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背中に咲くは蘇芳の花
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あれから天嘉は、ツルバミが予想した通りに三日は外に出してもらえなかった。屋敷の外で謹慎、ということではない。蘇芳が布団という名の巣の中から、頑なに外に出すこと拒んだのだ。
大天狗の愛情は重い。そんなことを誰かに言われた様な気がする。なんというか、もう凄い。足りない天嘉の語彙力ではなんて言い表していいかわからないのだけれど、強いていうならマジでやばいだ。
「お前がこうして、俺の腕の中を寝床と決めてくれた。この満たされる気持ちに名をつけるのなら、恐らくこれが慈しむというやつだろうな。」
「天嘉、身じろぎをしてどこへいく。俺の腕からでられると思うなよ。こうしてようやく想いが通じ合ったのだ、どこぞへ行くなどつれないことを言わないでおくれ。」
「なんだ、粗相をしたからといって、そんなに泣くほどのことではない。むしろ俺の気持ちが昂るだけだぞ。お前がこの巣から出ないのなら、いくら布団を汚そうが構わんぞ。」
「飯の支度はツルバミがこちらまで持ってくる。俺は布団から出て取りに行くが、お前は出るな、その巣から出るのなら、尻を壊すくらい種をつけて、お前をいよいよ巣からは出さぬ、…よろしい、素直な良い子だなあ俺の嫁は。」
そんな具合に、三日間。
天嘉が暑くなって布団から足を出すだけで項を噛み、運ばれる食事も蘇芳が咀嚼し他ものを口移しで与えらえる。抱き込まれながら睦言を囁かれ、微睡んでくれば挿入され揺さぶられる。尿意を感じれば口付けをしながらその身を抑え込まれ、上手に排泄ができれば幼児を褒めるかのように甘やかす。
己が誰のものかを教え込む様に、口に性器を含まされるせいで、知らなくていいはずの性感帯まで知るハメになった。
雌にされた。もうとことん、蘇芳の手によって囲いこまれながら、己が蘇芳の雌であることを教え込まれたのだ。気持ちが良すぎて人は泣くというのも、エロ漫画だけではないのだということも理解した。おかげさまで日がな一日爛れた生活だ。
慎ましかった天嘉の尻の蕾も縦に割れ、陥没気味だった胸の頂も舐られるせいでふくりと立ち上がる。尻の柔肉も、感度のいい体も、そして天嘉の甘やかな香りも、蘇芳にとっては極上の体だ。
「天嘉、愛いなぁ。俺の嫁御は、こんなに幼くて、よくまともに生きてこれたものだ。」
「蘇芳…も、…やだ、勘弁して…」
「声色も、まるで鈴の音が転がるようだ。お前の吐息のひと吹きでさえ、なぜこうも翻弄されてしまうのか。」
「う、…、っ…うぐ、…っ…」
はあはあと、荒い呼吸を繰り返しながら、腕の中の天嘉が身を震わす。体が熱い、蘇芳は震える体を抱き込みながらべろりと頬を舐め上げると、ついに耐えきれなかったのか、天嘉が薄い腹を震わしながら嘔吐した。
「ぐ、うぇ…っ、は、あ、あ…」
「おやおや。」
腹をおさえ、尻から蘇芳が注ぎ込んだ精液を吹きこぼし、上からも精液混じりのものを吐き散らかす。かわいそうに嘔吐後の急速な体温低下で目眩を起こしたらしい。へたりこんだ天嘉を抱き上げると、蘇芳は胡座をかいた己の膝の上に乗せ、もたれかからせる様にして抱きこんだ。
「よしよし、悪阻か。上手に孕めて偉いなあ。腹のややこも、夫婦仲が良好で喜んでいるのだろう。」
「気持ち、悪い…」
「よいよい、存分に吐け。その分俺が腹を満たしてやるからな。」
「ちが…おま、えが…きもい…」
「おやあ、照れ隠しか天嘉。」
グロッキーな天嘉を膝に乗せながら、楽しそうにくすくすと笑う。汚れた口すら気にもせずにべろりと舐めてくる蘇芳を手で押し返しながら、天嘉は熱い腹にそっと触れる。
どうやら、俺は人間をやめたらしい。天嘉は、薄い皮膜がかかった様なぼんやりとした思考の最中に、蘇芳から言われたことを思い出していた。
妖の子を孕んだ雌の体のどこかに、夫となる妖怪の紋が浮き上がるという。
腰を捕まれ揺さぶられ、尻を揉まれながら、前後不覚になっている天嘉に向け、蘇芳はここにあると言って、丁度腰と尻の境目のわずかな空間をグッと押してきたのだ。その時の性感の強さと言ったら筆舌に尽くし難い。天嘉の雌落ちのスイッチは、そこであったと言っても過言ではない。
