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青春の香り

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というかオナホはともかく俊くんとイチャイチャするためにもなんとしてでもテストは無事回避したい!!!!

「あわばばば…」

せっかくテスト期間で早く帰れるのに、残って補修とか地獄すぎるだろ!と意気込んで本日の数学の授業は真面目に取り組んでみたのだが、皆様のご期待通りで無事死亡しました、僕でーす。

「このままじゃ俊くんに会えなくなっちゃうじゃん…」
「やばい、副会長が赤点とかクソ洒落にならん…」

まじで自分の出来なさ加減にしょんもりしたのだが、同じく英語の授業を前回早退して出られなかった 学も僕と同じ顔色になっていた。

…これはもはや助け合わねばならないだろう。と、いうことで、現在は気を取り直して赤点回避の為に学にご教授頂いてる真っ最中である。なんだよぉ平均変化率とか微分係数とか極限値とか。こんなの絶対社会に出てやらないでしょ!?
小学生の鶴亀算とか文章問題ですらポカーンな僕ができる気がしない。当てはめる数式だって忘れたわ。
「もはやわからん。なんでf(x)をイコールにして2x2乗-3とかよんでもわからん。」
「お前英語得意だったろ?そこにも使われてるじゃんアルファベット」
「それとこれとは違うんですぅ!!」

なんでx=2とx=4までの平均変化率をもとめよって社会に出て一体何の役に立つのか!!xの二乗だってわけわかんないよね、まさかxも2が乗っかってくる未来なんて想像してなかったに違いない。
括弧の中にあるxに数字を当てはめるだけとか言ってるけども、当てはめるだけならできるんだよ!!そこから計算となると話は別なんだよ!!

「平均なんて決めるからいけないんだ!!決めなければみんな個性豊かに過ごしていけるに違いないのに。」
「いや、普通が一番とか言ってたきいちがそれをいうな。」
「つまり平均変化率ってなんだよ!!!」
「直線で結んだときの点と点の傾き?」
「僕がグラフ嫌いなの知ってんだろぉ!」

まじであれである。頭がフットーしそうだよおっってやつだ。学はなんでわからないのかがわからないといった顔だ。ちなみに益子は逃げた。あいつも数学赤点組なのに逃げ足だけは早いのである。

「学くん数学はグラフとかそこらへん以外の、辛うじて僕でも応えが出せるところをやらないかい。」
「苦手をそのままにしていると逃げ癖つくぞ。いいのかそんな大人になっても。」
「ド正論!!」

うぐぐと唸りながらノートに向かう。学が書いてくれた公式や解説がもはや錬金術の呪文のように見えてくる。ちなみになんで僕が今必死こいて勉強してるかというとテストが近いからなのだ。

そしてテストで赤点取ると補修があるんです!!そしたら俊くんとしっぽりできる時間も減るじゃん
…。個人的には育代の件もあるけど普通にいちゃいちゃしたいのである。
僕の死にそうな顔での懇願を見かねて白羽の矢が立った学はめちゃめちゃ数学が得意な理数系で、僕はもっぱら文系なのである。お互いの苦手科目のテストが近いということで、結託してお互いの得意分野を教え合うという青春ぽいやつをやってるのだ。

「じゃあ、逆に聞くけどきいちの出来る数学は?」
「3桁までの筆記の掛け算割り算!」
「小学生かよ!!良くそれで留年しなかったな!」
「授業態度でギリギリの2!他でカバーしてるしね。」

あとテストのとき名前めちゃくちゃ綺麗に書いてる。名前で0.5点とれるんだぜ!?あとはテスト時間いっぱい使って計算とかするけど後半からの記憶がない。ただ努力は認められているらしい。

解くセンスが無いだけだよと数学の紀子先生にフォローされたけど、解くセンスないと言うことは数学は全てアウトなのでは…と口まででかけたけどやめた。これを言ったらただでさえ苦し紛れにフォローしてくれてる先生の語彙まで奪ってしまいそうだったからだ。

「まぁ、ここと、ここの公式だけ頭に入れておけばいいよ。あとはカッコの中の数字を置き換えて、単純計算だから。」
「ちなみに因数分解もにがてなんですけど!」
「本末転倒じゃねぇか…」

まるで怖いことを聞いたみたいな顔をされて大変不本意です。俊くんに教えてもらおうかと思ったけど、なんか最近忙しそうだしやめた、犠牲になるのは一人だけでいい。
とにかく僕は学の屍を超えていかなきゃいけないのだ。

「おいなんか失礼なこと思ってんだろ…」
「おもってないよ!!」

とにかくあと3日で死ぬ気で覚えるのだ!それはまあお家でやるとして、次は学である。

「じゃあ次は英語なわけですけど。」
「外国行かないから英語必要ないと思うんだよなぁ。」
「はいはいやるよ分詞構文!ノート開いて。」
「急に水を得た魚のようになってやがる。」

学が辟易とした顔でノートを開く。英語のノートのはずなのに何故か音楽の五線譜が引かれていた。これは突っ込むべきなのか、たしかに似ているのだけど、書けないわけでもないんだけども。

「現在分詞がing、過去分詞がedだから、これを文章に混ぜるだけだよ。」
「つまり?」
「動詞に分詞をつければ接続詞のかわりになる。主語が同じなら主語も消して、ほれ。」
「reading this comic is important?」
「発音だけはめっちゃいいやつ!!」

めちゃくちゃドヤ顔で見上げてくるけど読み仮名ふってんの見えてんぞ!!上目遣いかわゆ。いかん、ここは学の顔に騙されてはいかんのである。
でもなんだかんだ学は僕より飲み込みが早い。苦手苦手と言っている割には問題なさそうだ。

「なんか割と平気そうじゃん?むしろ僕の数学がやばそう。」
「こないだノート借りたんだよ。そしたらきいちと似たような事かいてあってさー。」
「へぇー、僕ら以外に貸し借りできる人ができてよかったねぇ!」
「さり気なく失礼だなおい!…まあ末永が貸してくれてさ。」

学の口から出た人物に、おや?と思った。そういえば末永が学のこと気になっていると、益子あたりが言っていた気がする。これってもしかして、もしかするのだろうか。なんだか青春の匂いがぷんぷんするぞ!
学はもくもくと問題を説いていく。時々つまる所もあるけれど、わからないところは後回しにしてできるところから進めていく。

「末永くんも同じ生徒会だし、僕がいないときとか教えてもらいなよ。」
「んー、まぁ、気が向いたら。」
「おっふ、なるほどなぁ。」

まだまだ先は長い気がした。でもそっけない顔してるけど僕はしっかりみてたよ。動揺して学が動揺して芯を折ったの。
でもまぁこればっかりはお互いが頑張らないと始まらないので、僕はおじいちゃんのような目で温かく見守ることにする。

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