だいきちの拙作ごった煮短編集

だいきち

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こっち向いて、運命。ー半神騎士と猪突猛進男子が幸せになるまでのお話ー

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 これから起こるであろうことを想像して。グレイシスの体はわかりやすく震えた。
 辱めを受けることは嫌いだ、どうしていいかわからなくなる。優しくされるのも嫌だ、だってグレイシスは男なのだから。
 それでも、グレイシスがいくら願っても、ジルバはいうことを聞いてくれない。それは初めて抱かれたあの日の夜からずっと変わらないことだった。

「ぅ、うぅ……う、……っ、ひっく……っ」

 グレイシスの矜持は簡単に崩れ、力なく押さえ込まれている。情けなく泣くのは、ジルバの前だけでだ。本当はこんな無様な姿を見せたくはないのに、ジルバはいつもグレイシスが泣くように仕向けるのだ。

「はぁ、あっ……ま、待って、待って」
「待たない」
「ふ、ぅあ……っ……ぁ、っ」

 ぬとりと這わされたジルバの舌に、グレイシスは柔らかな太腿を震わせる。ジルバを受け入れるための準備をされている。視覚的に認識させるように、ジルバはグレイシスの性器をほったらかしにして、蕾に舌を這わすのだ。
 子供のように失禁をしたことを知っているはずなのに、汚いとも思わずにだ。熱く尖らせた舌が、グレイシスの内側をねぶるように暴いていく。柔らかで弾力のあるそれに内壁を舐められるのが気持ちいいだなんて、本当に知りたくなかった。

「ぃやら……っ、そこ、そこばっかや、だ……っ……ひぅうっ……」
「痛いと泣いて、また粗相をする気か。どうせ愚図るのなら、可愛らしく強請れ」
「うぅ……う、っ……ふ、くっ……っ」

 嫌だ、見ていられない。グレイシスは己の金髪を握りしめるように、両手で視界を塞ぐ。赤く立ち上がった胸の突起も、ピコンと上を向きなお芯のない性器も、ジルバのせいで縦に割れてしまった蕾も全て曝け出している。
 耳に響く、粘着質な水音が嫌だ。ジルバの唾液で濡れた蕾が、その滑りを招くようにして収縮を繰り返す。まるでそれを笑うかのように、ジルバは時折己の指を吸わせるようにして遊ぶのだ。

「も……、ぃれ、っ……ゆび、もう……っ……‼︎」
「嫌だと言っていたくせにか」
「ぅあ……っ……も、なんで、っ……つら、ぃ……っ……」

 きゅぅ、と喉が鳴く。金髪をぐしゃぐしゃにしたまま、力の入らない体を好きにさせている。小ぶりな性器からだらしなく先走りを垂らしたまま、グレイシスの蕾はジルバの指に媚びるように吸い付いていた。
 もう出したい。奥の気持ちがいい場所を、たくさんこすってほしい。薄い腹は汗ばんだまま、その先を期待するようにひくんと跳ねる。震える膝を引き寄せるように抱きしめると、赤くぽてりと腫れた蕾を差し出すように目の前に晒した。

「か、ゎ……いぃ……って、わ、ゎか、んあ……も、ぃ、いれ、……っ」
「お前、……」
「ふゔ……ぅ~~……っ……っ……」

 ジルバが望む通りに可愛くなんてなれない。グレイシスは整った顔をぐしゃぐしゃにして、情けなく泣くことしかできない。尻の奥の準備なんて、最初からできている。そういう体にしたのはジルバなのに、なんでいつも意地悪ばかり言うのだ。
 嫌だと言ってもやめないくせに、グレイシスが恥ずかしくて拒むと途端に焦らすのも腹が立つ。これ以上どうしたらいいのだ、挿れてくださいと言えばいいのか。そんなこと、グレイシスだって言われたことないからわかるわけがないのに。
 そんな沸々とした不服と不満、そして性感を伴ったグレイシスの無意識な被虐欲が頂点に達したらしい。涙に翡翠の色を滲ませながら、ジルバの腕へと手を伸ばした。

「グレ、」
「ここ、……も、もっとぉく……に、っ」
「……」
「あぁ……っ、あっあっ、はぁ、あ……っ」

 ジルバの体を前のめりにするほどの力で引き寄せたグレイシスの手は、ジルバの指を誘導するかのように蕾の中へと招く。本当はジルバの性器が欲しい。それなのに、ジルバがいつまで経ってもくれないからとじれたのだ。
 己の指と重ねるようにして腹の内側へと招く。ぬかるみは二人分の指を伝って寝具にシミを作った。もう少し奥、膨らんで張り詰めたところを、ジルバの指で押し潰して欲しい。
 グレイシスの気持ちがいいところは人よりも奥まったところにあるのだと、教えたのはジルバだ。

