ヤンキー、お山の総大将に拾われる2-お騒がせ若天狗は白兎にご執心-

だいきち

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苦しくて嬉しい *

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 湯の花が香り立つ、贅沢な露天風呂だ。きっと浸かれば気持ちいいはずなのに、これじゃあ入る前から逆上せてしまうと、睡蓮は泣き言を漏らした。
 
「お前が言うまではやめねえからな。」
「あ、ゃう、っ…うそ、ぉ…っ」
 
 ぐちり、と聞くに堪えない音がする。それは己の下肢からであった。睡蓮は今、上体を琥珀に預けたまま、先ほどからずっと尻を弄られていた。信じられない。睡蓮は、胸元に押し付けられるように琥珀の大きな性器をあてがわれたまま、尻だけを高く上げて鳴かされている。
 
「ゆ、ゅび、ぃ…も、や、やめ…」
「がんばれがんばれ、ほら、もしかしたら二本目いけるかもしれねえ。」
「っぁ、あー…っ!」
 
 ぴしゃりと吹き出た精液を琥珀の足にかけた。口をだらしなく開き、茹ってしまいそうなほどの体温と、心地よい酩酊感。そして、己の内側からじくじくと広がる震えてしまいそうなくらいの強い快感。
 
「お前は、もう少しばかし我儘になれ。言いたいことを言えねえってのはよくないと思うぞ俺は。」
「い、いっ、へる…っ!ぃい、って、いっでるっ…!!」
「おう、上手にイけて偉いじゃねえか。」
「ち、ちが、ぁあ、あっば、ばかぁ…っ」
「あ?誰が馬鹿だって?」
「ひぁ、あっあぁ、っ」
 
 睡蓮の知らない、腹の内側の器官をゴリゴリと太い指で押され、自分でも知らない声がひっきりなしに出てしまう。琥珀の金色の瞳に閉じ込めた睡蓮は、肌が白いせいだろうか、ところどころを薄桃色に染め上げ、ひゃんひゃんと鳴く。普段控えめな睡蓮のあられもない姿に、口の中に溜まった唾液をごくりと飲み下す。
 
 びしゃりと、再びの睡蓮の精液が琥珀の足にかかる。乱れた呼吸をそのままに、己の膝の上で身を投げ出すようにぐったりとしている睡蓮の蕾から指を引き抜くと、琥珀は両脇に手を差し込んで、睡蓮を引き上げた。
 
「ぐでぐでだな。」
「ひぅ、うー…」
 
 よいせ、と膝に跨らせる。ヘロヘロになった睡蓮を肩口にもたれかからせ、己の腰を挟ませるかのようにして、脚を開かせる。興奮しすぎて、性器が痛い。琥珀は、これは睡蓮の発情期に充てられているのかもしれないなあと思いながら、その柔らかな尻を割り開く。
 
「お前の発情期が終わるまで、俺のが入るようになるのかね。」
「ふぁ、あ、う、ぅそ、や…っ」
「びびんな、だが覚悟はしとけ。」
「あ…ぁあっ…!」
 
 ぽてりとした蕾に、琥珀のそれが充てがわれる。まるで媚びるかのように、ちゅうちゅうと先端に吸い付いてしまうのは、本当に発情期だから、だろうか。先端の、つるりとした部分を引っ掛けるようにして、数度そこに擦り付けた。蕩けた顔の睡蓮が、はふはふと呼吸を繰り返しながら、へコリと腰をゆらめかせる。
 
「誘ってるんか。」
「ふぁ…な、何ぃ…っ…」
「なんでもね。くそ、タチ悪いなマジで。」
「きゃぅ、っ」
 
 がじりと耳を噛まれ、睡蓮が悲鳴を上げた。兎の妖は、快楽に弱いものが多いと言うのを、すっかりと失念していた。と、言うより、睡蓮をそう言う目で見ないようにしていたので、琥珀としては思い至って己の首を絞めただけであった。
 
「ふ、ンぅ、う、う…っ」
「ン、わかった、わかったから、ちょ、っ」
「ゃ、やだ、も、もっと気持ちいのして、っ」
「~~~っ、くそ、こう言うんじゃねえっての!」
 
 言うまで辞めぬと宣ったが、思ってたんとちげえ。琥珀はそう思った。しかし己も若い雄である。昨夜の睡蓮の痴態も相まって、やはり明るい陽の下で乱れる姿は大いに見たい。というか、可愛い姿が見たいから、もっと意地悪をしたくなる。
 睡蓮の僅かにほころんだ蕾に、ぐり、と性器の先端を押し付ける。尻を割り開いた琥珀の手に、ふわふわとくすぐるように揺れる睡蓮のオッポを感じて、己の性器を一際大きく膨らませた。
 
「ぃ、いれ、…っぉ、奥、さびし…っこ、こは、く…っ」
「お前、んな言葉どこで知った、」
「ゎかん、ぁ…っ、ひぅ、うー…っ!」
 
 腹の奥が寂しい、睡蓮は、儘ならぬ思考のまま、思い通りに触ってくれない琥珀が意地悪をしているのだと思った。
 ひどい、僕はこんなに体が辛いのに、辛くしたのは琥珀のせいなのに、なんで入れてくれないんだろう。
 そんな具合に、とろめかせた赤眼で琥珀を見ると、フツフツとした苛立ちが募って、ついにはガブリと肩に噛み付いたのだ。
 
