[改稿版]これは百貨店で働く俺の話なんだけど

だいきち

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二章 百貨店にくる顧客に情緒をかき乱される俺の話なんだけど。(大林梓編)

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「はぅ、あ、あっ、ぁあ、っ…!」

 自分が、こんなに濡れた声が出せるだなんて知らなかった。
 胎内を押し開く榊原の性器が、確かな存在感を持って内壁を刺激してくる。摩擦熱で溶けてしまうのではないかと思うほどその律動は激しく、大林はただされるがままに己の足を投げ出しているだけであった。

「体、…っ、痛く、ない?」
「ん、んぅ、ふ…っ、い、いい、から、」
「それは、どっちの?」
「き、気持ち、ぃ…きも、ちぃ、…っふぁ、あっ」
「ちゃんと口にできてえらいね、」

 はあはあと、荒い呼吸の合間に答える大林の感じ入った表情を前に、榊原はその両足を抱え直すかのようにして身をかがめた。ぐっ、と挿入が深くなる。散々舐め解されたそこは、柔軟に榊原の性器を飲み込んでいく。大林のそこはもう完全に雌になったかのようであった。

「ぅあ、…っあ、ぁあ、ゃ、だァ…っ、そこ、こぁ、い…」
「そんな声出さないでよ、我慢できなくなるだろ、」
「ゃ、ゃだ、あ、あぁ、あっお、おっき、ぃ、あぁ、あっ」

 大林の柔らかな内壁を押し開きながら、張り詰めた先端で擦り上げるのは奥のすぼまりだ。大林は怖いというが、ここを擦ると大林の声が上擦り、そして腹が痙攣して気持ちがいいのだ。
 体の感度をここまで上げておいて、嫌だは嘘だということを、榊原はしっかりと理解していた。
 投げ出された手に指を絡める。挿入してから、何度達したのだろう。大林の薄い腹には遂情の後が散らされており、二人の体を繋ぐようにして榊原の腹筋からは大林の精液が垂れていた。
 空いている方の手のひらでその体を撫でるかのように塗り広げると、濡れた指先はそのままに、辿るようにゆっくりと大林の口元に指先を運んだ。
 柔らかな唇に、精液を塗りつける。涙目のまま榊原を見上げた大林が、赤い舌をチラリと見せて、それを舐めとった。

「やらし、」
「ん、んふ…っ、ぅく、っ」

 親指を、柔らかな舌の刺激が包み込む。大林は唾液を絡めるようにして榊原の指に吸い付くと、熱に浮かされた瞳で見上げた。

「舌、出して。」
「ぁ、っ…ぅン」

 素直に差し出された赤い舌に、己の舌を重ねる。毛繕いのような舌同士の戯れにひくんと腹を震わした大林は、次いできた刺激に細い足を跳ね上げた。

「ぅあ、っ…!」
「ン、…ここ、わかる…?」
「ちょ、と…ま、まっ、て、」

 腹の奥が、全く別の意思を持って蠢いているような気がした、大林の鋭敏な神経は、もうこれでもかというほど快感を拾っているというのに、また質の違ったそれが体を苛むのだ。
 こんな刺激なんて知らない。まるで、熱で溶けてしまうかのようなそこがなんなのかはわからなかった。腹の奥が、痙攣している。女のように、一定の間隔で榊原の性器を締め付けてしまう。

「ここ、擦ると、…っ」
「ひゃ、っ、っン、ンぁ、」

熱い榊原の性器が、こちゅこちゅとそこに先端を押し付ける。今にも奥が開いてしまいそうで、怖い。この先の知らない快感は、きっと大林の矜持も全部無かったことにして、自分が自分でなくなってしまうような気がして、怖い。

 震える手で、榊原の肘を掴んだ大林の手。その表情を見下ろせば、怯え混じりではあったが、その先の快楽を期待するかのような、そんな眼差しで重なり合った下腹部を見つめていた。
 榊原は、小さく笑った。なんだその可愛い顔はと思ったのだ。己の手で蕩ける素直な体は、やんわりとした抵抗を見せているくせに、その足は先ほどよりも受け入れるように開かれている。
 これを言ったら、きっとお預けを食らうだろうから口にはしないが、性器を膨らませてしまうくらいにはキてしまった。
 自身の体液で濡れた、己よりもひとまわり小さな手を握りしめる。その指先を開くように手のひらを合わせ絡めると、腕をひくようにして己の首の後ろへと回した。