「ひぅ……あ、あ、あぁあ……っい、ぐ……い、っぐ……っ」
「人の指で遊ぶか……!」
「ぃあ、あーっ‼︎ っづょ、い……っ、いぅ、あ、あああっ‼︎」

 こめかみに青筋を浮かばせたジルバの指先が、グレイシスの指ごと強く前立線を押し潰した。力の抜けた指ごと巻き込んで、グチュグチュと音を立てるほどに中で擦る。
 グレイシスの小ぶりな性器がびくんと跳ね上がると、根本の膨らみが移動するように勢いよく先端から溢れさせる。孤を描くような射精はグレイシスの顔を汚す。薄い腹筋の隙間を縫うように伝う白濁は、形のいいヘソに溜まるようにしてシーツへと溢れた。

「は……ふ……っ、あっぁ……は、……」

 ひゅうひゅうと喉から音が鳴る。肺を絞るかのように苦しい吐精から解放されて、グレイシスは余韻に浸るようにして身を投げ出していた。だらしなく口端から唾液をこぼし、尖を晒すように胸を逸らしたまま呼吸を整えようとする。
 そんな姿無防備な姿を前に、ジルバが優しく待ってやるわけもない。着ていたシャツのボタンを外し、床に落とす。ジルバがモノクルを影の中に収納すると、濡れて光る細い腰を片手で掴んで引き寄せた。

「ぃあ……っ‼︎」
「一人遊びはしまいだグレイシス。悪いが今のはお前にとって悪手だった」
「ふ、ゃ……だっ、ぃや、め……っかぉ、……こわぃ、い……っ」
「悪いが。」

 ギシリとベットが悲鳴をあげた。グレイシスの細い体を覆うように、ジルバの背負う影が膨らむ。
 黒い帯状の影を背後でざわめかせたまま、ジルバはしなやかに割れた腹筋を浮かび上がらせるほど力を込めて、グレイシスの両手をベットに縫い止めた。

「俺は最初からこの顔だ」
「ひぇ……」

 灰色の瞳を銀に輝かせたジルバの影が、グレイシスの体に絡みつく。ジルバが手を離しても、グレイシスの体は端なく両足を開かされたまま固定された。
 翡翠の瞳に涙が滲む。これは、お仕置きをされる時にジルバがする行為だった。
 細いウエストを強調するように巻かれた影や、柔らかな太ももにまとわりつく影は脈打つように紫色の光を放つ。全身で、ジルバの魔力を感じているのだ。
 細い影が、グレイシスの蕾へと伸びる。両端を引っ張られるように開かれると、ジルバの性器がそっとあてがわれた。

「ジ、ルバ……っ……」
「全部だせ」
「ひぅあ……っ、ぁ、あ、あ……っ」

 張り詰めて、火傷しそうなほどに熱い。グレイシスの痴態にここまで興奮を示しているくせに、ジルバは自身の加虐趣味を優先させたセックスをするのだ。
 グレイシスがよがり狂うのを堪えて見つめるくらいなら、最初からさっさと入れて腰を振ればいいのに。内壁を摩擦するように侵入してきたジルバの性器を感じながら、そんなことを思う。
 余計な考えをしていたことがバレたのか、腰を固定する影の圧迫感が増した。薄い腹を強制的に締め付けられて、中に感じるジルバの性器がありありとわかる。

「かふ……っぁ、あー……、あー……っ」
「そんなに喜ぶな。っ……、ああ、いい具合だ……」
「ぁ、は……っ、っぁ、あ……」

 ジルバの茂みがぴたりとグレイシスの蕾に重なった。内壁に吸い付くように締め付けられ、ジルバの腹筋が絞られるように浮かび上がる。気持ちよさを堪えるように顔を歪ませる姿を前に、グレイシスのなけなしの矜持が満たされる。
 影に縛られながら、己の胎内で気持ちよくなっているいけすかない男を見るのが、グレイシスは好きだった。そんな余裕も、すぐに失ってしまうのだが。
 膀胱がジルバの性器で圧迫される。下腹部が張り詰めると、グレイシスの先端から溢れるように薄黄色の雫が漏れ出た。

「ぃあ、あっ、ぁま、まっ、へ……っでぅ、あ、ああ、あっ」
「一度や二度で何が変わる。お前はただ喘いでいろ」
「ひ、ゃだ、あぁーー……っ、ぉ、俺、ぇ……っ、お、おと、な……っぁあっンっ」
「立派な雄で大人なら、男に抱かれて漏らすわけがない、だろう」
「ぃあ、あっき、もひ……っ、ぃ、きも……ひぃ、いっジ、ジぅ、あっ、あぁ、あっでひゃ、ぁっはぁあ……っ」

