41 / 79
41 *
しおりを挟む
甘えた吐息が出てしまうのが恥ずかしくて、口塞いでて欲しかった。それなのに、柴崎はキスを求める旭に小さく笑って焦らすのだ。
「んぃ、…っあ、あっ」
「もちっと待って、キスしたら、お前の顔が見えなくなるだろ。」
「み、みぁ…い、で、っ」
「やだよ、だって…、こうなったお前、すげえんだもん。」
熱い吐息を漏らした柴崎の表情の方が、いやらしいと思った。
旭は涙でぼやける視界の中、先ほどから柴崎の指先によって何度も性感を煽られていた。
入り口ではないはずのそこに差し込まれた二本の柴崎の指は、内壁をくすぐるようにして、先ほどから慎重に旭の狭いそこを馴染ませる。
しこりらしきものを指先でかすめられ、ぶぴゅ、とはしたない音を立てて精液を吹き零してからは、ピンポイントにそこを刺激され、旭のそこはじゅくりと熟れてしまった。
額に口付けられ、ゆっくりと柴崎の指の三本目を飲み込んでいく。縁がひりついて少しだけ痛い。それでも、柴崎のを受け入れることが出来るのなら、耐えられない痛みではなかった。
「痛い?」
「へ、…ぃき…っ」
「もちっと、頑張れるか。」
「ん、」
柴崎の唇が耳元に触れて、お伺いをたてる癖に、柔らかく耳まで喰むのだ。
心配だけど、欲は抑えられんと言わんばかりのあべこべな柴崎の情緒が可愛くて、旭は主導権は自分にあったのかと勘違いしてしまうくらいには、仄かな悦のようなものを感じた。
旭の細い足が、ゆっくりと柴崎の腰を挟む。わかっていてやったくせに、柴崎の瞳が細まったのを見て、やらかしたと思った。
「煽るにしても、タイミング悪い。」
「え、ぁ」
「俺が、どれだけ我慢してると思ってんの。」
少しだけ辛そうな声色で言われる。
眉を寄せ、何か飲み込み辛いものを嚥下するかのような表情をした後、柴崎は旭の手をとった。
大きな掌が、割り開くようにして旭の手を開かせる。そのまま誘導するかのように旭の手が連れていかれたのは、柴崎の熱を帯びる場所であった。
指先が、柴崎の下肢にあたる。まるで形を確かめるかのように手を添えらえると、柴崎が旭の頬に口付けた。
「わかった?」
「わ、わかっ、た…」
ただでさえ頭が溶けかけていると言うのに、柴崎の熱く、膨らんだそこに手を押しつけられたのだ。
それだけの行為で、旭の体は分かりやすく震え、吐息混じりにあえかな声を漏らしてしまった。
旭の指先が、柴崎の下腹部の血管を辿るようにして、下着の縁に添えられる。甘く頬を啄むような口付けをされながら、旭は柴崎の下着の中に手を差し込んだ。
「ん、」
少しだけ、柴崎の声が漏れた。それだけで、背筋が痺れてしまいそうだった。
指先が、茂みを越えて性器に触れた。つるりとした先端から滲んだ先走りを塗り広げるように、ゆっくりと手で柔らかく包んだ後、形を確かめるようにして柴崎の性器を取り出した。
「えっち。」
「う、うるさい、」
がじりと頬に歯を立てられる。火傷しそうなほどに熱を帯びた柴崎の大きなそれに、本当に入るのだろうかと少しだけ狼狽えた。
それも、柴崎が再び旭の蕾をゆるく刺激したことで霧散してしまったが。
「ぁ、っ」
「一回、入れてんから。」
「ふ、ぅ、うっ…ま、まっ、て、」
「入るよ。だけど、ごめん。」
「へぁ、っ」
旭の膝がびくりと跳ねた。柴崎が掬い上げるようにして旭の膝裏に手を回すと、ぐっと体を折り曲げられる。持ち上がった尻、その隙間に押しつけられた柴崎の熱い性器に、小さく息を飲んだ。
「もう、無理。」
柴崎が、熱の灯る瞳で旭を見つめた。その瞬間であった。
「ふ、ぅ、ぅう、うっ…!」
ヒュ、と旭が喉を鳴らした。突然酸素が鋭く肺を満たし、全身の細胞が沸き立ったような気がした。熱が、旭の内壁を押し広げるかのようにして、ゆっくりと侵入してくる。
今から入れるよ、とか言ってくれよ。
旭は目の奥からじんわりと涙を滲ませると、そんなことを思った。そして、あの時のごめんは、つまりはこう言ったことかと理解した。
