上 下
199 / 273
2章

悪い顔してにやつくな!

しおりを挟む
「申し開きは。」
「ございませんっっ!!」
「俊くんはどの子が好みぃ?」
「お前は少し黙ってなさい。」

ですよね。
三浦くんたち3人が正座しながら、僕はクッションつきの椅子で足を組んで引き続きエロ本をみている。何だこの状況。

「だってさだってさぁ!?きいち童貞じゃねーっていうじゃん!?!?したらちんこ使ったことあんだべ!?なら俊くん抱けんべやって話になるじゃん!?!?」
「あぁ!?きいちお前俺の知らない間に女抱いたのか!?」
「育代育代!」
「あー‥。」

三浦くん必死の弁解である。抱けるかぁ!!トライしてみたけど抱けなかったわ!気づいたら入ってたんだぞ、ステルスちんこ舐めるな。
しかも俊くんも一瞬ムスッとした顔でこっちを見てきたけど、君とずっといていつ抱けるんですかねぇ。悲しいから言わせるなって、オナホで童貞やめたなど。そこは花を持たせてくれよ。

「大丈夫大丈夫、育代ってオナホだから。」
「あんれまぁあ…」
「この裏切りものぉおおお!!!」

息を吸うようにバラさないでくんない!?みてみろ野球部三人組の哀れみの目を!!濡れそぼった子犬を見るのと同じ目だぞ!?僕童貞じゃないもん!!育代抱いたもん!!オナホじゃないもんきっとあの時ばかりは心が宿ってたもん!!

「バカバカバカバカステルスちんこうまなみ巨根好色男子!!」
「知ってる罵倒を全部言うじゃん。」
「なんで言うんだよおお俊くんだって抱いたじゃん尻で!!!」
「そうそう。尻で抱かれたの俺。童貞こいつに捧げたんだわ。」
「えっ、ありがとう。」
「どういたしまして?」

ばかすかと背中を叩きながら文句を言う。でも俊くんの童貞は僕が奪ったらしい。先手必勝ってやつ?すまんねファンクラブの人!
三浦くんも吹田くんも木戸くんも、涙を流しながら爆笑している。ステルスちんこに相当ツボったらしい。気づいたら入ってるというパワーワードに敏感に反応したとのことだ。

「おい誰だアサシンとか言ったの。」
「俊くんのステルスちんこよりかっこいくね?」
「人を殺すちんこってなんだそれ。」
「ちんこちんこ言うなお前ら!!」
「木戸が一番ちんこっていってる。」

まじでもうバカばっかである。というか男子高校生すぎないか!?借りたエロ本も読み終わったが、残念ながら僕の愚息は大人しいままだ。ていうか、ていうか。

「思えば学の処理した時しかたってねぇ!!」
「あ゛?」
「あ、やべ。」

僕の愚息は異性の裸にも反応しませんでしたということを言いたかっただけなのに、大きな地雷を踏み抜きました本当にありがとうございました。

「違うバカバカ浮気じゃないもん!!」
「なんで学のちんこ抜く話になってんだ。」
「姫ってやっぱちいせーの?」
「おいやめろ吉崎に殺される。」

笑顔でつのってくる俊くんに腰を抱かれながら背をそらす。あわあわしながらヒート起こしたときの応急処置で!!というとなんとか納得したようだった。

「にしても姫ときいちが抜きっこかぁ…」

三浦くんがニコニコしながら想像しているようで、すぱんと丸めた頭を叩かれていた。

「でもよぉ、ネコちゃん同士がえろいことしてたら捗らねぇ?ましてやきいちと姫だろ?きれいどころと可愛いどころかぁ。」
「おいやめろ想像するな!」
「益子の番と四人でしたことあるぞ。」
「おいなんだそのドリームマッチ!!!!いくら詰めばまぜてもらえんだこのやろおおお!!」
「俊くんまじで口軽いな!?さっきのバニーボーイ発言根に持ってんのかおい!!」

木戸くんも吹田くんも童貞には刺激が強えとかいって顔を赤らめてるが、大丈夫だ。僕もそっち側だから。僕も童貞だから。ケツは非処女だが。
俊くんは言ったところで本当かどうかは想像に任せると言ってニヤリと笑い、番自慢するのは良いんだがベクトルがちがくね!?とかおもいつつ、羨ましいいと叫んている三浦くんののたうち回る様子を動画に撮っていた。やめたげてぇ!?