 奥の奥まで押し開かれて、聞きたくもない高い声が出てしまう。気持ちいいがすぎると涙が出てくるのは癖のようなものだ。一度馬鹿になった涙腺は些細なことで決壊する。上も下も忙しなくて、グレイシスは己が己でなくなってしまったように感じた。
 影による拘束は、ジルバの匂いに包まれているようでいけない。そこかしこを撫でられているように感じてしまうから、きっと神経が馬鹿になったのだろう。
 体を寄せられて、ジルバの匂いが濃くなる。グレイシスの頬を素直な黒い髪が撫でて、深まった挿入にべそをかくグレイシスの頬に唇が触れた。

「ぅーー……っ……ぅく、っ」
「グレイシス」
「ふぁ、……あ、っ」
「いい子だ……」

 耳の奥でぐぽんと音がして、グレイシスの瞳は見開かれた。はくりと声のない悲鳴をあげて、腰回りをじわじわと暖かくする。声のない悲鳴に、ジルバが笑った。影の拘束がゆっくりと解かれて、体がベットに沈む頃にはグレイシスの薄い腹はぽこんと膨らんでいた。

「ぅ、えぇ、えっ」
「ふは」
「ん、んぐっ……お、ぅえ……っ」

 へそを突き破られそうだ。堪えきれす嘔吐したグレイシスを見下ろしながら、ジルバが楽しそうに笑みを浮かべる。
 奥の弁を無理やり割開かれ、結腸を犯された。待ち侘びていた刺激に喜ぶように、ジルバの先端をじゅぽんと吸い付くグレイシスのそこは、カインをこさえた場所だった。
 黒い左手が、愛おしむように歪に膨らんだグレイシスの腹を撫でる。枕を汚し、ベットも汚し、ジルバの性器で体を支えられるかのようにして身を投げ出したグレイシスは、哀れで可愛くて、実にジルバの好みであった。
 吐瀉物で汚れた口元を、ジルバの指先が優しく拭う。前屈みになれば、グレイシスの尻が性器によって押し上げられる。細く漏れていた失禁はようやく止まり、虚な瞳のグレイシスの頬を優しく撫でると汚れた唇も厭わずに口付けた。

「ん、……ぅ……?」
「ああ、いい子だ」
「ぁーー……」
「ん、なんだもっとか」

 ジルバの手が、グレイシスの頭を抱き抱えるように回された。柔らかな舌が、グレイシスの薄い舌を持ち上げるようにして絡めとる。普段のジルバとは違った、労わるような優しい口付けは、グレイシスが可愛くなれた証でもあった。
 朦朧とした意識の中、味蕾同士を重ねるような甘やかな口付けが嬉しい。ジルバの手が、金色の髪を優しく梳く。グレイシスが素直になればなるほど優しくしてくれるこの男は、グレイシスが人としての矜持を捨てるまでを余すことなく見つめていたいのだ。
 グレイシスの体を抱きしめたまま、ジルバの影が細く伸びる。グレイシスの呼吸を奪うような深い口付けを施しながら腰を揺らせば、ほったらかしにされていたグレイシスの小ぶりな性器に影が絡み付いた。

「ひぅ、ぁ……」
「可愛く鳴けてえらいな」
「ぁ、ぁ、あ、っ……ぉぐ……んぁ、あっ」
「ここにだす。お前はまた、俺の子を孕め」
「ひゃ、ぁあ、あっぃ、いぅ、っ、い、くぅ……っ」

 耳元で泣きそうな声を上げたグレイシスの頬が、ジルバの頬と重なった。腰を浮かせ、ジルバの律動に合わせるようにゆらめかせる。グレイシスはジルバの性器をぎゅうぎゅうと締め付けて、腹の奥で達したのだ。
 裏筋をくすぐるように刺激する影によって、腰が跳ねる。なけなしの雄の本能が、ジルバの腹筋に性器を押し付けるようにして性感を得ようとするのだ。
 グレイシスの首筋に歯を立てる。ジルバは小さく息を詰めると、ゆっくりと腰を浮かせるようにして性器を半分ほどまで引き抜いた。太い幹にまとわりつくぬるつきが、名残惜しいとジルバを引き止めるようだった。
 グレイシスの手が、ジルバの腕に添えられた。まるで、離れるなと言わんばかりの様子に、ジルバはその手を取るように指を絡ませた。


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