アイデンティティは奪われましたが、勇者とその弟に愛されてそれなりに幸せです。

だいきち

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一月後の邂逅 

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 イザルの住む太陽の国は、王族以外は皆魔力を保有している国である。
 王族とは、神の器であり、そして代弁者だ。すなわち、民にとっての信仰の対象。最初は、幼い頃に暮らしていた閉塞感のある小さな村での認識だと思ったが、どうやら違うらしい。
 随分と息苦しい共通認識を太陽の国の国民たちが抱いていると知ってからは、イザルは勝手に憐んでいる。
 何事にも関心がない。というか、長く生きて色々な経験をしたことで関心が無くなってしまった。というのが正しい表現だ。
 
──── イザル、お前は選ばれたんだよ。おめでとう。
──── まるで魔物のような身体能力だ。お前のその身に凝った咎を、今すぐにでも清め手やらなくては。
──── イザルは強いな、魔物を倒すために生まれてきたみたいだ。
──── 可哀想に、お前には人の心がないのかもしれん。だからそうやって、躊躇いもなく剣を振るう。
 
 目を閉じれば、今も容易く思い出される。村人からの憧憬に見せかけた畏怖の眼。当たり障りのないことを言って、皆が一様にイザルを遠ざける。元々孤児だったということも、腫れ物扱いをされる要因でもあった。

 咎ってなんだよ。お前らが担ぎ上げたんだろう。幼い頃のイザルには、孤児への憐れみが常に付き纏っていた。周りからは、親がいないのによく頑張っているやら、学がないのは仕方がない。などと、大人は皆分別もつかぬ幼いイザルへと憐憫を向け、己の自尊心を満たしていた。

 初めてイザルが魔物を倒したのは、十歳にも満たない歳の頃だった。襲いかかってきた魔物を、たった一本の木の棒で倒したのだ。
 もしイザルに家族がいたのなら、きっとわずかな叱責と、よくやったと褒めてくれたかもしれない。
 身寄りもなく、甘えたい気持ちを押し殺して生活していたイザルは、ありもしない妄想を他の大人で求めてしまった。
 幼い子供の可愛らしい期待。当然受け入れられるべき年相応の甘えを、大人たちは受け入れなかった。
 一人で魔物を倒したイザルを大人は恐れ、手のひらを返したように魔物と同じ扱いをしたのだ。
 妬まれ、嫉まれ、挙げ句忌み子だ。後の脅威だと。一塊になって大勢の大人が一人の幼児を糾弾した。イザルが暮らしていたのは小さな村だ。幼いながら魔物に対抗しうる力を持つ異常は、瞬く間に広がった。

 なんで、こんな村にいるのだろう。イザルは、ずっと己の出自を呪っていた。幼いイザルを一人残して消えていった父親への恨みは、日に日に募っていく。
 他人の暖かな手のひらを、やさしさを。息をつける安らぎと安寧を、イザルはずっと望んできたというのに。運命は嘲笑うかのように、突然の転機をもたらした。
 森の奥深くに眠る、聖なる剣がイザルに呼応したのだ。
 
──── イザルが、剣を抜いたぞ! 
 
 なんだそれ。と思った。

 イザルが住んでいた村での、古臭くてくだらない儀式。それは、身寄りのないイザルにも当たり前のように順番が回ってきた。
 聖騎士アイゼンが使ったとされるこの剣を、村の少年が引き抜く真似事をする。当然、今までも聖剣と呼ばれるそれを抜けたも者などいなかった。
 アイゼンが聖剣を手にしたのも十五の齢だったという。ただそれだけのくだらない理由で、次代の勇者をこの村から出そうとしている。
 迷惑にも、アイゼンは遺物である聖剣をこの村に残した。

──── 面倒なものを残しやがって。

 森の奥深く。大人たちに連れ出されたイザルは、聖なる台座に突き刺さった錆びた剣の前に立たされた。誰もが羨望し、敬い。宗教じみた信仰を寄せられる聖剣は、墓に建てられた十字架のように見えた。
 初めて参加させてもらえた村の行事。きっと、厄介者を追い出すための当たり障りのない理由が、大人たちには必要だったのだと思う。
 国王アルガンが力の強いものを探している、なら、丁度いいのがいると思ったのだろう。
 いくら魔力が多いからって、きっと引き抜けるわけがない。少しでも台座から動かすことができれば、この村からイザルを追い出して国王に献上する。そう思っていたに違いない。
 イザルの傷だらけの手が柄を持ち、握りしめる。馬鹿にしたように嘲笑う大人たちの目の前で、イザルは聖剣を引き抜いた。
 錆び臭くて汚い剣が、ゆっくりと台座と擦れ合いながら持ち上がった瞬間、イザルは思った。

