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触らないでってば
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鐘楼は、獄卒の管理する岩屋戸にいるらしい。高天原と違って、獄都の岩屋戸は力の強い妖かしや禍津神を幽閉する牢のようなもので、そこでは二人以上の獄卒が常に管理をしている。そんな物々しい雰囲気の場所であった。
ー鐘楼の穢を落とすのは無理だ。あいつはもう、そういう神になっちまったんだからな。よほど力の強い陰陽師にでも調伏させられりゃあ望みはあるが、まあ今はそんなのもいねえしな。
そう言って、面倒臭いやつをよくも連れてきたなと言わんばかりに、牛頭馬頭からはせっつかれた。まあ、あまりいい知らせではないのだろう。睡蓮には報告をするつもりだが、また憂た顔をさせる気がした。
「なんだ、やけに獣臭いと思ったら野良鳶かい。」
聞き慣れた声が下から飛んでくる。琥珀は羽を折り畳むかのように急降下をすると、人型の上半身で蜷局を巻いた由春の元に降り立った。
「大天狗だ。」
「ふん、お前なんて野良鳶でいいのさ。私の睡蓮を連れ去りやがって。虫のすかぬ男だ。」
「お前な…、俺は喧嘩するつもりはねえぞ。」
「なんだつまらん、安く買い叩いてやろうと思ったのに。」
尾の先だけ水に浸していた由春が、身を翻すように人型に転化する。白い装束を纏った美しい青年の姿をとると、裸足でずかずかと琥珀の元に歩み寄った。
顎を上げるかのように、琥珀を見上げる。年齢だって三つほどしか変わらぬというのに、羽を使うからだろうか。己にはない鍛え上げられた雄らしい立派な体躯に腹が立つ。由春だって、そんなに小さいわけではない。単に琥珀が大きいだけなのだ。琥珀は、何か言いたげの紫の瞳で睨みつけるように見上げてくる由春に、面倒臭そうな顔をした。
「言いたいことがあるならはっきりしろ。」
「お前なんか大嫌いだ。」
「そりゃあいい、両思いだったとは。」
琥珀は吐き捨てるように笑うと、由春はその胸ぐらをがしりと掴んだ。引き寄せるままに見下ろす。紫の瞳の奥に宿る暗い炎を真っ直ぐに見つめかえした琥珀は、由春の頬に浮かび上がってきた鱗に気がついた。
「おい、落ち着け。睡蓮は必ずお前の元に返す。俺んちで療養してるだけだ。」
「…由春としたことが、感情が昂ってしまったとは。」
振り払うように琥珀の袂を離した。よれた襟元は治さぬまま。琥珀は黙って怒りを鎮めようとする由春を見る。
本当は、由春だって頭では理解している。それに、少しの後悔も。
一人、まるで蚊帳の外かのような扱いを受けて嫌だったのだ。由春は今も一人でここに居なければならないから、心配でも睡蓮の顔を見に行くこともできない。
由春だって沢山してあげたいことがあるのに、琥珀は由春から睡蓮を取り上げた。だから、嫌いなのだ。嫌い、嫌い。琥珀なんか大嫌い。
そんな幼稚な感情に付き合ってくれるこの男の優しさも腹が立って仕方がない。
「お前なんか、早く嫁を見つけてつがっちまえばいいのだ。ばーか!!!!」
「それは一体どういう罵倒だ…。」
ふんだと顔を背ける由春の言葉に、琥珀は呆れた顔はしたものの、唇をつぐむ。手持ち無沙汰に頭を掻くと、何気ない風を装って口を開いた。
「嫁をとっても、幸せにできねえ気がする。」
「え」
「まだ、器もデカくねえ。嫁に苦労かける方が多くなりそうだと、改めて解っちまったから、嫁はいらねえ。」
