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シュマギナール皇国編
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「だぁから、別に隠してるもんなんもねぇって。」
エルマー達三人と一株が、素通り出来ればいいなと思っていた城門の入り口、そこに備え付けられた衛兵の詰め所に連れ込まれ、やはり先程の宣告通り待機させられた。
むさ苦しい詰め所の、無骨なレンガが剥き出しになった壁に囲われる椅子しかない待機場所で、先程サジが中指を立てた衛兵が偉そうに腕を組みながら、エルマー達を見下ろしてくる。
「それは貴様が決めることではないな。俺たちが決める。とりあえず生意気なその男は俺が直々に検分してやる。」
「サジのことか。面白い、貴様の方こそサジの苗床にしてやるから覚悟しておけ。」
「だーーーからお前はなんで好戦的なんだ!マイコニドはそこで大人しくしてろ。」
サジのやる気とともに立ち上がったマイコニドを、エルマーが止める。主の危機と合っては駆けつけんとばかりのやる気だ。その傘を震わしながら準備運動を始める様子を、ナナシは目を輝かせて見つめている。
後から入ってきたもう一人の衛兵は、どうやらここの責任者だったようだ。昼間から酒を飲んでいたのか若干熟柿臭い。国の管理が端の詰め所まで届いていない証だ。男はマイコニドの小さな手を握って大人しくしていたナナシに目をつけると、おもむろに被っていたフードを外した。
「あ、っ」
バサリと剥きとるように晒された、ナナシの烏珠の黒髪がサラリと溢れる。髪を掴まれて痛かったのか、頭を守るようにして抱えると、怯えたように男を見上げた。
被虐趣味でもあるのだろうか、ナナシの萎縮した瞳を向けられたことで、男の加虐心を煽られたようだ。遠慮のない不躾な目が嫌らしく歪む。
しかし、それを見て良しとしないのはエルマーであった。己の懐のものをぞんざいに扱われ、落ち着いていられるほど出来た人間ではない。責任者の男を見るエルマーの瞳が剣呑な色を宿すのを見て、サジはまるで楽しいことが起こると言った具合に、ワクワクとした表情をする。
「ふん、黒髪か。魔物と同じ色の男娼を連れて歩くとは縁起が悪い。」
「あ?てめーこそ糞みてぇな髪の色してんだろうが。」
「この俺の豊かな髪を糞だと!?」
「生まれつきの髪をとやかく言ったのはてめーが先だろうが、ああ!?」
ゴチンとお互いの額をぶつける程の距離でメンチを切る様子に、サジは止める気もないらしい。目元に涙を浮かべるほどケラケラと笑う。先程好戦的とサジに言ったばかりの本人がこれだ。自分の発言に責任など持たないあたりがエルマーらしい。
なんだか治安の悪い空気になってしまったことを察してか、戸惑うナナシがフラフラ立ち上がりエルマーに抱きついた。まるでエルマーが食ってかかるのを止めるように、細い腕を腰に回すと、フルフルと首を振りながら静止を試みる。
「おいナナシ、面白そうだから見守ればいいとサジは思うぞ。」
「だめ!いたいのだめ、える!」
「入ってきたときから面構えが気に入らなかったんだァこのクソジジイ!」
「若造が!敬語すら使えんクズとはお里が知れる。」
「てめぇに教えるお里なんかねぇわ表出ろコラァ!」
「えるぅ!!」
腰にしがみついたまま、ついにナナシが怒った。もちろん罵倒するような語彙は持たない。ただ今まで聞いたことのないような強い語気に、エルマーはぐっと言葉を詰まらせる。言いすぎたとかは微塵も思ってはいないが、エルマーはナナシには弱いのだ。まるで待てを言い渡された獣のように闘争心剥き出しの顔で、ゆっくりと衛兵から離れた。
「ふん、このまま拘束して牢屋にぶち込んでやってもいいんだぞ。」
「あ゛!?」
「うう!めっ!!だめ!!きらい!!」
「ぐぬ…」
ナナシの必死の嗜めに、渋々、本当に渋々と言った具合に、エルマーがどかりと備え付けの椅子に腰を下ろす。そもそも、皇国に来たのも目的があったからである。それさえ終われば、こんな七面倒くさい国なんてさっさと出ていくのに。
エルマーは深呼吸を一つすると、懐からクシャクシャになった手紙を無造作に取り出して、責任者に突きつけた。
