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シグムントの矜持 *
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「俺とお揃いだなあイザル……」
「はぁ……」
なんでこうなった。というのがイザルの言い分だ。シグムントは今、目の前に晒されたイザルの性器を穏やかな瞳で見つめていた。まるで生き別れの兄弟に向けるような、そんな目である。
イザルがこれから何をしようとしているのかも、シグムントはまるでわかってはいないだろう。とは言っても、口で奉仕をされるわけでもないのに、至近距離で己の性器を見せつづける趣味はイザルにはない。シグムントの手首を掴むと、そっと性器に触れさせた。
蛇の特徴を持つ魔族の性器が二本あると聞いて、想像して愚かにも少しだけ萎れたそれは、それでもシグムントの手で握るには大きすぎた。
相変わらず、抵抗もせずに素直にされるがままである。イザルは邪魔な前髪をかきあげると、シグムントの手に重ねるように性器を握りしめた。
「い、イザル……これは?」
「勃たせてんだよ。このままじゃ遊べねえだろう」
「俺と遊んでくれるのか?」
「そんな期待のこもった目で見るんじゃねえ」
どうやらまた言い回しを間違えたと気がついて、イザルは思わず渋い顔をした。構われたがりなことは知っていたが、こんな状況で天然を発揮しなくてもいいだろう。
シグムントの言う遊ぶ、には程遠いが、イザルはそのまま重ねた手を動かした。シグムントの手を使った自慰である。
「い、イザル……な、なんかこれ、妙な気持ちになる……」
「だろうよ。ん、……」
「わ、わ、わ……っ」
緊張しているのか、シグムントの上擦った声が聞こえた。イザルは目を細めるようにして、小さな手の中から見え隠れする己の性器を目に映す。先程まで萎れかけていたと言うことが嘘のように、硬さは徐々に戻ってきていた。
寛げたボトムスの隙間から見える見事な腹筋が引き絞られ、時折ひくんと痙攣する。目配せをすれば、シグムントは目を丸くして動きを止めていた。
「ぅ、……」
「ん、勃った……」
「あ、」
イザルが、ふ、と吐息を漏らした。シグムントを見下ろす銀灰の双眸に、欲の炎が再び灯る。イザルの真下、濡れた瞳のまま、白い肌を上気させて黙り込むシグムントの変化を、当然見逃すわけもない。
「お前もか」
「ひぅ、っ」
シグムントの両脇に腕を突っ込んだ。己の足の間から引き摺り出すようにして持ち上げると、閉じられていた膝が開き、膨らんだ性器が晒される。シグムントの体を膝に乗せるようにして抱え込むと、そのままベットへと押し倒す。白い足はイザルの腰を挟むようにおさまっていた。
「ひょわ……っこ、この体勢いゃだ……っ」
「腰、もうちっとこっち寄越せ」
「ま、こ、ほわぁ…っ!」
シグムントの足を抱え上げたイザルによってシャツを脱がされる。膝を持ち上げるようにまろい尻を晒されて、小さな手が視界を遮るように伸ばされた。
しかし、その手は窘められるように掴まれると、イザルの首の後ろへと回された。大きな手のひらに尻を鷲掴まれ、シグムントの喉から妙な声がこぼれる。体質だろうか、少しだけ体温が低い気がした。
「しょっ……触診、というやつか」
「お前、思ったこと全部口に出す癖やめた方がいいぞ……」
「なんと」
当然、尻の揉み心地で健康が図れるわけがない。しかし、華奢なくせに尻の肉付きだけはいいシグムントを前に、喋らなければ本当に上等な体をしているのにとイザルは改めて思った。
