だいきちの拙作ごった煮短編集

だいきち

文字の大きさ
上 下
10 / 94
ヤンキー、お山の総大将に拾われる~理不尽が俺に婚姻届押し付けてきた件について~

水喰のお嫁さま 8 **

しおりを挟む
 もう、まるで喃語のような声しか出なかった。それだけ幸の頭の中は馬鹿になったし、処理しきれない程の強い快感に、ただ情けなく縋りつきながら喘ぐ他はなかった。
 
「ひ、ぃあ、ああっ……!」
 
 指で押し広げられたそこに、水喰の恐ろしく熱いものが侵入を果たそうとしてくる。先端を含まされ、しかし狭いせいでその先に進まない。怖気付いたかのように幸の穴はきゅうきゅうと性器を締め付けて、その刺激に水喰の眉間に皺がよる。
 ああ、こんな顔するんだなあ。幸は焼け付くような思考の中、まるで打ち上げられた魚のような呼吸を繰り返しながら水喰を見上げていた。
 
「幸、拒むな……、ここを緩めろ。」
「ぅあ、も……しわ……け、ぁりあ、せ……」
 
 甘やかな刺激が時折幸の背筋に走る。その度に少しずつ水喰が腰を押し進めてくるせいで、幸の狭いそこはぱつぱつに張り詰めていた。
 今このまま飲み込んでしまったら、きっと裂けてしまうかもしれない。幸の震えは水喰にも伝わった。そっと身を下屈ませ、濡れた唇に戯れのような口づけを施す。幸はそれを甘受けしながら、握りしめられた手にじんわりと汗を滲ませる。
 
「ふ、うぅ、うー……っ……、」
「楽にしろ。何も怖いことはしない。そうだ、上手だ。」
 
 水喰が、幸の耳元でゆっくりと力むように進言してくる。太い幹の部分はゆっくりと縁を広げて押し進んでくる。苦しくて、それでも少しだけ気持ちが良くて、気がつけば幸は腰の当たりをぐしょりと濡らしていた。
 水喰が押し込む性器が内側から膀胱を押し上げたせいで、幸は自身の預かり知らぬまま、小便を垂れ流していたらしい。
 喉奥を震わすように意地の悪い笑い方をする水喰は、褒めるように幸の腹を撫でる。ようやく中程まで侵入を果たした性器で軽く内壁をこずいてやれば、幸は口からケポリと胃液を吐き出した。
 
「ふむ、やはり全ては無理だったか。」
「ふ、ぅあ……、く……、」
 
 幸の薄い腹を押し上げるようにして、水喰の性器がぽこりと主張していた。だらしなく吐いて、泣いて、漏らしてしまった。幸は腰回りから広がるそれを水喰に触れて欲しくなくて、ゆるゆると震える手で水喰の体を押した。
 
「なんだ、今更拒むのは許さぬ。」
「ち、が……」
「幸よ、今日のところはいい、だが必ずやここの腹に俺のややこを孕ませる。そのためには奥を開けるようにならねばならぬ。」
「や、やこ……?」
 
 ぼやけた思考で、その言葉だけがやけに明瞭だった。水喰が手なぐさみに幸の性器を扱く。まるで幸の粗相など気に求めていない様子であった。
 
「幸、」
「は、い……」
「お前から俺に口付けをしろ。」
 
 水喰は紫の瞳の中に幸を閉じ込める。神である自分が、こうして亡者だった幸に囚われているのが癪であったのだ。
 腰や腿に己の手形をつけ。腹に性器を収めた雄。
 こんな大人にもなりきれていないような童に翻弄されるのだ。この水の神が溺れているなど、冗談にしても酷すぎる。
 その華奢な体を閉じ込めるように、水喰は幸を抱きすくめた。鱗の浮かび上がった頬に、幸の白い手が添えられた。小さな手は容易く水喰の顔を引き寄せる。簡単に振り払えそうなほどのか弱い力なのに、水喰はその手に応えるように唇を重ねた。大きな体で見えなくなってしまうほど、小柄な青年を抱え込む。龍の雄は執着が強いのだ。腕の中で、苦しそうに身じろぐ幸が可愛い。水喰は嬉しそうに喉を鳴らすと、ゆっくりと腰を揺らし始めた。
 
「んン……っあ、あぁ、あ、あ……」
「ん……、いい声だ。」
「ふ、ぁ……き、もひぃ……あ、あぁ、あっ」
 
 太い性器が、ぞりぞりと内壁を擦る。水喰みの茂みが幸の蕾を掠めると、ぞぞぞと背筋を敏感に痺れさせながら身を逸らした。目の前に晒された胸の頂に舌先を這わせれば、まるで子犬の鳴き声のような可愛らしい声で幸が泣く。
 
「ぁあ……ら、らめれす……っ、ふぁ、や、こす、ない、れ……あ、ぁあ、あー……!」
「い、やだ。……はあ、……ここだな。」
「ひっぎ……!っぅあ、あ!あぁ!」
「ほら、出してみろ。できるだろう、雄ならば。」
 
 愉悦を含んだ声色で、水喰が幸の性器を擦り上げる。先端を握り、遊ぶようにグチュグチュと音を立ててやれば、幸は尻を浮かせるほどのけぞった。
 いけない、この刺激はいけない。幸は赤い眼を見開きながら悲鳴混じりに喘ぐと、水喰の手の内側で水が溢れた。
 
「精はどうした。はしたなく雌のように潮ばかり吹いていては、雄の自覚をなくすぞ。」
「ひッ……ンぃ、あ、ああぁっやら、ぁ、あっれ、てぅ、から……っ、いじ、んぁ……っ」
「お前の好きなことをしてやろう、教えてくれ。」
「きゃ、ぅ、あ、ああっい、イぐ、っでひゃぅう……っ……!」
「っく……ン……堪え性のないやつめ。」
 
 だらしなく唾液を垂らしながら、幸はがくがくと揺さぶられた。白い足がわり開かれ、その間に収まった水喰が、まるで好物を抱え込むかのようにしてうまそうに貪る。
 噴き出した幸の精液が己の顔を汚すのすらも気にもとめず、ついにはばつんと乾いた音を立てて強く腰を打ち付けると、幸の体を畳に押さえつけるかのようにしてがつがつと貪った。
 
「やぁ、ああ、ぁま、っへ……と、まっ!んやあぁは、げひ……ぃ、!れ、てぅ、から、あぁ!」
「野暮を申すな、はぁ……さ、ち……」
「ひぅう、あぁ、あー!!いくぅ、あ、い、いくか、ら……ーーっ!!」
 
 打ち付けるたびに、じゅわりと暖かい水流が水喰の下肢にしみてくる。首に回った腕にしがみつかれながら、気がつけば幸の尻に袋を押し付けるまで挿入を果たしていた。
 幸の声が掠れる。赤子のような意味のない音しか発しなくなったことに気がつくと、水喰は酩酊感にも似た感覚に苛まれた。
 ああ、これは征服欲だ。幸を組み敷いて、腹の内側を犯して満足しているのだとようやく理解した。
 
「幸、……楽しいなあ、幸……」
「ひぅ、あ、やぁ……っみ、ずはみ……さま、ぁ……っ……」
「離さぬよ、お前は生涯、この水喰のものである。」
 
 そう言って、どろどろに溶かされた幸を腹に抱えて貪った水龍は、なるほど、この狂おしいものが愛なのだとようやっと理解した。
 
 腹に精を含ませ、飲ませ、もう体液の一滴すら絞り出せぬと幸が泣き喚くのをそのままに可愛がる。こうして不器用な水龍さまは、孤児の亡者を手籠にした。
 初めて得たこの愛おしいという感情にはしゃいでしまっていた、完全に、水喰は大人気なく大はしゃぎであった。
 幸の口から己の名が出るのが嬉しい。なるほど、愛とは確かに呪いである。種付けを始めてから四日目に我に帰った神様は、人としての尊厳を奪われ大泣きに泣いた幸によって、しばらくは口を聞いてもらえなかったという。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

どうして、こうなった?

yoyo
BL
新社会として入社した会社の上司に嫌がらせをされて、久しぶりに会った友達の家で、おねしょしてしまう話です。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

処理中です...