「頼まれ事なんだよ!それさえ終わりゃ、こんなとこさっさと出てってやらァ!ダラスってやつ呼んで来いや!」
「うふふ、ガラが悪いエルマーも悪くないな。」
ケッと吐き捨てるエルマーに、隣に腰を下ろしたサジが婀娜っぽくしなだれかかる。まるでギャングとその女のような光景だ。渋い顔をして二人を見下ろす衛兵とその責任者の目の前で、サジはエルマーの肩口に顎を乗せると、その手の中の手紙を引き抜く。
「む。差出人がないじゃないか。」
「クラバット見せりゃわかるってさ。だからおめーじゃなくてダラス呼べって。」
未だふんぞり返っている衛兵にそう吐き捨てると、エルマーはサジの手から手紙を回収して懐にしまう。身体検分もさせろというのなら、こちとら全裸になったって構わない。まあ、それで向こうが満足するならだが。
「ふん、ダラス様の名を軽々しく口にするでないわ。お前のような不届き者が知り合いなわけ無かろうが。」
「だから俺だって知らねえって!手紙とクラバット渡すだけなんだからよ!何回言わせんだこの鶏冠ぁ!」
「なんならサジの体を検分してくれてもよいぞ。くふふ、脱いだら通してくれるのだろう?」
不毛な二人のやり取りに飽きたらしい。場の空気をかき回すことが生き甲斐でもあるサジが積極的にそんなことを宣うと、椅子から立ち上がる。
やはり下心があったらしい。男は値踏みをするように厭らしい視線を走らせる。
見目は実に上等だ。枯れ葉色の髪は多少ぼさついてはいるが、男にしては柔らかそうな体に、細い腰。だらしなく着崩された服の隙間から見える薄くついた腹筋も、実にほどよい。視線を滑らせた胸元から、少し身をひねれば見えてしまいそうな胸の頂を期待するように顔の角度を変えた時、むすりとした顔のナナシが、その視線の邪魔をするように、サジを己の背に隠した。
どうやら目の前のチビはサジを守ろうとしたらしい、そう理解すると、くふりと笑ってナナシの頬を指で摘んだ。
「おや、ナナシがサジを守ろうとしている。お漏らし坊やが頼もしいことで。」
「サジ、言うのやあ!!」
「うふふふふ。」
サジがナナシを虐めている横で、ついにエルマーは限界を迎えたらしい。ナナシを誂うサジの肩を摑むと、ナナシごと己の後ろにいろと顎で合図をする。
サジが面白いものを見るような目でことの成り行きを見守っていれば、二人を隠したエルマーは、こめかみに血管を浮かばせながら外套を外した。
怪訝そうな目でこちらを見つめる衛兵と、呆気にとられてこちらを見つめるサジとナナシの目の前で、エルマーはインべントリや、簡易的な防具、暗器の類などをがちゃがちゃと音を立てて落としていく。
まさかエルマーが積極的に脱ぐとは思っていなかったらしい、サジもナナシも、目を白黒させながら、エルマーのストリップを呆けたように見つめている。
「おい、なんでおまえが脱いでいる!」
「身体検分すんなら頭が一番手っ取り早いだろうが。それとも俺の体は見たくねぇってか?」
上半身に纏っていたシャツを脱ぎ捨てると、男らしく均整のとれたしなやかな筋肉が顕になる。
戦うものの肉体だ。実用的に鍛え上げられた無駄のない体は、腰回りがきゅっと細まり、割れた腹筋を見せつける。
若い女や春を売ることを生業にしているものなら、思わず見惚れてしまうほどの体であった。
背中の傷は一つもないかわりに、腹にはなにかに裂かれたような引き攣れた傷痕があった。しかしそれすらも、エルマーの体の魅力の一つになっている。
「ぐっ、」
「おらどこまで脱がせる気だよスキモノ。検分すんならさっさとしろっての。」
そのまま腰のベルトまで抜き去り、ボトムに手をかけようとしたときにストップがかかった。
「わかったわかった!!ったく、下着まで脱がんでいい!ったく、おい!誰かこいつの体を検分してやれ!」
「お手柔らかにヨロシクゥ。」
急に連れて来られたのか、戸惑の色を浮かべながら若い衛兵が入ってきた。ガラの悪いエルマーの様子にビクリと体を跳ねさせる。
上半身は裸な上に、両サイドを美貌の男と紅顔の美少年を侍らせているエルマーは、誰がどう見たって治安の悪いことこの上ない。身体検査を任された衛兵は、露骨に嫌悪感を表すように、くしゃりと顔を歪ませる。