晒されたシグムントの性器は、皮膚が薄いせいか先端に向けてほんのりと薄桃色をしていた。何も知らなさそうな性器である。同性のそれを見てこんなに嫌悪感を抱かないとは、やはり見た目とは大切である。
僅かに反応をする性器に指を絡ませた。思わず腰が跳ねたのだろう、シグムントは柔い尻をイザルの性器へと押しつける。
「積極的なのは嫌いじゃねえ」
「熱、熱い! なんでそんな形をしている⁉︎」
「男は元気になるとこうなんだよ」
「俺も男だけどそうはならないとおもぅわぁーーっ!」
情けない悲鳴が上がった。当然、シグムントの声である。これ以上脱線するのが面倒くさくて、小ぶりな性器の先端を指で摩擦したのだ。
にゅち、と濡れた音がして、唐突な刺激にシグムントの足が跳ね上がる。その眼は見開かれたままだ。しかし、頭上に疑問符を散らすように、体に起こった明確な変化に動揺を極めている。シグムントの両足は可哀想なくらいに震え、口を押さえた手のひらの内側では、短い呼吸を繰り返している。
イザルは、そんな様子を前に、実に満足そうに笑う。その笑みの意地の悪さと言ったら、筆舌に尽くし難い。
「っ、っぁ、う……」
「いいね。もっと声出せや」
「ち、ちが、ひぅ、あ……っ」
シグムントの細い腰が震える。イザルの手の中の性器へと、神経が集中してしまったかのような性感に身を投じていた。性器が熱くなり、膨らみ、根本が腹の奥へと繋がるかのようにじくんじくんと疼痛が身を襲う。イザルの指の動きが滑らかになってきてわかった。シグムントの先端から、何かが滲んでいる。とろみのあるそれが幹全体に塗りたくられ、聞きたくもないような水音がするのだ。
「ぁや、な、なん、ぁっ……い、ぃあ、る、ひゃめ、っ」
手を止めてくれ、それは怖い。シグムントは、知らぬ感覚に身を任せることに怯えていた。体の力が抜け、ただベットに身を預けるほかはない。それでも体は正直で、離れないでと言わんばかりにイザルの腰を足で挟む。
イザルの指先が、ぬかるみを肉に馴染ませるように巧みに動く。尻の下に水気を感じて、シグムントの顔は羞恥に染まる。これから寝る場所なのに、汚してしまっているのだ。
これ以上はいけない。譫言は音にもならなかった。体の痺れの奥に、痛みだけではない疼きが確かにある。まるでその先を追い求めるかのように、シグムントの腰はへこりと動いてしまう。慎ましく勃ち上がり濡れそぼった性器が、合わせるようにひょこんと揺れた。
なけなしの雄の本能を晒すシグムントを前に、イザルはくはりと笑った。
「揺れてる。」
「ゅ、ゆれ、ぅ」
「尻まで伝ってんぞ。そんなにこれが気持ちいいか?」
「ぅ、うぁ……や、こ、こぁ、い……っ」
赤く色づく唇から、情けない声が漏れた。震えながらイザルへと伸ばした手を取られ、指先に口付けをされる。
ようやく性器から手が離れたかと思ったのも束の間だ。イザルの大きな手のひらがシグムントの腰を鷲掴むと、腹同士を重ねるかのように体温が近くなる。
「口、開けろ」
「ぁ、ふ……っ……」
シグムントの先走りがイザルのシャツを汚しているのに、怒られる気配は微塵もなかった。まるで労わるような舌使いで口内を愛でられ、涙でまつ毛を濡らす。
性感は怖いけれど、イザルが与えるものならば我慢できる気がした。シグムントの小さな手がイザルのシャツを緩く掴む。
「ふ、……ぅ、っン……」
「ン、」
「ぅ、ひっく、…っ」