「冗談はさておき。」

無理やり冗談でまとめやがったこいつ。とその場にいた全員が俊くんに対しておもった。

「俺は正親に呼び出されてっから一緒に帰れないわ。車呼んどいたから、買い物行くなら校門前で拾ってもらえ。」
「え、中島さん?」
「いや、見ればわかる。」
「ふうん?」

わしゃわしゃと僕の頭を撫でると、そのままお腹も撫でる。最後にぎゅっと僕の手を握りしめたあと、晩ごはんは食ってくるから今日は実家な。と告げられる。
そのままスマホを耳に当ててなにか会話したあと、鞄を持って振り向いた。

「腹暖かくして寝ろよ。明日の朝、迎えに行くから。行ってくる。」
「はぁい、行ってらっしゃい。」

小さく頷くと優しく微笑まれる。その笑顔がやっぱり格好良くて、少しだけ体が疼く。それを押し殺して野球部3人と僕で手を振って見送ったあと、急に静かになった様子に不信感を感じて振り向くと、さっきとは違う意味で謎に悶絶していた。

「くはぁ、なんだよぉ!!!くそぉ!!俺も可愛い嫁がほしいっっ!!」
「俺も行ってくるって言いてええええ!!!かっけえええええ俊くんかっけええええ!!」
「新婚さんがよおお!!見せつけてくれるぜまったく!!かぁー!!」
「うわうるせえ!」

三人が三人、俊くんの微笑みにハートを撃ち抜かれたらしい。三浦が抱いてー!!とか叫んでるけどそれを僕が許すと思うのか。というかお前も大概がたい良いんだから絵面やばそうだなおい。

「じゃあ僕も行こっかなぁ。」
「お供しよう。下駄箱までついてくぜ。」
「やべぇ過保護じゃん。」
「きいちが転んだら俺たちの首も転がるからな。」
「なにそれこっわ。」

わははと三浦くんが豪快に笑う。周りから見たら僕が侍らしてるみたいじゃね?大丈夫これ?
結局断っても頑なに付いていくと言って聞かなかったので、お言葉に甘えることにする。

下駄箱には3年の学習棟から渡り廊下通って、1、2年のクラスがある棟へとわたらなくてはいけない。
大した距離でもないのだけど、いつもは俊くんと一緒だから近づいてこなくても、僕一人だと近付いてくる輩もいるとのことで過保護大爆発。単独行動ダメ絶対とのこと。
なのでいつもと違う、3人ガタイのいい坊主を連れて歩く様子に1、2年の生徒はぎょっとしていた。

わかるぅ、治安悪いよねごめん。
チンピラみたいな顔してるけど普通に良いやつなんだよ彼等は。

そんなことを思っていると、見知った顔の生徒が壁に寄りかかって部活仲間と話していた。あのあと二人がどうなったのか気になっていたので、三浦くんたちに言って少し待ってもらい、早速話しかけることにした。


しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

君のことなんてもう知らない

ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。 告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。 だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。 今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが… 「お前なんて知らないから」

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版) 読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

あなたの隣で初めての恋を知る

ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。 その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。 そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。 一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。 初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。 表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。

【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜

ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。 そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。 幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。 もう二度と同じ轍は踏まない。 そう決心したアリスの戦いが始まる。

【完結】選ばれない僕の生きる道

谷絵 ちぐり
BL
三度、婚約解消された僕。 選ばれない僕が幸せを選ぶ話。 ※地名などは架空(と作者が思ってる)のものです ※設定は独自のものです

処理中です...