ゴロツキを相手にするのとはまた違う恐ろしさだ。取って食われかねないと思いながら、エルマーの背後を取るように壁側に体を押し付けると、おかしいところがないかを確認するように、体をぺたぺたと触っていく。
「若いのにんなとこに配属されて、おまえも苦労するな。」
「…城門警備は国に入る害悪を防ぐために必要な部署だ。」
「おうおう、クソ真面目ちゃんかい。」
つまんねえ男。とエルマーに言われながらも黙々と検分を終わらせる。特に変なところはなかったので解放すると、サジは裸のエルマーに飛びついた。
「おい、勃起した。サジとしけこもう。仕方ないからナナシも一緒でかまわない。」
「おっとぉ、ツレがこれだからここでヤるしかねぇかあー?」
今にも服を脱がんといわんばかりに着衣を乱しながら近づいてきたサジの、その細い腰に手を回してグッと引き寄せる。エルマーのハッタリに、サジはご機嫌に体を寄せた。エルマーの肩に顎を乗せると、まるで相手を値踏みするかのような目で、衛兵を見つめる。
遠回しに、早く解放しろという。やすい三文芝居だが、エルマーがクソ真面目と揶揄った若い衛兵には効果的面だったらしい。顔を赤らめながら、大いに慌てた。
「おい!風紀を乱すのは許さんぞ!検分はもう終わった!さっさと出ていくがいい!」
「話がよーーくわかる若者でなによりだァ。頭錆びついてん上司とは大違い。」
エルマーが服を拾うと、サジはつまらなさそうに唇を尖らす。この場所でエルマーと公開セックスもまた一興と思っていたらしい。サジ側の三文芝居は本気だったようだ。
ナナシは武器のホルスターを手に取ると、シャツを着込んだエルマーに差し出した。ようやくこんなむさ苦しい場所から解放されるのだ。エルマーはナナシから脱ぎ散らかしたものを受け取ると、手早く身につけていく。
ナナシはというと、どうやら知らない大人達に囲まれたことが原因なのか、疲れたようで随分と大人しい。
マイコニドはぴょんと立ち上がると、自分の役目だと言うように、なんだか気落ちしている様子のナナシの小さな手を握りしめた。
「なんだどうした、具合でもわりい?」
「うぅ、」
エルマーが、ナナシの体調を気にかける。小さな体に長旅は辛いものがあるだろう。そう思っての労りだったのだが、ナナシは未だしょんもりとしているだけであった。
三人は、城門を叩き出されるようにして皇国に繰り出した。ナナシはというと、マイコに手を引かれるようにしてとぼとぼとエルマーの後ろについてきている。
ナナシは自分がここに来るまでエルマーの足手まといになっていたことを自覚していた。だから目的地についてホッとするエルマーを見て、もしかしたら自分はここで別れを告げられるのではないかと思ったのだ。
でも、怖くてそれは聞けない。ナナシもサジのように使役されたい。そうすればずっと側にいられるのに。
「…ぅー‥」
うまく言葉が出てこない。気がつけば、ナナシは前を歩くエルマーの服の裾を握りしめていた。ナナシの体が勝手に動いてしまったのだ。素直に寂しいを、その小さな左手から無意識にエルマーに伝える。
足りない頭で、うんうんと悩む。なんて言おう、嫌だな、置いて行かれたくないな。
視線で訴えることも知らないナナシは、悩みすぎて疲れてしまった。エルマーとさよならをするのが、名残惜しくて仕方がない。寂しいのだって嫌だ。でも、それを訴える語彙を持たないせいで、結局何も言えぬまま、諦めたように服を離した。
「おい、どうした。なにがいいたい。」
「んう、」
眉間にしわを寄せたサジが、ナナシの頬を掴むようにして口を親指で開く。大人しくかぱりと開けたナナシは、困ったようで、それでいて少し泣きそうな顔でサジを見上げた。
「ふむ。なかなかいい顔をする。」
「いじめんなっての。」
「あいた。」
ぺしりとサジの頭を叩くと、エルマーはその華奢な体を抱き上げた。ナナシの情緒が揺らいでいるときは、こうして抱きしめてやるのが一番効くとわかっているからだ。
なんだか保護者のようだなと思い、そして、保護者ようだと思った己が、箍が外れてナナシの体を貪るという、昨日のやらかしを思い出して勝手に落ち込んだ。
抱き上げられたナナシはというと、ゆるゆるとエルマーの首に腕を回してしがみつく。ぽんぽんとあやすように背を撫でてやれば、一際強く抱きついてきた。サジはそんなエルマーを横目に、お前そんな優しさ持っていたのかと言わんばかりの怪訝そうな目を向けてくる。
