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名無し現パロ闇鍋。倫理が働かない
どうやら雨が降るようだ エルナナ現パロ
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※現代パロディ。思いつきのため1話完結。
汚いお仕事をするエルマー✕お金で買われたナナシ
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窓のわずかな隙間からタバコの煙が逃げていく。薄暗い部屋の中。太陽を浴びて焼けてしまった畳の上に、につかわしくない大きなベットとラタンのサイドテーブル。ここに住む男は、部屋の雰囲気に家具を合わせるということをしないらしい。
ステンレス製のシンクに水が落ちる音がして、合わせるかのようにタバコの火種を灰皿で潰す。
「くぁ……あーー……あ、あっ」
獣のように鋭い犬歯を剥き出しにして、大きなあくびをした。この国には珍しい赤毛を伸ばした男は、作り物のように整った顔に眠気を宿したままだ。大きなクッションを三つ重ねて、背もたれにしてタバコをふかしていたらしい。節張った指先が窓の隙間にのばされて、換気の体裁だけを整えた隙間を閉じる。
外はいい天気だ。小さな子供の声が聞こえる。今は朝の八時で、真っ当に活動している人間なら準備を終えている時間だろう。平日の爽やかな朝のはずなのに、この部屋の空気は男の醸し出す雰囲気のせいでやけに気だるげだ。
寝具の上で、鍛え上げられた体を惜しげもなく晒しているのが一因でもある。
「朝だぞー。いいのかテレビは」
「ぅんぅ……」
一人分にしてはやけに膨らんだ寝具の山の頂を、慣れたようにポンと叩く。男の体を敷布団がわりにしていたらしい。上掛けを引きずるようにもぞもぞと姿を現したのは、雪のように白い青年だった。
「あと五分でパクパクさんやるぞナナシ」
「うぅうぅ……んん……」
「今日は一段とぐずってんなあ」
見た目からは想像もできないほど柔らかな手つきで、ナナシと呼ばれた青年の両頬を包む。ナナシは、紋白蝶のように長いまつ毛に縁取られた金色で男を捉えると、桜色の唇をむにゅんと動かした。
「えぅ、まあ……ふんん……」
「おはよ」
「ぉはよぉ……」
「よいせっと。おらおきろぉ」
ナナシの両脇に腕を差し込んで、ずるりと引きずり起こす。エルマーの足の間に体をおさめ、まるでナナシはエルマーの掛け布団代わりのようだ。筋肉のない細い腕が、求めるように首へと絡みつく。定位置に収まるように首筋にグリグリと頭を押し付けるのは、ナナシのいつもの癖であった。
「ボロリはいいのか」
「みぅ……」
「今日はパクパクさんとパンケーキ焼こうだってよ」
「ぱんすき……」
ナナシの薄い体は、パジャマ代わりだろう。エルマーのシャツを一枚着ているだけだった。二人で一着のパジャマを分け合うような生活は、エルマーがナナシを引き取ってから今年で五年目でもあった。
中古のテレビの電源がついて、幼児向け番組の間抜けな音楽が室内に広がる。赤と白の奇抜なストライプ柄の服を着た道化師と、かばの着ぐるみをきた大人が登場すると、ようやくナナシの目も覚めてきたようだった。
「こないだはね、たまごやくするのだったよ」
「お前が電子レンジだめにしたやつ?」
「ちんしたらはやいとおもた」
「怪我しねえでよかったよまじで」
柔らかな猫毛に口付ける。くすぐったかったのか、くふんと笑うナナシは、歳の割には口調も幼い。
体と心の成長が、人よりも随分とのんびりなのだ。エルマーはそれを知っていて、こうして一緒に住んでいる。性別は互いに男だ。けれど、二人は素肌で体温を分け合う爛れた関係を結んでいる。
親に売られたナナシを、エルマーが汚いことをして稼いだ金で買ったのだ。だから、ナナシの体はエルマーのもの。ナナシが十八歳になるまでの三年間は大人として我慢をしたが、時計の針が0時を指し示した瞬間にナナシを犯した。とはいっても、互いに惹かれあっていたから、エルマーは今もこうして臭い飯を食わなくて済んでいる。
「きょう、おそといく?」
「行きてえの?」
「ううん、えるがいく?」
「しばらくは行かねえよ。昨日食料買いだめしたろ?」
「うん」
ボロリがパクパクさんの顔をヘラで叩こうとするシーンは、エルマーによって遮られる。柔らかな頬に手を添えるようにして、ナナシの目線は強制的に逸らされたのだ。