口付けの合間、イザルの銀灰の瞳がシグムントへと向けられた。いつもの眠そうな目はぎゅっと瞑っている。下手くそな舌使いで必死にイザルの舌に応える様子に、心臓が甘く鳴いたのは秘密だ。
初めて女を抱いた時にも経験しなかったざわめきが、先ほどからイザルの胸の辺りに侵食してくる。煩わしいはずなのに、悪くない。そう思ってしまうあたり、もうだめだ。
けほっ、と苦しそうに呼吸をする様子に見かねた。イザルは首を支えてやるようにシグムントの顎を上へと向かせると、再び深く口づける。
唾液が甘い。久しぶりの、酩酊間にも似た感覚に酔いしれる。何も考えなくていいような、そんな心地。ゆったりとした舌使いにほぐれてきたのは、緊張だけではないだろう。
気がつけばイザルの腰を挟んでいたシグムントの足の力が弱まっていた。手を滑らせるように、小さな尻の間へと指先を運ぶ。柔い尻肉を割り開き、奥の窄まりをゆっくりと撫で上げた。
「……びびんな」
「そこは、だ、出すところだ……っ」
「入れるとこにすんだよ」
「な、何を⁉︎」
「ナニを」
情けない悲鳴は、イザルによって飲み込まれた。熱い舌がシグムントの舌を舐り、尻の合間に熱い性器を擦り付けられる。大きな手のひらはシグムントの小ぶりな袋まで押し上げながら、奥の窄まりをぐにぐにと刺激する。
このままだと、出てしまう。シグムントのお腹の奥がじくんと疼いて、内股が震えた。性感が強すぎるのは怖い。口付けで薄くなった酸素が、頭の働きを馬鹿にする。
粗相をしてしまうのが怖くて、イザルに縋る腕の力が強くなる。このままイザルの前で、あられもない姿を見せるのは嫌だった。シグムントは唇から逃げるように顔を背けると、悲鳴まじりに声を上げた。
「っ、な、なんかでちゃ、や、もぅゃ、め……っ!」
「は、」
端なく唾液をこぼし、上出来な顔を涙で濡らす。扇情的なシグムントの姿に、イザルの加虐心が煽られる。窄まりを横に伸ばすように柔らかな尻を割り開くと、イザルは性器で窄まりを刺激するように腰を押し付ける。まるで、本当に挿入を果たしたかのような愛撫に、シグムントの許容量はついに超えてしまった。
「ひ、ぁあ、あっ……!」
「シグ、……っ⁉︎」
シグムントの精液が噴きあげ、イザルもまた窄まりへと熱を放ったその瞬間。唐突にそれは出現した。
「な、な、な、」
「で、ちゃ、……った……っ、」
イザルは驚愕を顔に貼り付けていた。細い腰から伸びる滑らかな蛇の尾が、己に甘えるように巻き付いていたからだ。蛇の尾とシグムントを狼狽えながら見比べる。しかし吐精後の疲労感か、本体はイザルに説明もないまま眠ってしまいそうだった。
ちょっと待て、説明をしろと言わんばかりに慌ててその尾を引き剥がす。イザルは再び覆い被さるようにシグムントを揺さぶり起こした。
「シグムント、おい、起きろ寝るな。説明をし、ああもう絡みつくな!」
「嫌だ、俺は疲れている……イザル、お前も少し眠るといい……」
「精液塗れで眠れるか。風呂に行くぞ! おい、後この尾っぽのせつめ、だから絡みつくんじゃねえっての!」
「うぅん……」
白蛇の尾は、おそらくヒュトーの本性部分であろう。シグムントは丸くなるように眠っているのに、尾は元気にイザルの腰へと絡みつく。何が出ちゃっただ。イザルからしてみれば、ふざけるなの一言である。
ヒュトーの尾を、再び引き剥がす。腹が立つままに尾の付け根を叩いてやれば、仕返しとばかりにべしんと頬を弾かれた。どうやらこの尻尾は犬のようなものらしい。シグムントの感情をそのままに写し取ったそれが、寝ている本体よりも素直に動いている。