気を取り直すように咳払いをすると、サジは改めてこの先の行動を確認する。
「このままダラスの所へ向かうのか?」
「場所がわかんねえ。ひとまずギルド…の前に宿屋と、あと結界紐買わねえと。」
「ああ、幽鬼に切られたのか。余程襤褸っちぃのを使っていたのだなあ。」
「戦争んときのやつ。」
「おい、それは流石に不精すぎるだろ。」
どうやらエルマーの無精はサジも引くレベルだったようだ。
ギルドに行けばお目当ての結界紐も買えるだろう。エルマーはまずは宿屋を探すことにして、見つける途中で昼飯でも食うかと算段をつける。そろそろ腹も減る頃だし、元気がないときは肉を食えば大抵のことはなんとかなる。
それは雑なエルマーならではの持論なのだが、ナナシも男なのできっと同じだと思っている。
「サジはこの先のバルがすきだ。」
「ああ、出入りしてんだっけ?」
「というか、前に来たときに契約を持ちかけられたのがそこのバルだ。」
皇国と言う割にはここらへんは雑多な感じがする。入り口付近の町並みを眺めながら、馬を引いた出入りの商人や冒険者が行き交う通りの一角を指さした。
そこは古ぼけた看板がキシキシと風に煽られて鳴いている、なんともノスタルジックな店だった。
店先に出ていた板を覗き込むと、どうやら飲み屋兼紹介屋のようだ。顔が広い飲み屋の親父が仲介してギルドの真似事をやっているようで、紹介料も特に貰っているわけでもなく、ただ飲み食いして縁があれば紹介するというおせっかいじみた店らしい。
こんな雑な感じでトラブルとかは起きないのかとは思ったが、ギルドもなんだかんだ管理していてもトラブルは起きるときもある。エルマーは先入観を捨てて飲むだけならいいかと、ナナシを抱っこしたままサジを引き連れて中に入った。
「エルダちゃん!!!」
「エルダ?」
いらっしゃいとお決まりの挨拶の後、カウンターに座っていた、やけに貴族じみた洋装の男が目を輝かせてそう叫んだ。状況が読めぬエルマーを置いてけぼりにしたサジは、にこにこしながらその男に駆け寄ったかと思うと、首の後ろに腕を回すかのようにして抱きついた。
「おお!久しぶりだなあ!エルダの肉豚、留守にしていた間もきちんと約束は守ったか?」
「ああっ、もちろんだよエルダちゃん!!会いたかった、君に見せたいものがあるんだ。今夜二人で会えないかい?」
「うふふ、しばしまて。エルマーに聞いてみる。エルダは今、使役されているのだ。」
エルダと呼ばれたサジは、肉豚扱いする男にいやらしく尻を揉まれながらも、実にご機嫌である。エルマーは周りの空気なんぞ気にもせずに振る舞う二人へと、引いた目を向ける。肉豚と呼ばれた男は、サジの言葉を耳にするやいなや、その瞳を大きく目を見開いた。
「使役だって!?ああ、なんてことだ!!エルダちゃんは自由な小鳥だというのに、今は鳥籠の小鳥なのかい!?それならば僕が囲ってしまいたかった。」
「わは、愚か者め。肉豚なんぞにサジが手懐けられるものか。」
「…そのうち、夜の手綱以外も握ってみせるよ、僕のリトルバード…」
「サジはサジだ。」
こんなに人で賑わっているのに、なんでだか二人の世界を作ってしまっている。肉豚の思いは一方通行なようで、サジはもう食欲に思考が切り替わったのか、そのシルクハットを押しつぶさんばかりにぐいぐいと押して体を離そうとしている。
エルマーは付き合うつもりはないとそのまま空いているテーブル席に向かうと、ナナシを隣に座らせてメニュー表を開いた。
「ナナシは鱒と果実くらいしか食ってなかったもんなあ。どうする?肉の煮込みとか食う?」
「える、とがいい。」
「俺と一緒のでいい?」
「える、と、いっひょ。」
二人でメニュー表を覗き込みながら、文字がわからないナナシにこれはこうでああだと説明をする。
ナナシは、首を傾げながら時折エルマーを見上げては顔色を伺う。先程までぐずってはいたが、今はサジがいないので、エルマーのことを独り占めすることがで出来るとわかり、少しだけ気分が浮上したのだ。
ナナシはメニュー表を見せられても、基本的にはエルマーと一緒のものが食べたい。そんなナナシの気持ちを理解してくれたのだろうか。エルマーは少し多めの煮込みを一つ頼むと、それを二人で分けることを提案してくれた。
