なんだか泣きたくなってきた

だいきち

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痛くしないで *

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室内は夜景がきれいに見える部屋だった。きいちがいうには、なかなか取りづらいホテルらしく内装もデザイナーズと言っても過言では無いほどに洒落たものだった。予約した本人である末永はシャワーを浴びており、学はその水が跳ね返る音を緊張した面持ちで聴いていた。

修学旅行先で、部屋を同じにした時の事だった。
実はあの時、キスから先へ行こうとしたのだが、何しろ未経験だ。結局どう始めていいのか分からず、仲良く手をつないで寝て終わりという情けない形で同衾を終えていた。
周りの同級生達は初体験をすでに済ませていたため、自分がひどく遅れているのではないかという焦りもあった。
末永はとても優しく、俺達のペースで行こうと言ってくれたのだが、同衾した日の夜にこっそりとトイレにいく背中を見てしまい、我慢をさせたことに対する申し訳無さを感じていた。

だから、今日セックスをするというのは学から提案した。
イベント後のノリと勢いで、流されるように自分自身で仕向けてしまえば、もう逃げられないだろうと追い込んでみたのだ。

ふかふかのベッドに手を滑らせる。程よい弾力のそれは有名なメーカーの物のようで、たった一泊しか止まらないというのに、力の入れようがすごい。

どきどきしているせいで、その手を持ち上げると小さく震えていた。

「学、」
「あっ、」

後ろからその手を包むかのように、末永の手が優しく重なる。後から男らしい腕が伸びてきて抱き込まれると、情けないことにびくりと体を揺らしてしまった。

「すまん、驚かせたか?」
「べつに、…考え事してただけだ…」

このドキドキを知られてしまうんじゃないだろうか。そんなふうに思ってしまう位、その距離がいつもより近い。ぎしりと音がして、末永もベッドに座る。修学旅行先では向かい合わせで正座をしたが、今は、横並びだ。

「怖いか?」
「こ、怖くねぇ!これは、武者震いだ!」
「もし、無理しているようなら…俺は」
「いやだ!」

末永の声を遮るように、大きな声で否定した。その勢いに驚いたのか、キョトンとした顔で末永が見つめてくる。学の耳はじわじわ赤くなり、末永の男らしい血管の浮く無骨な手をそっと持ち上げる。

「いやだ…俺の勇気をお前が潰すなよ…」
「す、まん…」

そのまま胸元にその手を押し付ける。胸の高鳴りで小さく震える学の鼓動が、その大きな手を通して末永にも伝わった。ごくりと生唾を飲み込んだのは、どちらだったのか。

学が首まで赤く染め上げている。鼓動で震えてしまうような小さな体で、俺を受け入れようとしてくれている。末永は、あのとき唇に触れただけで充分だったのに、すべてを許してくれようとする健気な勇気に、湧き上がる何かを感じた。それを口にするには語彙が足りない。攻めて伝わるように、その顎をそっと持ち上げると唇を重ねた。

「っ、ふ…」
「すまん…、っ…」
「ぁ、んむ…っ…」
「堪らなくなる…」

まるで飲み込まれるかのような深い口付けだ。学の薄い舌を何度も絡め取り、互いの唾液が混じり合う。くちくちという恥ずかしい水音に混じり、何かを堪えるような末永の呟きが聞こえた。
そっか、こいつも緊張してるのか。学が口付けに翻弄されるなか、いつも余裕の顔をしている生徒会長様が自分にだけ見せる表情が嬉しくて、その頭を撫でるように触れた。

「ふ、ぁ…っ…」
「くそ、煽るな…!」
「んぁっ…わ、っ!」

ちゅ、と音を立てて離れた唇を、追いかけるように無意識に舌を出してしまったのがいけなかったのか、気がつけばその体をベッドに押し倒されていた。
あのときと同じ光景だ。白い天井を背景に、見下ろしてくる俺のアルファ。堪らなくなったのは、お前だけじゃない。