「ん」
「ちゅぅ……?」
「だけで終わるかねえ」
「ナナシまだてれびみたい」
「いいぜ、勝手に遊ぶから」
柔らかな唇に吸い付く。エルマーが動いたせいで、密着していた肌に隙間ができた。ナナシの体がくっついていた部分だけ、じんわりと汗が滲んでいた。脂肪の少ないエルマーの皮膚の内側で、体温に馴染んだ筋肉が体勢に合わせて動く。エルマーが温めていたクッションに収まったのは、ナナシだ。体の側面から、背中全体へとエルマーの体温が移動する。薄い腹を引き寄せるように背後から抱きしめられて、ナナシは硬い腕にくっついた。
「おっぱい触っていいか」
「おっぱいないもん」
「男の子なのに、十分やわらけえよ。肉はねえけど」
「サジいうした。ナナシひんにゅって」
「いいんだよ、伸び代しかねえだろう」
「のび……?」
ナナシが身の危険を感じて閉じ込めていた腕も、あっけなく逃げ出した。いつもならナナシの好きにさせているところだが、一度欲に火が灯るとナナシを置いてけぼりにして行為を進める。
我慢を効かせろという方が無理なのだ。何せ、この上等な体に味をしめた。ハマれば戻れないとわかっていたはずなのに。エルマーにとって、ナナシは大切でもあり麻薬でもある。
「ぁふ……っ」
硬い指先が、やわらかな頂を潰した。胸の粒は人差し指と中指に挟まれるようにして、手のひら全体でない胸を刺激される。
男なのに、エルマーがおっぱいとふざけていうせいで、ナナシの体は雌にされたのだ。白い肌が上気する。お揃いの金色の瞳は濡れたまま、しかし反抗心からかテレビに向けられている。画面ではボロリの鼻っ面をパクパクさんがフライ返しで殴っている。いつもなら、ナナシが楽しそうに笑っているシーンのはずだ。しかし、今日に限って内容が頭に入ってこない。
「きゅ、……っぅ、っ」
微かな水音が聞こえて、滑りを纏った熱がうなじを舐め上げた。細い首に、につかわしくない茶色く汚れた傷。それは、ナナシを初めて抱いた日に、エルマーが噛み付いてできた傷だ。
そこを、愛おしそうに舐るのが合図だ。今朝は、挿入までするぞという大人の合図。
「は、ぁ、ぁう……え、えぅ……っ」
「んー?」
「お、おしり……ぁ、あた、ひゃ……っ」
「当ててんだよ」
「こし、ゃだあ……」
「の割には押し付けてやがる」
くつくつと笑う。うなじと胸元を弄ってやれば、ナナシの体は本人の意思よりも従順に変化する。小さな尻に、下着はついていない。ナナシが下着を履く時は外に出る時のみだ。この部屋にいる以上、ナナシの人権はエルマーの手の中だ。
パジャマの布をしっかりと押し上げた性器が、ナナシの柔らかな肉を摩擦するように押し付けられる。気がつけばエルマーの手の一つはナナシの薄い腹を覆い、細い腰の逃げ場を奪っていた。
「ぁ、ぁう……っ……」
「まだパクパクさんみんのかあ?」
「ふ、んぅ……っ」
「体あっちいなあ……、汗かいてら」
「ひゃ、や、やーーっ」
真っ赤に染まったナナシの耳の裏に鼻先を押し付けて、エルマーは甘く囁いた。赤ちゃんのように、魅力的な匂いがする。エルマーの欲を上手に煽る、ナナシの体が準備をし始めた証拠だ。
犬歯が耳の軟骨を甘く喰む。薄い腹を折っていた無骨な指先が、たち上がったナナシの性器の先端に触れる。ちゅく、とはしたない音がして、先走りを利用した指先で摩擦する。たったそれだけで、濡れやすいナナシの体はトプトプと欲を溢れさせる。
「こんなに、大人の体つきしてんのに」
「あ、ぁあ、は……ぅ……っ……」
「精液出すのだけはヘッタクソだよなあ……」
「ご、ぇんぁさ……っ」
「あー……可愛い」
漏れ出る先走りを手で受け止める。華奢な体を後ろから抱き抱えたまま、エルマーはナナシの袋を手首で持ち上げるように蕾に触れた。
可愛い。芯のないナナシの性器が、ぴとりとエルマーの手首に甘えている。とろとろとしたぬかるみが、エルマーの手に走る太い血管をなぞる気配がした。先走りを纏った指先が、縦に割れてしまった蕾に触れる。度重なる摩擦で捲れ上がってしまった縁が、ちゅうちゅうと口付けるように指先に媚を売る。
「俺が仕上げた……」
「ぅ……?」
「エロくて最高、ってことだあ」
「んひゃ、ぅ……っ」
筋肉質な腕が、ナナシの膝裏に回される。片足を持ち上げたかと思えば、背もたれに甘んじていたエルマーが腹筋を使って起き上がる。長い足の間に背中を預け、ナナシはテレビの前へとだらしなく足を広げる体勢になっていた。目の前には、くたりとした性器とエルマーの指を飲み込んだ蕾。