「ひゃ、ゃ、ゃあ、ま、まっ、て、ぁ、まって、まっ、」
「やだ、」
「ゃら、ゃ、やあ、あ、ぁつ、い…っ!」
「うん、」
ヒック、と喉が震えた。柴崎が侵入してくるだけで、旭の体が雌になっていくのがわかるのだ。
こんな、辛い快感は知らない。勝手に涙が出てきて、口からは自分のものじゃないように甘えた声が出てしまう。それが恥ずかしくて口を真一文字に結べば、今度は息ができないから、結局また情けなく鳴き声を漏らしてしまう。
柴崎の大きな掌が、旭の後頭部に回って抱き込まれる。唇が触れた柴崎の肩口に歯を立てれば、宥めるように頭を撫でられた。
「お、ぉれ…っ、待って、ってぃ、いっ、たぁ…っ…ふ、ぅ、う…っ…」
「無理だって、言ったろ…くそ、」
「ぉ、おなか、…く、ぅし…っ…」
「ごめん、…でも、」
はふはふと苦しげに呼吸をしながら、旭はしっかりと抱き込まれた柴崎の腕の中で、縋るように背中に手を回す。柴崎の声が濡れている。この人は、感じるとこんな声を出すのだと、ぼんやりする思考の合間に、そんなことを思った。
「ずっと、こうしたかった。」
「ず、ずるぃ…」
旭の頬に頬をすり寄せながら、そんなことを言う。
こんなのずるい、そんなこと言われてしまったら、可愛いと思ってしまうじゃないか。
旭の蕾も、腹の内側も容赦なく広げる柴崎の性器は全くもって可愛くないのに、本当にこの人はずるい。
「んぃ、…っあ、あっ」
「もちっと待って、キスしたら、お前の顔が見えなくなるだろ。」
「み、みぁ…い、で、っ」
「やだよ、だって…、こうなったお前、すげえんだもん。」
熱い吐息を漏らした柴崎の表情の方が、いやらしいと思った。
旭は涙でぼやける視界の中、先ほどから柴崎の指先によって何度も性感を煽られていた。
入り口ではないはずのそこに差し込まれた二本の柴崎の指は、内壁をくすぐるようにして、先ほどから慎重に旭の狭いそこを馴染ませる。
しこりらしきものを指先でかすめられ、ぶぴゅ、とはしたない音を立てて精液を吹き零してからは、ピンポイントにそこを刺激され、旭のそこはじゅくりと熟れてしまった。
額に口付けられ、ゆっくりと柴崎の指の三本目を飲み込んでいく。縁がひりついて少しだけ痛い。それでも、柴崎のを受け入れることが出来るのなら、耐えられない痛みではなかった。
「痛い?」
「へ、…ぃき…っ」
「もちっと、頑張れるか。」
「ん、」
柴崎の唇が耳元に触れて、お伺いをたてる癖に、柔らかく耳まで喰むのだ。
心配だけど、欲は抑えられんと言わんばかりのあべこべな柴崎の情緒が可愛くて、旭は主導権は自分にあったのかと勘違いしてしまうくらいには、仄かな悦のようなものを感じた。
旭の細い足が、ゆっくりと柴崎の腰を挟む。わかっていてやったくせに、柴崎の瞳が細まったのを見て、やらかしたと思った。
「煽るにしても、タイミング悪い。」
「え、ぁ」
「俺が、どれだけ我慢してると思ってんの。」
少しだけ辛そうな声色で言われる。
眉を寄せ、何か飲み込み辛いものを嚥下するかのような表情をした後、柴崎は旭の手をとった。
大きな掌が、割り開くようにして旭の手を開かせる。そのまま誘導するかのように旭の手が連れていかれたのは、柴崎の熱を帯びる場所であった。
指先が、柴崎の下肢にあたる。まるで形を確かめるかのように手を添えらえると、柴崎が旭の頬に口付けた。
「わかった?」
「わ、わかっ、た…」
ただでさえ頭が溶けかけていると言うのに、柴崎の熱く、膨らんだそこに手を押しつけられたのだ。
それだけの行為で、旭の体は分かりやすく震え、吐息混じりにあえかな声を漏らしてしまった。
旭の指先が、柴崎の下腹部の血管を辿るようにして、下着の縁に添えられる。甘く頬を啄むような口付けをされながら、旭は柴崎の下着の中に手を差し込んだ。
「ん、」
少しだけ、柴崎の声が漏れた。それだけで、背筋が痺れてしまいそうだった。
指先が、茂みを越えて性器に触れた。つるりとした先端から滲んだ先走りを塗り広げるように、ゆっくりと手で柔らかく包んだ後、形を確かめるようにして柴崎の性器を取り出した。