「洋平、…抱いてくれ。」
「今度は、止まれないからな。」
「ひぁ、っ…」

学が両腕を広げると、末永は体をその腕の中に入れるようにして首筋に口付けた。細い腕が縋るように背中に回ることがこんなに興奮するなんて。
服の裾から、素肌に手を押し付けるようにしながら胸元まで辿るようになであげると、人差し指と中指で挟むようにその胸の突起を刺激した。
ちいさく身を震わせながら末永の口付けに答え、胸の愛撫に素直に感じる。なにもない薄い板のような胸のはずなのに、揉まれたり刺激されたりするだけで下着の中は濡れてしまう。唇が離れた隙に、息を整えるべく深呼吸をしようとしたとき、ぬめりと熱い舌がその突起を包んだ。

「んぁ、っ!ぁっ…?…よう、へ…っ…」
「こうすると、気持ちいい?」
「ひぅ、っ…はずか、し…ぁン…っ」
「はぁ、っ…くそ、かわいい…」

その厚い唇で優しく見せつけるようにして突起を挟み、舐めあげ、甘噛みをされる。擦り合わせていた膝は、気づけば末永の手によって開かれていた。足の間に末永を挟みながら、はしたなく感じる。もっと気持ちよくしてほしい。そんな思いで見つめていたのが伝わったのか、学の下着はずらされ、露出した性器を握りこんだその手が高めるように擦りあげた。

「んぁ、や、ぁっ…そぇ、きも…ち…よぅへ…ぉと…やめっ……」
「腰揺れてる…可愛いな…こんな、先走りで濡らして…」

末永の目は心底愛おしそうに学の乱れる姿を捕らえる。ぬるぬると優しく手を擦り動かしながら、口端に滲む唾液を舐め取るように何度もその薄い唇を犯した。

「ここ、こんなに零している…気持ちいいか?」
「き、もち…ふぁ、っ…も、でぅ…っ…」

ゆるゆると末永の手の中で虐められている性器を、腰を揺らめかせながら見やる。
普段自慰をするときでさえ、こんなにとろけるような快感はなかった。人にやってもらうのは、こんなにも気持ちがいいのか。
末永の手が、先端を握り込んで手首をひねるように摩擦をしてくる。濡れそぼったことが動きの助けをして、強い刺激に声もなく射精した。

「上手にイけたな、」
「は、はっ…ひ、っ…ん、はぁ…っ」

握り込んだ末永の手の隙間から、ぽたりと垂れる白濁を見ながら何度も荒い呼吸を繰り返す。眼の前がチカチカとしていて、全身が気だるい。べろりと熱い舌が汚れた腹に這わされたことで、学の意識が強制的に戻される。
そんなとこ、舐めないでほしい。戦慄く唇ではその言葉を紡ぐこともできない。涙目で見つめてくる姿に、次の快感を期待するような揺らぎを感じた末永は、学の精液を塗りつけるようにして尻のあわいに指を忍ばせた。
ひくん、と無骨な指が触れた瞬間にすぼまったそこに、恥ずかしそうにしながら顔を背けられる。この反応はだめだ。可愛いすぎて自制が効かない。末永の片手は気持ちとは裏腹にしっかりと尻を割り開き、甘やかすように何度もそこに精液を塗り付けた。

「っぁ…そこ、…いれ、る…?」
「入れる、けど。しっかり慣らすから大丈夫だ。」
「痛くしないでぇ…っ…」
「…善処する、が…あまり可愛く言わないでくれ…」

ぬくりと指でマッサージをすると、素直な底は少しずつ綻ぶ。うまく力が抜けている証だ。学は緊張をすると、少しだけ幼くなるらしい。期待と不安を抱いた瞳で泣き言を言うが、その体は実に素直だった。

ゆっくりと入った中指で蕾の中をぐるりと撫でる。ひくんと震えるこぶりな性器と薄い腹がなんとも可愛く、開いた脚に口付けを落としながら一本、二本とその指を増やしていった。
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