いつもの体勢なら、エルマーの指を飲み込んでいく瞬間なんて見ることもない。ナナシの金色の瞳に、ゆっくりと腹の中に沈んでいく指先が映る。背中に感じるのは、きっとエルマーの性器だろう。固くて熱い存在感が、ナナシの鼓動を一段階跳ね上げた。
「ぁ、ゃら……ひゃ、あ、あっ」
「中指の第二関節まで入れて、折り曲げる」
「きゃ、ぅっ」
「ここが、お前の喜ぶところなあ」
エルマーの声に、意地悪な愉悦が混じる。ナナシの目の前で、蕾に差し込まれた指はあっという間に三本に増やされた。ナナシの体を、どうやってエルマーが準備していくのかを教えられているようだ。指は激しく動くこともなく、三本は動きをずらすようにして内壁を蹂躙する。
桃色だった唇が赤く色づく頃が食べ頃だ。エルマーは、おとなしくなってしまったナナシを見る。だらしなく口端から唾液を垂らして、薄い腹を痙攣させているナナシがそこにはいた。
「黙ってイったろ」
「は、ふ……っ……」
「ここ、このつるっとした肉の奥。前立腺よりも好きだろ」
「ぁ、ぁあ、ん……っんぅ……ふ……っ」
「すげえ締めんな……」
もう、グデグデだ。ナナシの頭の中には、もうパクパクさんもボロリもいない。番組は終局に差し掛かり、間抜けな音楽が再び部屋に溶け込んでいるというのに。
「ナナシ」
「ぁ、え、える、……っぇ、う……っ」
「欲しいときはどう強請るか教えたろ」
「ん……っ、んふ……っ」
ぢゅうぢゅうと指先を圧迫される。エルマーがナナシに求める答えは、いつだって簡単だ。エルマーの雌として、上手に甘えられるか。それだけ。
「ちゅ……ふ、……っ」
「ん、いいこ」
呼気が触れ合う距離だ。でも、求められているのはただの口付けなんかじゃない。
ナナシの赤い舌が、寄せられたエルマーの唇をぺしょりと舐める。雄に許しを乞う獣のようにだ。
「ん、おいで」
「ふ、んぅ……、う、っ……」
ナナシの中から指が引き抜かれて、エルマーが視界を遮るように覆い被さる。二人の体温が混じり合った寝具の上、色のない先走りで腹を汚したナナシの体は仕上がっていた。まるで、白い皿の上に寝かされているかのようにうまそうだ。
エルマーの金色の奥には、雄としての欲がありありと浮かんでいた。大人の余裕なんて、ナナシの前では無意味だ。ただ衝動のままに腰を打ちつけて、最奥に種を残す。獲物を前に、牙を疼かせる獣の気持ちがよくわかる。エルマーはナナシの喉元に歯を立てると、小ぶりな喉仏をベロリと舐め上げた。
「痛かったら、言えよ」
「と、まる……?」
「善処はする」
「ぜ……?」
また、ナナシの知らない言葉で意地悪を言う。意図的だから、始末に追えない。
大きな手のひらが、柔らかな太ももの肉を鷲掴む。大きく広げた足の間。柔らかな肉を押し分けるように性器の先端をあてがうと、エルマーはゆっくりと腰を推し進める。
「っ……、は……」
気持ちがいい。思わず漏れた吐息には熱が混じっているのに、体の奥の炎は全くもって弱る気配もない。ナナシの腹の中、指先三本で上等に仕上げたこなれた肉が、喜ぶように絡みつく。魅惑の粘膜は、エルマーの性器の形によく馴染む。
「ぁ、あぅ、う……ぅん……っ」
「んー?」
「ぅじゅ、うじゅするう……っ」
「また変なこと言ってら」
はふはふと下手くそな呼吸をする。ナナシの尻からぶじゅりと音を立てて、ぬかるみが滲む。エルマーの熱で溶かされた肉が、深く誘い込むように蠕動するたび、それが茂みを濡らすのだ。
太い血管が根を張るように性器へと繋がる。血管の奥で血が暴れて、奥へ叩きつけろと催促をするのだ。
エルマーの腹筋が絞られる。気を抜けば、暴発してしまいそうなほど具合がいい。
見下ろしたナナシの性器からは、トプトプと精液が漏れていた。勢いのない射精は、ナナシから雄の役割を奪った証でもある。
「んとに……もったいねえなあ……っ」
「ぁ、ぁっあ、あっ」
「こんなに上等な容姿の血なんざ、引く手数多だろうになあ……」
「ぁ、まら……ぁ、っ……」
「まあ、やんねえけど」
ナナシの血が混じった他人の子なんて、誰が許してなるものか。己でぼやいた叶わぬ未来に嫉妬をするのは何回めだろう。エルマーは己の想像力に小さく舌打ちをすると、細い腰を掴んでずろりと性器を引き抜いていく。ナナシの肉で散々に甘やかされた性器は一回り膨らんで、血流の動きを腹に教え込む。先端だけを残して晒した幹は、空気を含んで泡だった粘液を纏いテラテラと光っていた。