エルマー達三人と一株が、素通り出来ればいいなと思っていた城門の入り口、そこに備え付けられた衛兵の詰め所に連れ込まれ、やはり先程の宣告通り待機させられた。
むさ苦しい詰め所の、無骨なレンガが剥き出しになった壁に囲われる椅子しかない待機場所で、先程サジが中指を立てた衛兵が偉そうに腕を組みながら、エルマー達を見下ろしてくる。
「それは貴様が決めることではないな。俺たちが決める。とりあえず生意気なその男は俺が直々に検分してやる。」
「サジのことか。面白い、貴様の方こそサジの苗床にしてやるから覚悟しておけ。」
「だーーーからお前はなんで好戦的なんだ!マイコニドはそこで大人しくしてろ。」
サジのやる気とともに立ち上がったマイコニドを、エルマーが止める。主の危機と合っては駆けつけんとばかりのやる気だ。その傘を震わしながら準備運動を始める様子を、ナナシは目を輝かせて見つめている。
後から入ってきたもう一人の衛兵は、どうやらここの責任者だったようだ。昼間から酒を飲んでいたのか若干熟柿臭い。国の管理が端の詰め所まで届いていない証だ。男はマイコニドの小さな手を握って大人しくしていたナナシに目をつけると、おもむろに被っていたフードを外した。
「あ、っ」
バサリと剥きとるように晒された、ナナシの烏珠の黒髪がサラリと溢れる。髪を掴まれて痛かったのか、頭を守るようにして抱えると、怯えたように男を見上げた。
被虐趣味でもあるのだろうか、ナナシの萎縮した瞳を向けられたことで、男の加虐心を煽られたようだ。遠慮のない不躾な目が嫌らしく歪む。
しかし、それを見て良しとしないのはエルマーであった。己の懐のものをぞんざいに扱われ、落ち着いていられるほど出来た人間ではない。責任者の男を見るエルマーの瞳が剣呑な色を宿すのを見て、サジはまるで楽しいことが起こると言った具合に、ワクワクとした表情をする。
「ふん、黒髪か。魔物と同じ色の男娼を連れて歩くとは縁起が悪い。」
「あ?てめーこそ糞みてぇな髪の色してんだろうが。」
「この俺の豊かな髪を糞だと!?」
「生まれつきの髪をとやかく言ったのはてめーが先だろうが、ああ!?」
ゴチンとお互いの額をぶつける程の距離でメンチを切る様子に、サジは止める気もないらしい。目元に涙を浮かべるほどケラケラと笑う。先程好戦的とサジに言ったばかりの本人がこれだ。自分の発言に責任など持たないあたりがエルマーらしい。
なんだか治安の悪い空気になってしまったことを察してか、戸惑うナナシがフラフラ立ち上がりエルマーに抱きついた。まるでエルマーが食ってかかるのを止めるように、細い腕を腰に回すと、フルフルと首を振りながら静止を試みる。
「おいナナシ、面白そうだから見守ればいいとサジは思うぞ。」
「だめ!いたいのだめ、える!」
「入ってきたときから面構えが気に入らなかったんだァこのクソジジイ!」
「若造が!敬語すら使えんクズとはお里が知れる。」
「てめぇに教えるお里なんかねぇわ表出ろコラァ!」
「えるぅ!!」
腰にしがみついたまま、ついにナナシが怒った。もちろん罵倒するような語彙は持たない。ただ今まで聞いたことのないような強い語気に、エルマーはぐっと言葉を詰まらせる。言いすぎたとかは微塵も思ってはいないが、エルマーはナナシには弱いのだ。まるで待てを言い渡された獣のように闘争心剥き出しの顔で、ゆっくりと衛兵から離れた。
「ふん、このまま拘束して牢屋にぶち込んでやってもいいんだぞ。」
「あ゛!?」
「うう!めっ!!だめ!!きらい!!」
「ぐぬ…」
ナナシの必死の嗜めに、渋々、本当に渋々と言った具合に、エルマーがどかりと備え付けの椅子に腰を下ろす。そもそも、皇国に来たのも目的があったからである。それさえ終われば、こんな七面倒くさい国なんてさっさと出ていくのに。
エルマーは深呼吸を一つすると、懐からクシャクシャになった手紙を無造作に取り出して、責任者に突きつけた。
「頼まれ事なんだよ!それさえ終わりゃ、こんなとこさっさと出てってやらァ!ダラスってやつ呼んで来いや!」
「うふふ、ガラが悪いエルマーも悪くないな。」