──── ああ、己はこの剣に呪われる。
 
 誰も彼もを拒んできたこの剣に、認められてしまった。イザルを囲み、静まり返る大人達に見下ろされながら。握りしめる剣の重みに絶望をした。
 それは人としての異常を認めざるおえないことと同義。イザルは大衆の目の前で、自らを陥れてしまったのであった。
 





 
 太陽の国に住む民は国王アルガンに傅き、一つの不文律の下で生きている。
 魔物と同じ魔力を持つ人間は、恩赦税を払わねば太陽の国では生きていけない。人として、神の代弁者でもある国王アルガンの決め事だから、みんなはそれに否とは言わずに、感謝をして生きている。
 国王は純粋な人である。だから魔物と同様の穢れた能力をその身には宿さない。
 太陽の国の民は恵まれている。生き神とも称されるアルガンの尊い御心で、魔力をその身に宿していても何不自由なく暮らすことが出来るのだから。
 
──── 神に仕えよ。そして穢れを清めるために、お前の力を奮って魔王を倒せ。この国の民が安心して暮らせるように、貴き犠牲となってこの国のいしずえとなるがいい。みなの身に宿る穢れを祓うために、お前の存在意義を示してみろ。お前がこの世で唯一の魔王を祓うことが出来たのなら、晴れてお前の願いを聞き入れ、その身を自由にする。
 
 アルガンは、穏やかな声色でイザルに言った。国王のお姿は薄紗に遮られており、拝謁することは叶わない。ただ、声の質からして若い男なのだろなうことは受け取れた。
 微笑みを浮かべているかのような、柔らかな口調。耳触りの良いお言葉は、イザルの身を縛る拘束具でもあった。
 ただ剣の柄を持って引き抜いただけの少年に、国王アルガンはこの太陽の国を背負わせたのだ。
 
 そこからは、地獄だった。
 城の騎士団に混じり、尋常ではない訓練をさせられた。人としての体の限界を訴えれば、それは怠惰だと叱責される。
 柔らかだった手のひらには血豆が出来、皮膚が剥がれても握り続けた剣に込めたのは、魔力だけではない。

 三日分の食料だけを持たされ、なまくらを握って突き落とされた崖の下。人間の敵でもある魔物を相手に、七日間死ぬ思いをして生き抜いたこともあった。
 聖剣を握りしめ、魔を断つ。行っていることは何も間違いではなく、国や民を守るための良きことである筈だ。
 それなのに、剣を通して血肉の味を知るたびに、己がどんどんと魔物になっていくような感覚に陥った。

 なぜ、こんなにも魔力が多いのか。なぜただ一人、こんな目に遭わねばならないのか。
 努力しても認められない、あれだけ血を吸ったというのに、乾いた心には亀裂が入る。
 泣きたかった、甘えたかった。誰かに優しくされたかった。抑え切れない感情に急かされるように、逃げ出したこともあった。イザルがボロボロになりながら村へ帰れば、暖かい出迎えとは程遠い、恥を知れという罵声のみが帰ってきた。
 そのうち、何かから目を逸らすように必死で剣を振り回すようになった。肉を断つ度に感じていた手の震えはいつからか消え、そのうちに魔物の討伐が作業になり始めた。
 積み上げた死骸の道を進んでいくうちに、イザルは何もなくなっていた。焦がれるものも、欲しいと思うものも何もない。あるのは、虚無の心だけであった。
 その頃になって、ようやっと気がついた。ああ、俺は神とやらに見放されたのか。きっと、アルガンではない、本物の神に。そう理解してからは、ストンと全ての物事が腑に落ちた。
 恐ろしい魔力を持つイザルは、忌み子だ。運命がそう決めてしまったのだから、魔王なんぞを倒さねばならないのだと。
 要するに、開き直ったのだ。それからイザルは積極的に魔力を使い、術を行使しながらの戦闘を独学で学んでいった。早く力をつけて魔王を倒せば、晴れてこの身は自由になる。それを反故にされないよう、出立前にはアルガンに書面を通して約束を取り付けた。
 魔王討伐の証とともに、イザルは勇者を辞め、人として静かに暮らしたいと。煩わしい俗世から離れて、何にも縛られずに生きたいと願ったのだ。
 
──── 認めよう。お前が魔王討伐の証を持ってくることができた暁には、この書面の一言一句嘘偽りなく、願いを叶えよう。
 
 だからイザルは、アルガンの目の前に魔王討伐の証を差し出した。村から出てから、八年の過酷な修行と二年間にも及ぶ一人旅。イザルにとって、吐瀉物以下の最低な人生を己の手で終わらせた。それが、一ヶ月も前の話である。
 晴れて自由の身になったイザルの居場所は、他言していない。何より静かに暮らしたかった。誰にも干渉されない、自由気ままな人としての暮らし。夢にまで見た、細やかなイザルの幸せ。
 