そんなこんなでひとまずの事後、まあインターバルであるが、その事実を信じがたいと疑った天嘉が、蘇芳に頼んでスマホで写真の撮り方を伝授し、撮影してもらった問題の一枚に、それはあった。
細長い花弁を持った菫のような小花が、鈴なりに咲き誇る。
見知らぬその花は、蘇芳の左肩から肩甲骨にかけて同じものが連なり、その見事な模様を赤々と染めている。
天嘉は、蘇芳の背中にそれがあると言うことを、知らなかった。
よくよく考えてみれば、いつも正面から襲いかかられ、風呂場でも蘇芳の背中を見てこなかったのだ。道理である。
とまあこんな具合で、己の体に刻み込まれた女印。刺青なんぞ入れた覚えもない天嘉からしてみたら、マジかよの一言である。
「悪阻が来たとなれば、青藍に見てもらわなくてはいけないな。うむ、気は乗らないが致し方あるまい。」
「蘇芳、おれ…もう雌おしまいにする…人に戻る…風呂、風呂に入りたい…」
「こんなに愛いというのにか。まだ足りぬが、まあ仕方あるまい。」
蘇芳は至極残念そうな顔をする。天嘉は蘇芳の絶倫さを如実に表した発言に慄きながらも、大人しく抱き上げられる。布団の上でも比較的にきれいな場所にその身をうつされると、蘇芳は真っ裸のまま勢いよく襖を開け放った。
清々しい朝の日差しに、その彫刻の様な見事な体を惜しげもなく晒す。そうして整えられた美しい玉砂利の白が輝く庭に、まるでゴミを放り込むかの様にして、散々に汚した布団をぶん投げる。
「あ!ちょ、まっ…」
「左右兄弟。燃やしてくれて構わない。」
「御意。」
いったいどこから現れたのか、化け行燈の兄弟がふわりと姿を表すと、天嘉の制止虚しく。火器を伴った物理的な証拠隠滅とあいなったわけである。
「ほ、ほああああああ!」
そして、異変に気がついたのだろうか。耳を聾するほどの大きな声をあげながら、まろびでるように庭に駆け込んできたのは、優秀な侍従頭でもあるツルバミであった。
「な、何をしておりますか蘇芳殿おおおおおおおお!」
「ツルバミ…朝からやかましい。天嘉が悪阻で苦しんでいるのだ。静かにできないか。」
「おはようツルバミ。」
「おはようございまする!うつけ者!蘇芳様なんて大うつけ者でございまする!もうツルバミは知りません!様ではなく、殿と扱いまする!はああ…機織り御前殿に誂えてもらったお布団があぁ…」
ツルバミは、青蛙顔をさらに青褪めさせながら、ハラハラと涙を流した。どうやら上等なものだったらしい、燃え滓になっていく布団を悲しげに見つめる。いかんせん体が小柄なせいか、小さな子供が這いつくばって泣いている様にさえ見える。
「悪い、俺が汚しちまったんだ…その、弁償できるかわかんねえけど…」
「何をおっしゃる。構いませんよ、夫婦の褥を飾るものが汚れないわけなどありますまい…。ただ蘇芳殿に腹が立っただけでございまする…。」
「お、おう…そうか…」
当の蘇芳はというと、そんなツルバミなど気にもしていないという具合に、実に呑気に影法師から天嘉の分の着替えを受け取っていた。どうやら湯浴みに行くらしい。
天嘉自身も大概マイペースなのだが、蘇芳もなんというか、安閑としている。
どうせ脱ぐのだからと、己の着物を受け取らずにいる蘇芳と、なんとしてでも体裁は取り繕ってもらうぞと言わんばかりに憤慨する几帳面な蛙とのやりとりをみて、なんだか面白くなってしいまい、小さく吹き出した。
こうしてなんとも遠回りをした二人の関係は、天嘉が折れるという形で納得し、ようやく待ちかねた新婚生活とあいなったわけである。
しかしながら、肉体言語だけは一丁前な二人であるからして、磁石の反発のように近づく蘇芳から逃げ回っていた天嘉のパーソナルスペースが急速に縮まったおかげで、時折奥座敷から嬌声じみた怒声をあげる天嘉の声が聞こえる様になったとか。
旦那として名実ともに横に侍ることが許された蘇芳が、なんともご機嫌顔で顔に紅葉を貼り付けて出勤してくるものだから、後日十六夜から直々に、夫婦の営みの余韻を残すのは士気に関わるゆえ、何卒ご容赦お頼み申し上げる。と言われた。