ケッと吐き捨てるエルマーに、隣に腰を下ろしたサジが婀娜っぽくしなだれかかる。まるでギャングとその女のような光景だ。渋い顔をして二人を見下ろす衛兵とその責任者の目の前で、サジはエルマーの肩口に顎を乗せると、その手の中の手紙を引き抜く。
「む。差出人がないじゃないか。」
「クラバット見せりゃわかるってさ。だからおめーじゃなくてダラス呼べって。」
未だふんぞり返っている衛兵にそう吐き捨てると、エルマーはサジの手から手紙を回収して懐にしまう。身体検分もさせろというのなら、こちとら全裸になったって構わない。まあ、それで向こうが満足するならだが。
「ふん、ダラス様の名を軽々しく口にするでないわ。お前のような不届き者が知り合いなわけ無かろうが。」
「だから俺だって知らねえって!手紙とクラバット渡すだけなんだからよ!何回言わせんだこの鶏冠ぁ!」
「なんならサジの体を検分してくれてもよいぞ。くふふ、脱いだら通してくれるのだろう?」
不毛な二人のやり取りに飽きたらしい。場の空気をかき回すことが生き甲斐でもあるサジが積極的にそんなことを宣うと、椅子から立ち上がる。
やはり下心があったらしい。男は値踏みをするように厭らしい視線を走らせる。
見目は実に上等だ。枯れ葉色の髪は多少ぼさついてはいるが、男にしては柔らかそうな体に、細い腰。だらしなく着崩された服の隙間から見える薄くついた腹筋も、実にほどよい。視線を滑らせた胸元から、少し身をひねれば見えてしまいそうな胸の頂を期待するように顔の角度を変えた時、むすりとした顔のナナシが、その視線の邪魔をするように、サジを己の背に隠した。
どうやら目の前のチビはサジを守ろうとしたらしい、そう理解すると、くふりと笑ってナナシの頬を指で摘んだ。
「おや、ナナシがサジを守ろうとしている。お漏らし坊やが頼もしいことで。」
「サジ、言うのやあ!!」
「うふふふふ。」
サジがナナシを虐めている横で、ついにエルマーは限界を迎えたらしい。ナナシを誂うサジの肩を摑むと、ナナシごと己の後ろにいろと顎で合図をする。
サジが面白いものを見るような目でことの成り行きを見守っていれば、二人を隠したエルマーは、こめかみに血管を浮かばせながら外套を外した。
怪訝そうな目でこちらを見つめる衛兵と、呆気にとられてこちらを見つめるサジとナナシの目の前で、エルマーはインべントリや、簡易的な防具、暗器の類などをがちゃがちゃと音を立てて落としていく。
まさかエルマーが積極的に脱ぐとは思っていなかったらしい、サジもナナシも、目を白黒させながら、エルマーのストリップを呆けたように見つめている。
「おい、なんでおまえが脱いでいる!」
「身体検分すんなら頭が一番手っ取り早いだろうが。それとも俺の体は見たくねぇってか?」
上半身に纏っていたシャツを脱ぎ捨てると、男らしく均整のとれたしなやかな筋肉が顕になる。
戦うものの肉体だ。実用的に鍛え上げられた無駄のない体は、腰回りがきゅっと細まり、割れた腹筋を見せつける。
若い女や春を売ることを生業にしているものなら、思わず見惚れてしまうほどの体であった。
背中の傷は一つもないかわりに、腹にはなにかに裂かれたような引き攣れた傷痕があった。しかしそれすらも、エルマーの体の魅力の一つになっている。
「ぐっ、」
「おらどこまで脱がせる気だよスキモノ。検分すんならさっさとしろっての。」
そのまま腰のベルトまで抜き去り、ボトムに手をかけようとしたときにストップがかかった。
「わかったわかった!!ったく、下着まで脱がんでいい!ったく、おい!誰かこいつの体を検分してやれ!」
「お手柔らかにヨロシクゥ。」
急に連れて来られたのか、戸惑の色を浮かべながら若い衛兵が入ってきた。ガラの悪いエルマーの様子にビクリと体を跳ねさせる。
上半身は裸な上に、両サイドを美貌の男と紅顔の美少年を侍らせているエルマーは、誰がどう見たって治安の悪いことこの上ない。身体検査を任された衛兵は、露骨に嫌悪感を表すように、くしゃりと顔を歪ませる。
ゴロツキを相手にするのとはまた違う恐ろしさだ。取って食われかねないと思いながら、エルマーの背後を取るように壁側に体を押し付けると、おかしいところがないかを確認するように、体をぺたぺたと触っていく。
「若いのにんなとこに配属されて、おまえも苦労するな。」