「ゃ、やあ、な、なぁ、んれ……っ」
「いきんで、お前の奥の部屋開いてくれえ」
「っ……ん、っんく、ぁ、あっあっ」
「できんだろ、ほらもうちょい……っ」
「ふ、んん……っ、んぁ……っ」
薄い腹の下で、エルマーの性器が臓器を押し上げるように歪な膨らみを作る。ナナシのお腹が不自然に持ち上がり、エルマーの腰の動きに合わせて移動する。ナナシの金色は、とろけた瞳で作り変わる己の体を見つめていた。
「きゃ、ぅ、うっ」
「っぅあ……、はは、……っ」
パツンとはったナナシの性器の先端から、ぷしりと飛沫が噴き上げる。潮がエルマーの口元まで飛び散って、濡れた赤い舌がベロリと舐めとった。
エルマーの茂みが、ナナシの蕾に押し付けられる。へその真下で薄い腹を持ち上げて、熱い性器の先端がいっとう狭い隙間をこじ開けて収まった。
「は、ぁあ、あっ……ぁう……」
「よいせっと」
「ぅ、くっ」
「っあー……、くそ。まじで麻薬だなあ……」
こんなに薄い体で、上手にエルマーを飲み込んでいる。上半身は真っ赤に染まり、ナナシの上等な顔は鼻水やら涎で可愛らしく仕上がっていた。
わずかに開かれた唇から、赤い舌がエルマーを誘う。身を屈めるようにして両腕でナナシを閉じ込めると、隙間を広げるように舌を差し込んだ。
「ちゅ、ふ……っ……」
「ん、」
「んく、っ……ん、んっ」
小ぶりな喉仏が上下して、与えられた唾液を胃の腑へと招く。柔らかな唇が甘く舌に吸い付くと、エルマーはナナシを囲い込んだままゆっくりと腰を揺らす。
まだ、ナナシの小さな部屋が馴染むまで時間がかかる。エルマーの熱い先端が、肉の弾力を楽しむように小刻みに摩擦を繰り返す。それだけで、ナナシの舌の動きは鈍り、温められた二酸化炭素を重ねた唇の隙間からもらす。
金色の瞳が熱で濁り、エルマーの腰を挟んでいた細い足がヘナヘナと寝具の上にくたびれる。
そうなると、あとはエルマーが好きに遊ぶ。
「ふ、ぅあ、あっ……‼︎」
ナナシの、朝には似つかわしくない悲鳴混じりの声が上がった。甘やかすように仕上げた最奥を、強くこすりあげられたのだ。
「う、ぅう、うあ、あっぁあ、あっゃ、やああ、あっ」
「ん、声……っ」
「ひ、んっ、ゃ、やあ、あら、あっ、やああ、あーーっt」
「ちっと、でっけえ……っ」
「ん、んふ……っ、っ……っ」
目の前が明滅する。幼児向け番組が終わり、テレビはニュースに切り替わっていた。生真面目な声が凄惨な出来事を痛ましそうに宣う声と共に、ぬかるみを泡立てる肌のぶつかり合う音が混じる。
抗議じみたベッドの悲鳴、摩擦されて、溶けていく肉。荒い呼吸、歯がかちりとぶつかる余裕のない口付けと、捕食者の眼差し。
互いの汗が混じり合って、悲鳴じみた嬌声が飲み込まれていく。細い足はだらしなく揺れて、結合部を体液でひどく濡らしている。
気持ちがいい、気持ちが良くて、バカになってしまう。
こめかみに血管を浮かべたエルマーが、薄桃色に染まる、柔らかそうな肉へと犬歯を立てる。顎に力を入れて仕舞えば、致命傷を負ってしまいそうなほどの細い首。そこに、鬱血痕よりもタチの悪い証を刻み込む。
「っあー……、は、いく」
「ぅ、うう、ん、んっい、いっ、へ……っぁ、は、やぐ、ぅ、うっ」
「も、限界……っ?」
「ひ、んっ、ひんらぅ……っお、おじま、ぃっぇう、え、るま、ぁっ」
「仕方ねえなあ……」
エルマーは楽しそうに笑った。この世でいっとう美しくて純粋な生き物が、はしたなく大泣きして許しをこう姿が可愛くて。ナナシの性器が互いの腹の間ではねては、だらしなく漏らす。揺れるたびに散らされる粗相が、寝具の上に羞恥を広げていく。
袋の中で凝っていた熱が、迸るようにナナシの腹の奥で噴き上げた。バクンと跳ねる心臓の忙しない鼓動に引きずられるように、柔らかな尻に腰を押し付ける。
ああ、最高に、気持ちがいい。下手な薬を決めるよりも、よほどだ。
熱に冒された脳みそが、正常に働いているのかはわからない。一滴も残さずに吐き出したはずの欲が、ぶびゅっとはしたない音を立てて吹きこぼれる。エルマーは指先で白濁を拭うと、口紅を塗るようにナナシの唇へと塗り広げた。
「ナナシ……」
「ぁ、ふ……」
いっそ、混じり合って一つになれたらいいのに。まだ熱に微睡むナナシの薄い体を引き寄せて、エルマーそんなことを思った。
テレビでは、本日は雨予報だと、天気予報士がうたっていた。外に出るつもりなど毛頭ないが、ナナシをベットから出さない為のいい口実にはなりそうだ。
汚いお仕事をするエルマー✕お金で買われたナナシ
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窓のわずかな隙間からタバコの煙が逃げていく。薄暗い部屋の中。太陽を浴びて焼けてしまった畳の上に、につかわしくない大きなベットとラタンのサイドテーブル。ここに住む男は、部屋の雰囲気に家具を合わせるということをしないらしい。
ステンレス製のシンクに水が落ちる音がして、合わせるかのようにタバコの火種を灰皿で潰す。
「くぁ……あーー……あ、あっ」
獣のように鋭い犬歯を剥き出しにして、大きなあくびをした。この国には珍しい赤毛を伸ばした男は、作り物のように整った顔に眠気を宿したままだ。大きなクッションを三つ重ねて、背もたれにしてタバコをふかしていたらしい。節張った指先が窓の隙間にのばされて、換気の体裁だけを整えた隙間を閉じる。
外はいい天気だ。小さな子供の声が聞こえる。今は朝の八時で、真っ当に活動している人間なら準備を終えている時間だろう。平日の爽やかな朝のはずなのに、この部屋の空気は男の醸し出す雰囲気のせいでやけに気だるげだ。
寝具の上で、鍛え上げられた体を惜しげもなく晒しているのが一因でもある。
「朝だぞー。いいのかテレビは」
「ぅんぅ……」
一人分にしてはやけに膨らんだ寝具の山の頂を、慣れたようにポンと叩く。男の体を敷布団がわりにしていたらしい。上掛けを引きずるようにもぞもぞと姿を現したのは、雪のように白い青年だった。
「あと五分でパクパクさんやるぞナナシ」
「うぅうぅ……んん……」
「今日は一段とぐずってんなあ」
見た目からは想像もできないほど柔らかな手つきで、ナナシと呼ばれた青年の両頬を包む。ナナシは、紋白蝶のように長いまつ毛に縁取られた金色で男を捉えると、桜色の唇をむにゅんと動かした。
「えぅ、まあ……ふんん……」
「おはよ」
「ぉはよぉ……」
「よいせっと。おらおきろぉ」
ナナシの両脇に腕を差し込んで、ずるりと引きずり起こす。エルマーの足の間に体をおさめ、まるでナナシはエルマーの掛け布団代わりのようだ。筋肉のない細い腕が、求めるように首へと絡みつく。定位置に収まるように首筋にグリグリと頭を押し付けるのは、ナナシのいつもの癖であった。
「ボロリはいいのか」
「みぅ……」
「今日はパクパクさんとパンケーキ焼こうだってよ」
「ぱんすき……」
ナナシの薄い体は、パジャマ代わりだろう。エルマーのシャツを一枚着ているだけだった。二人で一着のパジャマを分け合うような生活は、エルマーがナナシを引き取ってから今年で五年目でもあった。
中古のテレビの電源がついて、幼児向け番組の間抜けな音楽が室内に広がる。赤と白の奇抜なストライプ柄の服を着た道化師と、かばの着ぐるみをきた大人が登場すると、ようやくナナシの目も覚めてきたようだった。
「こないだはね、たまごやくするのだったよ」
「お前が電子レンジだめにしたやつ?」
「ちんしたらはやいとおもた」
「怪我しねえでよかったよまじで」
柔らかな猫毛に口付ける。くすぐったかったのか、くふんと笑うナナシは、歳の割には口調も幼い。
体と心の成長が、人よりも随分とのんびりなのだ。エルマーはそれを知っていて、こうして一緒に住んでいる。性別は互いに男だ。けれど、二人は素肌で体温を分け合う爛れた関係を結んでいる。
親に売られたナナシを、エルマーが汚いことをして稼いだ金で買ったのだ。だから、ナナシの体はエルマーのもの。ナナシが十八歳になるまでの三年間は大人として我慢をしたが、時計の針が0時を指し示した瞬間にナナシを犯した。とはいっても、互いに惹かれあっていたから、エルマーは今もこうして臭い飯を食わなくて済んでいる。
「きょう、おそといく?」
「行きてえの?」
「ううん、えるがいく?」
「しばらくは行かねえよ。昨日食料買いだめしたろ?」
「うん」
ボロリがパクパクさんの顔をヘラで叩こうとするシーンは、エルマーによって遮られる。柔らかな頬に手を添えるようにして、ナナシの目線は強制的に逸らされたのだ。
「ん」
「ちゅぅ……?」
「だけで終わるかねえ」
「ナナシまだてれびみたい」
「いいぜ、勝手に遊ぶから」