それを知った天嘉はというと、羞恥に見舞われ叫んでいた。いわく、マジでおこなんだけど。という新たな単語を聞いたツルバミが、なるほど実に柔らかき表現方法ですなあと感服して使いこなすものだから、天嘉の腹筋が試される日々もスタートを切ったわけである。
大天狗の愛情は重い。そんなことを誰かに言われた様な気がする。なんというか、もう凄い。足りない天嘉の語彙力ではなんて言い表していいかわからないのだけれど、強いていうならマジでやばいだ。
「お前がこうして、俺の腕の中を寝床と決めてくれた。この満たされる気持ちに名をつけるのなら、恐らくこれが慈しむというやつだろうな。」
「天嘉、身じろぎをしてどこへいく。俺の腕からでられると思うなよ。こうしてようやく想いが通じ合ったのだ、どこぞへ行くなどつれないことを言わないでおくれ。」
「なんだ、粗相をしたからといって、そんなに泣くほどのことではない。むしろ俺の気持ちが昂るだけだぞ。お前がこの巣から出ないのなら、いくら布団を汚そうが構わんぞ。」
「飯の支度はツルバミがこちらまで持ってくる。俺は布団から出て取りに行くが、お前は出るな、その巣から出るのなら、尻を壊すくらい種をつけて、お前をいよいよ巣からは出さぬ、…よろしい、素直な良い子だなあ俺の嫁は。」
そんな具合に、三日間。
天嘉が暑くなって布団から足を出すだけで項を噛み、運ばれる食事も蘇芳が咀嚼し他ものを口移しで与えらえる。抱き込まれながら睦言を囁かれ、微睡んでくれば挿入され揺さぶられる。尿意を感じれば口付けをしながらその身を抑え込まれ、上手に排泄ができれば幼児を褒めるかのように甘やかす。
己が誰のものかを教え込む様に、口に性器を含まされるせいで、知らなくていいはずの性感帯まで知るハメになった。
雌にされた。もうとことん、蘇芳の手によって囲いこまれながら、己が蘇芳の雌であることを教え込まれたのだ。気持ちが良すぎて人は泣くというのも、エロ漫画だけではないのだということも理解した。おかげさまで日がな一日爛れた生活だ。
慎ましかった天嘉の尻の蕾も縦に割れ、陥没気味だった胸の頂も舐られるせいでふくりと立ち上がる。尻の柔肉も、感度のいい体も、そして天嘉の甘やかな香りも、蘇芳にとっては極上の体だ。
「天嘉、愛いなぁ。俺の嫁御は、こんなに幼くて、よくまともに生きてこれたものだ。」
「蘇芳…も、…やだ、勘弁して…」
「声色も、まるで鈴の音が転がるようだ。お前の吐息のひと吹きでさえ、なぜこうも翻弄されてしまうのか。」
「う、…、っ…うぐ、…っ…」
はあはあと、荒い呼吸を繰り返しながら、腕の中の天嘉が身を震わす。体が熱い、蘇芳は震える体を抱き込みながらべろりと頬を舐め上げると、ついに耐えきれなかったのか、天嘉が薄い腹を震わしながら嘔吐した。
「ぐ、うぇ…っ、は、あ、あ…」
「おやおや。」
腹をおさえ、尻から蘇芳が注ぎ込んだ精液を吹きこぼし、上からも精液混じりのものを吐き散らかす。かわいそうに嘔吐後の急速な体温低下で目眩を起こしたらしい。へたりこんだ天嘉を抱き上げると、蘇芳は胡座をかいた己の膝の上に乗せ、もたれかからせる様にして抱きこんだ。
「よしよし、悪阻か。上手に孕めて偉いなあ。腹のややこも、夫婦仲が良好で喜んでいるのだろう。」
「気持ち、悪い…」
「よいよい、存分に吐け。その分俺が腹を満たしてやるからな。」
「ちが…おま、えが…きもい…」
「おやあ、照れ隠しか天嘉。」
グロッキーな天嘉を膝に乗せながら、楽しそうにくすくすと笑う。汚れた口すら気にもせずにべろりと舐めてくる蘇芳を手で押し返しながら、天嘉は熱い腹にそっと触れる。
どうやら、俺は人間をやめたらしい。天嘉は、薄い皮膜がかかった様なぼんやりとした思考の最中に、蘇芳から言われたことを思い出していた。
妖の子を孕んだ雌の体のどこかに、夫となる妖怪の紋が浮き上がるという。
腰を捕まれ揺さぶられ、尻を揉まれながら、前後不覚になっている天嘉に向け、蘇芳はここにあると言って、丁度腰と尻の境目のわずかな空間をグッと押してきたのだ。その時の性感の強さと言ったら筆舌に尽くし難い。天嘉の雌落ちのスイッチは、そこであったと言っても過言ではない。
そんなこんなでひとまずの事後、まあインターバルであるが、その事実を信じがたいと疑った天嘉が、蘇芳に頼んでスマホで写真の撮り方を伝授し、撮影してもらった問題の一枚に、それはあった。