由春は、琥珀の言い分を聞いて、ぱかりと口を開けたまま呆けてしまった。だって、まさかそんな、そんなことを言うだなんて思わなかったのだ。絶句している由春をよそに、琥珀は、自分の手のひらを見つめていた。
「過信していたわけじゃねえ。だけどな、俺は不器用すぎていけねえ。番っても、きっと構ってやることもできねえだろうし、それに。」
それに、睡蓮を支えてやりたい。そう言おうとして、止める。
「順番は、間違ちゃいけねえんだ。」
「琥珀、お前…」
なんて顔をするのだと思った。
「さて、帰るかね。由春、お前にも苦労かけて悪かったな。」
「気持ちが悪い。本当に悪いと思うなら、ごめんなちゃい由春さまぁ~と可愛らしく言ってみろ。笑ってやるから。」
「…お前も絶対番ねえと思うわ。その性格じゃ。」
由春の態度に引き攣り笑みを浮かべたが、むくれる姿を見る限り、もう大丈夫そうだと判断した。元々、由春とは相容れない性格なのは解っていたし、こう言うのが腐れ縁なのだろうなあと納得してからは、手のかかる弟のように思ってもいた。まあ、由春が知ったら鱗をざわめかせて怒るだろうから言わないが。
大きな翼を、伸びをするように数度羽ばたかせる。琥珀は風を纏って飛び立つと、立派な羽で気流を掴み飛び去った。
由春の目の前に、大きな鳶の羽がふわりと舞い落ちる。その羽軸を摘むと、陽の光に翳すようにして見つめる。
「こんな羽一枚でも、あいつにとっては宝物なのが癪だな。」
ふん、と不貞腐れる。その羽を岩の隙間に突き刺すと、ゴロリと寝転がった。きっと捨てたら睡蓮がうるさいだろう。寝て起きて、風に攫われていなければ、とっておいてやらんこともないと、珍しく由春は妥協したのであった。
「おいら天嘉の杖代わりにもなったんだー!だから睡蓮も存分に甘えていいんだからなー!」
「うん、よいしょが手伝ってくれるから歩きやすいや。」
カロカロと車輪を動かしながら、ヨイショの持ち手を握りしめた睡蓮が廊下を歩いている。厠に行きたくなって、案内してもらっていたのだ。天嘉は気を利かせて着いて行こうかと言ってくれたのだが、一体どこまで一人で出来るかわからなかったので、気持ちだけ受け取ることにした。まあ、本音は気恥ずかしかっただけなのだが。
「おいら、手がないから扉は開けられないんだ、横に引けば開くよ。」
「うん、ありがと。ええっと、お外で待っててくれるかな。」
「いいぞー、また部屋に連れてってやるからなー。」
頼られるのが好きなよいしょが、ご機嫌に体をくるんと回転させて了承する。睡蓮はそれに笑って返すと、引き戸を開けて中に入った。
「うーん、」
着物を避けて、下履きを脱がなくては。頭では解っているのに、いざ片腕だとなんと言う難易度の高いことか。睡蓮はもたもたしながら、着物の裾を帯に突っ込むようにして、苦戦しながら捲り上げる。なんだか小さな子供みたいで少しだけ恥ずかしい。まあ、今は一人だしと下着の紐を緩めようとした時だった。
「お前、俺を呼べと言ったろうが。」
「うひゃあああ!!」
突然引き戸が開かれて、睡蓮は思わずしゃがみ込もうとして転がってしいまった。
短い尻尾と、まろい尻が晒されると、顔を真っ赤にしながら右手で隠すようにそこを押さえた。
「漏らしたか?」
「も、漏れるかと思った!!」
バクバクと心臓を忙しなくさせながら、意地悪な声色混じりの口調に反論した。声の主である琥珀はというと、楽しげに笑いながら睡蓮の右腕を掴むと、ぐいっと引き上げて立ち上がらせる。
「わ、ちょ、ま、待って!待ってってば!」
「ほら、大人しく諦めな。手伝ってやるから。」
「ど、どこさわっ」
「フリーハンドで出来るわけねえだろう。おら、」