蛇の尾に感情表現なんてあるのだろうか。イザルは強かに張られた己の頬を押さえながら、なんとも言えない顔でシグムントを見下ろした。
「はぁ……」
なんでこうなった。というのがイザルの言い分だ。シグムントは今、目の前に晒されたイザルの性器を穏やかな瞳で見つめていた。まるで生き別れの兄弟に向けるような、そんな目である。
イザルがこれから何をしようとしているのかも、シグムントはまるでわかってはいないだろう。とは言っても、口で奉仕をされるわけでもないのに、至近距離で己の性器を見せつづける趣味はイザルにはない。シグムントの手首を掴むと、そっと性器に触れさせた。
蛇の特徴を持つ魔族の性器が二本あると聞いて、想像して愚かにも少しだけ萎れたそれは、それでもシグムントの手で握るには大きすぎた。
相変わらず、抵抗もせずに素直にされるがままである。イザルは邪魔な前髪をかきあげると、シグムントの手に重ねるように性器を握りしめた。
「い、イザル……これは?」
「勃たせてんだよ。このままじゃ遊べねえだろう」
「俺と遊んでくれるのか?」
「そんな期待のこもった目で見るんじゃねえ」
どうやらまた言い回しを間違えたと気がついて、イザルは思わず渋い顔をした。構われたがりなことは知っていたが、こんな状況で天然を発揮しなくてもいいだろう。
シグムントの言う遊ぶ、には程遠いが、イザルはそのまま重ねた手を動かした。シグムントの手を使った自慰である。
「い、イザル……な、なんかこれ、妙な気持ちになる……」
「だろうよ。ん、……」
「わ、わ、わ……っ」
緊張しているのか、シグムントの上擦った声が聞こえた。イザルは目を細めるようにして、小さな手の中から見え隠れする己の性器を目に映す。先程まで萎れかけていたと言うことが嘘のように、硬さは徐々に戻ってきていた。
寛げたボトムスの隙間から見える見事な腹筋が引き絞られ、時折ひくんと痙攣する。目配せをすれば、シグムントは目を丸くして動きを止めていた。
「ぅ、……」
「ん、勃った……」
「あ、」
イザルが、ふ、と吐息を漏らした。シグムントを見下ろす銀灰の双眸に、欲の炎が再び灯る。イザルの真下、濡れた瞳のまま、白い肌を上気させて黙り込むシグムントの変化を、当然見逃すわけもない。
「お前もか」
「ひぅ、っ」
シグムントの両脇に腕を突っ込んだ。己の足の間から引き摺り出すようにして持ち上げると、閉じられていた膝が開き、膨らんだ性器が晒される。シグムントの体を膝に乗せるようにして抱え込むと、そのままベットへと押し倒す。白い足はイザルの腰を挟むようにおさまっていた。
「ひょわ……っこ、この体勢いゃだ……っ」
「腰、もうちっとこっち寄越せ」
「ま、こ、ほわぁ…っ!」
シグムントの足を抱え上げたイザルによってシャツを脱がされる。膝を持ち上げるようにまろい尻を晒されて、小さな手が視界を遮るように伸ばされた。
しかし、その手は窘められるように掴まれると、イザルの首の後ろへと回された。大きな手のひらに尻を鷲掴まれ、シグムントの喉から妙な声がこぼれる。体質だろうか、少しだけ体温が低い気がした。
「しょっ……触診、というやつか」
「お前、思ったこと全部口に出す癖やめた方がいいぞ……」
「なんと」
当然、尻の揉み心地で健康が図れるわけがない。しかし、華奢なくせに尻の肉付きだけはいいシグムントを前に、喋らなければ本当に上等な体をしているのにとイザルは改めて思った。
晒されたシグムントの性器は、皮膚が薄いせいか先端に向けてほんのりと薄桃色をしていた。何も知らなさそうな性器である。同性のそれを見てこんなに嫌悪感を抱かないとは、やはり見た目とは大切である。
