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2章
春はあげぽよ
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「ぶはっ!!それはだめだ!!絶対に二人が悪い!!」
「いや、入口はきいちだからな!?」
「それを言うならシチュエーションを提案したのは俊くん出しぃ?」
「というか、学校で何してんのふたりとも…」
忽那さんが紙コップにお茶を入れながら配ってくれる。遠慮していたのは途中までで、いざ花見が始まってしまえば騒がしくならないわけがなかった。
「でも柿畠くん可哀想だなぁ、なんでソファーとかでしなかったんだよ。」
「いや、無理だろ。入れたらそこから動けない。」
「入れる前に移動しろよ!!」
末永くんも清潔感のある身なりで男らしいのに真顔で下ねたを言う。益子もそのギャップが相当にツボらしく、下世話な話で盛り上がりながら的確なツッコミをしていた。
というか、生徒会室でのえっちのあとに末永くんのスマホに柿畠くんから連絡がきたらしい。なんでも、誰もいないはずの生徒会室で女のすすり泣く声が聞こえる!!!と。
僕は知らなかったが、生徒会の生徒は毎回この時期に開かずの生徒会室で浮かばれない霊が出るということを先代の先輩方から教わるらしく、末永くんも学も、その嘘くさい超常現象を全く信じていなかったということだ。
「不思議なことにそれを聞くのは毎回生徒会関係者でな、その真相は結局の所謎のままらしい。」
「末永くんもきいたの?」
「ああ、同じ時期だったか。」
それってつまり、そういうことなんじゃねと思ったけど言わないでおこう。学も末永くんも、今年も出たんだなぁ…としみじみしているが、この二人以外はなんとなく気づいている。益子も俊くんも、あー‥みたいな顔をしていた。
卒業式後の生徒会室は、関係者によるヤり場なんじゃないかと。
しかも当事者は気づかないまま学校の七不思議とかしてるパターン!!こっわ!!!ちなみに他には1段増える階段や、視聴覚室の悪魔、夜中に走る人体模型や図書室のよしおくん、深夜に校庭を走り回る呻き爺などがあるらしい。
なんだか深読みしてはいけないきがする。というかそんなのあったなんて知らなかったな。
忽那さんが入れてくれたお茶を飲みながら、しおしおのポテトをもくりとたべる。悪阻で迷惑をかけないようにほそぼそとしたものを摘んでいると、末永くんがじぃっと僕を見つめてきた。
「…目立たないな。」
「あ、お腹?うん、まあまだそこまでかなぁ。」
「体調は?」
「元気、悪くなったら寝かせてもらうね。」
以外にも僕の体を心配してくれたようです。体調悪くなれば茶室に横になればいいと言われたけど、逆に寝つけなさそうだなぁと思う。すごいんだわ、掛け軸やら一輪挿しやら、雰囲気がね?
「まあ、今日は朝から元気だもんな?」
「うん、バナナとヨーグルト全部食った!」
「偉い。その調子で頼む。」
ブイ!とピースをして笑うと、俊くんは満足そうに笑う。ここんところ全然食べられてなかったので心配してくれていたのだ。ただ調子乗ってるとすぐに吐く気しかしないので軽めのものしかいかないが。
俊くんがもそもそ食べているピザをじっと見ていると、メインか耳かと指を刺されたのでピザの耳にかじりつく。最近どうもトマトソースがだめなのだ。
ピザの耳にチーズが入っているもののようで、そのまま美味しくいただけた。
「見事にトマトソースだけ残しやがる。」
「丸めて食べるんだ俊くん!」
「もはやタコスっぽい。」
耳以外の部分を手に持った俊くんはくるくると器用に巻くと春巻きみたいに持って食べる。
「妊娠してから味覚変わった?」
「うーん、トマト系たべれなくなったなあ。」
「他には?」
「貝もむり!あれはね、食べると上から全部出る。」
食の好みが変わったと気づいたのはこの間で、しじみの味噌汁のように磯の香りが強いものや、トマトの歯ざわりなどで鳥肌が立つようになってしまい、それからはもう食べられなくなってしまったのだ。
忽那さんは興味深く聞くと、なるほどなぁ…と納得したようだった。
「なぁなぁ、甘いもんは?たべれんの?」