「ふ、ふりいはん、何!?あっ!」
聞き慣れぬ言葉を操りながら、琥珀は後ろから抱えるように睡蓮を抱き込むと、その細い足の間に手を突っ込んだ。びょっと伸び切った長い耳は、そのまま睡蓮の動揺っぷりを現している。
「に、にぎんないで、や、やめ、」
「ならしゃがんでするか?なら着物の裾持っててやるけど。」
「そ、それもいやだぁ!!」
ゆとりのある浴衣のせいか、睡蓮の柔らかそうな頸が赤く染まっていた。琥珀の目の前で俯きながら、右手で体を支えるように壁に手をついた睡蓮が、小さく震えている。急所を握られているので、当たり前の反応だろうに、琥珀は唐突に性器を握りしめた己の手を、挟むようにして押し付けられた、太ももの柔らかさが気になった。
「恥ずかしがるならさっさと済ませな。見てねえからよ。」
「グス、っ…う、うそだ…ぜ、絶対笑ってる…っ」
「笑ってはいる。」
「うあ、お、お嫁にいけないいい…」
ひんっ、と情けなく宣うものだから、琥珀はお前が嫁側なのかと突っ込みたくなった。柔らかで小さな性器を握りしめながら、我慢しているせいで挟まれた手は睡蓮の汗で少しだけしっとりとしてきた。平たい腹に手を添えれば、少しだけ張っている。これだけ我慢しておいて、随分と往生際が悪い。
「出さねえなら、違うもん出させるぞ。」
「ぁ、ちょ…っや、やめ、ふぅっ、ぅー…!」
さっさと終わらせろと、琥珀の大きな掌が睡蓮の性器をふにふにと刺激する。びくんと体を跳ねさせ、内股を震わした睡蓮が熱い吐息を漏らした。赤らんだ濡れた唇から垂れる唾液、その艶かしい表情を幸い琥珀には見られることはなかった。
「っあ、」
あーーーーーー!!
情けない悲鳴が響き渡って、厠の外にいたよいしょは思わず振り向いた。帰ってきて早々、連れションとかいって琥珀が入っていったのを知っているが、中は随分と楽しそうである。自分の天敵である段差さえなければ、おいらも混ざれるのになあと、よいしょは睡蓮の気も知らぬままに、羨ましそうにぼやいたのであった。
ー鐘楼の穢を落とすのは無理だ。あいつはもう、そういう神になっちまったんだからな。よほど力の強い陰陽師にでも調伏させられりゃあ望みはあるが、まあ今はそんなのもいねえしな。
そう言って、面倒臭いやつをよくも連れてきたなと言わんばかりに、牛頭馬頭からはせっつかれた。まあ、あまりいい知らせではないのだろう。睡蓮には報告をするつもりだが、また憂た顔をさせる気がした。
「なんだ、やけに獣臭いと思ったら野良鳶かい。」
聞き慣れた声が下から飛んでくる。琥珀は羽を折り畳むかのように急降下をすると、人型の上半身で蜷局を巻いた由春の元に降り立った。
「大天狗だ。」
「ふん、お前なんて野良鳶でいいのさ。私の睡蓮を連れ去りやがって。虫のすかぬ男だ。」
「お前な…、俺は喧嘩するつもりはねえぞ。」
「なんだつまらん、安く買い叩いてやろうと思ったのに。」
尾の先だけ水に浸していた由春が、身を翻すように人型に転化する。白い装束を纏った美しい青年の姿をとると、裸足でずかずかと琥珀の元に歩み寄った。
顎を上げるかのように、琥珀を見上げる。年齢だって三つほどしか変わらぬというのに、羽を使うからだろうか。己にはない鍛え上げられた雄らしい立派な体躯に腹が立つ。由春だって、そんなに小さいわけではない。単に琥珀が大きいだけなのだ。琥珀は、何か言いたげの紫の瞳で睨みつけるように見上げてくる由春に、面倒臭そうな顔をした。
「言いたいことがあるならはっきりしろ。」
「お前なんか大嫌いだ。」
「そりゃあいい、両思いだったとは。」