僅かに反応をする性器に指を絡ませた。思わず腰が跳ねたのだろう、シグムントは柔い尻をイザルの性器へと押しつける。
「積極的なのは嫌いじゃねえ」
「熱、熱い! なんでそんな形をしている⁉︎」
「男は元気になるとこうなんだよ」
「俺も男だけどそうはならないとおもぅわぁーーっ!」
情けない悲鳴が上がった。当然、シグムントの声である。これ以上脱線するのが面倒くさくて、小ぶりな性器の先端を指で摩擦したのだ。
にゅち、と濡れた音がして、唐突な刺激にシグムントの足が跳ね上がる。その眼は見開かれたままだ。しかし、頭上に疑問符を散らすように、体に起こった明確な変化に動揺を極めている。シグムントの両足は可哀想なくらいに震え、口を押さえた手のひらの内側では、短い呼吸を繰り返している。
イザルは、そんな様子を前に、実に満足そうに笑う。その笑みの意地の悪さと言ったら、筆舌に尽くし難い。
「っ、っぁ、う……」
「いいね。もっと声出せや」
「ち、ちが、ひぅ、あ……っ」
シグムントの細い腰が震える。イザルの手の中の性器へと、神経が集中してしまったかのような性感に身を投じていた。性器が熱くなり、膨らみ、根本が腹の奥へと繋がるかのようにじくんじくんと疼痛が身を襲う。イザルの指の動きが滑らかになってきてわかった。シグムントの先端から、何かが滲んでいる。とろみのあるそれが幹全体に塗りたくられ、聞きたくもないような水音がするのだ。
「ぁや、な、なん、ぁっ……い、ぃあ、る、ひゃめ、っ」
手を止めてくれ、それは怖い。シグムントは、知らぬ感覚に身を任せることに怯えていた。体の力が抜け、ただベットに身を預けるほかはない。それでも体は正直で、離れないでと言わんばかりにイザルの腰を足で挟む。
イザルの指先が、ぬかるみを肉に馴染ませるように巧みに動く。尻の下に水気を感じて、シグムントの顔は羞恥に染まる。これから寝る場所なのに、汚してしまっているのだ。
これ以上はいけない。譫言は音にもならなかった。体の痺れの奥に、痛みだけではない疼きが確かにある。まるでその先を追い求めるかのように、シグムントの腰はへこりと動いてしまう。慎ましく勃ち上がり濡れそぼった性器が、合わせるようにひょこんと揺れた。
なけなしの雄の本能を晒すシグムントを前に、イザルはくはりと笑った。
「揺れてる。」
「ゅ、ゆれ、ぅ」
「尻まで伝ってんぞ。そんなにこれが気持ちいいか?」
「ぅ、うぁ……や、こ、こぁ、い……っ」
赤く色づく唇から、情けない声が漏れた。震えながらイザルへと伸ばした手を取られ、指先に口付けをされる。
ようやく性器から手が離れたかと思ったのも束の間だ。イザルの大きな手のひらがシグムントの腰を鷲掴むと、腹同士を重ねるかのように体温が近くなる。
「口、開けろ」
「ぁ、ふ……っ……」
シグムントの先走りがイザルのシャツを汚しているのに、怒られる気配は微塵もなかった。まるで労わるような舌使いで口内を愛でられ、涙でまつ毛を濡らす。
性感は怖いけれど、イザルが与えるものならば我慢できる気がした。シグムントの小さな手がイザルのシャツを緩く掴む。
「ふ、……ぅ、っン……」
「ン、」
「ぅ、ひっく、…っ」
口付けの合間、イザルの銀灰の瞳がシグムントへと向けられた。いつもの眠そうな目はぎゅっと瞑っている。下手くそな舌使いで必死にイザルの舌に応える様子に、心臓が甘く鳴いたのは秘密だ。
初めて女を抱いた時にも経験しなかったざわめきが、先ほどからイザルの胸の辺りに侵食してくる。煩わしいはずなのに、悪くない。そう思ってしまうあたり、もうだめだ。