「…城門警備は国に入る害悪を防ぐために必要な部署だ。」
「おうおう、クソ真面目ちゃんかい。」
つまんねえ男。とエルマーに言われながらも黙々と検分を終わらせる。特に変なところはなかったので解放すると、サジは裸のエルマーに飛びついた。
「おい、勃起した。サジとしけこもう。仕方ないからナナシも一緒でかまわない。」
「おっとぉ、ツレがこれだからここでヤるしかねぇかあー?」
今にも服を脱がんといわんばかりに着衣を乱しながら近づいてきたサジの、その細い腰に手を回してグッと引き寄せる。エルマーのハッタリに、サジはご機嫌に体を寄せた。エルマーの肩に顎を乗せると、まるで相手を値踏みするかのような目で、衛兵を見つめる。
遠回しに、早く解放しろという。やすい三文芝居だが、エルマーがクソ真面目と揶揄った若い衛兵には効果的面だったらしい。顔を赤らめながら、大いに慌てた。
「おい!風紀を乱すのは許さんぞ!検分はもう終わった!さっさと出ていくがいい!」
「話がよーーくわかる若者でなによりだァ。頭錆びついてん上司とは大違い。」
エルマーが服を拾うと、サジはつまらなさそうに唇を尖らす。この場所でエルマーと公開セックスもまた一興と思っていたらしい。サジ側の三文芝居は本気だったようだ。
ナナシは武器のホルスターを手に取ると、シャツを着込んだエルマーに差し出した。ようやくこんなむさ苦しい場所から解放されるのだ。エルマーはナナシから脱ぎ散らかしたものを受け取ると、手早く身につけていく。
ナナシはというと、どうやら知らない大人達に囲まれたことが原因なのか、疲れたようで随分と大人しい。
マイコニドはぴょんと立ち上がると、自分の役目だと言うように、なんだか気落ちしている様子のナナシの小さな手を握りしめた。
「なんだどうした、具合でもわりい?」
「うぅ、」
エルマーが、ナナシの体調を気にかける。小さな体に長旅は辛いものがあるだろう。そう思っての労りだったのだが、ナナシは未だしょんもりとしているだけであった。
三人は、城門を叩き出されるようにして皇国に繰り出した。ナナシはというと、マイコに手を引かれるようにしてとぼとぼとエルマーの後ろについてきている。
ナナシは自分がここに来るまでエルマーの足手まといになっていたことを自覚していた。だから目的地についてホッとするエルマーを見て、もしかしたら自分はここで別れを告げられるのではないかと思ったのだ。
でも、怖くてそれは聞けない。ナナシもサジのように使役されたい。そうすればずっと側にいられるのに。
「…ぅー‥」
うまく言葉が出てこない。気がつけば、ナナシは前を歩くエルマーの服の裾を握りしめていた。ナナシの体が勝手に動いてしまったのだ。素直に寂しいを、その小さな左手から無意識にエルマーに伝える。
足りない頭で、うんうんと悩む。なんて言おう、嫌だな、置いて行かれたくないな。
視線で訴えることも知らないナナシは、悩みすぎて疲れてしまった。エルマーとさよならをするのが、名残惜しくて仕方がない。寂しいのだって嫌だ。でも、それを訴える語彙を持たないせいで、結局何も言えぬまま、諦めたように服を離した。
「おい、どうした。なにがいいたい。」
「んう、」
眉間にしわを寄せたサジが、ナナシの頬を掴むようにして口を親指で開く。大人しくかぱりと開けたナナシは、困ったようで、それでいて少し泣きそうな顔でサジを見上げた。
「ふむ。なかなかいい顔をする。」
「いじめんなっての。」
「あいた。」
ぺしりとサジの頭を叩くと、エルマーはその華奢な体を抱き上げた。ナナシの情緒が揺らいでいるときは、こうして抱きしめてやるのが一番効くとわかっているからだ。
なんだか保護者のようだなと思い、そして、保護者ようだと思った己が、箍が外れてナナシの体を貪るという、昨日のやらかしを思い出して勝手に落ち込んだ。
抱き上げられたナナシはというと、ゆるゆるとエルマーの首に腕を回してしがみつく。ぽんぽんとあやすように背を撫でてやれば、一際強く抱きついてきた。サジはそんなエルマーを横目に、お前そんな優しさ持っていたのかと言わんばかりの怪訝そうな目を向けてくる。
気を取り直すように咳払いをすると、サジは改めてこの先の行動を確認する。
「このままダラスの所へ向かうのか?」