「食べられる、生クリーム以外なら!」
「ならこれ食えよ、桜餅!」
学が出してくれたのはパックにはいった桜餅で、塩漬けされた桜の葉とのコントラストが春を感じさせてくれる。
和菓子や練りきりなど、なかなか買ってまで食べない上品なお菓子がピザやらバーガー、ナゲットを掻き分けたスペースにドカンと置かれる。
和洋ごった煮の宴も、このお菓子の登場で宴もたけなわ、末永くんが茶でも立てるかと立ち上がろうとするのをみんなで引き止めた。
一介の高校生に茶道の作法なんて期待されても困るのだ。
「む、和菓子にはお抹茶だろう。」
「まだ飲み物たくさんあるから!!」
すかさず忽那さんは緑茶をコップに注いで末永くんに渡す。和菓子にお茶を立てるならこれを飲みきってからとの言い分だ。2リットルのペットボトル2本分のお茶はまだまだ減りそうにない。やっぱりみんな炭酸が好きなのだ。
「んー!!しろあん…練りきり美味しい…」
「桜餅全部食えるか?」
「俊くんとはんぶんこするー」
「いいねー、皆いい顔してるぜ。」
「うっわ頬張ってるとこ撮るなよ!」
「学は頬張っててもかわいい。」
茶室の縁側に座り、益子はカメラを構え、俊くんはビニールシートを敷いた石畳の上にあぐらをかきながら末永くんとくだらない話をする。ぼくは学と忽那さんの3人で互いのアルファのしょーもない話をしていた。
末永くんちでお花見するってよ!と聞いたときは街路樹のような桜のイメージだったけれど、ここからみえる桜はそれはもう見事だった。
「あ、」
ぽろりと鳥がおとした桜の花が忽那さんの頭に乗る。見上げればふわふわと桜の花びらが風に遊ばれ舞い散りながら、僕らのささやかな宴を見下ろしていた。
「いや、入口はきいちだからな!?」
「それを言うならシチュエーションを提案したのは俊くん出しぃ?」
「というか、学校で何してんのふたりとも…」
忽那さんが紙コップにお茶を入れながら配ってくれる。遠慮していたのは途中までで、いざ花見が始まってしまえば騒がしくならないわけがなかった。
「でも柿畠くん可哀想だなぁ、なんでソファーとかでしなかったんだよ。」
「いや、無理だろ。入れたらそこから動けない。」
「入れる前に移動しろよ!!」
末永くんも清潔感のある身なりで男らしいのに真顔で下ねたを言う。益子もそのギャップが相当にツボらしく、下世話な話で盛り上がりながら的確なツッコミをしていた。
というか、生徒会室でのえっちのあとに末永くんのスマホに柿畠くんから連絡がきたらしい。なんでも、誰もいないはずの生徒会室で女のすすり泣く声が聞こえる!!!と。
僕は知らなかったが、生徒会の生徒は毎回この時期に開かずの生徒会室で浮かばれない霊が出るということを先代の先輩方から教わるらしく、末永くんも学も、その嘘くさい超常現象を全く信じていなかったということだ。
「不思議なことにそれを聞くのは毎回生徒会関係者でな、その真相は結局の所謎のままらしい。」
「末永くんもきいたの?」
「ああ、同じ時期だったか。」
それってつまり、そういうことなんじゃねと思ったけど言わないでおこう。学も末永くんも、今年も出たんだなぁ…としみじみしているが、この二人以外はなんとなく気づいている。益子も俊くんも、あー‥みたいな顔をしていた。
卒業式後の生徒会室は、関係者によるヤり場なんじゃないかと。
しかも当事者は気づかないまま学校の七不思議とかしてるパターン!!こっわ!!!ちなみに他には1段増える階段や、視聴覚室の悪魔、夜中に走る人体模型や図書室のよしおくん、深夜に校庭を走り回る呻き爺などがあるらしい。
なんだか深読みしてはいけないきがする。というかそんなのあったなんて知らなかったな。
忽那さんが入れてくれたお茶を飲みながら、しおしおのポテトをもくりとたべる。悪阻で迷惑をかけないようにほそぼそとしたものを摘んでいると、末永くんがじぃっと僕を見つめてきた。
「…目立たないな。」
「あ、お腹?うん、まあまだそこまでかなぁ。」
「体調は?」
「元気、悪くなったら寝かせてもらうね。」
以外にも僕の体を心配してくれたようです。体調悪くなれば茶室に横になればいいと言われたけど、逆に寝つけなさそうだなぁと思う。すごいんだわ、掛け軸やら一輪挿しやら、雰囲気がね?