細長い花弁を持った菫のような小花が、鈴なりに咲き誇る。
見知らぬその花は、蘇芳の左肩から肩甲骨にかけて同じものが連なり、その見事な模様を赤々と染めている。
天嘉は、蘇芳の背中にそれがあると言うことを、知らなかった。
よくよく考えてみれば、いつも正面から襲いかかられ、風呂場でも蘇芳の背中を見てこなかったのだ。道理である。
とまあこんな具合で、己の体に刻み込まれた女印。刺青なんぞ入れた覚えもない天嘉からしてみたら、マジかよの一言である。
「悪阻が来たとなれば、青藍に見てもらわなくてはいけないな。うむ、気は乗らないが致し方あるまい。」
「蘇芳、おれ…もう雌おしまいにする…人に戻る…風呂、風呂に入りたい…」
「こんなに愛いというのにか。まだ足りぬが、まあ仕方あるまい。」
蘇芳は至極残念そうな顔をする。天嘉は蘇芳の絶倫さを如実に表した発言に慄きながらも、大人しく抱き上げられる。布団の上でも比較的にきれいな場所にその身をうつされると、蘇芳は真っ裸のまま勢いよく襖を開け放った。
清々しい朝の日差しに、その彫刻の様な見事な体を惜しげもなく晒す。そうして整えられた美しい玉砂利の白が輝く庭に、まるでゴミを放り込むかの様にして、散々に汚した布団をぶん投げる。
「あ!ちょ、まっ…」
「左右兄弟。燃やしてくれて構わない。」
「御意。」
いったいどこから現れたのか、化け行燈の兄弟がふわりと姿を表すと、天嘉の制止虚しく。火器を伴った物理的な証拠隠滅とあいなったわけである。
「ほ、ほああああああ!」
そして、異変に気がついたのだろうか。耳を聾するほどの大きな声をあげながら、まろびでるように庭に駆け込んできたのは、優秀な侍従頭でもあるツルバミであった。
「な、何をしておりますか蘇芳殿おおおおおおおお!」
「ツルバミ…朝からやかましい。天嘉が悪阻で苦しんでいるのだ。静かにできないか。」
「おはようツルバミ。」
「おはようございまする!うつけ者!蘇芳様なんて大うつけ者でございまする!もうツルバミは知りません!様ではなく、殿と扱いまする!はああ…機織り御前殿に誂えてもらったお布団があぁ…」
ツルバミは、青蛙顔をさらに青褪めさせながら、ハラハラと涙を流した。どうやら上等なものだったらしい、燃え滓になっていく布団を悲しげに見つめる。いかんせん体が小柄なせいか、小さな子供が這いつくばって泣いている様にさえ見える。
「悪い、俺が汚しちまったんだ…その、弁償できるかわかんねえけど…」
「何をおっしゃる。構いませんよ、夫婦の褥を飾るものが汚れないわけなどありますまい…。ただ蘇芳殿に腹が立っただけでございまする…。」
「お、おう…そうか…」
当の蘇芳はというと、そんなツルバミなど気にもしていないという具合に、実に呑気に影法師から天嘉の分の着替えを受け取っていた。どうやら湯浴みに行くらしい。
天嘉自身も大概マイペースなのだが、蘇芳もなんというか、安閑としている。
どうせ脱ぐのだからと、己の着物を受け取らずにいる蘇芳と、なんとしてでも体裁は取り繕ってもらうぞと言わんばかりに憤慨する几帳面な蛙とのやりとりをみて、なんだか面白くなってしいまい、小さく吹き出した。
こうしてなんとも遠回りをした二人の関係は、天嘉が折れるという形で納得し、ようやく待ちかねた新婚生活とあいなったわけである。
しかしながら、肉体言語だけは一丁前な二人であるからして、磁石の反発のように近づく蘇芳から逃げ回っていた天嘉のパーソナルスペースが急速に縮まったおかげで、時折奥座敷から嬌声じみた怒声をあげる天嘉の声が聞こえる様になったとか。
旦那として名実ともに横に侍ることが許された蘇芳が、なんともご機嫌顔で顔に紅葉を貼り付けて出勤してくるものだから、後日十六夜から直々に、夫婦の営みの余韻を残すのは士気に関わるゆえ、何卒ご容赦お頼み申し上げる。と言われた。
それを知った天嘉はというと、羞恥に見舞われ叫んでいた。いわく、マジでおこなんだけど。という新たな単語を聞いたツルバミが、なるほど実に柔らかき表現方法ですなあと感服して使いこなすものだから、天嘉の腹筋が試される日々もスタートを切ったわけである。
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