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守り人は化け物の腕の中
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ぶちゅ、と、空気が弾けるような汚い音がした。
じわりと顔を赤くしたヤンレイが、口元を抑える。結合部から漏れた精液の音が、端なくて嫌だった。
腰を支えるように回された腕に力が入る。狼の瞳をわずかに見開くと、ヤンレイはゆるゆると首を振った。
「ぃ、今ぬ、いたら……っ、ぃゃ、だ……」
「知らん」
「ひ、っゃ……っ、い、いゃら……っ‼︎」
ヤンレイの望みは叶うことはなかった。太い性器が、内壁を押し広げたままゆっくりと引き抜かれる。
降りてくる、このままだと、腹の奥に吐き出されたものが全部。
人間の精液とは違う、腸内を満たす妖魔のそれは、雌の体の準備ができると弾力性のあるものに変わるのだ。
九魄の性器がゆっくりと引き抜かれる。その隙間を埋めるように降りてきた精液が、排泄感を伴ってヤンレイを追い詰める。
「で、でちゃ、ぅ、でちゃう、から……っい、いれ、っ……あぁ……っ‼︎」
「ほら、腹に力を入れろ」
「ひ、っぁ……ーーーーっ‼︎」
耳を塞ぎたくなるような音が、部屋に響いた。ヤンレイの矜持を根こそぎ奪うかのようなそれは、腹の膨らみを鎮めるように外へと排泄された。
熱く、どろりとした精液の塊が、外気に触れて粘度を緩める。
長い排泄は己の腸の長さを教えるようであった。狼の瞳を見開き、薄く開いた唇はかすかに震えていた。
排泄に性感が伴うような、そんな体にされてしまったのだ。蹂躙された蕾は赤い媚肉を捲るように外に晒し、呼吸をするようにポカリと開いたまま収縮している。
漏らすものも、何もない。力の抜けた体が、精液でできた水たまりにベシャリと尻をつく。胸の尖は主張するように反応を示し、力の入らない体を愛おしげに九魄が抱きしめる。
「愛いなヤンレイ。こうして幼く、無様に泣く姿が本当に愛おしい」
「ん、んく、っ……ぉ、俺、も、もれ、……っ、う、うぅ、うーー……っ……」
「寝台は汚れるものだ。そんなもの、お前が一番知っているだろうに……ああ、頭が足りなくて愛おしい……」
胸に抱き込むようにして愛でる。ヤンレイの黒髪に頬を寄せ、くるると喉を鳴らす。表情の乏しい九魄の口元が緩み、薄い背中を温めるように撫でる。
小さく身じろぐ。ヤンレイは両手で涙を拭うようにゆっくりと九魄を見上げた。不遜でいて、かつ狡猾な美しき守城としての面影はなりを潜め、今は幼児退行をしたかのようなあどけなさを纏っていた。
「き……、きら、ぃに……っ……なぁ、な……ぃで、ぇ……っ……」
「なんだ、きちんと言え」
「ひ、っく……、……き、きらぃ……に、……っ、な、ならな、いで……っう、うぅあ、あーー……っ」
ぼたぼたと溢れる涙を必死で受け止めながら、ヤンレイは嗚咽混じりに宣った。
九魄が嫌がることをしたから、こんなことをするのだ。ヤンレイのことを嫌いになったから、きっと九魄は己を一人ぼっちにさせてでていくのだ。
頭の中、受け入れたくない想像で首を絞める。九魄がいたから守城になれた。誰からも一目を置かれるのは、ヤンレイの妖魔が九魄だからだ。
幼児の駄々のように、ひ、ひ、と下手くそな呼吸で縋り付く。細腕で九魄にしがみつき、ヤンレイはわんわんと声をあげて泣いた。
「……ふは」
九魄は、笑っていた。
その腕をヤンレイの背に回したまま、心底嬉しそうに笑っていた。
この華奢な体で、己に見合うように努力をしてきた。美しいヤンレイの姿を知っているからこそ喜んだ。
「お前は、俺がいないと何もできない」
「ぅ、ん……っ」
「だから二人のときはいうことをきけ、いいな」
「うん、うん……!!」
受け入れたくない恐怖が記憶を刷り込む。ヤンレイにとっての怖いことは、己が見放すことだと気がついた。
山主と化したドウメキの、バカみたいな力で羽をもがれ、岩屋戸に叩きつけられた。あのとき、九魄はヤンレイの必死を目の当たりにした。絶望に顔を染め、振り向いた。あの時のヤンレイの己を見つめる表情は、わすれられそうにない。
だから九魄はわざわざタイランの言うことを聞く形で、ヤンレイの手綱を握ってやろうと心に決めたのだ。美しく気高いこの男を、己の手で汚してやれたらどれほど心地がいいのだろう。そんな、妖魔らしい自分勝手で即物的な思いつきでヤンレイを追い込んだ。
「唇をよこせヤンレイ。優しくしてやる」
「き、きたな、ひぅ……、っ」
「お前に汚いところはない。まだ腹の準備をしただけだ。ここに子袋を作らねばならない」
「な、に……?」
どこに触れても熱い体を持て余すように、ヤンレイが薄ぼんやりとした表情で聞き返した。
その濡れた唇を塞いでやれば、九魄の背に恐る恐る腕を回した。可愛い、九魄だけの雛。オイタをして、お仕置きをしてやれば素直に体を開いて、無様に許しを求める。頭が弱くて、哀れで愛おしい。
薄い舌を甘く喰み、絡め、水音を立てるように唾液を与える。使い物にならなくなった性器がくたりと足の間にぶら下がっている。女を知る前に男の味を知ったヤンレイの体を、もう九魄以外受け入れないように調教した。
わずかに膨らんだ腹は、九魄が性器で押し上げたからだ。出来上がった腹の奥、そのわずかな隙間に、九魄は術をかけるのだ。
呪いの塊であるドウメキのように、術者が呪をかけて作るのではない。注ぎ込んだ九魄の妖力そのものである精が、ヤンレイの巫力と交わるように術をかけるのだ。
「ーーーー……」
「な、に……、なんの、ことば……?っ、ま、まって、なんで……なんでまた、いれ、っ」
「一生、俺に離れて欲しくないのだろう……?」
「っ……ぅ、……う、ん……あ、あ、あ……っ」
柔らかな肉を寄せ集めるように、ヤンレイの尻肉を割り開く。縦に広がった赤い媚肉が、甘えるように九魄の性器を頬張っていく。
先端の丸みを味わうように、太い幹に走る血管の一筋も、記憶するように。肉はヤンレイの意思とは裏腹に、蠕動を繰り返して受け入れる。
「そろそろ、お前の兄は孕まされただろうか」
「ぁ……っ、た、たい、ラン……っ、は、ぉ、とこ……っ」
「ああ、だが妖魔には関係がない」
「は……ぁ、あっま、まっへ……っしょ、こ……い、ぃうぅ……っ」
知らない器官にまで、入り込んでいる。九魄が何かを言っていたのは聞いていたが、ヤンレイはそれどころではなかった。
太ももがブルブルと震える。信じられないほど強い性感が、内壁を焼くのだ。放熱するかのように熱い性器が、結腸の奥を検分するようにゆるゆると動く。緩やかな律動だけでももうだめだ。
呂律が回らない。視界がグラグラと揺れて、腹の奥からどろりとした粘液が降りてくるかのようだった。
「っ……ぁあ、そう、だ……っ……お前、人をやめろ……」
「ぁあ、う、う?う……?っく、んぁ、あ、あひ……っ」
「ふは、……っ……、人は、胎生だったな……」
訳のわからないことを言って、九魄は笑った。ヤンレイは経験したことのない鋭い快楽に全身の神経を脅かされ、ただ馬鹿みたいに喘いで泣いて、獣のように求められるままに受け入れた。
熱い手のひらに体を撫でられ、唾液を飲めばいい子だと褒められ、ああもう辛い、嫌だといいそうになるたびに、九魄が甘えるようにヤンレイへと擦り寄るから、それが可愛くて拒めなかった。
幼児にするような甘やかしをされ、させられた。バカになった思考は見事に戻らなくて、結局ヤンレイが解放されたのは一週間も後のことだった。
じわりと顔を赤くしたヤンレイが、口元を抑える。結合部から漏れた精液の音が、端なくて嫌だった。
腰を支えるように回された腕に力が入る。狼の瞳をわずかに見開くと、ヤンレイはゆるゆると首を振った。
「ぃ、今ぬ、いたら……っ、ぃゃ、だ……」
「知らん」
「ひ、っゃ……っ、い、いゃら……っ‼︎」
ヤンレイの望みは叶うことはなかった。太い性器が、内壁を押し広げたままゆっくりと引き抜かれる。
降りてくる、このままだと、腹の奥に吐き出されたものが全部。
人間の精液とは違う、腸内を満たす妖魔のそれは、雌の体の準備ができると弾力性のあるものに変わるのだ。
九魄の性器がゆっくりと引き抜かれる。その隙間を埋めるように降りてきた精液が、排泄感を伴ってヤンレイを追い詰める。
「で、でちゃ、ぅ、でちゃう、から……っい、いれ、っ……あぁ……っ‼︎」
「ほら、腹に力を入れろ」
「ひ、っぁ……ーーーーっ‼︎」
耳を塞ぎたくなるような音が、部屋に響いた。ヤンレイの矜持を根こそぎ奪うかのようなそれは、腹の膨らみを鎮めるように外へと排泄された。
熱く、どろりとした精液の塊が、外気に触れて粘度を緩める。
長い排泄は己の腸の長さを教えるようであった。狼の瞳を見開き、薄く開いた唇はかすかに震えていた。
排泄に性感が伴うような、そんな体にされてしまったのだ。蹂躙された蕾は赤い媚肉を捲るように外に晒し、呼吸をするようにポカリと開いたまま収縮している。
漏らすものも、何もない。力の抜けた体が、精液でできた水たまりにベシャリと尻をつく。胸の尖は主張するように反応を示し、力の入らない体を愛おしげに九魄が抱きしめる。
「愛いなヤンレイ。こうして幼く、無様に泣く姿が本当に愛おしい」
「ん、んく、っ……ぉ、俺、も、もれ、……っ、う、うぅ、うーー……っ……」
「寝台は汚れるものだ。そんなもの、お前が一番知っているだろうに……ああ、頭が足りなくて愛おしい……」
胸に抱き込むようにして愛でる。ヤンレイの黒髪に頬を寄せ、くるると喉を鳴らす。表情の乏しい九魄の口元が緩み、薄い背中を温めるように撫でる。
小さく身じろぐ。ヤンレイは両手で涙を拭うようにゆっくりと九魄を見上げた。不遜でいて、かつ狡猾な美しき守城としての面影はなりを潜め、今は幼児退行をしたかのようなあどけなさを纏っていた。
「き……、きら、ぃに……っ……なぁ、な……ぃで、ぇ……っ……」
「なんだ、きちんと言え」
「ひ、っく……、……き、きらぃ……に、……っ、な、ならな、いで……っう、うぅあ、あーー……っ」
ぼたぼたと溢れる涙を必死で受け止めながら、ヤンレイは嗚咽混じりに宣った。
九魄が嫌がることをしたから、こんなことをするのだ。ヤンレイのことを嫌いになったから、きっと九魄は己を一人ぼっちにさせてでていくのだ。
頭の中、受け入れたくない想像で首を絞める。九魄がいたから守城になれた。誰からも一目を置かれるのは、ヤンレイの妖魔が九魄だからだ。
幼児の駄々のように、ひ、ひ、と下手くそな呼吸で縋り付く。細腕で九魄にしがみつき、ヤンレイはわんわんと声をあげて泣いた。
「……ふは」
九魄は、笑っていた。
その腕をヤンレイの背に回したまま、心底嬉しそうに笑っていた。
この華奢な体で、己に見合うように努力をしてきた。美しいヤンレイの姿を知っているからこそ喜んだ。
「お前は、俺がいないと何もできない」
「ぅ、ん……っ」
「だから二人のときはいうことをきけ、いいな」
「うん、うん……!!」
受け入れたくない恐怖が記憶を刷り込む。ヤンレイにとっての怖いことは、己が見放すことだと気がついた。
