると、形成された結界によって、火球が燃え広がるのを塞いだ。その被膜の上を熱が滑ると、周辺の土塊を焦がす。
「な、な、なんだあれ!!なんだあれなんだあれ!?」
「あんたそのまま塞いどいとくれよ。あたしはあいつを殺したい。」
喚いていた大男はジルバの攻撃に腰を抜かしたのか、結界の内側で青い顔をしていた。自分がさんざん馬鹿にしていた男に守られている状況を、甘んじて受け入れる。もはやパニックすぎて何も考えられないのだろう。
「くそ、くそが!!殺してやる、あたしがお前を殺してやるからな!!」
女は吠えた。自分が狙われた理由を、わかっていたからだ。
女は殺しをした。それも人間の子供だ。
ほんの好奇心で、土人形を作るのに一人分の血が必要だったのだ。
たまたま手に入った良質の呪い混じりの土を使って、子を器にした。そして生み出した魔物は実にいい出来だった。だが女の手には負えなかった。大きすぎたのだ。
「スラムの子ではない。孤児だ。帰る家があった。」
「ああ!?」
「まあ、もう彼はいないのだけど。」
呪いの土はまだ残っている。女は小瓶に詰めたそれに魔力を流し込むと、横にいた痩せぎすの男の腹にそれを埋め込んだ。
「あえ、」
横で結界を張っていた男が、妙な声を出して崩れる。己の目が捉えた試験管のようなそれが、真っ直ぐに腹に突き刺さっている。体にじわじわ広がる違和感に額に汗を浮かべると、女をゆっくりと見つめた。
「な、なにやってんだおまええええ!!」
仲間の一人が叫んだ。刺された男は、自分達を守る為の結界を展開していた。その腹を貫いたのだ、意識が逸れれば当然結界は壊れる。
女は、真っ直ぐに己が犠牲にした男を見つめ返すと、にやりと笑う。そして、そのまま血に染まった手を引き抜いた。
「土よりも血の量が多いと、どうなるんだろうなああ!!」
かすかに息のあった男の身が、不自然に四肢を引き伸ばした。己の意志に反してその場でニ回。体を大きく痙攣させた後、まるで毬のようにバウンドした。
神経が、体内でめちゃくちゃにこんがらがっている。そんな違和感に悲鳴を上げそうになったとき、ゴキンと嫌な音を立てて、骨が変形をし始めた。
「うっわ、最悪であるまじで。」
何をしてくれるのか。サジが辟易とした声でそんなことを言うと、ジルバは同意をするかのようにして頷いた。
二人の瞳がじろりと変化を終えた男を睨む。己よりも余程歪な体だ。ジルバが感慨もなくそんなことを思うと、面倒だと言わんばかりに宣った。
「莫迦。」
「いいのか、この部屋で待っていても構わないぞ?ただし、遮蔽させてもらうが…」
「ナナシおそといる。いいこにまってられるよ。」
「ふん。手短に終わらせる。砂壁の前で待っていろ。」
「はあい。」
サジもジルバも、大人の男の人にしか出来ないお話があるのだ。ナナシはまだ子供だから、こういうときは居ちゃいけないというのをよく理解していた。
ジルバは最後まで心配そうに眉を下げてくれて、それが少しだけ嬉しいと思ってしまう。そんな様子につい頬が緩みそうになって、慌てて口をもごつかせて誤魔化した。
心配してくれる人がいるのは、幸せなことだなあ。ナナシはゆるゆると手を振ると、ジルバに言われた通りに大人しく目を瞑って三つ数えた。すると元来た場所に出る。
どれだけ魔女の家に居たのだろう、お空は少しだけ赤くなっていた。
ナナシはエルマーの大切な薬の小瓶をバックの中にしっかりしまい、それをお腹に隠した。膝を抱きかかえて、体を小さく畳むようにして乱雑に積み上がった木箱の間に収まると、まだ少しドキドキする胸を宥めるように、深呼吸をした。口元がもにょついて、ついくふんと笑ってしまい、慌ててそれを誤魔化すようにして口元を小さな手で隠す。
「これ、える。びっくしするかなあ。」