「いででででっ」
 
 これには琥珀もたいそう仰天した。兎の小さな前歯で、がじりと肩を噛みつかれたのだ。たとえそれが睡蓮にとっては甘噛みだったとしても、痛いものは痛い。
 
「くそ、齧るな睡蓮、マジで痛えっつの。」
「ンう、ふ…ぅ、うん、む…っ」
 
 琥珀が肩と睡蓮の小さな口を遮るようにして指を口に含ませた。たったの二本の指先のみで抑え込めるほどの口の大きさだ。嗜めるように、その口に己の親指を含ませながら顔を覗き込めば、白い髪をペタリと小さな顔に張り付かせ、大きな赤眼にたくさん涙を溜め込んだ、下がり眉の睡蓮がぐずりながら琥珀の親指を吸っていた。
 
「ぉ、おなか、おなかさびしぃ…」
「んっとに…お前は…」
「こ、は…っほし、ぃよう…っ」
 
 ぺしょぺしょ、ちぅちぅと親指に吸い付いては愚図る、出来上がってしまった睡蓮が、こんなにも危うい色気を放つだなんて、知らなければよかった。
 
「こりゃ、一体どんな修行だ…」
「う、ぅ…?」
「こっちの話。」
 
 睡蓮の頭を支えるようにして、そっと押し倒した。チラリと見た己の腕には、脚鱗が浮かび上がってきていた。くそ、興奮しすぎて本能が前面に出てきている。琥珀は小さく舌打ちをして顔を上げた。冷静にならねばと思ったのだ。
 
「あ。」
 
 ふと、琥珀の目の前に、天嘉が使っている椿油が目に入った。これは風呂上がりに蘇芳やら琥珀が身形を整えてもらうのによく使われるものである。とろみのあるそれを見やり、持て余した熱で前後不覚になった睡蓮の体を見下ろした。
 
「馬鹿、んなとこ吸うな。」
「んぅ、ふ…っ」
「いっつ…噛み付くのもダメだっつの、あーもう!」
 
 まるで、早くしろと急かされるように、脚鱗の浮いた手も気にせずにがじりと噛まれる。なるほど睡蓮の我儘は、口にせぬ代わりに歯が出るらしい。可愛らしいが、このままじゃ生傷が絶えないだろう。手を伸ばし、置いてあるそれを手に取った。睡蓮の精液だけでは補えぬ滑りを足すように、琥珀はそれを手の上にとぽとぽと零す。
 
「何、それ…」
「お前、これ母さんに言うなよ。」
「う、ん…?っ、ひゃ…っ!」
 
 椿油を纏わせた琥珀の掌が、ぬるりと睡蓮の尻に塗り込まれる。ふくよかな香りに性的な香りが入り混じり、睡蓮も琥珀も酩酊感のようなものを先ほどから感じていた。
 口の中に唾液が溜まる。ごくりと飲み下し、は、は、と呼吸をする睡蓮を宥めるように数度唇を啄んだ。
 
「ん、力抜いてな。」
「う、う、ぅあ、ぁ、あっ」
「っ…さっき、よか…いいな、」
 
 琥珀の指の一本目を、再び腹に収める。先ほどよりも苦しい感覚は減り、睡蓮は縋るように琥珀の腕に額をくっつけた。
 
「ま、まだし、てぇ…っ、ぼ、僕、が、がんば、るから…っ」
「お前は力抜いてりゃいい。ほら、できんだろ。」
「ぅあ、あっン!」
 
 ぞり、と内壁を指で撫で上げられる。睡蓮の細い脚が跳ね上がると、琥珀の指をきゅう、と締め付けた。
 
「まだ根を上げるな。もう一本いれねえと、先は長いぞ。」
「ま、って…っまってぇ、や、ゃらこわ、い…っ」
「怖くない怖くない。」
「ーーーっ!」
 
 睡蓮の柔らかな尻肉に挟むようにして、琥珀の性器があてがわれる。グニグニと内壁を解されていた睡蓮は、もう二本目を腹に飲み込もうとしているところであった。
 しこりのようなところを摩擦されるたびに、睡蓮の慎ましい蕾は徐々に綻んでいく。そうして、綻ぶと余計に腹の奥がキュウキュウと鳴くのである。ぬるつく熱い性器がぐりぐりと睡蓮のオッポの裏側に押しつけられる度、気持ちいい。気持ちいいから、もっとしてほしい。そう言った欲張りな部分が顔を出す。
 
「ひぅ、あ、あぁっあっ!」
「っ、…いつつ…っ」
 
 ようやく入った二本目は、ギチリと琥珀の指を締め付ける。腹をひくつかせ、胸を反らしながら、はくはくと浅い呼吸を繰り返す睡蓮を見下ろすと、琥珀は顔の横に片腕をついて睡蓮と額を重ねた。
 
「大丈夫だから、ゆっくり深呼吸しな。」
「ふ、ふぁ、…っう、ぅん…ン、ンん…っ」
「いいこだ。」
 
 ちゅ、と瞼に口付けられる。二本目の指によって引き伸ばされた蕾が、痛くないわけじゃない。だけど、睡蓮のことを大切に扱ってくれる琥珀が格好よくて、そしてなんだか特別になれたかのようで嬉しかったのだ。だから、つい小さな子みたいにコクリと頷いてしまった。
 
「ン…っ」
「……ゎぃ、ああ、くそ、」
 
 何かを言ったらしいが、一杯一杯の睡蓮にはうまく聞き取れなかった。切羽詰まったような顔で見下ろされ、少しだけ怖い。それでも、琥珀の体温が熱くて、ああ、お揃いだなあなどと思ってしまった。発情期、辛いけれど、側に入れるのならずっと続けばいいのに。睡蓮はそう思うと、コツンと甘えるようにして、顔の横についた琥珀の腕に額を擦り寄せるのであった。
 
  
    
 
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