けほっ、と苦しそうに呼吸をする様子に見かねた。イザルは首を支えてやるようにシグムントの顎を上へと向かせると、再び深く口づける。
唾液が甘い。久しぶりの、酩酊間にも似た感覚に酔いしれる。何も考えなくていいような、そんな心地。ゆったりとした舌使いにほぐれてきたのは、緊張だけではないだろう。
気がつけばイザルの腰を挟んでいたシグムントの足の力が弱まっていた。手を滑らせるように、小さな尻の間へと指先を運ぶ。柔い尻肉を割り開き、奥の窄まりをゆっくりと撫で上げた。
「……びびんな」
「そこは、だ、出すところだ……っ」
「入れるとこにすんだよ」
「な、何を⁉︎」
「ナニを」
情けない悲鳴は、イザルによって飲み込まれた。熱い舌がシグムントの舌を舐り、尻の合間に熱い性器を擦り付けられる。大きな手のひらはシグムントの小ぶりな袋まで押し上げながら、奥の窄まりをぐにぐにと刺激する。
このままだと、出てしまう。シグムントのお腹の奥がじくんと疼いて、内股が震えた。性感が強すぎるのは怖い。口付けで薄くなった酸素が、頭の働きを馬鹿にする。
粗相をしてしまうのが怖くて、イザルに縋る腕の力が強くなる。このままイザルの前で、あられもない姿を見せるのは嫌だった。シグムントは唇から逃げるように顔を背けると、悲鳴まじりに声を上げた。
「っ、な、なんかでちゃ、や、もぅゃ、め……っ!」
「は、」
端なく唾液をこぼし、上出来な顔を涙で濡らす。扇情的なシグムントの姿に、イザルの加虐心が煽られる。窄まりを横に伸ばすように柔らかな尻を割り開くと、イザルは性器で窄まりを刺激するように腰を押し付ける。まるで、本当に挿入を果たしたかのような愛撫に、シグムントの許容量はついに超えてしまった。
「ひ、ぁあ、あっ……!」
「シグ、……っ⁉︎」
シグムントの精液が噴きあげ、イザルもまた窄まりへと熱を放ったその瞬間。唐突にそれは出現した。
「な、な、な、」
「で、ちゃ、……った……っ、」
イザルは驚愕を顔に貼り付けていた。細い腰から伸びる滑らかな蛇の尾が、己に甘えるように巻き付いていたからだ。蛇の尾とシグムントを狼狽えながら見比べる。しかし吐精後の疲労感か、本体はイザルに説明もないまま眠ってしまいそうだった。
ちょっと待て、説明をしろと言わんばかりに慌ててその尾を引き剥がす。イザルは再び覆い被さるようにシグムントを揺さぶり起こした。
「シグムント、おい、起きろ寝るな。説明をし、ああもう絡みつくな!」
「嫌だ、俺は疲れている……イザル、お前も少し眠るといい……」
「精液塗れで眠れるか。風呂に行くぞ! おい、後この尾っぽのせつめ、だから絡みつくんじゃねえっての!」
「うぅん……」
白蛇の尾は、おそらくヒュトーの本性部分であろう。シグムントは丸くなるように眠っているのに、尾は元気にイザルの腰へと絡みつく。何が出ちゃっただ。イザルからしてみれば、ふざけるなの一言である。
ヒュトーの尾を、再び引き剥がす。腹が立つままに尾の付け根を叩いてやれば、仕返しとばかりにべしんと頬を弾かれた。どうやらこの尻尾は犬のようなものらしい。シグムントの感情をそのままに写し取ったそれが、寝ている本体よりも素直に動いている。
蛇の尾に感情表現なんてあるのだろうか。イザルは強かに張られた己の頬を押さえながら、なんとも言えない顔でシグムントを見下ろした。
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