柔らかな唇に吸い付く。エルマーが動いたせいで、密着していた肌に隙間ができた。ナナシの体がくっついていた部分だけ、じんわりと汗が滲んでいた。脂肪の少ないエルマーの皮膚の内側で、体温に馴染んだ筋肉が体勢に合わせて動く。エルマーが温めていたクッションに収まったのは、ナナシだ。体の側面から、背中全体へとエルマーの体温が移動する。薄い腹を引き寄せるように背後から抱きしめられて、ナナシは硬い腕にくっついた。
「おっぱい触っていいか」
「おっぱいないもん」
「男の子なのに、十分やわらけえよ。肉はねえけど」
「サジいうした。ナナシひんにゅって」
「いいんだよ、伸び代しかねえだろう」
「のび……?」
ナナシが身の危険を感じて閉じ込めていた腕も、あっけなく逃げ出した。いつもならナナシの好きにさせているところだが、一度欲に火が灯るとナナシを置いてけぼりにして行為を進める。
我慢を効かせろという方が無理なのだ。何せ、この上等な体に味をしめた。ハマれば戻れないとわかっていたはずなのに。エルマーにとって、ナナシは大切でもあり麻薬でもある。
「ぁふ……っ」
硬い指先が、やわらかな頂を潰した。胸の粒は人差し指と中指に挟まれるようにして、手のひら全体でない胸を刺激される。
男なのに、エルマーがおっぱいとふざけていうせいで、ナナシの体は雌にされたのだ。白い肌が上気する。お揃いの金色の瞳は濡れたまま、しかし反抗心からかテレビに向けられている。画面ではボロリの鼻っ面をパクパクさんがフライ返しで殴っている。いつもなら、ナナシが楽しそうに笑っているシーンのはずだ。しかし、今日に限って内容が頭に入ってこない。
「きゅ、……っぅ、っ」
微かな水音が聞こえて、滑りを纏った熱がうなじを舐め上げた。細い首に、につかわしくない茶色く汚れた傷。それは、ナナシを初めて抱いた日に、エルマーが噛み付いてできた傷だ。
そこを、愛おしそうに舐るのが合図だ。今朝は、挿入までするぞという大人の合図。
「は、ぁ、ぁう……え、えぅ……っ」
「んー?」
「お、おしり……ぁ、あた、ひゃ……っ」
「当ててんだよ」
「こし、ゃだあ……」
「の割には押し付けてやがる」
くつくつと笑う。うなじと胸元を弄ってやれば、ナナシの体は本人の意思よりも従順に変化する。小さな尻に、下着はついていない。ナナシが下着を履く時は外に出る時のみだ。この部屋にいる以上、ナナシの人権はエルマーの手の中だ。
パジャマの布をしっかりと押し上げた性器が、ナナシの柔らかな肉を摩擦するように押し付けられる。気がつけばエルマーの手の一つはナナシの薄い腹を覆い、細い腰の逃げ場を奪っていた。
「ぁ、ぁう……っ……」
「まだパクパクさんみんのかあ?」
「ふ、んぅ……っ」
「体あっちいなあ……、汗かいてら」
「ひゃ、や、やーーっ」
真っ赤に染まったナナシの耳の裏に鼻先を押し付けて、エルマーは甘く囁いた。赤ちゃんのように、魅力的な匂いがする。エルマーの欲を上手に煽る、ナナシの体が準備をし始めた証拠だ。
犬歯が耳の軟骨を甘く喰む。薄い腹を折っていた無骨な指先が、たち上がったナナシの性器の先端に触れる。ちゅく、とはしたない音がして、先走りを利用した指先で摩擦する。たったそれだけで、濡れやすいナナシの体はトプトプと欲を溢れさせる。
「こんなに、大人の体つきしてんのに」
「あ、ぁあ、は……ぅ……っ……」
「精液出すのだけはヘッタクソだよなあ……」
「ご、ぇんぁさ……っ」
「あー……可愛い」
漏れ出る先走りを手で受け止める。華奢な体を後ろから抱き抱えたまま、エルマーはナナシの袋を手首で持ち上げるように蕾に触れた。
可愛い。芯のないナナシの性器が、ぴとりとエルマーの手首に甘えている。とろとろとしたぬかるみが、エルマーの手に走る太い血管をなぞる気配がした。先走りを纏った指先が、縦に割れてしまった蕾に触れる。度重なる摩擦で捲れ上がってしまった縁が、ちゅうちゅうと口付けるように指先に媚を売る。
「俺が仕上げた……」
「ぅ……?」
「エロくて最高、ってことだあ」
「んひゃ、ぅ……っ」
筋肉質な腕が、ナナシの膝裏に回される。片足を持ち上げたかと思えば、背もたれに甘んじていたエルマーが腹筋を使って起き上がる。長い足の間に背中を預け、ナナシはテレビの前へとだらしなく足を広げる体勢になっていた。目の前には、くたりとした性器とエルマーの指を飲み込んだ蕾。
いつもの体勢なら、エルマーの指を飲み込んでいく瞬間なんて見ることもない。ナナシの金色の瞳に、ゆっくりと腹の中に沈んでいく指先が映る。背中に感じるのは、きっとエルマーの性器だろう。固くて熱い存在感が、ナナシの鼓動を一段階跳ね上げた。