「は、ふ…っ…、ぁ、あ、り、りょ、う、っ」 
「こんなに、可愛い、…」
「あ、っ…ーーーーーっ!」

 後頭部に手を差し入れて、己の肩口に埋めさせた。その華奢な体を己の腕の中へ閉じ込めると同時に、ゆっくりとその媚肉を割り開くかのようにして押し広げていった。
 己の腰を挟むようにして震えていた大林の両膝が、ぴんと伸びた。抱え切らぬ快感を逃しているようなそれを宥めるように頭を撫でてやれば、力が抜けたのか、ヘナヘナと足を投げ出すようにして下された。

「はい、…った…っ、」

 腰が抜けてしまうほど、気持ちがいい。榊原は大林の蕾に根元をぴたりとくっつけるようにして茂みを濡らす。精液でぐちゃりと濡れそぼった結合部。押し付けた下腹部にあたる大林の性器は、その滑りを流すようにして、しょろしょろと押し出されるように失禁していた。

「ぅ、ぅ、ぅ、う、っ?」
「は、…訳わかんねって顔、かわい、」
「ぉ、く…っひら、ぃひゃ、っ…」
「呂律回ってないね、うん、奥開いちゃったなあ。」
「なん、れぇ…っ」
「挿れたから。」

 乳児が仰向けでぐずるように、大林はひぅひぅと喘ぐ。先程まで腹の奥に凝っていたそれが、どんどんと軽くなっていく。榊原の長いそれが、鞠のように膨らんだ大林の膀胱を押し上げながら結腸を開いたのだ。榊原の腕の中、馬鹿になった股関節を開いたまま、腰の下に暖かな水溜まりを広げていく。
 無理やり排泄されたのに、気がついていないのだろうか。榊原はくつりと笑うと、未だ失禁を続ける性器に指を絡ませて、その尿道口を摩擦するかのように親指で刺激した。

「ン、ンぁ、やっ、だっ、で、でぅ、か、らっ」
「出てるよ、」
「おひ、っこでぅ、から、あっ」
「だから、もう漏れてるんだって。」
「へぁ、…っう、うそ、ら、っああ、ぁ、あっ」

 口端から唾液をこぼし、背筋を弓形にしならせながら嬌声を上げる。ゆるゆると腰を揺らしてやれば、腹に挟まれながら性器がペチペチと揺れるのだ。しぶきを上げているのに、気持ちが良くてどこのがどうなっているのかはわかっていないようだった。

「んとに、かぁいいね、お前。」
「ひぅ、っ…!」

 大林ののけぞった顎を、がじりと甘噛みした。榊原の、ほの暗い執着心を取り繕わぬままの声色に、大林の体はカッと熱くなった。締め付けが強まる結合部、精液の一滴すら残さずに飲み込んでやろういう腹の動きに小さく息を詰めると、榊原は大林の首筋にガジリと噛み付いた。

「あっ、あ、ああっ!」

 その場所は、野暮な痕が残る場所であった。ブワリと香った榊原の匂い。香水でもない、大林が大好きな安心する匂いが鼻腔をくすぐり、その体を素直にさせる。
 振り下ろされるように打ちつけられた腰は、最も簡単にその体を堕とすのだ。しびびと身を震わせ、腕の中でのけぞった体は素直に快感を教え込まれる以外の選択肢はなかった。

「あ、ぁあ、あっン、ンん、ぅ、うあ、ぁやら、ぁ、あーーーっ」

 思考にもやがかかる。性器からじょばじょばと噴き出るものの見当がつかないまま、足を馬鹿みたいにひらかされて、ばつばつと腰を打ちつけられて掘削される。
 胸の突起がしこり、榊原の胸板が押し付けられるだけでも気持ちがいい。腹筋が壊れたように力が入らなくて、何も考えられなくなるというのを初めて体感した。

「ひゃ、ぅ、うっ、うぁ、あゃ、き、もち、ふぁ、あっゃああっ」
「ん、…っ、は、っくそ、っ」
「ふぇ、あ、あー…っ!ぁあ、あっ、ぅあ、あっ、…!」
「気、持ちくて、…泣いてんの、っ…」
「ひぅ、ぁ、っゃ、お、おしま、っ…おし、まぃ、っぁあ、っ」