 
「やっと、自由を得たと思ったのだがな」

 ここは、太陽の国国王アルガンのおわす首都、イルヴェンドットからはるか南。広大な木漏れ日森の一つの道を抜けた辺境、ニルドクリフのとある山奥。
 イザルは、丁度狩りを終えて、己のねぐらに帰ってきたばかりだった。
 目の前には、ひと月前にアルガンへ討伐報告をしたばかりの魔王、シグムントが居た。いや、イザルの自宅前に落ちていた。という方が正しい説明になるだろう。
 目の前のシグムントは、美しく揺蕩う水面のような銀の髪を地べたに広げたまま、うつ伏せになっている。本来ならねじ曲がった立派な角が二本生えているだろうに、その頭には片方しか見当たらなかった。

「ここを死に場所に選ぶか、シグムント」

 一月前に見た時よりも痩せこけ、随分とボロボロになっている。イザルは地べたへと膝をつくと、魔力を溜めているであろう手触りのいい髪を一房手にとった。殺気を滲ませる余力がないのか、それともただの阿呆なのだろうか。イザルは地に臥したままの細い肩を鷲掴むと、加減などせずに仰向けにした。

「っ……、ぅ、……ぐす……っ……」
「……あ?」

 シグムントは死んでなどいなかった。ただ、生きていることに驚くよりも、情けなく泣いている姿を前に動揺はした。まさか一月前に穏やかに死を受け入れた男が、身も蓋もなく顔をビシャビシャにして泣いているとは思わなかったのだ。というか、魔王も泣くことがあるのかと、変なところに関心すらした。

「てめえは……」
「い、イザル……と、いったな……」
「あ、ああ……」

 シグムントの涙でべしょべしょの銀灰の瞳には、戸惑うイザルの姿が映っていた。白磁の頬には無粋な、泥や切り傷といった細かな汚れがついている。イザルが聖剣で叩き折った左側頭部の角の根本は特に血で濡れていた。魔王城であった時とは大違いな、浮浪者もかくやと言わんばかりのみずぼらしい姿。せめて怪我をした場所の治癒なりすればいいだろうに、シグムントは生傷の目立つ手足を晒している。
 目の前のこの状況が、仕組まれたものではないかを警戒はした。しかし、周りに魔の気配は微塵も感じられなかった。当たり前だ、このニルドクリフはあくびが出るほど平和な場所だ。ここに家を構えて一ヶ月足らず、まともな魔物といえば目の前のシグムントが初めてのようなもの。
 絶句するように動きを止めたイザルの足元へと、細いシグムントの手が伸ばされる。蹴り払うのも戸惑うような細さに、イザルはついつま先に触れることを許してしまった。

「お、俺の……角、返してくれ……」
「……」

 シグムントの言葉に、イザルの表情が忌々しそうに歪む。イザルはあの時。魔王の首を落としてなどいなかった。
 どうせ国王が見たこともないだろう魔王の首を持っていったところで、意味なんてないのだ。敵意のない魔王を殺すくらいなら、その角だけで許してやろうと思ったあの時の選択。それが今回の事態を招いたに違いない。
 国王には、すでに魔物同様に魔王シグムントは魔素となって消えた。と言いくるめている。国王に対してのイザルの個人的な不満が募っていたこともあり、一杯食わせてやろうという気持ちがあったのだ。
 案の定、シグムントの立派な角を差し出したら、見事に信じてくれたのだ。シグムントのたった一本の角でも騙されるほど、魔王の魔力は膨大であった。

「無いぞ。国王にくれてやった。お前の討伐証明としてな」

 だからイザルは、素直にそんなものはとうに無いといった。
 シグムントは美しい銀灰の瞳を見開いて、水面の魚のようにはくはくと唇を戦慄かせた。
 みるみるうちに顔が青褪めていく様子は、親の首でも見たかのようだ。
 わかりやすい絶望を晒す元魔王、シグムント。しかし、のっぴきならぬ理由があったからこそ、這々の体でここまでたどり着いたのだ。
 シグムントにとっての左角。それは、右角で取り込んだ魔力を溜めておくための、魔力タンクの役割を果たしていた。

「ああ……、そんな……っ」

 左角を失ったシグムントは、もはや赤子と同じであった。魔物のくせに、攻撃手段が何もない。道中ここまで逃げ仰たのも、ひとえに持ち前の運の良さが全力を発揮したからに違いない。
 あっけらかんと告げられた厳しい現実を前に、シグムントは再びはらはらと涙を溢して頬を濡らした。
 憐れな魔王の横にしゃがみながら、イザルだけがこの状況を飲み込めていなかった。







    
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