「まあ、今日は朝から元気だもんな?」
「うん、バナナとヨーグルト全部食った!」
「偉い。その調子で頼む。」
ブイ!とピースをして笑うと、俊くんは満足そうに笑う。ここんところ全然食べられてなかったので心配してくれていたのだ。ただ調子乗ってるとすぐに吐く気しかしないので軽めのものしかいかないが。
俊くんがもそもそ食べているピザをじっと見ていると、メインか耳かと指を刺されたのでピザの耳にかじりつく。最近どうもトマトソースがだめなのだ。
ピザの耳にチーズが入っているもののようで、そのまま美味しくいただけた。
「見事にトマトソースだけ残しやがる。」
「丸めて食べるんだ俊くん!」
「もはやタコスっぽい。」
耳以外の部分を手に持った俊くんはくるくると器用に巻くと春巻きみたいに持って食べる。
「妊娠してから味覚変わった?」
「うーん、トマト系たべれなくなったなあ。」
「他には?」
「貝もむり!あれはね、食べると上から全部出る。」
食の好みが変わったと気づいたのはこの間で、しじみの味噌汁のように磯の香りが強いものや、トマトの歯ざわりなどで鳥肌が立つようになってしまい、それからはもう食べられなくなってしまったのだ。
忽那さんは興味深く聞くと、なるほどなぁ…と納得したようだった。
「なぁなぁ、甘いもんは?たべれんの?」
「食べられる、生クリーム以外なら!」
「ならこれ食えよ、桜餅!」
学が出してくれたのはパックにはいった桜餅で、塩漬けされた桜の葉とのコントラストが春を感じさせてくれる。
和菓子や練りきりなど、なかなか買ってまで食べない上品なお菓子がピザやらバーガー、ナゲットを掻き分けたスペースにドカンと置かれる。
和洋ごった煮の宴も、このお菓子の登場で宴もたけなわ、末永くんが茶でも立てるかと立ち上がろうとするのをみんなで引き止めた。
一介の高校生に茶道の作法なんて期待されても困るのだ。
「む、和菓子にはお抹茶だろう。」
「まだ飲み物たくさんあるから!!」
すかさず忽那さんは緑茶をコップに注いで末永くんに渡す。和菓子にお茶を立てるならこれを飲みきってからとの言い分だ。2リットルのペットボトル2本分のお茶はまだまだ減りそうにない。やっぱりみんな炭酸が好きなのだ。
「んー!!しろあん…練りきり美味しい…」
「桜餅全部食えるか?」
「俊くんとはんぶんこするー」
「いいねー、皆いい顔してるぜ。」
「うっわ頬張ってるとこ撮るなよ!」
「学は頬張っててもかわいい。」
茶室の縁側に座り、益子はカメラを構え、俊くんはビニールシートを敷いた石畳の上にあぐらをかきながら末永くんとくだらない話をする。ぼくは学と忽那さんの3人で互いのアルファのしょーもない話をしていた。
末永くんちでお花見するってよ!と聞いたときは街路樹のような桜のイメージだったけれど、ここからみえる桜はそれはもう見事だった。
「あ、」
ぽろりと鳥がおとした桜の花が忽那さんの頭に乗る。見上げればふわふわと桜の花びらが風に遊ばれ舞い散りながら、僕らのささやかな宴を見下ろしていた。
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