山主と化したドウメキの、バカみたいな力で羽をもがれ、岩屋戸に叩きつけられた。あのとき、九魄はヤンレイの必死を目の当たりにした。絶望に顔を染め、振り向いた。あの時のヤンレイの己を見つめる表情は、わすれられそうにない。
だから九魄はわざわざタイランの言うことを聞く形で、ヤンレイの手綱を握ってやろうと心に決めたのだ。美しく気高いこの男を、己の手で汚してやれたらどれほど心地がいいのだろう。そんな、妖魔らしい自分勝手で即物的な思いつきでヤンレイを追い込んだ。
「唇をよこせヤンレイ。優しくしてやる」
「き、きたな、ひぅ……、っ」
「お前に汚いところはない。まだ腹の準備をしただけだ。ここに子袋を作らねばならない」
「な、に……?」
どこに触れても熱い体を持て余すように、ヤンレイが薄ぼんやりとした表情で聞き返した。
その濡れた唇を塞いでやれば、九魄の背に恐る恐る腕を回した。可愛い、九魄だけの雛。オイタをして、お仕置きをしてやれば素直に体を開いて、無様に許しを求める。頭が弱くて、哀れで愛おしい。
薄い舌を甘く喰み、絡め、水音を立てるように唾液を与える。使い物にならなくなった性器がくたりと足の間にぶら下がっている。女を知る前に男の味を知ったヤンレイの体を、もう九魄以外受け入れないように調教した。
わずかに膨らんだ腹は、九魄が性器で押し上げたからだ。出来上がった腹の奥、そのわずかな隙間に、九魄は術をかけるのだ。
呪いの塊であるドウメキのように、術者が呪をかけて作るのではない。注ぎ込んだ九魄の妖力そのものである精が、ヤンレイの巫力と交わるように術をかけるのだ。
「ーーーー……」
「な、に……、なんの、ことば……?っ、ま、まって、なんで……なんでまた、いれ、っ」
「一生、俺に離れて欲しくないのだろう……?」
「っ……ぅ、……う、ん……あ、あ、あ……っ」
柔らかな肉を寄せ集めるように、ヤンレイの尻肉を割り開く。縦に広がった赤い媚肉が、甘えるように九魄の性器を頬張っていく。
先端の丸みを味わうように、太い幹に走る血管の一筋も、記憶するように。肉はヤンレイの意思とは裏腹に、蠕動を繰り返して受け入れる。
「そろそろ、お前の兄は孕まされただろうか」
「ぁ……っ、た、たい、ラン……っ、は、ぉ、とこ……っ」
「ああ、だが妖魔には関係がない」
「は……ぁ、あっま、まっへ……っしょ、こ……い、ぃうぅ……っ」
知らない器官にまで、入り込んでいる。九魄が何かを言っていたのは聞いていたが、ヤンレイはそれどころではなかった。
太ももがブルブルと震える。信じられないほど強い性感が、内壁を焼くのだ。放熱するかのように熱い性器が、結腸の奥を検分するようにゆるゆると動く。緩やかな律動だけでももうだめだ。
呂律が回らない。視界がグラグラと揺れて、腹の奥からどろりとした粘液が降りてくるかのようだった。
「っ……ぁあ、そう、だ……っ……お前、人をやめろ……」
「ぁあ、う、う?う……?っく、んぁ、あ、あひ……っ」
「ふは、……っ……、人は、胎生だったな……」
訳のわからないことを言って、九魄は笑った。ヤンレイは経験したことのない鋭い快楽に全身の神経を脅かされ、ただ馬鹿みたいに喘いで泣いて、獣のように求められるままに受け入れた。
熱い手のひらに体を撫でられ、唾液を飲めばいい子だと褒められ、ああもう辛い、嫌だといいそうになるたびに、九魄が甘えるようにヤンレイへと擦り寄るから、それが可愛くて拒めなかった。
幼児にするような甘やかしをされ、させられた。バカになった思考は見事に戻らなくて、結局ヤンレイが解放されたのは一週間も後のことだった。
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