琥珀は吐き捨てるように笑うと、由春はその胸ぐらをがしりと掴んだ。引き寄せるままに見下ろす。紫の瞳の奥に宿る暗い炎を真っ直ぐに見つめかえした琥珀は、由春の頬に浮かび上がってきた鱗に気がついた。
「おい、落ち着け。睡蓮は必ずお前の元に返す。俺んちで療養してるだけだ。」
「…由春としたことが、感情が昂ってしまったとは。」
振り払うように琥珀の袂を離した。よれた襟元は治さぬまま。琥珀は黙って怒りを鎮めようとする由春を見る。
本当は、由春だって頭では理解している。それに、少しの後悔も。
一人、まるで蚊帳の外かのような扱いを受けて嫌だったのだ。由春は今も一人でここに居なければならないから、心配でも睡蓮の顔を見に行くこともできない。
由春だって沢山してあげたいことがあるのに、琥珀は由春から睡蓮を取り上げた。だから、嫌いなのだ。嫌い、嫌い。琥珀なんか大嫌い。
そんな幼稚な感情に付き合ってくれるこの男の優しさも腹が立って仕方がない。
「お前なんか、早く嫁を見つけてつがっちまえばいいのだ。ばーか!!!!」
「それは一体どういう罵倒だ…。」
ふんだと顔を背ける由春の言葉に、琥珀は呆れた顔はしたものの、唇をつぐむ。手持ち無沙汰に頭を掻くと、何気ない風を装って口を開いた。
「嫁をとっても、幸せにできねえ気がする。」
「え」
「まだ、器もデカくねえ。嫁に苦労かける方が多くなりそうだと、改めて解っちまったから、嫁はいらねえ。」
由春は、琥珀の言い分を聞いて、ぱかりと口を開けたまま呆けてしまった。だって、まさかそんな、そんなことを言うだなんて思わなかったのだ。絶句している由春をよそに、琥珀は、自分の手のひらを見つめていた。
「過信していたわけじゃねえ。だけどな、俺は不器用すぎていけねえ。番っても、きっと構ってやることもできねえだろうし、それに。」
それに、睡蓮を支えてやりたい。そう言おうとして、止める。
「順番は、間違ちゃいけねえんだ。」
「琥珀、お前…」
なんて顔をするのだと思った。
「さて、帰るかね。由春、お前にも苦労かけて悪かったな。」
「気持ちが悪い。本当に悪いと思うなら、ごめんなちゃい由春さまぁ~と可愛らしく言ってみろ。笑ってやるから。」
「…お前も絶対番ねえと思うわ。その性格じゃ。」
由春の態度に引き攣り笑みを浮かべたが、むくれる姿を見る限り、もう大丈夫そうだと判断した。元々、由春とは相容れない性格なのは解っていたし、こう言うのが腐れ縁なのだろうなあと納得してからは、手のかかる弟のように思ってもいた。まあ、由春が知ったら鱗をざわめかせて怒るだろうから言わないが。
大きな翼を、伸びをするように数度羽ばたかせる。琥珀は風を纏って飛び立つと、立派な羽で気流を掴み飛び去った。
由春の目の前に、大きな鳶の羽がふわりと舞い落ちる。その羽軸を摘むと、陽の光に翳すようにして見つめる。
「こんな羽一枚でも、あいつにとっては宝物なのが癪だな。」
ふん、と不貞腐れる。その羽を岩の隙間に突き刺すと、ゴロリと寝転がった。きっと捨てたら睡蓮がうるさいだろう。寝て起きて、風に攫われていなければ、とっておいてやらんこともないと、珍しく由春は妥協したのであった。
「おいら天嘉の杖代わりにもなったんだー!だから睡蓮も存分に甘えていいんだからなー!」
「うん、よいしょが手伝ってくれるから歩きやすいや。」
カロカロと車輪を動かしながら、ヨイショの持ち手を握りしめた睡蓮が廊下を歩いている。厠に行きたくなって、案内してもらっていたのだ。天嘉は気を利かせて着いて行こうかと言ってくれたのだが、一体どこまで一人で出来るかわからなかったので、気持ちだけ受け取ることにした。まあ、本音は気恥ずかしかっただけなのだが。