 体を容赦なく揺さぶられる度に、榊原のベットはギシギシと抗議を上げるかのように軋むのだ。お腹の奥が気持ちいい、気持ちよくて怖いのだ。榊原の茂みが押しつけられる感覚が、力強いその腕が、そして、思考をさせない抽挿が、今お前は、抱かれているのだと体に教え込む。
 汗で滑る背中、榊原の背筋がどう動いているのかも、手のひらから伝わってくる。
 俺、抱かれてるんだ、抱かれてるんだよ、諒に。
 
「あ、ずさ、っ」
「っ、ぃ、う、っ、ぃイ、っぐ、イぐからあ…っも、ゅう、じでぇ…っ!」
「ふは、っ…ん、イ、いよ、」

 大泣きしてしまうほど鋭い快楽に身を侵されて、きっと酷い顔をしているに決まっている。それでも、悲鳴をあげるように喘ぐ己を愛おしそうに見つめて、抑え込んで、失禁しても可愛いと誉めそやす馬鹿な男は榊原以外いなかった。
 こんなに気持ちがいいのも、気持ちが良すぎて泣いたのも、これ以上馬鹿になりたくなくて、許してと懇願したセックスも、全部大林は初めてだった。
 心臓が忙しない。体が熱い。空な眼差しで虚空を見つめながら、精液も、尿も全部垂れ流した獣みたいなセックスに、大林は喃語のような言葉しか出なかった。
 打ちつけが強まって、榊原の袋がばつばつと尻に当たって、もう意識を保っていられないとなった瞬間に、最奥をこじ開けられて熱い精液が注ぎ込まれる。
 根元がグワリと膨らんで、血管が脈打つ鼓動をはっきりと尻の奥で感じ取れた。その刹那に見せた榊原の、ひどく感じ入ったような表情が色っぽくて、大林は情けないほど薄くなった何かを、漏らすように性器から噴き上げた。

「ぁ、あぁ、あーーーー……っ!」
「ぐ、…ぁっ」

 室内に充満した性的な匂いが、吐精後の緩み切った思考に拍車をかける。互いに息も整ってはいないというのに、榊原は空な瞳の大林の顎を引き寄せて、舌同士を擦り合わせるかのようないやらしいキスをするのだ。
 重なり合った部分が熱い、腹の奥が熱い。蕾は開きっぱなしで、摩擦を続けられたまま感覚を失っているような気がした。気だるい余韻に身を任せてしまいたい。濡れたベットシーツに身を預けたまま、思考は許さないと言わんばかりに、榊原の舌に咥内をねぶられる。

「ふ、っんぅ、む…っ…」
「ぁ、ずさ、梓、」
「りょ、ん、んぅ、」

 無骨な手のひらが、肉付きの悪い胸を寄せ集めるかのようにして刺激する。女じゃないからそんなところ感じるわけはないのに、そう思っていたのに、指の股で突起を挟まれるとダメだった。
 腹の奥が痙攣して、榊原の精液を飲み込んでいる気がする。互いに口の周りを唾液で濡らしながら、何度も口内をねぶられる侭に榊原の舌に答えた。

「は、…」

 ぬちゅ、と粘度の高い唾液が互いの唇を繋げた。二人して汗だくで、未だ熱に浮かされたままの酷い状態だ。

「ゃ、う…っ」

 榊原が動いただけで、空気の弾ける音を立てて尻から精液が吹きこぼれた。指の先まで疲労した大林の体を労わるかのように、榊原は性器を抜かぬまま髪を撫でる。
 可愛い、可愛い、口を開かずとも雄弁な瞳に捉えられたまま、大林は従順な愛玩動物のように榊原の手のひらに応える。

「俺だけの、」

 ボソリと呟かれた言葉がなんだったのかはわからない。だけど、その瞳に見つめられると己の本能が疼くのだ。
 口の中に差し込まれた指に、舌を絡ませて応える。ぎらつく瞳に閉じ込められ、再びゆっくりと性器が奥に入ってくるのを感じながら、大林は、激しく求められることの喜びを、再びその身に教えこまされることになるのであった。



 
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