「ぁ、ゃら……ひゃ、あ、あっ」
「中指の第二関節まで入れて、折り曲げる」
「きゃ、ぅっ」
「ここが、お前の喜ぶところなあ」
エルマーの声に、意地悪な愉悦が混じる。ナナシの目の前で、蕾に差し込まれた指はあっという間に三本に増やされた。ナナシの体を、どうやってエルマーが準備していくのかを教えられているようだ。指は激しく動くこともなく、三本は動きをずらすようにして内壁を蹂躙する。
桃色だった唇が赤く色づく頃が食べ頃だ。エルマーは、おとなしくなってしまったナナシを見る。だらしなく口端から唾液を垂らして、薄い腹を痙攣させているナナシがそこにはいた。
「黙ってイったろ」
「は、ふ……っ……」
「ここ、このつるっとした肉の奥。前立腺よりも好きだろ」
「ぁ、ぁあ、ん……っんぅ……ふ……っ」
「すげえ締めんな……」
もう、グデグデだ。ナナシの頭の中には、もうパクパクさんもボロリもいない。番組は終局に差し掛かり、間抜けな音楽が再び部屋に溶け込んでいるというのに。
「ナナシ」
「ぁ、え、える、……っぇ、う……っ」
「欲しいときはどう強請るか教えたろ」
「ん……っ、んふ……っ」
ぢゅうぢゅうと指先を圧迫される。エルマーがナナシに求める答えは、いつだって簡単だ。エルマーの雌として、上手に甘えられるか。それだけ。
「ちゅ……ふ、……っ」
「ん、いいこ」
呼気が触れ合う距離だ。でも、求められているのはただの口付けなんかじゃない。
ナナシの赤い舌が、寄せられたエルマーの唇をぺしょりと舐める。雄に許しを乞う獣のようにだ。
「ん、おいで」
「ふ、んぅ……、う、っ……」
ナナシの中から指が引き抜かれて、エルマーが視界を遮るように覆い被さる。二人の体温が混じり合った寝具の上、色のない先走りで腹を汚したナナシの体は仕上がっていた。まるで、白い皿の上に寝かされているかのようにうまそうだ。
エルマーの金色の奥には、雄としての欲がありありと浮かんでいた。大人の余裕なんて、ナナシの前では無意味だ。ただ衝動のままに腰を打ちつけて、最奥に種を残す。獲物を前に、牙を疼かせる獣の気持ちがよくわかる。エルマーはナナシの喉元に歯を立てると、小ぶりな喉仏をベロリと舐め上げた。
「痛かったら、言えよ」
「と、まる……?」
「善処はする」
「ぜ……?」
また、ナナシの知らない言葉で意地悪を言う。意図的だから、始末に追えない。
大きな手のひらが、柔らかな太ももの肉を鷲掴む。大きく広げた足の間。柔らかな肉を押し分けるように性器の先端をあてがうと、エルマーはゆっくりと腰を推し進める。
「っ……、は……」
気持ちがいい。思わず漏れた吐息には熱が混じっているのに、体の奥の炎は全くもって弱る気配もない。ナナシの腹の中、指先三本で上等に仕上げたこなれた肉が、喜ぶように絡みつく。魅惑の粘膜は、エルマーの性器の形によく馴染む。
「ぁ、あぅ、う……ぅん……っ」
「んー?」
「ぅじゅ、うじゅするう……っ」
「また変なこと言ってら」
はふはふと下手くそな呼吸をする。ナナシの尻からぶじゅりと音を立てて、ぬかるみが滲む。エルマーの熱で溶かされた肉が、深く誘い込むように蠕動するたび、それが茂みを濡らすのだ。
太い血管が根を張るように性器へと繋がる。血管の奥で血が暴れて、奥へ叩きつけろと催促をするのだ。
エルマーの腹筋が絞られる。気を抜けば、暴発してしまいそうなほど具合がいい。
見下ろしたナナシの性器からは、トプトプと精液が漏れていた。勢いのない射精は、ナナシから雄の役割を奪った証でもある。
「んとに……もったいねえなあ……っ」
「ぁ、ぁっあ、あっ」
「こんなに上等な容姿の血なんざ、引く手数多だろうになあ……」
「ぁ、まら……ぁ、っ……」
「まあ、やんねえけど」
ナナシの血が混じった他人の子なんて、誰が許してなるものか。己でぼやいた叶わぬ未来に嫉妬をするのは何回めだろう。エルマーは己の想像力に小さく舌打ちをすると、細い腰を掴んでずろりと性器を引き抜いていく。ナナシの肉で散々に甘やかされた性器は一回り膨らんで、血流の動きを腹に教え込む。先端だけを残して晒した幹は、空気を含んで泡だった粘液を纏いテラテラと光っていた。
「ゃ、やあ、な、なぁ、んれ……っ」
「いきんで、お前の奥の部屋開いてくれえ」
「っ……ん、っんく、ぁ、あっあっ」
「できんだろ、ほらもうちょい……っ」