「えっち。」
「う、うるさい、」
がじりと頬に歯を立てられる。火傷しそうなほどに熱を帯びた柴崎の大きなそれに、本当に入るのだろうかと少しだけ狼狽えた。
それも、柴崎が再び旭の蕾をゆるく刺激したことで霧散してしまったが。
「ぁ、っ」
「一回、入れてんから。」
「ふ、ぅ、うっ…ま、まっ、て、」
「入るよ。だけど、ごめん。」
「へぁ、っ」
旭の膝がびくりと跳ねた。柴崎が掬い上げるようにして旭の膝裏に手を回すと、ぐっと体を折り曲げられる。持ち上がった尻、その隙間に押しつけられた柴崎の熱い性器に、小さく息を飲んだ。
「もう、無理。」
柴崎が、熱の灯る瞳で旭を見つめた。その瞬間であった。
「ふ、ぅ、ぅう、うっ…!」
ヒュ、と旭が喉を鳴らした。突然酸素が鋭く肺を満たし、全身の細胞が沸き立ったような気がした。熱が、旭の内壁を押し広げるかのようにして、ゆっくりと侵入してくる。
今から入れるよ、とか言ってくれよ。
旭は目の奥からじんわりと涙を滲ませると、そんなことを思った。そして、あの時のごめんは、つまりはこう言ったことかと理解した。
「ひゃ、ゃ、ゃあ、ま、まっ、て、ぁ、まって、まっ、」
「やだ、」
「ゃら、ゃ、やあ、あ、ぁつ、い…っ!」
「うん、」
ヒック、と喉が震えた。柴崎が侵入してくるだけで、旭の体が雌になっていくのがわかるのだ。
こんな、辛い快感は知らない。勝手に涙が出てきて、口からは自分のものじゃないように甘えた声が出てしまう。それが恥ずかしくて口を真一文字に結べば、今度は息ができないから、結局また情けなく鳴き声を漏らしてしまう。
柴崎の大きな掌が、旭の後頭部に回って抱き込まれる。唇が触れた柴崎の肩口に歯を立てれば、宥めるように頭を撫でられた。
「お、ぉれ…っ、待って、ってぃ、いっ、たぁ…っ…ふ、ぅ、う…っ…」
「無理だって、言ったろ…くそ、」
「ぉ、おなか、…く、ぅし…っ…」
「ごめん、…でも、」
はふはふと苦しげに呼吸をしながら、旭はしっかりと抱き込まれた柴崎の腕の中で、縋るように背中に手を回す。柴崎の声が濡れている。この人は、感じるとこんな声を出すのだと、ぼんやりする思考の合間に、そんなことを思った。
「ずっと、こうしたかった。」
「ず、ずるぃ…」
旭の頬に頬をすり寄せながら、そんなことを言う。
こんなのずるい、そんなこと言われてしまったら、可愛いと思ってしまうじゃないか。
旭の蕾も、腹の内側も容赦なく広げる柴崎の性器は全くもって可愛くないのに、本当にこの人はずるい。
1
お気に入りに追加
164
あなたにおすすめの小説

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭
さよならの向こう側
よんど
BL
''Ωのまま死ぬくらいなら自由に生きようと思った''
僕の人生が変わったのは高校生の時。
たまたまαと密室で二人きりになり、自分の予期せぬ発情に当てられた相手がうなじを噛んだのが事の始まりだった。相手はクラスメイトで特に話した事もない顔の整った寡黙な青年だった。
時は流れて大学生になったが、僕達は相も変わらず一緒にいた。番になった際に特に解消する理由がなかった為放置していたが、ある日自身が病に掛かってしまい事は一変する。
死のカウントダウンを知らされ、どうせ死ぬならΩである事に縛られず自由に生きたいと思うようになり、ようやくこのタイミングで番の解消を提案するが...
運命で結ばれた訳じゃない二人が、不器用ながらに関係を重ねて少しずつ寄り添っていく溺愛ラブストーリー。
(※) 過激表現のある章に付けています。
*** 攻め視点
※当作品がフィクションである事を理解して頂いた上で何でもOKな方のみ拝読お願いします。
扉絵
YOHJI@yohji_fanart様
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる