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カルマイン編
カルマイン
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陽気な街だなあ。シグムントは、カルマインに入ってそんなことを思った。
可愛らしい色合いをしたタイルが貼り付けられた石造の家が並んでいる。その家々を繋ぐように垂らされたガーランドが風にはためく様子は、なんともメルヘンである。まるで、今にも店舗の良い曲が流れてきそうであった。
ポカンと口を開けたまま見上げているシグムントの口を、イザルが閉じる。活気のある街の様子は、訪れた時期も関係しているらしい。本当にどこからか陽気な音楽隊の奏でる音が流れてきた。
「賑々しいな。もう祭りの時期か」
「恒例なのか?」
「シグムントは知らないか。カルマインの鎮魂祭だよ。通ってきたユイド平原で魔物と人間がぶつかった話をしただろう。そこで亡くなった戦死者を弔うのが目的なんだ」
「なんと、ゴーストが出るのか!」
「ゴーストは出ねえ」
そういう意味合いではない。すかさずシグムントの勘違いを正すイザルの手腕は慣れたものだ。よくわかっていない様子のシグムントに、ルシアンが優しく付け加える。
「このお祭りには、魂を慰める意味合いがあるんだよ。人間の風習だ」
「ほぉん……」
「あんま分かってないだろう」
生返事がバレたらしい、イザルが呆れた声を漏らした。
足元では、イェネドがふんふんと鼻を効かせるように空中の匂いを検分している。色々な匂いが混じっているせいか、いつもよりも真剣な顔をしている気がする。
「アゥア」
「なんだ、メイディア探しているのか」
「クゥン……」
どうやらご執心であるメイディアの匂いを探していたらしい。この人混みの中を探し出すにしても骨が折れそうだ。様々な匂いにやられたのか、ブシンとくしゃみをするイェネドの頭を手慰みに撫でるシグムントは、物珍しそうに辺りを見渡していた。
「とりあえず宿取るか。ここらでゆっくりしたってばち当たんねえだろう」
「そんなものが当たることもあるのか。人間の国は怖いな……」
「うん、シグムントが想像しているものはとんでこないから安心して」
祭りを盛り上げる楽団から太鼓のバチが飛んできやしないかと、眉を下げるシグムントを微笑ましそうにルシアンが見つめる。早々に訂正を弟に丸投げしたイザルは、スタスタと歩き出していた。
その背中を、二人と一匹で後を追う。イザルもルシアンも長身だからいいが、イェネドとシグムントからすれば人混みは肉壁だ。きっと逸れたらそうそう会うことはできないだろう。
イェネドがシグムントへ握らせた手綱を引くように、小走りで追いかける。魔族二人、揃いも揃って人混みに揉みくちゃにされたどり着いたのは、随分と立派な宿だった。
「……仕方ないだろう、他は埋まっていたんだから」
「よりにもよって金のかかりそうなところしか空いてねぇとか……」
一人旅をしていた頃の反動からだろうか、意外とイザルはケチくさい。
外装は街並みに準じるのか、白い壁に格子窓の出窓が各部屋についているようなお屋敷じみた宿だ。魔王城もこんな具合に可愛らしい作りならよかったのに。そんな、とんでもないことを考えているシグムントの隣で、ルシアンが涼しい顔で財布を出した。
「お前だけ安宿に泊まればいい。ないのは四人部屋だけだったろう。俺はシグと泊まる」
「下心見えてんだよてめえ……」
「ギャワン!」
「その前に、イェネドも入れるのかここ……」
イザルとルシアンとは違った方向で心配をするシグムントに、イェネドがハッとした顔をする。外の案内には、ペット同伴不可の文字が刻まれている。慌ててイザルへと元の姿に戻る許可を貰おうとするイェネドは、側から見れば犬が飼い主に甘えているようだった。
首の手綱を引っ張られるようにして、イェネドはイザルと路地に消えた。人型になって戻ってきたのは数分後だ。心なしかしょぼくれているイェネドは、イザルによって自慢のしっぽを隠すように腹に縛り付けられたようだった。
金がかかると顔面に嫌を貼り付けていたイザルの名前を、結局宿の帳簿に記入した。目の前で観光客だろう恋人同士がちちくり合いをしながら宿の中に消えていったのをみて、ようやく踏ん切りがついたのだ。このまま休める宿がなくなって野宿するよりかはよほどいい。清潔魔法は常にかけていたが、暖かい湯船も恋しかったのだ。
宿の受付は、大柄な美男子三人を引き連れたシグムントを前にあっけにとられたように固まっていたのが印象的だった。もしかしたら、イェネドの首輪に繋がる手綱も握りしめていたからかもしれないが、宿を取れたからまあよしとしよう。
小綺麗にされているが、ベットのおかげで狭く感じる部屋である。不毛な争いとは無縁なイェネドがご機嫌で窓際のソファの上を陣取った背後では、シグムントを挟んでイザルとルシアンの静かなる牽制が始まっていた。
「カルマインでの目的は二つだ。まずはシグムントの装備を買うための金を稼ぐ。あとは宿代もだ」
「お前のケチさには脱帽するな。それくらい出してやればいいだろう」
「馬鹿野郎、甘やかすなって言ってんだ。こいつだってこんな見た目で俺らよりも年上なんだぞ。そろそろ要介護から脱却をしてもらわねえと」
「なんだなんだ、俺だって金の勘定ぐらいはできるさ。一番おっきくてキラキラしているのが高額なのだろう?」
やれやれと言わんばかりに堂々と口を挟んだシグムントの服を引っ張るようにして、イェネドがソファへと座らせる。
その顔は出来の悪い弟を見るような目つきだ。見た目の割に頭が弱いイェネドであるが、シグムントに対しては世話焼き気質が全面に出ている。
「だめだよシグ、群れのボスが戦略を練ってる時は大人しくしておかなきゃ」
「でも一番は金もだが、食料調達だって必要だろう。寝床は確保できたんだ、俺は湯浴みだってしたい」
「違うよ、一番はメイディア探しだ。だって俺の嫁さんにするんだもん、シグだって二人の雌なんだから雄の気持ちわかるでしょ」
「だから俺にもちんちんがついておるというに!」
イェネドからも雌認定を受けているシグムントは、全くもって不本意であると言わんばかりに声を上げた。悲しきかなそんな叫びもまともに取り合ってもらったこともないが。
どうやら落とし所は見つかったらしい。イェネドがイザルたちへと視線を向ける。最終的には最も定番な方法で決めたようだ。拳を掲げるイザルの足元では、指を二本立てたルシアンが床に崩れ落ちていた。
「一番可哀想なの、俺じゃないかなあ」
「おらシグムント。風呂入ったら飯食いに行くぞ」
「イザル、俺にだってちんちんはついていると証明してくれ!」
「なんの話してたの」
イェネドを指差して文句を言うシグムントの言葉に、ルシアンがポカンとする。
そんな間抜けな抗議も虚しく、シグムントは首根っこを掴まれるようにして浴室へと引き摺り込まれていった。
「さっきなんのジャンケンしてたの」
「シグムントと一緒に風呂に入る権利」
「さっき要介護からの脱却って言ってたのにい⁉︎」
アオンと吠えるように、ついツッコミを入れてしまったイェネドは絶対に悪くないと思う。
そんなことがあった数時間後。イザルたちはカルマインに到着した時よりも幾分かさっぱりとした顔つきで夜の街に繰り出していた。
イェネドの首輪から繋がる紐はシグムントが握っていた。祭りの目玉でもある大きな花火の音が聞こえた途端、イェネドと二人、魔族組はびっくりして駆け出そうとしたのをルシアンが止めたのだ。
人が多いところに慣れていない弊害がこんなところに出るだなんて、本人たちも思っていなかったようだ。
「なんで火薬を空に打ち上げる必要があるんだ。戦争でも始まったのかと思ったぞ」
「アゥン……」
「人間の祭りを知らねえくせに、よく魔物屋を人間界に送り出したなお前は……」
「うぅう……こんな怖い思いをしているとは思わなかった……。俺ももう少し見識を広めるべきかもしれん……」
シグムントと共にしょぼくれたイェネドは、お前がシグムントの手綱を離すなと言われて再び転化していた。シグムントが握る手綱を咥えたまま、くっつくように歩く二人は、人混みに慣れていないせいか物おじしているようだった。
「もう屋台で適当に買って、そこらの広場でくっちまおう」
「エールが飲みたい。酒も買おう」
「なあ、あのふわふわしたのなんだ! イェネド、俺と一緒に見に行かないか!」
「積極的に迷子になるな」
シグムントが早速綿菓子の屋台に反応を示して駆け出そうとした。その首根っこを掴んで引き留めるやりとりも、もう宿を出てから二回目だ。
イェネドとシグムントの間に走る手綱をしっかりと握りしめる。イザルが疲れたようにため息を吐くその背後では、ルシアンがしっかりと串焼きを買っていた。
「あ、てめえ一人だけ」
「俺が二人を見ておくから、お前も買ってくればいいだろう」
「お前、俺がいねえからってシグムントにあんまなんでも買い与えんなよ」
「わかったわかった」
野良犬をあしらうかのようなそぶりでイザルを見送るルシアンは、イェネドと二人で綿菓子を見つめるシグムントの頭をワシワシと撫でる。こぶ付きではあるが、ようやくシグムントと二人きりである。