「ふ、んん……っ、んぁ……っ」
薄い腹の下で、エルマーの性器が臓器を押し上げるように歪な膨らみを作る。ナナシのお腹が不自然に持ち上がり、エルマーの腰の動きに合わせて移動する。ナナシの金色は、とろけた瞳で作り変わる己の体を見つめていた。
「きゃ、ぅ、うっ」
「っぅあ……、はは、……っ」
パツンとはったナナシの性器の先端から、ぷしりと飛沫が噴き上げる。潮がエルマーの口元まで飛び散って、濡れた赤い舌がベロリと舐めとった。
エルマーの茂みが、ナナシの蕾に押し付けられる。へその真下で薄い腹を持ち上げて、熱い性器の先端がいっとう狭い隙間をこじ開けて収まった。
「は、ぁあ、あっ……ぁう……」
「よいせっと」
「ぅ、くっ」
「っあー……、くそ。まじで麻薬だなあ……」
こんなに薄い体で、上手にエルマーを飲み込んでいる。上半身は真っ赤に染まり、ナナシの上等な顔は鼻水やら涎で可愛らしく仕上がっていた。
わずかに開かれた唇から、赤い舌がエルマーを誘う。身を屈めるようにして両腕でナナシを閉じ込めると、隙間を広げるように舌を差し込んだ。
「ちゅ、ふ……っ……」
「ん、」
「んく、っ……ん、んっ」
小ぶりな喉仏が上下して、与えられた唾液を胃の腑へと招く。柔らかな唇が甘く舌に吸い付くと、エルマーはナナシを囲い込んだままゆっくりと腰を揺らす。
まだ、ナナシの小さな部屋が馴染むまで時間がかかる。エルマーの熱い先端が、肉の弾力を楽しむように小刻みに摩擦を繰り返す。それだけで、ナナシの舌の動きは鈍り、温められた二酸化炭素を重ねた唇の隙間からもらす。
金色の瞳が熱で濁り、エルマーの腰を挟んでいた細い足がヘナヘナと寝具の上にくたびれる。
そうなると、あとはエルマーが好きに遊ぶ。
「ふ、ぅあ、あっ……‼︎」
ナナシの、朝には似つかわしくない悲鳴混じりの声が上がった。甘やかすように仕上げた最奥を、強くこすりあげられたのだ。
「う、ぅう、うあ、あっぁあ、あっゃ、やああ、あっ」
「ん、声……っ」
「ひ、んっ、ゃ、やあ、あら、あっ、やああ、あーーっt」
「ちっと、でっけえ……っ」
「ん、んふ……っ、っ……っ」
目の前が明滅する。幼児向け番組が終わり、テレビはニュースに切り替わっていた。生真面目な声が凄惨な出来事を痛ましそうに宣う声と共に、ぬかるみを泡立てる肌のぶつかり合う音が混じる。
抗議じみたベッドの悲鳴、摩擦されて、溶けていく肉。荒い呼吸、歯がかちりとぶつかる余裕のない口付けと、捕食者の眼差し。
互いの汗が混じり合って、悲鳴じみた嬌声が飲み込まれていく。細い足はだらしなく揺れて、結合部を体液でひどく濡らしている。
気持ちがいい、気持ちが良くて、バカになってしまう。
こめかみに血管を浮かべたエルマーが、薄桃色に染まる、柔らかそうな肉へと犬歯を立てる。顎に力を入れて仕舞えば、致命傷を負ってしまいそうなほどの細い首。そこに、鬱血痕よりもタチの悪い証を刻み込む。
「っあー……、は、いく」
「ぅ、うう、ん、んっい、いっ、へ……っぁ、は、やぐ、ぅ、うっ」
「も、限界……っ?」
「ひ、んっ、ひんらぅ……っお、おじま、ぃっぇう、え、るま、ぁっ」
「仕方ねえなあ……」
エルマーは楽しそうに笑った。この世でいっとう美しくて純粋な生き物が、はしたなく大泣きして許しをこう姿が可愛くて。ナナシの性器が互いの腹の間ではねては、だらしなく漏らす。揺れるたびに散らされる粗相が、寝具の上に羞恥を広げていく。
袋の中で凝っていた熱が、迸るようにナナシの腹の奥で噴き上げた。バクンと跳ねる心臓の忙しない鼓動に引きずられるように、柔らかな尻に腰を押し付ける。
ああ、最高に、気持ちがいい。下手な薬を決めるよりも、よほどだ。
熱に冒された脳みそが、正常に働いているのかはわからない。一滴も残さずに吐き出したはずの欲が、ぶびゅっとはしたない音を立てて吹きこぼれる。エルマーは指先で白濁を拭うと、口紅を塗るようにナナシの唇へと塗り広げた。
「ナナシ……」
「ぁ、ふ……」
いっそ、混じり合って一つになれたらいいのに。まだ熱に微睡むナナシの薄い体を引き寄せて、エルマーそんなことを思った。
テレビでは、本日は雨予報だと、天気予報士がうたっていた。外に出るつもりなど毛頭ないが、ナナシをベットから出さない為のいい口実にはなりそうだ。
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