「場所がわかんねえ。ひとまずギルド…の前に宿屋と、あと結界紐買わねえと。」
「ああ、幽鬼に切られたのか。余程襤褸っちぃのを使っていたのだなあ。」
「戦争んときのやつ。」
「おい、それは流石に不精すぎるだろ。」
どうやらエルマーの無精はサジも引くレベルだったようだ。
ギルドに行けばお目当ての結界紐も買えるだろう。エルマーはまずは宿屋を探すことにして、見つける途中で昼飯でも食うかと算段をつける。そろそろ腹も減る頃だし、元気がないときは肉を食えば大抵のことはなんとかなる。
それは雑なエルマーならではの持論なのだが、ナナシも男なのできっと同じだと思っている。
「サジはこの先のバルがすきだ。」
「ああ、出入りしてんだっけ?」
「というか、前に来たときに契約を持ちかけられたのがそこのバルだ。」
皇国と言う割にはここらへんは雑多な感じがする。入り口付近の町並みを眺めながら、馬を引いた出入りの商人や冒険者が行き交う通りの一角を指さした。
そこは古ぼけた看板がキシキシと風に煽られて鳴いている、なんともノスタルジックな店だった。
店先に出ていた板を覗き込むと、どうやら飲み屋兼紹介屋のようだ。顔が広い飲み屋の親父が仲介してギルドの真似事をやっているようで、紹介料も特に貰っているわけでもなく、ただ飲み食いして縁があれば紹介するというおせっかいじみた店らしい。
こんな雑な感じでトラブルとかは起きないのかとは思ったが、ギルドもなんだかんだ管理していてもトラブルは起きるときもある。エルマーは先入観を捨てて飲むだけならいいかと、ナナシを抱っこしたままサジを引き連れて中に入った。
「エルダちゃん!!!」
「エルダ?」
いらっしゃいとお決まりの挨拶の後、カウンターに座っていた、やけに貴族じみた洋装の男が目を輝かせてそう叫んだ。状況が読めぬエルマーを置いてけぼりにしたサジは、にこにこしながらその男に駆け寄ったかと思うと、首の後ろに腕を回すかのようにして抱きついた。
「おお!久しぶりだなあ!エルダの肉豚、留守にしていた間もきちんと約束は守ったか?」
「ああっ、もちろんだよエルダちゃん!!会いたかった、君に見せたいものがあるんだ。今夜二人で会えないかい?」
「うふふ、しばしまて。エルマーに聞いてみる。エルダは今、使役されているのだ。」
エルダと呼ばれたサジは、肉豚扱いする男にいやらしく尻を揉まれながらも、実にご機嫌である。エルマーは周りの空気なんぞ気にもせずに振る舞う二人へと、引いた目を向ける。肉豚と呼ばれた男は、サジの言葉を耳にするやいなや、その瞳を大きく目を見開いた。
「使役だって!?ああ、なんてことだ!!エルダちゃんは自由な小鳥だというのに、今は鳥籠の小鳥なのかい!?それならば僕が囲ってしまいたかった。」
「わは、愚か者め。肉豚なんぞにサジが手懐けられるものか。」
「…そのうち、夜の手綱以外も握ってみせるよ、僕のリトルバード…」
「サジはサジだ。」
こんなに人で賑わっているのに、なんでだか二人の世界を作ってしまっている。肉豚の思いは一方通行なようで、サジはもう食欲に思考が切り替わったのか、そのシルクハットを押しつぶさんばかりにぐいぐいと押して体を離そうとしている。
エルマーは付き合うつもりはないとそのまま空いているテーブル席に向かうと、ナナシを隣に座らせてメニュー表を開いた。
「ナナシは鱒と果実くらいしか食ってなかったもんなあ。どうする?肉の煮込みとか食う?」
「える、とがいい。」
「俺と一緒のでいい?」
「える、と、いっひょ。」
二人でメニュー表を覗き込みながら、文字がわからないナナシにこれはこうでああだと説明をする。
ナナシは、首を傾げながら時折エルマーを見上げては顔色を伺う。先程までぐずってはいたが、今はサジがいないので、エルマーのことを独り占めすることがで出来るとわかり、少しだけ気分が浮上したのだ。
ナナシはメニュー表を見せられても、基本的にはエルマーと一緒のものが食べたい。そんなナナシの気持ちを理解してくれたのだろうか。エルマーは少し多めの煮込みを一つ頼むと、それを二人で分けることを提案してくれた。
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