「おいら、手がないから扉は開けられないんだ、横に引けば開くよ。」
「うん、ありがと。ええっと、お外で待っててくれるかな。」
「いいぞー、また部屋に連れてってやるからなー。」
頼られるのが好きなよいしょが、ご機嫌に体をくるんと回転させて了承する。睡蓮はそれに笑って返すと、引き戸を開けて中に入った。
「うーん、」
着物を避けて、下履きを脱がなくては。頭では解っているのに、いざ片腕だとなんと言う難易度の高いことか。睡蓮はもたもたしながら、着物の裾を帯に突っ込むようにして、苦戦しながら捲り上げる。なんだか小さな子供みたいで少しだけ恥ずかしい。まあ、今は一人だしと下着の紐を緩めようとした時だった。
「お前、俺を呼べと言ったろうが。」
「うひゃあああ!!」
突然引き戸が開かれて、睡蓮は思わずしゃがみ込もうとして転がってしいまった。
短い尻尾と、まろい尻が晒されると、顔を真っ赤にしながら右手で隠すようにそこを押さえた。
「漏らしたか?」
「も、漏れるかと思った!!」
バクバクと心臓を忙しなくさせながら、意地悪な声色混じりの口調に反論した。声の主である琥珀はというと、楽しげに笑いながら睡蓮の右腕を掴むと、ぐいっと引き上げて立ち上がらせる。
「わ、ちょ、ま、待って!待ってってば!」
「ほら、大人しく諦めな。手伝ってやるから。」
「ど、どこさわっ」
「フリーハンドで出来るわけねえだろう。おら、」
「ふ、ふりいはん、何!?あっ!」
聞き慣れぬ言葉を操りながら、琥珀は後ろから抱えるように睡蓮を抱き込むと、その細い足の間に手を突っ込んだ。びょっと伸び切った長い耳は、そのまま睡蓮の動揺っぷりを現している。
「に、にぎんないで、や、やめ、」
「ならしゃがんでするか?なら着物の裾持っててやるけど。」
「そ、それもいやだぁ!!」
ゆとりのある浴衣のせいか、睡蓮の柔らかそうな頸が赤く染まっていた。琥珀の目の前で俯きながら、右手で体を支えるように壁に手をついた睡蓮が、小さく震えている。急所を握られているので、当たり前の反応だろうに、琥珀は唐突に性器を握りしめた己の手を、挟むようにして押し付けられた、太ももの柔らかさが気になった。
「恥ずかしがるならさっさと済ませな。見てねえからよ。」
「グス、っ…う、うそだ…ぜ、絶対笑ってる…っ」
「笑ってはいる。」
「うあ、お、お嫁にいけないいい…」
ひんっ、と情けなく宣うものだから、琥珀はお前が嫁側なのかと突っ込みたくなった。柔らかで小さな性器を握りしめながら、我慢しているせいで挟まれた手は睡蓮の汗で少しだけしっとりとしてきた。平たい腹に手を添えれば、少しだけ張っている。これだけ我慢しておいて、随分と往生際が悪い。
「出さねえなら、違うもん出させるぞ。」
「ぁ、ちょ…っや、やめ、ふぅっ、ぅー…!」
さっさと終わらせろと、琥珀の大きな掌が睡蓮の性器をふにふにと刺激する。びくんと体を跳ねさせ、内股を震わした睡蓮が熱い吐息を漏らした。赤らんだ濡れた唇から垂れる唾液、その艶かしい表情を幸い琥珀には見られることはなかった。
「っあ、」
あーーーーーー!!
情けない悲鳴が響き渡って、厠の外にいたよいしょは思わず振り向いた。帰ってきて早々、連れションとかいって琥珀が入っていったのを知っているが、中は随分と楽しそうである。自分の天敵である段差さえなければ、おいらも混ざれるのになあと、よいしょは睡蓮の気も知らぬままに、羨ましそうにぼやいたのであった。
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