少し離れたところではイザルがバゲットを買っている。やわらかいパンで挟んでいるサンドはシグムント用だろうか、どの口が甘やかすなと言っているのだと、思わず呆れてしまった。
可愛らしい色合いをしたタイルが貼り付けられた石造の家が並んでいる。その家々を繋ぐように垂らされたガーランドが風にはためく様子は、なんともメルヘンである。まるで、今にも店舗の良い曲が流れてきそうであった。
ポカンと口を開けたまま見上げているシグムントの口を、イザルが閉じる。活気のある街の様子は、訪れた時期も関係しているらしい。本当にどこからか陽気な音楽隊の奏でる音が流れてきた。
「賑々しいな。もう祭りの時期か」
「恒例なのか?」
「シグムントは知らないか。カルマインの鎮魂祭だよ。通ってきたユイド平原で魔物と人間がぶつかった話をしただろう。そこで亡くなった戦死者を弔うのが目的なんだ」
「なんと、ゴーストが出るのか!」
「ゴーストは出ねえ」
そういう意味合いではない。すかさずシグムントの勘違いを正すイザルの手腕は慣れたものだ。よくわかっていない様子のシグムントに、ルシアンが優しく付け加える。
「このお祭りには、魂を慰める意味合いがあるんだよ。人間の風習だ」
「ほぉん……」
「あんま分かってないだろう」
生返事がバレたらしい、イザルが呆れた声を漏らした。
足元では、イェネドがふんふんと鼻を効かせるように空中の匂いを検分している。色々な匂いが混じっているせいか、いつもよりも真剣な顔をしている気がする。
「アゥア」
「なんだ、メイディア探しているのか」
「クゥン……」
どうやらご執心であるメイディアの匂いを探していたらしい。この人混みの中を探し出すにしても骨が折れそうだ。様々な匂いにやられたのか、ブシンとくしゃみをするイェネドの頭を手慰みに撫でるシグムントは、物珍しそうに辺りを見渡していた。
「とりあえず宿取るか。ここらでゆっくりしたってばち当たんねえだろう」
「そんなものが当たることもあるのか。人間の国は怖いな……」
「うん、シグムントが想像しているものはとんでこないから安心して」
祭りを盛り上げる楽団から太鼓のバチが飛んできやしないかと、眉を下げるシグムントを微笑ましそうにルシアンが見つめる。早々に訂正を弟に丸投げしたイザルは、スタスタと歩き出していた。
その背中を、二人と一匹で後を追う。イザルもルシアンも長身だからいいが、イェネドとシグムントからすれば人混みは肉壁だ。きっと逸れたらそうそう会うことはできないだろう。
イェネドがシグムントへ握らせた手綱を引くように、小走りで追いかける。魔族二人、揃いも揃って人混みに揉みくちゃにされたどり着いたのは、随分と立派な宿だった。
「……仕方ないだろう、他は埋まっていたんだから」
「よりにもよって金のかかりそうなところしか空いてねぇとか……」
一人旅をしていた頃の反動からだろうか、意外とイザルはケチくさい。
外装は街並みに準じるのか、白い壁に格子窓の出窓が各部屋についているようなお屋敷じみた宿だ。魔王城もこんな具合に可愛らしい作りならよかったのに。そんな、とんでもないことを考えているシグムントの隣で、ルシアンが涼しい顔で財布を出した。
「お前だけ安宿に泊まればいい。ないのは四人部屋だけだったろう。俺はシグと泊まる」
「下心見えてんだよてめえ……」
「ギャワン!」
「その前に、イェネドも入れるのかここ……」
イザルとルシアンとは違った方向で心配をするシグムントに、イェネドがハッとした顔をする。外の案内には、ペット同伴不可の文字が刻まれている。慌ててイザルへと元の姿に戻る許可を貰おうとするイェネドは、側から見れば犬が飼い主に甘えているようだった。
首の手綱を引っ張られるようにして、イェネドはイザルと路地に消えた。人型になって戻ってきたのは数分後だ。心なしかしょぼくれているイェネドは、イザルによって自慢のしっぽを隠すように腹に縛り付けられたようだった。
金がかかると顔面に嫌を貼り付けていたイザルの名前を、結局宿の帳簿に記入した。目の前で観光客だろう恋人同士がちちくり合いをしながら宿の中に消えていったのをみて、ようやく踏ん切りがついたのだ。このまま休める宿がなくなって野宿するよりかはよほどいい。清潔魔法は常にかけていたが、暖かい湯船も恋しかったのだ。
宿の受付は、大柄な美男子三人を引き連れたシグムントを前にあっけにとられたように固まっていたのが印象的だった。もしかしたら、イェネドの首輪に繋がる手綱も握りしめていたからかもしれないが、宿を取れたからまあよしとしよう。
小綺麗にされているが、ベットのおかげで狭く感じる部屋である。不毛な争いとは無縁なイェネドがご機嫌で窓際のソファの上を陣取った背後では、シグムントを挟んでイザルとルシアンの静かなる牽制が始まっていた。