ナナシがきちんと話せるようになったよって言ったら、エルマーはどれだけ驚いてくれるのか。
頬を染めながら、エルマーが腰を抜かす想像をして、またくふくふ笑う。小さい手で口元を隠して静かに笑うのは、昔からの癖だった。
「さじ、じるば。とっど、すーま、まいことじじ。あと、えるまー」
すごい。ナナシには八人も友達が出来た。片手で足りない。両手が忙しくて、それも嬉しくてもぞもぞする。
まだ上手くは喋れないけど、言葉はスムーズに出てくる。どう言えばいいのか、口が教えてくれる。
「えるまー、すき。」
くふんと笑って小さく呟く。みんな大好きだけど、エルマーが一番大好き。ナナシは小瓶をもう一度見たくて、バッグの中身を確かめる。
ナナシがエルマーの為に、初めてお使いをした。
まだ出来ないことが沢山あるけれど、ナナシはきちんとお薬くださいと言えたのだ。影から出てきたジルバはちょびっとだけ怖かったけど、ナナシはエルマーに褒めてもらいたくて頑張った。頭を撫でてもらいたい。抱きしめてほしい、もしかしたら、よくやったとキスもしてくれるだろうか。
「ふふ、」
沢山の経験を一日でしてしまった。そのせいだろうか、小柄な体は疲れたのか、少しだけ眠くなってきた。くありと一つ欠伸を漏らすと、膝を抱えたまま数度瞬きをする。眠たい。サジが帰ってきたら起こしてくれるだろうか。
ふわふわする不思議な感覚で、体力の無い身体が抗えぬ眠気に敵う筈もない。
ナナシはバッグを抱きしめたままこてりと夢の中に旅立った。それが意図的なものだとも知らずに。
エルマー達が飲み屋で見た、大男に怒鳴られていた痩せぎすの男は、実に入念に準備をしていた。
最初の狙いはサジだった。
あの枯葉色の髪を緩く結んだ美貌の男は、よくこの砂壁の前で見かけていた。たまたま、数週間前に何度か男が根城にする路地裏を通って行ったのだ。当然こんな狭くて汚いところをわざわざ通る理由が気になる。
何度か後をつけたのだが、毎回壁のところで見失う。だから男は罠を張った。もちろんかかることはないとも思っていた。
ふざけて買った眠り香、それをあの木箱の一つに入れておいたのだ。それが発動するのは、魔力を感知した時だけである。
今日駄目だったら、もう諦めてしまおうか。そう思っていた男の目の前で、まさかのことが起きる。男は確かに見たのだ。砂壁から突然現れた、幼い美少年を。
「まさかこっちが釣れるとはなあ。」
正直持ち運びがしやすい分有り難い。くたりと寝こけている少年を抱きかかえると、痩せぎすの男はそのまま路地裏を後にした。
この少年は、旦那が先に目をつけていた。これを持っていったらきっと、もう少し待遇も良くなるだろう。
しかし驚いた。ありゃ一体何だったんだ。
男の目の前で形を変えた砂壁。あそこに住むのは何なのだ。追求したくても命は惜しい。男は後ろ髪を引かれつつも、足音を消してその場を後にした。伊達に後衛で働いてきていない。身体強化やバフなど、自分にかけることができる己の能力を、男は重宝していた。
「う、」
不味い。慌てて走ったから揺らしてしまっただろうか。止めていた馬車にそっと寝かすと、フードがずれて烏珠の黒髪がこぼれた。長いまつ毛に小さな頤、ツンとたった鼻梁。造形の美しい少年の細い首筋に、ごくりと生唾を飲み込んだ。
この子は確か白痴だ。襲ったとしても上手くは説明出来ないだろう。ここで抱いてしまおうか。いや、まだあの壁からはそこまで離れたわけではない。ならばこのまま馬を走らせてアジトに戻ろう。
そっとその口に布を巻くと、麻袋を被せた。慎重に体を縛りつけると、男に急かされるようにして鞭を打たれた馬は、不満気に嘶いた。空は仄かに赤かった。もうすぐ夕闇が辺りを覆うだろう。
「サジ。」
「ああ面倒くさい。エルマーにしばかれる。」
「俺も怒られよう。さて、仕事だ」
ジルバはサジの腰を抱きながら、そっとその光景を高い位置から見つめていた。
今の男が向かった先に、彼の処刑対象がいたからだ。
ジルバは魔女で、男で、ずる賢い。だからサジがこうして狙われていると知ってからは、その仲間に紛れていた魔女を炙り出すために放っておいたのだ。
連れてきたナナシを見たときに、魔女狩りは二人のほうがやりやすいなあ。と考えを変えてナナシを囮にした。
サジはあの時、すべてを悟った。
こいつ、嵌めやがったなと。
「むかつく。まじでむかつく。ジルバ、お前ほんとそういうところだ。」
「サジからお前と聞くとは。よほど怒っているな。」
「こんなことエルマーにバレたらサジが処される。任せるって言われたのはサジだぞ。任せる意味合いが違う。」
「まあ、説明すると警戒されるだろう。となると、まとめて片付けられないからなあ。」
ジルバがナナシを外に出したとき。選択肢を与えて保険をかけていた。ナナシの性格からして、断らないだろうことを予想した上、責任は自分にはありませんという建前をしっかりと作っていたのだ。ジルバの性格は、実に魔女らしく小賢しい。
「しかし考えたな。魔力に反応する眠り香とは、やはり入れ知恵をしたやつがいる。」
男が操る馬車は、郊外の森の中奥深くを走っていた。そして、開けた場所でその車輪を止めると、コーチからナナシと思われる人を抱え降ろした。
麻袋を被せられて縛られているナナシを見て、サジの魔力が張る。人並みに怒りも感じるのかとジルバは感心したが、どうやらそれは違ったようだ。
「痕がついたら、ますます言い逃れはできん。誘拐するにしても実にスマートではない。あいつ、センスが無いんじゃないか。」
「うんうん、サジはサジだな。まあ待て、魔女を狩るにも親玉がまだ出てこない。」
ジルバは煙管を咥えて、ふぅっと煙を細く吐き出した。火花は煙に侍るよう、空気を弾く音をたて、ゆっくりと散る。その煙は意思を持ったかのように、男とナナシが消えていった洞穴に入り込んでいく。
「さて、久しぶりの本性だ。ナナシは怖がるだろうか。」
「ナナシは魔物を見ても愛しむ阿呆だ。ただ合言葉は知らんぞ。誰に言わせるつもりだ。」
「ふむ、後ろ暗い奴が言ってくれるさ。」
そういうと、ジルバの灰の瞳の瞳孔が縦に伸びた。
サジは心底辟易とした顔でジルバとともに地面に降り立つと、そっと土に触れた。
「ナナシの鼓動を感知せよ。出来るだろう、エルマー」
ざわりと木々が波打つ。了承の証か、地面から枯れた蔦がぼこりと一本姿を表した。懐くようにサジの指先に絡みついてからスルリと離れると、そのまま地面に潜って消える。
「よい、バックアップはエルマーがするだろう。存分に暴れよ。」
「寝た男の名前をつけるとは趣味が悪い。」
「悪食のジルバにだけは言われたくないわ。」
二人はまっすぐに洞穴を見た。爛々と輝くジルバの目は、まるで今から起こることを期待するような、そんな子供のように無邪気なものだった。
一陣の風が吹く。木々はざわめき、砂埃が洞穴に誘われるようにして入っていく。
まだか、まだか。二人は静かにその時を待った。
ぽこん。
地面から蔦が顔を出す。合図が来た、ナナシはまだ生きている。サジはにやりと笑うと、ジルバは身を震わせて喜んだ。
「カウントしようか。」
「不要だ、ほら。」
すっと指をさした瞬間、にわかに洞穴が騒がしくなる。まるで巣をつつかれた蜂のように飛び出してくる件の男達は、揃いも揃って燻られたかのように煤に塗れていた。
「な、なんだってんだ!!急に火がつきやがった!!」
「おまえ、煙草の火を消したのか!?俺はあんなとこで吸うなって毎回言ったよなあ!?」
「俺のせいだって言いてえのか!!!」
顔に傷のある大男は、仲間の胸ぐらを掴むと喚き散らした。後を追うように遅れて出てきたのは、黒いローブを纏った女だ。
ジルバのお目当ての一人であるその魔女は、ローブを握りしめながら分かり易く怯えていた。なぜ火が起きたのかを理解している様子で、その顔色を青褪めさせる。
「おい!ガキはどうした!まさか中に置いてきたわけじゃねえだろうな!?」
「無理だよ旦那!だって中には木の化け物もいたんだぜ!?あいつを囮にしなきゃ逃げきれなかったってえ!!」
痩せぎすの男が半泣きで叫ぶ。女はつかつかとその男の側まで行くと、力いっぱい頬を叩いた。
「この愚図!!あんたのせいだね!!厄介なもん連れてきやがって!!あいつに気づかれたらどうするんだい!?」
「だ、誰だよあいつって、俺のこと叩いたな!?女のくせに生意気な!!」
「てめえ!ヤらせもしねえくせに威張り散らしやがって!!俺が躾直してやる!」
「誰があんたみたいな臭い男と寝られるかってんだ!冗談は面だけにしときな!!」
しゅるりと蔦が洞穴から出てくる。その様子を見た魔女が目を見開くと、文句もそこそこにローブを翻して指先を蔦に向けた。
「なんで燃えていない!!お前も一緒に焼かれて死ねばいい!!」
女は実に優秀な火魔法を扱う魔女であった。赤い爪が彩る指先から螺旋を描いて吹き出した炎は、その範囲を徐々に広げて、エルマーと名付けられたフオルンに襲いかかろうとした。
誰もが当たり前に燃えると思っていた。先程のボヤで燃えなかったのだ。今度こそ、この威力ならばと。
「やめてくれ。可哀想だろう。」
低く甘い声が響く。フオルン自身の影が伸び、その影が帯状に形を形成すると、火を遮るようにして木の身体を護る。フオルンが影を操るなんて聞いたことがない。一体、今のはなんなのだ。その場にいたものは、異常な様子に目を見開いた。
誰かが息を呑む音がした。何かを警戒するかのように、粗野な男共が慌てて後ろを振り向くのに、魔女だけは振り向けなかった。
「なんだお前!こないだの男か!!」
大男は新手かと身構えたが、痩身の男が二人立っていただけだと知る。男は、顔のシワを釣り上げるかのように、醜悪な顔でニヤつく。
先程の騒動のせいでアドレナリンが出ているらしい。興奮したように顔を赤らめて、己の得物らしい斧を握る。
サジは呆れた。ずっと後ろにいたというのに、気づかなかった鈍臭さで、こちらに対して優位だと勘違いしているのだ。間抜け以外のなにものでもなく、辟易とした顔でその姿を見下す。
気だるそうにその身でジルバに寄りかかると、枯葉色の豊かな髪が、一房その華奢な肩を滑る。
「ジルバ、もう面倒くさいから早く終わらせよう。」
「サジはナナシを連れて離れていてくれ。俺の楽しみを取ってくれるなよ。」
「あー、エルマー!!」
サジの声に反応して、フオルンがその根を土中に巡らせるようにして、音を立て洞穴を崩す。その土塊を突き破るようにして、狭い入り口から無理やり巨体を引きずり出すと、フオルンは木の珠をサジの目の前に持ち上げる。
ちゃんとできたよと言わんばかりだ。物言わぬ木の魔物は、指示を待つかのように、その体で囲むようにしてサジに侍る。
「う、わ、うわあああ!!」
「っ、ジルバ!!くそ、サジまでいるなんて聞いていない!!」
「三下め。誰のものに手を出したと思っているのだ。」
フオルンによって渡されたナナシは、図太いのかくうくうと寝息を立てていた。サジはその細い体を抱き上げると、フオルンに乗ってジルバの背中が見える高さまでその身を移動させた。
「どっちにしろガキ一人じゃねえか。何をビビる必要がある!!さっさと燃やしちまえ!!」
「くそ、くそくそくそ!燃えろ!!」
ヤケクソのように、魔女によって繰り出された火球が周りの空気を焼きながら襲いかかってくる。
轟々と燃え盛るそれを前に、ジルバはその灰色の瞳をすっと細めた。
瞳の奥でクラクラと揺れる炎を捉えると、影の一つが形成した煙管をかちりと咥え、細く煙を吐いた。手に持つ煙管をその火に向ける。その先からしゅる、と煙が現れたかと思うと、その火球に纏わりついた。空気に踊らされる煙程度がその火球の動きを止めたのだ。
ジルバはにい、と笑うと、その煙管をくるりと手の中で回転させれば、引きずられるようにして、煙に捉えられた火球が煙管の中に消えていく。
そうして、月を背負い、見下ろすように言った。
「お前は失礼なやつだな。まず、俺はお前の名前を知らん。名乗れ。」
「ああ!あたしの火が!!」
「返してほしいのなら、返そうか。」
ジルバがその先端を咥え、息を吹きかけた。瞬時にその煙は、巨大な火球に変異して男共へと襲いかかる。轟々と眩い光を放つ火球は、先程のものとは違い、随分と大きい。
「ああすまん、つい加減を誤った。」
なんせ、炎属性は苦手なものでな。そう嫌味ったらしく宣うと、火球はあたりを飲み込むようにして間近に迫る。
後衛の痩せぎすの男が慌てて手を振り上げると、形成された結界によって、火球が燃え広がるのを塞いだ。その被膜の上を熱が滑ると、周辺の土塊を焦がす。
「な、な、なんだあれ!!なんだあれなんだあれ!?」
「あんたそのまま塞いどいとくれよ。あたしはあいつを殺したい。」
喚いていた大男はジルバの攻撃に腰を抜かしたのか、結界の内側で青い顔をしていた。自分がさんざん馬鹿にしていた男に守られている状況を、甘んじて受け入れる。もはやパニックすぎて何も考えられないのだろう。
「くそ、くそが!!殺してやる、あたしがお前を殺してやるからな!!」
女は吠えた。自分が狙われた理由を、わかっていたからだ。
女は殺しをした。それも人間の子供だ。
ほんの好奇心で、土人形を作るのに一人分の血が必要だったのだ。
たまたま手に入った良質の呪い混じりの土を使って、子を器にした。そして生み出した魔物は実にいい出来だった。だが女の手には負えなかった。大きすぎたのだ。
「スラムの子ではない。孤児だ。帰る家があった。」
「ああ!?」
「まあ、もう彼はいないのだけど。」
呪いの土はまだ残っている。女は小瓶に詰めたそれに魔力を流し込むと、横にいた痩せぎすの男の腹にそれを埋め込んだ。
「あえ、」
横で結界を張っていた男が、妙な声を出して崩れる。己の目が捉えた試験管のようなそれが、真っ直ぐに腹に突き刺さっている。体にじわじわ広がる違和感に額に汗を浮かべると、女をゆっくりと見つめた。
「な、なにやってんだおまええええ!!」
仲間の一人が叫んだ。刺された男は、自分達を守る為の結界を展開していた。その腹を貫いたのだ、意識が逸れれば当然結界は壊れる。
女は、真っ直ぐに己が犠牲にした男を見つめ返すと、にやりと笑う。そして、そのまま血に染まった手を引き抜いた。
「土よりも血の量が多いと、どうなるんだろうなああ!!」
かすかに息のあった男の身が、不自然に四肢を引き伸ばした。己の意志に反してその場でニ回。体を大きく痙攣させた後、まるで毬のようにバウンドした。
神経が、体内でめちゃくちゃにこんがらがっている。そんな違和感に悲鳴を上げそうになったとき、ゴキンと嫌な音を立てて、骨が変形をし始めた。
「うっわ、最悪であるまじで。」
何をしてくれるのか。サジが辟易とした声でそんなことを言うと、ジルバは同意をするかのようにして頷いた。
二人の瞳がじろりと変化を終えた男を睨む。己よりも余程歪な体だ。ジルバが感慨もなくそんなことを思うと、面倒だと言わんばかりに宣った。
「莫迦。」
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