「カルマインでの目的は二つだ。まずはシグムントの装備を買うための金を稼ぐ。あとは宿代もだ」
「お前のケチさには脱帽するな。それくらい出してやればいいだろう」
「馬鹿野郎、甘やかすなって言ってんだ。こいつだってこんな見た目で俺らよりも年上なんだぞ。そろそろ要介護から脱却をしてもらわねえと」
「なんだなんだ、俺だって金の勘定ぐらいはできるさ。一番おっきくてキラキラしているのが高額なのだろう?」
やれやれと言わんばかりに堂々と口を挟んだシグムントの服を引っ張るようにして、イェネドがソファへと座らせる。
その顔は出来の悪い弟を見るような目つきだ。見た目の割に頭が弱いイェネドであるが、シグムントに対しては世話焼き気質が全面に出ている。
「だめだよシグ、群れのボスが戦略を練ってる時は大人しくしておかなきゃ」
「でも一番は金もだが、食料調達だって必要だろう。寝床は確保できたんだ、俺は湯浴みだってしたい」
「違うよ、一番はメイディア探しだ。だって俺の嫁さんにするんだもん、シグだって二人の雌なんだから雄の気持ちわかるでしょ」
「だから俺にもちんちんがついておるというに!」
イェネドからも雌認定を受けているシグムントは、全くもって不本意であると言わんばかりに声を上げた。悲しきかなそんな叫びもまともに取り合ってもらったこともないが。
どうやら落とし所は見つかったらしい。イェネドがイザルたちへと視線を向ける。最終的には最も定番な方法で決めたようだ。拳を掲げるイザルの足元では、指を二本立てたルシアンが床に崩れ落ちていた。
「一番可哀想なの、俺じゃないかなあ」
「おらシグムント。風呂入ったら飯食いに行くぞ」
「イザル、俺にだってちんちんはついていると証明してくれ!」
「なんの話してたの」
イェネドを指差して文句を言うシグムントの言葉に、ルシアンがポカンとする。
そんな間抜けな抗議も虚しく、シグムントは首根っこを掴まれるようにして浴室へと引き摺り込まれていった。
「さっきなんのジャンケンしてたの」
「シグムントと一緒に風呂に入る権利」
「さっき要介護からの脱却って言ってたのにい⁉︎」
アオンと吠えるように、ついツッコミを入れてしまったイェネドは絶対に悪くないと思う。
そんなことがあった数時間後。イザルたちはカルマインに到着した時よりも幾分かさっぱりとした顔つきで夜の街に繰り出していた。
イェネドの首輪から繋がる紐はシグムントが握っていた。祭りの目玉でもある大きな花火の音が聞こえた途端、イェネドと二人、魔族組はびっくりして駆け出そうとしたのをルシアンが止めたのだ。
人が多いところに慣れていない弊害がこんなところに出るだなんて、本人たちも思っていなかったようだ。
「なんで火薬を空に打ち上げる必要があるんだ。戦争でも始まったのかと思ったぞ」
「アゥン……」
「人間の祭りを知らねえくせに、よく魔物屋を人間界に送り出したなお前は……」
「うぅう……こんな怖い思いをしているとは思わなかった……。俺ももう少し見識を広めるべきかもしれん……」
シグムントと共にしょぼくれたイェネドは、お前がシグムントの手綱を離すなと言われて再び転化していた。シグムントが握る手綱を咥えたまま、くっつくように歩く二人は、人混みに慣れていないせいか物おじしているようだった。
「もう屋台で適当に買って、そこらの広場でくっちまおう」
「エールが飲みたい。酒も買おう」
「なあ、あのふわふわしたのなんだ! イェネド、俺と一緒に見に行かないか!」
「積極的に迷子になるな」
シグムントが早速綿菓子の屋台に反応を示して駆け出そうとした。その首根っこを掴んで引き留めるやりとりも、もう宿を出てから二回目だ。
イェネドとシグムントの間に走る手綱をしっかりと握りしめる。イザルが疲れたようにため息を吐くその背後では、ルシアンがしっかりと串焼きを買っていた。
「あ、てめえ一人だけ」
「俺が二人を見ておくから、お前も買ってくればいいだろう」
「お前、俺がいねえからってシグムントにあんまなんでも買い与えんなよ」
「わかったわかった」
野良犬をあしらうかのようなそぶりでイザルを見送るルシアンは、イェネドと二人で綿菓子を見つめるシグムントの頭をワシワシと撫でる。こぶ付きではあるが、ようやくシグムントと二人きりである。
少し離れたところではイザルがバゲットを買っている。やわらかいパンで挟んでいるサンドはシグムント用だろうか、どの口が甘やかすなと言っているのだと、思わず呆れてしまった。
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